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神経組織 Histology10
本日の講義 1)神経細胞:分類と構造 神経単位(Neuron)とは 2)神経線維 神経の突起と鞘 3)シナプス 4)末梢神経の構築 5)末梢神経の終末 6)神経節 7)神経膠 神経組織 Nervous tissue 中枢神経系(脳、脊髄) 末梢神経系(中枢神経系以外) 構成:神経細胞: 神経単位(Neuron)を構成、 興奮伝達 支持細胞 (神経膠=Glia):支持、栄養、伝達促進の働き 1)神経細胞 細胞体とその突起 (神経単位:neuron) 分類 胎生期 1.無極神経細胞 感覚ニューロン 2.偽単極神経細胞 介在ニューロン 3.双極神経細胞 4.多極神経細胞 運動ニューロン 細胞体 大きさ 4~180μm 形:球形、紡錘形、星形 核 1つ 大きい 明るい 核小体明瞭 細胞質 ・ニッスル小体(粗面小胞体)=好塩基性 軸索の根元(Axon hillock)には無い ・ミトコンドリア、ゴルジ装置、神経原線維を豊富に含む ・リポフスチン色素 は老人に多い(消耗色素) 突起(2種) 1)樹状突起 --- 短い、数本 枝分かれする。 求心性伝達 2)軸索(神経突起)---長い 通常1本 鞘に包まれて神経線維となる。 遠心性伝達 Dendrites 樹状突起 神経単位 機能的に4部位 に分かれる 細胞体 軸索 神経終末 (シナプス) 2)神経線維 Nerve fiber 神経細胞の突起とそれを包む鞘からなる 構成: A.神経突起(軸索:Axon) 神経原線維 (渡銀染色陽性) 1.neurofilaments 中間径フィラメント 構造支持 2.microtubules 微小管 軸索流(伝達物質の小胞輸送) B.鞘状被膜 (グリア由来) 1.髄鞘(ミエリン鞘) 2.シュワン鞘=シュワン細胞の細胞体 神経インパルスの発生と伝導 膜の脱分極 -電気的信号 Na チャネルが開き、Naが流入することにより 静止電位が逆転する 髄鞘(ミエリン鞘) myelin sheath これのあるものを有髄線維, 無いものは無髄線維という 細胞膜が幾重にも巻きついた 年輪状の構造 中枢神経では希突起膠細胞、 末梢神経ではシュワン細胞 がつくる 中枢神経では 一つの希突起膠細胞が 複数の線維の髄鞘を作る 無髄線維 (ミエリンがない 有髄線維のミエリン構造 髄鞘の切れ目 (1)ランビエ絞輪 一定間隔(0.08から0.6mm)のくびれ 髄鞘を形成する細胞の継ぎ目 1つのシュワン細胞が1つの髄節 をつくる 硝酸銀に長期間浸すと銀十字 (2)シュミット・ランターマン切痕 線維方向に斜め方向の切痕 シュワン細胞の細胞質が 入り込むため 実習標本 有髄神経 有髄有鞘線維 縦断 HE染色 ランビエ絞輪を探そう 有髄神経線維 縦断 オスミウム染色 実習標本 有髄有鞘線維 末梢神経 縦断 オスミウム染色 髄鞘の役割 1.絶縁 2.跳躍伝導 興奮は絞輪から絞輪へ跳躍 有髄線維 伝導速度 6~120m/秒 (運動・知覚神経) 無髄線維 0.6~2m/秒 (自律神経) シュワン細胞(鞘) Schwann sheath 神経線維鞘ともいう 末梢神経のみにある ・有髄線維では髄鞘の外側を覆う。 1つの髄節に1つずつのシュワン細胞 ・無髄神経では軸索を直接を覆う 1つのシュワン細胞が複数の線維を包む 有髄線維 均質無構造の鞘にみえる -- シュワン細胞の細胞体部分 明るい細胞質、構造物に乏しい シュワン鞘の役割:神経線維の髄鞘形成、保護、栄養 無髄線維 末梢神経線維 無髄有鞘 自律神経 <鞘の有無による神経線維の分類> 髄鞘とシュワン細胞鞘の有無で分類。 存在場所が決まっている。 1. 無髄無鞘線維 中枢 灰白質 2. 無髄有鞘線維 末梢 自律神経 3. 有髄無鞘線維 中枢 白質 4. 有髄有鞘線維 末梢 体性神経 (節後線維) (運動・知覚) 3)シナプス (化学的シナプス) 神経単位の連鎖、連接する部位 神経伝達物質による伝導 (アセチルコリン カテコラミンなど) 線維末端=神経終末ボタン 膜の脱分極 Caチャネルが開く Ca2+ Caイオン濃度が上がる シナプス小胞 開口分泌 伝達物質がレセプターに結合 膜の脱分極 電気的シナプスとは? ジュンケイラ組織学 4)末梢神経の構築 1.神経内膜 個々の神経線維の間 2.神経周膜 数本から数十本の神経線維を まとめる膠原線維と線維芽細胞(内面) リンパ液を満たす管 3.神経上膜 神経周膜でまとめられたものを さらにたばねて一本の神経にする 結合組織 神経上膜 神経周膜 神経内膜 神経周膜 と 神経上膜 実習標本 有髄線維 横断 オスミウム染色 無髄有鞘線維 自律神経 (電子顕微鏡) 5)末梢神経の終末 A.求心性神経終末 (知覚) 1.自由終末 2.メルケル細胞 3.マイスネル小体 4.ファーター・パチニ小体 など B.遠心性神経終末 1.体運動性 骨格筋 神経筋接合部 一種のシナプス 2.自律神経終末 平滑筋への無髄神経終末網 自由終末でおわる 6)神経節 Gangrion 1.脊髄神経節 知覚神経節 ・偽単極神経細胞 ・衛星(外套)細胞は、神経細胞の表面を覆う一層の細胞 ・その外側には線維芽細胞など 実習標本 神経節 HE染色 2.自律神経節 ・多極神経細胞 節後ニューロンの細胞体 ・周囲に衛星細胞 グリアの数はニューロンの10倍以上 7)神経膠細胞 (Glia cells) 機能: 支持、栄養、代謝など多様な役目 1.上衣細胞 (場所により形態が異なる) ・脳室、脊髄中心管の表面をおおう単層立方ないし円柱上皮状 ・細胞上部に線毛(多数または2~3本)あり ・有尾上衣細胞では基底部から上衣線維 ・脈絡叢では脳脊髄液を分泌する脈絡叢上皮に分化 2.星状膠細胞 ・大型の細胞、多数の長い突起 グリア線維性酸性蛋白を含む ・突起の終足が血管壁を覆う 血液脳関門(BBB)形成 ・BBBは、血液ー神経間での栄養、代謝産物の選択的運搬に関与 3.希突起膠細胞 ・白質にて髄鞘形成 ・神経線維再生にも関与 ・灰白質では神経細胞表面を覆う随伴細胞 4.小膠細胞 ・不規則な形、小型間葉系細胞 (マクロファージに似る) ・脳の損傷時に貪食作用 ・血管周囲にもある 原形質性(灰白質) 星状膠細胞 末梢の膠組織 1.衛星細胞 (外套細胞) 神経節 2.シュワン細胞 ・ミエリン形成 ・末梢神経線維の再生 線維性(白質) 小膠細胞 希突起膠細胞 グリアの数はニューロンの10倍以上 ジュンケイラ組織学 線維性星状膠細胞 希突起膠細胞 形質性星状膠細胞 小膠細胞 ジュンケイラ組織学 血液脳関門 Blood Brain Barrier 脳内毛細血管と神経細胞間での選択的バリアー ・星状膠細胞 ・血管内皮 (無窓性毛細血管) ・基底膜 で構成される 軸索の再生 神経系 (各論) 脳 脊髄は 自学自習のこと