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Vol.45 地域との連携による新たな婚活支援について(人口減少対策担当)
HIF マンスリーレポート Vol.45 地域との連携による新たな婚活支援について ひろさき未来戦略研究センター 人口減少対策担当 1 はじめに 近年、全国的な少子化・晩婚化により民間企業のほか、国や地方自治体が人口減少対策 として結婚支援事業を実施している。当市においても、平成26年度より婚活推進事業に 着手し、自分に自信が無く、恋愛・結婚に踏み出せない人への支援を目的に内面・外見の 魅力向上を目指す魅力アップセミナーの開催や出会いの場の提供を目的とした「ひろさき 出愛サポートセンター」を開設し、支援を行ってきた。 本レポートでは、当市における婚活支援事業のうち、ひろさき出愛サポートセンターの 現状と課題を分析し、全国における結婚支援事業の先進事例を参考に、今後の結婚支援事 業の取組について報告するものである。 2 ひろさき出愛サポートセンターとは ひろさき出愛サポートセンターは、結婚を望む独身者に出会いの場を創出することを目 的に、完全無料の登録制で1対1のお見合い形式により、交際・結婚へのきっかけを作る 事業である。 ひろさき出愛サポートセンターは平成26年10月に開設し、運営にあたっては専任の 出愛コーディネーターを配属しているほか、市民ボランティアの出愛サポーターが会員へ のアドバイスやお相手を見つける支援を行っている。 (1)ひろさき出愛サポートセンター会員登録者数 (単位:人) 年代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 合計 男性 12 48 41 21 8 130 女性 13 62 31 3 1 110 全体 25 110 72 24 9 240 (平成28年10月31日現在) (2)実施実績件数 (単位:件) お見合い実施 連絡先交換 友人関係 交際中 成婚 162 94 13 5 4 (平成26年10月~平成28年10月集計) 平成26年度より、着実に利用実績を伸ばし、成婚についても平成28年10月末時点 1 で4件となっている。 一方で、年齢・職業等の相手の条件から入る1対1のお見合いによるマッチングの難し さや、婚活に対する恥ずかしさを感じひろさき出愛サポートセンターの登録まで至らない ケースなどのマイナス面も見受けられる。 特に、条件の提示から始まるひろさき出愛サポートセンターの場合、条件に一致しなけ ればお見合いに発展しないことから、より多様な条件の人材登録が求められる。 また、周囲の人へ婚活を知られたくない、ひろさき出愛サポートセンターへの登録自体 が恥ずかしいとの意見もあり、ひろさき出愛サポートセンターの会員登録数が伸びない一 因となっている。 以上のことから、現状の課題として、 「より多様な出会いの創出」及び「婚活に対する恥 ずかしさの解消」があげられる。 3 他地域における先進事例等 ここでは、10月16日・17日開催の全国結婚支援セミナーにおいて報告された、 『今』 地域に求められている婚活支援に対する現状をみていきたい。 セミナー: 「第6回 全国結婚支援セミナーin いしかわ 企業も婚活応援! ~地域との連携で新たな支援を考える~」 主 催:NPO 法人全国地域結婚支援センター 石川県 公益財団法人いしかわ結婚・子育て支援財団 後 援:内閣府 (1)少子化ジャーナリスト 白河 桃子氏による報告 女性の働き方改革と活躍への応援が結婚支援につながる 若者の未婚化・晩婚化の背景の一つ、「出会いの機会がない」ことに対して、各地域や 行政では、出会い創出の場を設け、結婚支援に取り組んできた。それだけではなく「企 業」も含め、社会全体で取り組む必要性がある。 また、仕事・結婚・定住は切り離せないものであるため、一体とみなし働き方改革と 結婚支援が求められている。 地域消滅は女性の人口移動が鍵 女性が子供を産みたいという気持ちになるには、両立可能な安定した仕事が不可欠で あり、若い女性が地元を出ていく理由として、両立可能な安定した仕事がないことがあ げられる。そこで、注目される「働き方改革」として、 「労働時間コントロール」、 「ICT による柔軟な働き方テレワーク」を提唱する。 2 事業実施前に必要な現状分析 非正規の男性が多い地域 ⇒ 婚活より女性の雇用促進・定住支援 非正規の女性が多い地域 ⇒ 婚活より雇用支援 都市部で女性の雇用があり、女性の数が多い地域 ⇒ 子育て両立環境の整備と婚活支援 過疎地(男女ともにいない) ⇒ 定住促進 (2)新たな視点で取り組む、各地の婚活事業 婚活イベント×○○○ ⇒集客力を挙げるため、各地で開催される婚活イベントのキーワード ・本物(プロフェッショナル)の投入 ・ファシリテータ・ワークショップの導入 ・クオリティーの高いイベントを男女平等に提供 ・スタンダードな婚活イベントからの転換 ・ターゲットの明確化 ・告知よりも報告重視 ・新たな価値観の創出 ・大人の学び舎 ・SNS による情報発信 4 当市における婚活支援事業の今後について 前述のとおり、当市における婚活事業の推進にあたり「より多様な出会いの創出」と「婚 活に対する恥ずかしさの解消」が今後の課題としてあげられる。そのため、各地の婚活イ ベント等で『今』求められている婚活支援を参考に、今後の婚活支援について検討してい きたい。 (1)広域化による事業展開 条件の提示から始まるお見合い制度では、会員数の増による多様な人材の登録がマッ チングの促進及び成婚へ繋がるものと考える。加えて、連携する定住自立圏は生活上の 密接な関係のある地域であることから、結婚後も大幅な生活環境の変化が生じない点に 着目し、これまで各市町村が独自に実施してきた婚活事業を一部集約するとともに、単 独では実施が困難であった事業を連携し運営することにより経費節減を図りつつ、多様 な出会いの機会を創出することが可能であること、また、若年人口が少ない自治体にお いても婚活事業を実施することができるため、広域的な定住人口の維持に寄与するもの である。 (2)出愛サポーターによるマッチングの強化 ひろさき出愛サポートセンターでは、市民ボランティアである出愛サポーターがお見 3 合いの立ち会いから、お見合い実施後の異性に対する相談対応などを担っており、市民 活力による出会いの場の創出に尽力している。 今後は、出愛サポーターの掘り起しによる、ひろさき出愛サポートセンター会員と非 会員の引き合わせを積極的に実施することで、会員に限定されない多様な出会いの場を 創出を図りたい。 (3)企業との連携 全国結婚支援セミナーの事例報告において、企業内交流会を積極的に開催する事業所 があるなど、企業における婚活支援の取組の重要性が述べられていた。当市においても、 市内企業へ協力を求め『企業×ひろさき出愛サポートセンター』の交流により、出会い に対する裾野を広げることにより、出会いの場を創出したいと考える。 そのためにも、ひろさき出愛サポートセンターをご支援いただく協賛団体への加入促 進に関する働きかけを積極的に行い、企業における婚活支援に対する機運の醸成を図る ことで、個人や行政のみならず地域が一体的に結婚を望む独身者を支援する体制の構築 を図りたい。 また、企業側においても積極的な婚活支援から両立可能な就労環境の構築、ひいては、 働き方改革に繋がるものと考える。 (4)既存の婚活イベントからの脱却 当市においてこれまで実施されてきた婚活イベントは、大部分が婚活を全面に押し出 し、婚活パーティーであることがわかりやすいイベントであった。しかしながら、前述 のとおり、婚活に取組んでいることに対する恥ずかしさ等から、参加に至らない場合も 見受けられる。 そのため、婚活を前面に押し出すのではなく、それ以外の付加価値を創出することで、 より幅広い層の参加が見込めると考える。具体的には、プロフェッショナルの投入によ る、専門性のある特定の顧客に向けたイベントの開催、つまり、婚活イベントに参加し ていると思われないような内容を盛り込むことが必要となる。 例えば、広域化に伴う地の利を活用した白神山地で行う散策×交流会などがあげられ る。専門性の高いイベント×婚活イベントの掛け合わせを行い、より多様な出会いの場 の創出と婚活に対する積極的な取組を促進する。 4