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北陸管内防災情報共有化システム機能向上検討調査

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北陸管内防災情報共有化システム機能向上検討調査
北陸管内防災情報共有化システム機能向上検討調査
櫻井
直樹1・須藤
弘之2
1
防災・技術課
(〒950-1101 住所
新潟県新潟市西区山田 2310 番地 5)
2
維持管理技術課
(〒950-1101 住所
新潟県新潟市西区山田 2310 番地 5)
北陸技術事務所
北陸技術事務所
災害発生時における防災関連情報の迅速な収集・共有を目的として構築した北陸管内防災情報
共有化システムについて、災害対応の更なる効率化・高度化を目的に、利用者から求められてい
る新たな共有機能などを含めた新機能追加と経済性に配慮したシステム全体の更新検討を行って
おり、平成 27 年度より運用を開始している。本稿はその概要について報告するものである。
キーワード:防災,情報共有
1.はじめに
心にアンケートを実施し319名からの回答があった。
第2回は新サーバOSへの更新後に操作や今後の追加
北陸管内防災情報共有化システム(以下、本システ
要望情報等についてアンケートを実施し85名から回
ム)は災害時の現地画像情報や時系列情報、資機材情報
答を得た。なお、アンケートは技術系(道路、河川、
の共有を図るために構築され、災害時や防災訓練時での
砂防等)に加え事務系職員からも広く収集した。
活用が進んでいる。
b)本システムの課題
しかし、東日本大震災やその他災害での活用実態を通
本システムの課題を把握するために既往の大規模
じ、利用者から新たな共有機能の拡張が求められている。
な災害を対象に調査を行い、必要と考えられる情報
また、サーバOSのサポート期限が迫っており、セキ
項目や機能を防災情報の観点から抽出し、不足する
ュリティパッチも2007年以降の更新がないため、OSを
含む、システム全体の更新についての検討が必要となっ
た。本システムを構築するGISエンジンのほか、検索
エンジン、電子地図などについては、現システムでは購
入品を使用しているため、経済性から北陸地整管内を除
く範囲では詳細な地図表示がなされていない現状にある。
そのため、システム全体の更新を行う際には、フリー
ウェア(無料)や「地理院地図(国土地理院)」
の活用を図る必要がある。
以上から、経済性に配慮した本システム機能の更新と、
新機能追加の検討を行ったものである。
情報について検討を行った。
(2)他システムとの連携に関する調査・検討
a)既存システムの操作
他の防災関連情報システムを実際に操作して主な
機能や目的等を調査した。
b)連携に関する検討
Webアンケートの結果を反映し、本システムとの具
体的な連携方法を検討し、システム構築を行った。
(3)情報項目の検討
a)追加項目の検討
Webアンケートの結果や災害対応に有効と考えられ
る情報項目についての検討を行った。
2.調査概要
(4)システム機能向上検討
a)冗長化の検討
(1)要求分析と課題の整理
a)要求分析
災害発生時の防災関連情報の共有化について本シ
ステムに対する要望・課題、求められる機能等を把
インターネット回線混雑時や断絶時など発災時に
起こりうる状況にも耐えうるシステム構成について
検討を行った。
b)携帯電話の操作効率化検討
握するために本局及び22の事務所等を対象にWebアン
本システムへの写真や時系列情報登録において用
ケートを実施した。第1回は本システムの主要な機能
いられる携帯電話の操作について、より簡易な方法
(写真、時系列、資機材検索)と追加要望情報を中
とすることを目的に検討を行った。
(5)システム全体像の検討
a)背景地図の検討
詳細な全国版地図へと改善するため、地理院地図
の利用に関する実現性と課題を検討した。
(6)システム構成の検討
a)システム構成の検討
システム構成の検討では、災害発生時のアクセス
集中対策、サーバ故障時の継続的な利用の実現を目
表-1 web アンケートの集計・分析結果
機能種別
・時系列情報の検索の簡略化
・便利機能の追加(キーワード検索機能)
・情報分類の変更、追加 ・キーワードで検索
・便利機能の追加(ソート機能) ・情報項目のスリム化
災害対応時系列表示
・時系列情報の登録の簡略化
・入力方法の改善(共通する文言を簡単に貼り付け再利用でき る機能等)
・エクセルファイルから登録
・情報発信者と受信者の情報 ・安否確認 ・庁舎、宿舎の情報の登録
災害対策資機材検索
・地図の範囲を指定して範囲内にある倉庫を検索
・資機材倉庫名や資機材の数量から検索
・資機材検索項目の変更、追加 ・検索結果一覧のソート機能
・最終更新日の表示 ・データの確実な更新
地図検索
・検索範囲を全国に拡大
・検索条件の追加(キロポスト、施設管理者、損傷判定結果、改築予定)
地図の設定
・地図や検索の速度向上 ・地図情報の範囲の拡大
・画面レイアウトの改善(地図画面の拡大)
携帯電話サイト
・個人携帯での閲覧
・統一河川情報システム や気象庁HPへのリンク
通行規制情報
・他システムとの連携による入力作業の省力化
・タイトルや内容を定型文とした入力作業の効率化
・規制区間を入力する際に住所等で検索する機能の追加
・通行規制区間は区間として表示
・ナビ機能、除雪区間の表示
的に、システムの分散配置を検討した。
b)セキュリティ対策の検討
セキュリティ対策の検討では、現状におけるセキ
ュリティ上の課題・問題点やセキュリティポリシの
違反状況等を把握した上で、対策が必要な機能、箇
主な意見
・地図表示方法の改善(災害種別や規模でアイコンを区分)
・表示速度の向上 ・画像情報のポップアップ表示
・災害画像情報の検索の簡略化 ・期間で検索 ・操作ボタンの最適化
地図の操作
災害写真情報
所、仕組みを改善する対策方法を検討した。
(7)システムの構築
a)システム設計
検討結果に基づき、画面設計、処理設計、データ
ベース設計等のシステム設計を実施した。
b)システムテスト
システム試験では、設計書通りに動作することを
十分に確認した。
3.調査結果
(1)要求分析と課題の整理
a)要求分析
Webアンケートの集計・分析結果から本システムの
利活用状況及び課題・要望を表-1、図-1のとお
図-1追加要望の情報項目
り取りまとめた。
b)システムの課題の把握と整理
大規模災害(「平成25年梅雨前線・台風4号・台風
表-2 災害情報の課題
7号(岩手県・山形県・島根県・山口県)」、「平成
25年8月豪雨(島根県)」、「平成25年台風18号(福
分類
井県・滋賀県・京都府)」、「平成25年台風26号
(東京都)」)において防災情報項目を調査した結
果について、新たな視点での災害情報の課題は、表
情報連携・初動体制
の強化に関する情報
新たな視点での
防災情報
関する情報」、「大規模災害に備えた情報」、「迅
他地整の
道路情報
TEC-FORCE等による他地
整への応援において、他地
整における道路状況を把握
する必要がある。
■道路被災情報
■拠点情報(ガソリンスタンド等)
職員の安否確認
職員の安否状況を確認し、
被災状況の把握、また災害
対応可能かどうかの確認を
する。
■職員安否情報
災害対応の
時系列情報
事務所や現場での災害対応
状況を時系列で把握し、今後 ■災害対応時系列情報
の対応を考える。
道路通行規制情報、職員安否情報や雨量レーダ、直
轄外河川情報、避難情報など、本システムにはない
複数の情報が求められた。
大規模災害に
備えた情報
(2)他システムとの連携に関する調査・検討
a)既存システムの調査
北陸地整管内で利用されている防災系システムは
表-3に示すとおりである。
国の直轄河川だ けでなく、被
害の出た中小河川の水害状
況も把握する。
土砂災害防止法に基づく緊
土砂災害
急調査の結果(土砂災害が
緊急情報
発生すると想定される地域と
時期)を確認する。
テレメ ータの雨量だけでなく、
より詳細な
詳細なリアルタイム雨量状況
雨量情報
を把握し、今後の降雨予測に
役立てる。
河道閉塞等が発生した 場
新規設置の
合、監視観測体制を強化す
雨量計、水位計、 るため、新た に設置した雨量
監視カメラ
計、水位計、監視カメラ等の
等の情報
情報を入手し、把握する必要
がある。
中小河川の
水害情報
速な応急対応に関する情報」の3項目に分類でき、
迅速な応急対応
に関する情報
情報項目
■道路被災情報
職員が現場に行くまでの道路
■通行規制情報(通行止め区間、渋滞状況)
状況を確認する必要がある。
■道路復旧状況情報
-2に示すとおりである。
なお、分類別では「情報連携・初動体制の強化に
情報の目的
道路規制情報
■中小河川の水害情報
■直轄外の観測所の雨量・水位情報
■土砂災害緊急情報
■災害対応時系列情報
■XバンドMPレーダー情報
■新規観測設置の雨量、水位情報
■監視カメラ映像
ヘリコプター
による画像情報
人が入れない場所での、ヘリ
コプターによる調査結果(映 ■ヘリコプターからの画像情報
像や写真)を入手する必要が ■越流情報
ある。
避難、孤立集落
の情報
避難・孤立集落の地域や人
■避難情報
数等を確認し、効率的な災害
■孤立集落(地域)情報
対応を行う。
表-3 他の防災系システム調査結果
b)連携に関する検討
Webアンケートの結果を基に、連携要望が高いシス
テムを対象に、本システムとの具体的な連携方法を
No.
区分
1
河川
道路
システム名
目的
映像情報共有化
・遠隔監視
システム
・予警報の把握
・観測情報の監視
・基準超過箇所の把握
検討した。
連携を検討したシステムは、CCTV映像(映像
情報共有化システム)、監視観測情報(統一河川情
2
河川
統一河川
システム
報システム:雨量・水位、道路管理情報システム:
データ容量が大きくなる動画や詳細情報等につい
システムとの連携方法として、リンク、データベー
ス連携等の最適な方法を表-4に整理した。
システム画面例を図-2に示す。
(3)情報項目の検討
・河川予警報の閲覧
・観測情報の閲覧
> 雨量(国、自治体)
> レーダ雨量
> 水位・流量(国、自治体)
> ダム諸量
> 堰諸量
> 排水ポンプ場諸量
> 積雪深
> 潮位 等
・基準超過観測所検索
> 雨量(注意値、 警戒値)
> 水位(洪水予警報、水防警報)
> ダム(洪水調整開始流量、放流)
積雪深・気温)である。
ては、リンク表示による連携が好ましいと判断し、
主な機能
・CCTV映像(道路、河川)の閲覧
・洪水予測計算結果(現在~3h先)の閲覧
3
河川
水災害予報
システム
・洪水予報結果の把握
4
道路
道路管理情報
システム
・事前通行規制区間の現況把握 ・事前通行規制区間の現況閲覧
・雪害体制の共有(登録・閲覧) ・雪寒体制の入力、閲覧
5
道路
通行規制提供
システム
・洪水危険度分布(3段階)の閲覧
・通行規制情報の共有
(登録・閲覧)
・通行規制入力(工事、災害等)
6
Cバンドレータ ゙
その他
雨雪量計
・面的な雨量情報の把握
・レーダ雨量閲覧
7
その他 地震計システム
・面的な震度分布の把握
・震度計観測情報閲覧
8
その他
・体制情報の把握
・体制情報の閲覧
体制表示
システム
・通行規制検索閲覧
a)追加項目の検討
Webアンケートの結果(システム連携以外)や災害
表-4 本システムとの連携
対応に有効と考えられる追加情報項目についての検
討を行った。
現在入手出来る複数の情報から以下の観点で選定
した。
①航空写真
地図では表現出来ない要素を補間する目的で地
情報項目
システム名
映像情報共有化
CCTV映像
システム
連携方法
メ タデータ
データ受信による連携(定期)
映像データ(動画)
リンク表示による連携
メ タデータ
データ受信による連携(定期)
統一河川情報
システム
監視観測情報 観測情報(現在)
道路管理情報
システム
積雪深
気温情報
データ受信による連携(リアルタイム)
観測情報(現在~過去) リンク表示による連携
メ タデータ
データ受信による連携(定期)
観測情報(現在)
データ受信による連携(リアルタイム)
観測情報(現在~過去) データ受信によるグラフ作成
理院地図を利用し、背景地図と同様にインターネ
ット経由とサーバ保存を選択出来るように構築し
た。
②ボーリング柱状図
発災後の応急復旧の仮設設計などに活用が期待
出来る過去の柱状図を「地質情報提供システム」
(トラビス)へリンクし入手できるよう構築した。
③モバイルマッピングシステム画像(MMS)
平成25年度に北陸地整管内の直轄河川において
撮影された堤防上からの全周囲画像をサーバへ保
存し閲覧出来るよう構築した。
なお、②③についてはイントラ範囲内において
のみ利用することで可能となったものである。
(4)システム機能向上検討
a)システム冗長化の検討
図-2 地図上で被災写真、監視カメラ等を表示
①システム冗長化の目的
地理院地図はインターネット経由で取得するた
と富山防災センター)のWebサーバに保存した。
め、インターネット断絶時やアクセス集中時には
また、ネット経由の地図は国土地理院によるデ
地図が利用できない問題が懸念される。そこで、
ータ更新がなされるが、サーバ内の地図はネット
システム冗長化を図るため、地図サーバを設置し
異常時使用可能や処理速度が速いなどの特徴があ
イントラネット内で地図情報が閲覧できる仕組み
るため、サーバ内に蓄積している地図情報も利用
を検討した。
出来るものとし、利用者が任意で選択できる仕組
②システム冗長化の検討・設計
みとした。
イントラネット配信用の地図データは、経済性、
管理負担等の観点から東西拠点(北陸技術事務所
b)携帯電話の操作効率化検討
①現状の課題
現在、携帯電話のメールを利用して、現地から
て、スムーズな地図操作の実現が求められている。
災害写真と時系列情報を送信することができる。
これらの要望を満たす方法としては表-5に示し
一方で、4つのメールアドレス(訓練用災害写真
たシステム構成案が考えられる。各案について比
アドレス、災害用災害写真アドレス、訓練用時系
較検討を実施した結果、現状よりリスクが低くな
列アドレス、災害用時系列アドレス)から現地職
り、かつ経済性、メンテナンス性において許容出
員が選択をして、データを配信しているため、作
来る「2箇所の分散配置」する案が適しているこ
業の効率化に課題があり、個々における入力作業
とが分かった。
の軽減は情報登録数の増加にもつながると考えら
b)セキュリティ対策の検討
れる。
②携帯電話を用いた情報登録の効率化に関する検
本システムが安全かつ継続的に稼動することを目
的に、北陸地方整備局のセキュリティポリシーに準
討・設計
拠したセキュリティ対策を講じた。セキュリティ対
上記の課題を解決するために情報登録方法を検
策を講じるべき箇所は災害情報メールを屋外から受
討した結果、「iアプリを利用した入力」と「ブラ
信する経路であり、行政LANと防災LANの間に
ウザを利用した入力」が候補としてあがった。こ
中継サーバを新たに設置することとした。
の2つの方法について、比較検討を行なった結果、
本システムの構成は図-5のとおりである。
ブラウザを利用した入力が適していると判断され
たため、システム設計を実施した。この2つの方
法を図-3にイメージとして示す。
(5)システム全体像の検討
a)背景地図の検討
現在搭載している地図は有償であるため、整備費
用の関係から詳細地図(大縮尺)表示は北陸地方整
備局管内に限られている。
このため、本システムでは、全国地図の導入と無
図-3 携帯電話の操作効率化のイメージ
償化を目的に、国土地理院の地理院地図を背景地図
として利用する事とした。
(6)システム構成の検討
a)システム構成の検討
本システムのサーバを設置する際は、大規模災害
によるサーバへの被害や円滑なデータ通信を確保す
ることが重要となる。このため、下記の点に着目し
て、分散配置及びバックアップ対策に関するシステ
ム構成を検討した。
①現状システムの構成と課題
本システムのサーバ群を設置する場所を選定す
図-4 ボトルネック箇所の概念図
るには、トラフィックが多く発生する災害写真の
配信等を行うことから、北陸地方整備局管内にお
ける通信のトラフィックが集中する箇所(ボトル
ネック箇所)の調査が必要である。
表-5 サーバ配置比較表
比較項目
が接続されている。
更にその基幹ネットワークを接続する事務所が
存在し、そこにトラフィックが集中していること
から、「高田河川国道事務所」と「長岡国道事務
所」がボトルネック箇所といえる。
また、本システムには、危機管理の強化に加え
2箇所の分散配置案
複数拠点への分散配置案
北陸技術事務所等の1箇所 2箇所の拠点にサーバ郡を
にサーバ郡を集約させた案 分散配置する案
複数の拠点にサーバ郡を分
散配置する案
危機管理の
視点
◆1拠点の集約型のため拠
点が被災するとシステムが
停止するリスクがある
◆負荷分散装置の停止がシ
ステムの一時的な停止につ
ながるリスクがある
◆3拠点に分散するため、シ
ステム停止のリスクは低い
◆1拠点が被災しても、もう
1拠点に接続することでシス
テムの継続利用が可能
北陸地方整備局のネットワークは、図-4に示
すとおり、基幹ネットワークで各事務所や出張所
1箇所集約案
概要
◆2拠点に分散するため、シ
ステム停止のリスクは低い
◆1拠点が被災しても、もう
1拠点に接続することでシス
テムの継続利用が可能
◆2拠点にアクセスが分散さ
◆負荷分散により分散され れるためアクセス対策として
◆複数拠点にアクセスが分
アクセス対策の るため、2拠点に分散する案 は有効
散されるためアクセス対策と
視点
と同程度のアクセス対策が ◆ただし、局所的な災害に
しては有効
可能
対しては1拠点にアクセスが
集中する可能性がある
◆障害発生時に2箇所でメ ◆障害発生時には3箇所以
ンテナンスを行う必要がある 上でメンテナンスを行う必要
ため、利便性は低い
があるため、利便性は低い
メンテナンス性
◆サーバ集約型のためメ ン
テナンス時の利便性は良い
経済性
◆現状と同様のサーバ台数 ◆現状よりサーバ台数が増
が必要となる
加する
評価
△
○
◆多くのサーバ台数が必要
となる
△
図-5 防災情報共有化システム構成イメージ図
(7)システムの構築
本システムの画面構成は、平成18年度のシステム
②操作の目的に応じた機能構成とする(例:地図
構築時の画面を基に機能が拡張されたこともあり、
表示の場合は地図を大きく、情報検索の場合は
操作性の観点から以下の課題・問題がある。
検索結果を大きく表示する等)
a)現行システムの課題と問題点
①画面構成や機能が煩雑化
ログイン画面には一つの画面に多くのボタンが
配置されており、迅速な災害対応に影響を与える
③機能の最適化により、シンプルな画面構成とす
る等。
画面構成が変更された例として、写真情報画面
の変更を図-6に示す。
問題があるため、システム操作を事前に習得する
必要がある。
②操作性への配慮
機能の要件は満たしているが、操作性に配慮す
べき画面が存在している。
例えば、資機材検索の場合、検索画面と検索結
果の画面が分かれているため、検索結果を踏まえ
た新たな検索を行うに当たり手間が生じている。
③利用頻度の低い機能や不要な機能が散在
機能の拡充や運用方法の変更に伴い、利用頻度
が低くなった機能や他の機能で代替可能な機能が
散在していることから、操作の煩雑化を生じさせ
ている。
例えば、災害画像をメールで特定の職員に送信
する機能があるが、現在は携帯電話サイトがある
ため、メールで送信する必要がない。
b)システム構築の方針
以上の課題を踏まえ、システム構築方針は以下
の通りとした。
①災害時に利用するため、マニュアルレスでも直
感的に操作できる分かりやすい画面構成とする。
図-6 写真情報画面の変更
C)システムテスト
データを取得し東西拠点に配置されたWebサーバへイ
北陸技術事務所、本局、富山出張所の3箇所におい
ンストールした。これにより、インターネット接続
て、新設サーバに対してデータベースとシステムの
に支障があっても地図情報を閲覧することが可能と
インストールを行った。
なった。
システム試験では、設計書通りに動作することを
(5) 携帯電話を用いた情報登録の効率化に関する検討
十分に確認する必要がある。また、確認漏れがない
では、情報の登録や監視を一つの入り口とし簡便化
ように努めなければならないため、試験を行うにあ
を図ったが、明確な操作簡便化には至らず更なる検
たり、各画面の全ボタンに対して機能の動作確認を
定めたシステム試験計画書に沿って行った。
討が必要である。
(6) システム全体像の検討では、背景地図に地理院地
図を採用し全国範囲で自由な縮尺を選べるようにな
4.考察
った。旧システムからの移行項目分類や廃止項目を
検討し、短期間で移行できた。
(1)システム継続体制
(7) システム構成の検討では、北陸地整管内における
インターネット普及に伴い過去においても幾多の
通信のボトルネック箇所を考慮し、東西にサーバを
システムが構築され今日まで至っているが、その多
くがシステム完成後のデータ更新が充分になされて
分散させた。東西の各拠点で登録されたデータは、
10分間隔程度でデータ連携を行う仕組みとした。ま
いなかったり、管理する組織体制の変更が要因とな
た、セキュリティ対策としてメールサーバに中継サ
り継続的な運用が妨げられている。
ーバを追加した。
本システムでは、北陸技術事務所の防災関係課が
管理運用を担い、毎年度始めに資機材データ更新依
6.あとがき
頼を北陸地整(防災課)を通じて各事務所へ依頼す
る形となっており、今後も継続が図れる体制である
(1) 本システムは平成18年に概成し運用が開始されて
と考えられる。また、防災訓練等において本システ
いたが、サーバ、OS類が7年程経過し老朽化してい
ムの活用徹底や通常時においてもCCTVカメラや
たこと。また、当時は有償の地図しかなく北陸地整
観測データ等が本システムを利用されるよう工夫す
管内以外は大縮尺で利用出来なかったこと。更にシ
ることも重要だと考えられる。
ステムの立ち上がり時間や画面切替動作も非常に遅
(2)情報の共有化範囲
本システムは北陸地整のイントラに存在すること
から、一般公開対象となっていない情報についても
かったことが上げられる。今回業務においてこれら
を改善した結果、システム動作がストレス無くスム
ーズに操作が出来るようになった。
利用が出来る良い面があるが、各組織が入力する
(2) 発災時の道路情報入手について、諸関係機関も含
「時系列情報」においては、事務所限り、グループ
め要望は多かったが、本システム検討時にはリアル
限りの共有化範囲設定も必要だと思われ、それによ
タイムかつ面的な情報源がなかった。「ETC2.0プロ
り更なる利活用が図れるものと期待できる。
ーブ情報」(2011年、全国の高速道路上を中心に
ETC2.0プローブ情報を収集可能な路側機を約1,600箇
5.まとめ
所整備。2015年より全国の直轄国道に展開。)の利
活用は大いに期待出来るものと考えられる。
(1) 要求分析と課題では、システム動作速度の向上、
(3) 発災時初期では態勢が本格稼働するまで情報不足
地図の全国化対応、操作方法の簡易化等の前システ
にならざるを得ないが、その対策としてツイッター
ムに対する改良要望が主であった。
からの情報収集が有効となる可能性がある。
(2) 他システムとの連携に関する調査では、CCTV
なお、平成26年11月22日長野県北部地震時や平成
映像(映像情報共有化システム)、監視観測情報
26年12月18日国道148号雪による通行止め等には、発
(統一河川システム、道路管理情報システム等)が
災初期から情報が上げられていることが確認出来た。
アンケート要望の上位を占めた。
(3) 情報項目の追加の検討では、上述(2)の他に、航空
写真、ボーリング柱状図、堤防MMS(モバイルマ
ッピングシステム)情報を追加した。
(4) システム冗長化の検討では、国土地理院より地図
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