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DocuShareモバイルクライアントとクラウド 連携による新しいワーク
特集 DocuShareモバイルクライアントとクラウド 連携による新しいワークスタイルの提案 Offering a New Work Style Provided by DocuShare Mobile Client and Cloud Service Linkage Option 要 旨 近年、スマートフォンやタブレットPCなどのモバ イル機器が普及し、オフィスでも日常的に使用されて いる。一方では、オフィスワークを支援するクラウド 上のサービスが増加している。このような環境の変化 に対して、企業の情報共有の仕組みも対応が求められ ている。 富士ゼロックスは、文書管理システムDocuShare を提供し、会社内の文書共有を中心とした業務を支援 している。新たに、DocuShareのモバイル機器向け の専用アプリケーションと、クラウド上の文書管理シ ステムとの連携機能を提供する。これにより、場所や 時間に縛られないワークスタイルと、会社の枠を超え た情報共有を実現した。 Abstract 執筆者 高橋 石飛 砂田 三浦 鈴木 原田 範泰(Noriyasu Takahashi) 康浩(Yasuhiro Ishitobi) 智(Akira Sunada) 徹(Toru Miura) 善晴(Yoshiharu Suzuki) 祐志(Yushi Harada) In recent years, mobile devices such as smart phones and tablet PCs have become popular and are now being used daily in offices. More cloud services for supporting office work are also being launched. In response to such changes in the working environment, the information sharing systems used in companies are also required to respond to those changes. Fuji Xerox has been providing a document managing system (called DocuShare) to support document sharing in companies. In addition, we provide for mobile devices an exclusive DocuShare application and a feature that enables linkage with the document managing system in the cloud. Both applications realize a flexible work style with no restrictions in terms of place and time, and thus enable information sharing beyond the framework of companies. ソリューション・サービス開発本部 ソリューション開発部 (Solutions Development, Solution Service Development Group) 富士ゼロックス テクニカルレポート No.22 2013 21 特集 DocuShareモバイルクライアントとクラウド連携による新しいワークスタイルの提案 1. 緒言 状況の分析に活用できる。 ④定形処理の自動化 スマートフォンやタブレットPCなどのモバ 文書を回覧することができる。また、コレ イル機器の普及に伴い、業務でこれらのモバイ クションや文書の更新時のメール通知を設 ル機器を利用するオフィスワーカーが増加して 定することができる。さらに、文書に対す いる。一方で、オフィス業務を支援する、さま るアクセス権変更や期限設定を、ルール定 ざまなクラウド上のサービスも普及している。 義によって自動化することができる。 クラウドサービスとモバイル機器を組み合わせ ⑤コラボレーション ることで、時間と場所を選ばずに仕事ができる Wiki、カレンダー、掲示板、ブログなどの ようになり、業務の生産性の向上が期待できる。 コラボレーション機能により、ワークグ ループでの協業を効率化できる。 富士ゼロックスは、DocuShareをはじめと する文書管理システムを提供している。これら のシステムは、企業内に設置しイントラネット DocuShareには、ユーザーの利便性向上の に接続されたPCから利用するという、従来の ために、さまざまなオプションソフトウェアが ワークスタイルに対応してきた。しかし、モバ 用意されている。 イル機器とクラウドサービスの普及に伴い、新 ①DocuShare 外部アクセス for Apeos しいワークスタイルへの対応が求められている。 複合機を介した、紙文書のDocuShareへ 本論文では、DocuShareに、モバイル機器 のスキャン登録と、DocuShareからのプ リント出力を可能にする。 向けアプリケーションと、クラウドサービス連 携機能を追加することで実現する、新しいワー ② DocuShare 登 録 プ ラ グ イ ン for ApeosWare Flow Management クスタイルについて報告する。 文書の加工処理や登録処理を自動化するソ フ ト ウ ェ ア で あ る ApeosWare Flow 2. 文書管理システムDocuShare 2.1 Managementと連携し、DocuShareに対 DocuShareの概要 する文書の加工と登録を自動化する。 DocuShareは、文書の登録、管理、および ③ DocuShare 共有を基本的な機能とする文書管理システムで DocuWorks 連 携 フ ォ ル ダ for 紙文書と電子文書を一元的に管理するソ ある。DocuShareの特徴を以下にあげる。 フトウェアであるDocuWorksのプラグイ ①簡単に利用可能な文書管理 ブラウザーを用いて、文書の登録や取り出 ンとして、PC上の文書とDocuShare上の しを行うことができる。文書は、コレクショ 文書をシームレスに扱うことを可能にする。 *1 ン 単位で階層的に管理される。また、文 ④ DocuShareデスクトップクライアント DocuShare に 登 録 さ れ た 文 書 に 対 し て 書のバージョンを管理することができる。 Windowsエクスプローラーと同等の機能 ②効率的な検索 文書やコレクションに属性を付与し、属性 を提供し、PC上の文書とDocuShare上の 値で検索することができる。さらに、文書 文書をシームレスに扱うことを可能にする。 内の文字列で検索することができる。 ③アクセスの制御 2.2 DocuShareの利用シーン コレクションや文書に対して、ユーザーお DocuShareは、そのオプションソフトウェ よびグループのアクセス権(読み取り権、 アとともに、さまざまなワークスタイルを支援 書き込み権など)を設定できる。また、文 する。 書の更新やアクセスの履歴を管理し、利用 ①文書の社内公開 社内展開する文書をDocuShareに登録し、 *1 22 コレクションとは、Windowsのフォルダーに該当する DocuShareの用語である。 公開する。ユーザーはブラウザーを用いて 富士ゼロックス テクニカルレポート No.22 2013 特集 DocuShareモバイルクライアントとクラウド連携による新しいワークスタイルの提案 社内のどこからでも必要な文書にアクセス 2.3 文書管理システム利用環境の変化 できる。また、DocuShareの検索機能を DocuShareは、社内での利用を想定して開 用いて、効率的に目的の文書を見つけるこ 発した文書管理システムである。しかしながら とができる。たとえば、全社員が参照可能 近年、以下のような環境変化に伴い、新たなニー なアクセス権を設定した連絡書公開用のコ ズが発生している。 レクションを設け、社員向けの連絡書を公 ①可搬性のある機器の普及 開する。 小型で、可搬性のあるモバイル機器が普及 ②機密文書の特定グループでの共有 し、オフィスでも利用されている。これら DocuShareのアクセス制御機能を用いて、 のモバイル機器で、効率的に文書管理シス 機密文書を特定のメンバーで共有する。た テムを利用する手段が求められている。 とえば、開発部門において、設計文書を商 ② 情報流通範囲の拡大 品開発プロジェクトごとに設けたコレク 文書の電子的な流通が進展するのに伴い、 ションに登録する。個々のコレクションの 会社間で文書をやり取りする機会が増えて アクセス権を、各商品の開発メンバーに限 いる。文書管理システムの利用においても、 定することで、開発メンバー以外のユー 会社間での文書のやりとりへの対応が、求 ザーが設計文書にアクセスすることを排除 められている。 し、安全に管理できる。 ③文書を通した共同作業 文書の共同執筆を、DocuShare上で行う。 たとえば、報告書の共同執筆において、ド ラフトの報告書をDocuShareに登録する。 この文書をレビューアーがレビューし、 ® Word のコメント機能などでコメントを 付与してDocuShare上で更新する。各執 3. DocuShareのモバイルクライアン トとクラウド連携機能の提供 3.1 環境変化への対応 2章で述べた環境の変化に対応するためには、 以下の課題を解決する必要がある。 ① 可搬性のある機器への対応における課題 筆担当者は、担当箇所のコメントを参照し、 DocuShareはブラウザーからの利用を基 DocuShare上の文書を更新する。更新し 本とする文書管理システムであり、 た文書はバージョンとして残るため、編集 iPhone® やiPad® などのモバイル機器上の 前の文書の内容の確認や、後戻りが可能で ブラウザーでの操作も保証している。しか ある。DocuShareデスクトップクライア しながら、ブラウザーからの利用では、ディ ントは、文書のバージョン操作を簡単に行 スプレイが小さいため操作性がよいとはい うGUIを備えており、このような利用に向 えない。また、モバイル機器上のさまざま いている。 な文書操作アプリケーションとの連携が、 ④文書を媒介とした業務フローの実現 DocuShareの定形処理を自動化する機能 容易ではない。 ② 情報流通範囲拡大対応における課題 を用いて、業務フローを支援する。たとえ 情報流通範囲拡大に対応するための手段と ば、注文書をFAXで受けつける業務におい して、DocuShareをインターネットから て 、 DocuShare 登 録 プ ラ グ イ ン for アクセス可能なデータセンターに設置し、 ApeosWare Flow Managementを用い 複数の会社からアクセス可能にする方法が て、受信したFAXをDocuShareに自動的 ある。しかしながら、この方法ではユーザー に取り込むと同時に、FAX受付業務の担当 が大規模な投資を行う必要があり、小規模 者にメールで通知する。担当者は、FAX文 なユーザーには向いていない。また、情報 書の内容を確認し、文書の属性に値を設定 の開示範囲の設定間違いなどの運用ミスが、 する。文書は回覧され、回覧を受け取った別 セキュリティー上のリスクに直結するとい の担当者が注文内容に応じた手続きを行う。 う課題がある。 富士ゼロックス テクニカルレポート No.22 2013 23 特集 DocuShareモバイルクライアントとクラウド連携による新しいワークスタイルの提案 これらの課題に対応するため、以下の2つの 図1に、本報告書で提案するシステムの利用 シーンを示す。モバイル機器からは、VPN回線 アプリケーションを提供する。 ①DocuShare Mobile を経由するなどして外出先からDocuShareに モバイル機器での表示と操作を考慮した、 直接アクセスし、社内からアクセスする場合と 専用アプリケーションである。iOS版と 同様に社内文書を利用する。また、展開対象の ™ Android 版を提供する。文書の登録、検 文書をクラウド上のサービスに転送し、取引先 索、閲覧などのDocuShareの各種操作を、 など他社のユーザーと共有する。 モバイル機器の小さな画面で効率的に実行 できる。また、モバイル機器上の他のアプ リケーションとの間で、簡単な操作で文書 をやり取りする機能を提供する。 3.2.1 DocuShare Mobileの利用シーン DocuShare Mobileでモバイル機器に対応 することにより、外出先から社内の ② DocuShare 連 携 オ プ シ ョ ン for DocuShareへのアクセスが、容易に行えるよ Working Folder うになる。このことにより、以下のようなワー 富士ゼロックスがクラウド上の文書共有 クシーンが実現できる。 サービスとして展開している、Working z 外出先から、社内資料を更新する。 Folder と の 連 携 機 能 を 提 供 す る 。 z DocuShareに自動的に取り込まれたFAX DocuShare上のコレクションとWorking を、どこからでも即時に閲覧する。 Folder上のフォルダーを対応づけること z 工事現場で、技術文書の閲覧、最新図面の により、DocuShareからWorking Folder 閲覧および現場の現況写真のアップロード へ、文書が随時コピーされる。この結果、 を行う。 DocuShareに登録した社内管理の文書を、 z お客様先で、最新のパンフレットを取り出 Working Folder を 介 し て 、 社 外 の ユ ー し提示する。また、モバイル機器上のネッ ザーと簡単に共有することができる。 トプリントアプリケーションとの連携で、 必要な資料を近くのコンビニエンスストア 3.2 新たなワークスタイルの提案 でプリントする。 DocuShare MobileおよびDocuShare連携 オプション for Working Folderを提供するこ とで、外出先からの社内情報へのアクセスや、 3.2.2 DocuShare 連 携 オ プ シ ョ ン for Working Folderの利用シーン クラウドサービスを介した会社間での情報共有 DocuShareがクラウドサービスと連携する などの、DocuShareを起点とした新たな情報 ことで、社内で管理している文書の社外への開 流通が実現できる。 示を簡単に行うことができる。このことにより、 以下のようなワークシーンが実現できる。 z文書管理 zアクセス管理 z改訂管理 z履歴管理 企業間の情報共有支援 資料 図面 DocuShare 取引先 現場 を 、 DocuShare の コ レ ク シ ョ ン か ら 、 Working Folderのフォルダーに転送する。 販売店は、Working Folderにアクセスし 格納文書の 転送 外出先からの 文書閲覧/登録 出張先 Working Folder z メーカーから販売店に展開する新商品情報 て情報を取り出す。 z メーカーから取引先への注文書を、取引先 お客様先 ごとに設けたDocuShareのコレクション から、取引先が利用するWorking Folder 外出先で印刷 外出先の社員のモバイルワーク支援 図1 24 DocuShareのモバイル・クラウド対応 DocuShare Mobile and Cloud Service Linkage Options に転送する。取引先は、自社が利用する Working Folderのフォルダーにアクセス し、注文書を取り出す。 富士ゼロックス テクニカルレポート No.22 2013 特集 DocuShareモバイルクライアントとクラウド連携による新しいワークスタイルの提案 操作手順 コレクション表示 ページで、送信する 文書を長押しする 4. DocuShare Mobile 4.1 概要 アクションシートで [メール送信]をタッ プする メールを作成する ページが、指定した 文書を添付して表 示される DocuShare Mobileは、モバイル機器に対し て、DocuShareへのアクセスを提供するソフ トウェア群である。DocuShare Mobileは、モ バイル機器にインストールするクライアントソ フトウェアと、サーバーにインストールする DocuShareモバイルオプションで構成される。 クライアントソフトウェアには、iOS向けと 図2 メール送信機能 The function of “Sending Documents by E-mail” Android™ 向 け が あ り 、 そ れ ぞ れ を 、 DocuShare Mobile for iOS お よ び DocuShare Mobile for Androidと呼ぶ。 ⑤ アプリケーション連携 DocuShare Mobile for iOSは、さまざま DocuShare Mobile for iOSとDocuShare なモバイルアプリケーションと連携するこ Mobile for Android は 、 動 作 す る プ ラ ッ ト とができる。簡易ファイルビューアーでの フォームは異なるが、ほぼ同等の機能を提供す 閲覧ができない文書の場合は、その文書を る。本報告書では、DocuShare Mobile for iOS サポートするモバイルアプリケーションに について述べる。 データを受け渡して閲覧することができる。 DocuShare Mobile for iOSは、以下の機能 富士ゼロックスが提供している、 DocuWorks文書のビューアーアプリケー を提供する。 ションであるDocuWorks Viewer Light ① オブジェクトの閲覧 iOSに標準で搭載されている簡易ファイル や、ネットで登録した文書をコンビニエン ビューアー(クイックルック)を使用して スストアの複合機にプリントするためのア 文書を閲覧できる。ディスカッション、ブ プリケーションであるnetprintとの連携も ログ、Wiki、予定表などのオブジェクトは、 可能である。たとえば、DocuShareに格 ® ブラウザー(Safari )が起動し、WebUI 納されている文書をDocuShare Mobile で表示される。 for iOSからDocuWorks Viewer Lightに 受け渡し、閲覧することができる。また、 ② 検索 DocuShareの簡易検索機能を利用した検索 DocuWorks Viewer Lightに格納されて ができる。検索範囲は、検索を実施した(現 いる文書を、DocuShare Mobile for iOS 在表示されている)コレクションである。 に受け渡し、DocuShareに登録すること ③ カメラロールから写真登録 ® ができる。netprint連携では、DocuShare ® iPhone およびiPad に搭載されているカ に格納されている文書や写真をnetprintに メラから撮影した写真を、DocuShareに 受け渡すことで、ネットプリントサービス 登録できる。 を用いてプリントすることが可能である ④ メール送信 (図3)。 DocuShareに格納されている文書や画像 を、iOSに標準で搭載されているメール機 能を利用してメール送信することができる (図2)。 資料を印刷 しないと! 受信FAX 図面 出先印刷(NetPrint) 資料 DocuShare モバイル オプション 図3 富士ゼロックス テクニカルレポート No.22 2013 netprintとの連携 Coordination with "netprint" 25 特集 DocuShareモバイルクライアントとクラウド連携による新しいワークスタイルの提案 4.2 システム構成 DocuShare Mobile このような背景から、DocuShare Mobile for iOS お よ び DocuShareモバイルオプションの構成を図4 for iOSでは以下のような技術選択と実装を 行っている。 に示す。 DocuShare モバイルオプションはWebア 4.3.1 アプリケーションの実装形態 プリケーションとして実現されており、 iOS上で動作するモバイルアプリケーション DocuShareが内包するWebアプリケーション には、モバイルWebアプリケーションとネイ エンジン上で動作する。DocuShare モバイル ティブアプリケーションという2つの実装方法 オプションはDocuShareのJava APIを使用 がある。DocuShare Mobile for iOSは操作性、 してDocuShare コアサーバーにアクセスし、 応答性、他アプリケーションとの連携性を重視 その機能のサブセットをHTTP/JSON APIで し、ネイティブアプリケーションとして実装さ 提 供 す る 。 DocuShare Mobile for iOS は れている。 HTTP/JSON APIを使用してDocuShareモ バイルオプションにアクセスし、ユーザーに前 4.3.2 DocuShareサーバーとの接続方法 述した機能を提供する。DocuShareモバイル DocuShareサーバーには、アプリケーショ オプションが提供していない機能は、Webブラ ンからの接続方法として以下が用意されている。 ® ウザー(Safari )を起動して通常のWebUIに z Java API(RMI) アクセスさせる。 z WebDAV z SOAP 4.3 実現技術 DocuShare Mobile for iOSでは、上記の方 モバイルアプリケーションでは、PC上で動作 法は採用せず、新たにJSONをデータ形式に用 するアプリケーションに比べて、以下の要件が いたHTTP APIを実装した。このAPIは以下の 求められる。 特徴を持つ。 z 画面サイズが小さく、キーボードも持たな いため、複雑な操作はなじまず、直感的か z WebDAVやSOAPに比べ、サーバーとの通 信データの処理に必要なリソースが少ない。 z クライアント側で必要なデータを細かく指 つ軽快な動作が求められる。 z メモリー等のリソースが少ないため、個々 のアプリケーションはリソースの使用量を 極力抑える必要がある。 定することが可能であり、通信1回あたり の転送量を抑制することができる。 このAPIを使用したことにより、リソースが z リソース使用量が抑制されることから機能 を単純に保ち、代わりに別のアプリケー 限定されたデバイス上でも軽快な動作が可能に なっている。 ションと連携することにより価値を提供す 4.3.3 る必要がある。 未使用リソースの早期開放 DocuShare上では1つのコレクションに格 Webブラウザー DocuShare Mobile for iOS HTTP HTTP/JSON 納されるオブジェクト数の上限がないため、大 量のデータが表示される可能性がある。 DocuShare Mobile for iOSでは、スクロール DocuShare Webアプリケーションエンジン DocuShare WebUI アプリ DocuShareモバイル オプション 中に現在表示している領域とその前後のデータ のみを保持し、それ以外の範囲のデータを解放 することにより、大量のデータ表示を少ないメ DocuShare Java API 図4 26 DocuShare コアサーバー モリーリソースで実現している。 DocuShare Mobile for iOS/DocuShareモバイルオプションの構成 Architecture of DocuShare Mobile for iOS/DocuShare Mobile Option 富士ゼロックス テクニカルレポート No.22 2013 特集 DocuShareモバイルクライアントとクラウド連携による新しいワークスタイルの提案 5. DocuShare 連携オプション for Working Folder 5.1 概要 ションとして実現されており、DocuShareが 内包するWebアプリケーションエンジン上で 動作する。 WF連携オプションは、DocuShare の Java API を 介 し て DocuShare コ ア サ ー DocuShare 連携オプション for Working バーから文書やその属性などのメタ情報を取得 Folder(以後、WF連携オプション)は、Working する。またWorking Folderとは、SOAPイン FolderとDocuShareを連携させるソフトウェ ターフェイスを通じて通信を行い、文書転送な アである。連携させることで、社内外を問わず、 どを実施する。 広範なビジネスシーンにおける文書活用が可能 5.3 となる。 WF連携オプションは、以下の機能を提供する。 ① Working Folderへの文書の転送 実現技術 図6に、Working Folderへのアクセスパター ンを示す。Working Folderが想定するクライ 指定したDocuShareのコレクション内に アントは、Webブラウザー、Windows®アプリ ある文書を定期的にWorking Folderへ転 ケーション、モバイル機器および複合機であり、 送する。転送された文書は、転送済み文書 エンドユーザーが行うUI操作により、Working の格納場所として指定したコレクションに Folder上の文書の更新が発生する。これに対し 保管される。 WF連携オプションは、DocuShareに組み込ま ② Working Folderとの文書の同期 れたサービスとして動作し、自動的にWorking 指定したDocuShareのコレクション内に Folder 上 の 文 書 を 更 新 す る 。 こ の 時 、 あ る 文 書 へ の 更 新 操 作 を 、 Working DocuShareとWorking Folderは文書モデル Folderへ定期的に反映する。反映対象の操 が異なっている点を考慮する必要がある。以上 作は以下のとおりである。 のことから、以下の要件が存在する。 z サービスによって自動的に文書が登録され z 文書の登録 z 文書のバージョン更新 るため、Working Folderへ集中的な負荷 z 文書のタイトル変更 をかける動作を避けなければならない。 z 異なる文書管理システム間の連携を行うた z 文書の削除 め、データモデルの差異を吸収する必要が ③ 実行結果の閲覧 転送や同期の実行結果をブラウザーから閲 覧できる。実行結果には、転送された文書、 文書に反映された変更情報、実行日時、処 ある。 そこで、WF連携オプションでは、以下の施 策によりこれらの要件を実現している。 理失敗時のエラー情報が含まれる。 5.3.1 Working Folderへの負荷低減施策 5.2 システム構成 WF連携オプションでは、転送や同期の処理 WF連携オプションのシステム構成を図5に を「ルール」という単位で管理する。ルールは 示す。WF連携オプションはWebアプリケー Working Folder Webブラウザー HTTP Webブラウザー DocuShare Webアプリケーションエンジン SOAP DocuShare WebUI アプリ Windowsアプリ Working Folder WF連携オプション アプリ WF連携 オプション モバイル端末 サービスによる自動処理 スキャン DocuShare API DocuShare FAX DocuShare コアサーバー エンドユーザーによる手動操作 図5 WF連携オプションのシステム構成 System architecture of DocuShare Linkage for Working Folder 富士ゼロックス テクニカルレポート No.22 2013 図6 Working Folderのアクセスパターン Access patterns for Working Folder 27 特集 DocuShareモバイルクライアントとクラウド連携による新しいワークスタイルの提案 DocuShareの管理権限を持ったユーザーが作 成し、あらかじめ指定された間隔で実行される。 ルールの実行時に、以下の制御を行うことで、 Working Folderへの負荷を抑えている。 ① データ転送量制御 6. 今後の展開 技術の進歩や環境の変化とともに、今後も ワークスタイルは変化していく。このため、変 わり続けるワークスタイルに柔軟に対応できる 転送対象となる文書サイズと、一回当たり 文書管理システムを提供していくことが、継続 のルールの実行処理で転送するデータ量に、 的に求められる。 上限を設ける。データ量の上限に達した場 DocuShare MobileおよびDocuShare連携 合は、残りの文書を次回のルールの実行処 オプション for Working Folderについても以 理対象とすることで、Working Folderへ 下のような課題の解決が必要である。 の送信データ量の平準化を図る。 ② データ転送間隔制御 ① DocuShare Mobile 現在は、DocuShareへの新規文書登録や 1つのルールの実行完了後、次の処理が開 文書の参照などの、文書管理システムの基 始するまでに一定の待機時間を設け、 本的な操作に注目して機能を提供しており、 Working Folderへデータを送信し続ける 回覧などの定型処理の自動化機能や、掲示 状況の発生を回避する。 板などのコラボレーション機能には対応し Working Folderはサービスとして提供され ていない。今後は、モバイル機器しか利用 ているため、すべてのユーザーが利用するWF できない環境においても、PCと同等の利用 連携オプションからアクセスされる。この点を シーンが増えると考えられる。未提供の機 考慮し、上記の制御に使われる上限値と待機時 能の提供が求められる。 間は、Working Folder側での合計転送データ 量の想定に合わせて決定している。 ② DocuShare 連 携 オ プ シ ョ ン for Working Folder 現在は、他社への情報の展開を想定して、 5.3.2 データモデル差異の吸収 DocuShareからWorking Folderへの文 Working FolderとDocuShareとのデータ 書の転送と同期機能を提供している。しか モデルの差異には、以下のようなものがある。 し、会社間の情報共有には、他社からの情 z 1つの格納場所への同名文書の登録の可否 報の受け取りもある。会社間の双方向の情 z 同一文書の複数場所への登録の可否 報 共 有 を 実 現 す る た め に 、 Working z アクセス権の種類 FolderからDocuShareへの、逆方向の文 このようなモデルの差異を、WF連携オプ 書の転送と同期機能の提供が求められる。 ションが吸収している。 たとえば、DocuShareでは、コレクション 内に同名の文書を複数登録できるが、Working Folderでは文書名の重複は許していない。そこ で、Working Folderへ登録する文書の名前が 重複した場合は、連番を付与した名前に変更し 7. 商標について z DocuShareは、米国ゼロックス社の登録商 標または商標です。 て登録する。さらに、WF連携オプションは、 z Windows® 、 Word® は 、 Microsoft DocuShare上の文書とWorking Folder上の Corporationの米国およびその他の国にお 文書の、文書IDによるマッピング情報を管理す ける登録商標または商標です。 る。DocuShare上の文書に対する更新操作を z DocuWorksは、富士ゼロックス株式会社の Working Folder上の文書に反映する際は、こ 日本およびその他の国における登録商標また のマッピング情報に基づいて処理を行う。 は商標です。 z iPad®、iPhone®、Safari®は、米国および他 の国々で登録されたApple Inc.の商標です。 28 富士ゼロックス テクニカルレポート No.22 2013 特集 DocuShareモバイルクライアントとクラウド連携による新しいワークスタイルの提案 z iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライ センスに基づき使用されています。 z IOSの商標は、Ciscoの米国およびその他の国 のライセンスに基づき使用されています。 z Android™は、Google Inc.の商標または登録 商標です。 z Javaは、Oracle Corporationおよびその子 会社、関連会社の米国およびその他の国にお ける登録商標です。 z その他、掲載されている会社名、製品名は、 各社の登録商標または商標です。 8. 参考文献 1) 早田宏ほか, ドキュメントを扱うモバイル アプリ, 富士ゼロックス テクニカルレ ポート No.21 p150-159 (2012). 2) http://www.fujixerox.co.jp/product/ catalog/pdf/docushare_0805_6.pdf, [Web対応ドキュメント&コンテンツ・マ ネジメント・ソフトウェア「DocuShare」 (富士ゼロックス株式会社)] 3) http://www.fujixerox.co.jp/solution/ workingfolder/ [ドキュメント共有を支 援 す る ク ラ ウ ド サ ー ビ ス 「 Working Folder」 (富士ゼロックス株式会社)] 4) http://www.w3.org/TR/soap12-part 1/, [SOAP Version 1.2 (World Wide Web Consortium)] 筆者紹介 高橋 範泰 ソリューション・サービス開発本部 ソリューション開発部に所属 専門分野:情報工学 石飛 康浩 ソリューション・サービス開発本部 ソリューション開発部に所属 専門分野:情報工学 砂田 智 ソリューション・サービス開発本部 ソリューション開発部に所属 専門分野:情報工学 三浦 徹 ソリューション・サービス開発本部 ソリューション開発部に所属 専門分野:情報工学 鈴木 善晴 ソリューション・サービス開発本部 ソリューション開発部に所属 専門分野:情報工学 原田 祐志 ソリューション・サービス開発本部 ソリューション開発部に所属 専門分野:情報工学 富士ゼロックス テクニカルレポート No.22 2013 29