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資料3-4-1 わが国の航空交通政策の現状と展望

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資料3-4-1 わが国の航空交通政策の現状と展望
資料3-4-1
Ministry of Land Infrastructure Transport and Tourism
CIVIL
CIVIL AVIATION
AVIATION BUREAU
BUREAU OF
OF JAPAN
JAPAN
わが国の航空交通政策の現状と展望
2009年6月8日
国土交通省 航空局 管制保安部 保安企画課長
坂野 公治
1/11
アジェンダ
1. わが国の航空交通政策の現状
2. わが国の航空交通政策の展望
3. JAXAへの期待
2/11
航空事故・トラブル等の発生状況
国内航空における航空事故は近年減少傾向にあり、昭和60年以降、本邦航空会社の乗客の死亡事故は発
生していない。しかし、小型機に係る事故のほか、大型機の滑走路誤進入など事故に至る恐れのあるトラ
ブル等がなお発生。また、航空保安システムに起因するものは、大半がヒューマンエラー関連。
重大インシデント発生件数
重大インシデント発生件数
航空事故の発生状況
航空事故の発生状況
35.6
36
36
35
35
31.6
30
31.2
32.0
31.6
31.6
30.0
30
30
28
28
超軽量動力機・滑空機等
小型機・ヘリコプター
大型機
系列5
平均事故件数(5年平均)
28
28.6
29.6
航 空 事 故 件 数 (件 )
26.0
27
24.8
25
25.8
24.2
23
23
21
21.8
20
18
18
9
6
3
ニアミス
滑走路誤進入
その他
オーバーラン/滑走路逸脱等
航空機材故障等
H17
H15
2
H19
1
5
H13
2
0
重大インシデント件数
(航空保安システム以外)
40
重大インシデント件数
(航空保安システムに起因)
12
H16
4
2
H14
H18
3
1
(暦年)
1
3
4
3
5
3
-3
1
9
10
6
-6
3
1
5
-9
9
1
1
-12
12
小型機の航空事故要因
小型機の航空事故要因
15
小型航空機事故原因別発生状況(1995-2005)
10
調査中
4%
5
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
出典:航空・鉄道事故調査委員会資料
その他
13%
機材故障
10%
整備不良 操縦に起因する小型機
2%
事故の要因割合
0
H6
不明
2%
H19
(歴年)
操縦者
69%
操縦操作:81%
天候:16%
障害物:3%
3/11
航空交通量の推移と今後の予測
我が国の年間飛行回数は過去15年で2倍程度の伸び。今後の需要予測は、羽田再拡張等を踏まえ、2017年には33%増
加(対2005年値)する見込み。一方、行政の減量効率化の観点から管制官等数は頭打ちになっている。
1800
年間飛行回数(千回)
1600
1400
国内線、国際線の年間飛行回数の需要予測(暫定値)及び管制官等数推移
2005年~2017年平均増加率
(予測)
上空通過機 4.0%
国際線
3.0%
国内線
1.8%
1000
600
400
200
0
1985
33%増加
上空通過※3
1200
800
実績値 予測値
755
(126)
598
(100)
1005
(168)
79
115
331
258
222
668
167
1162
(194)
533
1542
(258)
1399
(234)
184
470
420
521
10000
893
898
国内線※1※2
1990
4315
(108)
1995
8000
6000
1997年(4424人)をピークに横ばい
431
4001
(100)
14000
600
国際線※1
888
16000
12000
154
825
716
参考値 1768
(296)
1637
(274)
270
223
4386
(110)
2000
(出典:平成19年6月 交通政策審議会航空分科会資料)
4346
※4
(109) 管制官等数
2005
※1
※2
※3
※4
管制官等数(人)
2000
4000
※ ( )内は1990年を100とした値
2000
(年)
2012
2017
2022
2027
2010
2015
2020
2025
2030
羽田、成田の容量制約がある場合の需要予測の暫定結果。2022、2027年は参考値。
国内線飛行回数は第9回航空分科会国内線発着回数の需要予測値の半数として計算。
上空通過機数は、1997年より実績を取っている。
管制官等数とは、航空管制官、航空管制運航情報官、航空管制技術官の数。
4/11
運航者と利用者の多様化するニーズ
4
安全性を確保した上で、航空交通量の増大に対応しつつ、利便性の向上、運航コストの削減、業務の効率化など、運航
者や利用者の多様化するニーズに対応する必要がある。
利便性の向上(就航率、定時性など)
運航の効率化(運航コストの低減)
定時性や就航率など、諸外国に比べ高い利便性を確保しているが、他の交
通機関との競争を踏まえ、より高い利便性が求められる。
100%
98.6%
98.5%
98.5%
98.7%
総空港就航率
総空港就航率(過去5ヶ年平均)
98.8%
高カテゴリー空港の総就航率※1
高カテゴリー空港の総就航率(過去5ヶ年平均)
99%
98%
燃油価格や需要の変化
燃油価格や需要の変化
の影響を受けやすい収
の影響を受けやすい収
支構造
支構造
燃油価格の推移
総就航率(%)
98%
97%
97%
95%
H14
H15
H16
H17
定時到着率
H18
H19(年度)
業務の効率化
96%
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
就航率の推移
H16
H17
H18
H19(年度)
行政リソースが限られている中、航空交通の増加や多様化す
るニーズに対応するため、業務の効率化が求められる。
150
2000
10,000
200
航空保安システムに係る整備費
管制官等数
H6を基準(100)とする一飛行回数当たりの整備費
84
90
1200
74
66
881
60
867
62
838
722
719
646
52
51
490
508
53
55
50
47
628
548
594
695
800
556
467
30
137
整備費の予算額(億円)
101
100
9,000
H6を基準(100)とする場合
1600
109
H6を基準(100)とする場合の管制官等
一人当たりの飛行回数
新幹線の
新幹線の
平均遅延
平均遅延
時間:
時間:
114
120
128
100
100
106
108 111
115
137
143
146
153
158
8,000
7,000
129
118
6,000
4,253 4,315 4,384 4,424 4,404 4,382 4,386 4,360 4,333 4,323 4,273 4,346 4,287 4,207
5,000
4,000
3,000
400
2,000
0.3分
0.3分
1,000
0
0
H6
H7
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 (年度)
0
0
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
(年度)
※1 管制官等とは、航空管制官、航空管制運航情報官、航空管制技術官の合計
※1 航空保安システムに係る整備費には、航空路整備事業費、空港整備事業費のうち無線工事及び照明工事分が
含まれる。
※2 使用した飛行回数には、国際・国内線飛行回数が含まれ、上空通過機数は含まれていない。
飛行回数当りの航空保
安システムの整備費
交通モード利用分担率 (出典:JR東日本)
管制官等一人当たりの航空機飛行回数の推移
管制官等数(人)
96%
H6年度を基準(100)とする場合の
※2
一飛行回数 当りの整備費
定時到着率
99%
100%
99.0%
最近の世界的な不況を受け、航空会社の経営が厳しい中、ま
すますの運航の効率化が求められる。
5/11
アジェンダ
1. わが国の航空交通政策の現状
2. わが国の航空交通政策の展望
3. JAXAへの期待
将来の航空交通システム構築に向けた世界の取り組み
6/11
国際民間航空機関
2003年にATM運用概念をまとめ、2025年の将来ビジョンを提示。平成19年のICAO
総会においても、ATM運用概念を指針として、地域及び国、産業界において実施計画の
策定及び必要な研究開発等を促進することを継続して要請
2008年9月に、将来の航空交通に関するフォーラムを開催し、将来システムの構築に
当たって、ICAOの枠組みの下、世界的な協調の重要性を強調
各国の対応
米国(Next Gen)
欧州(SESAR)
Next Gen: Next Generation Air Transportation System
z
2025年頃の航空交通(現在の2倍を予測)に対応す
る航空交通システムのあり方を検討するため、米国
大統領と議会の指示により、2004年に連邦航空局
(FAA)、航空宇宙局(NASA)、国防省、国土安全保
障省等の7つの省庁により共同組織を設立。
z
共同組織では、産学官連携した検討を進めるため、
ボーイングなどの航空機製造会社、航空会社などの
産業界からも約200名が参加
z
SESAR: Single European Sky ATM Research
z
2020年の欧州の交通量(現在の2倍を予測)に対応す
るため、欧州委員会、ユーロコントロールなどの政府・管制機
関(37ヶ国)、並びにエアバスなどの産業界(約30社)
が連携して、欧州の航空交通システムのあり方を検討
する一大プロジェクト。
z
2008年に将来像(ATMマスタープラン)を策定
2008年に将来像を策定
欧米と連携しつつ、アジア太平洋地域におけるシームレスな航空交通システムを実現
7/11
将来の航空交通システムの構築
航空をとりまく情勢
・今後も増加する航空需要への対応
・運航者や利用者の多様化するニー
ズへの対応
・地球環境問題への対応
現行システムの課題
・処理容量を超過した交通量による遅延
・空域や経路の固定的な運用による運
航への制約
・管制官やパイロットの業務負荷の増大
「将来の航空交通システムに関する研究会」(平成21年4月~)
メンバー
座長:屋井鉄雄(東京工業大学、交通計画系)
委員:河内啓二(東京大学、機体系)
遠藤伸明(東京海洋大学、交通経済系)
古田一雄(東京大学、ヒューマンエラー系)
森川博之(東京大学、情報系)
平田輝満(運輸政策研究所、航空管制)
藤石金彌(航空ジャーナリスト)
(敬称略)
国際動向
・ICAOが2025年を目指した運用概念
を策定
・欧米でそれぞれ長期計画を策定(米:
NextGen、欧:SESAR)
将来の航空交通システムの
将来の航空交通システムの
構築が必要
構築が必要
①事業規模が大きく長期間を要する
②関係者間で将来の方向性を共有
することが必要
③技術動向を見通し、手戻りなく順次
導入することが必要
④国際的な連携が必要
長期ビジョンの策定
長期ビジョンの策定
定期航空協会
全日本航空事業連合会
(独)電子航法研究所、
(独)宇宙航空研究開発機構
気象庁
防衛省(オブザーバー)
開催スケジュール
第1回 4月
第2回 5月
第3回 6月
第4回 9月
第5回10月
第6回11月
第7回12月
現状と課題、欧米等諸外国の動向
ヒアリング(航空会社、航空関連製造者、研究機関)
目標、管制の運用概念と基盤技術(中間とりまとめ)
将来像と具体的手法の代表例
評価指標、実現に向けた取組み
素案とりまとめ
最終とりまとめ
8/11
将来の航空交通システムの構築(代表施策例:軌道ベース運航)
ノンレーダー管制
レーダー管制
軌道ベース
(位置通報による管制)
航空衛星の活用
現位置を把握し将来位置を推定
現位置と将来位置を推定
出発ゲートから到着ゲートまで
軌道(4DT:4Dトラジェクトリ)ベースの運航
軌道(4DT:4Dトラジェクトリ)ベースの運航
出発ゲートから
予め精度良く定められた4
次元軌道に基づいて
整然と飛行
出発空港
現位置と将来位置を正確に把握
【効果】
【効果】
◇◇政策目的(安全性の向上、容量
政策目的(安全性の向上、容量
拡大等)の効果的実現
拡大等)の効果的実現
◇◇関係者(運航者、利用者等)の
関係者(運航者、利用者等)の
メリットの最大化
メリットの最大化
気象状況の急変等
合意された軌道
◇飛行環境(空間、時間)を正確に把握
◇航空機の状態(現在&将来)の把握
承認済みの軌道
管理された
到着時刻
整
の調
道
軌
目的空港
整
軌道の調
すべての関係者で情報を共有
予測精度の向上
迅速かつ柔軟に軌道を変更
情報共有と協調的意思決定
統合管制情報処理システム
統合管制情報処理システム
到着ゲートまで
機上装置と地上設備の連携
9/11
将来の航空交通システムの構築(代表施策例:衛星航法)
衛星航法により、より精度及び信頼性が高く、出発から到着まで地上施設に依存しない航法を実現。
すべての空港・滑走路でCAT-I以上の精密進入を提供し、空域の有効活用を図る。
すべてのフェーズに使える
シームレスな航法
GPS衛星
MSAS
エンルート
衛星航法で出発
衛星航法で到着・着陸
空港面の航法
空港面の航法
• 在来航法施設の電波が届かない低高度でも、MSASにより精密な航法を実現
現在のMSAS
精密進入(CAT-I)は不可
(エンルート~
非精密進入に限定)
性能向上後
GBASによる高カテゴリ進入
日本全域において
精密進入(CAT-I)が可能に
GPS衛星
(イメージ)
GBAS機上装置
:既設監視局
:追加監視局(案)
■青色部分が精密進入(CAT-I)が可能なエリア
GBAS地上装置
高カテゴリ運用で混雑空港の就航率を確保
10/11
アジェンダ
1. わが国の航空交通政策の現状
2. わが国の航空交通政策の展望
3. JAXAへの期待
11/11
JAXAに期待するもの
¾航空局で策定予定の長期ビジョンで示す将来の航空交通システムの方向性に即した
運航方式を実現するため、航空機に関するJAXAの有する知見を活かした実証実験、
技術標準策定、評価
¾電子航法研究所、大学・研究機関、航空関連メーカー、航空会社等と連携を図りながら、
将来の航空交通システムの構築に貢献
JAXA
ENRI
将来の航空交通システム
に関する長期ビジョン
(航空局)
・航空機に関する知見の活用
・小型航空機等を用いた実証実験
・航空保安システムに関する知
見の活用
・航空管制に関する知見の活用
・これまでの航空交通全般に関
する研究実績
連携
これまで・・
ENRIとJAXAによる共同研究(主に航法)
・後方乱気流の航空機に及ぼす影響の研究(H16~)
・小型航空機の安全運航支援に関する研究(H18~20)
・GBASの利用向上に係わる研究開発(H21~)
今後・・
軌道ベース運航、衛星利用の促進等のため、航空機を中心
とした研究開発等、航空行政ニーズへの適確な対応に期待。
大学、メーカー、航空会社等
・ENRI、JAXAと連携・協力した研究開発
・地上システムの開発
・航空交通システムとしてのEnd to Endな評価
・機上システムの導入
・運航実績及び利用者ニーズの情報提供
2025年を目標とした将来の航空交通システムの構築
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