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3 さらに変形し(途中略)、(3- )
40 3 さらに変形し(途中略)、(3- 1 2K 3K+1 )√ 12K =0 、これより (2.5) K=1/6 を得る。この時の θ m は、(2.5)を(2.3)に代入することにより θ m[K=1/6] = π/3 となる。 また、この時のymは、(2.5)を(2.4)に代入してym[K = 1/6] = √3⁄4 と求められる。 図 2-4 はこの状態を図示したものである。したがって、直流電圧利用率の改善効果は、 1⁄√3⁄4=√4⁄3=2√3⁄3 ≅ 1.1547 であり、15.47%の改善効果となる。これは、後述す る図 2-13 において SPWM と SVM に対応する円の半径の比較により得られるところの 次式で示される瞬時空間ベクトル変調(SVM)の改善効果に等しい。 (√2/2)⁄(√6⁄4)=2√3⁄3 ≅ 1.1547 証明終わり (a) 第 3 高調波注入変調 (b) 二相変調 一定振幅の直流電圧から最大の正弦 波を取り出せる ある一相のデューティは固定 この方式より変形二相変調に発展 (c) 変形二相変調 (d) 変形台形波変調 一相はスイッチング休止のため、スイッチ ング回数すなわち損失を 2/3 に減少できる 直線の組み合わせで変調が簡単 電圧はやや歪むがモータ駆動用には十分 図 2-5 サブハーモニック方式の各種バリエーション 1.3.3 二相変調方式 この方式は、名称が示す通り三相の内の二相のみを変調する方式である。非変調相の 信号波は一定値を保つ。この考え方をさらに発展させて、一定値を±1 に固定してスイッ 57 85 600V ~ 1700V クラスの素子を使っている状況をみると、SiC パワーデバイスの開発の主 流は MOSFET に代表されるユニポーラ素子となる。ベース厚が Si の約10 分の1 である ことから大幅な損失の低減が可能であり、オン電圧の低減による導通損失の低減、スイ ッチング損失の低減による高周波化とその結果としての装置の小型化が期待される。ま た、熱伝導度が Si の 3 倍以上あること、高温での動作が期待できることなどもパワーデ バイスとしての大きなメリットである。 5.3 SiC-MOSFETデバイス、プロセスの課題 SiC -MOSFET はユニポーラ型素子であるため、高耐圧素子においても低オン抵抗でし かもスイッチング速度が速くできるということが大きな特徴となる。そのため Lateral Resurf 型から縦型 DMOS 構造など各種 SiC-MOSFET 構造の試作報告されている。特に 最近では 1200V 耐圧で 50 アンペア以上の電流導通能力を有する、5mm 角程度以上の大 面積縦型素子の発表が目立ってきている(表 4-1-2) 。 表 4-1-2 最近発表された大面積 SiC-MOSFET(1200V) A社 B社 C社 D社 チップサイズ 1.2mm□ 4.8mm□ - 3.3mm□ 7mm×8mm RonA(R.T) 5.7mΩcm2 7.0mΩcm2 1.7mΩcm2 3.7mΩcm2 3.7mΩcm2 Vth(V) (R.T) 4.9V - - 0.3V 3.5V 素子構造 DMOS DMOS トレンチ DMOS DMOS 出典 ECSCRM 2010 技術情報協会 資料 IEDM 2011 ISPSD 2011 ISPSD 2011 またより一層の低オン抵抗化を目指したトレンチゲート構造の開発によって低オ ン抵抗特性を有する 1200V MOSFET の試作結果も報告されるに至っている 27)。しか しながら SiC-MOSFET のオン抵抗は、理論的限界値に比べ未だかなり大きく、十分 に SiC の性能を発揮するには至っていない。その原因の一つとして、SiC/SiO2 界面 準位密度が Si よりも高く、チャネル移動度が低いことが挙げられる。4H-SiC の理論 的限界値までオン抵抗を下げるには、耐圧にも依存するが 100cm2/Vs 以上のチャネ ル移動度が必要であると言われている。 高品質 SiC/SiO2 界面改善と併せて、大きな課題のひとつとして SiC 上に形成された ゲート酸化膜の信頼性向上がある。MOSFET のスイッチングのたびに比較的大きな電界 強度がゲート酸化膜に繰り返し印加されるため、 その長期信頼性は MOSFET にとって極 めて重要な特性となる。SiC 上にゲート酸化膜を形成するには、Si プロセスと同様、熱 酸化法が適用することができる。ただし、SiC は Si に比べて高温での酸化が必要である こと、Si 基板に比べ SiC 基板は結晶欠陥が多いこと、さらには酸化プロセス中に炭素の 脱離が生じることで酸化膜中に炭素が残留するなど、問題点が多いことが指摘されてい る。さらに SiC と SiO2 の伝導電子帯間のエネルギー障壁が Si の場合よりも小さくキャ リアが酸化膜中に注入されやすい、など酸化膜の信頼性を向上させる上で解決すべき課 題は多い。 58 108 温度サイクル 2,000[cycle]実施後 ΔTc=145℃(-40℃~105℃) SnAg系はんだ Sn-Sb系はんだ 図 4-2-23 SnAg 系はんだと SnSb 系はんだの温度サイクル試験後のクラック進展状況の比較 Sn-Sb solder SnSb系はんだ 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 初期 150℃/1,000Hr放置後 175℃/1,000Hr放置後 initial 1,000hr/150°C 1,000hr/175°C ■: 窒化珪素絶縁基板、従来SnSbはんだ : 窒化珪素絶縁基板、新規SnSbはんだB 温度サイクル条件ΔTc=145℃ SnSbはんだのSb比率: B > A > 従来 14 Sn-Ag SnAg系 はんだ solder crack length Relative クラック長比率 [%] [%] 張力変化率 Change Rasio of tensile strength ○: アルミナ絶縁基板、従来SnSb系はんだ ▲: 窒化珪素絶縁基板、新規SnSbはんだA 1.2 12 10 8 6 4 2 0 図 4-2-24 SnAg 系はんだと SnSb 系 はんだにおける高温処理 による張力の低下 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 Number of cycles [cycle] サイクル数 [cycle] 図 4-2-25 SnSb 系はんだにおける Sb 量の違い によるクラック挙動の比較 アルミナAl2O3絶縁基板 従来SnSbはんだ 窒化珪素Si3N4絶縁基板 新規SnSbはんだB 温度サイクル 3,000[cycle]実施後 ΔTc=145℃(-40℃~105℃) 図 4-2-26 Sb 量の違いによる温度サイクル試験後のはんだクラックの状況 以上のように、絶縁基板構造やはんだ材料の選定により、車載インバータ用 IGBT モ ジュールにおいて、信頼性の大幅な向上が期待できる。今後のさらなる信頼性向上に期 待したい。 59 121 る。電源電圧は、シビックHEV は、モータ出力が比確的小さいので 100V となっており、 モータ出力の大きいシボレータホ HEV、ボルト、およびリーフ EV は 360V と高圧にな っている。昇圧コンバータを有する、プリウスⅢ、レクサス HEV では、モータ出力が 大きい場合でもバッテリ電圧が昇圧されるので、300V 以下の電源電圧となっている。な お電源電圧は、安全性の面より、ほとんどの HEV/EV で最大でも 350V 前後に抑えられ ている。冷却方式は、モータ出力が 10kW のシビック HEV では、空冷が使用されてい るが、他は全て水冷方式が採用されている。 表 5-2 HEV/EV 用インバータの実例 搭載車両 (ホンダ) シビック HEV (GM) シボレー タホ HEV 1 インバータ 2 インバータ (トヨタ) プリウス Ⅲ (トヨタ)4) レクサス HEV (GM)5) シボレー ボルト (日産) リーフ EV 外観 構成 パワー素子 電源電圧 IGBT IGBT 2 インバータ 2 インバータ 2 インバータ 昇圧コンバータ 昇圧コンバータ DC-DC コ ン バ ータ IGBT IGBT 1 インバータ IGBT IGBT 360V 360V 100V 360V 202V 288V 駆動用モータ (10kW) 駆動用モータ (86kW) ジェネレータ 駆動用モータ (60kW) ジェネレータ 駆動用モータ (147kW) ジェネレータ 冷却方式 空冷 直接水冷 直接水冷 両面水冷 直接水冷 間接水冷 体積 2.5L 20L 14L 10.3L 13L 11.3L 制御対象 モータ 特長 メーカ インバータ 低インダクタ 昇 圧 コ ン バ ー 両面水冷 バッテリ ンス構造 タ(650V) 高効率 DC-DC コンバ DC-DC コンバ 冷却 ータ ータ 一体化 一体化 内製 日立 内製 デンソー 駆動用モータ 駆動用モータ (111kW) (80kW) ジェネレータ 小形 高集積 構造 日立 IGBT チップ 小形化 銅ベース 直接マウント 内製 注:(GM)シボレータホ HEV 用及びシボレーボルト用インバータの写真は日立オートモーティブシステム殿提供 次にシビック HEV 用インバータ、シボレータホ HEV 用インバータ及びプリウスⅢ用イ ンバータについて説明する。 (1) (ホンダ)シビック HEV 用インバータ6) 図5-10 にシビック用インバータの構造とそのモジュール構造を示す。図(a)はインバー タの構造を示しており、HEV 用インバータでは数少ない空冷方式で、ヒートシンクに冷 却風を流してパワーモジュールを冷却している。ヒートシンクにパワーモジュールが装 着され、その上にモータコントロールボード、さらにその上に平滑コンデンサが装着さ れている。図(b)は本インバータ用に開発されたパワーモジュールの冷却構造を従来構造 60 139 <I での分離> 最初に図 6-4 における I 部分での分離を考える。 これは IGBT のゲート部分での分離で ある。この場合、IGBT を焼損から守るための非飽和電圧検出(Desaturation)と、IGBT をオフ状態に向かわせる期間にミラー効果によるゲート電圧の上昇を防ぐためのミラー キャンセリング(Miller cancelling)回路の 2 つの検出回路もゲートドライブ回路に接続 する必要がある。図 6-6 は具体的な実施例である。上記 3 つの回路はそれぞれの信号電 流のリターンパスが必要であるので個別の同軸ケーブルで接続する必要がある。この図 では、非飽和電圧検出およびミラーキャンセリング回路をゲートドライブ機能とともに 集積した絶縁素子製品を使った場合を描いてあるが、個別部品や ASIC 等でゲートドラ イブ機能等を実現した場合も分離方法は同様になる。電力制御素子やデカップリングコ ンデンサ等の受動素子のみを高温部分におけるので、実現しやすいのが特長であるが、 設計時にはケーブルが持つ浮遊容量(心線・外被間)に注意する必要がある。また、ケ ーブルを特性インピーダンスで終端することが難しいため、ケーブル長が数メートルに なると、反射波がゲートドライブ信号のタイミングに影響を与える可能性がある。接続 本数に関しては、各アームのパワーデバイスに対して 6 本の制御線が必要である。した がって、三相インバータでは 36 本の制御線が必要である。同図の絶縁部分(Isolation) から右側部分は、ケーブルを含めてパワーデバイスのスイッチングと共に同相電圧が発 生する。特にケーブル外被部分がグランドに対して変位電流を生じ、EMI の原因となる。 したがって、このような分離方式を選ぶことはノイズの面から好ましくない。 V DD VDC Isolation component Coaxial cables Desaturation D n io atl o sI Isolation I/F Kelvin Connection Gete drive SW Miller Cancelling Load L2 Control circuit Separation Power device Fig.図6-6 of the power devices at I 6-6Separation 電力制御回路部分の I での分離 61 186 4.1.3 放熱経路の拡張、拡大化の例 パワーデバイスパッケージにおいて、放熱経路を増やす方法は、パッケージとして直 方体をイメージした場合、残りの 5 面から放熱を確保することになる。すべての面から の放熱を考えることは現実的ではなく、現在の放熱面に対向する面からの放熱を考える ことになる。パッケージの小型の面からも残る側面 4 面は、できる限り薄く(幅を狭く する)したいのと、外部接続用に電極を取り出すために、利用しにくい。パワーデバイ スを両面から放熱するためには、両面に金属ヒートシンクを設ける。ここで、チップの 回路形成面側は、外部との接続のためのボンディングパッドが存在する。ここは、外部 引き出しリードとワイヤボンディング(今回は Al ワイヤを用いた例を説明するが、最近 は Cu ワイヤあるいは Cu リボンリードを採用している例もある)を形成する隙間を確保 する構造とする必要がある。図 8-45 は、今回説明する両面放熱構造のパワーデバイスパ ッケージ(以下パワーカードと呼ぶ)を示す6)。本構造により、放熱シミュレーション の結果から、熱抵抗は従来構造に比べ半減が可能と判断した。ただし、最終的な製品と モールド樹脂 電力端子 放熱板 (無酸素銅) 導電スペーサ (無酸素銅) 放熱板 ⇒ 電力端子と直結 放熱板 (無酸素銅) 信号端子 半導体素子 (a) 樹脂モールドした外観 (b) 内部構造 図 8-45 両面放熱パワー素子 両面放熱パワー素子 ① 挿入 絶縁板 両面放熱パワー素子 冷却水出入パイプ 絶縁板 板ばね (③ 加圧) 積層型冷却器 冷却板 ヘッダー (ダイアフラム構造) (a) 一組の両面放熱組立構造 ② 圧縮 ばね固定ピン (b) 全体の両面放熱組立構造と手順 図 8-46 実際の両面放熱構造