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セミナー資料 - 富山県立大学

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セミナー資料 - 富山県立大学
メタマテリアルの基礎・原理と
透明マントの設計
富山県立大学情報システム工学科
落合 友四郎
公立はこだて未来大学複雑系科学科
ホセ ナチェル
目次
1、透明マントの歴史
2、メタマテリアルの基礎
3、メタマテリアルの構成法(伝送線路、SSR)
4、異方性マテリアルによる透明マント
5、等方性マテリアルによる透明マント
透明マント設計の歴史(1)
2006年
異方性媒質を用いた透明マントの提案
(J. B. Pendry et al., Science 312, 1780 (2006))
2006年
マイクロ波領域での透明マントの実験
(D. Schurig et al., Science 314, 977 (2006))
2006年
等方性媒質を用いた透明マントの提案
(U. Leonhardt, Science 312, 1777 (2006))
2008年
負の屈折率を用いた透明マントの提案
(T. Ochiai, U. Leonhardt and J.C. Nacher,
J. Math. Phys. 49, 032903 (2008))
透明マント設計の歴史(2)
2006年
マイクロ波領域での透明マントの実験
(D. Schurig et al., Science 314, 977 (2006))
透明マント設計の歴史(3)
2006年
等方性媒質を用いた透明マントの提案
(U. Leonhardt, Science 312, 1777 (2006))
透明マント設計の歴史(4)
2008年
負の屈折率を用いた透明マントの提案
(T. Ochiai, U. Leonhardt and J.C. Nacher,
J. Math. Phys. 49, 032903 (2008))
左図の中心部の拡大図
透明マントの設計のステップ
透明マントの設計には、以下のような段階を踏むことになるだろう。
第1段階
透明マントにするにはどの場所にどのような誘電率、透磁率をもつ物質
は配置すればよいかを設計する。(そのような誘電率、透磁率をもつ
物質をどのように製造するかは問わない。)
第2段階
第1段階で必要になった誘電率や透磁率を持つ物質(メタマテリアル)
の設計をする。(必要なメタマテリアル群の設計)
第3段階
第1段階、第2段階で得られた設計を基に実際に透明マントを製造する。
メタマテリアルとは何か
1. ある種の幾何学構造をもつ金属の構造体を周期的に
配置する。その構造体が考えている電磁波の波長よ
り小さい時、その周期的構造体群は電磁的に連続媒
質とみなすことができ、メタマテリアルと呼ばれる。
2. このように作られたメタマテリアルは、自然界に存
在する物質では実現不可能であるような性質をもつ。
特に誘電率、透磁率の両方が負になるメタマテリア
ルのことを左手系メタマテリアルという。
メタマテリアルの例
(D. Schurig et al., Science 314, 977 (2006))
(DRS&JBP(final).doc at 20/02/2004 page 1 of 8
December 2003 Physics Today)
物質中のマックスウェル方程式
物質中での電磁波の振る舞いは、物質中のマックスウェル
方程式により記述される。
JG
JG
∂B
rot E = −
∂t
JG
JJG ∂ D
rot H =
∂t
JG
JG
D = ε 0ε E
JG
JJG
B = μ0 μ H
ここで、εは誘電率、μは透磁率
平面波が物質中に侵入すると、
電磁波が平面波とする。
JG
G G
E ∝ exp(iωt − ik ⋅ x)
JJG
G G
H ∝ exp(iωt − ik ⋅ x)
すると、物質中のマックスウェル方程式は以下のようになる。
G JG
JJG
k × E = ωμ0 μ H
G JJG
JG
k × H = −ωε 0ε E
k = ω ε 0εμ0 μ
2
2
Kが実数になるためには、、、
左手系メタマテリアル
y 電磁波が物質中に侵入するには、kが実数でない
といけないので、次の2つの可能性がある。
①
εとμの両方が共に正の値をとる。
(自然界に存在する通常の物質)
②
εとμの両方が共に負の値をとる。
( 左手系メタマテリアル
Left handed metamaterial
Negative Refraction Metamaterial)
誘電率、透磁率と屈折率のダイアグ
ラム
μ
n = εμ ∈ I
Evanescent wave
物質中で波は
減衰していく。
n = εμ < 0
Backward propagation wave
通常とは逆方向に波が
進行する。
左手系メタマテリアル
n = εμ > 0
Forward propagation wave
通常の進行波
ε
n = εμ ∈ I
Evanescent wave
物質中で波は
減衰していく。
左手系メタマテリアルの性質
1、屈折率が負になる。
2、エネルギーの流れと位相速度は逆になる。
(群速度も逆にするメタマテリアルもある。)
3、Snellの法則において、光線の軌道が通常とは逆に
「くの字」に曲がる。
4、等方性媒質ですべての角度で反射をゼロにする境
界を作ることができる。
RHMとLHM
通常のマテリアル
(RHM)
左手系メタマテリアル
(LHM)
k
k
H
S
E
H
S
E
1、εとμの両方が負である媒質では、k(wave vector)とEとHは, 通常
の媒質と異なり、左手系をなす。(左手系メタマテリアル)
JG JG JJG
2、左手系メタマテリアルでは、kとPoynting vector S = E × H は逆向きで
ある。(エネルギーの流れとwave vectorkは逆向きになる。)
負の屈折率(1)
y 左手系メタマテリアルの位相速度
vφ =
ω
k
=
1
ε 0εμ0 μ
=c
2
1
εμ
<0
y 左手系メタマテリアルの屈折率
c
n = = εμ < 0
vφ
(−1) 2 = −1
に注意
左手系メタマテリアルでは屈折率は負になる。
負の屈折率(2)
S2
K2
θ2
−θ 2
θ1
K2
S2
S1
k1
sin θ1
=n
sin θ 2
屈折率が負になると、「くの字」に曲がる。
左手系メタマテリアルの反射の性質
(1)
i. Eが入射面に垂直の時、反射率は以下であたえられる。
ii. Eが入射面に平行の時、反射率は以下であたえられる。
左手系メタマテリアルの反射の性質
(2)
(1) インピーダンスマッチングの場合
(Z=Z’)
等方性媒質の場合、一般的には屈折率が不連続になる境界で
は、すべての角度で反射をゼロにすることができない。
ところが、、、
左手系メタマテリアルの反射の性質
(3)
(2) 垂直入射の時、
(3) 2つの媒質の間の誘電率と透磁率に
の関係がある時、すべての角度で反射がゼロになる。
メタマテリアルの構成法
メタマテリアルの構成法にはさまざまな方法があ
る。代表的なものとして
1、伝送線路理論によるメタマテリアル
2、分割リング共振器によるメタマテリアル
(SSR:Split-Ring Resonator)
伝送線路理論によるメタマテリアル
(Transmission line theory)
y 1、有効誘電率と有効透磁率
y 2、RHM(右手系媒質)を与える周期的伝送線
路
y 3、LHM(左手系媒質)を与える周期的伝送線
路(左手系メタマテリアル)
伝送線路理論によるメタマテリアル
の例
[1] A.K.Iyer , P.C.Kremer , and G.V .Eleftheriades, Opt. Express 11,696 (2003).
[2] Victor Veselago et al., Journal of Computational and Theoretical Nanoscience
Vol.3, 1–30, 2006
より引用
伝送線路理論と有効誘電率と有効透
磁率
Iz
Zz
Ix
Zx
Iz
V
Zz
Zx
Ix
Y
y
x
Z:インピーダンス
Y;アドミッタンス
z
上図のような構造を周期的にもつ伝送線路(transmission line network)を考える。
伝送線路の回路の方程式
前図の回路の方程式は以下で与えられる。
V ( x, z ) − V ( x ++ x, z ) = Z x I x
(1)式
V ( x, z ) − V ( x, z ++ z ) = Z z I z
(Ix(x, z)−Ix(x++x, z))+(Iz (x, z)−Iz (x, z ++z)) =YV(x, z++z)
この方程式を、マックスウェル方程式、有効誘電率と有効透磁率から理解
する。
物質中のマックスウェル方程式
(1)
一方、場の時間依存性を exp(iωt ) とすると物質中のマックス
ウェル方程式は以下のようになる。
JG
JG
rot E = −iω B
JJG
JG
rot H = iω D
JG
JG
D = ε (ω ) E
JG
JJG
B = μ (ω ) H
物質中のマックスウェル方程式
(2)
前式で電場がy軸に平行で、すべての場がy方向の依
存性がないとすると、以下のようになる。
∂E y
∂x
∂E y
∂z
= − jωμ (ω ) H z
= jωμ (ω ) H x
∂H x
∂H z
−
= jω ε (ω ) E
∂z
∂x
y
物質中のマックスウェル方程式
(3)
前式を離散化をすると、以下のようになる。
E y ( x + + x , z ) − E y ( x , z ) = − jω μ (ω ) H z ( x , z ) Δ x
E y ( x , z + + z ) − E y ( x , z ) = jωμ (ω ) H x ( x , z )+ z
(2)式
( H x ( x, z + Δz ) − H x ( x, z ))+ x − ( H z ( x ++ x, z ) − H z ( x, z ))+ z
= jωε (ω ) E y ( x, y )+ x+ z
物質中のマックスウェル方程式
(4)
ここで、電流と電圧を導入する。
+y
Vy ( x, z ) = − ∫ E y ( x, z )dy =E y ( x, z )+ y
0
Iz =
Ix =
?∫
G G
H ⋅ ds = − H x + x
?∫
G G
H ⋅ ds = H z + z
Cz
Cx
(3)式
物質中のマックスウェル方程式
(5)
(3)式を(2)式に代入すると、
V ( x, z ) − V ( x ++ x, z ) = Z x I x
V ( x, z ) − V ( x, z ++ z ) = Z z I z
前に出てきた
(1)式と同じ!
(Ix(x, z)−Ix(x++x, z))+(Iz (x, z)−Iz (x, z++z)) =YV(x, z ++z)
ここで、
+ x+ y
Z x = iωμ (ω )
+z
+ y+ z
Z z = iωμ (ω )
+x
+ x+ z
Y = iωε (ω )
+y
有効誘電率と有効透磁率
2次元の等方性の媒質で、セルを立方体すると、
Z = Zx = Zz
d =+ x =+ y =+ z
なので、
TMLモデルのインピーダンスとアドミッタンス
と有効誘電率と有効透磁率は以下の通りになる。
Z (ω )
μ (ω ) =
iω d
Y (ω )
ε (ω ) =
iω d
RHM(右手系媒質)となる伝送線
路(1)
下図のような構造を周期的にもつ伝送線路(transmission line network)を考える。
L:コイル
L:コイル
L:コイル
L:コイル
C:コンデンサー
この周期的伝送線路はRHM(右手系媒質)を与える。
RHM(右手系媒質)となる伝送線
路(2)
Iz
Zz
L:コイル
Ix
Zx
L:コイル
Iz
V
L:コイル
Zz
L:コイル
Ix
Zx
C:コンデンサー
Y
y
x
z
RHM(右手系媒質)となる伝送線
路(3)
y インピーダンス
Z
x
= Z
z
y アドミッタンス
Y =Z
−1
Z x と Z z (コイルの場合)
= iω L
Y (コンデンサーの場合)
= iω C
RHM(右手系媒質)となる伝送線
路(4)
y Zがコイル、Yがコンデンサーの場合は
L
μ (ω ) =
d
C
ε (ω ) =
d
この場合、有効誘電率と有効透磁率ともに正の値
をとり、RHM(右手系媒質)となる.
この場合はあまりおもしろくないが、コイルとコ
ンデンサーの役割を入れ替えてみると、、、
双対系
y RHM(右手系媒質)となる伝送線路で、コイル
とコンデンサーの役割を入れ替えると、LHM
(左手系媒質)となる.
Z:コイル
Y:コンデンサー
Z:コンデンサー
Y:コイル
RHM(右手系媒質)
LHM(左手系媒質)
LHM(左手系媒質)となる伝送線
路(1)
今度は、下図のような構造を周期的にもつ伝送線路(transmission line network)
を考える。(双対系:Dual consruction)
C:コンデンサー
C:コンデンサー
C:コンデンサー
C:コンデンサー
L:コイル
この周期的伝送線路はLHM(左手系媒質)を与える。
LHM(左手系媒質)となる伝送線
路(2)
Iz
Zz
C:コンデンサー
Ix
Zx
C:コンデンサー
Iz
V
C:コンデンサー
Zz
C:コンデンサー
Ix
Zx
L:コイル
Y
y
x
z
LHM(左手系媒質)となる伝送線
路(3)
y インピーダンス
Z x と Z z (コンデンサーの場
合)
Z
x
= Z
z
=
y アドミッタンス
Y =Z
−1
=
1
iω C
Y (コイルの場合)
1
iω L
LHM(左手系媒質)となる伝送線
路(4)
Zがコンデンサー、Yがコイルの場合は
1
μ (ω ) = − 2
ω Cd
1
ε (ω ) = − 2
ω Ld
となる。
この場合、誘電率も透磁率も負の値をとる。
(左手系メタマテリアル)
伝送線路によるメタマテリアルの位
相速度と群速度(2)
(1)式より、
∂ 2V
∂ 2V
+
2
2
∂x
∂z
= ZYV
G G
V ∝ exp(ik ⋅ x) とすると
k = ±
− ZY
位相速度と群速度(RHM(右手系
媒質) )
Zがコイル、Yがコンデンサーの場合は
k =
− ZY
vφ =
v
g
ω
k
dω
=
dk
= ω
LC
1
LC
=
=
1
LC
= vφ
位相速度と群速度(LHM(左手系
媒質) )
一方、Zがコンデンサー、Yがコイルの場合は
k = −
vφ =
v
g
ω
k
1
− ZY = −
ω LC
= −ω
dω
=
dk
=
2
LC
負の値
LC
正の値
1
k
2
位相速度と群速度(2)
ω
ω
vg
vg
vφ
k
vφ
RHM(右手系媒質)
LHM(左手系媒質)
位相速度と群速度は同方向
位相速度と群速度は逆方向
k
分割リング共振器によるメタマテリ
アル(SSR:Split-Ring Resonator)
y 同心円の2つの金属リングから構成されている。
y リングの部分が、コイルのリアクタンスの役割をす
る。
y 2つのリングの間隔の部分はコンデンサーの役割を
果たす。
y LC共振回路とみなすと、共振周波数のところで
有効透磁率は大きく変化する。
SSR
DRS&JBP(final).doc at 20/02/2004 page 1 of 8
December 2003 Physics Today
[1] R.A.Shelby et al.,Appl. Phys. Lett. 78, 489 (2001).c 2001, American Institute of Physics.
[2] Victor Veselago et al., Journal of Computational and Theoretical Nanoscience
Vol.3, 1–30, 2006
より引用
SSRの有効透磁率
y 2重リングSSRの有効透磁率は以下で与えられ
る。
μ (ω ) = 1 −
y すると、 ω0 m
Fω
2
ω 2 − ω02m + iωΓ
<ω <
ω0 m
1− F
μ (ω ) < 0
= ω pm
の時、
異方性媒質を用いた透明マント
y 透明マントを設計するために、数学的な仮想的空
間と実際に透明マントが存在する物理的空間の2
つを用意する。
物理的空間
数学的空間
(仮想的な空間)
物質の存在しない曲った
空間(真空)
空間が曲がっているため
に光が曲がる(重力効
果)
重要なパラメーター:
計量テンソル
g ij
対応関係
物質が存在して、誘電率、
透磁率が変化する
異方性媒質の空間
異方性媒質で誘電率、透
磁率が変化するために光
が曲がる
重要なパラメーター:
誘電率、透磁率テンソル
ij
ij
ε ,μ
物質中のマックスウェル方程式
(物理的空間)
物質中のマックスウェル方程式は以下で与えられる。
JG
∇⋅D = ρ
JG
∇⋅B = 0
JG
JG
∂B
∇×E = −
∂t
JG
JG
D = ε 0ε E
JG
JJG ∂ D
∇×H =
+j
∂t
JG
JJG
B = μ0 μ H
ここで、εは誘電率、μは透磁率で、異方性媒質
の場合、テンソルとなる。
一般座標空間におけるマックスウェ
ル方程式
一般座標系で物質中のマックスウェル方程式を書きなおすと、次のようになる。
JG
∇⋅D = ρ
JG
∇⋅B = 0
JG
JG
∂B
∇×E = −
∂t
JG
JJG ∂ D
∇×H =
+j
∂t
JG
JG
D = ε 0ε E
JG
JJG
B = μ0 μ H
∂i
(
γ D
∂i
(
γ Bi
i
)=
gρ →
)= 0
[i j k ] ∂ j E k = −
[i j k ] ∂
j
H
k
γ ρ
=
∂
(
∂
(
γ Bi
)
∂t
γ D
∂t
i
)+
(4)
γ ji
D i = ε 0ε ij E j
B i = μ0 μ ij H j
真空中のマックスウェル方程式
(数学的空間)
一方、真空中のマックスウェル方程式は以下で与えられる。
JG ρ
∇⋅E =
JG
∇⋅B = 0
JG
JG
∂B
∇×E = −
∂t
JG
JG
∂E
∇ × B = ε 0 μ0
+ μ0 j
∂t
ε0
一般座標空間におけるマックスウェ
ル方程式
一般座標系で真空中のマックスウェル方程式を書きなおすと、次のようになる。
JG ρ
∇⋅E =
1
∂i
g
ε0
JG
∇⋅B = 0
JG
JG
∂B
∇×E = −
∂t
JG
JG
∂E
∇ × B = ε 0 μ0
+ μ0 j
∂t
∂i
(
[i j k ] ∂
[i j k ] ∂
j
(
gE
gB
j
i
i
)= 0
Ek = −
Bk = ε 0μ0
)
ρ
ε0
=
∂
(
∂
(
gB
i
)
∂t
gE
∂t
i
)+ μ
0
g ji
物理的空間と数学的空間の関係
(1)
前式の一般座標系で真空中のマックスウェル方
i
i
B
→
μ
H
程式で、
と変数を書きなおして、あらた
0
めて次のような変数を定義する。
B i = μ0 μ ij H j
D = ε 0ε E j
i
ij
ε =μ =
ij
ij
g
γ
g
ij
物理的空間と数学的空間の関係
(2)
すると、次のような方程式群が成立することがわ
かる。
∂i
(
γ D
∂i
(
γ Bi
[i j k ] ∂
j
i
)=
k
=
γ ρ
)= 0
Ek = −
[i j k ] ∂ j H
gρ →
∂
(
∂
(
γ Bi
この方程式群は
(4)式と同じ
)
∂t
γ D
∂t
i
)+
γ ji
計量テンソルと誘電率、透磁率の関
係
よって、曲った空間中における光が曲がることを、
物質中で誘電率、透磁率が変化することにより光
が曲がることと同一視することができる。
ε =μ =
ij
誘電率、透磁率が変化する
物質空間中で光が曲がる
ij
g
γ
g
ij
曲った真空空間中で光が曲
がる
異方性媒質における透明マントの設
計
次に計量テンソルと誘電率と透磁率の関係を用い
て、
(1)柱状の透明マント(異方性媒質)
(2)球状の透明マント(異方性媒質)
の設計をする。
柱形状の透明マント(1)
柱形状の透明マントを数学空間上で次のように中
心を膨らませることにより設計する。
b−a
r′ =
r+a
b
θ′=θ
z′ = z
x = r cos θ
y = r sin θ
z = z′
中心を膨らませると、、
y
y′
b
b
a
b
x
a
b x′
Mathematical space
( x, y, z )
(r ,θ , z )
ds 2 = dx 2 + dy 2 + dz 2
柱形状の透明マント
Physical space
ds 2 = dx ′ 2 + dy ′ 2 + dz ′ 2
( x ′, y ′, z ′ )
( r ′, θ ′, z ′ )
( x ′, y ′, z ′ )
( r ′, θ ′, z ′ )
ds 2 = dx 2 + dy 2 + dz 2
= g 11 dr ′ 2 + g 22 d θ ′ 2 + g 33 dz ′ 2
= γ 11 dr ′ 2 + γ 22 d θ ′ 2 + γ 33 dz ′ 2
柱形状の透明マント(2)
y 柱形状の透明マントは以下のような誘電率、透字
率を与えることにより設計できる。
ε11 = ε r =
r′ − a
r′
μ11 = μr =
r′
ε = εθ =
r′ − a
r′ − a
r′
r′
μ = μθ =
r′ − a
2
2
2
2
2
⎛ b ⎞ r′ − a
3
ε3 = ε z = ⎜
⎟
−
b
a
⎝
⎠ r′
2
⎛ b ⎞ r′ − a
3
μ3 = μ z = ⎜
⎟
−
b
a
⎝
⎠ r′
球形状の透明マント(1)
y 球形状の透明マントを数学空間上で次のように中
心を膨らませることにより設計する。
b−a
r′ =
r+a
b
y = r sin θ sin φ
θ′=θ
z = r cos θ
φ′ = φ
x = r sin θ cos φ
Mathematical space
( x, y, z )
(r ,θ ,φ )
ds 2 = dx 2 + dy 2 + dz 2
球形状の透明マント
Physical space
ds 2 = dx ′ 2 + dy ′ 2 + dz ′ 2
( x ′, y ′, z ′ )
( r ′, θ ′, φ ′ )
( x ′, y ′, z ′ )
( r ′, θ ′, φ ′ )
ds 2 = dx 2 + dy 2 + dz 2
= g 11 dr ′ 2 + g 22 d θ ′ 2 + g 33 d φ ′ 2
= γ 11 dr ′ 2 + γ 22 d θ ′ 2 + γ 33 d φ ′ 2
球状の透明マント(2)
柱形状の透明マントは以下のような誘電率、透字
率を与えることにより設計できる。
b ⎛ r′ − a ⎞
1
ε1 = ε r =
⎜
⎟
b − a ⎝ r′ ⎠
2
b ⎛ r′ − a ⎞
1
μ1 = μr =
⎜
⎟
b − a ⎝ r′ ⎠
b
ε = εθ =
b−a
b
μ = μθ =
b−a
b
ε = εφ =
b−a
b
μ = μφ =
b−a
2
2
3
3
2
2
3
3
2
透明マントの実験(1)
2006年にマイクロ波領域でおこなわれた柱状透
明マントの実験を紹介する。
(D. Schurig et al., Science 314, 977 (2006))
ε11 = ε r =
r′ − a
r′
μ11 = μr =
r′ − a
r′
r′
μ = μθ =
r′ − a
r′
ε 22 = εθ =
r′ − a
2
2
2
⎛ b ⎞ r′ − a
ε 33 = ε z = ⎜
⎟
⎝ b − a ⎠ r′
2
⎛ b ⎞ r′ − a
μ33 = μ z = ⎜
⎟
⎝ b − a ⎠ r′
誘電率、透磁率が距離とともに複雑に変化するので、このままでは実際
に透明マントを製造するのは難しい。
透明マントの実験(2)
電場がz軸に平行の場合を考える。するとマックス
ウェル方程式は以下のようになる。
1 1 ∂ ⎛ ∂Ez
⎜r
μθ ε z r ∂r ⎝ ∂r
1 1 ∂ 2 Ez
⎞
2
Ez = 0
+
+
ω
⎟
2
2
⎠ μr ε z r ∂θ
すると、以下の条件を満たせば、誘電率、透磁を変化
させても、電磁波のふるまいは変わらない。
(ただし、電場がz軸に平行の場合に限るが、、)
μθ ε z = constant
μr ε z = constant
透明マントの実験(3)
y 電場がz軸に平行の場合は以下のパラメータでも
透明マントになる。
⎛ r′ − a ⎞
1
μ1 = μr = ⎜
⎟
′
r
⎝
⎠
より簡単なパラメーター
になっている。
μ22 = μθ = 1
⎛ b ⎞
3
ε3 = ε z = ⎜
⎟
b
a
−
⎝
⎠
2
2
透明マントの実験(4)実験例
(D. Schurig et al., Science 314, 977 (2006))
透明マントの実験(5)
メタマテリアルのデザイン
(D. Schurig et al., Science 314, 977 (2006))
等方性メタマテリアルを用いた透明
マント
y 異方性マテリアルを用いた透明マントには、誘電
率、透磁率が方向によって異なるように変化する
ので、製造が難しいという問題がある。
y また、Pendry氏の透明マントは媒質境界において、
誘電率、透磁率がゼロになり、位相速度が無限大
になるという問題がある。
y そこで、等方性マテリアルをもちいた透明マント
の製造を考える。
等方性マテリアルを用いるときの問
題点
等方性マテリアルをもちいて透明マントを設計する場合、次のような問題
点がある。
1、異方性マテリアルに比べて、パラメータの自由度がかなり少なく、設
計がより困難である。
2、Nachmanの定理により、等方性マテリアルでは位相遅れ、反射のない
完全な透明マントの実現が不可能であることが証明されている。
(A. I. Nachman, Ann. Math. 128, 531 1998.)
( E. Wolf and T. Habashy, J. Mod. Opt. 40, 785 1993.)
(このNachmanの定理は等方性マテリアルに限って成立する。異方性マテ
リアルにはこの制限はない。 実際、Pendry氏の透明マントは位相遅れ、
反射はないが、媒質境界で位相速度が無限大になる問題がある。)
以下、Nachmanの定理を回避して、等方性マテリアルで完全な透明マントを
実現する設計方法を紹介する。(負の屈折率を持つ媒質を用いる。)
(以下、英語になります。)
Problems
The problem of invisibility devices with isortopic media are
y Time delay
y Reflection
Nachman`s theorem shows that perfect invisibility in isotropic media
is impossibe.
Our result
y Getting around Nachman`s theorem, we design an perfect
invisibility devices in isotropic media as follows:
1, The time delay is zero.
2, Due to the impedance matching of
negatively refracting materials,
the reflection is also zero.
Invisibility Device (1)
Invisibility Device (2)
Invisibility Device (3)
Metamaterial
y Metamaterials are man-made media where electromagnetic
waves do not behave as usually expected.
y ε and μ can be freely determined.
y Both ε and μ are negative, it is called left-handed
metamaterial.
Construction
It is well-known
that the electromagnetic wave in media is given by
We separate time dependence by setting waves as Ψ(x, t) = ψ(x)expiωt, where ω is the
light frequency. Then, the wave equation can be expressed using the Helmholtz equation:
Construction(2)
By Hamilton’s analogy, we obtain
Then, by introducing the effective time τ measured in spacial units
It is possible to derive the trajectory of rays as follows [1,2 ]:
Conformal mapping(1)
We assume that the medium is uniform along the z-direction. Then, we
introduce the complex coordinate[1,2]
z = x + iy
Next, using complex coordinates, Helmholtz equation (2) is transformed into
Conformal mapping(2)
We find that, by the conformal mapping w = w(z), the Laplacian operator is
transformed as follows
When the refractive index is transformed as
by conformal mapping, the Helmholtz equation is invariant.
Conformal mapping and Riemann
surface
We map the physical space z into Riemann surface w by using the following conformal
map[1,2]:
Here, w-space is a Riemann surface which consists of two sheets. By the conformal map
(28), the outside of the circle |z| > a is mapped into the first Riemann sheet in w-space,
and the inside of the circle |z| < a is
mapped into the second Riemann sheet in w-space. The branch cut is
given by .2a < Re(w) < 2a, Im(w) = 0 in w-space, which corresponds
to the circle |z| = a in z-space.
New model of cloaking devices
We propose a novel design of dielectric invisibility media based on negative refraction
index and optimal conformal mapping that create invisibility The refractive index on
the second Riemann sheet in space w is given by[3]
Trajectory of light rays on the second
Riemann sheet in space w.
Time delay(1)
The time delay is conformal invariant and can be computed by
The time delay on R2 region is the same absolute value as on R1 region but with opposite
signs, because the refractive index on R2 has the opposite sign of that on R1,
where
Time delay (2)
Therefore, the total of them is completely canceled out, and the total time delay is
exactly zero.
The time delay is zero
Reflection (1)
In case that E is vertical to the incoming plane, the reflection coefficient reads as
In case that E is parallel to the incoming plane, the reflection coefficient is given by
Reflection (2)
(1)
(2) Normal incidence case.
case
Reflection (3)
(3) Impedance-matched case.(Z=Z’)
The reflection at the boundary of R1
and R2
In our problem, at the boundary of R1 and R2, we can take the following form, i.e.
(case (1))
This gives the property
In this case, there is no reflection at all for a general angle of incidence
and polarization between the boundary of R1 and R2.
The reflection at the branch cut
y As for the branch cut, when vertical enters φ=0 in the case of impedance
matching Z1=Z2, there is no reflection at the branch cut, (see case 2).
y Otherwise, there is some reflection, because of the discontinuous behavior of
refractive indices n and n’, (see case 3).
y However, in order to achieve perfect invisibility, we can solve this problem as
follows. We could slightly modify our potential around the branch cut in R1
region to smoothly connect the potential of the first Rieman sheet to the
potential of R1 region, keeping the condition that the light should be bent
from the left to the right.
Due to the striking property of negative refracting index , there
is vanishing reflection around the branch cut at all.
Maximum radius of invisible space
Figure is Maximum radius of invisible space. With increasing the potential
parameter A, the radius of invisible space becomes large up to the value 0.17a.
Conformal map
Refractive index
Perfect invisibility
with isotropic materials is possible!
(1) Our device based on optically isotropic material with negatively refracting index
represents an example where the time delay is zero.
(2) Furthermore, due to the impedance matching of negatively refracting materials, the
waves are completely transmitted when crossing different material index borders, and
reflecting waves are zero.
(3) our proposed design is flexible enough to potentially generate a large variety of
bounded orbits for light rays
(4) we can make the invisible space larger within some limits. A large invisible space
could allow to hide from sight objects with higher spacial dimensions.
These results strongly indicate that perfect invisibility
with isotropic materials is possible.
参考文献
[1] J. B. Pendry et al., Controlling Electromagnetic Fields Science 312,
1780 (2006)
[2] D. Schurig et al., Metamaterial Electromagnetic Cloak at
Microwave Frequencies, Science 314, 977 (2006)
[3] U. Leonhardt, Optical Conformal Mapping, Science 312, 1777-1780
(2006).
[4] U. Leonhardt, Notes on Conformal Invisibility Devices, New. J. Phys.
8,(2006).
[5] U. Leonhardt and T. G. Philbin, Transformation Optics and the
Geometry of Light, arXiv:0805.4778v2
[6] T. Ochiai, U. Leonhardt and J.C. Nacher : A novel design of
dielectric perfect invisibility devices, Journal of Mathematical
Physics, 49, 032903 (2008).
Thank you
ありがとうございました。
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