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デング熱について∼約70年ぶりの国内感染∼
11 November 2014 デング熱について∼約70年ぶりの国内感染∼ デング熱は世界中の熱帯・亜熱帯地域にみられ、毎年5千万∼1億人の患者が発生していると考えられている感染症です。 蚊によって、人から人へ感染します。デングウイルスを媒介する蚊は、空き缶などに溜まった水でも発生するため、都会で流行する ことも多いとされています。 日本での流行状況 1940年代以降、海外で感染し国内で発症する輸 入例は報告されていましたが、国内で感染した報 告はありませんでした。 デング熱・デング出血熱報告患者数 (2000∼2014年10月現在) 患 者 数︵ 人 ︶ ●国内感染者数: 159名(10/15時点) ネッタイシマカ ヒトスジシマカ 日本に常在していない 東北以南で生息 ヒトスジシマカの分布域が北上 日本でのヒトスジシマカの分布域は 北へ拡大しており、1948年ごろは栃木 県が北限でしたが、現在は秋田県や ヒトスジシマカ 岩手県まで定着が確認されています。 温暖化に伴う平均気温上昇によって今後さらなる分布 域の拡大が危惧されています。 20 14 13 12 11 20 20 20 09 10 20 20 20 08 07 06 20 20 20 05 04 03 20 約半数が 国内感染 :輸入例 デング熱の媒介蚊∼ヒトスジシマカ 主な 媒介蚊 02 01 20 20 20 00 8月に約70年ぶりに海外渡航歴のない女性がデング 熱を発症したことが確認され、 それ以降、感染者は増 加し、10月15日時点での国内感染者数は159例とな りました。主な患者発生地域は東京都代々木公園周 辺で、 ここで感染した疑いがある者は127名とされて います。 また、関西でも兵庫県西宮市内で感染したと される患者報告が1例ありました。 ●国内患者数(輸入例含む) : 306例(10/8時点) 20 しかし今年・・・ :国内感染例 移動した先で 再び蚊に刺される。 感染拡大のイメージ 流行地域でウイルスを 持った蚊に刺される。 感染 移 感染 動 ウイルスを持った 蚊が別の人を刺し 感染拡大していく。 2度目の感染は重症化リスク高 感染 デングウイルスには、DEN-1∼DEN-4の4種の血清型があります。一度罹患すると罹患した血清型に対しては終生免疫を獲得し ますが、異なる血清型であれば再び感染してしまいます。デング熱の病態には、非致死性の熱性疾患であるデング熱と、重症度 の高いデング出血熱やデングショック症候群があり、再感染した場合、 デング出血熱を呈するリスクが高いと考えられています。 デングウイルス感染症 ∼病態分類∼ デングウイルス による感染症 デング熱は通常1週間前後で回復しますが、一部の患者は血漿漏出と出血傾向を主症状とするデング出血熱 になります。 このうちデングショック症候群等の病態になった患者を重症型デングと呼び、適切な治療が行われ なかった場合の致死率は10∼20%とされています。 症候性 デング出血熱 無症候性 デング熱 50∼80% 非ショック デングショック症候群 【重症型デング】 致死率10∼20% (適切な治療を行えば 致死率1%未満) 出典:WHO HPより Dengue、国立感染症疫学センター IDWR,IASR、厚労省HPより デング熱診療ガイドライン (第一版) 、第6回厚生科学審議会感染症部会資料1-1、 厚労省FORTHより デング熱,デング熱と重症型のデング熱について 、環境省『日本の気候変動とその影響』 (2012年度版) と ちょっ 識 「デング熱」名前の由来 知 豆 デング熱のdengueとは、英語の「dandy」にあたるスペイン語「denguero」が語源とされ、 これは日本語に訳すと 「シャレ者」 という意味です。デング熱の症状である背部痛をかばって歩く姿はシャレ者があたかも気取って歩くよう な姿に似ているから 「デング熱」 という名前がつけられたと言われています。英語ではbreak bone feverとも呼ばれて おり、その強い痛みが表現されています。 国立感染症疫学センター IDWR 感染症の話 企画編集:一般財団法人 阪大微生物病研究会(http://www.biken.or.jp) 発行:一般財団法人 阪大微生物病研究会/田辺三菱製薬株式会社 ▲上記本文中の内容に関するお問い合わせは、お受けしておりません 5BI-403A-