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実物投影機の編集機能を利用した指導の工夫
小4 実物投影機の編集機能を利用した指導の工夫 〜平行四辺形の高さを求めるために〜 長岡市立神田小学校 永井 Ⅰ 茂 目的 実物投影機を利用し、平行四辺形の高さの位置や数について求めようとすることができる。 Ⅱ 使用する機器の良さ 実物投影機は、ノートのゆがみで直線が曲線に見えてしまうこともあ り、教師が手で押さえる時がある。そのため、教師が説明中に手を使っ た表現説明がしづらい。ところが、学校の機器(写真1)は、写した物を 写真で取り込める機能がある。さらに、その写真に書き込んで編集する ことができる。今まで以上に、見やすい映像を児童に提供できると共に、 ( 写 真 1 :L-1ex エルモ社 ) 教師がジェスチャーを交えた説明ができる。新しい実物投影機は、児童にとっては視覚的な要 素が強調され、記憶に残りやすい学習環境を作り出せる良さがる。 Ⅲ 実践例 5年生の平行四辺形の面積を 求める学習である。面積を求め る際に、知っている知識を利用 して求める学習を行った。幾つ ( 写 真 1 :変 形 ) ( 写 真 3 :切 り 取 り ) ( 写 真 2 :マ ス を 数 える ) か案を出して、分からない児童には、どの考えを利用するか教えていく場面である。写真1は、 三角形の形を切り取り、長方形の形に変形した方法である。実際に図形を切り取り、手で動か しながら長方形になることも確認した。写真2は、正方形が幾つあるかを数える方法である。 写真3は、児童が図形を切り取り、正方形を作り面積を求めた方法で ある。この後、底辺と高さについて学び、高さは底辺に垂直に交わっ ていることを確認した。ここまでが第一段階の学習である。 次に、第二段階として、2つの平行四辺形を見せて、どちらが大き い平行四辺形かを考えた(写真4)。答えは同じ、という結果を導かせ た。これは、形が違っても面積が同じということを学んでほしかった ① からである。特に、底辺と高さに着目するようにした。写真4は、児 童が、実際に切り取って面積が同じ事を説明した様子である。 ① A ③ ② この時点で、 「高さはどれか?」と問いかけた。児童からは、①、②、 ③がでた。この様子を、改めて実物投影機で見せた。そして、①から ③までの高さをテレビ画面に1本ずつ表示させていくことで、4つ目 ( 写 真 4 :面 積 の 比 較 ) の高さが見えたようだ。 「高さはこれで全部ですか?」と問うと、何人 かが手を挙げて高さ A を描いた。すると、「まだあるよ」と言う児童のつぶやきから、グルー プで確認した。その結果、A や B の高さが見えてきた。重要なのは、高さが至る所に見えるこ とである。画面上は、高さの線で塗りつぶされた。 次に、第三段階として、写真5の平行四辺形の面積を求めた。いろいろな求め方が出てきた。 写真5は、写真2のように数える方法である。ただし、正方形を2とし、二つの形をあわせた B 正方形を を1として数 数え、最後に に2で割る方法 方法だ。別解 別解には、や や はり底辺 底辺と高さに着目 着目している している児童もいた もいた。ところが ところが、高さは さは 底辺と繋 繋がっている がっている斜めの線を を高さと見ている ている児童 児童がいた。 「高 さはどれですか さはどれですか?」 ?」と問いかけた いかけた。右の平行四辺形 平行四辺形 平行四辺形の場合、高 高 さは確かに かに迷いやすい いやすい。しかし しかし、第二段階 第二段階の学習を を経験してい してい るので、 、児童がテレビ がテレビ画面に近 近づいて説明 説明を始めた めた(写真6)。 ( 写 真 5 :平 平行四辺形の形) この時 時に、児童の の説明に合わせて わせて、教師 教師がサポートし がサポートし、線を を描いていった いていった。写真7 7は、編集 編集 機能を使 使い、児童が が話した様子 様子を教師が色 色を付けて けて説明をより をより詳しくしている しくしている。児童 児童は、教師 教師 が描く線 線に合わせて わせて、 ゆっくりと ゆっくりと説明してい してい た。そのため そのため、周りの りの 児童も聞 聞こうとする こうとする意 識が高まり まり、集中して して テレビ画面 画面を見つめる つめる 効果も伺 伺えた。 もし、 、黒板に図形 図形を ( 写 真 6 :説 明 を す る 児 童 ) ( 写 真 7 :編 編集機能を使った画面) 描いた方眼 方眼の紙を用意 用意して、授業 授業をしていたら をしていたら、同 同じようなことができたかもしれない じようなことができたかもしれない じようなことができたかもしれない。描い い た方眼紙 方眼紙を教室に貼 貼り、学習環境 学習環境を整えることも えることも可能 可能だ。しかし しかし、教師用 教師用の方眼紙を を事前準備 事前準備 する必要性 必要性がある。 。 一方、 、実物投影機 実物投影機はそのまま はそのまま映像化すること することに加 加え、線を描 描ける編集機能 編集機能があるため があるため、児童 児童 の説明に に合わせて記録 記録を残せる せる。それも、 、何人もの もの説明記録が が残せる。また また、実際にノートに にノートに 書かれた かれた解答法を見 見せることによって せることによって、児童 児童の自己有用感 自己有用感を高めることが めることが期待できる めることが できる。つまり、 、 この実物投影機 実物投影機を活用 活用することに することによって、 、心情面からのサポートもできると からのサポートもできると考えられる からのサポートもできると えられる。 また、 、児童の人数分 人数分を印刷することができる することができる することができる機能 機能を利用すると すると、教室の の学習環境を を整えるこ えるこ とも可能 可能である。さ さらに、ノートに ノートに貼ることで ることで、学習記録 学習記録が残 残せる。そして そして、家庭学習 家庭学習で授業 授業 の振り返 返りが容易になり になり、学習効果 学習効果も期待 期待できる。 。 Ⅳ 成果 成果と課題 ・三角形 三角形の高さを求 求める問題(図 図1)の正解率 正解率が、県平均 県平均 61.7%、 %、 学年平均 80.0%だった だった。(底辺 底辺アイに対する する高さを選択する する問題) ・児童が が、テレビ画面 画面を見ながら ながら説明する する時は、画面 画面を触って って説 明し始めることが めることが多い。特に めることが に、図形の学習 学習では「 「この線が、 、あ の 線 と 同 じ だ か ら ・・・」 ・・・ と 指 示 語 を 使 っ て 説 明 し て い る こ と が ( 図 1 : H24 年 度 Web 配 信 問 題 ) 多々ある ある。そこで そこで、この指示語 指示語を支援するために するために、 、色の付いた いた線をテレビ をテレビ画面上に に表示する する ことで、 、見ること・ ること・聞くことに くことに集中でき でき、記憶する する手助けをすることできる けをすることできる。 けをすることできる ・説明した した結果を写真 写真として保存 保存することができる することができる そのため、次時で復習 することができる。そのため 復習をする際 際は、記憶 記憶 が鮮明に に残っている っている事が多く く、学習への への取りかかりがスムーズである りかかりがスムーズである 。 りかかりがスムーズである。 ・写真として として記憶することができるので することができるので 、映っている することができるので、 っている図や絵が が動かず、集中 集中して画面 画面を見続け け ることができる ることができる。 。 ・今までの までの実物投影機 実物投影機よりも、 、教師が負担 負担としていた としていた操作的な な無駄な時間 時間が少なくなり なくなり、ねら ねら いに迫った った学習活動 学習活動が展開しやすくなった しやすくなった しやすくなった。 ・画面の の印刷が授業後 授業後に行われる われる。もし、 、授業中で でタイムリーに タイムリーに印刷できれば できれば、学習始 学習始めと終 終 わりとの わりとの比較ができ ができ、学習効果 習効果が見込める める。今後 今後は、コンピュータ コンピュータ室との との連携も考慮 考慮して、 、 使用する する環境を整 整えていきたい えていきたい。