...

コンクリートの橋の塩害劣化防止のための 電気防食工法

by user

on
Category: Documents
8

views

Report

Comments

Transcript

コンクリートの橋の塩害劣化防止のための 電気防食工法
コンクリートの橋の塩害劣化防止のための
電気防食工法における建築費の計算
Calculation of construction cost in electric anti-corrosion industrial method for the
salt damage deterioration prevention of concrete bridge
高知工科大学
大学院
工学研究科
学籍番号:
塩野
基盤工学専攻
1057003
功士
Kouji Shiono
社会システムコース
論文要旨
これまで、道路構造物の更新は、道路改良工事等に伴い実施する場合、すれ
違い困難解消・交通混雑解消などの機能上の問題を解決するために実施する場
合など、いわゆる機能の陳腐化に起因して実施する場合が大半でした。しかし
ながらわが国は急激な道路交通需要の増大に対応して高度成長期に大量に建設
された道路構造物の高齢化にともない、補修・更新が必要な道路構造物が飛躍
的に増加しており、既に更新時代の始まりにあります。今後も機能の陳腐化に
よる更新はありますが、道路構造物の高齢化がより顕在化し、高齢化した道路
構造物の補修・更新費の増大、補修・更新工事に伴う交通規制などの社会的影
響が予測されます。
また、経済の低迷と少子高齢化の進展など、経済社会情勢が大きな転換期を
迎え、公共投資が抑制される中で、合理的・効率的な道路構造物の管理・更新
は道路行政の重要な課題の一つとなっております。
アメリカにおいては、
「荒廃するアメリカ」を克服するため、それまで減少傾
向にあった道路投資予算を拡充していった結果、例えば、約 45%もあった欠陥
橋梁が 30%を切るまで順次減少し、そのおかげでアメリカ経済の回復も実現さ
れました。
わが国においても、道路構造物のストックの増加、それらの高齢化、更には
道路管理に対する国民ニーズの高度化・多様化などに伴い、その維持管理・更
新に必要な費用が増大していく事から、道路構造物の荒廃がもたらす影響を十
分認識し、所要の予算を確保する事が必要であります。
そこで、本研究ではコンクリート構造物の劣化要因の中で、劣化への影響が最
も大きい塩害に照準を絞り、合理的・効率的な予算管理システムを構築する事を
目的とします。その際、バラツキという概念を取り入れより精度の高いものを
作りあげ、より実践的なものにしていきたいと考えています。
コンクリート橋の塩害劣化における予算管理システムの構築
−目次−
第1章 イントロダクション
1−1 コンクリート構造物の現況
1−1−1.コンクリート橋の現況
1−1−2.コンクリート橋における塩害による劣化予測
1−1−3.劣化予測の方法
1−2
劣化予測の実施
1−2−1.劣化予測に使用する緒元
1−2−2.各主桁構造の算出式
1−2−2−1.RC 桁の場合
1−2−2−2.PC 桁(プレテンション方式)の場合
1−2−2−3.PC 桁(ポストテンション方式)の場合
1−2−3.劣化曲線
1−3
コンクリート主桁主構本数の現状把握
1−4
将来の補修費用の試算
1−5
バラツキ(不確定要素)の取り入れ
1−5−1.バラツキの定義
1−5−2.バラツキの抽出
1−5−3.バラツキ要素の数式化
第2章
主桁構造別・対策区分別における潜伏期間−t値−のバラツキ
第3章
主桁構造別
第4章
バラツキを取り入れた補修費用試算の実施
第5章
バラツキを取り入れない場合の補修費用試算の実施
第6章
結論
添付;補足資料
予測補修本数
第1章
イントロダクション
本研究では、私が研究している本論の前提として、第 1 章に述べていく事になる諸々の
前提条件が存在する。また、この前提条件の中にも様々な仮説及び仮定が含まれている状
態である。しかし、新しいシステムを作り上げていく過程において、仮説なり仮定を設定
し、全体のシステムを形作るところからはじめなければ何も生まれないと私は思う。した
がって、本研究では、全てこの前提条件を踏襲して進めていく事にする。
1−1
コンクリート構造物の現況
1−1−1
コンクリート橋の現況
昭 和 30 年 代 後 半 か ら の 日 本 の 経 済 発 展 に 伴 っ て 、 社 会 的 生 産 、 生 活 基 盤
(infrastracture)の建設が盛んに行われ現在に至っている。その中でも、昭和 29 年に
始まった何次かの道路整備 5 カ年計画、新幹線などの鉄道建設、各種の開発などにより、
多くの橋梁が建設されてきている。この間に、我が国の橋梁に関する設計、施工技術は
世界の最高水準に達し、世界中から注目される大規模な橋梁構造が数多く建設され、海
外での建設の実績も相当数に上ってきている。
1−1−2
コンクリート橋における塩害による劣化予測
1.劣化予測の考え方
塩害による劣化予測は、潜伏期、進展期、加速期、劣化期の長さを予測することを
基本とし、塩化物イオンの拡散と鋼材腐食の進行を対象とする。
予測の方法は、
「2001 年制定 コンクリート標準示方書[維持管理編],平成 13 年 1
月:(社)土木学会」を準用する。
劣化過程
表 14.2.1 各劣化期間の定義
定義
期間を決定する主要因
塩化物イオンの拡散
潜伏期 鋼材のかぶり位置における塩化物イオン濃度が腐食 初期含有塩化物イオン
*
濃度
発生限界濃度 に達するまでの期間
進展期 鋼材の腐食開始から腐食ひび割れ発生までの期間 鋼材の腐食速度
ひび割れを有する場合
加速期 腐食ひび割れ発生により腐食速度が増大する期間
の鋼材の腐食速度
劣化期 腐食量の増加により耐荷力の低下が顕著な期間
注) 腐食発生限界濃度は、平成 11 年度版コンクリート標準示方書[施工編]において標
準値を 1.2kg/m3 と定めている。しかし、施工編で定めた標準値は、設計用の安全側の値で
ある。実際には、分散値を考慮することが望ましく、その値を 0.6kg/m3 とすると 1.2kg/m3
から 2.4kg/m3 となる。よって、劣化予測にあたっては、平均値である 1.8kg/m3 を腐食発生
限界濃度とする。
1−1−3.劣化予測の方法
1.潜伏期における劣化予測式
①塩化物イオンの拡散方程式:フィックの第2法則
∂C/∂t=Dc〔∂2C/∂x2〕
ここに、
(解
14.2.1)
C :液相の塩化物イオン濃度
Dc :塩化物イオンの拡散係数
x :コンクリート表面からの距離
t:時間
②鋼材位置における塩化物イオン濃度
C(x ,t)=C0〔1−erf x/2√D・t〕
(解
14.2.3)
ここに、C(x ,0):初期含有塩化物イオン濃度(kg/m3)
D :塩化物イオンの見かけの拡散係数(普通ポルトランドセメントを使用した場合)
logD =[- 3.9(W/C)2+7.2(W/C)−2.5 ]
(解
6.4.2)
拡散係数は、2002 年制定 コ ンクリート標準示方書[施工編]に準拠する。
ここに、W/C :水セメント比
C0 :表面における塩化物イオン濃度(kg/m3)
飛沫帯
13.0
汀線付近
9.0
海岸からの距離(km)
0.1
0.3
0.5
4.5
3.0
2.0
1.0
1.5
1−2
劣化予測の実施
1−2−1.劣化予測に使用する緒元
・対象とする主桁構造と諸元
・ C(x ,0):初期含有塩化物イオン濃度=(kg/m3)
・
C0 :表面における塩化物イオン濃度(kg/m3)
C0 は、塩害対策指針(案)において最も占める割合が多いC 地域における、塩
害対策区分別(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)について、下記の通り設定する。
1−2−2.各主桁構造の算出式
1−2−2−1.RC 桁の場合
水セメント比:W/C=55%
塩化物イオンの見かけの拡散係数:D
logD=[-3.9(W/C)2+7.2(W/C)-2.5]
=[-3.9(0.55)2+7.2(0.55)-2.5]
∴D=1.907(cm2/年)
鋼材のかぶりの位置における、塩化物イオン濃度:C(x、t)
C(x ,t)=C0〔1−erf x/2√1.907・t〕
しかし、常に湿潤ではないため、tは上式の 3 倍はかかると想定される。劣化予測
式はこの影響を考慮して、D の値を 1/3 倍する。
∴D=0.636(cm2/年)
鋼材のかぶりの位置における、塩化物イオン濃度:C(x、t)
C(x ,t)=C0〔1−erf x/2√0.636・t〕
1−2−2−2.PC 桁(プレテンション方式)の場合
水セメント比:W/C=35%
塩化物イオンの見かけの拡散係数:D
logD=[-3.9(W/C)2+7.2(W/C)-2.5]
=[-3.9(0.35)2+7.2(0.35)-2.5]
∴D=0.348(cm2/年)
同様に、鋼材のかぶりの位置における、塩化物イオン濃度:C(x、t)
C(x ,t)=C0〔1−erf x/2√0.116・t〕
1−2−2−3.PC 桁(ポストテンション方式)の場合
水セメント比:W/C=40%
塩化物イオンの見かけの拡散係数:D
logD=[-3.9(W/C)2+7.2(W/C)-2.5]
=[-3.9(0.40)2+7.2(0.40)-2.5]
∴D=0.348(cm2/年)
同様に、鋼材のかぶりの位置における、塩化物イオン濃度:C(x、t)
C(x ,t)=C0〔1−erf x/2√0.190・t〕
1−2−3.劣化曲線
1−3
コンクリート主桁主構本数の現状把握
以下に主桁構造別/架設年別/塩害対策区分別のコンクリート主桁主構本数一覧表という
ものを掲載するが、これは、MICHI データというものからある一定の条件に基づいて抽出さ
れたものである。
補修費用の算出に必要となる主桁構造別の平均支間長を下記に示す。
主桁構造
架設年
1920∼1983年
1984∼2001年
全体(合計)
1920∼1983年
PCプレテン桁 1984∼2001年
全体(合計)
1920∼1983年
PCポステン桁 1984∼2001年
全体(合計)
RC桁
合計
主桁主構本数(本)
12,274
926
13,200
107,365
52,301
159,666
17,130
9,414
26,544
支間長(m)
136,517.7
13,997.9
150,515.6
1,382,460.8
884,161.9
2,266,622.7
433,010.2
269,190.9
702,201.1
平均支間長
(m/本)
11.12
15.12
11.40
12.88
16.91
14.20
25.28
28.59
26.45
主桁構造別/架設年別/塩害対策区分別のコンクリート主桁主構本数一覧表
1−4
将来の補修費用の試算
1.補修費用の試算の条件
塩害による劣化曲線を踏まえ、ある劣化度の段階において補修対策を施した場合の
将来費用の試算を実施する。将来費用の試算の条件を以下に示す。
補修対策実施
:
劣化度ⅡからⅢへ進行した直後
試算する修復工法
:
断面修復工法、または電気防食工法
補修工法の工事費
:
主桁構造別に示す(事業費)
主桁構造
RC桁
PCプレテン桁
PCポステン桁
想定した支間長
15.0m
20.0m
30.0m
断面修復工法 300万円/本 1,200万円/本 700万円/本
電気防食工法 1,200万円/本 5,800万円/本 2,500万円/本
* 補修対策実施の時期は、桁の変状が明らかになる劣化度Ⅲの時期とする。将来
費用の試算に当たって、劣化度ⅡからⅢへ進行した直後の年度の主桁主構本数
に対して実施する。
* 加速器にあたる劣化度Ⅲの場合の補修工法は、実績が多い断面修復および電気
防食工法とする。
* 電気防食工法において外部から電源を使用する方式の場合、工事完成以降、維
持管理費として電気代が必要となるが、工事費に対して占める割合が小さいこ
とより無視する。
2.塩害による劣化予測曲線と補修効果のイメージ
塩害による劣化予測曲線と、断面修復および電気防食工法による補修効果のイメー
ジを以下に示す。それぞれの補修工法について、補修効果の特徴を以下に示す。
・断面修復工法
補修効果
: 対策実施により、劣化度はある程度回復する。
補修後の耐久性
: 対策実施後、潜伏期の劣化期間:Tの 0.2 倍の供用期間で
劣化度は再びⅢに戻ると想定する。
0.2Tの供用期間後、劣化度Ⅲとなるため、再度補修工を
実施する
・電気防食工法
補修効果
: 対策実施により、劣化度は進行しないし、回復もしない。
現状維持の劣化度の状態で供用となる。
3.補修費用の試算の実施
以下に、塩害による劣化曲線を作成した。
作成にあたり、「道路橋の塩害対策指針(案)・同解説,昭和 59 年(1984 年)2 月,(社)
日本道路協会」により施工されたか否かで 1983 年度以前と 1984 年度以後で区別した。
その結果、塩害対策指針(案)により施工された 1984 年度以後のものは、現在における劣
化度はⅠ、Ⅱであり、すべて補修対策実施の劣化度Ⅲに至らない。
よって、今回、将来費用の試算の実施対象となるのは、1983 年度以前のものとなる。ただ
し、1983 年度以前であっても、現在における劣化度はⅠ、Ⅱであり補修対策実施の劣化度
Ⅲに至らない、または、現在すでに劣化度Ⅳの主桁構造および塩害対策区分がある。
以下に、実施した具体的な諸元を示す。
RC桁
主桁構造
塩害対策区分
Ⅱ
Ⅲ
劣化度Ⅲの初年度
1976年度
1934年度
算出対象となる期間
1976∼1983年度 1934∼1954年度
17.75年
45.70年
潜伏期の劣化期間:T
3.55年
9.14年
断面修復の周期:0.2T
平均支間長:③
11.12m/本
想定した支間長:④
15.0m
想定した工事費:②
3000千円/本
断面修復工法
算出した工事費:①
2300千円/本
想定した工事費:②
12000千円/本
電気防食工法
算出した工事費:①
8900千円/本
PCプレテン桁
PCポステン桁
Ⅰ
Ⅰ
1976年度
1964年度
1967∼1984年度 1964∼1984年度
23.62年
25.64年
4.72年
5.13年
12.88m/本
25.28m/本
20.0m
30.0m
12000千円/本
7000千円/本
7800千円/本
5900千円/本
58000千円/本 25000千円/本
37400千円/本 21100千円/本
※主桁主構1本あたりおよび補修実施回数1回あたりの工事費の算出方法
:①=②×③/④
塩害による劣化予測曲線と補修効果のイメージ
1−5
バラツキ(不確定要素)の取り入れ
1−5−1.バラツキの定義
ここでいうバラツキとは、例えば塩害対策区分Ⅰのレベルで何らかの対策を行う場合、
対象の構造物が1つであれば少ない費用ですむ。全ての構造物に対して対策を行うと高く
なるが、やらなくて良いものまで含んでしまう事になる。これでは、効率的ではないし
本論分の主旨ではない。効果的に予防・補修するにはどうすればよいか、すぐに手を打
つと非常に効果があるということが分かるシステムを持ち、常にそれを改良していく事
が重要である。そのために、バラツキという概念を取り入れ、以下にバラツキ要素を抽
出する。
1−5−2.バラツキ要素の抽出
バラツキはすべての要因に存在する。例えば、構造物の形状、寸法、実際のコンクリ
ートの配合や強度、気象条件などである。バラツキの大きさや、その構造物の損傷に及
ぼす影響は、中でも気象条件のバラツキとその影響が大きい。また、構造物の損傷を計
算する方法そのものも精度がよくない。そこで、同じ時期に同じ条件で作られた構造物
の損傷程度が同じではなくなり、実測値にバラツキが生じる。実測地が存在すればそれ
と比較することで推測方法が正しいかどうかが評価できることになる。
・ 構造物の形状
・ 構造物の寸法
・ コンクリートの配合
・ コンクリート強度
・ 気象条件
・・・・・・etc
1−5−3.バラツキ要素の数式化
上記のバラツキ要素の中で、今回は、水セメント比(W/C)
、かぶり厚(x)、腐食発生
限界濃度の3つを取り上げ、数式化していきたいと思う。
ここで、バラツキを考える上で基本となるのは、正規分布による分析を行うという事
である。正規分布により、バラツキが考慮されたtを求め、実測値と比較検討していく
方針である。
方法として、まず水セメント比を例に取って説明すると、第一に基本となる数値(平
均値)を設定します。その値を基準に、適度な範囲(水セメント比;50∼60)を選定し
ます。水セメント比であれば、平均55%、min50%、max60%となります。次に、この範
囲を3分割します。
99%
S1
x1
min
S2
x2
S3
x3
平均値
x4
max
分割数は幾つでもいいのですが、今回は計算上の都合から3つに決めました。さらに、
min~maxまでの範囲を、全集合の99%と仮定します。すると、3つに分割された部分
のそれぞれの面積の割合が算出されます。
以上のようにして、他の項目についてもそれぞれの面積の割合を算出していきます。
ここで、それぞれの面積の割合を掛け合わせる事で、何通りもの組み合わせが発生しま
す。これが、今回のバラツキの正体であり、それぞれの掛け合わされた積が、その組み
合わせでt年後に劣化すると予測されるコンクリートの本数を導き出すという事になり
ます。
第2章
主桁構造別・対策区分別における潜伏期間−t値−のバラツキ
主桁構造別・対策区分別
劣化予想年におけるバラツキ
1983 年以前
RC 桁
RC桁 対策区分Ⅰ
8
7
6
年
5
4
3
2
1
0
0
5
10
15
20
25
30
20
25
30
20
25
30
RC桁 対策区分Ⅱ
16
14
12
年
10
8
6
4
2
0
0
5
10
15
RC桁 対策区分Ⅲ
70
60
年
50
40
30
20
10
0
0
5
10
15
主桁構造別・対策区分別
劣化予想年におけるバラツキ
1983 年以前 PC 桁プレテンション方式
PCプレテンション桁 対策区分Ⅰ
6
5
年
4
3
2
1
0
0
5
10
15
20
25
30
20
25
30
20
25
30
PCプレテンション桁 対策区分Ⅱ
12
10
年
8
6
4
2
0
0
5
10
15
年
PCプレテンション桁 対策区分Ⅲ
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
0
5
10
15
主桁構造別・対策区分別
劣化予想年におけるバラツキ 1983 年以前 PC 桁ポストテンション方式
PCポストテンション桁 対策区分Ⅰ
8
7
6
年
5
4
3
2
1
0
0
5
10
15
20
25
30
20
25
30
20
25
30
PCポストテンション桁 対策区分Ⅱ
16
14
12
年
10
8
6
4
2
0
0
5
10
15
PCポストテンション桁 対策区分Ⅲ
70
60
年
50
40
30
20
10
0
0
5
10
15
主桁構造別・対策区分別
劣化予想年におけるバラツキ
1984 年以降 RC 桁
年
RC桁 対策区分Ⅰ
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
0
5
10
15
20
25
30
20
25
30
20
25
30
RC桁 対策区分Ⅱ
30
25
年
20
15
10
5
0
0
5
10
15
RC桁 対策区分Ⅲ
70
60
年
50
40
30
20
10
0
0
5
10
15
主桁構造別・対策区分別
劣化予想年におけるバラツキ
1984 年以降 PC 桁プレテンション方式
PCプレテンション桁 対策区分Ⅰ
25
20
年
15
10
5
0
0
5
10
15
20
25
30
20
25
30
20
25
30
PCプレテンション桁 対策区分Ⅱ
25
20
年
15
10
5
0
0
5
10
15
年
PCプレテンション桁 対策区分Ⅲ
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
0
5
10
15
主桁構造別・対策区分別
劣化予想年におけるバラツキ 1984 年以降 PC 桁ポストテンション方式
PCポストテンション桁 対策区分Ⅰ
30
25
年
20
15
10
5
0
0
5
10
15
20
25
30
20
25
30
20
25
30
PCポストテンション桁 対策区分Ⅱ
30
25
年
20
15
10
5
0
0
5
10
15
PCポストテンション桁 対策区分Ⅲ
70
60
年
50
40
30
20
10
0
0
5
10
15
2004
2007
2010
2013
2016
2019
2022
2025
2028
2031
2034
2037
2040
2043
2046
2049
2052
2055
2058
2061
2064
2068
2073
2076
2081
2086
主桁主構本数
2081
2075
2069
2064
2060
2056
2052
2048
2044
2040
2036
2032
2028
2024
2020
20
04
20
08
20
12
20
16
20
20
20
24
20
28
20
32
20
36
20
40
20
44
20
48
20
52
20
56
20
60
20
64
20
69
20
75
20
81
主桁主構本数
主桁構造別
2016
2012
2008
2004
主桁主構本数
第3章
予測補修本数
RC桁 補修予想本数
6
5
4
3
2
1
0
PCプレテン 補修予想本数
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
PCポステン 補修予想本数
70
60
50
40
30
20
10
0
予想補修費
(千円)
1600000
1400000
1200000
1000000
800000
600000
400000
200000
0
2075
2080
2085
2070
2075
2080
2085
2075
2080
2085
2070
2064
2070
2059
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
2019
2014
2009
2064
PCポステン桁予想補修費
2064
8000000
7000000
6000000
5000000
4000000
3000000
2000000
1000000
0
2059
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
PCプレテン桁予想補修費
2059
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
2019
2014
2009
予想補修費用
2019
2014
2009
2004
0
2004
予想
補修費
(千円)
主桁構造別
2004
予想補修費(千円)
第4章
バラツキを取り入れた補修費用試算の実施
−電気防食費固定−
RC桁予想補修費
60000
50000
40000
30000
20000
10000
0
2085
2080
2075
2070
2064
2059
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
20
10
20
16
20
22
20
28
20
34
20
40
20
46
20
52
20
58
20
64
20
71
20
77
20
83
20
04
予想補修費(千円)
2085
2080
2075
2070
2064
2059
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
2019
2014
2009
2004
予想補
修費(千円)
予想補修費用
2019
2014
2009
2004
予想補修費(千円)
主桁構造別
−電気防食費減少−
RC桁予想補修費
60000
50000
40000
30000
20000
10000
0
PCプレテン桁予想補修費
8000000
7000000
6000000
5000000
4000000
3000000
2000000
1000000
0
PCポステン桁予想補修費
1400000
1200000
1000000
800000
600000
400000
200000
2085
2080
2075
2070
2064
2059
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
20
10
20
16
20
22
20
28
20
34
20
40
20
46
20
52
20
58
20
64
20
71
20
77
20
83
20
04
予想補修費用(千円)
2085
2080
2075
2070
2064
2059
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
2019
2014
2009
2004
予想補修費用(千円)
予想補修費用
2019
2014
2009
2004
予想補修費用(千円)
主桁構造別
−電気防食費増加−
RC桁予想補修費
60000
50000
40000
30000
20000
10000
0
PCプレテン桁予想補修費
8000000
7000000
6000000
5000000
4000000
3000000
2000000
1000000
0
PCポステン桁予想補修費
1600000
1400000
1200000
1000000
800000
600000
400000
200000
0
予想補修費(千円)
9000000
8000000
7000000
6000000
5000000
4000000
3000000
2000000
1000000
0
2054
2059
2064
2070
2075
2080
2085
2054
2059
2064
2070
2075
2080
2085
2044
2039
2034
2029
2024
2019
2014
2009
2049
工事費減少率5%
2049
2044
2039
2034
2029
2024
2019
2014
2009
2004
9000000
8000000
7000000
6000000
5000000
4000000
3000000
2000000
1000000
0
2004
予想補修費(千円)
20
20
20
20
20
20
85
81
77
73
69
64
60
56
52
48
44
40
36
32
20
20
20
20
20
20
20
28
24
20
16
12
08
04
20
20
20
20
20
20
20
20
予想補修費(千円)
主桁構造別
予想補修全費用
工事費減少率1%
9000000
8000000
7000000
6000000
5000000
4000000
3000000
2000000
1000000
0
工事費減少率3%
0
2079
2084
2079
2084
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
2019
2014
2009
2074
1000000
2074
2000000
2069
3000000
2069
4000000
2064
5000000
2064
6000000
2059
PCプレテン桁予想補修費
2059
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
2019
2014
2009
2004
0
2004
予想補修費(千円)
予想補修費(千円)
第5章
バラツキを取り入れない場合の補修費用試算の実施
RC桁予想補修費
350000
300000
250000
200000
150000
100000
50000
事業費
8000000
7000000
6000000
5000000
4000000
3000000
2000000
1000000
0
2064
2069
2074
2079
2084
2064
2069
2074
2079
2084
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
2019
2014
2009
2059
補修費固定 年別全事業費
2059
2054
2049
2044
2039
2034
2029
2024
2019
2014
2009
2004
0
2004
予想補修費(千円)
PCポステン桁予想補修費
3500000
3000000
2500000
2000000
1500000
1000000
500000
第6章
結論
バラツキを考慮した場合と、考慮しない場合の年次別予想補修費の違いは、以下のよう
な違いが算出された。
・ 2004年から2086年までの約80年間で、バラツキを考慮した場合のトータルコスト
は、74,318,871,000円で、考慮しない場合は、35,013,900,000円になり大きな差が
生まれる結果になった
・
バラツキを考慮した場合の年次別補修本数は、2004年を始めとして2086年まで継
続して存在するが、バラツキを考慮しない場合は、2004年から2020年までしか存
在しておらず、それ以降の予想補修本数は0である
以上の事から考えられる原因は、バラツキを考慮した場合、バラツキ要素の組み合わせ
によって、補修時期に達するまでの時間が極端に伸びたり縮んだりする場合があるので、
その影響を受けたことにより、補修費用が大幅に違ってきたと考えられる。
バラツキを考慮した、ライフサイクルコストの将来予測が、4章によって算出されたわけ
であるが、それぞれを考察していきたいと思う。
電気防食工法において、工事費が減少していくと仮定した場合、どれほどの予算が軽減
されていくのか、またどれほどの割合で減少していくのかをシュミレートした場合、以下
のような結果が算出された。
・ 工 事 費 減 少 率 が 1 % の 場 合 の 2004 年 か ら 2086 年 の 間 の 総 工 事 費 用 は 、
67,273,050,000円となった
・ 工 事 費 減 少 率 が 3 % の 場 合 の 2004 年 か ら 2086 年 の 間 の 総 工 事 費 用 は 、
57,481,097,000円となった
・ 工 事 費 減 少 率 が 5 % の 場 合 の 2004 年 か ら 2086 年 の 間 の 総 工 事 費 用 は 、
52,173,938,000円となった
・ 工事費の減少率が1%、3%、5%の割合でそれぞれ減少していくケースを考えた
時、年間で最大約11億円の差が生じる結果となった
工事費の減少率の違いは、最終的に2004年から2086年の間に約150億円の差を生じさせ
る結果となった
-考察及びこれからの課題上にあげた工事費は、今現在存在する橋梁のみの工事費であり、これから建設される
であろう橋梁は、一切含まれていない。したがって、先ほど述べた工事費の差は、これ
から建設される橋梁の数と正比例して大きくなっていく事になる。最初にも述べたが、
2000年以降、補修されるべき道路構造物の数が激増している状況の中、これからの日
本において予算管理という事項が重要な位置を占めるようになることは安易に予測で
きる。その中で、バラツキを考慮したライフサイクルコストが、より正確に導き出され
るようになることを重点事項としてこの研究を進めてきたが、まだまだ正確といえるに
は程遠い問題点が山積みされている。これからの研究で、それらの一つ一つの不確定要
素をしっかりとした物に変化させ、より正確な予算管理システムを築きあげていくこと
が重要であると思う。
添付・補足資料
主桁主構本数の累計−RC桁
14000
12000
10000
8000
対策区分Ⅰ
対策区分Ⅱ
対策区分Ⅲ
塩害地域外
6000
4000
2000
19
20
19
24
19
28
19
32
19
36
19
40
19
44
19
48
19
52
19
56
19
60
19
64
19
68
19
72
19
76
19
80
19
84
19
88
19
92
19
96
20
00
0
主桁主構本数の累計−PC桁 プレテンション方式
PC桁(プレテンション)
PC桁(プレテンション)
PC桁(プレテンション)
PC桁(プレテンション)
塩害地域外
対策区分Ⅲ
対策区分Ⅱ
対策区分Ⅰ
19
20
19
24
19
28
19
32
19
36
19
40
19
44
19
48
19
52
19
56
19
60
19
64
19
68
19
72
19
76
19
80
19
84
19
88
19
92
19
96
20
00
180000
160000
140000
120000
100000
80000
60000
40000
20000
0
主桁主構本数の累計−PC桁 ポストテンション方式
30000
25000
20000
15000
PC桁(ポストテンション)
PC桁(ポストテンション)
PC桁(ポストテンション)
PC桁(ポストテンション)
塩害地域外
対策区分Ⅲ
対策区分Ⅱ
対策区分Ⅰ
10000
5000
19
20
19
24
19
28
19
32
19
36
19
40
19
44
19
48
19
52
19
56
19
60
19
64
19
68
19
72
19
76
19
80
19
84
19
88
19
92
19
96
20
00
0
RC桁対策区分別累積本数
1800
RC桁 対策区分Ⅰ
1600
RC桁 対策区分Ⅱ
1400
RC桁 対策区分Ⅲ
1200
1000
800
600
400
200
0
1920 1925 1930 1935 1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
PC桁(プレ)対策区分別累積本数
14000
PC桁(プレテンション) 対策区分Ⅲ
PC桁(プレテンション) 対策区分Ⅱ
PC桁(プレテンション) 対策区分Ⅰ
12000
10000
8000
6000
4000
2000
2001
1998
1995
1992
1989
1986
1983
1980
1977
1974
1971
1968
1965
1962
1959
1956
1953
1950
1947
1944
1941
1938
1935
1932
1929
1926
1923
1920
0
PC桁(ポス)対策区分別累積本数
4500
4000
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
PC桁(ポストテンション) 対策区分Ⅲ
PC桁(ポストテンション) 対策区分Ⅱ
2001
1998
1995
1992
1989
1986
1983
1980
1977
1974
1971
1968
1965
1962
1959
1956
1953
1950
1947
1944
1941
1938
1935
1932
1929
1926
1923
1920
PC桁(ポストテンション) 対策区分Ⅰ
Fly UP