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特集: JARMeC のコイル塞栓術

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特集: JARMeC のコイル塞栓術
特集: JARMeC のコイル塞栓術
コイル塞栓術は、血管造影の手技を用いるインターベンション(IVR)の一つです。動物の場合、主に
「動脈管開存症(PDA)」「門脈-体循環シャント」の場合に行います。一番の利点は、開胸クリッピング
術などが不要となるため、患者さんへの侵襲が少なく、合併症などのリスクを大きく低減させることがで
きることです。
動脈管開依存症(PDA)
※イラストで見る犬の病気より引用
門脈シャント
◆コイル塞栓術の実際
以下は、ワクチン接種時に心雑音が発見されたという経緯で、一次病院より JARMeC に紹介された、
動脈管開存症の犬(シェトランドシープドッグ、オス、0 歳 3 か月、3.1Kg)です。手術の時間は約 1 時間。
以下の写真の通り、手術前は動脈管を介した短絡血流により肺動脈が造影されていましたが、コイル
塞栓術により、手術後は肺動脈がなくなりました。
C アーム画像(手術前)
C アーム画像(手術後)
患者の肢の付け根の大腿動脈からマイクロカテーテルという太さ1mm 以下の非常に細い管を動脈管
の中にまで誘導することによって行います。マイクロカテーテルを動脈管の中心に置き、そのカテーテ
ルを通してGDCというプラチナ製の柔らかく細いコイル(太さ約 0.30mm 程度)を動脈瘤の中に置いて
いきます。そして動脈管の中がコイルでいっぱいになったところでマイクロカテーテルを抜いて手術を終
了です。
◆JARMeC のコイル塞栓術の特徴
コイル塞栓術の特徴
当院のコイル塞栓術の特徴を端的に言えば、以下の 2 点となります。
1.コイル塞栓術の経験豊富な獣医師が対応
当該手術にあたっては、当院の循環器が対応しております。当該手術において過去 100 症例近く行っ
ております。
2.充実した設備
当院は高度医療のための設備を準備しているため、当該手術を行うための機器が充実しております。
C アーム
(Mobile C-arm system BV Endura/PHILIPS)
マイクロカテーテル&GDC コイル
◆治療費
治療費については、患者の個体にもよりますが、検査・麻酔・治療などを含め、概ね 30 万円程度が平
均的となっております。
◆ホームドクターへのお願い
コイル塞栓術も万能ではなく、「患者が成長しすぎ血管が大きくなりすぎた」「血管の形状が寸胴であ
る」場合は有効ではありません。後手になればなるほど治療の選択肢が少なくなることは周知のことと
思います。運動不耐性、咳、呼吸速迫、発育不良、食後の異常行動などの症状を見つけた場合は、早
急に検査いただければと思います。
報告医:循環器科 平尾秀博
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