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A 日本専売公社 - 内閣府経済社会総合研究所

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A 日本専売公社 - 内閣府経済社会総合研究所
内部組織の状態空間モデル
補論
三公社の会計制度
販売,ならびに上記物資及び種子の輸入であ
A
(I)
概
る。葉たばこ及びたばこ用巻紙の生産は専売
日本専売公社
公社の許可を受けて,また製造たばこの販売
要
1.
設立の経緯及び目的
昭和23年7月,連合軍総司令官から内閣総
理大臣あての国家公務員法改正要望に伴う
書簡の中で,専売事業の改組についても示
唆があり,従来,国家が直接行ってきた財
政収入を確保するためのたばこ専売,塩専
売,しょう脳専売を引きつぎ,昭和24年6月
1日より発足したものである(しょう脳専売
は昭和36年度限りで廃止)
。
2. 事業内容
日本専売公社法第27条により業務の範囲
は次のごとく定められている。
イ) 葉たばこ,製造たばこ用巻紙及び塩を
買い入れること。
ロ) 葉たばこ及び塩を製造すること。
ハ) 製造たばこ,製造たばこ用巻紙及び塩
を販売すること。
は公社の指定を受けて公社以外のものが行っ
ている。その他,たばこの製造に必要な材料
品等の製造については専売公社との契約に基
づき民間企業が行っている。
昭和51年度のたばこ事業収入は1兆7,686億
円に達し,たばこ消費税率及びたばこ事業益
金率の低下により年々その地位は低下してい
るが,専売納付金を通して,国家の財政に大
きく寄与している。
(B) 塩事業において専売公社が実施しているの
は塩の独占買取,再製委託加工委託,及び販
売並びに輸入である。塩の生産は公社の許可
を受けてまた塩の販売は公社の指定をうけて
公社以外のものが実施しており,専売公社が
直接事業を独占しているのは塩事業の卸部門
である。51年度の塩事業収入は645億円と金
ニ) 葉たばこ製造,たばこ用巻紙及び塩の
額的にもたばこ事業に比し少く,また現在公
生産者の指導及び助成に関すること。
益専売としての性格が強く,国家財政に与え
ホ) 製造たばこ,製造たばこ用巻紙及び塩
の販売者の指導及び助成に関すること。
ヘ) 葉たばこ,製造たばこ,製造たばこ用
巻紙及び塩の輸出及び輸入を行う。
ト) 前各号に掲げる事務の他,たばこ専売
法,塩専売法,製塩施設法,塩業組合法,
たばこ耕作組合法,及び塩業の整備及び
近代化の促進に関する臨時措置法に定め
られた事項の実施に関すること。
チ)
前各号の業務に附帯する業務。
(A)たばこ事業
たばこ事業において専売公社が実施してい
るのは,葉たばこの独占買取り及び売渡し,
製造及び販売,たばこ用巻紙の独占買取及び
- 23 -
る影響はほとんどないと考えられる。
(3)専売公社の組織
専売公社は,全国にたばこ製造工場38,
原料工場15,支社7,地方局10,他多数の営
業所等の施設を有し,職員数約41,000人の
大組織である。
専売公社法により公社は役員として総裁,
副総裁各1人,理事5人以上,及び監事2人
以上置くことが定められ(第10条)
,総裁及
び監事は審議会の推薦に基づき,大蔵大臣
が任命し副総裁及び理事は総裁が大蔵大臣
の認可を受けて任命することになっている
(第12条)
。
(II)専売公社の会計制度
日本専売公社の会計を規律する経理法規と
総
裁
理
理事・監事
副
総
裁
事
会
経営計画会議
商品開発委員会
技術開発委員会
本部組織
支
社
(7)
地
方
局
事
務
(10)
局
(1)
しては「日本専売公社法」
「日本専売公社会
たばこ工場
(38)
原料工場
研究所他
(15)
決を経て翌年度へ繰り越すことができる。
計令」
(昭和25年政令第320号)同会規定がある。
ヘ) 予備費を使用してなお事業のために直
公社の会計制度の特徴としては,1.独立採
接必要とする歳出予算に不足を生じたと
算の企業としての自主性,2.専売納付金確保
きは,収入見積り以上の収入に相当する
のための国家による統制の2点があげられる。
金額の一部を事業上の直接経費に使用で
上記2点が複雑に交錯しているところに専
きる。
売公社会計制度の特徴がみられる。
1.
ト) 大蔵大臣の認可により政府以外からも
専売公社の自主性としてあげられる点
借り入れることができる。
イ) 予算の執行に関して「財政法」
「会計
チ) 利益金の一部を留保することができる。
2.専売公社の国家による統制的側面
法」等複雑な規則の規律を受けいな。
ロ) 予算の流用について相当弾力性がある
イ) 資本金の増,減につき,大蔵大臣の認
ハ) 公社が予備費を使用するとき,および
可を要する。
予備費を繰り越して使用するときは単に
ロ) 公社の作成した予算は大蔵大臣に提出
大蔵大臣への通知で足り,その承認を要
してその調整を経,閣議決定のうえ国の
しない。
予算とともに国会に提出されその承認を
ニ) 業務に係る現金について国庫への預託
経なければならない。
を原則としているが,例外的に7日以内に
ハ) 公社の決算については,会計検査をう
限り郵便局または市中銀行に預け入れる
け国の歳入歳出決算とともに国会に提出
ことができる。
しなければならない。
ホ) 歳出予算のうち,その性質上または予
ニ) 財産の処分は国会の議決を経なければ
ならない。
算成立後の事由に基づき,当該事業年度
内に,その支出を終わらないと見込まれ
るものについては,あらかじめ国会の議
- 24 -
- 25 -
ホ) 公社の会計規定についてその制度変更
には,大蔵大臣の認可を要する。
ヘ) 公社の役職に対する給与についてはそ
の総額は予算に定められた額を越えられ
ない。
ト) 予算総則に借入金の限度額,投資の目
的及び金額等を明記しなければなら
ない。
専売公社の会計制度の特徴として2つ
の観点から以上の点をあげたが予算の決
定権が事実上,国会の承認を必要条件と
して大蔵大臣にあること,また積立金と
して留保できても自由に取崩せないなどよ
り,公社の独立採算企業としての側面は
あくまで末梢的なものであり,会計制度
にみるかぎり,国家による統制の側面が
強くうちだされている。
(III)財政専売としてのたばこ専売
1. たばこ専売制度の概要
たばこ専売制度の骨組は左図に示すごと
く国家より専売権を与えられ専売公社が,
葉たばこを買いつけ(葉たばこ専売)
,製造
し(製造専売)小売店に売り渡し(流通専
売)
,利益をあげ,許された内部留保を除き
専売納付金,たばこ消費税として国家及び
地方公共団体に納付する制度である。
a 葉たばこ専売制度
公社は葉たばこ耕作者に対して耕作を
許可し,収納価格耕面積を決定,耕作者
を指導,監督することになっている。な
お昭和33年度より,葉たばこ収納価格,
及び耕作面積の決定はたばこ耕作審議会
の審議を経ることとなった。
b 製造専売制度
たばこ製造に関する資材及びサービス
を専売公社と契約した民間企業から購入
し,独占的に製造を行っている。
c 流通専売制度
公社は小売人を指定し,その販売手数
料を決定し,製造たばこを独占的に小売
店に売りわたし,流通の監督を行ってい
る。
- 26 -
製造たばこは,製造たばこ定価法によ
りその種類ごとに等級別の最高価格が定
められており,銘柄別の小売定価は,専
売公社がこの最高価格の範囲内で大蔵大
臣の認可を受けて決定することになって
いる。輸入たばこについては,製造たば
こ定価法の適用はなく大蔵大臣の認可の
みで小売定価がきまる。
2.専売納付金
a 専売納付金の算出方法
専売納付金の額は専売公社法第43条の
13の規定により,
専売納付金=総収益−総損失−(固定資
産無形資産及びたな卸資産の増加額−こ
れらの資産の増に伴う長期借入金の増加
額)
または総収益−総損失−(長期借入金の
減少額−固定資産及びたな卸資産の減少
額)とされている。上記算出に際し,昭
和46年度より専売納付金料率方式による
一定の算式で計算した金額を目安として
いる。
b 専売納付金料率方式
昭和46年度より専売納付金の額をたば
こ売上高等の一定割合に定めることによ
り,国の財政収入の安定的確保と公社の
経営責任の明確化を図ることを目的とし
たものであり,つぎのイ)及びロ)の合計額
に相当する金額を専売納付金の金額の目
安とするものである。
イ)当該事業年度の製造たばこの国内販
売総定価代金の額の56%(専売公社の
たばこ事業益金率の低下等により49年
54.5%,51年52年は50%)に相当する金
額から当該事業年度に納付した都道府
県たばこ消費税及び市町村たばこ消費
税の額を控除した金額(消費税に相当
する第一種納付金)。
ロ)当該事業年度の決算上の利益から第
一種納付金を控除した金額の50% に相
当する金額(法人税に相当する第二種
内部組織の状態空間モデル
表補 I
財
政
と
専
売
納
付
金
単位:億円
年
度
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
(予算)52
(予定)53
一般会計
専
歳入総額
(A)
納 付 金
(B)
19,610
25,159
29,476
32,312
34,468
37,731
45,592
52,994
60,599
71,093
84,592
99,709
127,939
167,620
203,791
214,734
250,760
293,466
342,950
D/A(%)
一般会計及
び地方普通
会計等歳出
純計
(C)
専売納付金
及びたばこ
消費税
(D)
D/C(%)
10.5
9.2
8.2
7.9
7.9
7.9
7.2
6.5
7.1
6.7
6.1
5.6
4.9
4.0
3.4
3.3
4.1
3.9
3.4
28,516
34,727
42,373
49,414
55,563
62,674
73,771
84,319
98,597
116,701
141,260
169,122
207,462
251,930
327,455
372,592
427,947
450,545
541,744
2,057
2,308
2,417
2,555
2,708
2,964
3,300
3,453
4,303
4,758
5,153
5,552
6,310
6,757
6,968
7,118
10,391
11,347
11,582
7.2
6.6
5.7
5.2
4.9
4.7
4.4
4.1
4.4
4.1
3.6
3.3
3.0
2.7
2.1
1.9
2.4
2.5
2.1
売
1,465
1,640
1,630
1,652
1,651
1,793
1,981
1,770
2,500
2,558
2,723
2,897
3,367
3,561
3,425
3,380
6,571
5,552
5,536
B/A(%)
7.5
6.5
5.5
5.1
4.8
4.8
4.3
3.3
4.1
3.6
3.2
2.9
2.6
2.1
1.7
1.6
2.6
1.9
1.6
53年度は別に特別専売納付金として1,569億円納付。
納付金)。昭和46年度以降3年間に限り,
塩事業会計における経常損失及び塩業
整理における交付金の支出を勘案して
第二種納付金の率を37.5 % とされたが,
公社のたばこ事業益金率の低下により
50年51年も37.5%。
c 特別納付金
専売公社法第43条に基づき,自己資
本充実を目的として実際的には資産増
加に対する資金手当の一部として積立
てていた内部留保を,53年度における
国家財政の要請により特別納付金とし
て一般会計に納付するものである。専
売公社はその性格上,損失を生じるこ
とがないと予想されるため利益積立金
の取崩しの規定を欠いていた。そのた
めに「昭和53年度における財政処理のめ
- 27 -
の公債の発行及び専売納付金の納付の
特例に関する法律」(法43号)を国会に
提出し,1,569億円の特別納付金を54
年3月31日までに国庫に納付すること と
なった。その額は50年度から52年度まで
の利益積立金のうち,たな卸資産の増
加額に見合う額であり,その納付たの
ために資金運用部より54年3月31日 に
全額借り入れることになっている。
d 専売納付金の納付方法
大蔵大臣は専売納付金の一部を月1
回の範囲を越えない限度で概算納付さ
せることができ,この場合の金額・時
期等は大蔵大臣と専売公社総裁が協議
して定めることになっている。公社は
この概算納付の金額を控除精算して翌
年度5月31日までに国庫に納付するこ
とになっている。
e たばこ消費税
昭 和 29年 , 地 方 制 度 改 正 に 伴 い 地 方
税 と し て た ば こ 消 費 税 が 創 設 さ れ ,公
社が納税義務者として各地方におけ
る ( た ば こ 販 売 本 数 ) ×( 1本 当 り 平
均 単 価 )の 一 定 割 合 を 都 道 府 県 市 町 村
に そ れ ぞ れ 納 付 さ せ る も の で あ る 。年
々 そ の 税 率 は 上 昇 し て い る が ,現 行 の
税 率 は 都 道 府 県 10.3% , 市 町 村 18.1%
合計28.4%であり,その金額は51年度 決
算で3,820億円,53年度見込で6,046億 円
となっている。
以上が専売納付金及びたばこ消費税を通
して,国及び地方に財政専売として機能す
るたばこ専売事業の制度であるが,専売納
付金の算出方式からみて,その額は専売公
社のたばこ事業益金率に左右される。たばこ
事業益金率が常に一定であれば問題はない
年
度
益金率
が,近年低下傾向にあり,安定した財政収
入確保のために問題となっている。以下,
公社のたばこ事業益金率と,それに付随し
て発生してくる小売価格値上げの問題につ
いて述べたい。
3. たばこ事業益金率の推移と定価値上げ
たばこ事業の収益性の程度は,たばこ 事
業利益とたばこ消費税を加えたものと総定
価代金との割合を示すたばこ事業利益率で
示される。たばこ事業益金率は専売公社 発
足以来,徐々に低下しており昭和27年度頃
までは70%台を維持してきたが,42年度に
は60%をわり59.8%となった。昭和43年度に
は 平 均 19 % 程 度 の 小 売 定 価 引 上 げ に よ り
60%台に回復したが,オイルショックを機
に49年度には56.2%にまで低下した。このた
め昭和50年12月に約48%大幅値上げを行い,
51年度は61.5%にまでなったが,53年度は
55.0%の低水準を見込んでいた。
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
59.8
63.0
62.9
62.0
62.5
61.5
59.3
56.2
54.4
60.5
(予 定 )
52
(予 定 )
53
55.6
55.0
(% )
↑
19%値上げ
B
( I) 概
↑
48%の値上げ
の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し,
日本電信電話公社
公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し,
要
並びに電気通信による国民の利便を確保す
1. 設 立 の 経 緯 及 び 目 的
ることによって,公共の福祉を増進するこ
日本電信電話公社(以下「電々公社」と
と」(日本電信電話公社法第1条)としてい
略称)は,昭和27年「日本電信電話公社
る。資本金は,電気通信事業特別会計の資
法」に依り設立された公法上の特殊法人で
産額から負債額を控除した額(182億円余)
ある。電信事業は明治2年に,電話事業 は
と さ れ , 全 額 政 府 出 資 に よ っ て い る (同
明治23年に創業され,逓信省(電気通信省)
法第5条)。なお,その後,琉球電信電話公
の下で運営管理されることとなった。
社の資本金(6.1億円)が追加出資された。
その後,電信電話業務の拡大に伴い,企
また,国際間通信に関しては「国際電信電
業的効率性を導入することにより更に公
共の福祉に役立つ運用をすべく,昭和27年
国営企業から特殊法人としての「公社」と
して分離経営されることとなった。
設立目的としては,
「公衆電気通信事 業
- 28 -
話株式会社」により分担運営さ れて いる。
2. 事 業 の 内 容 及 び 推 移
電々公社の事業内容は「公衆電気通信業
務及び附帯業務」(同法第3条)とされて
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