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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメサステナビリティレポート2013 CONTENTS
編集方針
2
トップメッセージ
3
カゴメの考えるサステナビリティとカゴメの理念体系
5
8
「Next 50」3ヶ年中期経営計画
9
特集:カゴメの成長は社会の成長とともに
事例1 日本国内トマトジュース用原料の全量国産化
12
事例2 地産全消商品で地域を活性化
13
事例3 新しい農業形態での生鮮トマト事業展開
15
事例4 東日本大震災復興支援 ふくしま産トマトジュース発売
17
事例5 グローバルトマトビジネスでの農業
19
有識者ご意見
21
経営マネジメント
コーポレート・ガバナンス
23
コンプライアンス
24
さまざまなリスクへの対応
26
社会との関わり
お客様への責任
28
調達先への責任
39
株主・投資家への責任
40
従業員への責任
43
地域・社会への貢献
48
環境との関わり
環境方針と中期環境計画
56
環境マネジメント
61
環境負荷の全体像
65
生産における環境配慮
66
物流における環境配慮
72
オフィスにおける環境配慮
74
生物多様性保全
75
環境配慮型商品とシステムの研究・開発
80
地域・社会における環境保全活動
85
環境活動の歴史
87
カゴメグローバル環境マネジメント
90
事業の全体像
91
CSR情報のご紹介
ウェブサイト
カゴメサステナビリティレポート他、CSR関連情報をご紹介しています。 http://www.kagome.co.jp/company/kankyo/index.html
カゴメサステナビリティレポート2013 フルレポート(93ページ)
サステナビリティの実現に向けた活動全体をご紹介しています。
カゴメサステナビリティレポート2013 ダイジェスト版(25ページ)
フルレポートの特集、有識者ご意見までを基本に、活動内容をダイジェストでご紹介しています。
※ カゴメのウェブサイト「カゴメサステナビリティレポート」の各ページをPDF出力したものです。
※ PDFおよび印刷された媒体では、関連情報へのリンクが無効となっておりますので、ご了承ください。
1
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメグループでは企業理念「感謝」「自然」「開かれた企業」の更なる具現化に向け、
2013年度からスタートした中期経営計画の基本テーマを「カゴメの成長は社会の成長と
ともに」とし、サステナビリティを従来よりもさらに強くマネージメントポリシーに組み
込む事業展開を開始しました。今年度は、マテリアリティ(重要課題)を事業活動へ組み
込むための活動を推進しており、今回の報告書より、これまでのCSRレポートからサステ
ナビリティレポートに名称を変更し、巻頭の特集では、カゴメの考えるサステナビリティ
の事例をお伝えしています。
なおレポート作成にあたっては、GRI※の「サスティナビリティレポーティングガイドラ
イン2002」及び「サスティナビリティリポーティングガイドライン第3.1版」と環境省の
「環境報告書ガイドライン2012年度版」を参考にしました。
また、ステークホルダーの方々より「PDFの文字が小さく読みづらい」とご意見いただい
ていたことを受けて、文字を大きくしました。
※ GRI:Global Reporting Initiative
報告書の変遷
1999年度:環境報告書
2005年度:社会環境報告書
2010年度:CSRレポート
2013年度:サステナビリティレポート
文中においてカゴメ株式会社単体に関する報告は「カゴメ」、国内グループ会社全体に関
する報告は「国内カゴメグループ」、海外のグループ会社を含む国内外全体に関する報告
は「カゴメグループ」として表記しています。
※ 2012年度までのCSRレポートでは、対象範囲が国内の為、国内グループ会社全体に関
する表記を「カゴメグループ」と表記しています。
社会活動報告は2012年4月∼2013年9月(一部情報は2013年11月)まで、環境活動報
告は原則として2012年度(2012年4月1日∼2013年3月31日)を対象期間としていま
す。また環境活動報告のパフォーマンスデータなどでは、これまでの取り組み推移をわか
りやすく示すため、2012年度以前の情報も掲載しています。
2013年12月
〒103-8461
東京都中央区日本橋浜町3丁目21番1号
日本橋浜町Fタワー
カゴメ株式会社
コーポレート・コミュニケーション本部 グローバルサステナビリティ部
TEL (03)5623-8705 FAX (03)5623-2334
E-mail [email protected]
2
カゴメサステナビリティレポート2013
2011年3月11日の東日本大震災は甚大な被害をもたらすと同時に、社会が抱えるさまざ
まな課題を浮き彫りにし、私たちに多くのことを教えました。まず、私自身が非常に強く
実感したのは、「食」はライフラインであるということです。これは、いつでも店頭に豊
富な食料が並んでいることが当たり前だった時には、残念ながら薄れていた感覚です。そ
れがこのたびの事態に直面し、「食」は精神と肉体の健康維持のために一日たりとも欠く
ことのできないものであり、私たち食品メーカーには食の安心・安全を守るとともに、い
かなる事態においてもライフライン機能を守っていく使命があると痛感しました。
そして、もうひとつ、このたびの経験から認識を深めたことは、社会が健全でなければ、
「食」に関わる産業は成立しないということです。カゴメのような食品企業は、自然の豊
かな恵みと信頼できる流通ネットワークを基盤に存続しており、社会の健全性が損なわれ
た時にはたちまち立ち行かない状態に陥ってしまいます。そこで、私たち企業はつねに健
全な社会づくりに寄与すべきであり、それこそがカゴメの未来をつくることにつながるの
だと改めて教えられました。
先のライフラインとしての「食」を守ることについては、
早急に取り組みを進めるべき課題ですが、一方の健全な社
会づくりはより長期的な視点に立って進めなければなりま
せん。 では、健全な社会とは一体どのような社会なので
しょうか。カゴメは2011年にカルビー株式会社・ロート
製薬株式会社と共同で、被災により進学が困難となった生
徒を支援する奨学基金「みちのく未来基金」を設立しまし
たが、奨学金を受給した数十名の若者たちと交流した際
に、私はそのひとつの答えに遭遇しました。大学に進学した彼らが、学べることへの感
謝、今の自分があることへの感謝を口々に語ったのです。震災により過酷な経験をし、そ
こから立ち直る過程において、彼らは本物の感謝の気持ちを獲得したのです。私は、たい
へん感銘を受けました。そして、健全な社会とはこのような感謝の念をもった人たちがつ
くっていくのだと強く思いました。
感謝という言葉はカゴメの企業理念そのものでありますが、自然に、お客さまに、人との
出会い、自らの仕事に、家族に、あらゆるものに感謝できる人を育てることが健全な社会
づくりにつながると信じ、今後も人材育成に励んでまいります。
みちのく未来基金で奨学金を受給
した若者たちと料理で交流
小坂井工場にて従業員と対話
3
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは1963年にそれまでの社名「愛知トマト株式会社」から現在の「カゴメ株式会
社」に社名を変更いたしましたが、2013 年度はそれからちょうど50年目にあたりま
す。そこで、カゴメの次なる 50 年に向けて目指す姿を示した中期経営計画「Next 50」
をスタートさせました。
50年というスパンで社会の環境変化を予測しますと、人口の増加と天然資源、食糧、水
の不足があり、さらにそれに伴うさまざまな格差の拡大が予想されます。地球環境は大き
く変化しますから、今ある産業や企業がそのままの形で残っている割合はけっして多くは
ないでしょう。そのような中で、カゴメは、自然の大地に、農業に根ざして食を育み、
50年先も、日本のお客さまはもとより、世界中のお客さまの期待に応える企業でありた
いと考えています。
「Next 50」では、基本となるテーマを「カゴメの成長は
社会の成長とともに」と定め、サステナビリティをマネジ
メントポリシーに組み込み、社会の成長とともに企業成長
を実現する経営を進めてまいります。「イコールパート
ナー」という言葉がありますが、社会と共有できる価値づ
くりを行うためには、カゴメがお客さま、生活者さま、取
引先企業さま、すべてのステークホルダーの方々とともに
歩み、お互いの強みを活かしつつ、お互いが相手を必要と
する「共助の絆」をつくっていくことが不可欠であると考えます。 また、世界の市場に
目を向けると、カゴメという企業を育ててくれた日本の市場は、経済規模が大きく、食に
対する関心が著しく高い、世界でも特殊な市場であると認識しています。今後、カゴメを
世界のブランドに育てていくには、日本の価値や水準をそのままもっていくのではなく、
「カゴメ型グローバルスタンダード」を築いていく必要があります。その際も、「共助の
絆」の視点が最も大切です。各地の社会や人々、生活を公平・公正な目で見極め、どうす
ればフェアな関係が成立するかを考えてビジネスを創出していけば、国や価値観が違って
も人間同士、互いに共通の結論に行き着くことができると信じています。
今回の『カゴメサステナビリティレポート』では、カゴメの考えるサステナビリティを
「特集」で、ステークホルダーの方からいただいたお声を「有識者ご意見」で紹介してい
ます。皆さまにカゴメの活動をよくご覧いただき、率直なご意見と温かいご支援をいただ
けますよう、心からお願い申し上げます。
タイで開かれた新商品発表会
ポルトガルの大規模農地開発地域を
視察
4
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメの考えるサステナビリティとは、「共助」の精神にもとづいて、企業理念を具現化
し、事業活動と一体となって、個人としても、企業としても、持続可能な「人・社会・地
球環境の健康長寿に貢献する」ことです。
カゴメは、100年以上もの間、トマトをはじめとした野菜・フルーツなど、たくさんの自
然の恵みを利用して、商品づくりを続けてきました。地球が育んでくれるすべての植物や
動物、多種多様な生態系、そして地球という生命体そのものが、カゴメの商品と深くつな
がっています。人々のいのちや地球の健康を維持することに、大きな危機感が芽生え始め
ている今だからこそ、「人・社会・地球環境の健康長寿に貢献する」ことを、カゴメの使
命と考え、生活者の方へは「Think GREEN KAGOME」のコーポレートメッセージで発
信しています。
実施策は中期経営計画「Next 50」ですすめています。
「Next 50」について
5
カゴメサステナビリティレポート2013
2000年、カゴメは新たな企業理念を制定しました。
創業者である蟹江一太郎が、経営者として最後に到達した境地である「感謝」。カゴメの
商品づくりの、カゴメの提供価値の源泉である「自然」。人に対して、社会に対して「開
かれた企業」をめざすという、カゴメの決意としての「開かれた企業」。この三つの言葉
が、カゴメの新しい「経営のこころ」となりました。
「自然を、おいしく、楽しく。KAGOME」も、もちろん、この企業理念を反映したもの
です。
私たちは、自然の恵みと多くの
人々との出会いに感謝し、自然
生態系と人間性を尊重します。
私たちは、自然の恵みを活かし
て、時代に先がけた深みのある
価値を創造し、お客さまの健康
に貢献します。
私たちは、おたがいの個性・能
力を認め合い、公正・透明な企
業活動につとめ開かれた企業を
目指します。
自然の恵みがもつ抗酸化力や免
疫力を活用して、食と健康を深
く追求すること。
自然に反する添加物や技術にた
よらず、体にやさしいおいしさ
を実現すること。
地球環境と体内環境に十分に配
慮して、食の楽しさの新しい需
要を創造すること。
6
カゴメサステナビリティレポート2013
7
カゴメサステナビリティレポート2013
2013年度からスタートした3ヶ年の中期経営計画です。2013年は「愛知トマト株式会
社」から「カゴメ株式会社」に社名を変更して50周年にあたります。50年前には、原料
の調達場所・工場・営業の体制を日本全国に一気に広げており、それを契機として東海地
域の一企業から日本のナショナルブランドへと転換することができました。カゴメグルー
プはこれから、世界各地での農業・食・健康などの社会問題の解決に貢献するべく、世界
の人々の期待に応えるグローバルブランドへと飛躍していきたいと考えています。そんな
カゴメグループの新しい50年を実現できるかは、この3年間の取り組みにかかってきま
す。その思いを「Next 50」という名称に込めました。
「Next 50」では、4つの重点戦略を進めています。
(1)
(2)
(3)
(4)
カゴメの成長は社会の成長とともに
国内に新たな需要を創り出す
カゴメブランドを国内だけでなく海外でも通用するブランドに育てる
カゴメグループ(国内・海外)の経営資源を最も効果的かつ効率的に配分する
重点戦略の基本テーマを「カゴメの成長は社会の成長とともに」とし、カゴメグループを
支えていただいているお客様や、人々、地域、社会と一緒になって、持続可能な「社会価
値」の提供と需要創造による「経済価値」が両立した構造をつくり育てていくことで、お
互いに成長していくことを目指しています。
8
カゴメサステナビリティレポート2013
日本国内での展開
グローバルでの展開
9
カゴメサステナビリティレポート2013
事業概要
カゴメグループは、持続可能な「社会価値」
の提供と需要創造による「経済価値」を両立
させる構造をつくり育てていくことで、お互
いに成長していくことを目指しています。
10
カゴメサステナビリティレポート2013
日本
カゴメ株式会社
日本でのコンシューマー事業(飲料、食品、ギフト、生鮮野菜、メディア通販)、業務用
事業
加太菜園株式会社、響灘菜園株式会社、いわき小名浜菜園株式会社
日本での生鮮トマト栽培事業
カゴメ不動産株式会社、カゴメ物流サービス株式会社
米国
KAGOME INC.
米国での食品製造販売事業、主力は大手レストランチェーン向け業務用トマトソースの製
造販売
2007年には100%子会社のKagome Foods, Inc.を設立し、業務用事業を強化
United Genetics Holding LLC ※2013年度より連結対象
米国をはじめ5ヶ国に事業会社を有し、グローバルにトマト、野菜およびフルーツの種子
開発・生産・販売事業を展開
欧州
Vegitalia S.p.A.(イタリア共和国)
グリル加工した地中海野菜冷凍商品の製造販売事業
Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(ポルトガル共和
国)
ポルトガルでの食品(トマト)製造およびおもに欧州・中東・アジアに向けた販売事業
Tat Tohumculuk A.S.(トルコ共和国) ※非連結関連会社
トルコでの種苗販売、日本向け野菜種子の生産供給事業
アジア
台湾可果美股份有限公司(中華民国)
台湾での飲料・調味料の製造販売事業
可果美(杭州)食品有限公司(中華人民共和国)
中国での野菜・果実飲料の製造販売事業
可果美餐飲管理(無錫)有限公司(中華人民共和国)
中国でのオフィス事業者を対象にした給食事業
可果美(天津)食品製造有限公司(中華人民共和国) ※2013年度より連結対象
中国での業務用トマト・調味料の製造販売事業
可果美紅梅(寧夏)農業有限公司(中華人民共和国) ※2013年度より連結対象
生鮮トマトの栽培販売事業
OSOTSPA KAGOME CO., LTD.(タイ王国)
タイでの、飲料及び食品などの製造販売、タイ近隣国への製品輸出販売事業
Ruchi kagome Foods India Pvt.Ltd.(インド共和国) ※2013年度より連結対象
インドでのトマト加工品の製造・販売事業
オセアニア
Kagome Australia Pty Ltd.(オーストラリア連邦)
農業会社「Kagome Farms Australia」、加工販売会社「Kagome Foods Australia」
を傘下に持つ統括会社
「Kagome Farms Australia」が原料トマトを栽培、「Kagome Foods Australia」社
で加工、トマト加工品を豪州を中心とした食品企業向けに提供
11
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメグループは、日本の農業再生によ
る農地環境の保全を重要課題と考え、農
業生産者の方には営農支援、生活者の方
へはとれたてトマトをストレートパック
したおいしさの価値提案による需要拡大
をセットとして、トマトジュース用原料
の全量国産化に向けた活動をすすめてい
ます。
農業の再生には、その地域環境、規模、
農業形態に対応していく必要がありま
す。
カゴメグループは、農業生産者の方が、
その形態・特性に合わせた、持続可能な
営農ができることを前提とし、品種・栽
培技術・収穫技術の開発と指導及び
ジュース用トマトを取り入れた輪作提案
を実施しています。また商品をお届けす
るうえでの大前提である安心・安全につ
いては、畑から商品の出荷まで、プロセ
ス管理と品質分析による安全性の確認を
行っています。
トマトジュースは、2012年2月の健康に関する報道以降、生活者の方のご支持からご支持
をいただき、ピーク後も報道前の約1.3倍の市場に成長しました。とれたてトマトをスト
レートパックしたおいしさの価値提案として、2013年夏「国産トマトとれたてストレー
ト」を発売。おかげさまで生活者の方のご支持をいただき完売に至りました。
当該商品はこの価値を活かすため国内原料の使用でなければ商品化できません。今後もこ
の価値を追求した商品での需要拡大を目指しトマトジュース原料の全量国産化をすすめて
まいります。
全量国産化の最終目標は、40∼50千tですが、当面の目標として2016年度に、30千t
のトマトジュース用原料確保を設定しています。
安心・安全の取り組みについては、製品品質の確保に掲載しています。
12
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは2010年より"地産全消"活動を開
始しています。これは、旬の時期に収穫
した各地の特産を季節限定商品として商
品に加工し、地域の野菜や果実のおいし
さを日本全国に紹介することで生活者の
方に味わっていただくことに加え、県や
JAと協定を結び、地域と一緒に特産を
盛り上げる活動です。
地域の活動で、特産物の認知を全国に広
げるためには大きなコストがかかりま
す。全国の生活者の方に広く認知いただ
いているカゴメのブランドを活用するこ
とによって、安心・安全な商品を全国の
生活者の方へお届けし、特産のおいしさ
を体感して頂く。その代表商品である野
菜生活季節限定シリーズの2012年度売
上本数は 約9,600万本。2013年度は、
それを上回る生活者の方のご支持をいた
だいています。
これからもカゴメは地域とともに成長す
る企業であり続けられるよう、活動を展
開していきます。
野菜生活季節限定シリーズの変遷
北海道産果実・野菜の魅力を活かした商品開発事例
通販・ギフト・店頭販売 お客様との接点毎に最適な商
品提案
13
カゴメサステナビリティレポート2013
各地行政・自治体等との協定・事業連携
14
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメグループは1998年に、生鮮トマト
の栽培の第一歩を踏み出しました。加工
用のトマトの収穫時期が夏場に集中する
のと異なり、生鮮トマトは年間を通じた
量・価格が安定した供給が必要です。施
設栽培での新しい農業形態の事業化によ
り、トマトの生産地域拡大と地域の安定
した雇用の拡大の一助となることを目指
し、2012年度より黒字化を達成、売上
高は約89億円となりました。高付加価値
商品の高リコピントマトの商品開発とあ
わせ、栽培拠点は全国に広がり、2013
年11月時点で、大型菜園は11ヶ所。こ
こから全国の小売店を通じてお客様に生
鮮トマトをお届けしています。
また、東日本大震災の復興支援として、
この事業のノウハウを活かし、持続可能
な6次産業化を目指す法人様に向けて技
術支援も実施しています。
15
カゴメサステナビリティレポート2013
生産拠点の現状(日本国内)
大型農園が目指す環境にやさしいエコ農園
クリーンエネルギー
CO 2 対策
暖房に、クリーンエネルギー
である液化石油ガスを使用
ボイラーの燃焼時に発生する
CO2を生育のための光合成に
利用(大気を汚さない)
節水
農薬の低減化
ハウスの屋根に貯まった雨水
電解水、隔離培地(ロック
を有効利用
ウール等)により農薬使用を
最小限に
生態系配慮
植物残渣
温室内に和種クロマルハナバ
チを放し、自然受粉促進
除去した茎や葉は微生物で分
解し生ゴミの排出量を削減
栽培資材(リユース)
余剰養液のリサイクル
栽培に用いるロックウールを
余剰養液は、UV殺菌装置で
回収しセメント副資材等の多
用途に利用
殺菌し、再利用
東日本大震災農業復興の取り組みについては、東日本大震災への対応に掲載していま
す。
16
カゴメサステナビリティレポート2013
2011年度以降、カゴメは福島県産加工用トマトを製品に使用しておりませんでしたが、
契約栽培農家の協力も得ながら、試験栽培などの取り組みを続けてまいりました。畑の土
壌から製品に至るまでの一貫した品質保証体制のもと、十分な安全性が確認されたため、
この度「ふくしま産トマトジュース 食塩無添加(濃縮トマト還元)」を2013年11月26
日に新発売致しました。
福島の農業再生に向けた取り組みが実を結んだこの商品は、関係者の皆さんの熱い想いが
込められた商品です。その想いと福島のおいしさを、カゴメは復興を応援する生活者の方
にお届けしています。なお、本製品の売上の一部は、「公益財団法人みちのく未来基金」
※に寄付しています。
この他にも、カゴメは農業復興として「農業の6次産業化支援」、「トマトジュース全量
国産化に向けた被災三県の産地形成」を行っています。さらに、地域再生を担う人材育成
として「将来の農業人育成」、心と体の健康再生として「トマトキッチンカーでの料理教
室、食育レクチャー、トマト劇場 in 東北(食育ミュージカル)」「リジェネレーショ
ン・チャレンジプロジェクト」などのさまざまな活動を続けています。
※ 「みちのく未来基金」とは、カゴメ株式会社、カルビー株式会社、ロート製薬株式会
社の3社が、東日本大震災において被災し両親またはどちらかの親を亡くされた子ども
達の進学を支援するために設立した奨学基金です。
(福島産の加工用トマトについては、本製品のみにて商品化)
17
カゴメサステナビリティレポート2013
東日本大震災以降から福島県産トマトジュース発売まで
2011年度
2011年4月、JA全農福島・カゴメにて、以下の3点を合意実施。
① 2011年度の福島県産加工用トマトを原料にした当社製品は、安全性の確実な担
保が難しいと判断し、栽培休止とする。
② 2012年度以降の契約栽培再開に向け、2011年度は契約農家と一体で、農地の安
全確認に取り組む。
③ 2011年度契約栽培の休止にともなう契約農家への経済支援として、2012年度以
降も契約を継続いただけるよう、買い取り予定額の3分の1相当額を経済支援。
2012年度
福島県産加工用トマトの栽培再開と生産量の増大に向け、全国農業協同組合連合会
福島県本部(JA全農福島)、各農協および契約農家の皆様と、以下3点の取り組み
を実施。
① 福島県とJA全農福島にご協力いただき、福島県内の各地で試験栽培を実施。
② カゴメにおいて、分析体制を整備し、2012年度以降には、加工用トマトを安心
して栽培いただけるよう調査・分析を実施。
福島県、JA福島と協働し、2011年度に各地で加工用トマトに対する放射性物質の
影響について安全確認の調査を実施。
その結果を、6月の世界WPTC(世界加工トマト評議会)や9月の園芸学会で発表及び
データ提供。
2013年度
畑の土壌から製品に至るまでの一貫した品質保証体制のもと、十分な安全性が確認
されたため、福島県の農業生産復興を願い、「ふくしま産トマトジュース食塩無添
加」として11月に「ふくしま産トマトジュース食塩無添加」を新発売。
安全確認の調査は継続して実施。
東日本大震災復興支援については、東日本大震災への対応に掲載しています。
訂正 2014年3月7日
2012年度の取り組みについて、記載内容に誤り※がありましたので、以下の文章を削除
しております。
訂正してお詫びいたします。
「契約農家への経済支援として、2012年度以降も契約を継続していただけるよう、買い
取り予定額の3分の1相当額を経済支援。」
※ 2011年度の取り組みの為
18
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメグループのKagome Australia (豪州)では、先進的なユニリーバ社の持続可能な
農業基準(Unilever Sustainable Agriculture Code)に100%対応しており、持続可能
なサプライヤーとして認められています。
水が豊富な日本の農業とは異なりグローバルでの農業は、灌漑設備により水を供給し、土
地を変えていく栽培方式が主流です。Kagome Australia では、点滴灌漑による効率的な
水、肥料の使用、トマト・小麦・キャノーラの輪作による土壌改善等の設備・技術を導入
し、長期間にわたって栽培が可能な農業をすすめています。
カゴメグループのトマト栽培・加工の中心を担うもう1社のHIT(ポルトガル)も一次産
品におけるグローバルなデファクトスタンダードとして知られるグローバルGAP(Good
Agricultural Practices)に基づいたサステナビリティプログラムを推進しています。
今年度は、カゴメグループ全体の農業指針 KAGOME Sustainable Agriculture
Initiativeの作成に取り組んでいます。
またNext50(中期経営計画)の最終年度にあたる2015年度には、トマトの取り扱い量
(カゴメ生トマト換算)を2012年度の100万tから155万tに拡大する計画としていま
す。
トマトビジネスにおけるカゴメグループの位置づけ
カゴメグループは、1899年の創業以来、トマトの生産にこだわり、2012年現在では世界
11位※の生産量を誇る企業に成長しました。その大きな要因には、自然の摂理を守りな
がら持続可能性を高める農業技術を推進してきたことが挙げられます。
※ 出典:Tomatoland Information Services Tuesday,April02,2013
19
カゴメサステナビリティレポート2013
Kagome Australia (豪州)の 持続可能性を高める農業技術
1.輪作による土壌改善
トマト、小麦、キャノーラを輪作することで、窒素の補てん、連作障害の抑制とともに、
根が深い作物と根が浅い作物を交互に栽培することで、土壌の構造を変え、健康で豊かな
畑を維持します。
2.点滴灌漑
2010年から始まったオーストラリア政
府主導の「効率的な灌漑」の取り組みの
サポートもあり、効率的に水の使用がで
きる点滴灌漑の普及率が100%となりま
した。タブレット型コンピューター等の
IT機器とも連動して管理され、効率的
で、正確な情報の記録も可能となりまし
た。
3.肥料、農薬
食品の安全と持続可能な農業への取り組みの高度化を目指す継続的な改善プログラムの一
部として環境にやさしい肥料を研究しています。2012年より一部の畑では、このような
肥料の使用を開始し、その効果を継続的に調査しています。
農薬の使用については、オーストラリア政府・州の定めた基準に従い、「スプレー・ダイ
アリー」(農薬の使用記録)に記録しています。
4.トレーサビリティの確保
すべてのトマト収穫コンテナにRFIDタグ(無線タグ)を
付け、収穫した畑の場所、収穫量を自動で記録すること
で100%のトレーサビリティを効率的に実現していま
す。
グローバルビジネスでのCSR関連情報は、カゴメグローバル環境マネジメントに掲載
しています。
20
カゴメサステナビリティレポート2013
顧問 ナチュラル・ステップ・ジャパン
高見 幸子
当有識者ご意見は、『カゴメサステナビリティレポート2013』、およびコーポレート・
コミュニケーション本部グローバルサステナビリティ部へのヒアリングを基にして、ナ
チュラル・ステップ※の「持続可能な発展のための戦略フレームワーク」の視点からカゴ
メの活動について評価できること、努力を求めたいことをまとめた。
ビジョンと戦略とアクションプラン
カゴメは、カゴメ株式会社に社名を変えてから2013年でちょうど50年目になるため、カ
ゴメの次なる50年に向けて目指す姿を示した中期経営計画「Next 50」をスタートさせ
ている。そして、サステナビリティとは、持続可能な「人・社会・地球環境の健康長寿に
貢献すること」であると定義し、「Next 50」で サステナビリティをマネジメントポリ
シーに組み込んでいるが、カゴメが企業の基盤をこのように定めていることを高く評価す
る。
環境との関わり
カゴメの製品は食品であることから環境においての重要な課題は、原料生産、つまり農業
にあると考えられる。そのため、土づくりからの栽培指導や生物多様性保全の農業を目指
し、専門家と調査をしていることが評価できる。
しかしながら、アクションプランに落とし込むに際して、カゴメと農業の関わりの観点で
の、製品のライフサイクル分析と最終ゴールの達成目標が打ち出されていない。それゆ
え、幅広く環境問題に取り組み,成功事例もあるにもかかわらず、何がチャレンジで、サ
ステナビリティとどれだけギャップがあり、どこまで進んでいるのかが把握しにくい。全
体像を把握するために、サステナビリティを自然科学的に定義し、最もチャレンジな課題
の長期的な目標の数値と指標を決め,対策に優先順位をつけて取り組む努力を求めたい。
社会との関わり
カゴメは、企業理念に「開かれた企業」を打ち出し、社会との関わりを重要視している。
これを評価したい。カゴメは国内における大きな役割は日本の農業再生への貢献であると
考えており、日本国内トマトジュース用原料の全量国産化、地産全消商品で地域を活性
化、新しい農業形態での生鮮トマト事業を展開している。これらは、地方人口が高齢化
し、グローバルな価格競争に押され衰退する日本の農業が再生するための支援対策とな
り、日本社会が持続可能に発展するためにカゴメが事業で貢献できる優れた対策であると
評価する。
東日本大震災復興支援
評価できるもう一つの対策は、東日本大震災震災復興支援として福島産トマトジュースを
発売したことである。これは、福島原発事故から 2年が経ち放射性物質の影響を確認した
上で商品の安全性が確保できるようになったにもかかわらず、福島産というだけで売れな
く困っている契約栽培農家の現状が背景にある。
しかしながら、人々は見えないものに対して非常に敏感なため、品質保証体制のもと「十
分な安全性が確保された」と言っても、売れないというリスクもあるため勇気ある支援対
策だと思う。
次のステップの対策として、安全性の確保を保証する客観的な認証ラベルを、研究機関や
NGOなどの第三者といっしょに構築することを検討すればどうだろうか。それも福島農
家の復興にとって良い支援対策になると考える。
21
カゴメサステナビリティレポート2013
グローバルなトマトビジネス
カゴメは、 グローバルにトマトビジネスを展開していく上で、世界各地域での持続可能な
農業へ貢献することを目指している。グローバルには、カゴメが食品企業のサプライヤー
として取り組んでいる事例が興味深い。特に、オーストラリアの点滴灌漑の事例は、今
後、グローバルに展開する上で、水の問題は避けられない課題であるため重要な取り組み
だと評価する。
従業員への責任
カゴメは、従業員への責任として、さまざまな対策をしている。その中で、過重労働の防
止の対策として、管理職研修での周知徹底や残業時間管理、パソコンの稼働状況管理など
を実施していることを評価する。また、ワークライフバランスを考えた育児支援対策も評
価できるが、利用者が少ないと思う。社内の価値観を変えることは時間がかかる。長期的
な達成目標値と指標をつくり、根気よく取り組む努力を求めたい。
海外におけるサプライヤー
日本において、どの業界にも言えることだが、原料の多くを海外から輸入していても、主
な市場が国内であると、グローバル企業としての感覚が薄い。日本の消費者もまた、日本
がグローバル化しているという意識が低い。しかしながら、今、否応なしに、グローバル
な経済競争が激しくなっており、全ての生産が賃金の安い国に移っていっている。そのた
め、日本企業と海外サプライヤーは距離が遠くなり、文化の差もあり、そのコントロール
が難しくなってきており、知らぬ間にサプライヤーでスキャンダルが起きブランドを傷つ
けるというケースも起きている。カゴメが今後、さらにグローバル化していく上で、海外
のサプライヤーのコントロールも重要だが、国内の契約農家のように指導と支援をして、
世界各地域での持続可能な農業に貢献し、折々の状況を良い情報も悪い情報も公正に公開
されていくことに期待したい。
※ ナチュラル・ステップ:持続可能性を科学的に定義し、企業や自治体が戦略的にサス
テナビリティに取り組むためのツールを提供し、支援活動をしている国際NGOであ
る。
ナチュラル・ステップ
高見 幸子 プロフィール
1974年よりスウェーデン在住。
15年間、ストックホルムの基礎学校と高校で日本語教師を務め
る。
1984年より野外生活推進協会の「森のムッレ教室」5∼6才児
対象の自然教育リーダーとして活動。
現在、幼児の環境教育を推進する森のムッレ財団理事。
1995年より、スウェーデンへの環境視察のコーデイネートや執
筆活動等を通じ、スウェーデンの環境保護などを日本に紹介し
ている。
1999年より、企業、行政向けの環境教育を実施するスウェーデ
ン発の国際NGOナチュラル・ステップの日本事務所設立に関わ
り、2000年より2012年まで、国際NGOナチュラル・ステッ
プ・ジャパンの代表。現在も、ファシリテーターとして企業・
自治体の環境対策の支援活動中。
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは、「開かれた企業」を目指すとい
う企業理念のもと、「経営の透明性の実
現」「経営責任の明確化」「スピーディー
な意思決定」「経営監視機能の強化」を
コーポレート・ガバナンスに関する基本的
な考え方として据えており、グループ各社
に適用されています。
2013年10月現在、「取締役会」は7名の
取締役で構成され、全社の経営戦略の決定
と業務執行の監督を行っています。
取締役の任期は1年とし、経営責任を明確
化しています。また、執行役員制度を採用
し、取締役は「経営戦略の決定」「業務執
行の監督」、執行役員は「部門業務の執
行」に専念できる体制を整備しています。
同時に、全社の業務執行の審議と情報共有
を目的とした「執行役員会」を設置し、定
期的に会議を開催しています。
またカゴメはリスク管理体制の充実を図る
ため、5つの委員会を設置し、さらにリス
ク管理の統括機関として、総合リスク対策
会議を設置しています。
なお、カゴメは監査役会設置会社であり、
4名の監査役(うち2名は社外監査役)が「取締役会」をはじめとする重要な会議に出席
し、意思決定プロセスやその内容、業務執行の状況をチェックすることで、経営の健全性
と透明性を確保しています。
カゴメは、2006年4月の取締役会において、「内部統制に関する基本方針」を決議し、
「業務の有効性・効率性」「財務報告の信頼性」「法令等の遵守」「資産の保全」の達成
に向け継続的に取り組んでいます。
また、2008年度から施行された金融商品取引法に対応するため、経営企画室内に設置し
た内部監査グループを軸に、グループ企業全体の内部統制の整備と運用を行って参りまし
た。
さらに、新しい中期経営計画である「Next 50」を進める上で、グループガバナンスは不
可欠であり、2013年4月の組織改定において社長直属の内部監査室を設置し一層の強化
を図っています。
なお、2012年度においても財務報告の信頼性に問題がない旨の内部統制報告書をとりま
とめ、EDINET※にて開示しました。
※ EDINET:金融商品取引法にもとづく有価証券報告書などの開示書類に関する電子開示
システム
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは、役員・従業員が相互に個性・能力を認め合い、公正・透明な企業活動に努める
ことを旨とする「開かれた企業」という企業理念を掲げており、グループ各社もこの理念
にもとづいた企業活動を展開しています。
この理念は、カゴメグループの役員・従業員一人ひとりの日々の行動を通じて初めて実現
するものであることから、カゴメでは行動指針となる「カゴメ行動規範」を制定して、グ
ループの全役員・従業員にその遵守を徹底しています。
KAGOMEの行動規範
お客様との関係
私たちは、「自然を、おいしく、楽しく。KAGOME」を実現するため、お客様との
コミュニケーションを大切にし、お客様にとって安全で安心な商品を提供します。
取引先・業界・行政との関係
私たちは、独占禁止法や不正競争防止法、知的財産関連法規等を遵守して公正で透明
な取引を行い、フェアな競争を実施することで業界の発展に寄与します。
株主・投資家との関係
私たちは、企業情報の開示および積極的なIR活動を通じて、株主・投資家の皆様に理
解を深めていただくとともに、持続的な企業価値の向上に努めます。
社会との関係
私たちは、企業市民としての責任と義務を自覚しつつ、社会との共生に努めます。
従業員との関係
私たちは、基本的人権を尊重し、安全で働きやすく、自主活力あふれる社風の実現に
努めます。
地球環境の保全と調和
私たちは、様々な恵みによって人々の健康な生活を支える地球環境に感謝し、地球環
境と調和の取れた企業活動を続けていきます。
国際社会における法令順守
私たちは、国際ルール・現地法令を遵守するとともに現地の文化慣習を尊重します。
カゴメ行動規範(全文)
国内カゴメグループでは、「カゴメグループ コンプライアンス実施規則」を制定し、取締
役を委員長とする「コンプライアンス委員会」のもと、事務局である法務部門が中心と
なってカゴメグループのコンプライアンスの徹底を図っています。
活動としては、コンプライアンスに関連する案件の事前チェック、コンプライアンス関連
情報の発信のほか、新入社員研修をはじめとした集合研修やEラーニングを通じた啓発な
どを継続的に実施しています。
2011年には、急速に普及するソーシャルメディアの利用に関する基本方針とガイドライ
ンを制定し、的確で効果的な利用を図れるようにしました。また、2011年10月には全国
都道府県で暴力団排除条例が制定されたことを受け、社内の体制の見直しと周知を徹底し
ました。これまでにインサイダー取引防止規程の改正に合わせ、インサイダー取引に関す
るEラーニングを実施したり、従業員を対象とした「コンプライアンス意識・実態調査」
を2006年以降継続的に実施しています。さらに2010年は「ハラスメントに関する意識実
態調査」も実施し、これらの調査によって、職場における状況を把握するとともに、従業
員の意識の向上を図っています。
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カゴメサステナビリティレポート2013
国内カゴメグループでは、職場での違法行為やそのおそれがある行為などについての相談
や通報のための制度「カゴメ コンプライアンスホットライン」の社内窓口をコンプライ
アンス委員会事務局に、社外窓口を外部法律事務所内に設置しています。窓口から連絡が
取れることを前提に匿名での通報も可能とするなど、従業員の利用のしやすさにも配慮し
ています。
寄せられた通報については、通報者が不利益を被ることのないようプライバシーの保護を
図るとともに、速やかな調査と適切な措置・対策を講じています。また、措置・対策を講
じた事案については、通報者や関与者が特定できないようにしたうえで、社内で共有化
し、類似事案の再発防止を図っています。2012年度は14件の相談・通報があり解決にあ
たりました。
今後も、この制度を適切に運用していくことで、違法行為の事前抑止、早期発見に努めて
いきます。
急速に普及し、社会に不可欠なものとなっているソーシャルメディアは、高い利便性を持
つとともに、内容によっては本人の意図を離れ、大きな社会的影響を引き起こす力があ
り、利用の際には十分に留意する必要があります。
そこで、的確で効果的な利用を図っていくため、2011年にカゴメグループの従業員にお
けるソーシャルメディア利用の基本方針・ガイドラインを制定しました。
特にガイドラインは、実際の利用場面での留意事項が明確となるよう、①ソーシャルメ
ディアの特性②してはならない書き込みの事例を示し、具体的に注意喚起を図っていま
す。
ソーシャルメディアポリシー
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは、リスク管理体制の充実を図るため、5つの委
員会を設置し、さらにリスク管理の統括機関として、総
合リスク対策会議を設置しています。総合リスク対策会
議は取締役、監査役をメンバーとして、リスク対応方針
や重要リスク対応課題について検討し、迅速な意思決定
を図るための会議です。
コンプライアンス委員会
コンプライアンスの推進のための委員会を設置しています。当委員会の事務局には、コ
ンプライアンスホットラインの窓口を設け、従業員などからの相談や通報を受け付ける
ことにより、社会規範や倫理に反する当社および当社の従業員の行為の未然防止、早期
発見に努めています。
情報セキュリティ委員会
全社において保有する、個人情報をはじめとする重要情報の保護に関する基本方針およ
び適正な管理体制・運用についてのルールの設定と実施状況の監査を行い、適法性の確
保および情報漏洩等の事故防止を図るため、当会を設置しています。
品質保証委員会
品質保証強化を目的に、毎月開催しています。お客様の声への対応、品質事故の発生防
止、法改正への対応、表示の適正化など、当会設置により、社内外の対応の精度向上と
スピードアップが図られています。
研究倫理審査委員会
研究開発段階で行われるヒトを被験者とした効用・安全性の確認試験が、被験者個人の
尊厳や人権を損なわないものであるかどうかを事前に審査するために当会を設置してい
ます。委員会は、研究開発部門以外の社員と社外の医学専門家、弁護士で構成されてお
り、中立的な立場から、研究の目的、方法等の倫理的妥当性および科学的正当性を審査
できる体制となっています。
投資委員会
投資に関するリスクの測定・評価を行うため、投資起案部署から独立した形で当会を設
置しています。
カゴメは、お客様をはじめとするステークホルダーの方々からお預かりした個人情報を適
切に利用し、保護することが、企業としての社会的責任であり、事業活動の基本であると
認識しています。
この認識のもと、「プライバシーポリシー」を制定し、社外への流出防止対策はもとよ
り、外部からの不正アクセスなどによる漏洩対策を徹底し、個人情報の保護に努めていま
す。
プライバシーポリシー
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは、特許権や商標権といった知的財産権を企業価値の向上や競争力の強化に不可欠
なものと位置づけており、自らの事業活動の自由度を損なうことのないよう、その積極的
な取得を推進しています。
また、知的財産権については、他人の権利を尊重するとともに、研究・開発の初期段階か
ら、権利の重複を避けるために、特許権・商標権などの調査を行うことで独自の権利を確
保できる技術・ネーミング等を見きわめ、オリジナリティの高い研究・開発を推進してい
ます。
さらに、新入社員や研究開発本部・商品企画部・営業推進部門などの研究・開発・営業企
画に携わる社員を対象に、知的財産権保護の意識と社員の自己判断力・リスク察知力の向
上を目的とした研修を実施しています。
カゴメでは、天災や不慮の事故の発生時に企業活動を速やかに回復できるよう、防災体制
を構築してきましたが、東日本大震災での甚大な社会インフラ被害により、迅速に機能で
きなった事象を教訓として、災害への対応体制の一層の整備を進めています。
具体的には、全従業員に震災対策知識とカゴメの震災対策をまとめた『カゴメ震災対策ハ
ンドブック』を配布するとともに、安否確認を複線化した手段で実施し、迅速に情報を確
認する「災害掲示板」システムの開発、災害に強いMCA無線の導入による全社連絡体制
の強化などです。
震度6以上またはそれ以下でも影響が大きいと判断される震災が発生した場合は、「災害
対策本部」を速やかに社内設置するとともに、国・自治体とも連絡・調整を図りながら、
被災地支援と企業活動の早期復旧に向けた体制構築にも取り組んでいます。
安否確認システムの運用画面
カゴメの震災対策ハンドブッ
ク
サバイバルカー
ド
カゴメでは、東日本大震災で自らも大きな被害を受けるとともに、お客様の健康な食生活
を支えるライフライン企業として事業継続に向けたマネジメント体制の強化の必要性を痛
感しました。そこで、2009年に流行した『新型インフルエンザ』に対し策定した事業継
続計画をベースに見直しを行い、「カゴメグループ災害対策基本行動計画」の制定と運用
を実施。東日本大震災の経験を踏まえて、海外子会社との連携も含めたBCPの見直しを全
社で進め、事業継続マネジメント(BCM)への取り組みを進めております。
社内報臨時増刊号
「カゴメグループ災害対策基
本行動計画」
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは創業以来、自然の恵みを活かし、体にやさしく、楽しい食の提案に努めてきまし
た。この考えは、お客様とのお約束であるブランド・ステートメントの「自然を、おいし
く、楽しく。KAGOME」という言葉に集約されています。
このお約束を果たすためには、お客様に安心してご利用いただける商品づくりが最も重要
であると考えています。そこでカゴメでは、「品質方針」にもとづき、原料調達、研究・
開発、生産・物流の各工程で品質マネジメントシステム(QMS)を回し、商品の安全性
確保に努めています。
安心・安全への取り組み
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カゴメサステナビリティレポート2013
「よい原料」はよい畑から。カゴメの商品づくりは畑から始まっており、「畑は第一の工
場」と考えて品質管理を行っています。
カゴメでは、国内でのトマトの契約栽培で創業以来培ってきた原料作物への思いと経験
を、海外からの原料調達にも活かしています。
国内での契約栽培(ジュース用トマトの場合)
カゴメの原料調達は、産地の選定から始まります。トマトジュースの原料となるジュース
専用品種のトマトは、選定された産地の優良農家と取引条件を決めてから栽培を依頼し、
収穫分を買い取る「契約栽培」で調達しています。
安全で品質のよいトマトを調達するために、カゴメでは栽培の段階からきめ細かく配慮
し、以下のようなさまざまな取り組みを行っています。
このような取り組みに協力をいただいている生産者(契約農家)のうち、一部の方はPET
ボトルなどのカゴメトマトジュースのパッケージなどでご紹介しています。
畑を巡回しての生育調査
契約農家を対象とした指導会
カゴメの担当者(フィールドマン)が畑を巡回し、トマトの生育状態に合わせ、さまざ
まなアドバイスを実施
畑の土壌を自社で分析し、個々の畑の状態に合わせた肥料設計を指導
農薬の選定・使用方法を農家と事前に決定
収穫前には全農家の「農薬使用記録」を確認し、国の農薬使用基準に違反した原料は一
切購入しないというルールを徹底運用
トマトの農家、集荷所、産地での品質検査の結果を把握できるよう、農家には出荷用コ
ンテナに氏名を記載した「出荷責任票」の添付を要請
各産地の集荷所での品質検査のほかに、工場においても入荷時にトラックごとに抜き取
りで品質検査を実施し、不合格となったトマトは入荷させない仕組みを運用
カゴメでは、長年にわたるこうした取り組みで培った経験や知見をほかの原料の調達にも
応用することで、安心できる安全な「よい原料」の確保に努めています。
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カゴメサステナビリティレポート2013
海外の最適栽培地からの原料調達
カゴメでは、商品の品質の安定と原料の安定調達のために、国内でのトマトの契約栽培で
培った経験や知見を活かし、安全で、野菜や果物本来のおいしさや栄養を持ったさまざま
な原料を世界各地から調達しています。海外からの原料調達においては、原料へのこだわ
りを共有する信頼できる複数のパートナー企業とグローバルネットワークを構築し、中長
期的な取り組みを行っています。
たとえば、パートナー企業と協力して、カゴメの専任の原料調達担当者が各地の畑を訪問
し、栽培指導、使用農薬や農薬散布記録の確認、残留農薬の分析など畑からの管理(源流
管理)を行うとともに、トレーサビリティの確立にも取り組んでいます。
また、社会的に関心が高い中国からの原料調達については、上海に「中国品質保証事務
所」を設けて、カゴメ社員による生産前監査と生産立会いを実施しています。さらに、全
ロット残留農薬分析を行うなど、品質保証を強化しています。
カゴメでは、こうした取り組みによってカゴメの基準を満たす、安全で優良な原料だけを
調達しています。
カゴメの担当者による定期的な現地での監督・指導の様子
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カゴメの担当者による生産時立会い
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは創業以来、自然の恵みを活かし、お客様の健康に役立つ商品を提供することに全
社を挙げて取り組んでいます。そのためには、安心・安全の確保は食品を取り扱う上での
大前提です。カゴメでは、そのためにさまざまな検査や分析・研究を行っています。
2011年以降、安心・安全を語る上で、放射性物質の問題は関心の高い内容となりまし
た。カゴメでは福島第一原子力発電所事故の発生後すぐ、公的機関で工場の使用水の放射
性物質の分析を行い、安全性を確認しました。また、お客様にとっての安全を第一優先と
し、放射性物質の影響が不明である原料は使用しないこととし、福島県での契約を休止し
ました。同時に、当時公的機関からの具体的な補償が何ら決まっていなかった状況を踏ま
え、契約農家の方々への補償を行い、皆さんの協力を得て実態把握の試験栽培と調査を実
施しています。また、食品内の微量な放射性物質を測定できる「ゲルマニウム半導体検出
器」を導入し(2011年5月)、公的機関での分析とも並行して、カゴメ総合研究所にて自社
の原料や水、栽培土壌、商品の検査を開始しました。結果は2011年7月より毎月ホーム
ページにて掲載し、ご関心のある方どなたでもご覧いただけるようにしています。
カゴメの放射性物質に対する取り組み
東日本大震災関連のお知らせ(当社の品質管理体制について)
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメの農薬に対する取り組み
農薬については、毎年、使用する原料を対象に残留農薬を分析し、安全性を確認していま
す。
2006年5月に施行された「残留農薬等のポジティブリスト制度※」では対象農薬が大幅
に増え、残留基準の値も一層厳しくなりました。研究開発部門では、効率よく多成分を一
斉に分析できる方法の研究開発を進め、分析精度のさらなる向上に取り組んでいます。
また、同部はカビ毒や微生物検査についても取り組み、原料の安全性を検証しているほ
か、発売後の商品の品質評価や、工場の品質検査の精度確認なども行っています。
※ 残留農薬等のポジティブリスト制度:基準が設定されていない農薬などが一定量以上
含まれる食品の流通を原則禁止する制度
残留農薬分析(1)
残留農薬分析(2)
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カゴメサステナビリティレポート2013
バイオジェニックスとプロバイオティクスの分野の探究による価値機能の研究
カゴメでは、トマトをはじめとする野菜素材や乳酸菌のさまざまな健康効果の研究によ
り、効果的な摂取の解明にも取り組んでいます。 2012年度から2013年度にかけて、以
下の研究成果の情報発信や学会発表を行いました。
『カゴメ保有の乳酸菌「ラブレ菌」のインフルエンザウィルスに対する防御効果を動物
実験で確認』を日本食品免疫学会第9回学術大会(2013年10月17日∼18日)にて発
表。
カゴメ・ニュージーランドAg Research(アグリサーチ)社との共同研究。
『スルフォラファンに悪酔い軽減が期待できる効果を動物実験で発見』をAlcohol and
Alcoholism誌電子版(2013年7月3日付)に掲載。
カゴメ・米国Johns Hopkins医科大学と共同研究
『ラブレ菌(Lactobacillus brevis KB290)に排便時の"いきみ"や排便時の血圧上昇を抑
制する効果』を第35回日本高血圧学会(2012年9月20日∼22日、ウェスティンナゴヤ
キャッスル[名古屋])で発表。
カゴメ・那須中央病院の共同研究
『運動前又は中間のトマトジュース摂取で疲労軽減が期待』を日本農芸化学会(2012年
3月22日∼26日、京都女子大)で発表。
カゴメ・鈴鹿医療科学大学との共同研究
『トマトが飲酒後の血中アルコール濃度を低下させることをヒトで確認』を第66回日本
栄養・食糧学会大会(宮城:2012年5月18日∼20日)で発表。
カゴメ・アサヒグループの共同研究
これらカゴメの研究成果につきましては、「ニュースリリース(研究)」、「カゴメ研究
開発だより」としてウェブサイト上でご紹介しています。
また、「カゴメ研究開発だより」「もっと知りたいトマトと野菜」「もっと知りたい植物
性乳酸菌」ウェブサイトでも、トマトと野菜と乳酸菌のさまざまな情報を、分かりやすく
ご紹介しています。
カゴメでは、今後も野菜や乳酸菌の持つ多様な機能性の解明を進め、お客様の健康増進に
貢献していきたいと考えています。
カゴメ研究開発だより
もっと知りたいトマトと野菜
もっと知りたい植物性乳酸菌
ニュースリリース(研究)
ラブレ菌
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カゴメサステナビリティレポート2013
自然の恵みを活かすものづくり
カゴメでは、「よい原料」と「よい技術」の最適組み合わせで、自然の恵みを最大限に活
かすことを、ものづくりの基本的な考え方としています。
商品の安全性を確保しつつ、原料素材が持つおいしさと栄養を活かす商品開発に積極的に
取り組んでいます。
素材の価値を最大限に活かす非加熱技術と成分変換技術の活用
原料素材の価値を残す非加熱技術には、トマト本来の真っ赤な色やうまみ成分を損なわな
いよう、余分な熱をかけずに高品質に濃縮することができる「トマトジュース」の
「RO(逆浸透膜)濃縮技術」や、人参の自然な甘みとカロテンを損なわずに搾り、さら
にクセやくさみを抑えることができる「キャロットジュース」の「フレッシュスクイーズ
製法」と「ベジタブル・リファイニング製法」があります。このほか、スチーム(蒸気)
と野菜ジュースを直接接触させて瞬間的に作用させることで、野菜本来の甘みを引き立て
ることができる「スチームスイート製法」などもあります。
一方で、原料素材の潜在的な価値を引き出す成分変換技術には、野菜・果実が本来持って
いる香味を残しつつ、酵素・微生物などの力を活かして新たな風味を引き出す発酵技術
と、その風味を一体化させる熟成技術を組み合わせた「ソース」の「醸熟製法」がありま
す。
このように、原料素材のおいしさと栄養を活かす技術開発を通して、自然の恵みを活かし
た体にやさしいおいしさを実現しています。
遺伝資源を収集し、交配法による有用品種の開発
カゴメでは約7,500種ものトマト種子をはじめとする豊富な遺伝資源を保管・データベー
ス化しています。農業研究部門では、この遺伝資源を最大限に活用し、遺伝子組み換え技
術は用いずに、従来型の交配育種によって「よい原料」となる品種の開発に取り組んでい
ます。
この方法では実用的な品種を開発するのに長い年月を要することもありますが、カゴメで
は、おいしくかつお客様に安心していただける商品を提供するため、トマトの持つ無限の
可能性を引き出す、地道で着実な研究活動を進めています。
また、開発した品種が保有する能力を最大限に発揮させるための栽培適地の選定や、省力
化が可能な栽培技術の確立に取り組むとともに、安心・安全な原料を得るための使用可能
農薬の選定、および必要最小限の農薬使用量で病害虫の発生を抑える栽培技術の確立を進
めています。
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメでは、2003年に設計開発∼調達・生産・物
流・販売にわたり、ISO9001の認証を取得し、全社
を挙げて品質マネジメントの向上に努めています。ま
た、商品の製造にあたっては、HACCP※の手法にも
とづき、以下の品質管理活動を全工場で実施していま
す。
食品の品質を分析して「科学的な根拠で殺菌条件」
を設定
原材料の危害は「新規原材料評価シート」で評価
製造工程の管理と検査基準を「製造管理基準」で制
定
防虫、作業員の衛生(手洗い、消毒など)、衛生区
画を「衛生管理基準」で制定
製造工程ごとの管理や検査の手順を「QC工程表」
で明確にして記録
生産現場での「行動指針」
さらに、「提供する商品の品質は生産の現場がつくる」という考えのもと、生産に従事す
る従業員に、日々品質を第一に考えた行動の徹底を促すため、2005年に生産現場での
「行動指針」を定めました。2008年度からは、この行動指針を目指す活動そのものが現
場の成果となる、品質プロセスを評価する新しいマネジメントを始めており、品質第一の
さらなる徹底を図っています。
※ HACCP:食品材料の入荷から製造・出荷に至る生産工程に対して、予想される微生物
的・化学的・物理的危害を分析し、その結果にもとづき危害防止のための重要管理点
を設定して集中的に管理する衛生管理手法
カゴメの工場では、原材料の入荷時に「受け入れ検査」を実施し、原材料の安全性を確認
しています。さらに、各生産工程や商品出荷前の厳重な品質チェックを行っています。
またカゴメの工場では、商品に貼付したバーコードを読み取り、データベースで管理する
「パレットカードシステム」を導入しています。このシステムによって、商品のトレーサ
ビリティ(履歴管理)が可能となり、商品をいつ生産し、どこにどれだけ出荷したかが即
時に把握できる体制を整えています。
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは、お客様から支持される企業であり続けるために、新たな価値の提供による需要
創造に全社を挙げて取り組んでいます。
この実現のためカゴメでは、長年にわたって培ってきた技術や研究成果を、お客様の健康
に役立つ商品として提供するとともに、お客様とのコミュニケーションを大切にし、お客
様からいただいたさまざまな声を企業活動に反映させています。また、ご意見・ご指摘を
いただいたお客様に対しては対策や対応方針を、また早期に対応できない内容に関しては
その旨を、誠意を持って正確にお応えするよう心がけています。
カゴメでは、専任の「お客様相談センター」を設置し、電話とウェブサイトを通じてお客
様のご質問やお問い合わせに対応しています。
いただいたご質問、お問い合わせは、専用のデータベースに内容をすべて登録し、社内の
関連部門で迅速に共有するようにしています。また、商品に関するご提案については、商
品企画など担当部門に速やかに内容を伝達し、商品開発などに反映させるとともに、社内
掲示板に掲載して全従業員で情報を共有しています。
お客様から寄せられるご意見・ご指摘は、「お客様による商品評価の結果」と捉え、研究
開発・設計・生産・販売に関わる各従業員が、それぞれの立場で改良・改善に努めていま
す。
お客様相談センター
フリーダイヤル 0120-401-831
※年末年始休暇を除く毎日:9時∼17時(土日祝日含む)
お客様相談センター
お客様の声を活かしました!(改善事例)
2010年8月から、お客様相談センターに日々寄せられる声の中から代表的なものを抽出
し、毎日社内SNS(ブログ)で従業員に配信しています。お客様からの生の声が従業員に
伝わることで、従業員の励みや、改善への意欲などにつながっています。
36
カゴメサステナビリティレポート2013
食品の表示は、食品衛生法やJAS法をはじめとした多くの
法律によって規制されています。
表示には、アレルギーや栄養成分などヒトの健康に関与す
る情報や、食品添加物、遺伝子組み換え、栄養成分、原料
原産地などお客様の興味のある項目が含まれています。法
規から逸脱していないことは当然として、当社ではお客様
に誤解を与えないような分かりやすい表示を心がけていま
担当者による表示の読み合わせ
す。
チェック
そのために、商品の開発段階において原材料名やアレル
ギー表示に関する設計書を作成し、配合と表示の食い違いや表示漏れなどが生じないよう
に確認しています。原料の産地や品種などの表示は、調達先から証明書を取り寄せるとと
もに、必要に応じて現地を訪れて、間違いがないことを確認しています。
また、栄養成分に関しては、社内の分析体制を整え、自社分析データをもとに表示を作成
しています。主要商品は、外部の第三者機関に分析を依頼して栄養成分の分析試験書を入
手し、表示が適正であることを検証しています。
これらの根拠資料にもとづき、表示の原稿から最終デザイン段階までの複数の工程で、3
名以上の担当者が全ての新商品や表示変更を伴うリニューアル商品の読み合わせチェック
を行い、表示を確定しています。
また、パッケージデザインは、社内のデータベースに保管し、最新版と過去のデザインを
検索できるようにしています。
QRコードを活用した原料産地情報の提供
食の安全に対するお客様の関心が高まるなか、お客様から商品の原材料について多くの
お問い合わせをいただいています。 カゴメでは、従来から主要商品の原料産地をウェ
ブサイトでお知らせしてきましたが、お客様のアクセスの利便性に配慮して、2008年
1月からお問い合わせを多数いただいた商品のパッケージに、主要原材料やその原産
地、原材料管理の取り組みなどを紹介した携帯サイトにアクセスできるQRコード(二
次元バーコード)を掲載しています。
商品パッケージに掲載したQRコード
37
カゴメサステナビリティレポート2013
高齢者にも読みやすい表示の採用
商品パッケージにはさまざまな文字情報が表示されています。
これらの情報は、商品を選択・購入する上で必要な情報であ
り、その多くが表示を義務付けられています。カゴメではこの
表示に関し、「ユニバーサルデザイン(UD)※」に配慮した書
体の採用を進めています。狭い面積に必要な情報をすべて表示
しようとすると、文字を小さくせざるを得ないこともありま
す。この書体はそのような場合でも、できるだけ読みやすく、
誤読がされにくいよう工夫された書体です。また、特に注意を
いただきたい内容は視認性を高める工夫をしています。
野菜生活100のUD表示
※ ユニバーサル・デザイン(Universal Design):文化・言語・国籍の違い、老若男
女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができる製品・情報の
設計のこと
カゴメは毎年、お客様と自然の恵みへの感謝の気持ちとし
て、トップを含め従業員によるジュース用の生トマトの配
布や試飲を8月に行っています。直接お客様と交流できる
貴重な機会となっています。
社長による店頭での試飲イベント
カゴメでは、「開かれた企業」という企業理念の実現を目
指す取り組みの一環として、トマトの収穫シーズンである夏
季を中心に富士見工場、那須工場、茨城工場で工場見学を
実施しています。地元の小学生をはじめ、広くお客様にカゴ
メの企業活動や環境保全活動について理解を深めていただ
く、貴重な機会となっています。
カゴメ工場 たんけん隊!
工場見学の様子
カゴメは、広告をお客様とカゴメをつなぐ大変重要なコ
ミュニケーション手段と位置づけており、テレビ、新聞、
ウェブサイトを中心に積極的な活動を展開しています。
広告の出稿にあたっては、景品表示法だけでなく薬事法な
どの法令に照らして、誇大な表現や誤りがないかを広告部
門、法務部門、品質保証部門で十分にチェックすることは
もちろん、自社都合ではなく、お客様に商品の持つ価値や
企業としての取り組みを分かりやすく魅力的にお伝えする
ことを常に心がけています。
広告(トマトジュース)
カゴメでは、「開かれた企業」としてお客様をはじめとす
るステークホルダーの方々への情報開示にも取り組んでお
り、1998年からウェブサイトを開設しています。ウェブ
サイトの運営にあたっては、ご利用いただく皆様のご意見
などを参考に利用者にとっての使いやすさ、分かりやすさ
に常に配慮し、商品情報や企業活動に関する有用な情報を
タイムリーに発信しています。
カゴメのものづくりウェブサイト
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カゴメサステナビリティレポート2013
対等で適正・適切な関係の維持
カゴメは、「開かれた企業」として、国内の調達先や現地製造メーカーとの対等で適正・
適切な関係の維持に努めています。
新規に取引を希望される企業からのご提案は、随時、公平に受け付けています。また、取
引にあたっては独占禁止法を遵守するとともに、その精神を尊重して、調達先との不公正
な取引は一切行いません。
カゴメでは、調達先もカゴメ コンプライアンスホットライン」の対象としています。
カゴメ コンプライアンスホットライン
企業理念にもとづく価値観の共有
カゴメでは、カゴメの企業理念にもとづく価値観に共感い
ただき、中長期的なパートナーシップを結んだ信頼できる
調達先の協力を得て、お客様へ価値ある商品をお届けして
います。
長期にお取引いただいている企業を中心に、年に1度の会
合を設け、相互の啓発と認識を深めています。
調達先と意思疎通を図るため、毎年
開催している会合
39
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは、株主や投資家の皆さまにフェア(公平)シンプル(平易)タイムリー(適時)
な情報提供を行うとともに、株主総会やセミナー、事業所モニター見学会などの開催、ア
ンケートの実施といった株主の皆さまとの直接・間接的な対話と交流活動を通じて、その
結果得られるご意見やご要望を企業活動に反映させ、経営監視機能を強化しています。
カゴメでは株主の皆さまを、親しみを込めて「ファン株主」と呼ばせていただいていま
す。より深くカゴメを知り、さらなるご支持をいただくことに加え、いろいろなご意見を
いただけるよう、広いエリアの多くの株主の皆さまと「対話と交流の会」を試行していま
す。
それぞれの「対話と交流の会」の模様はホームページや株主向け小冊子で紹介していま
す。
今後ともカゴメは「お客さま資本」の会社として、これまで以上に株主の皆さまとの対話
と交流活動を活発に展開していきます。
株主総会
カゴメはより多くの株主の皆さまに株主総会に参加してい
ただけるよう1998年から他社の株主総会が集中する日を
避けて、前倒し・単独開催しています。招集ご通知添付の
報告書は2010年から分かりやすいQ&A方式を採用し、
2011年からは回答を写真付きで説明するなど、より興味
深く読んでいただけるように工夫を重ねています。
また東日本大震災以降のカゴメの取り組み状況について、
第69回定時株主総会
ホームページや報告書、株主総会の議長説明や映像、ロ
ビー展示を通してタイムリーな情報開示を行い、株主さま
のご意見を直接いただくことを心がけています。
2013年6月19日開催の第69回定時株主総会は、過去最多の2,044名の株主の皆さまにご
参加いただき、88分にわたる審議を行いました。議決権行使の結果は株主総会参加の株
主分を含め、ウェブサイトにて開示しました。また2009年から採用しているクールビズ
スタイルでの総会について、2012年も宮城県の企業に製造を委託した「カゴメ震災復興
ポロシャツ」をカゴメスタッフが着用し総会を運営しました。このポロシャツの社員の購
入代金の一部は被災地の子供たちの進学支援に活用しています。
健康応援セミナー
株主の皆さまの健康な生活を応援するため、健康応援セミ
ナーを2013年3月に大阪で開催し、約1,000名の株主の皆
さまに参加いただきました。セミナーでは社長あいさつに
続き、研究員が健康長寿に役立つ野菜や植物性乳酸菌の効
用についての講演を行いました。また会場ロビーでは、講
演内容や放射性物質への対応をはじめとした安心・安全な
カゴメのモノづくり、生物多様性への取り組み等について
パネル展示を行い、株主の皆さまと役員・社員が直接に意
見交換を行いました。今後、全国主要都市で順次開催を計
画しています。
40
大阪での健康応援セミナー
カゴメサステナビリティレポート2013
事業所モニター見学会
カゴメの製造現場等を深く知っていただくことを目的に、
事業所モニター見学会を実施しています。2013年7月には
生鮮トマトを栽培しているいわき小名浜菜園、8月は富士
見工場と那須工場とで開催し、株主さまとそのご家族やご
友人54組106名にご参加いただきました。工場内外のト
マト畑では、トマトジュース専用の加工用トマト「凛々
子」の収穫体験を通じてカゴメの原料へのこだわりを実感
いただいたほか、工場ラインでは安心・安全なモノづくり
の現場をご覧いただきました。また、生態系をはじめ環境
も大切にする企業姿勢も体感していただきました。
いわき小名浜菜園
食卓から家族の健康応援!セミナー
食を通してカゴメの提供価値を実感していただくことを目的として、2013年度は「食卓
から家族の健康応援!セミナー」を、9月に仙台、10月に札幌で開催しました。60組
102名の株主さまとそのご家族やご友人にご参加をいただき、トマトの健康効果や秋冬の
新商品とおすすめレシピをご紹介するとともに、株主さまと社員で直接意見交換を行いま
した。
仙台
札幌
カゴメは、多くの株主さまの目でカゴメの企業活動や経営成績についてご評価いただくこ
とが、経営監視機能の強化につながると考え、2001年度から「ファン株主10万名づく
り」に取り組んできました。その結果、当初予定よりも1年半前倒しで2005年9月末に総
株主数が10万名を超え、2013年9月末現在で19万名以上になっています。
今後とも、株主の皆さまからいただいた貴重なご意見・ご要望を企業活動に適切に反映さ
せていきます。
株主の状況
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カゴメサステナビリティレポート2013
配当方針
株主の皆さまへの利益還元は経営上の最重要課題のひとつです。2013年3月期の配当金
は、1株当たり20円でした。この結果、連結配当性向は30.7%でした。カゴメは中期経
営計画「Next 50」の開始年度である2013年度より配当性向40%を目安に、安定的な現
金配当を目指しております。また、内部留保金につきましては、企業価値向上のための成
長投資等に活用し、将来の事業発展を通じて、株主の皆さまに還元させていただきます。
配当金
株主優待
カゴメでは株主優待制度として年2回、3月末権利確定分の株主優待は飲料を中心に、9月
末権利確定分は食品を中心に、カゴメ商品を全国一斉にお届けしています。株主優待制度
は株主還元とは一線を画し、株主の皆さまに商品を通してカゴメをよりよく知っていただ
くことを主旨にしています。そのため、毎回アンケートによって株主さまのご意見・ご要
望を伺い、企業活動に活かしております。
カゴメは企業信用力の評価としてR&I(格付投資情報センター)とJCR(日本格付研究
所)の2社から、以下の信用格付を取得しています。
R&I
JCR
長期格付:A(シングルエーフラット)
長期格付:A(シングルエーフラット)
短期格付:J-1
格付情報
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは、国籍・信条・性別・社会的身分
によって差別することなく、従業員同士が
多様な価値観を認め合い、個々の従業員が
持てる能力を最大限発揮できることが大切
であると考えています。
その一環として、多様な働き方やライフプ
ランを尊重し、「自己都合退職者の再雇用
制度」や「育児短時間勤務制度」などの整
備・拡充を推進しています。
社内イントラネットでは、仕事と家庭のバ
ランスを保ち、活き活きとした生活を送り
たい方を応援することを目的に、出産・育児・介護といった家庭生活に対する、支援策や
手続き方法、情報などを取りまとめた出産・育児期の従業員向けの「仕事と家庭の両立支
援サイト」を開設しています。
また採用においても、社会のグローバル化に合わせ、2011年から従来の春採用(新卒)
に加え、夏採用(新卒/既卒)も取り入れ、候補者一人ひとりの個性や持ち味を活かして
いただく機会を大切にしています。
就職希望の皆様へ(新卒採用情報)
カゴメでは、仕事と家庭の両立支援強化の一環として、自己都合で退職した従業員を再び
受け入れる「自己都合退職者の再雇用制度」を2006年から導入しています。
この制度は、結婚や配偶者の転勤などの事由のほか、他社への転職者も含む自己都合退職
者すべてを対象としており、全国の事業所で人員の需要が発生した際に、事前に登録した
退職者から希望者を募集し、キャリアを考慮し期間契約社員として再雇用する制度です。
2013年9月末現在、65名が登録しており、うち3名を再雇用しています。
カゴメでは、仕事と育児の両立を目指す従業員を支援する
ため、「育児短時間勤務制度」を整備しています。子ども
を持つ従業員は、子どもが小学校3年の年度末まで、1日2
時間を上限に労働時間を短縮することができます。
2012年度は47名、2013年度は9月末までに5名が新たに
この制度を利用しました。
仕事と家庭の両立支援サイト
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメでは、定年退職者の高いスキルや豊富な経験を十分に活用するとともに、退職者に
働きがいを持って勤務してもらうことを目的に、2006年度から「定年退職者の再雇用制
度」の上限年齢を65歳とし、年金を前提としないフルタイム勤務者として再雇用していま
す。再雇用希望者は定年退職者の約6割で、2013年9月末現在、69名を再雇用していま
す。
カゴメの東京本社をはじめ各支店、工場では、多くの障がい者が正社員として勤務してい
ます。
なお、2013年9月末現在のカゴメの障がい者雇用率は、法定雇用率である2.0%を上回る
2.14%でした。
カゴメでは、従業員が活き活きと働ける会社の実現を目的として、全従業員の啓発に加
え、従来からコンプライアンス委員会事務局を窓口に「セクハラ相談窓口」を設けてきま
したが、2007年度にはさらなる相談のしやすさを考慮し、社外窓口も設け環境の充実を
図っています。
44
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメでは、従業員個人の成長が企業の発展につながるとの認識にもとづき、従業員の声
に耳を傾けながら、適材適所で持てる能力を最大限に発揮できる制度の整備や、自主活力
にあふれた社風の創出に取り組んでいます。
その一環として、従業員の自発的な成長を支援する「自主キャリアプラン」を推進してい
ます。
カゴメでは、自らが主体者となり、自らの頭で考えて行動する「自主」
という考え方を尊重しており、従業員一人ひとりの自らが考える「将来
ありたい姿」の実現を支援する各種制度を整えています。
2013年度版カゴ
メ自己啓発ガイド
「将来ありたい姿」の実現を支援する主な制度
自己申告制度(全従業員が対象)
中長期のキャリアプランや能力開発の取り組みを上司・部下間で共有し、人材育成
に活用する制度
キャリア異動希望制度・社内公募制度(希望者のみ)
自分から手を挙げることによって希望する仕事に就けるチャンスを増やす制度
カフェテリア型教育・研修
各従業員のニーズに合った能力開発支援型の教育・研修
カゴメでは、「新入社員研修」「50歳ライフプラン研
修」をはじめとする教育・研修を提供し、従業員の知識獲
得や技能向上を支援しています。
新入社員研修でのトマト収穫体験
全従業員が受講する研修
新入社員研修
新入社員が一定期間各部門で研修し、会社全体の活動を実体験する研修
50歳ライフプラン研修
50代を迎えた全従業員が、その後のライフプラン設計を考える研修
45
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメでは、従業員に対する各種の表彰制度を用意し、従業員のモチベーションの維持・
向上に努めています。
主な従業員表彰制度
永年勤続者表彰(10年、20年、30年)
勤続者に対する表彰制度。入社後10年ごとに表彰
発明表彰制度
業務上有益な発明・改良・工夫・考案を行った従業員に対する表彰制度
特別表彰制度
品行方正・技術優秀・業務に熱心で、かつ他従業員の模範となる従業員や、災害の
未然防止または災害発生時に特に功労のあった従業員に対する表彰制度
46
カゴメサステナビリティレポート2013
企業が競争力を維持し続けるためには、従業員が健全な状態で、安心して活き活きと働け
る職場環境を整備することが重要です。
カゴメでは、経営のパートナーであるカゴメ労働組合と協力し、安全衛生管理体制をはじ
め、過重労働の防止に関する施策として、健康診断やメンタルヘルスケアなどを実施し、
安全で働きやすい職場環境づくりを進めています。
なお、中央労使協議会は年2回、支部労使協議会は各支部、最低四半期に1回行うことを
原則としています。
カゴメでは、通信教育での安全衛生管理に関する知識の習得を、管理職昇進前の資格等級
への昇格要件の一つとするなど、労働安全衛生に対する意識の向上に努めています。
カゴメでは、従業員が生産性を向上させつつ、健康にかつワークライフバランス(仕事と
家庭の調和)を保って働き続けられるよう、管理職研修での周知徹底や残業時間管理、パ
ソコンの稼動状況管理などを実施し、過重労働の防止に努めています。
2008年9月からは、新しい勤怠管理システムを導入し、勤務時間の週次マネジメントを行
い、長時間労働の発生防止に努めています。
カゴメでは、企業が健全であるためには、そこで働く従業員が健全であることが大前提で
あるという考えのもと、全従業員を対象に定期健康診断、定期歯科検診、インフルエンザ
予防接種を毎年実施しているほか、30歳以上の従業員には配偶者も含め人間ドックの受
診を奨励・支援しています。
また国内カゴメグループでは、メンタルヘルスケアにも積極的に取り組んでいます。カウ
ンセリング機関などで悩みやストレスを無料で相談できる制度や、心の状態をセルフ
チェックできる制度を整えています。さらに、社長以下全管理職に「ラインケア研修」の
受講を義務づけ、職場レベルでのメンタルヘルスケアにも積極的に取り組んでいます。
役員以下全管理職が、セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント・メンタルヘルス
に関するE-ラーニングを受講するとともに、評価者研修においてもそれらに関する研修を
継続的に実施しています。
47
カゴメサステナビリティレポート2013
近年、健康志向の高まりや食習慣の多様化とともに、食育の重要性が改めて見直されてい
ます。カゴメは食に携わる企業として、企業活動を通じた皆さまの健康長寿への貢献を目
指し、さまざまな食育支援活動に積極的に取り組んでいます。食に関する情報や楽しい体
験機会の提供などを通して、心身を育む「食の大切さ」、「おいしい」という感動を親し
い人たちと共有する喜び、食物を育て収穫し、味わうことなどの「食の楽しさ」を広く伝
えていきたいと考えています。
食育支援活動
子どもへの食育支援活動
カゴメ劇場(1972年∼)
カゴメ劇場は、1972年以来、未来を担う
子どもたちの健やかな成長を願い、毎年夏
休みに開催している、カゴメオリジナルの
ぬいぐるみミュージカルです。第1部はト
マトと野菜をテーマにした歌とダンス、第
2部は世界の名作劇という構成で上演して
います。これまでご覧いただいた親子は、
カゴメ食育支援活動「カゴメ劇場」
カゴメ食育支援
延べ337万人以上。子どもの頃にカゴメ劇
活動マスコット
場を観劇していて、今度は自分の子どもを
キャラクター
「モグモ」
連れて見に来た、という方も年々増えてき
ました。
第40回(2012年)からは、東日本大震災遺児の進学支援のための奨学基金「公益財団法
人みちのく未来基金」のチャリティとして開催。会場に設置した募金箱への募金に加え、
当日会場で販売するカゴメ商品の収益金を、「公益財団法人みちのく未来基金」へ寄付し
ています。
カゴメトマト劇場(2012∼)
2012年6月より、東北被災地の子どもたちに向けて、カゴメ劇場を出張公演用にコンパ
クト化した「カゴメトマト劇場」も随時開催しています。カゴメが毎春実施しているトマ
トジュース用トマト「凛々子」の苗のプレゼントにご応募いただいた東北3県の小学校、
幼稚園、保育園へ、この「カゴメトマト劇場」をご案内し、お申し込みをいただいた学
校・園へ公演スタッフが順次お伺いしています。子供たちが楽しみながら「食」への興
味・関心を高める食育の機会として、これまでに約90校・園からお申込みいただいてい
ます。
カゴメ食育支援活動「カゴメトマト劇場」
カゴメ劇場
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カゴメサステナビリティレポート2013
先生方への食育支援活動
りりこわくわくプログラム トマトの苗プレゼント(1999年∼)
「凛々子(りりこ)」とは、カゴメのジュース用原料トマトの総称です。この苗を毎年
4∼5月に全国の小学校、幼稚園、保育園に96本または48本ずつ無償で提供しており、ト
マトの栽培を通して、子どもたちに「命への関心」と「感謝する心」が育まれることを
願っています。
2013年度は、全国4,648校・園で栽培していただきました。
また、子どもたちの指導に携わる先生に対して、栽培ガイドブックや教員研修、ウェブサ
イトなどで栽培・食育実践のヒントとなる情報を提供し、「凛々子」の栽培が子どもたち
にとって楽しい食育体験の場となるよう栽培活動のサポートをしています。
研究員による凜々子栽培指導
子どもがつくれるトマト料理の紹介
りりこわくわくプログラム
カゴメは、那須工場、富士見工場、茨城工場で見学を受け入れており、夏季にはトマトの
収穫体験を実施しているところもあります。「よい原料」と「よい技術」を最適な方法に
より組み合わせたカゴメ独自の生野菜加工※や商品の生産工程をご覧いただいています。
また、上野工場内にあるカゴメ記念館では、創業者・蟹江一太郎とカゴメの歴史をご紹介
しています。
※ 生野菜加工は那須工場で夏季のみ見学可能です。
那須工場での工場見学
茨城工場での工場見学
富士見工場での収穫体験
上野工場内のカゴメ記念館見学
カゴメ工場見学のご案内
カゴメ工場 たんけん隊!
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カゴメサステナビリティレポート2013
∼カゴメの成長は社会の成長と共に∼
カゴメグループは、「健全で、元気な日本があってこそ、企業の成長がある」と考えてい
ます。自分たちだけの成長を考えるのでなく、社会の成長に貢献することで、カゴメの企
業価値の向上と持続的成長を確実なものにしていく、という考え方です。
東日本大震災は、東北地方を中心に日本各地に甚大な被害をもたらしました。カゴメグ
ループは、この「カゴメの成長は社会の成長と共に」という考えのもと、被災者の方々や
被災地で復興に携わる方々との「共助の絆」を結び、様々な活動を行っております。
特に①農業復興、②地域再生を担う人材育成、③こころとからだの健康再生、に重点を置
き、東北を中心とした被災地の復興に向けた「再生力」を提供すべく、長く着実に取り組
んでまいります。
1. 農業の6次産業化支援
東日本大震災による津波は、農業にも大きな被害をもたらしました。
農業はカゴメと親和性が高いことから、カゴメは東北の沿岸部において農業振興につなが
る新たな農業法人による事業化を支援しています。
津波被害を受けた宮城県仙台市の沿岸部において、2013年7月に稼働を開始した大規模
施設園芸団地(栽培施設面積2.8ha)の建設プロジェクトに参画し、事業構想づくりの支
援をしてまいりました。
現在、他の大規模プロジェクトにも参画し、支援活動を推進しています。
更に、岩手県、宮城県の沿岸部や内陸部において、行政や地域と共有できる価値である
「契約栽培」という強みを活かしたジュース用トマトの産地化の取り組みも始めており、
トマトジュース原料の全量国産化に貢献すると同時に、農地保全・営農支援といった社会
貢献を目指しています。
2013年度は岩手県、宮城県において新たに4.7haの栽培を行いました。
また、2012年8月に成立した株式会社農林漁業成長産業化支援機構法に基づき設立され
た、株式会社農林漁業成長産業化支援機構へ発起人として出資すると共に人材を派遣して
います。
国内外において農業が成長ビジネスとして注目される中、日本の「農」の発展につなげる
べく、本ファンドを通じて、農業の6次産業化をさらに拡大・高度化する取り組みを支援
してまいります。
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カゴメサステナビリティレポート2013
2. トマトジュース全量国産化に向けた被災三県の産地形成
カゴメはトマトジュース原料の全量国産化を方針に揚げ、産地拡大に取り組んでおります
が、東日本大震災による放射能問題の影響で一時中止を余儀なくされました。
2011年度は福島県での加工用トマト栽培を休止し、福島県・JA全農福島と共同で放射
性物質のジュース用トマト生育への影響について各地の圃場調査を行い、4,000サンプル
を上回る分析により、「セシウムのトマトへの移行率」や「カリウム増肥の効果」など、
世界初とも言える貴重なデータを得ることができ、2012年度には6月のWPTC(世界
加工用トマト評議会)や、9月の園芸学会秋季大会での発表により、国内外に貴重なデー
タの提供を行いました。
2013年度は十分な安全性が確認されたため、11月26日に「ふくしま産トマトジュース」
の発売に至りました。今後も、継続して放射性物質の影響を経年的に調査・分析し、詳細
なデータを蓄積するため、福島県での試験栽培を継続していきます。
また、福島県では、いわき小名浜菜園が、いわき市役所に発足した「見せます!いわき情
報局見せる課」に参加して、2012年のテレビCMを皮切りに農林水産業をはじめとした
震災復興への取り組みや、がんばる市民の姿などを伝え、震災を乗り越えた商品をお届け
する姿勢を紹介しています。
トマトジュース原料の全量国産化は、契約栽培生産者とお客様との絆をつなぐ大切な取り
組みであり、その実現のためにも、品質上の「安全」はもちろん、お客様にとって「安
心」していただけるトマトづくりを目指して、契約栽培生産者のみなさんと共に、粘り強
く、着実に進めてまいります。
プロジェクトに参画し、事業構想づくりを支援しまし
た。
行政と協働による価値形成として、契約栽培という強み
を生かしたトマトの産地化を目指す取組みを進めていま
す。
1. 公益財団法人みちのく未来基金
2011年カゴメは、カルビー(株)・ロート製薬(株)と共に、宮城県仙台市に「みちのく未来
基金」を設立し、震災遺児の進学の夢の支援を開始しました。
東日本大震災によって親を亡くされた子どもたちの高校卒業後の高等教育進学のために、
入学から卒業までに必要な入学金と授業料の全額(年間上限300万円)を返済不要の奨学
金として給付しており、この基金は、震災時の0歳児が大学(院)を卒業するまで四半世
紀にわたり長く続けてまいります。
2013年度は122名の遺児を迎え、「みちのく未来基金」の基金生は、早くも2学年合わ
せて約200名になりましたが、今後も毎年70∼100名ほどが増えていく見込みです。
2014年3月には、早くも夢をもった新社会人が誕生する予定です。
毎年3月に基金生と支援者の方々が一堂に集い、将来の
夢と希望を応援します。1期生の中には、早くも進学先
を卒業して就職する子どもが誕生しました。
進学後のアフターフォローとして「みちカフェ」を開催
しています。奨学金の給付だけでなく、心のケアも重要
な仕事のひとつです。
51
カゴメサステナビリティレポート2013
2. 将来の農業人育成
また、カゴメは、農業そのものの再生支援に加えて、将来の農業人育成に向けた農業高校
へのトマト栽培の授業支援にも取り組んでいます。
2013年度は被災地の農業高校4校などで、トマトの露地・施設栽培、調理、加工及び工
場見学、販売体験などの社会体験授業を提供し、トマトの総合授業を通じて東北復興を担
う未来の農業人の夢を応援しました。
農業専門スタッフによる露地・施設栽培の授業を提供
し、未来の農業人育成を支援しています。
カゴメ那須工場ラインを視察し、食品製造についての理
解を深める社会体験授業を提供しています。
1. 皆で支え合う社会づくり
カゴメは震災当初、被災地への支援として関係省庁や被災地の各自治体の災害対策本部と
連携し、100万本を超える野菜飲料を無償提供するなどの物的な支援を始めました。
震災から時が過ぎるにつれて、人的・物的被害の大きさなど、今後想定される事態の厳し
さが明らかになる中で、「皆で支えあう社会」づくりに貢献すべきと考え、カゴメグルー
プとして税引き後利益の概ね10%に相当する義捐金として、3億円の寄付を日本赤十字社
へ行いました。
加えて、これとは別に、従業員有志による社内義捐募金活動を行い、国内外カゴメグルー
プの役員・従業員とOB有志より2千3百万円の募金を集め、日本赤十字社へ寄付を行いま
した。
更に、2012年度以降には、長年培ったトマトのノウハウを活用した、東北被災地向けの
食育支援活動を開始いたしました。
長い避難生活を余儀なくされている被災地の方々の健康な食生活や、子どもたちの健やか
な成長を応援するため、カゴメ従業員が直接被災地を回って、食育支援活動を続けてまい
ります。
2012年度に続き、2013年度には、福島・宮城・岩手各県の約800箇所の小学校・幼稚
園・保育所などに、トマトジュース用トマト「凛々子」の苗による栽培体験を提供し、ま
た、40年の歴史をもつ「カゴメ劇場」のスタッフで構成した被災地向けの出張公演「カ
ゴメトマト劇場in東北」、トマトと野菜の調理体験の出来る「トマトキッチンカー」、管
理栄養士による「料理教室」など約80箇所において、約10,000人の皆様に、カゴメ食育
の強みを活かした価値ある復興支援活動を行っています。
保育所や幼稚園などを対象に実施し、子どもたちや保護
者・先生たちと、野菜の栄養やトマト栽培に関したミニ
知識などを楽しいミュージカルやダンスを通して勉強し
ます。
仮設住宅や保育所などを対象に「トマトキッチンカー」
が出動し、野菜クッキーやオムライスなどの料理体験
や、被災地の復興祭では地元名産物を使ったメニューに
よる食の集いを提供します。
52
カゴメサステナビリティレポート2013
2. リジェネレーション・チャレンジ・プロジェクト
また、2012年10月、世界屈指のサッカークラブとして多くの社会貢献活動を続けている
「マンチェスター・ユナイテッド・フットボール・クラブ(以下MU)」と、アジア初の
公式飲料スポンサー契約を締結しました。
カゴメとMUは共同で「リジェネレーション・チャレンジ・プロジェクト」をスタートさ
せ、その一環として、東日本大震災の被災地での再生支援に取り組んでまいります。
具体的な活動としては、今後3年間のMUサッカースクール専属コーチ(MUSS)によ
る被災地でのサッカースクールの開催、また、プレシーズンマッチへの招待などです。
2013年春は、岩手県(盛岡)、宮城県(仙台)、福島県(須賀川)で開催し、子どもた
ちはMUサッカースクール(MUSS)の専属コーチによる本場の指導を体験しました。
また、2013年7月には、MUと横浜F・マリノスとのプレシーズンマッチを開催し、サッ
カーが大好きで将来のサッカー選手を夢見る東北の多くの子どもたち(子どもたちと保護
者250組500名)を招待しました。
MUサッカースクール(MUSS)の専属コーチの指導の
もと、東北の子どもたちは元気に楽しく練習に取り組み
ました。
2013年7月には、MUと横浜F・マリノスとのプレシー
ズンマッチに東北の子どもたちを招待しました。
企業市民として「社会と共有できる価値」の実例である「みちのく未来基金」を長期にわ
たり安定的(経済的)に支えていくことは、発起企業であるカゴメの社会的責任であり、
カゴメ従業員一人一人の協力と行動が不可欠となります。
今後20年以上にわたり、進学希望者が増えることから、もっと多くの人たちに「みちの
く未来基金」の存在を知っていただき、長期的に支援寄付を寄せていただくためにも、カ
ゴメ従業員に対する情報共有と教育機会を増幅し、「みちのく未来基金」や東北の農業復
興を始めとした復興支援活動に対する従業員意識を長年にわたり継続してまいります。
震災以降、カゴメグループでは各事業所において、部門独自の復興支援や募金活動を始め
ました。
震災後初期には、事業所の有志が被災地に直接出向いて、陸前高田のガレキ撤去や石巻の
炊き出し応援などの活動を行いました。
毎年3月には全従業員が「みちのく未来基金」のバッジ襟章をつけ、社外の取引先様への
基金告知活動を続けています。
また、全従業員向けの復興支援グッズ売上を始め、工場見学・カゴメ劇場・株主総会・株
主健康セミナー・営業イベント・地域の集いなど、たくさんのお客様と接する機会で「み
ちのく未来基金」の告知や募金活動を展開し、2012年度には約5百万円の募金を集めて
「みちのく未来基金」に寄付を行いました。 更に、「みちのく未来基金」の子どもたち
に対する応援の輪が拡大しており、寄付ご支援をいただける取引先様についても年々増え
ています。
全国約20都市で行われるカゴメ劇場では復興グッズや
飲料のチャリティ販売を行っています。
量販店や地元の高校生が基金に賛同し基金案内や募金活
動を支援していただいています。
53
カゴメサステナビリティレポート2013
人的被害
従業員ならびにその家族に人的な被害はありませんでした。
各拠点の被害状況
たな卸資産も合わせると、物的損害金額は約28億円となりましたが、2011年9月末、各
拠点の機能は100%回復しました。震災直後の被害状況は以下の通りです。
生産拠点の被害
那須工場(栃木県那須塩原市)
自動倉庫が壊滅的な被害を受け、一部製造ラインにも被害があり、震災後しばらく
は全ラインが稼動できない状態となりました。
茨城工場(茨城県小美玉市)
倉庫の資材・製品が落下・破損し、製造設備も多数被害を受けました。
いわき小名浜菜園(福島県いわき市)
3∼4月の3回の地震でトマト温室の300枚以上のガラスが割れ、暖房配管、給液配
管が破損するなど、トマト栽培を断念せざるを得ない区画が発生しました。
営業・研究拠点の被害
東北支店(宮城県仙台市)
3月11日の本震、および4月7日の大きな余震により、事務所内の備品が多数破損
し、事務所の周囲も地盤沈下やひび割れが発生しました。本震後数日間は、従業員
の自宅を含めライフラインが途絶えました。
総合研究所(栃木県那須塩原市)
建物をつなぐ接合部分や外壁が大きく損壊・損傷しました。照明が落下し、窓ガラ
スが割れ、室内備品も多数破損しました。落下による分析機器の被害は甚大でし
た。
物流拠点の被害
仙台物流センター(宮城県仙台市)
冷凍・チルド商品の2つの物流センターとも、津波により壊滅しました。冷凍の物
流センターは別拠点にて機能復旧し、チルドの物流センターは同場所にて機能復旧
しました。
東北共同配送センター(宮城県仙台市)
カゴメ・ミツカン・日清オイリオグループのドライ商品を共同保管している物流セ
ンターであり、津波と火災により機能が停止し、同時に約10万ケースの在庫を失
いました。同場所での機能は停止したままですが、別拠点にて機能復旧しました。
54
カゴメサステナビリティレポート2013
震災後、当面の緊急支援として以下の支援を行いました。
義捐金
日本赤十字社に3億円の寄付を行いました。
従業員による募金
国内外カゴメグループの役員、従業員およびOB有志により23,311,803円の募金を集め
3月31日に日本赤十字社に寄付しました。
支援物資
野菜の栄養を補うため、野菜生活や野菜一日これ一本など、合計111万本の野菜飲料を
提供しました。
55
カゴメサステナビリティレポート2013
[自己評価の基準] 基準年度2009年度(達成年度2012年度)
達成 ほぼ達成 一部達成 未達
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カゴメサステナビリティレポート2013
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメグループの考えるサステナビリティの実働とグローバルなEMSへ転換を目指し、
1999年に制定したカゴメ環境方針を第5期中期環境計画開始の2013年度より、新・環境
方針として制定いたしました。また第5期中期環境計画においては、10年後のカゴメ像を
実現するために、「人・社会・地球環境の健康長寿に貢献すること」を通じて、事業の持
続可能性を戦略的に高めることを目指し、各関連部署との協議を重ね設定いたしました。
今後、この新・環境方針と第5期中期環境計画をもとに、国内外のカゴメグループ環境経
営を推進し、活動を推進してまいります。
第5期中期環境計画
第5期中期環境計画の方向性
従来から継続する環境側面の課題に加えて、サステナビリティへの取り組み課題も盛り込
み、以下の方向性を立案しました。
農産原料のサステナブルな調達: トマトを中核にしたグループ全体での取り組み
水への配慮、原材料の最大活用と3Rの推進、CO2削減
コンプライアンス強化のための法規対応力向上
「Think GREEN KAGOME」の全社員・組織浸透:社内運動論展開
環境マネジメントシステムの高度化:国内の再構築、海外実態把握、グループ体制の構
築
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カゴメサステナビリティレポート2013
第5期中期環境計画
基準年度2012年(達成年度2015年度)
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カゴメサステナビリティレポート2013
60
カゴメサステナビリティレポート2013
環境方針と環境管理制度の運用
国内カゴメグループでは、1999年に制定した環境方針と環境管理制度にもとづき、社長
以下全部門・全事業所の役割を明確化し、環境マネジメントシステム(EMS)の継続的な
改善に努めています。
具体的には、環境方針に沿って3ヵ年度の中期環境計画を定め、その目標の達成に向け年
度ごとの目標を設定しています。各部門・事業所は、年度目標に沿って環境保全活動を推
進し、経営層、各部門長・事業所長が活動実績について定期的にチェック・アンド・レ
ビューすることで、次年度の目標や取り組み方針を設定しています。
中期環境計画
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カゴメサステナビリティレポート2013
環境推進会議
国内カゴメグループでは、各事業所や国内グループ会社の
環境活動実績の確認、環境管理担当者間の情報交換とネッ
トワーク強化を目的に、原則として上期と下期の年2回、
環境推進会議を開催しています。同会議では、各担当者が
自部門・事業所の環境計画と実績を発表するとともに、意
見交換やよりよい活動のための提案を出し合っています。
また、こうした定例会議以外にもテーマごとの会議を随時
開催しています。
環境推進会議
日本政策投資銀行(DBJ)から最高ランクの環境格付を取得
「DBJ環境格付」融資は、DBJが開発した格付システムにより企業の
環境経営度を評点化、優れた企業を選定し、得点に応じて融資条件
を設定するという、世界で初めての融資メニューです。
カゴメは、「環境への配慮に対する取り組みが特に先進的」として
2009年9月に最高ランクの環境格付を取得しました(以下評価内
容)。
放熱設備の断熱改善や主要設備の運転効率化により、工場部門の
エネルギー使用効率を大幅に改善している
モーダルシフト・共同配送に早くから着手し、物流部門のCO2を
大幅に削減している
消費者のCO2削減意識に強く働きかけることを目的とした、商品
へのカーボンフットプリント開示制度研究会に参加した
カゴメが取引する大規模菜園において、トマトの受粉を外来種の
ハチから在来種のハチに切り替えるなど生態系への配慮をいち早
く示した
ISO14001認証取得状況
カゴメは、国内全工場でISO14001の認証を取得し
ています。各工場では、ISO14001に従って外部監
査員による環境監査と、社内監査員による内部監査
を実施し、環境マネジメントシステムの適正な運用
に努めています。
2012年度においては、さらなる運用の向上を目指
し、各工場のISO14001事務局が集まり意見交換を
行う「事務局会議」を導入し、工場間で監査を行う
「内部クロス監査」を小坂井工場にて試行導入いた
しました。
今後もISO14001を有効に運用し、環境マネジメン
トシステムの高度化を図ってまいります。
内部クロス監査(書類確認)
内部クロス監査(現場確認)
62
当社は、平成21年
9月日本政策投資銀
行(DBJ)より環境格
付融資を受け、格
付結果は「環境へ
の配慮に対する取
り組みが特に先進
的」と評価されま
した。
カゴメサステナビリティレポート2013
環境教育
カゴメでは、新入社員を対象とした環境教育を実施しているほか、通信教育のメニューの
なかにも環境をテーマにした科目を用意しています。また、全事業所に対し、ライトダウ
ンキャンペーンやエコドライブキャンペーンへの参加呼びかけ、事業所単位で参加した環
境イベントの社内広報等に、従業員の環境意識の向上と事業所ごとの環境活動の推進を
図っています。また、工場見学に来ていただいたお客様には、見学ルートのなかでカゴメ
の環境への取り組みについてお伝えしています。
さらに2012年度は、内部監査員育成研修や廃棄物コンプライアンス勉強会・現地確認講
習会を行い、環境活動のリーダーとなる人材の育成を図りました。
内部環境監査員育成研修・スキルアップ研修
ISO内部監査員を育成する目的で「内部監査員育成研修」を、既存の内部監査員の監査
スキル向上を目的で「内部監査員スキルアップ研修」を隔年で組み合わせて実施してい
ます。2012年度は「内部監査員育成研修」を行い、新たに内部監査員21名が誕生しま
した。
廃棄物コンプライアンス勉強会・現地確認講習会
2012年度は国内カゴメグループ全事業所(管理部門・営業部門・生産部門・関連会社)
の環境管理責任者(管理職)と環境担当者に対して、廃棄物処理におけるコンプライア
ンス向上を目的とした「廃棄物コンプライアンス勉強会」を地区ごとに行いました。廃
棄物処理法の義務内容、契約書・廃棄物管理票の作成・管理等について解説し、実務に
おいて生じている疑問点等について意見交換を行いました。さらに2012年度より国内
カゴメグループに義務化した「産業廃棄物処理業者に対する年1回の現地確認」に対して
適切な対応ができるよう、カゴメ現地確認フォーマットを用いて、委託している廃棄物
処理業者を実際に訪れ、現場の確認ポイント等について説明しました。
新入社員研修
内部監査員育成研修
廃棄物コンプライアンス勉強会
廃棄物コンプライアンス勉強会・現地確認講習会アンケート結果
63
カゴメサステナビリティレポート2013
法令遵守
2012年度、国内グループ会社である加太菜園における環境関連法や条例の遵守状況につ
いて、外部専門家・カゴメ内関係部署の担当者とともに細かく確認を行いました。結果、
重大な法令違反はありませんでしたが、対応すべき法令とその遵守状況を見える化できた
ことで活動に対する是正点が発見できました。
今後も他の菜園等にこの活動を広げ、さらなるコンプライアンス強化を図ってまいりま
す。
環境会計
環境会計については、環境省「環境会計ガイドライン(2005年版)」を参考に、適切な
取り組みを進められるよう適宜項目を見直しています。カゴメにおいて、2012年度は、
投資、費用合わせて約701百万円を投入しました。
(百万円)
64
カゴメサステナビリティレポート2013
65
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメグループでは、従来から生産工程で取り組んできた地道な省エネルギー活動や、効
率のよい生産工程の検討を強化し、エネルギー使用量や生産量あたりのエネルギー使用量
の削減に努めています。
生産活動には、重油、電力など多くのエネルギーが必要と
なります。
カゴメでは、国内全工場の担当者が参加する会議体を設
け、各工場で取り組んでいるエネルギーの効率活用や省エ
ネルギー活動の実績確認、課題抽出、改善方法の検討を定
期的に行い、エネルギーの効率的な利用に努めています。
2012年度は、省エネパトロール・省エネプロジェクトの
継続実施、茨城工場のチルド棟増設に合わせた太陽光発電 茨城工場の太陽光発電
設備の導入、那須工場のトマト濃縮機更新による蒸気使用
量の削減、節電対策となる照明のLED化の推進等を行い、エネルギー使用の削減に努めま
した。
一方、東日本大震災の影響をうけた生産体制が復旧し、限られた品目の生産から通常の多
品種の生産に回復したこと、設備・ラインの増設による立ち上げ時の試運転が発生したこ
と、エネルギー使用の設備が増加したことなどが悪化要因として生じました。
2012年度の全工場のエネルギー使用量は2011年度比約2.4%増加し855千GJ、生産量あ
たりのエネルギー使用量は約1.0%増加し2.07GJ/tになりました。
2013年度は、従来の省エネ活動に加え、カゴメで最も生産量・エネルギー使用量の多い
那須工場においてLNG燃料転換を予定しており、引き続きエネルギー使用量削減、生産効
率の向上に努めてまいります。
66
カゴメサステナビリティレポート2013
2012年度における国内全工場のCO2排出量は2011年度比約3.0%増加し、42,100tCO2、生産量あたりの排出量は2011年度比約1.9%増加して102kg/klとなりました。こ
れは、前述のエネルギー使用量の増加と同じ理由です。
また、第4期中期環境計画におけるCO2排出量(生産量対比)は基準年(2009年度)3%
削減目標に対し、約5.8%削減いたしました。
「エコキーパー事業所」の認定
2012年12月、カゴメ那須工場は、栃木県から「エコ
キーパー事業所」に認定されました。
本制度は、栃木県が、事業所における自主的な地球温暖
化対策を促進するため、事業活動において地球温暖化対
策に関し優れた取り組みを実施している事業所を、「エ
コキーパー事業所」として認定する制度です(制度創
設:2009年度)。カゴメ那須工場は、本制度の創設時
に3ヵ年の「エコキーパー事業所」として認定を受けて
おり、期間満了にあたり2011年度の環境取り組みを栃
木県に報告したところ、再度最高ランク★★★の評価を
いただき「エコキーパー事業所」に認定されました。引
き続き、省エネ活動の推進と地域の環境改善活動に貢献
して参ります 。
「エコキーパー事業所」の認定証
「エコチャレンジいばらき(事業所部門)取組優秀賞」を受賞
2012年12月、カゴメ茨城工場は、茨城県から「エコ
チャレンジいばらき(事業所部門)取組優秀賞」をいた
だきました。
本制度は、茨城県が、電力需給状況への対応及び事業所
からの二酸化炭素の排出量を削減するため、創意工夫し
て夏季の節電に取り組む茨城県内各事業所を表彰し、事
業所における自主的で継続的な環境保全活動を一層促進
することを目的とされています。カゴメ茨城工場の温室
効果ガス削減の以下の取り組みが評価されました。
「エコチャレンジいばらき(事業所
部門)取組優秀賞」の賞状
(取り組み内容)
水銀灯をすべてLEDへ交換
主要の生産棟の屋根に遮熱塗装を施工
ジュール加熱方式を開発・導入し、調味料生産ラインのエネルギー高効率化を図っ
た
冷凍庫を約30%省エネ型に入れ替え。また、品質の影響を考慮しながら、温度の見
直しを実施
生産計画を見直し、消費電力の大きい工程の稼働日・時間をずらしてピークカットを
図った
ディーゼル発電機を配備し、電力使用ピーク時に使用し、ピークカットを図った
環境委員会を月に1回開催し、報告管理を徹底するとともに、従業員への周知を実施
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメでは、原料農作物をムダなく使用することはもちろん、生産余剰物の削減と再資源
化にも取り組んでいます。生産余剰物のうち、植物性余剰物・汚泥については2001年度
に100%再資源化を達成し、以後その維持に努めています。
また、2005年度に自社6工場でゼロエミッション※を達成し、2006年度からは新しく加
わった工場を含め国内全7工場でゼロエミッションを維持していましたが、2011年度の
東日本大震災の影響が続いたため、2011年度の92%から向上したものの2012年度は
98%となりました。
※ カゴメでは自社基準にもとづき生産余剰物の99%以上を再資源化することをゼロエ
ミッションと定義しています。
2012年度における国内全工場の生産余剰物の排出量は、2011年度比約27%削減して
9,832t、生産量あたりの排出量は2011年度比約28%減少して23.9kg/klとなりました。
また、第4期中期環境計画における生産余剰物量(生産量対比)は基準年(2009年
度)3%削減目標に対し、約19%削減いたしました。
食品リサイクル法では、食品廃棄物等の排
出の抑制と、資源としての有効利用の推進
(再生利用)を食品関連事業者に義務付け
ています。2007年度の改正により業種別
再生利用等の実施率目標( 食品製造業
85% )が設定されています。
カゴメでは、生産余剰物や廃棄商品のリサ
イクルにおいて、生産部門、管理部門、営
業部門等の全社で食品リサイクル率を85%
以上にすることを目標に、分別の強化やリ
サイクル可能な処理業者の選択等を行うこ
とで、食品リサイクル法の定める再資源化を進めています。
報告義務が開始された2008年度より順調に改善していましたが、2011年度の東日本大
震災の影響により一旦目標値を下回りました。しかし、2012年度は活動を強化したこと
で92.6%まで高めることができ、食品リサイクル率85%以上を達成いたしました。
今後も、発生抑制・リサイクル向上の取り組みを進めていきます。
68
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメでは、生産余剰物の再資源化のために工場敷地内にリサイクルセンターを設置して
います。
たとえば、富士見工場では、ドラム缶やプラスチックなどの原料容器や金属くずなどを
19区分63分類に細かく分別し、個別業者の回収まで再資源化の材料として大切にストッ
クしています。また、リサイクルセンターでは、外からよく見えるようにすることで、保
管物の正しい分別・整理を徹底しています。
那須工場のリサイクルセンター
富士見工場での分別の様子
家庭等で排出されるプラスチック製容器包装やPETボトルなどの使用済み商品容器包装
は、自治体が回収したのち、再商品化(リサイクル)事業者によってリサイクルされてい
ます。事業者(容器包装の製造業者、容器包装を利用した商品の製造業者、小売業などの
包装利用事業者)は、「容器包装リサイクル法」の再商品化(リサイクル)義務の履行方
法として、指定法人である財団法人日本容器包装リサイクル協会に委託してその責任を果
たしています。カゴメでは2012年度、その委託費用として168百万円を負担しました。
また新たに2009年より自治体への拠出委託料金の支払いが義務化され、2012年度は12
百万円を支払い、合計179百万円を負担しました。
このほか、カゴメは容器リサイクルを推進するため、プラスチックリサイクル推進協議
会、LL紙パックリサイクル推進研究会、ガラスびんリサイクル促進協議会の活動に参加し
ています。
69
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメの工場では、原料農作物の洗浄や製
品の冷却などで大量の水を使用しているこ
とから、効率的な水利用や再利用などを促
進し、用水使用量の削減に努めています。
2012年度における国内全工場の用水使用
量は、2011年度比約5.3%増加して3,280
千t、生産量あたりの使用量は、2011年度
より増加し3.8t/klとなりました。
また、第4期中期環境計画における用水使
用量(生産量対比)は基準年(2009年
度)3%削減目標に対し、約7.3%悪化しま
した。これは用水の使用量原単位の低い商品の生産終了と新規ラインの立ち上げに伴い、
水の使用効率が悪化したことが主な要因です。
今後も使用方法の再点検や冷却水の再利用などを通じて用水使用量の削減に努めます。
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カゴメサステナビリティレポート2013
国内のすべての工場では、法律で定める基準にもとづいた排水をしています。地域の水質
保全のため、自治体が定める基準がある場合は、その基準にもとづき、工場からの排水を
行っています。
また、カゴメでは、PRTR法の規制対象物質を取り扱っていますが、同法を遵守して適切
に管理しています。同法では、一定量以上の指定されている化学物質の排出・移動があっ
た場合、届出が義務づけられていますが、2012年度は那須工場で届出を行いました。
71
カゴメサステナビリティレポート2013
CO2排出量削減
カゴメは、2006年4月に改正された省エネルギー法により、「特定荷主※」に認定され
ました。
2012年度のカゴメの輸配送におけるCO2排出量は、2011年度に比べて原単位で約3.5%
減少し、排出量は2011年度と同程度の28,400t-CO2となりました。第4期中期環境計画
におけるCO2排出量(販売重量対比)は基準年(2009年度)3%削減目標に対し、約
5.0%削減しました。また、特定荷主には「エネルギー消費原単位を中長期的にみて年平
均1%以上低減する」ことが義務付けられていますが、2008年度から2012年度の5ヶ年
の年平均削減量は1.8%と大幅に削減しています。
2012年度は、効率的な輸送を目指し、アサヒグループホールディングスと物流の効率化
で連携し、既存のカゴメ物流サービスの柏物流センターと多摩川物流センターを閉鎖し、
機能を首都圏センターに統合いたしました。
今後も、大型輸送車の使用比率の拡大、往復輸送の推進による車両台数削減、輸配送距離
の短縮など、従来からの取り組みを強化し、輸配送におけるCO2排出量の削減を進めてい
きます。
※ 特定荷主:事業活動に伴って貨物輸送を委託している量(自家物流を含む)が年間
3,000万トンキロ以上となる事業者
モーダルシフト
カゴメグループでは、製品輸配送時における環境負荷低減の取り組みと
して、鉄道などのより環境負荷の低い輸配送手段に切り替える「モーダ
ルシフト」を継続して推進しています。
これにより、鉄道輸送を積極的に行っている企業として国土交通省が認
定する「エコレールマーク」の認定企業となっています。
72
カゴメサステナビリティレポート2013
共同配送
国内カゴメグループは、ミツカングループ、日清オイリオグループと共同で、3社分の商品
を同一車両に積み込んで配送する共同配送を実施しています。
共同配送の目的は、物流品質の向上と環境配慮であり、2012年度においては、これまで
の8エリアに加えて、共同配送エリアを九州エリアまで拡大いたしました。これにより、
九州エリアの二酸化炭素(CO2)の排出量の9%削減を見込んでいます。
現在、国内面積に占める共同配送稼動エリアの割合は、77%となっています。
戻り便の活用
アサヒビールグループのアサヒロジ株式会社と共同で、荷物を運んだトラックの戻り便を
効率的に活用する取り組みを行い、CO2削減を進めています。
適正な在庫管理による削減
カゴメグループでは、適正な在庫管理を行
うことで、流通からの返品や出荷期限切れ
による商品・原材料の廃棄量の削減に努め
ています。
2012年度の商品・原材料の廃棄量は、
2011年度(震災影響分を除いた数値)に
比べて約36%減少しました。これは、国
内・輸入製品、海外原料の品質不良や需給
要因による廃棄が前年より減少したためで
す。
今後も削減努力を継続します。
73
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメグループでは、本社、支店などのオフィス部門においても、省エネルギー活動や省
資源活動を進めています。
電力使用量削減
国内カゴメグループでは、震災以降も節電
活動に取り組んでいます。従来行っている
クールビズ、ウォームビズに加え、「スー
パークールビズスタイル」ガイドラインを
策定・推奨し、エアコンの設定温度を夏季
は高めに、冬季は低めに設定しています。
また、照明の間引きや小まめなスイッチオ
フ、執務スペースの空調温度の調節、不要
不急の機器の停止、複合機導入による機器
の削減等の施策を実施しています。
2012年度におけるオフィス部門での床面
積あたりの電力使用量は、節電対応を強化した震災後の2011年度に対し約9%増加し、
164kWh/m2となりました。第4期中期環境計画基準年(2009年度)3%以上削減に対
し約10%削減いたしました。
OA用紙使用量削減
国内カゴメグループでは、大型モニター画
面の利用などによる社内会議のペーパーレ
ス化、複合機の導入によるOA用紙使用量
の削減を進めています。
2012年度における1人あたりのOA用紙使
用枚数は、2011年度から微減、4,262枚
となりました。
また、第4期中期環境計画におけるOA用紙
使用量(従業員数対比)は基準年(2009
年度)5%削減目標に対し、約15%削減い
たしました。
社用車の取り組み
国内カゴメグループでは、CO2などの排出量が少ない低公害車の導入を進めています。国
が定める基準を満たす低公害車、ハイブリッド車などの環境配慮型車両の比率は社用車
100%となっています。
また、アイドリングストップや運転技術の向上による燃費の向上、荷物積載量の軽減など
のエコドライブ推進のほか、カーシェアリングなどによる営業車の削減などを推進してい
ます。また、2011年度は安全運転の定着強化を兼ねて、運転データを記録・解析できる
車載器を東京支社で試行導入し、効果確認後、2012年度に全国の事業所に展開し、ほぼ
100%の社用車に導入しました。
74
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメは、トマトをはじめとした野菜・果実など、たくさ
んの自然の恵みを利用して、商品づくりを続けてきまし
た。カゴメは自然の力を活かした商品を提供することで、
世界の人々の健康長寿に貢献したいと願っています。
自然の恵みを育んでくれる農地の生物多様性は、農地や里
山という生態系が守られることで成り立っており、それら
への配慮はカゴメにとって、たいへん重要な課題です。健全
生態系豊かな里山のトマト畑
な作物は、多様な生物が活動する豊かな農地から生まれ、
農地は人間が管理することで健全に保つことができます。
カゴメは今後もこの大切な農地の生態系や生物多様性の保全に取り組んでいきます。
契約栽培による持続的農業の推進
国内の加工用トマト(トマトジュースの原料などに使用)は、契約栽培で生産していま
す。
カゴメの契約栽培とは、契約した農家の皆さんと、栽培を始める前に価格を取り決め、契
約した畑から収穫されるトマト全量を買い上げる栽培方法です。カゴメから種子や苗を提
供し、栽培方法を指導し、安定した収量を確保することで農家の皆さんがトマト栽培を通
じて、経営の安定化を図ることができます。
近年、農家の高齢化が進み、農地の維持が困難になる問題が生じています。これに対し、
機械収穫などの省力化栽培や、収穫しやすい品種(ヘタがトマトに残らない等)の開発を
行い、作業負荷を減らしトマト栽培の継続を支援しています。
農地の生物多様性は、農地が維持・管理されて成り立ちます。トマト栽培を続けること
で、耕作放棄地の抑制、生態系豊かな農地の維持に努めています。
カゴメの担当者と契約農家
トマト収穫作業機
75
カゴメサステナビリティレポート2013
土づくりからの栽培指導と生物多様性保全型の農業
カゴメは安心・安全・環境に配慮した栽培思想のもと、畑の土づくりから指導し、過剰な
化学農薬、化学肥料を使用しない栽培に取組んでいます。
農薬の使用方法へのこだわり
栽培上必要な農薬は使用しますが、生態系を崩さないためのカゴメのこだわりがありま
す。
トマトに使用可能な農薬170成分から、生産性と消費者・生産者・環境に配慮した49成
分に絞った「カゴメ使用農薬自主基準」を設定し使用しています。
毒物に指定された農薬の排除
環境ホルモンの疑いのある農薬の排除
土壌中の生物・微生物、天敵、河川に流れた場合の魚類に悪影響があるとされる農
薬の排除
BT剤(微生物農薬)など、環境への影響が少ないとされている農薬の優先的な使用
カゴメの一斉分析法で分析可能な農薬の優先的な使用
現地担当者が畑を巡回する際、病虫害発生状況を確認し、迅速に診断を行い、適切な農
薬の使用を指導することで、農薬の使用を最小限に抑制しています。
毎年発生した病虫害の状況を総括し、病虫害の予防に力点を置くことで、農薬使用量を
低減しています。
トマト栽培を組み入れた輪作体系により土壌中の微生物相を多様にし、連作障害や病虫
害の発生を抑制しています。
農薬散布履歴の確認や、残留農薬の自社分析(一斉分析による約550農薬の迅速な検
査)で、「カゴメ使用農薬自主基準」が守られているかを確認しています。
肥料の使用方法へのこだわり
有機質肥料である堆肥・緑肥を積極的に使用し、化学肥料使用量を抑制する土づくりを
推奨しています。
作付け予定の畑の土壌を事前にカゴメが分析し、畑の状態に合わせた施肥設計を指導、
その後、トマトの葉や果実を用いた生育診断で、トマトの生育に最適な肥料の使用量を
決定することで、土壌への過剰な肥料の使用を抑制しています。
カゴメの担当者による栽培指導
有機質肥料を多く含む畑の土
76
カゴメサステナビリティレポート2013
遺伝資源の維持と活用
カゴメ総合研究所では、約7,500種類のトマト遺伝資源を保管しています。これは民間企
業では世界有数。いろいろな遺伝的特徴を持ったトマトの種子を収集し、交配を重ねて新
たな有用品種を生み出しています。
種子は一定の温度、湿度で保管していますが、年数が経つと発芽率が落ちるため、順次更
新しています。このようにして、蓄積した貴重な遺伝資源を絶やすことなく維持していま
す。野生種など一部の遺伝資源については公的な研究機関等にも提供しており、ジーンバ
ンク的な役割を果たしています。
収集した遺伝資源の保有形質は再評価し、病害抵抗性品種(農薬使用量が低減)の開発等
に活用しています。
トマトの種子
総合研究所の種子庫
豊富な遺伝資源から生まれた多様な
トマト
外来種のハチの使用を禁止
カゴメは1998年、生鮮トマトの生産・販売事業を開始しました。屋外の加工用トマトと
は違い、風のない温室トマトは受粉にハチを使用します。外来種のセイヨウオオマルハナ
バチが、問題を引き起こす可能性のある特定外来生物の候補に挙がっていることを知り、
2004年5月から、直接管理する全国3ヶ所の大型温室を在来種のクロマルハナバチに切り
替え、以降新設の5つの大型温室は最初からクロマルハナバチを使用しています。当初こ
のハチの量産技術はまだ確立しておらず、トマトの品質や経済性への影響も不透明でした
が、カゴメが開発を後押しし、商品化にこぎつけました。今では日本のトマト栽培全量が
クロマルハナバチで賄えるまでに技術確立されています。
菜園の大型ガラス温室
在来種のクロマルハナバチ
生物のいのちの大切さの教育支援
カゴメは1999年から、毎年、全国の小学校・幼稚園・保育園に、カゴメトマトジュース
用トマト「凛々子(りりこ)」の苗を無償でお届けしています。子供たちの「命への関
心」「感謝する心」を育む学習教材として、年間約4,000校(全国の8校に1校の割合)で
ご活用いただいています。
トマトジュース用トマト「凛々子
(りりこ)」
授業での生育観察
77
カゴメサステナビリティレポート2013
当社の事業と生物多様性の関係性
カゴメは、農地の生物多様性を保全しながら適切に管理していくことが、事業を通じて持
続的に生き物や環境、ひいては人々の健康長寿に貢献するために重要だと考えています。
そこで2011年度に生物多様性と当社事業のバリューチェーン全体との関係性、およびプ
ラス・マイナスの影響を、客観的に把握するために生物多様性の専門家とともに調査しま
した。
その結果、カゴメの事業が生物多様性に対して最も大きいプラスの影響を与えるのは、農
地を適切に維持・管理・拡大することでした。
さらに、2012年度に畑における生物多様性の実態について、農地の生物多様性評価委員
会(代表:東京農工大学星野義延教授)を立ち上げ、カゴメの契約栽培農家の露地栽培ト
マト畑の生物多様性を調査しました。
調査結果概要(調査場所:栃木県2ヶ所の露地栽培トマト畑とその周辺、調査時
期:2012年春・夏・秋)
植物について
トマト畑では、連作すると農地の栄養の偏りが起こりやすいため、翌年には異なる
作物が栽培されるのが一般的です。そうした輪作により、農地の土壌中に眠る種子
がとどまっていること、さらに隣接した農地同士でも栽培種が異なるため、同じ農
地同士、隣接する農地同士で、出現したり、土壌中に眠ったりする植物があること
がわかりました。
動物について
環境省絶滅危惧II類(栃木県では準絶滅危惧種)に指定されている猛禽類のオオタ
カの狩猟行動やヒバリやセッカの生息が周辺で確認され、トマト畑が鳥類において
生息に影響のない環境と考えられました。また、農薬に弱く、他の生物の食物連鎖
に係るため、生き物調査の評価指標とされることが多い、両生類のカエルにおいて
も、2つの畑において3種以上のカエルが確認され、トマト畑の管理がカエルの生
息にほとんど影響のない状態を保っていることがわかりました。昆虫調査では、農
業害虫とされる種の天敵となる益虫としてトンボ類やハチ類などが多く確認されま
した。クモ類については、わらが積まれている畝の間とわらの少ないところでは、
場所によって生息するクモに違いがありました。
ニホンアマガエル
オオカマキリ
クモの調査
78
カゴメサステナビリティレポート2013
関係者からのご意見
植物に関しては、輪作による効果で、埋土種子として他の
畑と交代しながら、草本植物種の補完作用があることが
わかりました。両生類に関しては、水域との距離を問わ
ずトマト畑の中にカエルが生息していることがわかりま
した。昆虫に関しては、農業害虫とされる種の天敵とな
る益虫としてトンボ類やハチ類などの種数も多く、生態
系のバランスが保たれていること、そのため特定の害虫
農地の生物多様性評価委員会
が大発生するようなことは少ないものと考えられます。
東京農工大学農学部非常勤講師
クモ類に関しては、微細な生息適地がわかり、植生管理
永石文明氏
などでうまくコントロールすることができるようになれ
ば、クモ類のような天敵動物の種を増やすことで、害虫防除効果を高め、農薬をさら
に減らすことも可能かもしれません。
今後は、畑地管理において、施肥・除草・害虫管理の情報などを合わせ、輪作による
在来植物種の保全効果を把握することと同時に、害虫の天敵動物であるカエル類やク
モ類の生息環境に配慮した環境を意識的に保全しながら、害虫天敵を利用した「総合
的病害虫・雑草管理(IPM)」を目指す方法により、持続可能な農業システムが構築さ
れることが期待されます。生物多様性の保全に配慮することにより、理想的な農村環
境の創出に寄与することができるのではないでしょうか。
虫を採取して生態系を確認
調査の様子
生物多様性調査発表会
79
カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメグループでは、環境に配慮した商品の研究や開発にも注力し、環境負荷の低い商品
容器・梱包資材への切り替えや、生鮮野菜商品の栽培方法の確立に注力しています。
グリーン電力使用容器の採用
カゴメでは、主要商品の「野菜生活100」ホームパックに使用する紙製容器において、グ
リーン電力※を使用して印刷された容器を採用しています。電力供給量の面などの課題も
ありますが、今後も関係者とともに環境に配慮した取り組みを進めていきます。
※ グリーン電力:風力、太陽光、バイオマス(生物資源)などの自然エネルギーにより
発電された電力のこと。
自然エネルギーによる発電は発電する時にCO2を発生しないと考えられている
グリーン電力使用容器(野菜生活100ホー
ムパック)
環境に配慮した紙製飲料容器の利用拡大
カゴメでは、ギフトセット商品の飲料容器において、第三回エコプロダクツ大賞・エコプ
ロダクツ部門農林水産大臣賞を受賞した、環境配慮型紙製飲料容器の「カートカン」を積
極的に採用しています。このカートカンは国内の間伐材や端材などを30%以上使用してい
るため、「植える→育てる→収穫する」というサイクルがスムーズに循環し、日本の森林
を守り育てることにつながります。さらに森が元気になることで地球温暖化防止に貢献す
るといわれています。
2008年導入以降徐々に拡大し、2012年度においてはギフトセット飲料商品の約15%を
占めるまでになっています。
また、飲用後のリサイクルを進めるため、リサイクル方法をカゴメホームページに掲載し
ています。
カゴメギフト商品(カート缶)
間伐材マーク
カートカンのリサイクル
80
カゴメサステナビリティレポート2013
容器の軽量化
カゴメでは、省資源化の取り組みの一環として、2009年11月から「カゴメトマトジュー
ス」、「野菜生活100」、「野菜一日これ一本」などに使用しているPETボトル
(280g)を従来より約13%軽量化したボトルに変更しています。また、「野菜生活
100」などに使用しているPETボトル(930g)においては、2013年5月より従来より約
5%軽量化したPETボトルに順次変更しました。
生鮮トマトの「こくみトマト(ラウンド、プラム、ミディ)」の容器についても、2009
年9月より硬質のパックから袋に変更し、従来の約5分の1に減量し使用を継続していま
す。
280g軽量PETボ
トル
930g軽量PETボ
トル
生鮮トマトの容器を硬質パックから袋に変更
飲用後の紙容器の分別と減容化の促進支援
飲用後の紙パックを分別し、さらにたたんで減容化してい
ただいたお客様に対し、感謝を表したメッセージ「たたん
でくれてありがとう」を容器に表示しています。
本表示は2008年9月から200mlで開始し、今では
100ml、125mlの容器にも拡大しています。また本取り組
みは他企業へも拡大しています。
感謝を示すメッセージ「たたんでく
れてありがとう」
81
カゴメサステナビリティレポート2013
「たたんでくれてありがとう」に寄せられた声
たたんでみると、パックに「たたんでくれてありが
とう」と書かれていました。私は、とてもうれしく
て、とても温かい気持ちになりました。環境問題に
ついて考えなければならない今、私はパックをたた
んでちゃんと分別するということから始めていきた
いと思います。こんな気持ちにさせてくれてこちら
こそありがとうございます。
娘が「飲んだ後、このパックをたたんでごらん、い
い言葉が出てくるよ。」と言うので、紙パックをた
たむと「たたんでくれてありがとう」という言葉が
出てきて、娘と一緒にちょっとニッコリ。そうです
ね、牛乳パックは洗って切って開いてリサイクルに
出すのに、これはついついストローをさしたままゴ
ミ箱にポイしてしまいますね。 次からは気を付け
て捨てるように心掛けます。
いつものようにたたんでいる次女が「いいえ、こち
らこそ、ごちそうさまでした」と笑っていたので、
声をかけてみると、カゴメの紙パックに「たたんで
くれてありがとう」と書いてあることを得意げに教
えてくれました。私ははじめて知り、カゴメさんの
小さな心づかいが、娘の心を優しくして下さってい
るのだと、嬉しく思いました。
中学校の教員をしています。野菜生活100のパッ
ケージに書かれているメッセージを使って道徳の授
業をします。カゴメの社員の方が、ある高校ですべ
ての紙パックがたたまれて捨てられている光景に感
動したという経験などから、生産者としての責任を
感じて「たたんで捨てる文化」を浸透させたいとい
う想いがあることを知りました。授業の中で紹介し
ながら、より良い社会を作っていこうとする気持ち
を育てるのが授業のねらいです。
82
カゴメサステナビリティレポート2013
トマト調味料の紙製容器の導入
カゴメでは、従来販売しているトマト調味料「カットトマト」「基本のトマトソース」や
新商品「かけるトマト」にて、2013年3月より従来の缶容器から紙容器に順次変更してい
ます。紙は、原料となる木材が再生可能な資源であること、容器製造および輸送における
CO2排出量が缶よりも少ないことにより、環境負荷が低いといわれています。また、廃棄
の際にはたたむことができるので、ごみのカサを減らすことができます。さらにカゴメ
ホームページでは、常温保存が可能で、熱を加えずにパックにそのまま調味料を加えて混
ぜるだけの調理方法を提案していますが、「使用の段階」において、手軽さ・楽しさ・環
境負荷低減を同時に実現することにもなります。
これからもカゴメはトマトの美味しさだけではなく、トマトの新しい価値を創造するため
に紙容器だからこそできるトマト料理の手軽さ、楽しさも一緒にご提案してまいります。
かけるトマト
トマト&バジル
基本のトマトソース
for Cooking
カットトマト
for Cooking
裏面
トマトパックサイト
リサイクルしやすい包装
カゴメは、リサイクルシステムが確立され、高いリサイク
ル率を維持している段ボールを包装材として積極的に採用
しています。ギフトセット商品の一部は、フタの材質を化
粧箱から段ボールに変更し、廃棄時に再度リサイクルして
いただけるよう、箱のたたみ方を側面に表示しています。
また、約17万人(2013年5月現在)にお送りしている株
主優待についても2003年度より化粧箱から段ボールに変
更しています。
ギフトセットの箱のフタ
83
株主優待
カゴメサステナビリティレポート2013
環境負荷を低減した生鮮トマト栽培の実践
カゴメは、安全でおいしい生鮮トマトを1年中安定して市場にお届けするため、大型温室
を使用してトマトを栽培しています。その大型温室では、スラブ(ココ椰子殻やロック
ウール)を培地とした養液栽培を行っています。
また、環境負荷の低減のため、下記のような取り組みを進めています。
エネルギー・CO2削減
菜園では外部気温の影響が大きく、適切な温度を保つため暖房を使用しますが、その熱
源には、環境に優しいLPガスを使用しています。さらに、燃焼時に発生するCO2を回収
してトマトの生育に必要な光合成に有効に使用しています。加えて、外部の石油化学・
精製会社等から発生する副生ガス(余分なガス)を精製してつくられた液化CO2を利用
することにより、光合成を一層促進させてトマト収量増を図っており、その分のLPガス
の使用量を減らしています。
響灘菜園においては、近隣に設置された大規模太陽光発電所より一部電力を受電し、自
然エネルギーを有効に活用しています。
水
資源の有効利用のため、雨水の利用や養液・培地等の循環利用を行っています。
農薬
化学合成農薬の使用を最小限に抑えるため、外部からの虫の侵入防止や毎日の虫の発生
状況モニタリングによる早期対応、害虫の天敵の導入、微生物防除剤、電解水の利用に
よる害虫の駆除等を実践しています。
廃棄物
栽培時に出るトマトの葉や茎を発酵させ、肥料として再資源化しています(いわき小名
浜菜園)。また、その他の菜園においても、栽培時に出る葉や水耕栽培にて使用するス
ラブを堆肥や土壌改良材へと再資源化するよう努めています。
菜園の液化CO2
堆肥施設
暖房はLPガスを使用し、燃焼時に発
生するCO2を回収して光合成に施用
響灘菜園が受電している太陽光発電
所
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カゴメサステナビリティレポート2013
カゴメグループでは、事業所ごとの美化活動や植栽などの活動のほか、環境省や各団体が
行うさまざまな環境保全活動に参画しています。
全事業所のライトダウンへの参加
国内カゴメグループは、環境省が推進するCO2削減運動
「ライトダウンキャンペーン」に賛同し、参加しています。
2012年度も国内カゴメグループ全ての事業所で参加しまし
た。この活動に伴う削減電気量は1,003kWhとなり、CO2
約557kg-CO2※(サッカーボール約55,700個分の体積)
を削減しました。
※ CO2:環境省の定める標準CO2排出係数0.555kgCO2/kWhで算出
ライトダウンの様子
まち美化運動の推進
カゴメグループでは、全社環境保全活動の一環として、事業所周辺の清掃や地域清掃行事
への参加といった「まち美化運動」を継続的に展開しています。
2012年度は国内カゴメグループ内の全国の事業所で合計73回実施しました。また、カゴ
メは全国トマト工業会を代表して、公益社団法人食品容器環境美化協会に参加し、まち美
化活動の推進支援をしています。
海外の事業拠点でも同様に周辺の美化活動を実施しています。
公益社団法人食品容器環境美化協会
社団法人全国トマト工業会
小牧工場周辺の清掃活動
静岡営業所周辺のゴミ拾い
オーストラリアでの環境保全活動
植栽ボランティアへの参加
富士見工場では、工場で使用している井戸水の源流となる入笠山山系の恵みに感謝し、
2005年度から富士見町主催の入笠山植栽ボランティアに参加しています。
また、那須工場と研究開発本部では、日本盆栽協会(那須野ヶ原支部)、塩那森林管理署
と共同で、国立公園特別地域に指定の那須海道沿いの赤松林に赤松の苗を植樹する活動を
実施しました。使用した苗は、生物多様性にも配慮し、現地で育てられた在来の赤松の苗
です。2011年度は200本、2012年度は約500本の苗木を植樹し、活動を拡大していま
す。
入笠山での植栽ボランティア活動
植樹活動に参加した那須工場と研究
開発本部の従業員とその家族
85
カゴメサステナビリティレポート2013
地球にやさしい再生可能エネルギーを活用したソーラービジネスへの参入
カゴメグループのカゴメ不動産は、2012年度に経済産業省
より再生可能エネルギー 固定価格買取制度設備認定を受
け、2013年度より太陽光発電を利用した売電事業に参入す
ることとなりました。本事業では青森県十和田市、山梨県
市川三郷町、福岡県久留米市の3ヶ所の閉鎖工場や配送セン
ターの跡地などを活用して、それぞれ約7,500枚の太陽光パ
ネルを順次設置し、3ヶ所合計で年間6,875MWhの発電を
山梨県市川三郷町での設置状況
計画しています(6,875MWhは、一般家庭の消費電力に換
(2013年10月現在)
算すると、約2000軒分(※)に相当します)。発電した電
力は全て電力会社に売却し、年間で約2.7億円の売電収入を見込んでいます。
その他の太陽光発電を活用した取り組みとしては、自社消費を目的に、各工場にて緊急時
用のための太陽光発電電灯の導入や2011年度に研究開発本部の温室の太陽光発電設備の
導入、2012年度に茨城工場チルド生産ライン施設増設に合わせた太陽光発電の設備の導
入を行っています。
今後も「Think GREEN KAGOME (キーワードは、Re:再生力)」のメッセージ
のもと、自然の「再生力」を活用した再生可能エネルギー(太陽光)の活用を進めてまい
ります。
カゴメは自社の取り組みに加え、環境活動に関して以下の団体に参加しています。
関東農林水産関連企業環境対策協議会
全国清涼飲料工業会
日本缶詰協会
食品容器環境美化協会
プラスチック容器包装リサイクル推進協議会
LL紙パックリサイクル推進研究会
ガラスびんリサイクル促進協議会
経団連環境安全委員会
日経BP環境経営フォーラム
グリーン購入ネットワーク
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カゴメサステナビリティレポート2013
緑字は国際会議の開催など
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カゴメサステナビリティレポート2013
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カゴメサステナビリティレポート2013
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カゴメサステナビリティレポート2013
これまで、カゴメ環境マネジメントは、カゴメ単体から範囲を拡大し、国内関連会社に対
して「国内カゴメグループ」として環境パフォーマンスデータの管理、環境保全の取り組
みを進めてまいりましたが、海外事業法人に対しては、各法人での取り組みとなっており
ました。
事業のグローバル化に伴い、国境を越えたグループ全体での環境保全の取り組みが求めら
れている動向を踏まえ、今後、カゴメグループとしての環境マネジメントの拡大を進めて
いきます。
2012年度においては、カゴメグループの国内外の役員が集まる場において、環境パ
フォーマンスデータの収集を依頼し、統一した指標で環境パフォーマンスデータを管理す
ることといたしました。データ管理初年度であるため、現在は全ての項目を網羅できてい
ませんが、今後、管理対象を広げ、海外関連会社に対しても環境パフォーマンス実態を把
握するとともに、グローバル環境マネジメント・環境保全活動を一層推進すべく取り組ん
でいきます。
海外生産事業所別電力使用量
電力(kWh)
集計範囲
※ 生産部門
※※ 法人全体
参考:カゴメオーストラリアの取り組み
Environmental Management
Water usage
90
カゴメサステナビリティレポート2013
国内飲料事業
国内食品事業
商品情報 飲料トップへ
商品情報 食品トップへ
国内ギフト事業
国内業務用事業
商品情報 ギフト トップへ
業務用商品サイトへ
国内生鮮野菜事業
国内通販事業
商品情報 生鮮トマト トップへ
通販商品サイトへ
91
カゴメサステナビリティレポート2013
台湾可果美股份有限公司(中華民国)
可果美(杭州)食品有限公司(中華人民
共和国)
OSOTSPA KAGOME(タイ王国)
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カゴメサステナビリティレポート2013
創業
1899年(明治32年)
設立
1949年(昭和24年)
本社
愛知県名古屋市中区錦3丁目14番15号
TEL (052)951-3571(代表) FAX (052)968-2510
東京本社
東京都中央区日本橋浜町3丁目21番1号
日本橋浜町Fタワー
TEL (03)5623-8501(代表) FAX (03)5623-2331
国内事業所
事業所一覧
資本金
19,985百万円
従業員数
1,565名(単体) 2,209名(連結)
事業所
本社、東京本社、1支社、10支店、7工場、研究開発本部
事業内容
調味食品、保存食品、飲料、その他の食品の製造・販売、種苗、青果物の
仕入れ・生産・販売
連結子会社
加太菜園株式会社
響灘菜園株式会社
いわき小名浜菜園株式会社
カゴメ不動産株式会社
カゴメ物流サービス株式会社
kagome Inc.
Kagome Foods, Inc.
Vegitalia S.p.A.
Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(HIT)
台湾可果美股份有限公司
可果美(杭州)食品有限公司
可果美餐飲管理(無錫)有限公司
OSOTSPA KAGOME Co., LTD.
Kagome Australia Pty Ltd.
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