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平成25年度 貸付金制度について(PDF形式:392KB)

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平成25年度 貸付金制度について(PDF形式:392KB)
前橋市監査委員公表第26号
地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第2項の規定に基づき、行政
監査を実施しましたので、同条第9項の規定により、別紙のとおり公表します。
平成26年2月5日
前橋市監査委員
赤
川
常
己
同
田
子
一
夫
同
宮
田
和
夫
同
阿
部
忠
幸
内
監
平成26年2月5日
前
長
山
本
長
岡
田
前橋市教育委員会委員長
丸
山
前
橋
橋
市
市
議
会
議
龍
様
行
喜
様
和
貴
様
前橋市監査委員
同
同
同
赤
田
宮
阿
川
子
田
部
常
一
和
忠
己
夫
夫
幸
行政監査の結果について(報告)
地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第2項の規定に基づき、行政監査
を実施したので、同条第9項の規定により、その結果を次のとおり報告いたします。
行 政 監 査 結 果 報 告 書
「貸付金制度について」
前 橋 市 監 査 委 員
目
次
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
1
第2 監査の目的
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
1
第3 監査の対象
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
1
第4 監査の期間
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
1
第5 監査の方法
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
1
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
1
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
2
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
2
(1) 貸付金制度の状況について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
2
(2) 所管部局別貸付金の状況について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
3
(3) 会計別貸付金の状況について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
3
(4) 貸付金の根拠について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
4
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
4
(1) 新規貸付の状況について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
4
(2) 償還の状況について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
5
(3) 貸付事務の状況について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
7
(4) 制度の周知について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
8
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
8
(1) 制度融資の概要について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
8
(2) 預託の状況について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
8
(3) 新規融資の状況について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
11
(4) 損失補償について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
12
(5) 制度の周知について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
12
第8 意見・要望
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
13
1 個別的事項
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
13
(1) 個人等への貸付 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
13
(2) 制度融資 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
14
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
15
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
17
第1 監査のテーマ
第6 監査の主な着眼点
第7 監査の結果
1 貸付金制度の概要について
2 個人等への貸付について
3 制度融資について
2 総括
付
表(貸付金制度一覧)
凡
1
例
文中及び各グラフ中に記載した数値は、各所属から提出された調査票の回答結果に
基づき作成した。
2
文中及び各表中で用いる百分率(%)は、小数点以下第2位を四捨五入した。
3 各表中の符号の用法は、次のとおりである。
「 - 」…………… 該当数値のないもの
行 政 監 査 結 果 報 告 書
第1 監査のテーマ
貸付金制度について
第2 監査の目的
貸付金制度は、経済政策、社会政策及びその他各種の行政政策上の目的のため、市民及
び事業者等に対し、必要な資金の貸付を行う公的融資制度である。なお、貸付金制度には、
貸付方法の違いにより、市が直接利用者に貸し付ける直接貸付と市が金融機関に資金を預
託し、その預託金を原資として金融機関が利用者に融資する間接貸付がある。
平成24年度決算をみると貸付(預託)金として約 125 億円が支出されており、多額の
資金が貸し付けされているが、所管する部局等により様々な制度の運用が行われているこ
とから、本市の貸付金制度について、支出された貸付金が有効活用されているか、制度の
周知が適切に行われているか、また、社会経済情勢の変化に応じ制度の見直しが行われて
いるかなどについて検証を行い、適正な貸付金制度の運用を目的として監査を実施するも
のである。
第3 監査の対象
平成24年度の一般会計、特別会計及び企業会計において、貸付金として支出又は償還
に関わる収入調定事務を行った貸付金制度。なお、平成24年度に支出及び調定の実績は
ないが、平成25年度において存続している貸付金制度も対象とし、会計間の貸付につい
ては対象外とした。
第4 監査の期間
平成25年7月16日から平成26年1月27日まで
第5 監査の方法
貸付金制度を把握するため、担当部局から監査の対象となった制度に関する調査票及び
関係資料の提出を求め書類審査を行うとともに、必要に応じて関係職員から説明を聴取す
るなどにより実施した。
第6 監査の主な着眼点
1
市民等のニーズや社会経済情勢の変化に応えた有効な制度となっているか。
2
貸付目的は適正か。また、事務処理は法令・条例、要綱等に従い適正に行われているか。
3
貸し付けたことによる効果(目的達成)等の適切な確認・分析が行われているか。
4
市民等へ広報(周知)は適切にされているか。また、利用しやすい制度となっているか。
5
貸付金の申請及び審査のあり方について見直しが必要なものはないか。
6
直接貸付の債権管理事務は適正に行われているか。
- 1 -
第7 監査の結果
1
貸付金制度の概要について
(1) 貸付金制度の状況について
今回の行政監査の対象となった貸付金制度は22制度である。貸付金は目的や貸付方
法等が多岐にわたり、全てに一律の基準を適用できないことから、個人や事業者に対す
る直接貸付である「個人等への貸付」、金融機関との協調融資である「制度融資」に分類
してその分析を行った。
なお、類型別にみると個人等への貸付が7制度、制度融資が15制度となっている。
個人等への貸付
貸付金制度名
部局名
課名
1 災害援護資金
総務部
危機管理室
2 群馬県共済生活協同組合に対する貸付金
市民部
生活課
3 住宅新築資金等貸付金
福祉部
4 母子寡婦福祉資金貸付金
社会福祉課
こども課
5 農業集落排水処理施設接続奨励工事費貸付金
農政部
農村整備課
6 奨学資金
教育委員会指導部 学校教育課
7 公共下水道接続奨励工事費貸付金
水道局上下水道部 下水道整備課
制度融資(市が金融機関に原資を預託し、間接的に中小企業者等に貸付けているもの)
貸付金制度名
部局名
課名
1 小口資金
2 中小企業経営振興資金
3 中小企業経営振興資金特別融資
4 商業・サービス業設備近代化資金
5 中心商店街にぎわい資金
6 季節資金
7 中小企業設備資金
8 中小企業情報化推進支援資金
商工観光部
産業政策課
都市計画部
区画整理第二課
9 中小企業研究開発資金
10 省エネ設備導入資金
11 企業誘致促進資金
12 起業家独立開業支援資金
13 勤労者生活資金
14 勤労者住宅建設資金
15 都市計画事業特別融資資金
- 2 -
(2) 所管部局別貸付金の状況について
貸付金制度の所管部局は8部局である。監査対象の22制度のうち19制度で貸付(預
託)を行い、平成24年度の貸付(預託)金額合計は 12,440,689,755 円である。また、
20制度で償還があり、平成24年度の償還金額合計は 12,483,741,454 円である。なお、
平成24年度末の貸付(融資)残高合計は 24,604,611,991 円となっている。
部局別に見ると、貸付(預託)金額・償還金額ともに、中小企業者等への制度融資を
実施している商工観光部が最も多く、貸付(預託)金額の 99.8%、償還金額の 99.5%を
占めている。
所管部局別貸付金の状況
部局名
(単位:円)
貸付(預託)金額
制度数
償還金額
貸付(融資)残高
総務部
1
(0)
0 (0)
0
0
市民部
1
(0)
0 (0)
0
0
福祉部
2
(1)
11,859,000 (2)
51,859,379
347,417,257
商工観光部
14
(14) 12,420,029,000 (14) 12,420,029,000
24,213,961,529
農政部
1
(1)
640,000 (1)
847,500
1,239,000
都市計画部
1
(1)
2,232,701 (1)
2,232,701
5,836,165
教育委員会指導部
1
(1)
1,440,000 (1)
4,118,000
28,992,000
水道局上下水道部
1
(1)
4,489,054 (1)
4,654,874
7,166,040
合 計
22
(19) 12,440,689,755 (20) 12,483,741,454
24,604,611,991
※貸付(預託)金額、償還金額の( )は平成24年度に貸付及び償還のあった制度数
(3) 会計別貸付金の状況について
一般会計における平成24年度の貸付(預託)金額は 12,423,701,701 円で、平成24
年度一般会計歳出決算合計 132,973,838,353 円に占める割合は 9.3%である。また、平
成24年度の償還金額は 12,437,321,645 円で、平成24年度一般会計歳入決算合計
135,479,847,992 円に占める割合は 9.2%となっている。
平成24年度の特別会計における貸付金額は 12,499,000 円で、償還金額は 41,764,935
円である。また、平成24年度の企業会計における貸付金額は 4,489,054 円で、償還金
額は 4,654,874 円である。
(単位:円)
会計別貸付金の状況
貸付(預託)金額
償還金額
貸付(融資)残高
会計名
制度数
一 般 会 計
19
(16) 12,423,701,701 (17) 12,437,321,645
特 別 会 計
2
(2)
12,499,000 (2)
41,764,935
220,225,539
企 業 会 計
1
(1)
4,489,054 (1)
4,654,874
7,166,040
合 計
22
(19) 12,440,689,755 (20) 12,483,741,454
24,604,611,991
24,377,220,412
※貸付(預託)金額、償還金額の( )は平成24年度に貸付及び償還のあった制度数
- 3 -
(4) 貸付金の根拠について
制度ごとの貸付や預託の根拠の状況をみると、法令・条例(併せて要綱等の定めのあ
るものを含む。)に基づくものは12制度、要綱等(規則・要領を含む。)のみに基づく
ものは9制度、契約書のみに基づくものは1制度である。
類型別にみると、個人等への貸付7制度のうち、
「母子寡婦福祉資金貸付金」以下4制
度については法令・条例(要綱等を含む。)、
「住宅新築資金等貸付金」及び「農業集落排
水処理施設接続奨励工事費貸付金」については要綱等(要領を含む。)のみ、「群馬県共
済生活協同組合に対する貸付金」は契約書のみを根拠としている。
また、制度融資15制度のうち、
「小口資金」等比較的利用の多いものや「勤労者生活
資金」等個人向けのものなど8制度については条例(要綱等を含む。)、
「中小企業設備資
金」以下7制度については要綱等のみを根拠としている。
貸付金の根拠
類 型
法令・条例
要綱等のみ
契約書のみ
計
個人等への貸付
4
2
1
7
制 度 融 資
8
7
0
15
計
12
9
1
22
※法令・条例でカウントされている中に、併せて要綱等が定められているものがある。
2
個人等への貸付について
(1) 新規貸付の状況について
個人等への貸付制度は7制度あるが、そのうち「災害援護資金」及び「群馬県共済生
活協同組合に対する貸付金」については、その前提となる大規模な災害等がなかったこ
とから、新規貸付の実績はなかった。また、
「住宅新築資金等貸付金」についても同和対
策事業特別措置法が失効しており、新規貸付は行っていなかった。
「母子寡婦福祉資金貸付金」については、平成21年度に本市が中核市へ移行したこ
とにより、群馬県から事務を委譲された貸付金であるが、引継ぎ後の新規貸付金の予算
執行率は、過去4年間平均で 10.2%であり、特に平成23年度及び24年度は、10%未
満の低率であった。貸付実績は少ないが、繰越金が毎年増となった結果、収支予算を均
衡させるため、歳出予算額を大きく見込んだことが、執行率減の要因である。
「農業集落排水処理施設接続奨励工事費貸付金」の予算執行率は、過去5年間平均で
60.5%、
「公共下水道接続奨励工事費貸付金」の予算執行率は、過去5年間平均で 64.4%
である。両制度とも農業集落排水処理施設及び公共下水道への接続促進を図るため無利
子で貸付を行っているものであり、整備済区域内に少なからず未接続世帯が存在する中、
積極的な接続を促すよう努める必要がある。なお、両制度ともに接続切替の補助金交付
制度が制定され、その需要が増えていることが執行率減の要因の一つとなっている。
「奨学資金」の予算執行率は、過去5年間平均で 87.6%である。高等学校等に在学し、
経済的理由により修学が困難な生徒に対して、学資の貸与を行っているものであるが、
高校の授業料無償化等の影響により、利用状況は減っている。
- 4 -
(単位:円・%)
新規貸付の状況
貸付金制度
母子寡婦福祉資金貸付金
農業集落排水処理施設接
続奨励工事費貸付金
奨学資金
公共下水道接続奨励工事
費貸付金
年度
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
最終予算額
予算執行率
B/A×100
貸付実績
A
B
63,548,000
70,506,000
113,392,000
155,493,000
5,485,000
1,300,000
3,078,713
2,400,000
990,000
4,536,000
4,680,000
5,328,000
4,896,000
1,440,000
11,073,000
8,219,000
7,916,000
7,143,000
8,048,000
12,838,350
7,089,000
9,462,000
11,859,000
3,084,167
996,726
3,078,713
215,000
640,000
4,320,000
4,608,000
5,040,000
2,880,000
1,440,000
5,911,165
6,607,614
7,695,337
2,604,760
4,489,054
単年度
5年間平均
20.2
10.1
8.3
7.6
56.2
76.7
100
9.0
64.6
95.2
98.5
94.6
58.8
100
53.4
80.4
97.2
36.5
55.8
10.2
60.5
87.6
64.4
※平成24年度に新規貸付を終了している制度及び貸付実績のない制度は記載していない。
(2) 償還の状況について
償還については、新規貸付のある4制度に加えて「住宅新築資金等貸付金」で受けて
いる。
「住宅新築資金等貸付金」の収納率は、過去5年間平均で 15.3%と極めて低率であり、
単年度の収納率についても毎年低下している状況にある。平成24年度の収入未済額は
84,535,751 円と多額であり、過去5年間の収入未済額の状況を見てもほとんど変わって
いないことから、大幅な収入未済額の圧縮が課題となっている。そのため、滞納対策と
して、戸別訪問による納付の催告、納付催告通知(催告書)の送付などを行っている。
また、居所不明者等に対しては、連帯保証人への納付催告を実施するとともに、今後は
債権の回収が著しく困難な案件に関して徴収停止の検討を行う予定とのことである。
「母子寡婦福祉資金貸付金」の収納率は、過去4年間平均で 47.6%と低率である。平
成24年度の収入未済額は 41,951,913 円であり、平成21年度と比較すると4年間で
6,741,882 円圧縮された。また、滞納対策として、月2回の定期戸別訪問を実施すると
ともに、夜間訪問及び電話催告により自主納付の促進を図っている。さらに、納付機会
の拡大を図るため、平成24年度からコンビニ収納及びペイジーを導入した。なお、こ
の制度に係る特別会計は、貸付者からの償還金を貸付財源に充当することを繰り返す回
転資金方式で運営されているため、収入未済の圧縮に努めることが必要である。
- 5 -
「農業集落排水処理施設接続奨励工事費貸付金」の収納率は、過去5年間平均で 87.7%
となっているが、単年度ベースでみると平成20年度が 97.4%だったのに対し、平成
24年度は 62.0%であり、近年急激に収納率が低下している。平成24年度の収入未済
額は 520,000 円であり、毎年増加傾向にある。なお、滞納対策として、戸別訪問及び電
話催告をはじめ、今後は必要に応じて連帯保証人への交渉を行う予定とのことである。
「奨学資金」の収納率は、過去5年間平均で 38.3%と低率である。平成24年度の収
入未済額は 4,860,000 円であるが、平成21年度以降は毎年減少傾向にあり、平成21
年度と比較すると4年間で 2,628,000 円圧縮された。なお、滞納対策として、戸別訪問
による徴収を強化している。
「公共下水道接続奨励工事費貸付金」の収納率は、過去5年間平均で 91.6%となって
いる。また、平成24年度の収入未済額は 378,800 円であり、平成22年度以降は減少
傾向にある。なお、滞納対策として、戸別訪問及び電話催告を行っている。
償還の状況
(単位:円・%)
収納率
貸付金制度 年度
調定額
不納欠損額 収入未済額
収入済額
貸付残高
単年度 5年間平均
住宅新築資
金等貸付金
母子寡婦福
祉資金貸付
金
農業集落排
水処理施設
接続奨励工
事費貸付金
奨学資金
公共下水道
接続奨励工
事費貸付金
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
105,204,348
101,690,467
102,542,385
98,254,809
95,477,695
88,185,385
91,663,141
86,411,491
82,869,348
1,527,667
1,789,881
2,254,458
1,994,900
1,367,500
9,324,000
10,340,000
11,466,000
10,741,000
9,359,000
12,070,465
7,932,754
7,936,647
7,226,250
5,033,674
19,266,689
17,467,047
17,035,958
12,377,268
10,941,944
39,491,590
44,608,970
41,089,771
40,917,435
1,487,667
1,749,881
2,126,558
1,627,000
847,500
2,908,000
2,852,000
4,449,000
5,276,000
4,118,000
10,993,465
7,335,454
7,141,747
6,705,550
4,654,874
18.3
17.2
16.6
12.6
11.5
44.8
48.7
47.6
49.4
97.4
97.8
94.3
81.6
62.0
31.2
27.6
38.8
49.1
44.0
91.1
92.5
90.0
92.8
92.5
15.3
47.6
87.7
38.3
91.6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
128,000
0
381,000
256,200
0
0
0
0
85,937,659
84,223,420
85,506,427
85,877,541
84,535,751
48,693,795
47,054,171
45,321,720
41,951,913
40,000
40,000
127,900
367,900
520,000
6,416,000
7,488,000
6,889,000
5,465,000
4,860,000
820,800
597,300
794,900
520,700
378,800
※公共下水道接続奨励工事費貸付金の収入未済額は営業未収金として経理されている。
- 6 -
186,252,935
168,785,888
151,749,930
139,372,662
128,430,718
300,276,182
274,765,152
249,562,075
218,986,539
2,918,400
2,249,300
3,498,500
2,086,500
1,239,000
31,376,000
33,090,000
28,892,000
32,735,000
28,992,000
11,606,900
10,879,060
11,432,650
7,331,860
7,166,040
(3) 貸付事務の状況について
各制度の貸付事務の状況について、調査票等により検証を行った。
ア
償還に係る遅延損害金について
償還に係る遅延損害金について、
「農業集落排水処理施設接続奨励工事費貸付金」は
要綱に規定されておらず請求も行っていなかった。また、それ以外の6制度に係る遅
延損害金の請求根拠は、
「災害援護資金」及び「母子寡婦福祉資金貸付金」は法令(利
率は両制度ともに 10.75%)、「奨学資金」及び「公共下水道接続奨励工事費貸付金」
は民法の規定(利率は両制度ともに 5.0%)、「群馬県共済生活協同組合に対する貸付
金」及び「住宅新築資金等貸付金」は契約書(住宅のみ 10.95%と契約書に明記)に
基づいて請求することになっているが、実際に請求を行っているものはなかった。
イ
保証人及び担保の設定について
保証人の設定について、
「群馬県共済生活協同組合に対する貸付金」は不要としてい
るが、「母子寡婦福祉資金貸付金」以下5制度は連帯保証人の設定を必要としている。
このうち、
「奨学資金」については、2人の連帯保証人の設定を必要としているが、そ
れ以外の4制度は1人の連帯保証人の設定としている。
また、
「住宅新築資金等貸付金」は契約により保証人又は連帯保証人が1~2人設定
されていた。
物的担保の設定については、7制度全てにおいて不要としている。
ウ
審査機関の設置について
審査機関の設置について、
「母子寡婦福祉資金貸付金」及び「奨学資金」の2制度で
設置し、貸付の可否を決定している。
「母子寡婦福祉資金貸付金」の審査機関は、貸付検討審査会であり、本市福祉部こ
ども課長、同課こども施策係長、こども相談支援係長、貸付担当職員及び母子自立支
援員の計5人で構成されている。また、
「奨学資金」の審査機関は、奨学資金貸与審査
委員会であり、社会福祉協議会1人、民生委員児童委員連絡協議会1人、PTA連合
会1人、市立前橋高校校長1人、市立中学校校長3人の計7人で構成されている。
エ
貸付までの期間について
新規貸付のあった4制度の状況について確認すると、
「母子寡婦福祉資金貸付金」及
び「奨学資金」については、申請後に貸付検討審査会及び奨学資金貸与審査委員会を
それぞれ開催し、審査後貸付が決定されると借用書・誓約書等の提出を求め貸付が実
行される。なお、申請から審査後貸付までは、概ね1か月半程度の期間を要している。
「農業集落排水処理施設接続奨励工事費貸付金」及び「公共下水道接続奨励工事費
貸付金」については、工事の期間にもよるが、工事業者が遅滞なく工事に着手し、書
類が提出されれば概ね3~4か月で工事業者への工事費の支払いが行われる。
オ
繰越調定について
過去5年間の収入未済に係る繰越調定処理について確認したところ、
「 母子寡婦福祉
資金貸付金」の平成22年度及び23年度、
「奨学資金」の平成21年度において、収
入未済額が翌年度の調定額として、適正に繰越し整理がされていないことにより繰越
調定額の誤りが見受けられた。
- 7 -
(4) 制度の周知について
貸付金制度の広報(周知)は、主に広報まえばし・水道局だよりへの掲載、公式ホー
ムページへの掲載、パンフレット等の作成・配付により下表のとおり実施されている。
制度の周知
広報まえばし 公式ホームページ パンフレット等の
等への掲載
への掲載
作成・配付
貸付金制度
災害援護資金
-
-
-
群馬県共済生活協同組合に対する貸付金
-
-
-
住宅新築資金等貸付金
-
-
-
母子寡婦福祉資金貸付金
×
○
○
農業集落排水処理施設接続奨励工事費貸付金
○
×
○
奨学資金
○
×
○
公共下水道接続奨励工事費貸付金
○
○
○
※災害援護資金、群馬県共済生活協同組合に対する貸付金、住宅新築資金等貸付金は新規貸付なし
3
制度融資について
(1) 制度融資の概要について
制度融資は、市から金融機関に資金を預託し、金融機関が企業や個人に対して低金利
で融資を行うものである。低所得者への支援といった傾向のある個人向け貸付金とは異
なり、制度融資は中小企業の振興等を目的とする企業・事業主向けのものが多く、政策
目的の達成の手法という性格が強い傾向にある。
今回の監査対象となったものは15制度であるが、このうち、「勤労者住宅建設資金」
の新規融資は平成25年度から廃止するとともに、「商業・サービス業設備近代化資金」
は「中小企業設備資金」へ統合した。また、
「都市計画事業特別融資資金」についても予
算事業の総点検での検討により平成26年度からの廃止が予定されている。
(2) 預託の状況について
ア
予算執行率と既融資分の預託について
平成24年度の制度融資に係る預託金額は 12,422,261,701 円である。預託利率は無
利子で、1年未満の短期貸付であり、全額年度末に回収されている。予算額と預託実
績について検証すると、
「中心商店街にぎわい資金」の過去5年間平均の予算執行率が
34.7%と最も低く、次いで「商業・サービス業設備近代化資金」が過去5年間平均で
51.0%となっている。また、過去5年間平均が 70%台は4制度、80%台は2制度、90%
台は2制度、100%は4制度である。なお、平成24年度から新設された「省エネ設備
導入資金」は、単年度の状況になるが予算執行率は 19.3%であった。
既融資分の預託額は、前年度末融資残高を協調倍率で除した金額で預託していたが、
平成25年度から「中小企業設備資金」以下9制度で算定ベースを前年度末融資残高
から年間平均残高に見直し、より実際の残高に近い算定ベースでの預託に変更した。
なお、
「中小企業設備資金」の要綱では、原則として市内の銀行等での融資・預託につ
いて規定しているが、既融資分で市外の金融機関に預託しているものが見受けられた。
- 8 -
預託の状況(予算執行率の5年間平均が100%未満のもの)
貸付金制度
中小企業経営振興資金特別
融資
商業・サービス業設備近代
化資金
中心商店街にぎわい資金
中小企業設備資金
中小企業情報化推進支援資
金
中小企業研究開発資金
企業誘致促進資金
起業家独立開業支援資金
勤労者生活資金
年度
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
最終予算額
A
1,650,000,000
5,000,000,000
8,000,000,000
6,300,000,000
6,000,000,000
608,400,000
598,175,000
225,166,000
206,079,000
186,241,000
460,800,000
467,447,000
193,764,000
188,341,000
186,241,000
1,095,426,000
1,100,000,000
954,106,000
840,293,000
682,268,000
101,657,000
112,158,000
100,000,000
90,000,000
70,000,000
395,211,000
346,390,000
343,732,000
320,805,000
198,471,000
327,777,000
12,777,000
109,982,000
92,260,000
75,504,000
1,777,140,000
1,797,806,000
1,774,558,000
1,775,445,000
1,550,000,000
63,485,000
39,718,000
22,463,000
17,117,000
14,806,000
預託実績
B
713,436,000
4,038,388,000
5,780,122,000
5,947,930,000
5,585,086,000
252,567,000
228,805,000
159,716,000
150,561,000
137,818,000
117,092,000
107,787,000
107,697,000
95,384,000
91,771,000
998,070,000
867,162,000
756,186,000
638,227,000
543,878,000
88,324,000
77,521,000
78,509,000
68,576,000
51,714,000
256,545,000
246,390,000
243,732,000
220,805,000
193,471,000
145,570,000
12,777,000
109,982,000
92,260,000
75,504,000
1,612,253,000
1,571,364,000
1,620,266,000
1,601,841,000
1,432,444,000
63,485,000
39,718,000
22,463,000
17,117,000
9,806,000
(単位:円・%)
予算執行率
B/A×100
単年度 5年間平均
43.2
80.8
81.9
72.3
94.4
93.1
41.5
38.3
51.0
70.9
73.1
74.0
25.4
23.1
34.7
55.6
50.6
49.3
91.1
78.8
81.4
79.3
76.0
79.7
86.9
69.1
77.0
78.5
76.2
73.9
64.9
71.1
72.4
70.9
68.8
97.5
44.4
100
70.5
100
100
100
90.7
87.4
90.4
91.3
90.2
92.4
100
100
96.8
100
100
66.2
※中小企業経営振興資金特別融資は経営安定資金と平成24年度で廃止された消防設備、公害防止用
施設等資金(1件のみ)の合算額である。
※各年度預託額が、1,000万円未満の制度である都市計画事業特別融資資金は記載していない。なお、
過去5年間の平均予算執行率は77.8%である。
- 9 -
預託の状況(予算執行率の5年間平均が100%のもの)
貸付金制度
小口資金
中小企業経営振興資金
季節資金
勤労者住宅建設資金
イ
年度
最終予算額
A
2,340,000,000
2,061,500,000
1,875,500,000
1,756,500,000
1,662,500,000
857,000,000
708,000,000
554,000,000
467,000,000
377,000,000
2,250,000,000
2,250,000,000
1,811,000,000
1,979,000,000
2,035,666,000
356,115,000
302,680,000
260,108,000
217,014,000
165,455,000
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
20
21
22
23
24
(単位:円・%)
預託実績
予算執行率
B/A×100
B 単年度 5年間平均
2,340,000,000
100
2,061,500,000
100
100
1,875,500,000
100
1,756,500,000
100
1,662,500,000
100
857,000,000
100
708,000,000
100
100
554,000,000
100
467,000,000
100
377,000,000
100
2,250,000,000
100
2,250,000,000
100
100
1,811,000,000
100
1,979,000,000
100
2,035,666,000
100
356,115,000
100
302,680,000
100
100
260,108,000
100
217,014,000
100
165,455,000
100
融資残高と預託金額の推移について
下表のとおり制度融資15制度の合計融資残高とその預託金額の推移をみると、リ
ーマンショック後の平成21年度から平成22年度にかけて融資残高及び預託金額と
もに増加し、平成22年度をピークに毎年減少傾向にある。
融資残高
融資残高と預託金額の推移
億円
預託金額
300
270
276.6
281.5
261.4
240
210
242.2
239.6
180
150
120
100.6
90
20
125.2
133.8
132.5
21
22
23
- 10 -
124.2
24
年度
ウ
新規分の預託について
新規分は、年4回(平成24年度は5月、8月、11月、3月)の預託時期に、融
資金額(ただし「小口資金」及び「中小企業経営振興資金」は前年度2月末融資実績、
「季節資金」は前年度延べ融資実績を算定ベースとしている。)を協調倍率で除した金
額を預託し、既融資分同様に年度末に回収している。なお、預託金の支払については、
融資決定前や融資金支払後に行うなど制度により様々な運用を行っている。
平成24年度の新規預託の状況について、融資決定前に一括で銀行に預託している
ものが4制度、融資金支払後に預託しているものが8制度であった。また、預託期日
4回全てに預託しているものは2制度しかなく、特に5月と3月に預託しているケー
スはほとんどなかった。なお、「小口資金」、「中小企業経営振興資金」及び「季節資
金」は、融資実績の有無に関わらず事前に一定金額を預託していたが、平成25年度
から前年度融資実績の無い金融機関には、実績に応じて後から預託するよう変更した。
新規預託の支払時期及び回数
貸付金制度
融資決定前
融資決定後、
融資金支払後
融資金支払前
支払回数
(実績)
小口資金
○
-
-
1回
中小企業経営振興資金
○
-
-
1回
中小企業経営振興資金特別融資
-
-
○
4回
商業・サービス業設備近代化資金
-
-
○
3回
中心商店街にぎわい資金
-
-
○
2回
季節資金
○
-
-
1回
中小企業設備資金
-
-
○
4回
中小企業情報化推進支援資金
-
-
○
1回
中小企業研究開発資金
-
-
○
1回
省エネ設備導入資金
-
-
○
2回
企業誘致促進資金
-
-
-
新規預託無し
起業家独立開業支援資金
-
-
○
3回
勤労者生活資金
○
-
-
1回
勤労者住宅建設資金
-
-
-
新規預託無し
都市計画事業特別融資資金
-
-
-
新規預託無し
(3) 新規融資の状況について
市の制度融資に基づき金融機関が行った平成24年度の融資総額は、19,357,516,000
円であった。また、平成24年度に市から支出した新規預託額は、2,855,872,000 円で
あり、市の預託金の約7倍の融資が行われていることになる。
平成24年度の融資の状況については、近年の推移と同様に「季節資金」、
「小口資金」
及び「中小企業経営振興資金特別融資(経営安定資金)」など運転資金等に係る利用が多
い。なお、平成24年度に新規融資の無かったものは「企業誘致促進資金」、「勤労者住
宅建設資金」及び「都市計画事業特別融資資金」の3制度であった。
- 11 -
リーマンショック後の経済悪化により、平成21年度の融資が延びたが、以後は徐々
に減少傾向にある。平成24年度は「中小企業経営振興資金」、「中小企業経営振興資金
特別融資(経営安定資金)」及び「季節資金」について前年度と比較すると実績は減少し
ているが、その理由としては、自民党への政権交代に伴ういわゆるアベノミクスの効果
により、ゆるやかに景気が回復基調にあるため、制度融資よりも銀行プロパー融資が延
びたこと等によるものと思慮される。
新規融資の状況
貸付金制度
(単位:円)
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
小口資金
4,396,834,600 4,796,040,000 4,308,081,000 4,024,384,000 4,277,448,000
中小企業経営振興資金
1,137,770,000
中小企業経営振興資金特別融資
2,412,980,000 6,646,944,000 4,466,228,000 2,374,900,000 2,221,978,000
902,281,000
651,063,000
403,717,000
298,158,000
商業・サービス業設備近代化資金
77,070,000
72,500,000
22,800,000
65,000,000
77,800,000
中心商店街にぎわい資金
61,500,000
0
20,000,000
2,000,000
16,800,000
季節資金
14,318,300,000 12,484,300,000 12,965,700,000 13,036,070,000 11,745,162,000
中小企業設備資金
823,100,000
162,500,000
106,200,000
106,000,000
298,680,000
中小企業情報化推進支援資金
57,500,000
9,000,000
9,000,000
0
5,000,000
中小企業研究開発資金
10,000,000
62,120,000
40,000,000
8,000,000
2,500,000
省エネ設備導入資金
-
-
-
-
198,570,000
企業誘致促進資金
0
0
0
0
0
420,400,000
421,950,000
603,550,000
342,420,000
208,020,000
勤労者生活資金
18,620,000
12,300,000
4,500,000
3,000,000
7,400,000
勤労者住宅建設資金
48,000,000
0
0
0
0
7,000,000
0
0
0
0
起業家独立開業支援資金
都市計画事業特別融資資金
合 計
23,789,074,600 25,569,935,000 23,197,122,000 20,365,491,000 19,357,516,000
(4) 損失補償について
損失補償について、
「 小口資金」
・
「中小企業経営振興資金」の条例等で規定されている。
保証範囲は、代位弁済した元本金額から中小企業信用保険法による保険てん補額を控除
した金額である。ただし、平成19年10月1日から開始された責任共有制度における
負担金方式を適用している保証は、上記控除後金額に 0.8 を乗じた金額となっている。
(5) 制度の周知について
制度融資の広報(周知)について、
「企業誘致促進資金」は対象者が企業誘致条例の指
定者等に限定されるため、パンフレット等での周知のみ行っていなかったが、それ以外
の14制度については、広報まえばしへの掲載、公式ホームページへの掲載、パンフレ
ット等の作成・配付3種類全ての周知方法を活用していた。また、関係機関と連携し共
同で窓口・電話相談等を実施している制度も見受けられた。
- 12 -
第8 意見・要望
貸付金制度について、様々な視点から調査した結果を述べてきたが、今後の運用におい
ては以下の事項に留意され、一層の適正化及び効率化に取り組まれたい。
1
個別的事項
(1) 個人等への貸付
ア
予算額と貸付実績の乖離の解消等について
貸付金制度は予算額の範囲内で最大限利用されて実効をあげることができる。しか
しながら、新規貸付のある4制度のうち「母子寡婦福祉資金貸付金」以下3制度にお
いて、平成24年度及び過去5年間平均(「母子寡婦福祉資金貸付金」は過去4年間平
均)をみると貸付金予算に対し執行率が低調であり、貸付金制度が十分に活用されて
いるとは言い難い状況であった。また、予算執行率は比較的良い「奨学資金」におい
ても、高校授業料無償化以降、制度の見直しを行っていないため、貸付金の利用者が
採用予定人数に満たない状況であった。
執行率が低い制度については、対象者のニーズや社会経済情勢の変化に応えたもの
となっているか、利用実績を増やすために適応しているか対象者へのアンケート調査
を行うなどにより、貸付条件を検証し、利用される制度となるよう再構築されたい。
イ
制度の周知について
貸付金制度の周知については、広報まえばし、水道局だより及び公式ホームページ
への掲載並びにパンフレット等を活用し、市民に対して広く効果的に行う必要がある
が、周知活動を十分に行っていないものが見受けられた。
(ア)広報まえばし等を利用していなかったもの
母子寡婦福祉資金貸付金
(イ)公式ホームページを活用していなかったもの
農業集落排水処理施設接続奨励工事費貸付金、奨学資金
利用促進を図るためには、様々な広報媒体を活用し、対象者に届くよう効果的な周
知活動を行うことが必要である。
ウ
保証人・連帯保証人への債権の請求について
「住宅新築資金等貸付金」及び「奨学資金」において、長期滞納者の保証人や連帯
保証人に対し債権の請求を行っていないものが見受けられた。特に連帯保証人は、法
律上債務者と同じ地位を持つものであるため、債権の請求について適正に行うよう要
望する。
エ
遅延損害金の請求について
「住宅新築資金等貸付金」、「公共下水道接続奨励工事費貸付金」及び「奨学資金」
において、遅延損害金を請求するとしながらも、実際には請求していなかった。また、
「農業集落排水処理施設接続奨励工事費貸付金」においては、遅延損害金を請求する
ことを視野に入れていなかった。
債権の管理に関する条例では、償還の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金につい
て徴収すべきものと規定しているため、遅延損害金の請求について適正に行うよう要
望する。
- 13 -
オ
未収債権の法的措置について
個人等への貸付で貸付実績のある5制度全てにおいて、収入未済が発生していた。
個人に対しての貸付については、低所得者への支援といった傾向があり、債権額が強
制執行の費用に満たない場合もあると思われるが、私債権は強制徴収することができ
ないため、資力があるにも拘らず弁済について誠意のない債務者に対して、少額訴訟
や支払督促などの法的措置を実施するよう検討されたい。
ただし、法的措置の実施には専門的知識を必要とするため、ノウハウの共有のため
のマニュアル作成や専任体制の構築なども併せて検討すべきである。
カ
納付方法の整備について
現在貸付金の償還に係る納付方法については、口座振替又は納入通知書により行わ
れているが、
「母子寡婦福祉資金貸付金」は、上記方法に加え、コンビニ収納及びペイ
ジーを導入し、納付環境の整備に努めている状況が見受けられたことから、他の制度
においても利用促進、新規滞納の防止等の観点から、様々な納付環境整備も重要だと
考えるので、利用者の利便性に寄与するよう納付方法の整備について検討されたい。
(2) 制度融資
ア
預託・償還方法等の見直しについて
平成24年度の制度融資に係る預託金額は 12,422,261,701 円であるが、新規分のう
ち「小口資金」以下4制度及び既融資分の預託として、その9割以上が年度当初4~
5月に預託されている状況であった。
市の歳計現金が恒常的に不足しており、基金の繰替運用等で対応している状況を踏
まえると、新規分は預託方法・時期及び回数、継続分は融資取扱件数の比較的少ない
ものなどについては、融資償還分もあるので年度末一括償還ではなく償還回数を増や
すなど償還方法の見直しを図ることで、市の資金収支状況の改善に少なからず寄与す
るものと考えられるため、更なる預託・償還方法等の見直しについて検討されたい。
イ
制度の利用促進について
予算執行率の低いものについては、基本的に新規利用の見込みが少ないことが理由
として考えられるが、執行率が低いからといっても政策的に予算化しているものもあ
ると考える。例えば5年間の平均予算執行率が 34.7%と低い「中心商店街にぎわい資
金」についても、中心市街地の振興と活性化の目的で予算化されているところである。
現在行っている製造業への景況調査以外にも、多様な客体を対象にした制度融資に
関するアンケート調査の実施や制度融資に係る個別相談窓口を設置するなどし、更な
るニーズの把握に努めるとともに、より効果的な制度の周知方法について検討され、
制度の利用促進が図られるよう要望する。また、利用の少ない制度については、貸付
に当たっての申請書類の見直しや貸付条件を緩和することにより、制度の利用が図ら
れる場合もあると思うので併せて検討されたい。
ウ
融資利率を確保するための実質金利・協調倍率について
融資利率について直近5年間で見直しされた制度は、平成20年度に「中小企業経
営振興資金(経営安定資金)」で行われたのみであり、ほとんどの制度において定期的
- 14 -
な見直しがされていない状況であった。また、金融機関の直接の利ざやにあたる実質
金利や融資額に対する協調倍率についても同様の状況であり、定期的な見直しがされ
ていないためか、現行の実質金利及び協調倍率の設定の考え方について、所管課で十
分把握されていない状況であった。
近年のプロパー融資金利の状況や短期プライムレートの推移など様々な観点から分
析を行い、実質金利や協調倍率について定期的に検証し見直しすることが必要である。
エ
据置期間の超過について
「中小企業情報化推進支援資金」において、金融機関から提出される融資制度の据
置期間延長申請書の提出が遅れたことや提出された継続預託申請書等の書類の確認を
怠ったことにより、据置期間の延長が要綱で定められている期間を超えてしまったも
のが見受けられた。
金融機関へは書類の提出が遅延しないよう指導するとともに、提出された書類につ
いて精査し、適正な事務処理を行うよう要望する。
オ
貸付効果の分析について
制度融資に関しては、市が資金を預託して金融機関が融資するといった仕組みの関
係で、利用者にとって効果的な施策となっているかなど制度の効果について、市とし
て十分検証されていない状況であった。
制度融資について、市としても出来る限り利用者の実態把握や貸付効果の分析を行
い、中小企業者にとって利用しやすい状況になっているか、必要な制度となっている
か制度を検証することが必要である。
カ
金利優遇方法の検証について
制度融資における中小企業者支援の方策のため、金融機関に貸付資金を預託するこ
とによって金利優遇を金融機関に要請している。この金利優遇の方法として、預託金
方式によるほかに、金融機関が預託金相当額を自己調達するコストを利子補給金とし
て金融機関に交付する利子補給方式が存在する。
どちらの方式をとっても中小企業者等の受ける貸出金利のメリットは同一であるこ
とを考えると、財政コストなど様々な面から本市にとってどちらの方式が有利かモニ
タリングしてみることも必要であると考える。なお、利子補給方式は、中核市におい
て、4市(預託金方式と併用している市も含む。)で実施されているので他市の取組事
例なども参考にされたい。
2
総括
貸付金は、市内企業の育成・支援を目的に事業主が行う設備投資などの経済活動を支援
するため、または、市民への一定の生活資金、奨学金の低利融資、公共下水道等への接続
などの特定目的活動のために、条例・規則及び要綱等に基づき貸付されるものである。
貸付方法の違いにより、直接利用者に貸し付ける個人等への貸付と、金融機関に資金を
預託し、その預託金を原資として利用者に融資する制度融資があるが、いずれも市税等を
財源として支出するものであり、債権の回収を確実に行うとともに、預託期間中の資金運
用状況を的確に把握する必要がある。
- 15 -
個人等への貸付を行ったものは、貸付後の債権回収を法令等に基づいて行う必要があり、
確実に納付督促を行うことが求められている。また、制度自体が古いものが多く、時代の
ニーズに合った制度の見直しも必要である。
制度融資においては、預託時期や償還方法等について検討を行うとともに、融資利率や
制度設計が利用者である中小企業者のニーズに合っているか検証することが必要である。
また、平成25年10月1日から中小企業振興基本条例が施行されたことにより、中小企
業者の健全な発展を図る観点に立って、今後、新たな貸付金制度の創設等についても検討
されるよう要望する。
いずれにしても、貸付金制度は政策目的の達成や地域経済の活性化支援のため、その果
たす役割は大きく、市民・中小企業者ニーズや経済情勢の変化に対して迅速な対応が求め
られている。今回の監査で貸付効果の分析が十分にされていない状況も見受けられたので、
貸付金制度そのものの意義を様々な角度から検証を行い再認識するとともに、今後とも群
馬県、商工会議所、金融機関、公的保証機関等の関係機関との連携強化を図りながら、市
民や中小企業者等が、より一層利用しやすく、効果的な制度として充実させるよう要望す
る。
- 16 -
付表(貸付金制度一覧)
区分
貸付金制度の名称・目的等
貸付限度額
災害援護資金
【目的】
自然災害により、被害を受けた世帯の世帯主
に対する災害援護資金の貸付けを行い、もっ
て市民の福祉及び生活の安定に資することを
目的とする。
群馬県共済生活協同組合に対する貸付金
【目的】
大規模災害の発生により、組合が共済金支払
いの資金不足に陥った場合に貸し付ける制度
であり、県内12市が世帯数に応じて貸付契
約を結んでいる。
住宅新築資金等貸付金
【目的】
歴史的社会的理由により、生活環境等の安定
が阻害されている地域における環境の整備改
善を図る。
個
人
等
へ
の
貸
付
母子寡婦福祉資金貸付金
【目的】
母子家庭等及び寡婦に対し、その生活の安定
と向上のために必要な措置を講じ、もって母
子家庭等及び寡婦の福祉を図る。
農業集落排水処理施設接続奨励工事費貸付金
【目的】
農業集落排水処理施設の計画処理区域内にお
いて、施設への接続の奨励を図る。
奨学資金
【目的】
市内に居住する優秀な生徒であって、経済的
理由により修学困難なものに対して、学資を
貸与し、もって教育の機会均等を図ることを
目的とする。
公共下水道接続奨励工事費貸付金
【目的】
くみ取り便所を水洗便所に改造し、又は既存
のし尿浄化槽を廃止して公共下水道に接続す
ることを推進する。
貸付利率
償還方法・期間 保証人の設定
年賦又は半年賦
350万円
3%
10年(据置期間3 連帯保証人1人
年、特別の場合
5年)
年賦
610万円
無利子
毎事業年度の決 なし
算終了後2か月
以内
半年賦
(事業廃止) (事業廃止)
15年~25年
保証人又は連
帯保証人1~2
人
月賦、半年賦、
無利子。た 年賦の選択可
母子及び寡婦
だし、保証
福祉法施行令
人なしの場 母子及び寡婦福 連帯保証人1人
第7条のとお
合資金によ 祉法施行令第8
り
り1.5%
条のとおり
月賦
100万円
連帯保証人1人
無利子
48か月以内
国公立月額
12,000円
私立月額
18,000円
四半期賦
無利子
連帯保証人2人
10年
月賦
100万円
- 17 -
連帯保証人1人
無利子
48か月以内
区分
貸付金制度の名称・目的等
融資限度額
小口資金
【目的】
融資利率
中小企業経営振興資金
【目的】
月賦
2.3(2年分
1,500万円 割2.0)% 運転資金 7年以内 保証協会
以内
設備資金 9年以内
(据置期間6か月)
中小企業者の事業資金の融資を促進し、中小
企業の振興を図る。
中小企業経営振興資金特別融資:経営安定資金
【目的】
(
制
度
融
資
商業・サービス業設備近代化資金
【目的】
市内の中小商業者等の設備近代化に必要な資
金を融資することで、市内商業の振興を図
る。 ※平成25年度から中小企業設備資金
へ統合した。なお、平成24年度までに行っ
た融資のみ継続預託として取扱う。
)
中心商店街にぎわい資金
そ 【目的】
の
1 活性化区域内に設備を投資する中小企業者に
対し、低利で必要な資金を供給することによ
り、中心市街地の振興及び活性化を図る。
季節資金
【目的】
事業者の季節的資金需要期に資金の供給を円
滑にし、もって事業者の経営の安定及び振興
を図ることを目的とする。
中小企業設備資金
【目的】
市内中小企業の設備近代化、省力化あるいは
公害防止設備等の充実を図るため、必要な資
金を融資する。
中小企業情報化推進支援資金
【目的】
市内の中小企業者及び中小企業団体に対し、
高度情報化社会に対応するための事業資金を
融資し、もって中小企業の経営革新を支援す
ることを目的とする。
保証人の設定
月賦
2.3(2年分
1,250万円 割2.0)% 運転資金 6年以内 保証協会
以内
設備資金 8年以内
(据置期間6か月)
資金調達に困難する市内中小企業者の信用力
及び担保力の不足を補い、零細小口金融の疎
通を図るため、群馬県と提携して市内中小企
業の振興を図ることを目的とする。
市内の中小企業者が、事業を営むために必要
な資金を、低利なうえ、融資期間中、固定金
利で融資を受けられることは、計画的な資金
運用ができ、利用する企業の振興と発展につ
ながりひいては、本市の中小企業の振興と活
性化が図られる。
償還方法・期間
月賦
3,000万円 1.5%以内 運転資金 7年以内 保証協会
(据置期間1年以
内)
月賦
6,000万円
2.0(保証
(旅館業・商
付1.6)%
店街協同組
以内
合は1億円)
6,000万円
1.0(保証
(旅館業・商
付0.8)%
店街協同組
以内
合は1億円)
10年以内
(据置期間2年以
内)
月賦
10年以内
(据置期間2年以
内)
月賦、半年賦、年
賦の選択可
金融機関の任
意の判断によ
る
金融機関の任
意の判断によ
る
夏季・年
末資金
2,000万円
1.5(保証
金融機関の任
(事業所税納
付1.3)%
夏季・年末資金 意の判断によ
付資金は事
以内、事
6か月以内
る
業所税相当
業所税納 事業所税納付資金
額)
付資金
11か月以内
0.5%以内
資金使途、
業種によっ
て1億円~5
億円
2.0(保証
付1.6)%
以内
月賦
10年以内
(据置期間2年以
内)
金融機関の任
意の判断によ
る
月賦
2,000万円
- 18 -
金融機関の任
1.0%以内 10年以内
意の判断によ
(据置期間2年、特 る
別申請があれば最
大3年)
区分
貸付金制度の名称・目的等
融資限度額
融資利率
中小企業研究開発資金
【目的】
市内中小企業の新製品開発・新技術開発、研
究機関との連携に対する意欲向上を図るた
め、市と金融機関の協調制度として設けられ
たもので、中小企業者が、新製品・新技術の
開発等や新分野の開拓を行う際に、運転資金
及び開発に伴う機械器具装置等の設備資金を
長期、低利で貸し付けることを目的とする。
(
制
度
融
資
)
そ
の
2
本市の都市計画事業及びこれに関連する事業
によって、建築物の移転又は除却を行い、自
ら居住するための住宅の新築、増築若しくは
改築をし、又は移転先の土地を購入するため
に、必要な資金を融資することにより事業の
円滑な促進を図ることを目的としている。
保証人の設定
月賦
2億円
1.0%以内
省エネ設備導入資金
【目的】
市内で操業を行っている事業者が、地球温暖
化対策や循環型経済社会の構築などに積極的
に寄与するための省エネ設備導入に対し事業
資金を融資することで、省エネ設備の普及を
促し、消費電力の削減を支援するとともに、
電力危機の対応及び産業活動と環境との融和
を図ることを目的とする。
企業誘致促進資金
【目的】
本市に企業を誘致すること及び市内に所在す
る企業の立地を促進することにより、産業の
振興及び雇用機会の拡大を図り、もって経済
の発展及び市民生活の向上に寄与することを
目的とする。
起業家独立開業支援資金
【目的】
市内で新たに事業活動を始める者、中小企業
者又は中小企業団体に対して、当該事業活動
の開始に必要な事業資金を融資することによ
り、その創業を促進し、もって本市の地域経
済の活性化を図ることを目的とする。
勤労者生活資金
【目的】
市内の勤労者の生活に必要な資金の融資を促
進することにより、勤労者の福祉増進と生活
の安定を図り、もって勤労者の健康にして文
化的な生活の向上を図ることを目的とする。
勤労者住宅建設資金
【目的】
市内に住宅を新築、増築、改築又は住宅若し
くは住宅敷地を購入するために資金を必要と
する勤労者に対し、融資を促進することによ
り、勤労者の住宅建設の促進を図り、福祉の
向上に寄与することを目的とする。
※平成25年度から廃止
都市計画事業特別融資資金
【目的】
償還方法・期間
10年以内
(据置期間2年以
内)
金融機関の任
意の判断によ
る
月賦
1億円
1.2%以内
10年以内
(据置期間2年以
内)
金融機関の任
意の判断によ
る
月賦
6億円
1.5(保証
金融機関の任
付1.1)% 12年以内
意の判断によ
(据置期間2年、特 る
以内
別申請があれば最
大3年)
月賦
Aタイプ
金融機関の任
5,000万円
意の判断によ
1.0%以内 10年以内
Bタイプ
(据置期間1年、特 る
1,500万円
別申請があれば最
大2年)
200万円
1.9~
2.1%
月賦
教育費10年以内、
その他 5年以内
保証協会
(育児介護休業に
伴う生活費の場合
3年以内の据置可)
月賦
1,200万円
2.5%
保証協会
20年以内
月賦、半年賦併用
700万円
- 19 -
2.5%
12年以内
(据置期間1年以
内)
金融機関の任
意の判断によ
る
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