Comments
Description
Transcript
羊水細胞培養による染色体異常の出生前診断
羊水細胞培養 による染色体異常 の出生前診断 高知県立 中央病院 ・癌研究所 赤 木 忠 厚 〔 昭和52年1月18日 受稿 〕 診 断 の 意 義 で あ る.今 日先 天 異 常 の う ち で も,染 は じめ に 色 体 異 常 や 先 天 性 代 謝 異 常 は,羊 水穿 刺 に よ って 出 小 児 科 学 の領 域 で先 天 異 常 は近 年 増 々 そ の重 要 性 生 前 診 断 が 可 能 とな って きた.羊 水 の液 体 成 分 お よ を増 して きて い る に も拘 らず,先 天 異 常 の 多 くは現 び沈 渣 細 胞 成 分 の分 析 に よ り,あ る種 の先 天 性 代 謝 代 医学 の水 準 を以 って して も治 療 が不 可 能 で あ る. 異 常 の 診 断 が可 能 で あ り,沈 渣細 胞 成 分 か ら胎 児 の しか も遺 伝 性 の疾 患 が 多 い た め,こ の よ うな不 治 の 性 別 や あ る種 の性 染 色 体 異 常 の診 断 が 可 能 で あ る. 病 を持 っ た子 供 が,ひ しか し羊 水 細 胞 を組 織 培 養 す る こ とに よ り,よ り多 とつ の家 庭 に何 人 も生 れ る可 能 性 が あ る.し た が っ て,現 状 で は予 防 す る以 外 に くの 染 色 体 異 常 と先 天 性 代 謝 異 常 が,よ 方 法 が な く,こ れ らの異 常 を 出生 前 に診 断 す る こ と 断 され る よ うに な っ た.1)羊水 細 胞 の組 織 培 養 に よ り り正 確 に診 が予 防 医学 的 見 地 か ら重 要 で あ る.ま た この よ うな 出生 前 診 断 が 可 能 な,先 天 性 代 謝 異 常 症 と染 色 体 異 患児 を 出産 す る可 能 性 の高 い母 親 に,安 心 して健 康 常 症 を ま と め て み る と,そ れ ぞれ 表1,表2の な 子供 を 出産 す る機 会 を与 え て や る こ と も,出 生 前 にな る(文 献2, 3を 参 照). 表1. 羊 水 穿 刺 に よ って 出生 前 診 断 可 能 な先 天 性 代 謝 異 常 症 895 よう 896 赤 木 忠 厚 表2. 羊 水細胞培養 によって 出生前診断可能 な染色体異常 本 論 文 で は,特 に羊 水 細 胞 培 養 に よ る染 色 体 異 常 直 径35mmの の 出生 前 診 断 につ いて,著 者 の 経 験 を 中心 に して 述 に2mlず べ,更 し, に そ の問 題 点 につ いて も触 れ て み た い. プ ラス チ ッ ク ・ペ ト リ皿(Falcon, つ 入 れ,そ 5%CO2, 37℃ の 条 件 下 で 培 養 を 続 け た.ペ リ皿 の 数 は,細 方 3001) の ま ま炭 酸 ガ ス培 養 器 中 に静 置 胞 の 多 寡 に 応 じ て3個 か ら5個 ト を使 法 用 し た. 5日 間 は 液 換 え を 行 わ ず に そ の ま ま 放 置 し, 羊 水穿 刺 お よ び羊 水 細 胞 培 養 法:羊 壁 的 に行 い, 10∼20mlの 水穿 刺 は経 腹 羊 水 を無 菌 的 に採 取 し,滅 そ の 後 は2∼3日 お き に1mlず や が て 細 胞 は コ ロ ニ-を 菌 した プ ラス チ ッ ク遠 心 管 に と った.こ の 際胎 盤, な る が,染 胎 児 を損 傷 しな い よ うに 注意 す るの は勿 論,母 体 血 22日 目 の 間 に 行 っ た. の 混 入 を さけ る こ とが重 要 で あ る.さ もな い と後 で 染 色 体 標 本 作 製 法:標 行 い1日 止 む を得 ず 直 ぐに 培 養 操 作 にか か れ な い場 合 で も 0.08∼0.1μg/mlの 5∼6時 15分 培 養, 0.25%ト 3分 遠 心 して 沈 渣 を集 め た.多 数 の赤 血 球 が混 入 して い る場 合 に は, 0.85 %EDTA等 %塩 化 ア ンモ ニ ウ ム液(ト リス塩 酸 緩 衝 液, pH7.2) rpm, を5分 間作 用 さ し赤 血 球 の み を破 壊 した. HamF -12培 養 液 で1度 洗 っ た後, 30%に - CO)を 加 えたHamF-12培 牛 胎 仔 血 清(GIB 養 液 に再 浮遊 さ した. 形 成 しつ つ 増 殖 す る よ うに 色 体 標 本 作 製 は,培 判 定 を誤 る原 因 とな る.採 取 した羊 水 は通 常直 ちに, 間以内 に, 1,000rpm, 養 開 始 後10日 目か ら 本 作 製 前 日 に半 量 液 換 え を 培 養 を 行 っ た 後,コ ル セ ミ ド(GIBCO)を 割 合 に 加 え, 5時 間 か ら6時 量 混 合 液 で 細 胞 を 単 離 して か ら, 加 え , タ ノ-ル3:氷 ∼15分 放 置 .更 間 リ プ シ ン(Difco1:250)と0.02 3分 遠 心 し,沈 ー ダ)1mlを ァ 液(メ つ 液 換 え を 行 っ た. 渣 に 低 張 液(0.9%ク 37℃, 20分 放 置 し た 後,カ 酢 酸1)を2∼3滴 に カ ル ノ ア 液1mlを 1,000 エ ン酸 ソ ル ノ 加 え て10 加 え て20分 放置 羊 水細胞 培養 に よる染色体 異常 の出生前診断 更 に0.5ml加 えて か ら極 く軽 い ピペ ッテ ィン グ を行 い, l,000rpm, 5分 遠 心 を行 った,上 清 を捨 て新 し い カ ル ノ ア液 を2m1入 れ,少 し きつ く ピペ ッテ ィン グ を行 っ た後, 1,000rpm, 5分 遠 心 し,沈 渣 に再 び 897 れ ま で12人 に つ い て13回 培 養 を試 み たが, 12回 は満 足 な染 色 体 分 析 を行 う こ とが 出 来 た. の1回 目)は 分 裂 細 胞 が1個 1回(症 例10 しか み られず,核 型分 析 を行 うこ とが 出来 な か った.自 験 例 の 結 果 は表3 新 しい カル ノア 液 を加 え2回 同様 の 操 作 を繰返 した. に示 す 通 りで あ る. Down症 少 量 の カ ル ノア液 に再 浮 遊 さ した細 胞 を,充 分 に清 往 の あ る人(配 偶 者 が先 妻 との間 にDown症 拭 し冷 却 した ス ライ ドグ ラス に滴 下 し,空 気 乾 燥 後, 子 供 を も うけて い る人 を含 め て)7人,高 3%ギ (40才以 上)2人,配 偶 者 を含 め て配 偶 者 の 家 系 に色 盲 の あ る もの1人, Dysgerminomaの ムザ 液 で1時 間 染 色 した. 必 要 に応 じてG一 バ ン ドの染 色 をSeabrightの 法4)を改 変 して行 った.す て通 常 の染 色 を行 い写 真 を撮 った後, 70%, 30%, 方 な わ ち,上 記 の よ うに し 50%, 10%の ア ル コー ル 系列 を順 に通 して 脱色 し, 0.25%ト リプ シ ンで 短 時 間 処 理 後(15秒 位)生 理 食 塩 水 で す す ぎ, 3%ギ ムザ 液 で 染色 を行 った. 細 胞数 が少 い場 合 に は,ペ した まま低 張 液2mlを 候群の 年初産婦 手 術 を 行 い, 抗 癌 剤 の投 与 を 受 け た 既 往 の あ る もの1人,不 (デー タ紛 失 の た め)1人,計12人 った. Down症 明 に つ い て検 索 を行 候 群 児 出産 の既 往 の あ る第1例 につ いて45, Xの 結 果 を得 た が,他 の11人 に つ い て は核 型 分 析 で 異 常 は み られ な か った. ト リ皿 に細 胞 を付着 さ 加 え37℃, 候 群 の 子供 を生 ん だ既 20分 処 理 した後, 45, Xの 核 型 を示 した症 例(既 報 ・文 献5)はTu rner症 候 群 を疑 って妊 娠26週 に人 工 流 産 を行い,臍 じ 4∼5滴 の カル ノ ア液 を加 え10分 処 置 した.更 に2 mlの カル ノア液 を加 えて20分 放 置 し,液 を捨 て た後 新 し い カル ノア液2m1を 加 え20分 放 置 。 カル ノア 液 帯 血 お よ び胎 児 皮 膚 の培 養 に つ い て染 色 体 検 査 を行 っ た.そ の 結 果 は表4に 示 す 通 りで, 45, X/46, のmosaicismを XX 示 した.病 理 解 剖 所 見 で は 内 外 性器 を捨 て ペ ト リ皿 の 裏 面 よ り温 風 を あて て 乾 燥 さ した 共 に女 性 で 外 形 的 に奇 形 は な く,組 織 学 的 に は卵 巣 後, の著 明 な形 成 不 全 を示 し,純 型 性 腺 形 成 不 全 症 と診 3%ギ ムザ 液 で 染 色 した.ペ ト リ皿 の 側 壁 を切 り取 って 鏡 検 した.油 浸 で 鏡 検 す る際 は プ ラス チ ッ 断 した(写 真6). クが 溶 け る ので,速 や か に写 真 を撮 る必 要 が あ る. 結 果 考 按 羊 水 細 胞 は形 態 学 的 に は, Huisjes6,7)によ り表5 羊 水 を構 成 して い る細 胞 を,パ パ ニ コ ロ ウ染色 に に示 す よ うに分 類 され,由 来 は羊 膜 と胎 児 口 腔 粘 膜, よ り細 胞 形 態学 的 に調 べ て み る と,大 部 分 は,小 さ 膣 上 皮,皮 膚,膀 帯 お よ び泌 尿 器 が 考 え られ て い る. な核 と不 規 則 な大 き な胞 体 を持 っ た扁 平 上 皮 に似 た 従 っ て羊 水 細 胞 は胎 児 と同一 の遺 伝 情 報 を持 って い 細 胞 と,核 はや は り小 さ く胞 体 が卵 円 形 な い し円形 る と考 え られ るか ら,こ れ を 出生 前 診 断 に利 用 す る の小 型 の細 胞 か ら成 って いた.小 型 の細 胞 は数 個 ず こ とが で きる. つ か た ま って み られ る こ とが 多 か っ た.胞 体 は 好 酸 羊 水 穿 刺 に よ る出生 前 診 断 の適 応 と して は, 性 の もの と,青 な い し褐 色 調 に染 ま る もの が み られ (1) 本 人 ま た は配 偶 者 が転 座 保 因 者 で あ る場 合 た.核 がpicnoticな もの もかな り多 か った(写 真1). 培 養 を行 って も大 部 分 の 細 胞 はペ トリ皿 に付 着 せ ず,浮 遊 した ま まで 増 殖 し な い が(写 真2),早 の で は1週 間,遅 い も く と も2週 間 位 経 つ と,数 十個 以 上 の細 胞 か ら成 る小 さ な コ ロニ-を 作 って 細 胞 が増 (2) 高 令 者(例 えば35才 以 上) (3) 転 座 で な く散 発 性 で あ って も,染 色 体 異常 の 子 供 を生 ん だ既 往 の あ る場 合 (4) 伴 性 劣 性遺 伝 病 の場 合 (5) 先 天 性 代 謝異 常 症 の 場合 殖 す る よ うに な っ た.コ ロ ニ ー構 成 細 胞 は 線 維芽 細 が考 え られ て い る劉羊 水細 胞 培 養 に よ っ て先 天 異常 胞 様 細 胞 か ら成 る場 合 と(写 真3),上 児 を 出生 前 に予 知 し,重 篤 な先 天 異 常 で あ れ ば,治 成 る場 合 が あ るが(写 真4),そ 皮様細胞か ら の 比 率 は培 養 によ り 療 的 妊 娠 中絶 に よ って 不 治 の 病 を持 った不 幸 な 子供 ま ちま ちで あ った.し か し一 般 的 に は線 維 芽 細 胞 様 の 出生 を未 前 に 防 ぎ,ま たhigh 細 胞 コ ロ ニ-の 方 が 多 か った.他 た め に 出産 を あ き らめ て い た 人 に,出 産 の 喜 び を与 に コ ロ ニ ー を作 ら risk pregnancyの ず,線 維 芽 細 胞 様 細 胞 あ るい は マ ク ロフ ァー ジ様 細 え る こ とが 出来 る よ う にな っ た.し か し羊 水 穿 刺 は 胞 が,少 数 散 在 性 に付 着 して い たが,こ の よ うな 細 合併 症 の頻 度 は 非 常 に少 い とは い う もの の,や 胞 は あ ま り増 殖 を示 さ なか った(写 真5).著 多少 の母 体,胎 児,胎 者は こ はり 盤 に対 す る影響 が 考 え られ る 898 赤 木 忠 厚 表3. 自験例 の培養羊水細胞染色体分析 の結 果 表5. 羊 水 細 胞 の 細 胞 形 態 学 的 分 類(Huisjes) 表4. 症 例1の 羊 水,皮 膚,臍 帯 血 各 培 養 細 胞 の 染 色 体 分 析5) し,倫 理 的 な面 か ら も問 題 が あ るの で,上 記 の適 応 とこ ろで 培養 の 成 否 に関係 す る もの と して 羊 水 細 胞 の生 存 率 が 問 題 とな るが,妊 娠 中 期 で は8%か い な い と考 え られ,大 部 分 の細 胞 は プ ラス チ ック壁 に付 着 す る こ とな く浮遊 して し ま う.そ の た め に, を守 り安 易 に行 うこ と は厳 に慎 むべ きで あ ろ う. ら 単 位 容 積 当 りの植 え込 み細 胞 数 が 多 くな い と培 養 は 成 功 しな い. 10mlの 羊 水 か らだ と3個 ∼5個 のペ ト 35%前 後 と報 告 され て い る,9,10)し か し,生 細 胞 とい え リ皿 に培 養 す るの が 精 一杯 で,こ れ 以上 稀 釈 す る と ど も分 裂 能 力 の あ る細 胞 は,極 培養 が不 成 功 に終 った り,染 色 体 標 本作 製 が 可 能 に く少 数 しか 含 まれ て 羊水細胞培養 によ る染色体異常 の生前診 断 羊 水 細 胞 の 培 養 に お い て は,し ば しばpolyploidy な る まで 増殖 す るの に 日数 が か か り過 ぎ る. 培養 の 成功 率 は初 期 のSteele 899 が 観 察 され る こ とが あ るが(著 者 の 例 で は, and Breg11)の 報 告 2∼6 で は, 62例 中12例 しか 細 胞 増 殖 が み られ ず,し か も %),こ その うち2例 示 す もの が か な りの割 合含 まれ て い る こ とか ら,組 しか 染 色 体 の核 型 分 析 を行 い えな か っ の機 構 と して は,羊 膜 細 胞 にtetraploidyを た.し か し,そ の 後 組 織 培 養 法 の 進歩 に 伴 い培 養 の 織 培 養 に よ る人 工 的 変 異 とい う よ りは,お 成功 率 は著 し く上 昇 し, Nadler 膜 に 由来 す る細 胞 が 含 まれ て い る こ と に よ る もの と and Gerbie12)の 報 考 え られ る.2) 告 で は160例 中155例 の 成 功 をみ て い る.培 養 法 も各 種 の もの が 考案 され,Nad1erandGerbie12)は そ ら く羊 mosaicismを 細胞 示 す 場 合 に は,母 親 の 細 胞 が 混 入 し が付着 しや す い よ う に,少 量 の 牛 胎 仔 血 清 に浮 遊 さ た 場 合 と,ふ た この場 合 と,真 のmosaicismの した 細 胞 を ペ ト リ皿 に入 れ た後,カ バ ー グ ラ スで 覆 が 考 え られ るが,真 のmosaicismの い細 胞 を固 定 し,し か る後 培 養 液 を追 加 す る方 法 を 難 で あ る.15) 発 表 して い る.培 養 液 につ いて も各 種 の もの が使 わ む す 場合 決 定 は非 常 に 困 び れ て い るが,荻 田 ら13)は血 清 と して母 体 血 清 を使 用 した方 が成 績 が よ い とい っ て い る.し か し,著 者 は 牛胎 仔 血清 を30%に 加 えたHam 羊 水 細 胞 培養 に よ る染 色 体 異 常 の 出生 前 診 断 法 に つ いて,著 者 の行 っ て い る方 法 の 実 際 と, 12人 の 妊 F-12培 養 液 を使 用 し,単 に ペ ト リ皿 に 細胞 浮遊 液 を 入 れ るだ けの簡 単 婦 に対 して 行 っ た結 果 を述 べ た. 1例 に お い て45, Xの 核 型 を示 し,人 工 流 産 児 の な方 法 で, 13例 中12例 成 功 とい う好 成 績 を 得 て お り 培 養 方 法 を色 々 と変 え る こ とよ り も,無 菌 操 作 とか 染 色 体 検 査 お よ び病 理 解 剖 に よ り, 45, X/46, 器 具 の洗滌,蒸 溜 水 の 純 度 とい う基 本 的 な 組 織 培養 のmosaicismを XX 示 す純 型 性 腺 形 成 不 全 症 で あ る こ 手 技 の習 熟 度 の 方 が 重 要 で あ る よ うに思 う.羊 水 に とが判 明 した.多 くの先 天 異常 に対 して有 効 な 治療 赤 血 球 が 混 入 して い る場 合,培 養 が 失 敗 す る率 が 高 法 が な い現 在,羊 水細 胞 培 養 に よ る出生 前 診 断 の 必 い とい われ て い るが,14)著 者 は0.85%塩 要 性 は,今 後 増 々高 ま る と思 わ れ る.ま た この方 法 化 ア ン モニ ウ ムで 溶血 させ る こ とに よ り好 成 績 を得 て い る.母 体 の普 及 に つ れ,各 種 染 色体 異常 の人 工 流 産 児 を,病 血 そ の他 母 体 細 胞 成 分 の混 入 は,結 果 の判 定 を誤 ら 理 解剖 す る機 会 も増 え る と思 わ れ るの で,現 在 殆 ど せ る場 合 が あ る.稀 に羊 水 細 胞 の培 養 で は正 常 の 女 わ か って お らな い 胎 児 期 にお け る染 色 体 異 常 症 の 病 性 の核 型 を示 しな が ら,生 れ て きた の は 男児 で あ る 理,更 に は広 く出 生 前 病 理 学 の 分 野 が進 展 す る こ と 場 合 が あ る.8,12,細 胞 増 殖 が早 く核 型 分 析 が通 常 よ り が 期 待 され る. 早 期(羊 水 穿 刺 後10日 以 内)に 行 わ れ た場 合 に 多 く, この よ うな 場 合 に は母 体 細胞 成 分 の 混 入 が 考 え られ 稿 を終 るに臨 み,羊 水穿 刺 を してい ただいた本 院産婦 る.こ れ らの細 胞(お そ ら く母 親 の マ ク ロフ ァ-ジ) 人科,本 森良治 博士,組 織培養 およ び染色 体分析 に終始 は通 常 約1週 後 に は死 滅 す るの で, 献身 的な協力 を惜 しまなか った谷内万子技 師 に,深 甚 な 2週 後 に も う1 る謝意 を表 します. 度 分 析 し直 す方 が よい と いわ れ て い る.8,12) 文 1) 日暮 真:先 献 天 異 常 の 出 生 前 診 断 と そ の 対 策(2)-染 色 体 異 常-.医 学 の あ ゆ み, 89:461-467, 1974. 2) Milunsky, A., Littlefield, J. W., Kanfer, J. N. , Kolodny, E. H., Shih, V. E. and Atkins, L.: Prenatal genetic diagnosis. New Engl. J. Med., 283 : 1370-1381, 1970. 3) Gorlin, R.J.: hodology, Clinical 4) Seabright, 5) 赤 木 忠 厚,谷 2nd ed., M.: manifestations ed. J. J. Yunis, A rapid banding 内 万 子,岩 田 克 美,本 示 す 性 腺 形 成 不 全 症 の1例.医 6) Huisjes, H. J.: of chromosome Academic technique 森 良 治:羊 学 の あ ゆ み, Origin of the cells disorders, Press, in Human Chromosome New York, for human chromosomes. pp. 197-270, Lancet, 2: 971-973, 1971. 水 細 胞 の 培 養 に よ り見 出 さ れ た45, 93:201-202, Met 1974. X/46, XXモ ザ イクを 1975. in the liquor amnii. Amer. J. Obstet. Gynec., 106:1222 900 赤 -1228 7) , H. J.: and C.: 10) pp. cells. Valenti, C., 11) Steele, W. etic cell ed. P. and D. 95-132, of H. 2 C. Amer. M. Nadler, Akesson, Lancet, •@1 :383-385, 12) 厚 clinical I. applications, Fairweather in and T. Amniotic K. A. B. Flu Eskes, 1973. cultures F. its V. initiated Kruse from and M. amniocentesis, K. Patterson, in Tissue Academic Culture, Press, New 1973. Lin, ermination. fluid ed. pp. use Applications, B., ic-fluid amniotic Amsterdam, 617-622, Santesson, the Application, Diagnostic and York, of Clinical Medica, Valenti, Methods 9) Cytology Research Excerpta 8) 忠 1970. Huisjes, id, 木 and Book, : 1067-1068, C., J. -0., Baum, Breg, R.: and Brosset, Massobrio, Gynecol., W. A. A.: Karyotyping human amniot 1969. A., Obstet. J. M. and 112:890-895, Chromosome Carbonara, A.: Prenatal sex det 1972. analysis of human amniotic-fluid cells. Lancet, 1966. H. L. and disorders. Gerbie, New A. Engl. J. B.: Role of Med., amniocentesis in 282:596-599, the intrauterine detection of gen 1970 13) 荻 田幸 雄,長 谷 川 博 規,松 本 雅 彦,亀 井 輝 二,多 田 啓 也:染 色 体 異 常 の 出 生 前 診 断.産 婦 人 科 治 療, 27: 629-635, 1973. 14) Jacobson, ts. C. B. and Barter, Amer. 15) Nadler, H. L. 2nd ed., 写 真1. J. ed. Obstet. and Ryan, J. J. R. H.: Gynec., Yunis, C. A.: Intrauterine 99:796-807, diagnosis Amniotic cell culture, Academic and management of genetic defec 1967. Press, New York, 写 説 真 in Human Chromosome pp. 185-195, Methodology, 1974. 明 羊 水 細 胞 塗 沫 標 本. a: Large nucleate eosinophilic cell. b: Large nucleate cyanophilic cell. c: Small nucleate cyanophilic cell. パ パ ニ コ ロ ウ染 色, ×300 写 真2. 浮 遊 培 養 羊 水 細 胞.こ の よ うな細 胞 が 大 部 分 を 占 め,増 殖 能 力 を欠 く.症 例6,培 養10日 目,位 相 差 ×186 写 真3. 線 維 芽 細 胞 様 培 養 羊 水 細 胞,症 例6,培 養10日 目,位 相 差,×186 写 真4. コ ロニ ー状 増 殖 を示 す 上 皮 細 胞 様 培 養 羊 水 細 胞 、症 例6,培 写 真5. マ ク ロフ ァー ジ様 お よ び線 維 芽 細 胞 様 培養 羊 水細 胞.こ て い る細 胞 には,殆 ん ど増 殖 傾 向 が み られ ない.症 例6,培 写 真6. 養10日 目,位 相 差, ×186 の よ うに コ ロ ニー を作 らず に まば らに付 着 し 養10日 目,位 相差, 症 例1の 人 工 流 産 児 卵 巣 の 組 織 像.間 葉 性 結 合織 とpregranulosa ×186 cellよ り成 るsex り,卵 祖 な い し卵 母 細 胞 は殆 ん どみ られ な い.矢 印 は変 性 した卵 母 細胞. H-E.染 色, cordと か ら成 ×186 羊水細胞培養 によ る染色 体異常の出生前診断 赤木 忠厚 論 文 附 図 901 902 赤 Prenatal diagnosis with 木 忠 of 厚 chromosome cultivated amniotic abnormalities fluid cells by Tadaatsu Cancer The methods Institute, for cultivation AKAGI Kochi Prefectural Kochi 780, of amniotic Central Hospital, Japan fluid cells were described. Transabdominal amniocenteses were performed for abnormalities. Successful cultures for karyotyping were obtained from 12 patients. In one case karyotypic analysis of cultivated amniotic 45, X and then therapeutic abortion was performed. The prenatal diagnosis of chromosome accomplished in 12 of 13 samples fluid cells revealed a karyotype of karyotype of cultivated fetal skin and umbilical cord blood cells was 45, X/45, XX mosaicism. The necropsy of the aborted fetus disclosed pure gonadal dysgenesis. Prenatal genetic diagnosis with cultivated amniotic fluid cells is useful for monitoring of high-risk pregnancies.