Comments
Description
Transcript
スライド 1 - 日本保全学会
四国電力 伊方発電所の 津波対策とその評価および耐震評価 (この情報は四国電力から提供された情報を日本保全学会が整理、まとめたものです。) 平成24年5月 日本保全学会 福島第一原子力発電所事故の概要 福島第一原子力発電所では、地震発生時に、原子炉を「止める」ことには成 功したものの、直後に起こった津波の影響で非常用ディーゼル発電機や海水ポ ンプなどが冠水、すべての電源を失うとともに、冷却用の水の供給もできなく なった。このため、燃料を「冷やす」ことができなくなり、さらに放射性物質を「閉 じ込める」ことにも失敗し、事故に至った。 四国電力 伊方発電所の対応状況および評価 四国電力伊方発電所では、福島第一原子力発電所を襲ったような地震、津 波が起こっても、以下のとおり、炉心損傷および放射性物質の放出には至ら ないと評価する。 Ⅰ.耐震評価・・・想定される最大の地震動570ガルの揺れに対しても安全上重要な 機器が十分な耐震強度・機能を有していることを確認している Ⅱ.津波評価・・・想定される最大の津波はT.P.+4.25mで敷地高さT.P.+10mよりも 低く、施設が浸水することはない Ⅲ.炉心冷却評価・・・更に厳しい事故(全電源喪失、通常の冷却設備使用不可)を 想定しても、炉心の冷却ができることを確認している 1 Ⅰ.耐震評価 1.地震動の想定 伊方発電所の耐震安全性評価においては、敷地前面海域断層群による地震の 揺れが支配的である。 海洋プレート内地震 1649年安芸・伊予 の地震(M6.9) 内陸地殻内地震 敷地前面海域断層群 による地震(M7.8) 敷地での最大加速度413ガル 131 132 133 134 135 136 137 36 36 35 35 34 34 33 33 32 32 伊方発電所 プレート間地震 想定南海地震(M8.6) km 0 100 敷地での最大加速度94ガル 200 31 31 131 132 133 134 135 136 137 敷地前面海域断層群による地震により基準地震動Ssは570ガルとなっている。 2 Ⅰ.耐震評価 2.原子炉建屋の耐震安全性を確かめる際に想定した最大加速度 原子炉建屋解析モデル 50 70 90 110 130 最大応答加速度 150 170 外周コンクリート壁 90 原子炉格納容器 80 外周コンクリート壁 約2900ガル 約5700ガル 原子炉格納容器 70 60 燃料取扱棟 燃料取扱棟 約8200ガル 50 蒸気発生器 蒸気発生器 内部コンクリート 内部コンクリート 約2300ガル 約4800ガル 40 約2100ガル 30 原子炉周辺 補機棟 原子炉周辺 補機棟 20 10 0 -10 基準地震動570ガル 上記の揺れに対しても安全上重要な機器が十分な耐震強度・機能を有していることを確認している。 3 Ⅱ.津波評価 1.津波の波源 ・伊方発電所の敷地周辺において津波被害があったという記録はない。 ・伊方発電所に影響を及ぼす可能性のある津波の波源として、中央防災会議の「想定東南海 ・南海地震」および「敷地前面海域断層群」による地震を想定している。 130˚ 132˚ 134˚ 136˚ 138˚ 36˚ 36˚ 敷地前面海域断層群に 34˚ よる地震津波 34˚ 「内閣府中央防災会議 東南海,南海 32˚ 地震等に関する専門調査会(2003)」の 「想定東南海・南海地震津波」 32˚ 130˚ 140˚ 132˚ 134˚ 136˚ 138˚ 140˚ 4 Ⅱ.津波評価 2.津波の評価結果 満潮水位に津波による最大水位上昇を加えた水位は、想定東南海・南海地震による津 波でT.P.+1.90m、敷地前面海域断層群による地震により発生する津波でT.P.+4.25mで あり、敷地高さT.P.+10mよりも低いため、施設が浸水することはない。 津波による最高水位 想定東南海・南海地震 T.P.+1.90m [満潮水位(T.P.+1.62m) + 津波による上昇(0.28m)] 敷地前面海域断層群による地震 T.P.+4.25m [満潮水位(T.P.+1.62m) + 津波による上昇(2.63m)] 満潮水位(T.P.+1.62m) 敷地高さ(T.P.+10m) 10m 東京湾平均海水面(T.P. 0m) T.P. :東京湾平均海水面 5 Ⅱ.津波評価 3.今回の地震による知見を踏まえた解析【試算】 [連動型巨大プレート間地震(マグニチュード9.0:東海・東南海・南海および日向灘の4連動を考慮)] 今後、中央防災会議等によって震源モデルが確定すれば再解析の予定。 130˚ 【試算条件】 132˚ 東海・東南海・南海:中央防災会議モデル 日向灘:地震調査研究推進本部モデル 採用モデル すべり量の設定 36˚ 134˚ 136˚ 140˚ 138˚ 南海地震のすべり量を2倍に変更 (最大すべり量 30m) マグニチュード 36˚ 9 東海・東南海・南海 (中央防災会議モデル) 【試算結果】 伊方発電所での満潮時の津波高さは約2.2m (津波による水位上昇は約0.6m) 34最大加速度 ˚ 168ガル 東海 34˚ 伊方発電所 ▼ 東南海 日向灘 (地震調査研究推進本部モデル) 32˚ 32˚ 南海 日向灘 130˚ 132˚ 134˚ 136˚ 138˚ 140˚ 中央防災会議モデルは、一部の日向灘地震の領域までモデル化されて いるため、地震調査研究推進本部モデルと部分的に重複する。 6 Ⅲ.炉心冷却評価 1.電源喪失時の原子炉冷却機能(冷やす) 全ての電源が喪失した場合、蒸気駆動のタービン動補助給水ポンプにより蒸気発生器2次側へ 注水し、原子炉内の熱を蒸気(放射能を含まない)として大気に放出、冷却する。 ①原子炉の水は高温となって軽くなり、 上の位置にある蒸気発生器に流れ込 む。 ②高温の水は蒸気発生器にある管の 内側を通り、管の外側の水を沸騰さ せて、蒸気をつくる。 ③沸騰した蒸気を大気へ放出するこ とで熱を外へ逃がす。蒸気の一部は 補助給水ポンプの動力に使用する。 ④蒸気発生器で熱をうばわれ、温度の下がった水は重くなり、再び原 子炉に戻る。このように、水の温度変化によって、原子炉内で自然に 循環する。 ⑤蒸気発生器への水の補給は、蒸気で動く(電源不要)「補助給水ポ ンプ」で行う。 7 Ⅲ.炉心冷却評価 2.ポンプなどの電源確保方法(1/3) 原子炉等を安定的に冷却するためには、ポンプなどの安全機器を動かす電源の確保が必要で ある。伊方発電所では、複数のルートで電源を確保しているが、福島事故を受けて、さらに万一 のときにもこれが働くよう電源の多重化・多様化を実施中 8 Ⅲ.炉心冷却評価 2.ポンプなどの電源確保方法(2/3) 電源供給の信頼性を向上させる観点から、電源車を配備(津波の影響を受けない場所:海抜 +32m) 【電源供給設備:冷却用ポンプ、電動弁、充電器、中央制御室監視用】 号機 1~3号機 安全対策(配備済) ・5台の電源車配備 1,825kVA:4台 300kVA:1台(予備) 9 Ⅲ.炉心冷却評価 2.ポンプなどの電源確保方法(3/3) 外部電源の多様化を図る観点から、高台から構内までの配電線(6600V)を敷設 恒設非常用発電機の追加設置を検討中 号機 既存電源設備 1号機 ・187kV送電線(4回線) ・66kV送電線(1回線) ・非常用ディーゼル発電機(各号機2台) 2号機 3号機 ・500kV送電線(2回線) ・187kV送電線(1・2号機共用) ・非常用ディーゼル発電機(2台) 安全対策(実施済) 亀浦変電所(発電所敷地に隣接)からの配 電線を2ルート敷設 10 Ⅲ.炉心冷却評価 3.冷却水の確保方法(1/3) 原子炉等を安定的に冷却するためには、冷却水の確保が必要である。伊方発電所では、ポン プ・配管の多重化や、ポンプ駆動エネルギー源の多様化などの体制をとっているが、福島事故を 受けて、さらなる対策を実施中 消防自動車、可搬型消火ポンプを配備(海抜+32m) 11 Ⅲ.炉心冷却評価 3.冷却水の確保方法(2/3) 海水による冷却のため、海水を取水する海水ポンプモータの予備品および、海水ポンプの代替 として、仮設の水中ポンプを配備 水中ポンプ 水中ポンプ 海水ポンプモータ予備品と水中ポンプ配備 12 Ⅲ.炉心冷却評価 3.冷却水の確保方法(3/3) 蒸気発生器等への給水(タンクからの水または海水を使用) 補助給水ポンプの 機能確認実施 消防自動車(既存2台、追加1台)、小型ポンプ等を配備 (海抜+32m) 13 補足 (Ⅱ.津波評価) 浸水対策(1/2) 福島事故を受けて、安全上重要な機器の浸水対策を実施 (福島では想定を9.5m上回る津波であったことから、T.P.13.8m(伊方3号機は14.2m) までの浸水対策を実施) 補1 補足 (Ⅱ.津波評価) 浸水対策(2/2) 浸水対策として、非常用ディーゼル発電機や直流電源装置などを設置した部屋の入口扉を水 密扉へ取替え等を行う(平成24年度完了予定)とともに、海水ポンプエリアの防水対策を実施 (平成26年度完了予定) <従来の扉> <水密扉> <止水板> 補2 補足 (使用済燃料ピット冷却) 想定される地震、津波、更に厳しい事故(全電源喪失、通常の冷却設備使用不可)が発生しても、 使用済燃料ピットへの注水(タンクおよび消防自動車から注水)による冷却ができることを確認 消火ポンプ(ディーゼルエンジンで動く)、消防自動車の機能確認実施 補3