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手品カード

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手品カード
広島大学大学院教育学研究科 数学教育学講座
教職高度化プログラム担当 入川義克
1.はじめに
数学の学習で大切なことは,事象を数学的視点でとらえ
深くかかわる体験をすることです。
感動的な数学的体験(良問との格闘, 新しい発想との
出会い… )が数学的センスに磨きをかけていくと考えます。
その過程において,その意味を考え,より発展的に考察し
問題の本質を探ろうとする姿勢を大切にして欲しいのです。
こうした経験によって得られたアイデアは,色々な問題を
解決するのに役立つだけでなく,新たな問題発見や知識の
獲得を促す源となっていくのです。
勉強したいというMotivation
数学に関わる生活がしたいから学習する
⇒ 「統合的動機付け」
動機があるから勉強するのではなく,勉強の成功がやる気
別の発想 を生み,さらに勉強するようになる
数学が将来の自分に利益をもたらすから学習する ⇒ 「道具的動機付け」
サッカーボールと数学! 正五角形と正六角形を組み合わせてサッカーボールの
模型を作ります。
ただし,正五角形の各辺はすべて正六角形の辺でもある
とします。また,正六角形の1つおきの3辺が正五角形の
辺になっているとします。それぞれ何枚必要ですか。
数学化
プラトンの立体
火
の
元
素
空
気
の
元
素
地
の
元
素
宇宙を象徴
するもの
水
の
元
素
プラトンは著書「ティマイオス」の中で,宇宙の4大元素と結びつけて
考えた。これらの立体は<Platonic Solids>と呼ばれている。
プラトン
アリストテレス
プラトン(BC427~BC347)は
古代ギリシャの哲学者
ソクラテスの弟子
アリストテレス(写真右)の師
世界で最も美しい数式
eπi +1=0
Leonhard Euler
(1701年~1783年)
日本科学未来館
野外実験展示
「シェルピンスキーの森」
http://www.miraikan.jst.go.jp/info
/090619103412.html より引用
京都大学 大学院
人間・環境学研究科特許
申請(2007.2.15)
正多面体の大小関係
正多面体の定義
すべての面が正多角形で,どの頂点に集まる面の数も等しく
各頂点における立体角が等しい凸多面体を正多面体という
◆次の空欄をうめなさい。
正四面体
正六面体
正八面体
正十二面体
正二十面体
正方形
辺の数  
正三角形
4
4
6
正三角形
6
8
12
正五角形
20
12
30
正三角形
12
20
30
1つの頂点に集まる
面の数
3
4
3
5
面の形

頂点の数  
面の数  
8
6
12
3
①すべての面が正三角形である正多面体において,1つの頂点に集まる面の数をと
する。このとき でないと立体角はつくれない。
また,      より,     このことより  
すべての面が正三角形で1つの頂点に集まる面の数が3のとき,正四面体になる。
オイラーの多面体定理
V(頂)+F(面)-E(辺)=2
すべての面が正三角形で1つの頂点に集まる面の数が4のとき,正八面体になる。
すべての面が正三角形で1つの頂点に集まる面の数が5のとき,正二十面体になる。
② すべての面が正方形である正多面体において,同様に考えると
      より,     このことより  
すべての面が正方形で1つの頂点に集まる面の数が3のとき,立方体になる。
③ すべての面が正五角形である正多面体において,同様に考えると
      より,   

このことより  

すべての面が正五角形で1つの頂点に集まる面の数が3のとき,正十二面体になる。
包含
関係
包含
関係
Design定規の数学
Design定規の数学
☆表を完成させよう.
①
②
③
④
⑤
⑥
内側の歯車の数(m)
63
63
52
52
36
36
外側の歯車の数(n)
105
96
105
96
105
96
最大公約数(G.C.D.)
21
3
1
4
3
12
最小公倍数(L.C.M.)
315
2016
5460
1248
1260
288
5
32
24
35
8
花びらの数(F)
105
☆どんな数学が隠れていますか?



    



  
 
 
ただし   

 
 
トロコイドの軌跡を求めるための基本事項
『円の奇蹟』(ベレルマン著)より
トランプと数学
52枚のトランプのカードを上から順に重ねておく.これを,次の規則
でシャッフルする.
規則 [上から26枚を左組,上から27枚目から52枚目を右組とし,1回
シャッフルした後のカードの順番が上から,左組の1枚目,右組の1枚
目,左組の2枚目,右組の2枚目,…
,
左組の26枚目,右組の
26枚目となるように左組と右組のカードを交互に重ねていく]
このとき,トランプを何回シャッフルすると,元の順番に戻るか.
左組
右組
1枚目
2枚目
枚目
枚目
枚目
枚目
1枚目
2枚目

枚目
枚目
枚目
枚目
は素数,である任意の整数に対して
   である
フェルマの小定理の証明
…,   を考える
が素数で  
 のとき,
       だから
で割った余りは  …     と
集合として一致する.
このとき,          
とをで割った余りはすべて異なる.
           
したがって,…,    を
ゆえに,      が成り立つ
トランプの手品
生活の中の数学
≪駐車場の駐車枠に番号をつける≫
駐車場の駐車枠に1,2,4,5,6,8,9,10 , 11 , 12 , 14 ,
15 ,
16 , 18 , …と3と7の数字を使わずに番号をつけるとする.
(1)駐車枠に1番から100番まで番号をつけたとき,駐車場には何台の車
が駐車できるか.
(2) 駐車場に400台の車が駐車できるようにするとき,駐車枠には何
番まで番号をつけることになるか.
工夫して表をつくればできそうです
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
1
64
64
64
384(台)
64-1
1
64-1
400台の車が駐車
できるようにする
64
コンピュータで見る
数学の美しさ
 相似な三角形
相似の中心

 






 

どのような力をつけてほしいか?
『「学力」というときに,
まず第1に思い浮かぶのは知識や技能である。
これは,ペーパーテストで測定しやすいものである。
第2に,客観的ペーパーテストでは測りにくいが重要な
能力として,文章読解力,論述力,討論力,批判的思考力,
問題探求力などがある。
これら2つを「学んだ結果としての学力」とするならば,
第3の学力として「学ぶ力としての学力」と呼ばれるもの
がある。それは,自発的な学習意欲とか知的好奇心,学習
を遂行するための計画力・方法・集中力・持続力さらには,
教え合いや話し合いをしながら学んでいくコミュニケーショ
ン力などが含まれる。』
-学力低下論争- ちくま書房
市川 伸一
1.数学の学習目標―何のために数学を
学ぶのか―
「何のために数学を勉強するんだろ
う。」と思う人は多いだろう。そして数学
が不得意だと言っている人に限って「将来
数学を必要としないから」「数学の勉強を
しなくても生きていく上では困らないか
ら」という理由をつけて自分を納得させて
はいないだろうか。
しかし,これからいろいろな教科を学習
していく中で数学を学習するには大切な理
由がある。それは,数学的な考え方(数学
をつくりあげていく考え方)を身につける
ことである。今日のように複雑・多様化し
た社会において,表面的には数学の利用が
目立たない所でも,そのかくれた基礎にお
いて数学的な考え方が頻繁に用いられてい
ることは,数学を学べば学ぶほどわかって
くるものである。従って,「数学は必要な
いから」「数学の勉強をしなくても…」と
いって自分の殻に閉じこもることなく果敢
にアタックし努力する態度や生き方を大切
にして欲しい。そうすれば,きっと数学が
できたという喜びが味わえ,数学のすばら
しさが体験できることだろう。
2.学習の仕方
(1)数学は積み重ねの学問である。
数学は,基本事項と既習事項を元に新し
い事柄を組み立てていく積み木のようなも
のである。数学ができないという人は必ず
その原因となる基本事項や基礎事項が理解
できてないのである。基礎ができていない
上にいくら積み木を積んでもくずれてしま
う。
そして
数学がきらい
数学の勉強
をしない
問題が
解けない
という悪循環をくりかえすのである。
では,高校数学を学習する上での基本事
項とはなんだろう。それは,次の8つの事
項であり,これがわかっていれば数学Ⅰは
理解できると考えている。
これから数学を学びはじめる前にもう一
度,基本事項の徹底をはかっておきたいも
のである。
(2)間違いを大切に
数学ができるようになるためには,どこから
勉強していけばようのだろう。それは,自分の
積み木のくずれている所をはやく見つけて理解
することである。そのためには,自分の間違い
を大切にするとよい。間違ったら恥ずかしい。
わからない所を質問するのは恥ずかしいのでは
なく,同じ間違いを何度も何度も繰り返す,わ
からない所をわからないままにしておく,その
ことが恥ずかしいことだと気付いて欲しい。間
違ったらどこで間違ったか,何がわかってない
のか原因を究明しよう。 正しいと思いこんで
いることで実は間違いだったということはない
だろうか。こうして崩れている積み木を1つ1
つ補修していくのである。
分数
加減乗除 小数 文字式
正の数
負の数 方程式
不等式 平方根
関数
解答を求む!
1
トロコイドの軌跡
3 ピーター・フランクル先生からの問題
○ ○ ○ ○ ○ ○

 

 
  

トランプの手品
4 オイラー線と九点円
 
2
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