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留学生活を通して学んだこと

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留学生活を通して学んだこと
留学生活を通して学んだこと
中国 広東外語外貿大学 協定留学生
留学期間 2014 年 9 月~12 月
グローバル・コミュニケーション学部 3 年
樋口 千夏
私は 8 月下旬に日本を出発し、12 月下旬までのおよそ 4 か月間、中国の広東省にある広
東外語外貿大学に留学していました。中国に着いたばかりの頃は、右も左もわからない状
態で、日本とは違う生活環境に戸惑う毎日でした。周りの中国人学生の助けもあり、戸惑
ったのは初めだけで、徐々に新しい環境に慣れ、とても充実した留学生活を送ることがで
きました。4 か月という短い期間でしたが、思い出や学んだことがたくさんあります。まず、
留学先の広州について説明してから、学んだことをいくつかの項目に分けて書いていこう
と思います。
広州について
私のいた広州は、中国の南に位置していて、夏が長く、一年を通して比較的暖かい気候
です。秋は短く、すぐ冬になってしまいます。冬といっても日本のように雪は降らないの
で、広州に長年住んでいる人は雪を見たことがないと言っていました。食べ物について紹
介すると、
「食は広州にあり」と言われるほど広州の食べ物はどれもおいしく、日本よりも
安く食べられるので食べ物に困ることはありませんでした。また、近くには香港があり、
飲茶や広東語を話す文化があります。学校の近くで、老人が毎朝、点心を囲み、新聞を読
んだり、おしゃべりしたりする光景をよく目にしました。ほかにも広州は中国の大都市の
ひとつであり、貿易が盛んです。学校から少し離れると、ビジネスをしに来ている外国人
をよく目にしました。観光地もいくつかあり、白雲山、北京路や広州タワーなどいくつか
訪れてみました。広州は現代っぽさもありながら、中国の古き良き文化が感じられる点で、
ここを留学先に選択してよかったなと感じています。
言葉の大切さ
中国語もやはりネイティブが話すとなると、今まで検定や授業中に聞いてきた中国語と
違い、早くてはっきりした発音ではないため聞き取れないし、日本で中国語を実際に使っ
て話す機会がなかったために言いたいことも出で来ず、もどかしい気持ちでいっぱいでし
た。日本語を使わない環境で生活して、あらためて言葉の大切さに気付かされました。留
学中に私が一番思ったことは、言葉は生き物であるということです。大きく言うと時代に
よって変化し続けていると言えるし、もう少し小さな見方で見ると、生活の中で実際に使
ってこそ言葉は活き活きとし出し、言葉としての役割を果たすということです。日常生活
で、今まで教科書で学んできた単語や言い回しが実際に使われているのを聞いて、ここで
こう使えばいいんだとか、この表現はあまり使わず、別の言い回しで言えるのかだとか、
毎回発見するたびに面白さを感じていました。そこで今までの自分の勉強を振り返ると、
中国語を勉強することは、資格を取るため、良い成績をとるためという目的であったこと
に気付きました。言語を学ぶことに楽しさを忘れていたのです。せっかく学ぶのであれば
楽しく学ぶべきだし、実際に使うことが大切だと気付くことができました。
私の中での考え方の変化
留学を通して私が一番学んだことは何事に対しても固定観念を持ってはいけないという
ことです。中国に来て、日本では当たり前であったことが覆されることがほとんどでした。
例えば、バスや電車を待つ時は基本的に並ばない、トイレの紙は流さない、缶ジュースを
飲むときはストローを使う、食後はよく散歩をする、大学生でも昼寝をする習慣がある、
会計の時、お金は偽札でないか常に確認する、市販のお茶が甘いなど小さいことも含め違
いを挙げたらきりがありません。しかし、あまりにも違いがありすぎて私はそれを発見す
るのが楽しくてたまりませんでした。私たち日本人からすると、おかしい、信じられない
と思うかもしれませんが、これらのことは中国では当たり前のことであって何もおかしい
ことではないのです。逆に考えたら、私たちのしていることもおかしいと言われるという
ことなのです。だから、物事に対して、このやり方が正しい、こうでなくてはおかしいと
いう固定された考えは捨てなくてはいけないなと思いました。これは物事に限らず、人に
対しても同じだと思います。私はこの留学でたくさんの国の人と出会い、友達になりまし
た。皆、母国語、肌の色、目の色、価値観はそれぞれです。しかし、この国の人はこうで
あるというステレオタイプを私たちは気付かないうちにもっています。実際、日本にいる
と中国人に対する印象は良いとは言い難いです。これはすべてメディアによって私たちの
見方が制限されているのであって、実際に中国人とかかわってもいないのに悪い印象を持
っている人が大部分だと思います。もし私が今回中国に留学していなかったら、きっと大
部分の人と同じような考え方をし続けていたと思います。
留学中、中国人の友人たちから何度か、故郷の特産品をお土産にもらうことがありまし
た。どれもその故郷ごとに特色があり、様々でした。また、私がいた広東省に住む現地の
人々は、標準語とは全く異なる広東語を使用していました。
これらの体験を通して、中国は面積がとても大きいために、同じ中国語のひとくくりで
あっても地方によって方言があったり、生活習慣が多少異なっていたり、同じ中国国内で
も文化の違いがあることに気付きました。こんな膨大で多様な文化を持つ国で生活してき
た人々を、簡単にひとくくりにして評価してしまうことは間違っていると思いました。こ
れは中国だけには限りません。だからこれからは安易にこういう国だ、こういう人種だと
決めつけることは避けようと思いました。
外から見た日本
日本から一歩出ると、中国のことを知れるだけでなく、日本のことも客観的に見つめな
おすことができました。国内にいてはわからない外から見た日本の姿です。中国で日本の
製品を目にする機会が多く、中国にも日本の製品の消費者がたくさんいることがわかりま
した。特によく目にしたのが、化粧品やカメラ、自動車です。どの製品も、細かなところ
まで考え、気を使う日本人の精神がにじみ出ているように感じました。また若者の間では
日本のアニメをよく見る人が多く、日本語をアニメで勉強しているという友達も何人かい
ました。留学中、中国人の友達や、ほかの留学生から、日本の製品やアニメは素晴らしい
と聞く機会が多く、一人の日本人としてとても誇りでした。
最後に
今回の中国留学を通して様々な学びと発見がありました。そこから、今までの自分を見
つめなおし、新しい考え方を見つけ、以前より広い視野を持てるようになりました。数か
月間でしたが、語学力だけでなく、日本と違う環境で生活することで精神的にも成長する
ことができ、とても素晴らしい経験ができました。これもすべて、周りで支えてくれる人
がいたから得られたことです。感謝の気持ちを忘れず、この留学の経験をこれからの自分
の人生やほかの何かに役立たせられるように努力し続けたいです。
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