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30 外国籍児童及び保護者への支援
埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』 30 外国籍児童及び保護者への支援 <本事例の特徴> 入学したばかりの児童・保護者は、「言葉」だけでなく「文化」の違いからも様々な場面で戸惑 う姿が見られる。そこで、今年度は外国籍児童及び保護者への支援・コミュニケーションを図る 場の設定に力を入れ、国際理解の充実を目指した活動を展開した。 <学校種> 小学校 <具体的な取組> (1) 国際理解の充実を目指した学習活動 ア ALTとの国際理解教育及び外国語活動 本校ではALTが週2日来ており、5、6年生との外国語活動及び1~4年生 との国際理解教育活動を行っている。学習活動の場だけではなく、給食、休み時 間、学校行事にも関わり、児童にとってALTは外国人及びその文化に対する理 解を深める入り口となっている。 イ 国際交流授業(人権感覚育成プログラムによる) (ア) 指導のねらい いろいろな国の遊びの体験を通して、日本の遊びと似ていても、遊び方や ルールが違う遊びがあることなど、様々な文化の共通点と相違点に気付き、 他の国々の文化も尊重しようとする態度を育てる。 (イ) 展開 活 動 内 容 教師の働きかけ Aさん(外国籍児童保護者)といっしょに Aさんの国の遊びをしよう! 1 Aさんを紹介する。 2 Aさんから、ペルーの子どもたちの 遊びを紹介してもらう。 3 Aさんの国の遊びを体験する。 4 体験したことを話し合う。 (2) 相互理解を深める取組 ア 開かれたコミュニケーションの場 53 世界地図や国旗を使って、Aさんの出 身国や国旗を確認する。 Aさんとは、事前打ち合わせを十分行 い、日本の遊びと似ている遊び、及び全 く異なる遊びを2~3つ紹介してもら うようにする。 体験したことをふり返り、日本の遊び のよさや外国の遊びのよさについて感 じ取れるようにする。 埼玉県国際理解教育推進実践事例集『世界へはばたけ! ハローワールド』 本校の児童の住む学区では、国際交流会での日本語教室を公民館で行っている。 学校と主催団体が連絡を取り合い、授業参観や学校公開などにも来校していただ いている。学校外での活動だけでなく、校内での様子も把握していただきながら、 外国籍児童及びその保護者とコミュニケーションを深めている。 イ 地域ボランティアによる通訳 本市では語学ボランティア事業を行っており、必要な場合は、各校から依頼を することができる。本校に在籍する外国籍児童8名のうち3名の保護者は日本語 でのコミュニケーションが困難である。できるだけ不安感を取り除けるよう、外 国語に堪能な地域の方の協力を得て通訳をしていただいている。 (3) 日本語指導教諭による指導 本校では日本語指導教諭が配置されており、8名の外国籍児童の日本語教育の 指導にあたっている。支援法として、当該児童を個別に指導する方法と、在籍学 級に日本語指導教諭が入って当該児童及び周りの児童への指導をしている。 ア 個別指導 児童の実態(単語、読み書き、会話)に合わせ、週の時間数や学習内容を決定 し指導を行っている。 友達が会話の中で使って 日常会話で使う単語 いた言葉を、個別指導 す をカードを使って繰 る。 り返し指導する。 イ 学級内における指導及び周りの児童に対する指導 外国籍児童に、話しかけ方や誘い方を指導しながら他の児童とのコミュニケー ションが取れるよう支援している。また、周りの児童が外国に興味をもつきっか けとなるよう、外国籍児童の生まれた国の言葉や文化を教えている。 <取組の成果> ・一年生から国際理解教育をカリキュラムに組んでいることにより、児童は異文化や そこに伴う価値観と触れ合う機会が多いため、それを尊重し共生しようとする意識が 自然と育ちつつある。ゲストティーチャーとして外国籍児童の保護者の方を招いて活 動したところ、児童同士のコミュニケーションのきっかけとなり、外国籍児童の生ま れた地域について関心を示す児童が増えた。外国籍児童保護者から「自国の文化を紹 介するきっかけができ、ありがたい。」という声も寄せられた。 ・ボランティア通訳の方に入っていただくことで、学校からの連絡を正しく確実に伝 えることができるようになった。 ・日本語指導教諭の指導により、各外国籍児童の実態に合わせた細かな指導を進めるこ とができるようになった。また、日本語指導教諭が学級に入って周りの友達とのコミ ュニケーションの支援をすることで、以前は自分からコミュニケーションを取ること に抵抗を感じていた外国籍児童も、徐々に意欲的にコミュニケーションを取ろうとす る場面が見られるようになった。初めはどう接してよいのか分からなかった周りの児 童も、困っている様子に気が付くと、自然と手を差し伸べることができるようになっ てきている。 54