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トイレクリーナーの表示に関する実態調査結果について
News Release 平成24年12月21日 トイレクリーナーの表示に関する実態調査結果について ―「トイレに流せる」、「水にほぐれる」といった表示の景品表示法上の考え方― 消費者庁は、トイレクリーナーの表示に関して実態調査を行いましたので、その結果に ついて公表します。 1 実態調査の対象商品 ここでいうトイレクリーナーとは、 「トイレ掃除用シート」とも呼ばれ、トイレの便器・ タンク・床等の拭き掃除に用いられる清掃用品を指す。 2 表示の実態 トイレクリーナーについて、パッケージに「トイレに流せる」、 「水にほぐれる」等の表 示を行っている事業者が存在する。 【表示例】 【表面】 そのまま流せる トイレクリーナー 【裏面】 ○ 水にほぐれる紙を使用しています。 3 PIO-NETに寄せられた情報 PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、ト イレクリーナーが水にほぐれないことや水洗トイレに詰まったことに関連する消費者か らの情報が32件寄せられている(平成14年4月以降受付、平成24年11月末までに 登録されたPIO-NETデータを基に、当庁が独自に集計)。 4 トイレットペーパーの日本工業規格 水洗トイレメーカーは、水洗トイレの取扱説明書等で、配管の詰まりを防止するために、 汚物及びトイレットペーパー以外のものを水洗トイレに流すことを禁止している。トイレ クリーナーについては工業標準化法に基づく日本工業規格(以下「JIS」という。)が 存在しないのに対し、トイレットペーパーにはJIS(JIS P4501。以下「トイ レットペーパーJIS」という。)が存在し、品質基準や形状等の規格が定められている。 トイレットペーパーJISの中には、以下のとおり、トイレットペーパーの「ほぐれやす 1 さ」の試験方法及び品質基準が定められている。 試験方法 水300ml(水温20±5℃)を入れた300mlのビーカーをマグネチックス ターラーに載せ、回転子(直径35mm、厚さ12mmの円盤状のもの)の回転数を 600±10回転/分になるように調整する。その中に一辺が114±2mm角の試 験片を投入し、ストップウォッチを押す。回転子の回転数は試験片の抵抗によって、 いったん約500回転に下降し、試験片がほぐれるに従い回転数は上昇し、540回 転までに回復した時点でストップウォッチを止め、その時間を1秒単位で測定する。 ほぐれやすさの結果は、試験を5回行い、その平均値で表す。 ほぐれやすさの品質基準 上記で得られた平均値が100秒以内であること 備考 2枚以上重ねて巻き取ったものについては、1枚ごとに適用する。 5 「トイレに流せる」等の表示についての景品表示法上の考え方 水洗トイレメーカーは、水洗トイレの取扱上、汚物及びトイレットペーパー以外のもの を水洗トイレに流すことを禁止しているところ、トイレクリーナーのパッケージに、「ト イレに流せる」、 「水にほぐれる」等と記載することは、トイレクリーナーについて、あた かも、トイレットペーパーと同程度のほぐれやすさを有している、あるいは使用後にトイ レクリーナーを水洗トイレに流しても水洗トイレの取扱上の問題は何ら生じることはな いかのように示すこととなる。 しかし、実際には、トイレクリーナーがトイレットペーパーJISによるほぐれやすさ の品質基準を満たしていないとすれば、トイレットペーパーと同程度のほぐれやすさを有 していないこととなるか、あるいはトイレクリーナーを水洗トイレに流すことにより水洗 トイレの取扱上何らかの問題が生じることとなり、表示と実際のものとの間に乖離がある こととなる。 よって、事業者が、自己の供給するトイレクリーナーについて、トイレットペーパーJ ISによるほぐれやすさの品質基準を満たしていないにもかかわらず、パッケージにおい て「トイレに流せる」、 「水にほぐれる」等と表示することは、トイレクリーナーの内容に ついて、一般消費者に対して、実際のものよりも著しく優良であると示す表示をしている こととなる(景品表示法第4条第1項第1号(優良誤認)違反)。 6 消費者庁の対応 トイレットペーパーには、水洗トイレに流す上でのほぐれやすさについてトイレットペ ーパーJISが存在しているのに対し、トイレクリーナーについてはそのような基準が存 在しない。このような状況の下では、トイレクリーナーについて、どのような表示が景品 2 表示法違反とされるのか事業者にとって予見することが容易ではない。 したがって、いきなり個別の事業者に対して景品表示法による措置命令を行うよりも、 上記5の景品表示法上の考え方を事業者に周知し、問題のある表示があれば、事業者自身 にチェックさせ、自主的に改善を促す方が、違反行為の未然防止を図る上では適切である と考えられる。 当庁は、本件公表後はトイレクリーナーの表示について注視し、上記5の景品表示法上 の考え方が周知されたにもかかわらず、事業者が自主的に表示を改善していない場合には、 景品表示法上厳正に対処することとする。 【本件に対する問合せ先】 消費者庁表示対策課 担当者:高畑、冨澤、関口 電話 03-3507-9239 ホームページ http://www.caa.go.jp/ 3 (参考1) ○ 不当景品類及び不当表示防止法(抜粋) (昭和三十七年法律第百三十四号) (目的) 第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防 止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び 禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。 (不当な表示の禁止) 第四条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する 表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著 しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役 務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に 顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められ るもの 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは 類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有 利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自 主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの 三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認さ れるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な 選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの 2 (省略) 4 (参考2) 景品表示法による表示規制の概要 ○優良誤認表示(4条1項1号) 商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示 ①商品・サービスの内容について、一般消費者に対し、実際のもの よりも著しく優良であると示す表示 ②商品・サービスの内容について、一般消費者に対し、事実に相違 不当な表示 景品表示法 第4条(不当な表示の禁止) して競争事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示 不実証広告規制(4条2項) 本件に関する問い合わせ先 消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する優 消費者庁○○○○○課 ○○、○○ 良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定 TEL : 03(3507)0000(直通) めて、事業者に当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提 H P : http://www.caa.go.jp/ 出を求めることができる。 ⇒事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付 けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示 は不当表示とみなされる。 ○有利誤認表示(4条1項2号) 商品・サービスの価格その他取引条件についての不当表示 ①商品・サービスの取引条件について、実際のものよりも取引の相 手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示 ②商品・サービスの取引条件について、競争事業者に係るものよりも 取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示 ○商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあ ると認められ内閣総理大臣が指定する表示(4条1項3号) ①無果汁の清涼飲料水等についての表示 ②商品の原産国に関する不当な表示 ③消費者信用の融資費用に関する不当な表示 ④不動産のおとり広告に関する表示 ⑤おとり広告に関する表示 ⑥有料老人ホームに関する不当な表示 5