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Moody`s Global Corporate Finance
www.moodys.co.jp
Moody’s Global
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Corporate Finance
2010 ౫ 9 ሰ 30 ᅠ
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1
概要
格付け対象について
2
業界の概要と格付け上の重要な要因
4
本格付け手法について
5
主なアウトライヤーについての考察:
格付け手法による推定格付けとサブ要因の
格付け
7
主な定量的格付け要因
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谷本 伸介
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ムーデ ィ ーズは 17 社の自動車 メ ーカーに格付け を付与 し てお り 、 その格
付け対象の債務お よ び ク レ ジ ッ ト フ ァ シ リ テ ィ ーの総額は約 1,200 億 ド ル
であ る。 こ れに加え、 ムーデ ィ ーズは 12 社の自動車フ ァ イ ナン ス子会社
に格付け を付与 し てお り 、 その格付け対象の債務お よ び ク レ ジ ッ ト フ ァ シ
リ テ ィ ーの総額は約 3,250 億 ド ルにのぼ る。
本格付け手法の主な目的は、 発行体、 投資家、 お よ びその他の市場参加者
に、自動車業界の企業の信用 リ ス ク を ムーデ ィ ーズが ど う 評価する かを ご
理解いただ く 一助 と な る も のを提供 し 、 ま た主要な要因が ど う ウ エ イ ト 付
け さ れ、 個々の格付けにマ ッ ピ ン グ さ れ る か を説明する こ と にあ る 。 本稿
をお読みいただければ、 格付け上の主な考慮事項や財務指標を理解 し 、 2
ノ ッ チ以内の誤差で企業の コーポ レー ト ・ フ ァ ミ リ ー ・ レーテ ィ ン グ を推
定す る こ と がで き る。
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付録 A:格付け要因のマッピング表
付録 B:マッピング結果
Global Automobile Manufacturer Industry
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03-5408-4100
03.5408.4027
SVP- チーム リ ーダー
[email protected]
ムーデ ィ ーズの分析では、世界の自動車業界に対する 格付け を付与する 際
に、 個々に、 あ る いは複合的にみて重要 と な る 次の フ ァ ン ダ メ ン タ ルな格
付け要因に重点を置 く 。
„
市場シ ェ ア と 製品ポー ト フ ォ リ オの強 さ
„
レバレ ッ ジ と 流動性
„
収益性 と 利益率
„
キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と 債務履行能力
„
フ ァ イ ナン ス子会社のオペレーシ ョ ン
こ れ ら の 5 つの フ ァ ン ダ メ ン タ ルな格付け要因を、 その評価に用い る 指標
(サブ要因) と 併せて詳 し く 説明する 。 ムーデ ィ ーズは、 合計で 13 のサブ
要因指標を用いて、5 つの フ ァ ン ダ メ ン タ ルな格付け要因を定義 し てい る。
ま た、主要な格付け要因の格付けへのマ ッ ピ ン グ を説明 し た詳細な格付け
マ ッ ピ ン グ表 と 、各サブ要因についての各社の評価を示すマ ッ ピ ン グ表 も
掲載 し た。 多数の指標やサブ要因を用い る が、 企業は全ての要因について
最終的な格付け と 同水準 と 評価 さ れ る必要があ る わけではない。特定の要
因についての企業の格付けが実際の格付け と 大幅に異な る場合には、 そ う
し た 「ア ウ ト ラ イ ヤー」 と な っ た理由についての説明 も 加え た。 格付け手
法に よ っ て推定 さ れ る格付けは、格付け要因 と その ウ エ イ ト を も と に総合
的に判断 し た結果を示す も のであ る。格付け手法に よ っ て推定 さ れた格付
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Moody’s Global Corporate Finance
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けが、 その企業に対す る実際の格付け と 必ず し も 一致す る わけではない。 格付け手法のマ ッ ピ ン グ表
上の要因は、 自動車業界の企業に対す る 格付けにおいて考慮す る 全ての事項を網羅 し た も のではな
い。 ま た、 格付け手法におけ る 財務指標については、 具体例を示すために過去の情報のみを用いた
が、 ムーデ ィ ーズの実際の格付けには将来の実績予想が織 り 込まれ る 。
本稿では次の項目に焦点を当て る 。
„
業界の概観 と 、 業界におけ る主要な ト レ ン ド お よ び課題についての考察
„
格付け手法お よ び信用格付けに影響を与え る要因についての説明
„
格付けの枠組みの実際の適用を示 し た表
„
分析結果の ま と め
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本稿は、 売上、 利益、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの主な源泉が、 乗用車 ・ SUV ・ ピ ッ ク ア ッ プ ト ラ ッ ク 等の設
計 ・ 製造であ る 企業に焦点を当て る 。 こ のセ ク タ ーではグ ロ ーバル化が加速 し てお り 、 ほ と ん ど の企
業が複数の地域 (北米、 欧州、 日本、 日本を除 く ア ジア、 中南米な ど) で事業を展開 し てい る。 一部
の企業は乗用車 ・ SUV ・ ピ ッ ク ア ッ プ ト ラ ッ ク 等以外の製品 (二輪車、 大型商用車、 自動車部品、 そ
の他の工業製品) を製造 ・ 販売 し てい る が、 そのオペレーシ ョ ンモデル、 財務状況、 信用力を主に左
右す る のは、 乗用車 ・ SUV ・ ピ ッ ク ア ッ プ ト ラ ッ ク 等の生産であ る 。 こ れ ら の メ ーカーの格付け対象
債務お よ び ク レ ジ ッ ト フ ァ シ リ テ ィ ーの総額は約 1,200 億 ド ルにのぼ る 。
本稿の自動車 メ ーカーの多 く は、自動車 メ ーカーのホールセールお よ び リ テールの販売業務を支え る
重要な戦略的役割を担 う 大規模な フ ァ イ ナン ス業務 も 展開 し てい る 。極めて密接な戦略上お よ び業務
上の関係に加え、 自動車 メ ーカーは通常、 フ ァ イ ナン ス会社お よ びフ ァ イ ナン ス会社の格付け債務の
保有者を対象にサポー ト 契約を締結 し てい る。 フ ァ イ ナン ス 会社に対す る ムーデ ィ ーズの格付けに
は、 1) 親会社 と の戦略上お よ び事業上の関係か ら の恩恵、 2) 正式なサポー ト 契約の強 さ 、 お よ び 3)
引受基準、 ポー ト フ ォ リ オの質、 レバレ ッ ジ、 流動性、 利益お よ び資本を生成する 能力についての綿
密な分析が反映 さ れ る 。 多 く の場合、 こ の分析の結果、 フ ァ イ ナン ス会社の格付けは自動車 メ ーカー
と 同水準 と な る 。 ただ し 、 銀行当局に よ る規制や強固な資産カバレ ッ ジに よ っ て、 フ ァ イ ナン ス会社
の予想損失が親会社 よ り 相対的に改善 し 、 フ ァ イ ナン ス会社の格付けが親会社 よ り 高 く な る 可能性が
あ る 。 し か し 、 100% 所有であ る 場合や、 緊密な戦略的関係があ る 場合は、 両者の格付けの差は 1 ノ ッ
チに と ど ま る 。 状況は限 ら れてい る が 2 ノ ッ チの差がつ く こ と も あ る 。 GM と GMAC の間に 3 ノ ッ
チの差が生 じ てい る のは、 GM に よ る GMAC の所有比率が 50% 未満であ る こ と と 、 GMAC の債務の
予想損失が、 GM が直面す る信用 リ ス ク に よ っ てマ イ ナ ス の影響に さ ら さ れ る 可能性を制限する ガバ
ナン ス規定があ る こ と に よ る。 自動車フ ァ イ ナン ス会社 (GMAC を含む) に対す る、 ムーデ ィ ーズ
の格付け対象債務お よ び ク レ ジ ッ ト フ ァ シ リ テ ィ ーの総額は約 3,250 億 ド ルにのぼ る 。
本稿に示す自動車 メ ーカーに関する ムーデ ィ ーズの財務分析は、自動車 メ ーカーの単体での財務諸表
に基づいてお り 、 フ ァ イ ナン ス会社の業務については持ち分法ベース で反映 さ れてい る。 公表財務情
報が入手で き る 限 り 、 本稿で示す財務比率は、 フ ァ イ ナン ス会社の持ち分法ベース での取 り 扱いを反
映 し てい る 。 ただ し 、 本稿の ト ヨ タ 、 ホ ン ダ、 日産、 三菱の財務比率は、 自動車 メ ーカー と フ ァ イ ナ
ン ス会社の連結財務諸表に基づいてお り 、 フ ァ イ ナン ス会社の債務のみ調整を加えてい る。 現代、 起
亜、 タ タ の場合、 財務比率は連結財務諸表に基づいてお り 、 フ ァ イ ナン ス会社に対 し ていかな る 調整
も 行っ ていない。 フ ィ ア ッ ト の フ ァ イ ナン ス事業の多 く は、 合弁会社を通 じ て行われてお り 、 持ち分
法ベース で連結 さ れてい る 。 いす ゞ は大規模な フ ァ イ ナン ス業務を行っ ていない。
自動車 メ ーカーの格付けの中間値は Baa2 で、 6 社が A 以上、 6 社が Ba 以下の投機的等級 と な っ てい
る 。 本稿の対象 と な っ てい る 17 社の う ち、 1 社をのぞ く 全てが実際の格付け と の差が 2 ノ ッ チ以内
に収ま っ てお り 、 9 社が 1 ノ ッ チ以内、 4 社が実際の格付け と 同 じ と な っ てい る。
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以下に、 自動車 メ ーカーの競争の構図を検討す る う えで特に重要な要因 と 、 各社が直面する 課題につ
いて述べる 。1 2
循環性
自動車に対す る 需要は、 国お よ び地域内での循環性が極めて高い状況が続 く であ ろ う 。 各社は、 高い
流動性ポジシ ョ ン を維持す る こ と よ っ て固有の循環性への対応力を高め、 地理的分散を進め、 幅広い
製品カ テ ゴ リ ーにわた り 競争力のあ る 製品を提供 し 、 年間約 20-25% の安定 し た製品 リ ニ ュ ーアルサ
イ ク ルを維持で き る だろ う 。
長期的な需要
米国、 西欧、 日本な ど の成熟市場では、 年間需要の長期的な成長率は年率約 1% 程度で、 緩やかな人
口の伸び と 世帯数の増加が成長の要因 と な る 。 一方、 中国、 南米、 ア ジア、 イ ン ド 、 東欧な ど の新興
市場国では、 急速な経済成長、 可処分所得の増加、 持続的な人口増加が成長を牽引する 。 こ れ ら の地
域におけ る 長期的な需要は成熟市場 よ り は る かに高い と み ら れ る 。 ま た、 こ れ ら の地域におけ る 需要
は $8,000 以下の価格帯の乗用車セグ メ ン ト の拡大に寄与する と み ら れ る 。
製品の幅
多 く の自動車 メ ーカーの間では、 利益指標を強化 し 、 循環的な下降局面に対す る変動性を低減 し 、 潜
在的な消費者の需要の変化に対応する ために、 製品の幅を拡大す る傾向が出て く る だろ う 。 ま た、 製
品幅の拡大に加え、製品ポー ト フ ォ リ オの広い範囲にわた っ て収益性を確保で き る こ と が重要にな っ
て く る 。収益性の幅 と 多様性があれば、少数の製品に利益が集中す る度合いが低減 さ れ、収益、キ ャ ッ
シ ュ 生成、 主要信用指標の安定性が大幅に高ま る 。
製品 リ ニ ュ ーアルサイ クル
良好かつ安定 し た製品 リ ニ ュ ーアル率を維持する こ と が、自動車 メ ーカーに と っ て引き 続き 最 も 重要
な戦略のひ と つ と な る だろ う 。 年間製品 リ ニ ュ ーアル率は 20% 程度が健全な水準 と み ら れ る。 製品
リ ニ ュ ーアル率が安定 し ていない、 すなわち年に よ っ て大幅な差が あ る こ と は、 自動車 メ ーカーに
と っ て主要な リ ス ク ま たは競争上で不利 と な る 要因であ る 。
1. Volkswagen に対す る A3 の格付けは、 同社の 20% を所有す る Lower Saxony 州か ら のサポー ト の期待が中位であ る こ と を反映
し てい る 。
2. Chrysler Automotive は非公開会社であ り 公表財務情報が入手不可能であ る 。 こ の表には同社の格付け手法に よ る 推定格付け B2
が含ま れてい る が、 同社のサブ要因については本稿に含まれていない。
4
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グローバルな生産 ・ 供給拠点
自動車 メ ーカーはグ ロ ーバルな生産 ・ 供給体制の追求を さ ら に進めてい く だ ろ う 。 その戦略目標に
は、 通貨 リ ス ク の変動性や製品の受け入れに対す る 社会的 ・ 政治的軋轢の極小化を図 る ための タ ー
ゲ ッ ト 市場での現地拠点の構築、 東欧、 日本を除 く ア ジア、 中南米な ど の労働力コ ス ト の低い地域に
拠点を置 く こ と に よ る メ リ ッ ト の活用、現地供給拠点を も つグ ロ ーバル生産拠点に供給で き る サプ ラ
イ ヤー と の関係強化な ど が含まれ る 。
サプ ラ イヤー と の関係
グ ロ ーバルでのサプ ラ イ ヤー と の有効かつ相補的な関係の構築お よ び維持は、自動車業界内での競争
優位性の確保において ますます重要な要因 と な っ てい く だろ う 。 原材料費は乗用車の原価の 65% を
占め る。 ま た、 サプ ラ イ ヤーは、 自動車の技術開発 ・ 設計プ ロ セ ス において重要な役割を担い う る。
従っ て、 サプ ラ イ ヤー と の有効な協働関係が、 継続的な コ ス ト 削減に大 き く 寄与 し 、 サプ ラ イ ヤーの
開発 し た先端技術の活用を促進する 要因 と な り う る 。
グローバルな プ ラ ッ ト フ ォ ームおよび製品
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流動性
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乗用車の設計、 技術開発お よ び組み立てに関連す る継続的な コ ス ト 削減の必要性か ら 、 メ ーカーは複
数の乗用車のプ ラ ッ ト フ ォームの共通化を拡大 し てい く だろ う 。 ま た、 複数の市場に有利に投入で き
る 乗用車の開発を行っ てい く だろ う 。
サ イ ク ルの下降局面で も 多額の投資が必要であ る ため、 自動車 メ ーカーは、 適度な財務の柔軟性を維
持す る ための多額の流動性ポジシ ョ ン を維持 し てい く だろ う 。
フ ァ イ ナン ス部門
フ ァ イ ナン シ ン グ自動車サ イ ク ルの全ての局面において、個人顧客お よ び販売網に十分な資金を提供
す る 能力は、 全ての自動車 メ ーカーに と っ て引 き続 き重要 と な っ てい く だろ う 。 こ の役割はフ ァ イ ナ
ン ス部門ま たは合弁フ ァ イ ナン ス会社を通 じ て果た さ れ る こ と が多い。
排出基準 と 代替燃料自動車
代替燃料自動車お よ びハ イ ブ リ ッ ド 自動車の開発、 な ら びに CO2 排出量削減のための投資を増やす
動 き が進むだろ う 。
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本格付け手法で概説す る 自動車業界に対する ムーデ ィ ーズのアプ ロ ーチは、 次の 5 段階か ら な る 。
1. 主要格付け要因の特定
ムーデ ィ ーズの格付け委員会は、 自動車 メ ーカーの分析において次の主要格付け要因に注目す る 。 そ
れぞれの要因には、 その相対的な重要性に基づき 、 以下に示 し た ウ エ イ ト を適用する 。
要因 1: 市場シ ェ ア と 製品ポー ト フ ォ リ オ
全体の 35%
要因 2: レバレ ッ ジ と 流動性
全体の 20%
要因 3: 収益性 と 利益率
全体の 15%
要因 4: キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と 債務履行能力
全体の 25%
要因 5: フ ァ イ ナン ス会社
全体の 5%
2. 主要格付け要因の評価
こ こ では、 各要因についての指標の計算方法を説明す る。 ま た、 その要因の評価上の指標ま たはサブ
要因、 それ ら の指標を用い る 理由、 それ ら の格付け決定におけ る 用い方 (ウ エ イ ト な ど) も 説明す
る 。 指標の多 く は、 発行体の財務諸表上の も のを用い る か、 それか ら 算定 し てい る が、 ムーデ ィ ーズ
のアナ リ ス ト の考察結果に基づ く も の も あ る 。 13 のサブ要因の う ち 11 は定量要因であ り 、 65% の ウ
エ イ ト を占め る 。
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ムーデ ィ ーズの格付けは将来を見通 し た も のであ り 、業界の循環性お よ び収益の変動性の予測に基づ
く 。 し か し 、 格付けのプ ロ セ ス では、 過去の財務諸表を広範に用い る。 過去の実績を用い る こ と に
よ っ て、 その企業の実績の傾向を把握 し 、 他社 と 比較す る こ と が可能にな る。 ま た、 それか ら 見通 し
を立て、 実態に基づいて将来を予測す る こ と がで き る。 実際の格付けのプ ロ セ ス では過去の財務実績
と その将来の予測を用い る が、 本格付け手法では、 説明のため、 サブ要因についての過去 3 年間の
デー タ のみを用い る 。
全ての指標には、 損益計算書、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書、 貸借対照表への標準的調整を織 り 込む (特
に未積立の年金債務、 オペレーテ ィ ン グ リ ース、 第三者債務)。
3. 格付け カ テ ゴ リ ーのマ ッ ピ ング
各要因の評価を行っ た後、 13 のサブ要因の結果を ムーデ ィ ーズの格付け カ テ ゴ リ ー (Aaa、 Aa、 A、
Baa、 Ba、 B、 Caa、 Ca) にマ ッ ピ ン グす る 。
4. 格付け手法の適用 と アウ ト ラ イヤーについての説明
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13 のサブ要因のそれぞれについて、 各社を格付け レ ン ジにマ ッ ピ ン グす る 。 特定のサブ要因の格付
けが実際の格付け水準 よ り も 高 く な る 、 あ る いは低 く な る場合 も み ら れ る。 そ う し た企業は、 その要
因の 「ア ウ ト ラ イ ヤー」 と さ れ る。 特定のサブ要因についての格付けが実際の格付け よ り 2 ノ ッ チ以
上高い場合は、 そのサブ要因についての 「ポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー (実際の格付け よ り も 高位)」
と みな さ れ、 実際の格付け よ り 2 ノ ッ チ以上低い場合は 「ネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー (実際の格付
け よ り 低位)」 と みな さ れ る 。本格付け手法では、 それぞれのサブ要因について ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ
た理由 も 説明す る 。
5. 最終的な格付けの決定
最終的な格付け を決定す る にあ た り 、 まず 13 のサブ要因についての格付け を次の ス ケールに基づい
て数値評価に変換す る 。
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A
Baa
Ba
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3
6
9
12
15
18
次に、 各サブ要因についての数値評価に ウ エ イ ト (次表参照) を適用 し た も のを合計 し て、 主要要因
の ス コ ア を算定す る 。 例 と し て、 次表に、 各要因に対する ウ エ イ ト と その小計の内訳を示 し た。
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Ƚɞ┶ࡍǺଓǨȚ
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2.5%
⣏‫ ڸ‬3 ౫⫻ǽˀΡ 2 లईǶǽ⛩ॹ۞ᄋȿȯȪǽဝᲡ
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30%
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5%
ሱ֐੿⛤҆ / ȵɫɜɇɲɄʀȿɯɻᕉ᤹ǽ 3 ౫౪ࢍ
5%
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EBIT / ნཌ֐ෲᕉ᤹ǽ 3 ౫౪ࢍ
5%
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5%
100%
Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
次に、 合計数値を次表にマ ッ ピ ン グ し 、 その ス コ アが ど の レ ン ジに該当する かに よ っ て格付け手法に
よ る 推定格付け を決定す る 。 最終的な格付けが数値付加記号付 き格付けで示 さ れ る のに対 し て、 サブ
要因の格付けは文字格付けで示 さ れ る ため、 次表に両者の レ ン ジ を示 し た。
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ȮȰȬɐ⣪᧸ൖǽ┶ࡍǽɁȻȪ
< 1.5
Aa1
1.5 ļ x <2.5
Aa2
2.5 ļ x < 3.5
Aa3
3.5 ļ x < 4.5
A1
4.5 ļ x < 5.5
A2
5.5 ļ x < 6.5
A3
6.5 ļ x < 7.5
Baa1
7.5 ļ x < 8.5
Baa2
8.5 ļ x < 9.5
Baa3
9.5 ļ x < 10.5
Ba1
10.5 ļ x < 11.5
11.5 ļ x < 12.5
Ba3
12.5 ļ x < 13.5
B1
13.5 ļ x < 14.5
B2
14.5 ļ x < 15.5
B3
15.5 ļ x < 16.5
Caa1
16.5 ļ x < 17.5
Caa2
17.5 ļ x ļ 18.00
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3.0
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12.0
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ဝ઻጗͛Ǡ
Aaa
Y
ဝ઻጗͛Ǡ
Aaa
本格付け手法は良好な相関を示 し てい る 。 自動車 メ ーカー 17 社の う ち、 格付け手法に よ る 推定格付
けが実際の格付け と 3 ノ ッ チ乖離 し てい る メ ーカーは 1 社 (日産) のみで、 2 ノ ッ チ乖離 し てい る
メ ーカーが 3 社、 それ以外の 13 社は実際の格付け と の乖離が 1 ノ ッ チ以内に収ま っ てい る。
˩ǹȪȮɐɱȬɬʀǺdzǓǵǽ‬૴⿉
጗͛ǠཆᗕǺȗȚဝ઻጗͛ǠǷȽɞ┶ࡍǽ጗͛Ǡ
日産
日産は、 格付け手法に よ る推定格付けが Aa3、 実際の格付けが A3 (見通 し はポジテ ィ ブ) と 、 3 ノ ッ
チのポ ジ テ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 ま た、 同社の定量的な サブ要因の多 く (有利子負債 /
EBITDA 比率、 有利子負債 / キ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン比率、 RCF / 有利子負債比率、 EBITA マージ ン、
EBITA / 支払利息比率な ど) も 大幅なポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る。 日産の A3 の格付
けの制約要因、 お よ び格付け手法に よ る 推定格付けがポジ テ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た要因は、
同社の高い業績の長期的な持続性についての不透明性であ る 。 ポジテ ィ ブの見通 し には、 日産が、 高
い業績の持続性を支え ら れ る 領域の強化に向け て引 き 続 き 取 り 組んでい く であ ろ う と の認識が反映
さ れてい る 。 そ う し た領域には、 サプ ラ イ ヤー と の関係強化、 変動費低減への継続的取 り 組み、 新興
市場国におけ る 地位の拡大、 強力な製品ブ ラ ン ド イ メ ージの維持な ど が含まれ る。 こ れ ら の領域にお
いて進展がみ ら れれば、 格付けに上方圧力がかか り 、 ポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る格付
け手法に よ る 推定格付けお よ びサブ要因格付け と の乖離幅が狭ま る 可能性があ る 。
ホ ンダ
ホ ン ダの格付けは 2007 年 3 月に Aa3 に引 き上げ ら れた。 こ の実際の格付けに対 し て、 格付け手法に
よ る 推定格付けは Aa1 であ り 、 2 ノ ッ チのポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る 。 信用指標で計
測 さ れ る サブ要因の多 く (有利子負債 / EBITDA 比率、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー / 有利子負債比率、 イ ン タ
レ ス ト カバレ ッ ジ) が、 ホ ン ダの格付け手法に よ る 推定格付け Aa1 を支え てい る。 一方、 ポー ト フ ォ
リ オの強 さ と 幅については、 Aa の レ ン ジの中位~下位に相当する と ムーデ ィ ーズはみてい る 。 ま た、
同社の EBITA マージ ンは Aa のサブ要因レ ン ジの下限に位置付け ら れ る。 さ ら に重要な点は、 EBITA
マージ ンお よ び営業利益率が 2003 年以降、 低下傾向を示 し てい る こ と であ る。 その結果、 ホ ン ダの
実際の格付けは現在、 Aa3 に位置付け ら れ、 中期的に変更 さ れ る と は見込まれない。 ホ ン ダについて
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のムーデ ィ ーズの ク レ ジ ッ ト ・ オ ピ ニオンに示 し てい る通 り 、 同社の実際の格付けは、 同社がマージ
ンの低下傾向を反転 さ せ、 2 年間にわた っ て高い収益性指標を維持す る 能力を示 し た場合には引き 上
げ ら れ る 可能性があ る 。
ダ イム ラ ー
2007 年 10 月、 ムーデ ィ ーズはダ イ ム ラ ーの格付け を A3 (格付け見通 し はポジテ ィ ブ) に引 き 上げ
た。 こ れは、 同社が ク ラ イ ス ラ ー事業の 80.1% を売却 し た こ と に よ る財務 ・ 事業 ・ 戦略上の利点を考
慮 し た も のであ る 。 こ の実際の格付け A3 に対 し て、 同社の格付け手法に よ る 推定格付けは Baa1 で
あ る 。 同社は、 2 つの定量的サブ要因 (グ ロ ーバルベース での市場シ ェ ア と FCF / 有利子負債比率)
において大幅なネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る。 こ の大 き な理由は、 本稿で用い る ダ イ ム
ラ ーの指標が、 ク ラ イ ス ラ ーを含む連結ベース の事業を反映 し てい る こ と にあ る。 ク ラ イ ス ラ ーの売
却を反映 し た、 過去の財務数値に基づ く 予想は公表 さ れていない。 ただ し 、 ムーデ ィ ーズの公表格付
けには、 ダ イ ム ラ ーが ク ラ イ ス ラ ーの事業を売却する こ と に よ る 利益を考慮 し てい る 。
VW、 ル ノ ー、 プジ ョ ー、 フ ィ ア ッ ト
O
M UT
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DO
LO
G
Y
各社の実際の格付け と 格付け手法に よ る 推定格付けには次の よ う な ア ウ ト ラ イ ヤーが生 じ てい る 。す
なわち、 プジ ョ ー と フ ィ ア ッ ト は 2 ノ ッ チのネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー、 ル ノ ーの格付け手法に よ
る 推定格付けは実際の格付け と 同 じ 、 フ ォ ル ク ス ワーゲンは 1 ノ ッ チのポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー
と な っ てい る 。 こ れ ら の推定格付けは、 ムーデ ィ ーズの格付け手法に よ る マ ッ ピ ン グの目標であ る 2
ノ ッ チ以内の差に収ま っ てい る が、 定量的なサブ要因では 1 ノ ッ チ以上の大幅なネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト
ラ イ ヤーが生 じ てい る 。 こ れ ら のサブ要因におけ る差は主に、 各社の業績におけ る 過去のサ イ ク ルで
の弱みを反映 し た も のであ る 。 し か し 、 こ れ ら の 3 年平均は、 リ ス ト ラ ク チ ャ リ ン グお よ びコ ス ト 削
減策、 戦略的に重要な製品の投入予定、 基本的に良好なブ ラ ン ド ポー ト フ ォ リ オ と いっ た要因の複合
的な効果に よ り 、 将来的に改善する と ムーデ ィ ーズはみてい る。 こ の見通 し は、 製品ポー ト フ ォ リ オ
の強 さ のサブ要因についての各社の評価に反映 さ れてい る 。 こ のアプ ロ ーチは、 将来を見通 し た考察
を格付けに織 り 込む と い う ムーデ ィ ーズの目的に沿っ た も のであ る 。
三菱
三菱の格付け手法に よ る 推定格付け B1 は、 実際の格付け よ り 1 ノ ッ チ低い水準だが、 同社はい く つ
かの定量的サブ要因で大幅な ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る。 こ れは主に、 2005 年ま での業績が非常
に低調だ っ たためであ る 。 し か し 、 同社の業績は 2006 年中に大幅に改善 し てお り 、 2008 年にかけて
も 改善が続 く であ ろ う 。 ま た、 同社が三菱グループか ら のサポー ト の恩恵を受け る こ と も ムーデ ィ ー
ズは考慮 し てい る 。 同社がい く つかのサブ要因でネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る に も かか
わ ら ず Ba3 の格付け を維持 し てい る のは、 こ のサポー ト が一因であ る。
タタ
タ タ の格付け手法に よ る 推定格付け Baa3 は、実際の格付け Ba1 よ り 1 ノ ッ チ高い水準 と な っ てい る。
し か し 、 同社は多 く のサブ要因で大幅なア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る。 同社の市場シ ェ アに対する A
の評価 と 、 収益性 と 利益に対する Aaa の評価は、 同社が急速に成長す る 母国 イ ン ド 市場での圧倒的優
位性に よ る 。 こ の実績水準は、 競合が イ ン ド 市場に参入 し 、 タ タ が生産能力お よ び製品ポー ト フ ォ リ
オの大幅な拡大に関す る 事業上の課題に取 り 組むにつれ、 圧力に さ ら さ れ る 可能性が あ る 。 同社が
FCF / 有利子負債比率で Caa の評価 と な っ てい る のは、 事業拡大戦略の一環 と し て、 2007 年中に多額
の負債に よ る 設備投資を行っ た こ と を反映 し てい る 。
8
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Moody’s Global Corporate Finance
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˩ǹ઻⦖᫢጗͛Ǡ┶ࡍ
格付け要因 1 : 市場シ ェ アの傾向 と ポー ト フ ォ リ オの強 さ (ウエ イ ト 35%)
こ の要因が重要な理由
市場シ ェ アの傾向 (ウエ イ ト 5%)
グ ロ ーバルベースお よ び上位 2 地域市場での市場シ ェ アの維持は、自動車 メ ーカーが競争上の地位を
維持す る 能力を示す重要な指標であ る 。 業績お よ び主要な財務指標は、 市場シ ェ アの変化 と 強い相関
が あ る。 シ ェ アの ト レ ン ド は重要なサブ要因だが、 市場シ ェ アは、 新製品の投入サ イ ク ルの段階に
よ っ て変化 し う る と ムーデ ィ ーズは認識 し てい る 。利益率が高 く 戦略上重要な製品がシ ェ アお よ び業
績を高め る こ と があ る 。 新世代製品が投入 さ れない限 り 、 製品の経年に伴っ てシ ェ アお よ び業績は低
下す る 可能性があ る 。 ポー ト フ ォ リ オの強 さ のサブ要因について述べ る通 り 、 ムーデ ィ ーズは、 製品
ポー ト フ ォ リ オが長期にわた っ て競争力を失っ てい る 場合 と 、循環的局面で競争力を失っ てはい る が
短期間内に競争力を回復す る と み ら れ る 場合を区別 し てい る 。
ポー ト フ ォ リ オの強 さ (ウエ イ ト 30%)
O
M UT
ET DA
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O ED
DO
LO
G
Y
自動車 メ ーカーの製品ポー ト フ ォ リ オの強 さ は、 競争力のあ る事業上の地位を維持 し 、 格付け水準を
支え る 信用指標を確保す る 能力を示す最 も 重要な要因であ る 。本格付け手法の 13 のサブ要因の う ち、
11 は定量的要因で、公表デー タ の 3 年平均であ る 。 ポー ト フ ォ リ オの強 さ のサブ要因は 2 つの定性的
サブ要因の う ちの 1 つであ る ( も う ひ と つはフ ァ イ ナン ス会社のサブ要因)。 ポー ト フ ォ リ オの強 さ
のサブ要因は、 各社の製品ポー ト フ ォ リ オの過去の強 さ と 、 その将来の見通 し を評価す る も ので、 次
の 3 つの点に着目す る 。
1. 製品種類お よ び地理的多角化:自動車 メ ーカーが主要市場で広範かつ多様な製品を提供で き る
能力は、 競争上の地位を高め、 潜在的な需要変動性に対応する 能力を高め る 。 変動性に対応す
る能力は、 複数の地域で広範な製品が提供 さ れてい る場合に、 さ ら に高い と 評価 さ れ る。
2. 幅広い製品種類にわた る 収益分散 : ムーデ ィ ーズは、 自動車 メ ーカーが幅広い製品種類にわ
た っ て良好な収益性を確保で き る能力を考慮す る。収益性の確保が一部の製品種類に集中 し て
い る場合、 自動車 メ ーカーは、 そのセ ク タ ーへの需要が縮小 し た場合の リ ス ク に さ ら さ れ る 可
能性があ る。 ま た、 そのセ ク タ ー内での競争激化の影響を受けやす く な る。 一方、 収益が広範
な製品 ラ イ ンに分散 し ていれば、 対応力が高ま り 、 持続的な利益が確保で き る。
3. 製品 リ ニ ューアル率 : 製品 リ ニ ューアル率が良好かつ安定 し てい る こ と は、 自動車業界で良好
な競争上の地位 を 維持す る た めの重要な要因で あ る 。 リ ニ ュ ーア ル予定が一定 し な い ( リ
ニ ューアル率が高い年 と 低い年があ る) メ ーカーは、 市場シ ェ ア、 業績、 信用指標が変動に さ
ら さ れ る 可能性が あ る 。 自動車 メ ー カーの製品 リ ニ ュ ーア ル率 を 評価す る に あ た り 、 ム ー
デ ィ ーズは将来を見通 し 、 戦略的に重要な製品の投入を留保す る、 あ る いは新製品の投入ペー
ス を加速す る こ と の利点 も 考慮す る。
評価基準
9
„
過去 3 年間のグ ロ ーバルベース での販売台数シ ェ アの推移 (2.5%)
„
過去 3 年間の上位 2 市場での販売台数シ ェ アの推移 (2.5%)
„
製品ポー ト フ ォ リ オの幅 と 強 さ (30%)
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ǮDzǵ⃊ǚǤ
țǵǓȚƹ
3. 北米、 欧州、 日本、 日本を除 く ア ジ ア。
4. 高級車、 中価格車、 エ コ ノ ミ ー車、 ト ラ ッ ク 、 SUV、 ク ロ ス オーバー車、 代替燃料車
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
Caa
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10
B
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ⶲǓలई
˩┶⓯‫ݨ‬ȳ
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ȚӴǵȡȳ ȚӴǵȡȳ
ɘʀǦǵǓ ɘʀǦǵǓ
ǹǓई۰Ǜ ǹǓई۰Ǜ
ǑȚǛƸᴽ ǑȚǛƸᴽ
۰ǨȚএǞ ۰ǨȚএǞ
ǽɃȸɩɻ ǽɃȸɩɻ
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ǽࢄΡȡỺ ǽࢄΡȡỺ
྾ǦǵǓȚƹ ྾ǦǵǓȚƹ
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4 ࢄࣕ 3 ǽ
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ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
要因 1 の各指標の個々のマ ッ ピ ン グ を以下に示 し た。
┶ࡍ 1⿉లईࢄΡǷǬǽဝᲡǽɦɋɜɻȸệእ
Ή᰷۵
⫧ቃ጗͛Ǡ
/ CFR
┶ࡍǺଓǨȚȮȰȬɐ
లईȿȯȪǷɥʀ ⣏‫ ڸ‬3 ౫⫻ǽȸɵʀ ⣏‫ ڸ‬3 ౫⫻ǽˀΡ
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ǽɦɋɜɻȸ
۞ᄋȿȯȪǽဝᲡ
ᄋȿȯȪǽဝᲡ
2.5%
2.5%
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Hyundai Motor Company
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Volkswagen AG
⾷ɝȱɳȷɁɷʀȺɻ⾸
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Ford Motor Company
⾷ɝȱʀɑ⾸
General Motors Corporation
⾷GM⾸
ɥɀɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
ɕȴɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
観察結果 と アウ ト ラ イ ヤー
市場シ ェ アの推移
市場シ ェ アについては、 BMW、 いす ゞ 、 起亜、 タ タ の 4 社が明確なポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と
な っ てい る 。 こ れ ら 各社の場合、 過去の市場シ ェ アの拡大ペース が将来にわた っ て持続可能 と はムー
デ ィ ーズはみていない。 将来の市場シ ェ アの拡大ペー ス が鈍化す る 可能性については、 製品ポー ト
フ ォ リ オの幅 と 強 さ のサブ要因におけ る 各社の評価に反映 さ れ る 。
一方、 ダ イ ム ラ ー、 ル ノ ー、 プジ ョ ーは市場シ ェ アについての明確なネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と
な っ てい る 。 ポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤーにおけ る状況 と 同様、 こ れ ら の発行体の最近のシ ェ アの傾
向が転換す る と はムーデ ィ ーズは考え ていない。 ただ し 、 ル ノ ー と プジ ョ ーについては、 2008 年中
に新製品投入ペース の加速が期待で き れば、 転換の可能性 も あ る。 ダ イ ム ラ ーについては、 その可能
性は ク ラ イ ス ラ ーの売却に伴 う 。
現代は、 グ ロ ーバルベース の市場シ ェ アの傾向で大幅なポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー、 上位 2 市場に
おけ る シ ェ アの傾向でネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る。 こ れ ら の 2 つのサブ要因について
の評価結果は、 各社の長期的な地位を反映 し てい る わけではない。 現代 (お よ び起亜) のグ ロ ーバル
シ ェ アは北米市場での高い実績、 特に広範な製品カ テ ゴ リ ーへの拡大に よ っ て上昇 し て き た。 一方、
現代の上位 2 市場におけ る シ ェ アは、 韓国におけ る 地位の低下に よ っ て打撃を受けた。 し か し 、 国内
市場での地位は最近、 改善を見せ始めてお り 、 2006 年におけ る サブ要因の評価 Caa よ り は る かに良
い傾向を示 し てい る 。
11
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
格付け要因 2 : レバレ ッ ジ と 流動性 (20%)
この要因が重要な理由
自動車製造セ ク タ ーには、 循環性の高 さ 、 比較的低い営業利益お よ び営業利益率、 多額の設備投資、
R&D、 新製品投入の必要性 と い う 特徴があ る。 適度な レバレ ッ ジ と 十分な流動性を維持する こ と が、
循環的な下降局面で負の影響が生 じ た と き で も 自動車 メ ーカーが必要な投資のための資金を確保す
る こ と に寄与 し う る 。自動車業界の格付け手法ではレ バレ ッ ジ と 流動性の評価に 3 つの指標を用い る。
評価基準
„
3 年平均有利子負債 / EBITDA (5%)
„
3 年平均有利子負債 / キ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン (5%)
„
3 年平均 (現金+市場性のあ る 有価証券) / 総有利子負債 (10%)
┶ࡍ 2⿉ɴɘɴɋɀǷᘓؔමǽ△Ϣ࣠ᛡ
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Ľ 2x <3x
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Ľ 4x <5x
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3 ౫౪ࢍሱ֐੿⛤҆ /
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Ľ 40%
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3 ౫౪ࢍ⾷ᥰ⦘⾺లई
මǽǑȚሱϢ▩֟⾸/
ἕሱ֐੿⛤҆
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Ľ 50%
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Ľ 70%
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Ľ 80%
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> 10%
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ļ 40%
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┶ࡍ 2⿉ɴɘɴɋɀǷᘓؔමǺdzǓǵǽ᰷۬ǽɦɋɜɻȸệእ
Ή᰷۵
┶ࡍǽȮȰȬɐ
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Daimler AG⾷ɈȬɨɱʀ⾸
ɥɀɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
ɕȴɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
12
⫧ቃ጗͛Ǡ / CFR ɴɘɴɋɀǷᘓؔ 3 ౫౪ࢍሱ֐੿ 3 ౫౪ࢍሱ֐੿ 3 ౫౪ࢍ⾷ᥰ⦘⾺ల
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ɜɻȸệእ
ɲɄʀȿɯɻ ֟⾸/ ἕሱ֐੿⛤҆
5%
5%
10%
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
観察結果およびアウ ト ラ イ ヤーについての説明
3 年平均有利子負債 / EBITDA 比率
有利子負債 / EBITDA のサブ要因については、 起亜、 フ ィ ア ッ ト 、 三菱の 3 社がネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト
ラ イ ヤー と な っ てい る 。 起亜の収益お よ び EBITDA は、 ウ オン高 と 、 それに伴 う 同社の輸出売上高 ・
営業利益への圧力に よ っ て毀損 さ れた。 同社は短期的な コ ス ト 削減策を実行 し てお り 、 長期的には北
米に製造設備を建設す る 戦略を進めてい る 。 ムーデ ィ ーズは、 こ う し た取 り 組みが、 同社の長期的な
収益性の回復、 お よ び有利子負債 / EBITDA 比率の低下に寄与す る と みてい る。 フ ィ ア ッ ト と 三菱の
業績は 2005 年ま では極めて低調だっ た。 こ の時期が 3 年平均に含まれてい る ため、 両社の評価が、
有利子負債 / EBITDA 比率をは じ め と す る多 く のサブ要因でネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい
る 。 し か し 、 両社の業績は 2006 年中に大幅に改善 し 、 2008 年にかけて引 き 続き 向上 し てい く だろ う 。
タ タ は現在、 有利子負債 / EBITDA 比率でポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る。 し か し 、 同社
は 2007 年中に積極的な設備投資を行っ たために有利子負債の水準が高ま っ た。 そのため、 今後、 同
社の有利子負債 / EBITDA 比率の 3 年平均は著 し く 低下する と ムーデ ィ ーズはみてい る。
3 年平均有利子負債 / キ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン比率
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
Y
こ のサブ要因のネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤーはフ ォ ル ク ス ワーゲンのみであ る。 し か し 、 有利子負債
削減 と 資本増強を進めた こ と で、 同社の 2006 年の有利子負債 / キ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン比率は大幅に
低下 し た。 同社の経営改善策が着実に成果を あげれば、 同社の資本構造の一層の改善につなが り 、 有
利子負債 / キ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン比率の 3 年平均がシ ン グル A の格付け水準に近づ く であ ろ う 。
3 年平均 (現金+市場性のある有価証券) / 総有利子負債比率
こ のサブ要因のネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤーは タ タ のみであ る。 多 く の発行体はポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト
ラ イ ヤー と な っ てい る 。 こ れは、 多 く の自動車 メ ーカーが、 セ ク タ ーの明確な循環性に対応する財務
戦略を と っ てい る こ と と 整合的で あ る。 多額の流動性ポ ジ シ ョ ン を維持す る と い う こ の財務戦略で
は、 循環的な下降局面で大 き な ク ッ シ ョ ンが確保 さ れ る。 こ の よ う な堅実な財務戦略上では、 資本構
成におけ る 有利子負債が比較的低水準に維持 さ れ る ため、 有利子負債 / EBITDA 比率お よ び有利子負
債 / キ ャ ピ タ リ ゼーシ ョ ン比率で多 く のポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤーが生 じ る 。 タ タ は、 多額の設備
投資を行っ たために、 キ ャ ッ シ ュ ポジシ ョ ンが大幅に低下 し た。
格付け要因 3 : 収益性 と 利益 (15%)
この要因が重要な理由
収益性指標は、 各社が事業 ・ 競争モデルの多 く の重要な領域で どれだけ成果を上げてい る かをみる も
のであ る 。 その領域には、 製造におけ る効率性、 サプ ラ イ ヤー と の有効かつ相互補完的な関係を構築
す る 能力、 過大な イ ン セ ン テ ィ ブに依存す る こ と な く 市場シ ェ ア を維持で き る度合い、 その メ ーカー
の車の価値に対す る 消費者の見方、 保証費用に反映 さ れ る車の質が含まれ る。 収益性は、 自動車 メ ー
カーが有効な ビ ジ ネ ス モデル を構築 ・ 実行 ・ 維持す る 成否を示す主要な指標で あ る。 し か し 、 メ ー
カーの収益性は循環的な下降局面や一時的な悪化に見舞われ る こ と があ る 。収益悪化か ら 回復で き る
かは、 ブ ラ ン ド 力や製品 リ ニ ューアルサ イ ク ルに よ る こ と が多 く 、 こ れ ら の要因が製品ポー ト フ ォ リ
オの強 さ のサブ要因に反映 さ れ る 。
評価基準
13
„
3 年平均 EBITA マージ ン (7.5%)
„
3 年平均 EBITA / 平均資産 (7.5%)
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
┶ࡍ 3⿉‫ہ‬ᬖමǷ֐ᬖǽ△Ϣ࣠ᛡ
3 ౫౪ࢍ EBITA
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7.5%
> 10%
>8 ļ 10%
> 6 ļ 8%
> 4 ļ 6%
> 2 ļ 4%
> 0 ļ 2%
ļ 0%
3 ౫౪ࢍ EBITA
/ ౪ࢍ✇᧳
┶ࡍ 3⿉‫ہ‬ᬖමǷ֐ᬖǽ△Ϣ࣠ᛡǽɦɋɜɻȸệእ
Ή᰷۵
⫧ቃ጗͛Ǡ / CFR
‫ہ‬ᬖමǷ֐ᬖǽ
ɦɋɜɻȸệእ
3 ౫౪ࢍ EBITA
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/ ౪ࢍ✇᧳
7.5%
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Tata Motors Limited⾷ɇɇ⾸
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Caa
Caa
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Ford Motor Company⾷ɝȱʀɑ⾸
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B3
Caa
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Caa
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┶ࡍǽȮȰȬɐ
ɥɀɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
ɕȴɎȫɞɿȪȮɐɱȬɬʀ
観察結果 と アウ ト ラ イ ヤー
EBITA マージ ン と EBITA / 平均資産については、 フ ォ ル ク ス ワーゲン と 三菱の 2 社がネガテ ィ ブ ・ ア
ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 ただ し 、 3 年平均では大幅なネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たが、 両社
の業績は 2006 年中に大幅に改善 し てお り 、 ムーデ ィ ーズは こ の改善傾向が続 く と みてい る。 フ ォ ル
ク ス ワ ーゲンについては、 「ForMotionplus」 コ ス ト 削減策や、 2008 年後半の Golf の リ ニ ュ ーアルを牽
引役 と す る 回復が期待 さ れ る 。 三菱については、 広範な コ ス ト 削減策が高い成果を あげてい る。 それ
ら の進展に伴い、 両社が収益性 と 利益のサブ要因でア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る 状況は 2007 年度中
あ る いはそれ以降に大幅に改善する であ ろ う 。
最 も 顕著なポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る のが日産であ る。 前述の通 り 、 日産が高い利益
お よ び利益率を維持で き る 力を示す こ と がで き れば、 格付けの改善につなが る可能性があ り 、 こ のサ
ブ要因でア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る 状況か ら 差が縮小 し てい く だろ う 。
ル ノ ーは EBITA マージ ンのサブ要因でポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る が、 こ れは日産へ
の出資が資本に反映 さ れてい る こ と を主な要因 と し てい る 。
タ タ は自動車業界で も 突出 し て高い利益を確保 し てい る 。今後は低下 し てい く こ と が見込まれ る も の
の、 同社は イ ン ド 市場で極めて高い競争上の地位を維持 し てい る こ と か ら 、 ポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ
ヤーの地位に と ど ま る と 考え ら れ る が、 その差は現在 よ り も 縮小する だろ う 。
14
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
格付け要因 4 : キ ャ ッ シ ュ フ ロー と 債務履行能力 (25%)
この要因が重要な理由
債務に対 し て適度な水準のキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを生成する 能力、支払利息に対 し て適度な利益を確保す
る 能力は、 デフ ォ ル ト か ら の距離を評価する ための重要な要因であ る 。
リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロー
および フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ローの有利子負債に対する比率
こ れ ら の 2 つの指標は、発行体の有利子負債に対す る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー生成能力をみる 代替指標 と な
る 。 リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー (RCF) は、 留保 さ れ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーをみる が、 総キ ャ ッ シ ュ フ
ロ ー (純利益に現金流入を伴わない利益 と 現金流出を伴わない費用を加除 し た も の) か ら 配当を差 し
引いた も のを さ す。 有利子負債に対する RCF お よ び再投資が大 き いほ ど、 事業 ・ 財務上の ス ト レ ス
に耐え る 能力が高 く 、 デフ ォ ル ト を回避で き る と み ら れ る 。
Y
フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー (FCF) は総キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー (純利益に現金出入を伴わない収益お よ び費用
を加減 し た も の) か ら 運転資本必要額、 設備投資額、 お よ び配当を控除 し た も のであ る。 FCF は主
に、 企業が負債削減、 買収、 株主への特別配当な ど に利用で き る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーをみ る 指標で あ
る 。 企業の FCF の規模 と 安定性は、 債務履行能力をみ る重要な指標 と な る。
O
M UT
ET DA
H T
O ED
DO
LO
G
FCF の主な収益源は収益だが、 設備投資の水準や運転資本の増減に よ っ て も 大 き く 影響を受け る。 し
か し 、 設備投資の水準は大幅に変化 し う る 。 ま た、 発行体の事業サ イ ク ルの局面や事業環境に よ っ
て、 運転資本の増減額がキ ャ ッ シ ュ を生み出す、 あ る いは減少 さ せる こ と も あ る 。 こ の よ う に FCF に
潜在的な変動性があ る ため、ムーデ ィ ーズは RCF と FCF の両方を用い る こ と が有効だ と 考え てい る。
リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロー / 純有利子負債比率
現金お よ び市場性のあ る 有価証券の保有額は各社で異な る。 レ バ レ ッ ジ と 流動性の項に示 し た通 り 、
一部の企業は極めて多額の流動性を維持 し てお り 、 大幅な負債削減に充当 し 、 さ ら に着実に流動性
ク ッ シ ョ ン を維持す る こ と がで き る 。自動車 メ ーカーが債務負担に対 し て十分な キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを
確保す る 能力を、 よ り バ ラ ン ス が と れ、 公平に比較で き る よ う にす る ため、 ムーデ ィ ーズは、 リ テ イ
ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの純有利子負債 (有利子負債-現金お よ び市場性のあ る有価証券) に対する 比
率を用い る こ と に し た。
イ ン タ レ ス ト カバレ ッ ジ
カバレ ッ ジ レ シオは、 企業が利息お よ びその他の固定金融費用を支払 う 能力を示す も ので、 デフ ォ ル
ト リ ス ク を評価す る 最 も 重要な指標のひ と つであ る 。
評価基準
15
„
3 年平均フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー / 有利子負債比率 (5%)
„
3 年平均 リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー / 有利子負債比率 (5%)
„
3 年平均 リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー / 純有利子負債比率 (5%)
„
3 年平均 EBIT / 支払利息比率 (10%)
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
Moody’s Global Corporate Finance
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
┶ࡍ 4⿉ȵɫɋȿɭɝɵʀǷ҆‫ؘ‬୨⒅⃆‫מ‬ǽ࣠ᛡ
3 ౫౪ࢍɝɲʀȵɫɋȿɭ
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> 20%
3 ౫౪ࢍɲɎȬɻɑȵɫɋȿɭ
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ɝɵʀ / ẗሱ֐੿⛤҆ᕉ᤹
5%
3 ౫౪ࢍ EBIT
/ ნཌ֐ෲᕉ᤹
10%
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> 10%
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B
>5 ļ 10% > 0 ļ 5% > -2.5 ļ 0% >-5 ļ -2.5%
Caa
ļ -5%
> 50%
ļ 20%
> 40%
> 30%
> 20%
> 10%
> 0 ļ 10%
ļ 0%
> 90%
ļ 50%
> 70%
ļ 40%
> 50%
ļ 30%
> 30%
ļ 20%
> 20%
> 10%
ļ 10%
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ļ 70%
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ļ 30%
ļ 20%
>8x ļ 10x
>6x ļ 8x
>4x ļ 6x
>2x ļ 4x
>1 ļ 2x
> 10x
ļ 1x
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観察結果 と アウ ト ラ イ ヤー
トヨタ
ト ヨ タ は、 FCF / 有利子負債比率でネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 こ れは、 2006 年中の フ ァ
イ ナン ス活動に よ っ て FCF がマ イ ナ ス の影響を受けた こ と が主因であ る 。 ただ し 、 こ の 1 年間の変
動に も かかわ ら ず、 ト ヨ タ は継続的に多額の フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーを創出 し てい く と ムーデ ィ ーズ
はみてい る 。
BMW
BMW は全ての フ リ ーキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー指標 と カバレ ッ ジ指標について大幅なポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ
イ ヤー と な っ た。 同社は こ れ ら の点で高い実績を あげてい る が、 格付け手法に よ る推定格付けは Aa3
と 、 実際の格付け A1 (見通 し は安定的) と 1 ノ ッ チの差 し か生 じ なかっ た。 ムーデ ィ ーズは BMW
の格付けは現在の A1 の水準で安定 し てい る と 考え てい る。 同社の過去の高いキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー生成
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能力 と 関連指標は、 同社が最近、 設備投資を増加 さ せた こ と に よ っ て低下す る可能性があ る。 設備投
資の増加は、 長期的な成長目標を達成す る ための生産設備の増強 と み ら れ る。 ま た、 CO2 排出量規制
への対応に よ り 、 設備投資が増加する 可能性 も あ る 。
日産
日産は リ テ イ ン ド キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と カバレ ッ ジについて大幅なポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ
た。 本格付け手法の他のセ ク シ ョ ンで述べた通 り 、 こ の実績 (特に製品ポー ト フ ォ リ オの幅 と 強 さ の
サブ要因に反映 さ れ る 領域での実績) が持続可能であ る こ と が明 ら かになれば、 日産の格付けに上方
圧力がかか る 可能性があ る 。
ダ イム ラ ー
起亜
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ダ イ ム ラ ーは、 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー と 債務履行能力、 FCF / 有利子負債、 EBIT / 支払利息について大幅
なネガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ たが、 こ れは主に、 ク ラ イ ス ラ ーの低調な業績に よ る も のであ
る 。 ク ラ イ ス ラ ーの低調な業績に も かかわ ら ず、 ク ラ イ ス ラ ーは極めて強固な流動性ポジシ ョ ン を維
持 し て き てお り 、 その こ と は現金お よ び市場性のあ る有価証券のサブ要因でポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ
ヤー と な っ てい る こ と に示 さ れてい る 。 こ の よ う な流動性ポジシ ョ ン を維持 し てい る こ と に よ り 、 ダ
イ ム ラ ーは RCF / 純有利子負債比率で も ポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る。
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起亜は積極的な設備投資を行い、 設備投資額 / 減価償却費の比率の過去 3 年間の平均が約 275% にの
ぼっ てい る ため、 FCF は大幅な赤字であ る。 ま た、 売掛金回収日数が 2003 年の 17 日か ら 2006 年に
は 30 日に、 棚卸資産回転日数が同期間に 59 日か ら 83 日にな っ た こ と に よ る 運転資本必要額の増大
も 、 FCF を減少 さ せ る 要因 と な っ てい る 。
フ ィアッ ト
フ ィ ア ッ ト は、 2005 年にかけての業績が低調であ っ たため、 FCF / 有利子負債比率 と カバレ ッ ジでネ
ガテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ てい る 。 指標は 2006 年中に大幅に改善 し 、 2007 年にかけて さ ら に
向上す る と 見込まれ る 。
タタ
タ タ は、 2006 年ま では FCF / 有利子負債比率が極めて良好であ っ たが、 同年に積極的な設備投資計画
を実行 し た こ と を一因 と し て、 FCF が大幅な赤字 と な り 、 有利子負債が増大 し た。
三菱
三菱は、 全てのキ ャ ッ シ ュ フ ロ ーお よ び債務履行能力の指標でネガ テ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ
た。 し か し 、 コ ス ト 削減策に よ り 、 業績 と 指標の力強い回復が進んでい る 。
フ ォ ー ド および GM
フ ォー ド と GM は RCF / 純有利子負債比率でポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト ラ イ ヤー と な っ た。 両社 と も 、 潤沢
な流動性に よ っ て純有利子負債の水準が大幅に低 く な っ てお り 、 その良好な流動性ポ ジ シ ョ ン に よ
り 、 両社は (現金+市場性のあ る 有価証券) / 総有利子負債比率のサブ要因で も ポジテ ィ ブ ・ ア ウ ト
ラ イ ヤー と な っ てい る。 し か し 、 こ の流動性のほ と ん ど は、 2007 年お よ び 2008 年におけ る フ リ ー
キ ャ ッ シ ュ フ ロ ーの赤字埋め合わせ と 、 2007 年におけ る UAW (全米自動車労働組合) と の契約交渉
に伴 う 必要資金のカバーに必要だっ た も の と み ら れ る 。
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格付け要因 5 : フ ァ イ ナン ス会社 (ウエ イ ト 5%)
この要因が重要な理由
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ホールセールお よ び リ テールの販売活動におけ る フ ァ イ ナ ン ス サポー ト が得 ら れ る こ と は、 自動車
メ ーカーが競争上の地位を確保する 能力の重要な要素であ る 。本稿の検討対象 と な っ てい る 多 く の自
動車 メ ーカーは、 そ う し た ホールセールお よ び リ テールの フ ァ イ ナン ス サポー ト を提供す る、 戦略的
に重要な役割を担っ てい る 。 極めて緊密な戦略上 ・ 事業上の関係に加え、 メ ーカーか ら フ ァ イ ナン ス
会社お よ びフ ァ イ ナ ン ス 会社の格付け対象債務の保有者に対す る 正式なサポー ト 契約が締結 さ れて
い る こ と が一般的であ る 。 フ ァ イ ナン ス会社に対する ムーデ ィ ーズの格付けには、 1) 親会社 と の間の
戦略上 ・ 事業上の関係に よ る 恩恵、 2) 正式なサポー ト 契約の強 さ 、 3) 引受基準、 ポー ト フ ォ リ オの
質、 レ バ レ ッ ジ、 流動性、 収益性、 資本生成能力についての詳細な分析が反映 さ れ る。 多 く の場合、
こ の分析の結果はフ ァ イ ナン ス会社の格付けが メ ーカー と 同水準 と な る 。 し か し 、 銀行規制や資産カ
バ レ ッ ジに よ っ て フ ァ イ ナ ン ス 会社の予想損失が親会社 よ り 良好 と な る 場合があ り 、 それに よ っ て
フ ァ イ ナン ス会社の格付けが親会社の格付け よ り 高 く な る こ と があ る 。 し か し 、 100% 所有や緊密な
戦略的関係があ る 場合には、 通常、 両社の格付けの差は 1 ノ ッ チに と ど ま り 、 2 ノ ッ チの差が生 じ う
る のは限 ら れた状況においてであ る 。 GM と GMAC の間に 3 ノ ッ チの差があ る のは、 GMAC に対す
る GM の所有比率が 50% 未満であ る こ と と 、 GM が直面す る信用 リ ス ク に よ っ て GMAC の債務の予
想損失が影響を受け る 可能性が制限 さ れ る ガバナン ス条項が存在する こ と に よ る も のであ る 。
フ ァ イ ナン ス会社の事業が、 ムーデ ィ ーズの格付け手法に基づ く 推定格付けに与え る 影響をみる にあ
た り 、 ムーデ ィ ーズは次の要因を考慮する 。
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„
親会社のホールセールお よ び リ テール事業の普及率
„
多様な負債性資本へのア ク セ ス の度合い
„
負債性資本の相対的な コ ス ト
„
メ ーカーがホールセールお よ び リ テールの フ ァ イ ナン ス を保有ま たは支配 し てい る度合い
„
フ ァ イ ナン ス事業で資本を生成 ・ 留保す る能力
„
フ ァ イ ナン ス事業に関す る法律 ・ 規制の枠組み
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観察結果 と アウ ト ラ イ ヤー
多 く のケース で、 フ ァ イ ナン ス会社の事業のマ ッ ピ ン グ結果は、 その実際の格付けに整合 し た も の と
な っ た。 差があ る ケース で も 、 その差は 1 ノ ッ チ以内に と ど ま っ た。 ル ノ ー と プジ ョ ーについては、
フ ァ イ ナン ス会社の ス コ アは メ ーカーの実際の格付け よ り 1 ノ ッ チ高い結果 と な っ たが、 こ れは主
に、 フ ァ イ ナン ス事業に有利な規制の枠組みがあ る ためであ る 。 GM の フ ァ イ ナン ス事業は実際の格
付け よ り 1 ノ ッ チ高い格付け と な っ た。 こ の差は主に、 GMAC の単体での信用力が Ba と 評価 さ れ る
こ と に よ る。
全体のマ ッ ピ ン グ結果
本格付け手法で取 り 扱っ た 17 社の う ち、
„
4 社 (全体の 23%) の格付け手法に よ る 推定格付けが実際の格付け と 同 じ と な っ た。
„
5 社(全体の 29%)の格付け手法に よ る 推定格付けが実際の格付け よ り 1 ノ ッ チ高い水準 と な っ
た。
„
4 社 (全体の 23%) の格付け手法に よ る 推定快苦付けが実際の格付け よ り 1 ノ ッ チ低い水準 と
な っ た。
„
1 社 (全体の 6%) の格付け手法に よ る 推定格付けが実際の格付け よ り 2 ノ ッ チ高い水準 と な っ
た。
„
2社(全体の12%)の格付け手法に よ る推定格付けが実際の格付け よ り 2 ノ ッ チ低い水準な っ た。
„
1 社 (全体の 6%) の格付け手法に よ る 推定格付けが実際の格付け よ り 3 ノ ッ チ高い水準 と な っ
た。
20
2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
጗͛ཆᗕ
ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕǽ጗͛Ǡཆᗕǽɦɋɜɻȸ⒙
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20.0%
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>1.00< 2.00 x
>2.00< 3.00 x
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>6.0 x
3 ౫౪ࢍሱ֐੿⛤҆ / ȵɫɜɇɲ
Ʉʀȿɯɻ
5.0%
< 30 %
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>50< 60 %
>60< 70 %
>70< 80 %
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> 50 <60 %
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> 10 <20 %
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15.0%
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> 2 <3 %
> 1 <2 %
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7.5%
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<0 %
25.0%
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> 20 %
> 10 <20 %
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> -2.5 <0 %
> -5 <-2.5 %
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> 40 <50 %
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> 20 <30 %
> 10 <20 %
> 0 <10 %
<0 %
3 ౫౪ࢍɲɎȬɻɑȵɫɋȿɭ
ɝɵʀ / ẗሱ֐੿⛤҆ᕉ᤹
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Moody’s Global Corporate Finance
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ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
21
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Moody’s Global Corporate Finance
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22
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Moody’s Global Corporate Finance
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lj 105-6220
ኇ̸⤹ᚯٚ๧શ 2 ʷᬶ 5-1
๧શȸɲʀɻɚɳɂMORIɇɷʀƷ20F
Report Number: 22-SC650
Copyright 2010 Moodyæs Investors Service, Inc. ‫ڽ‬Ȃ / ‫ڻ‬Ǿ۴᰷ǽɱȬɃɻȽʀ‫ڽ‬Ȃ⬄⢪Ή᰷⾷ͨˁǃɨʀɏȫʀɂDŽǷἕᲠǦȍǨƹ⾸All rights reserved.
Ј᧸጗͛ǾƸ̗ᏡΧƸ˄ЈযẇƸ҆‫ڻؘ‬Ǿ҆‫Ⲳؘ‬Κ▩֟ǽଛቻǽᭀଓ᫢Ј᧸ɲɁȷǺdzǓǵǽƸɨʀɏȫʀɂɿɀɫəɻጋ೙Ή᰷⾷ͨˁǃMJKKDŽǷ
ǓǓȍǨƹ⾸ǽᥰᆣ᠊ǽ๟╀ǶǨƹMJKK ǾƸЈ᧸ɲɁȷȡƸ̗ᏡΧǛযẇˀɿ⛥‫ؘ‬ˀǽῲ‫ؘ‬ȡቃᅠǺ୨⒅ǶǜǹǓɲɁȷ‫ڽ‬Ȃɏɝȱɳɐ̗ᨁǛ᫘᧯
ǦǮई۰Ǻ╀⡛ȍțȚǑȘȕȚᲷⲲǽ⛥᧳᫢၏ডǷ઻ῲǦǵǓȍǨƹЈ᧸጗͛ǾƸᘓؔමɲɁȷƸలईϢоɲɁȷƸϢ጗ংؔමɲɁȷ‫ڽ‬ȂǬǽ͙ǽ
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ǢțȘǽษअȡǓǚǹȚᲷⲲǽЄ▩ȑdzǠȚǢǷǹǞǃᥰᣞሱਖDŽǶံϜǦǵǓȍǨƹɨʀɏȫʀɂǾƸЈ᧸጗͛ȡ͛˄ǨȚ⭾Ǻ᧸ǓȚษअǛ١ո
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‫ڽ‬Ȃ (b) ǺdzǓǵʶչ⛬ͷȡ⛤ǓȍǪȢƹ
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ǽ͙ǽᣞᗇ⇙ǦǞǾѫ᫘̗⛅⾷ɨʀɏȫʀɂƸǑȚǓǾǬǽ‫ۄ‬ἦൃƸൃ‫ݲ‬Ƹ൝Ꮱ‫ݲ‬ǑȚǓǾͦᥴ͆ǽნ⥎‫מ‬Ǜ‫ڽ‬ȅǚ‫ڽ‬ǿǹǓǚȡުǓȍǪȢƹ⾸Ǻ
⾷Ӵ⤴Ƹʶ⤴ȡުȞǩ⾸❙ࡍǦƸᨁቻǦƸ⇙ǦǞǾ⬄ϭǨȚ၏ড‫ڻ‬Ǿ၏્ƹ
(b) ɨʀɏȫʀɂǛ̗֭Ǻഝ○၏્ǽ‫⃆۝‬මǺdzǓǵ‫╵׬‬ȡ‫ۅ‬ǠǵǓǮई۰ǺǙǓǵȑƸǢțȘǽษअǽπ᧸Ǻȗș‫ڻ‬Ǿπ᧸Ǜ˃‫⃆۝‬ǶǑȚǢǷǺȗ
ș᫘᧯ǨȚƸǑȘȕȚᲷⲲǽᬼယ᫢Ƹ⫻ယ᫢Ƹᣀ֌Ƹ̘ᓎ᫢Ƹⓝӈ᫢Ƹ‫ڻ‬Ǿ͛⭶᫢၏્⾷⢹ড֐ᬖȡ‫܅‬ȎȍǨǛǢțǺ⭈઻ǤțȚȑǽǶǾǑșȍǪȢƹ⾸
ƹ
ǢǢǺ▉⠅ǤțȚษअǽʶ⤴ȡᐦ༔ǨȚ጗͛Ƹ⛥‫ؘ‬अ‫ܝ‬ոኝƸ̔ᚬƸ‫ڽ‬ȂǬǽ͙ǽ╀╫⾷ȑǦǑțǿ⾸ǾƸɨʀɏȫʀɂǽ๟╀ǽ⒙ᅽǶǑșƸȍǮ
ǬǽȗǕǹȑǽǷǦǵǽȎ╫⦏ǤțȚȈǜǶǑșƸǢțǺȗDzǵ̗ીȡ⒙ᅽǦƸ‫ڻ‬Ǿ▩֟ǽ✱ӱƸॹ‫⇙ڋ‬ǦǞǾЄሱȡဝ৆ǨȚȑǽǶǾǑșȍǪȢƹ
ǢǢǺ▉⠅ǨȚษअǽ۬֐᧸‫‮‬ǾƸ✱ӱƸЄሱ‫ڻ‬Ǿॹ‫ڋ‬ȡᎰ╿ǨȚ۬▩֟ǺdzǓǵƸ⅋Șᮾ᳣ɿ△ϢǦǹǠțǿǹșȍǪȢƹɨʀɏȫʀɂǾƸǓǚ
ǹȚബ೙‫ڻ‬ǾᅀᗕǺȗDzǵȑƸǢțȘǽ጗͛⇙ǦǞǾǬǽ͙ǽ๟╀‫ڻ‬Ǿษअǽᓺ᯺මƸ⣪ᆣමƸલӴමƸަ‫ݨ‬ම‫ڽ‬Ȃᣀ઻ǽᬶ᫢ȇǽ⣪۰මǺdzǓǵƸ
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MJKK ǾƸɨʀɏȫʀɂɿȸɳʀɟɿɀɫəɻ۰۴Ή᰷ǽલӴ੿Ή᰷ǶǑșƸ۴᰷ǾƸMoodyæs Corporation ( ͨˁǃMCODŽǷǓǓȍǨƹ) ǽલӴ੿
Ή᰷ǶǑȚ Moodyæs Overseas Holdings Inc. ǽલӴ੿Ή᰷ǶǨƹ
MJKK ǾƸMJKK Ǜ጗͛ȡ⒅DzǵǓȚ҆֟⾷᰷҆Ƹࢄᅀ҆Ƹ҆֟ƸཆബƸCP ȡ‫܅‬ȎȍǨƹ⾸‫ڽ‬ȂӋӞጋ೙ǽ᫘⒅‫‮‬ǽগ⤴ոǛƸMJKK Ǜ⒅Ǖ△Ϣɿ጗
͛ȽʀɛɁǺଓǦǵƸMJKK ǺȗȚ጗͛ǽ͛˄ǺӞᴗǰƸ20 ʽԒǚȘẇ 3 ҽ 5,000 ʽԒǽཆᄋᄦȡ MJKK ǺნཌǕǢǷǺ۴๟ǦǵǓȚǢǷȡƸǢǢ
Ǻ⫳ᰳǦȍǨƹȍǮƸMCO ‫ڽ‬Ȃ MJKK ǾƸMJKK ǽ጗͛‫ڽ‬Ȃ጗͛⣏Ღǽ᣻ᴗමȡ᯺ЄǨȚǮȐǽᅀ⦠ǷཆỮǜȡᄏѿǦǵǓȍǨƹMCO ǽ‫ۄ‬ἦൃǷ
጗͛ଓ⛅Ή᰷Ƿǽ⫻ǽΩȘǚǽ֐્⬄ϭǽઇࢀƸ‫ڽ‬Ȃ MJKK ǚȘ጗͛ȡ͛˄ǤțƸǚdz MCO ǽጋ೙ǽ 5% ͨˀȡЄሱǦǵǓȚǢǷȡ SEC ǺӸ೙Ǻ
अ‫ܝ‬ǦǵǓȚΉ᰷⫻ǽΩȘǚǽ֐્⬄ϭǽઇࢀǺ⬄ǨȚษअǾƸɨʀɏȫʀɂǽȮȯɞȽȬɐ www.moodys.com ˀǺ "Shareholder Relations-Corporate
Governance-Director and Shareholder Affiliation Policy" ǷǓǕ⒙ⲤǶᕃ౫Ƹဢ⠅ǤțȍǨƹ
ቊሤǽȲʀɁɐɱɲȪǶǽӸ⫳ǾƸȲʀɁɐɱɲȪ⦘␯ȽʀɛɁ◜‫۝‬ᨯ‫ ۥ‬336969 ȡሱǨȚɨʀɏȫʀɂǽ⬄⢪Ή᰷ǶǑȚ Moodyæs Investors Service
Pty Limited ABN 61 003 399 657 ǺȗDzǵ⒅ȞțȍǨƹቊᄙሤǾ⾷2001 ౫Ή᰷ᗕ 761G ቷǽ઻ȐȚ๟‫ܬ‬ǺǙǠȚ⾸ǃɣʀɳɃʀɳⲵૃDŽǽȎȇǽံϜ
ȡ๟ࡖǦǮȑǽǶǨƹȲʀɁɐɱɲȪ࡛ԑǚȘቊᄙሤǺửỮ᫢ǺȪȷɃɁǦǮई۰ƸɨʀɏȫʀɂǺଓǦǵƸ
ǃɣʀɳɃʀɳⲵૃDŽǶǑȚǚ‫ڻ‬Ǿǃɣʀ
ɳɃʀɳⲵૃDŽǽͦ⒙‫‮‬ǷǦǵቊᄙሤǺȪȷɃɁǦǵǓȚǢǷƸ‫ڽ‬ȂƸ⛴ᔼ‫ڻ‬Ǿ⛴ᔼǛͦ⒙ǨȚᗕ͆ǛƸᬼယ‫ڻ‬Ǿ⫻ယǺƸቊሤ‫ڻ‬ǾǬǽԑ૓ȡ⾷2001
౫Ή᰷ᗕ 761G ቷǽ઻ȐȚ๟‫ܬ‬ǺǙǠȚ⾸ǃɲɎʀɳⲵૃDŽǺ⥎ళǦǹǓǢǷȡ⒙ᅽǦǮǢǷǺǹșȍǨƹ
ቊЈ᧸጗͛ǾƸ᫘⒅‫‮‬ǽЈ᧸‫ڻמ‬Ǿ҆‫ؘ‬ǺdzǓǵǽ๟╀ǶǑșƸ᫘⒅‫‮‬ǽȰȷȬɎȫ▩֟‫ڻ‬ǾɲɎʀɳཱུ✇ૐǛ‫ۄ‬ൡ‫⃆۝‬ǹǬǽ͙ǽബ೙ǽ▩֟Ǻdz
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2010 ౫ 9 ሰƛ ጗͛ཆᗕ ƛ ˌᨕǽ⅋ؔ⟥Ꮱᨕ
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