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264 CHEM。THERAPY

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264 CHEM。THERAPY
CHEMOTHERAPY
264
第21回
招
ペ ニ シ リ ン,セ
MAY
日 本 化 学 療 法 学 会 西 日本 支 部 総 会
期
日
昭 和48年11月29,30日
会
場
奈 良 県 文 化 会 館(奈 良 市)
会
長
小
講
演1
請
林
裕(天
理 よう つ 相 談 所 病 院 小 児科 部 長)
順 大 臨 床 病 理 の小 酒 井 教 授 の 協 力 で 得 られ た150株
大 腸 菌,120株
フ ァ ロス ポ リン 類の 選
択 毒 性 と 耐 性 機 構―
1974
以 上 の 耐 性 菌 は67株
PCに
と くに 耐 性 菌 に 対
の
の 肺 炎 桿 菌 の う ち,AB-PC100μg/m1
と76株 で,こ れ らはCB-PC,SB-
も高 い 耐 性 を 示 した が,セ
フ ァロ ス ポ リ ン類 に は
感 受 性 の もの も あ つ た 。 耐 性 菌 の うち,60%がR因
す る 各 種 誘 導 体 の 比 較―
子
に よ る こ とが 確 認 され た 。 これ らR因 子 を大 腸 菌 標 準 株
横
田
健
に 伝達 して検 討 す る と,肺 炎 桿 菌 で 見 出 され たR因 子 は
順天堂 大学細菌学教室
cephalosporinase活
優 れ た 化 学 療 法 剤 か否 か は優 れ た 選 択 毒 性(selective
toxicity)を
有 す る薬 剤 か ど うか に よつ て 決 定 さ れ る。
ペ ニ シ リン,セ フ ァロ ス ポ リン類 は 細 菌 の 細 胞 壁 合 成 を
阻 害 して 殺 菌 す るが,細 胞 壁 を もた な い 動 物 細 胞 は 傷 害
性 も もつ β-1actamaseを
産生す る
もの が 多 か つ た 。 グ ラ ム陰 性 桿 菌 の β-lactamaseに
比
較 的安 定 な セ フ ァ ロス ポ リン類 はCEZとCEGで,こ
れ らに対 す る 高 度 耐 性 菌 は 比 較 的 少 な い 。CB-PCお
びSB-PCは
グ ラ ム陰 性 桿 菌 の β-lactamaseに
しな い 高 い 選 択 毒 性 を 有 し,薬 物 ア レル ギ ーの 問 題 を 除
安 定 で あ るが,菌
外 す れ ば,理 想 的 な 化 学 療 法 剤 とい う こ とが で き る。 今
場 合 が 多 い の で,β-lactamase活
回 は これ ら薬 剤 の 選 択 毒 性 に つ い て考 え る と と もに,耐
け れ ば 耐 性 菌 に も有 効 なペ ニ シ リン類 を グ ラ ム陰 性 桿 菌
性 菌 の耐 性 機 構 と,そ れ か ら導 きだ され る 将 来 の ペ ニ シ
の耐 性 度 はAB-PCに
よ
比較的
〔
質問〕
た い。
AmpicillinとCarbenicillinあ
ペ ニ シ リン,セ フ ァ ロス ポ リ ン類 の 作用 機 作 と耐
中 沢 昭 三(京
都 薬 大 微 生)
るい はSulbenicillin
の 間 に 差 異 が 認 め られ た 点 に つ い て 先 生 は どの よ うな お
考 え を もつ て お られ るか 。 膜 の透 過 性 な どお 考 え であ ろ
性機構
細 菌 の形 と固 さ を保 つ 細 胞 壁 の 主 成 分 はN-ア
ム ラ ミソ酸 とN-ア
た 鎖 の間 を10コ
性 以 外 の 点 を 検 討 しな
に 対 し て開 発 す る こ と は 困難 で あ ろ うと考 え られ た 。
リ ン,セ フ ァ ロス ポ リン類 改 良 の可 能 性 に つ い て 言 及 し
1.
対 す る よ り高 い
セチル
セ チ ル グ ル コサ ミ ンが β1-4結 合 し
内外 の ア ミ ノ酸 か ら成 るペ プ チ ドが交
うか 。
〔答〕
横 田
健(順 天 堂 大 細 菌)
ご指 摘 の とお り,ABPC耐
性 の グ ラ ム陰 性 桿 菌 の 産 生
叉 的 に 結 ん だ 網 目構 造 の ペ プ チ ドグ リカ ン で あ る。 ペ ニ
す る β-lactamaseに
シ リソ,セ フ ァ ロ ス ポ リン類 は そ の 生 合 成 の 最 終 段 階 を
よ り安 定(不 活 化 さ れ難 い)で
対 し て,CBPCとSBPCはABPC
阻 害 す る。 自然 界 か ら得 られ る耐 性菌 は これ ら薬 剤 の特
お よびSBPC3者
あ る の に,ABPC,CBPC
の 間 に 完 全 な交 叉 耐 性 が認 め られ る。
徴 的 な 化 学 構 造 で あ る β-ラ クタ ム環 を 開 裂 す る β-lac-
と くにABPC耐
tamaseを
SBPCに
も耐 性 を獲 得 す る 事 実 は,透 過 性 な ど β-lacta-
mase以
外 の 機 構 を 考 え る の は 無 理 で あ る こ とを 示 す も
2.
産 生 して 薬 剤 を 不 活 化 す る もの が 多 い 。
ブ ドウ球 菌 とグ ラ ム陰 性 桿 菌 の耐 性 の違 い
ブ ドウ球 菌 の β-lactamaseはpenicillinaseと
だ け働 らき,セ
して
フ ァ ロス ポ リン類 は 不 活 化 しな い 。 これ
に 対 し,グ ラ ム陰 性 桿 菌 の 産 生 す る β-lactamaseは
類 が 多 く,cephalosPorinase活
種
性 を もつ もの も あ り,
もつ 菌 もあ る。 した が つ て,ペ
tamase測
定 に つ か われ る ヨー ド法 の 適 否,グ
桿 菌 の β-lactamaseの
招
浜
る場 合 もあ る 。
講
演2
島
義
博
日本 大 学 病 理 学
大 腸 菌,肺 炎 桿 菌 の ペ ニ シ リン,セ フ ァ ロス ポ リ
ン類 耐 性 の現 況 と,将 来 の 対 策
請
剖 検 例 か ら学 ん だ 最 近 の諸 問 題
耐性 グ ラ ム陰 性 桿 菌 に は セ フ ァ ロ ス ポ リン類 も無 効 で あ
3.
ラ ム陰 性
未 知 の 酵 素 活 性 な どに つ い て 検
討 中 で あ る。
ニ シ リン耐 性 ブ ド
ウ 球菌 に は セ フ ァ ロ ス ポ リ ン類 が 有 効 で あ るが,AB-PC
子 を 伝 達 す る と例 外 な く,CBPC,
の と思 われ る。 現 在詳 しい こ とは 不 明 で あ る が,β-lac-
さ らに 菌 種 に よ つ て は ペ ニ シ リン類 の側 鎖 を 切 るamidaseを
性R因
過 去 約30年
に 及 ぶ 多 くの抗 生 物 質 あ る い は制 癌 剤 の
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
臨 床 的 応 用 の 進 展 に 伴 な つ て,剖 検 例に 見 られ る組 織 細
胞 形 態 学 に,著
しい 変 貌 が 認 め られ て きた 。 剖 検 例 は全
265
以 上,最 近 の 剖 検 例 か ら学 ん だ 重 要 な 問 題 点 を拾 つ て
見た。
て,治 療 の 最 悪 効 果 を 示 す もの と して,最 近 の抗 生 物 質
特
を 中 心 とす る治 療 法 の 最 も悪 い 点 だ け を,我 々 は常 に観
察 して い る こ と とな る。 しか し,過 去 数 年 の剖 検 例 に つ
別
講
演1
小 児 肺 化 膿 症 の 現 況 と治 療
い て,そ の直 接 死 因 を追 求 す る と多 くの 例 に 生 前 の治 療
西
に よつ て歪 め られ た と思 わ れ る像 が しば しば 認 め られ,
忠
史
大阪 医科大学小児科
か つ そ の 傾 向 は増 加 して い る よ うで あ る。 そ の主 な も の
は
村
最 近 の 感 染 症 に み られ る種 々の 変 貌 が,化 学 療 法 の 進
(1) Drug
induced
liver damages
(2) Electrolite imbalance
(3) Malignant
tumors
(4) Unwanted
secondary
歩 に よつ て もた らさ れ た こ とは,い
りわ け 起 炎 菌,ま
of renal function
without
tumor
cells
うまで もな い が,と
た病 態 の 変 化 は,実 際 の臨 床,治 療 に
大 き く影 響 して い る 。 小 児 肺 化 膿 症 につ い て も同 様 で,
過 去10数
infection
等 が 挙 げ られ る。 剖 検 例 に よ る これ ら の観 察 は,こ の 死
年 の 本 症 を み て も起 炎 菌 の変 化 は 大 き く,最
近 で は生 体 の 条 件 に よつ ては,菌 種 もか な り しぼ られ る
亡 とい う極 端 な 症 例 を 最 善 の 反 省 資 料 と して,病 理 学 者
とい う特 微 が現 れ て い る。 演 者 は 自己 の1968年
は 真 面 目に これ と取 り組 まね ば な ら な い と考 え る。 中 で
年 ま で の79症
も最 近 目立 つ こ とは,(2)の 腎 機 能 の電 解 質 不 調整 が 予 想
的,細 菌 学 的 見 地 か ら述 べ,そ
以 上 の 多 数 例 に 見 出 し得 た こ とで あ る。1965年,67年,
ふれ た。
70年,71年,72年
の各 年 度 に お け る,我
験 した 約1,800例
間前 か らの 電 解 質 所 見 と腎 所 見
とを対 比 し た と ころ,1965年
に33%のrenal
dys-
伴 な つ た も の に 対 し,補 液 療 法 の 著 し く進
歩 した1971年,72年
dysfunctionと
1)
に お い て も,28%,34%のrenal
の 治療 の 変遷 と問 題 点 に
肺 化 膿 症 の 起 炎 菌 の変 遷 と主 な る菌 種 に 対 す る基
礎的検討
の 中か ら,制 癌 剤 の 治療 を 受 け,充 分
な補 液 を受 け た死 亡2週
functionを
々の 教 室 で 経
か ら本
例 を 中 心 に,小 児 肺 化 膿 症 の 現 状 を 臨 床
初 年 次 に は 肺 炎 球 菌,溶 連 菌 が み ら れ る が,1970年
ま で は 殆 ん ど ブ ドウ球 菌 で,そ
に緑膿菌
の 後 グ ラ ム陰 性 桿 菌 と く
肺 炎 桿 菌 に よる もの が 出 現 し てい る。 ま た最
近 の 膿 胸 で は 菌 の検 出不 能 例 が ふ え て い る。 ブ ドウ球 菌
死 亡 の 関 係 が 認 め られ る結 果 が 算 出 され
の フ ァ ー ジ型 に つ い て は1960年
た 。す なわ ち,補 液療 法 の 改 善 に も拘 わ らず 腎 機 能障 害
80/81,ま
度 は一 向 に 改 善 さ れ て い な い こ とを 意 味 す る も の で あ
半 で は型 別 不 能群 が増 加 して い る。
り,と くに 補 液 の 過 剰 あ るい は マ ン ネ リ化(機 械 的操 作)
2)
た80/81を
前半では フ ァ ー ジ 型
溶 菌 域 に 含 む 菌 が 多 か つ た が,後
肺 化 膿 症 の 臨床
も し くは,脱 水 対 策 の 不 完 全 さを 示 す も の と 考 え ら れ
と くに ブ ドウ球 菌 に よ る症 例 に は,肺 気 胸 の 合 併 が 高
る。 これ らの 症 例 の 示 す 重 要 な 組 織 所 見 は,腎 皮 質 内 尿
率 で,年 令 的 に も幼 若 児 に 多 い。 幼 若 年 令症 例 で は 入 院
細 管 上 皮 細 胞 の 著 明 な膨 化 と変 性 で あ り,脱 水 の 意 味
は発 熱 を 欠 く もの もあ る。 胸 部 レ線 所 見 で は 多 彩 で あ る
が,た ん に 水 分 補 充 だけ で 事 た りる とい う考 え 方 が 誤 り
が,膿 瘍 像 膿 気 胸 像,Pneumatoceleら
な ので は なか ろ うか と考 え られ る。 死 に 直 面 す る細 胞 に
Pneumatoceleは
よ り必 要 な こ とは,電 解 質 な らび に蛋 白 代 謝 の 調 整 であ
る。
が み ら れ る。
入院 後 出 現 す る もの が 多 い。
と くに グ ラ ム陰 性 桿 菌 に よ る症 例 に は基 礎 疾 患 な い し
合 併症 の 存 在 が 要 因 と な る傾 向 が あ り,病 期 も長 期 にわ
抗 生 物 質や 制癌 剤 な どに よ る強 力 な 治 療 は,少
なか ら
た る例 が 多 い 。 ブ ドウ球 菌 症 例 で は 先 行 化 膿 性 疾 患 の存
ず 肝 細胞 に障 害 を与 え て い る もの と考 え られ る。 ク ロ ー
在 も重 要 で,フ
ル プ ロマ ジ ソ,ス テ ロイ ド,ハ ロ ー セ ン,6MP,5FU
した 成 績 を 述 べ,免 疫 抑 制 剤 と本 症 発 症 の 関 係 に も触 れ
等 は,そ の 代 表 で あ る 。 そ の 多 くは 症 状 を 示 さ な い もの
た。
で あ るが,こ れ らの 肝 組 織 は(1)中心 静 脈 周 辺 の肝 細 胞 の
3)
著 明 な 腫 大,(2)微 細 胆 管 の うつ 滞,(3)小 葉 内肝 細 胞 膨 化
本 症 に 対 して は 内 科 的 な らび に 外 科 的療 法 が 行 な わ れ
の 結 節 形 成,(4)中 心 静 脈 性 出 血,(5)結 合 織 内 リ ンパ 球 集
る。 前 者 に 関 して は薬 剤 治 療 の 現 況 を 述 べ,外 科 的 療 法
在,な
どの 所 見 が 観 察 され る。
で あ る。
肺 化 膿 症 の治 療
と して は,穿 刺,closed-thoracotomy,opened-thora-
化 学 療 法 を 行 な う場 合,肝 細 胞 の障 害 を 如何 に して 最
小 限 度 に と どめ 得 るか 否 か が,強
ァ ー ジ型 別 に よつ て そ の 関 連 を 明 らか に
く反 省 さ せ られ る問 題
cotomyが
行 な わ れ て い る が,内 科 的 治療 の 限 界,外 科
的 療 法 の時 期 等,治 療 の 問 題 点 にふ れ た 。
小 林
裕(天
理 よ うつ 相 談 所病 院 小 児 科)
CHEMOTHERAPY
266
西 村 博 士 は 小 児 肺 化 膿 症 につ い て 現 在 で は もつ とも多
くの症 例 を もち,し か もそ の1例1例
を実 に きめ 細 か に
MAY 1974
この 成 績 か ら,RFPを
入院患者に投与す るこ との 多
いわ が 国 で は,450mg1日1回
観 察 して お られ る。 肺 化 膿 症 は 減 少 して きて は い る も の
mg8時
の,い つ た ん 発症 し取 扱 い が 適 切 でな い と,小 児 の 発 育
が あ る と考 え る。
投 与 だ け で な く,150
間 毎 また は12時
間 間 隔 投 与 も検 討 され る価 値
に 悪 影 響 を 及 ぼ す難 病 で あ る。 と くに お話 しに あ つ た よ
3.
うに化 学 療 法 の 及 び難 い グ ラ ム陰 性 桿 菌 に よ もの が 増 加
グ ラ ス ゴ ー の病 院 に お い てPRICEら
抗 生 物 質投 与 に よ る耐 性 菌 院 内 感 染
が 経 験 し た,ア
し てい る こ とは憂 慮 に 耐 え な い 。 こ の時 に 当 り豊 富 な ご
ン ピ シ リ ンを 多用 す る病 棟 に 発 生 し たKlebsiella感
経 験 とご研 究 の成 果 を,し か も基 礎 臨 床 両 面 か ら体 系 づ
症 多 発 の 報 告 に 関連 して,広 域 抗生 物 質 に よる病 院 内細
染
け てお 話 し頂 い た こ とは,わ れ わ れ 治 療 に たず さ わ る も
菌 の 交 代 現 象,な
の と し て誠 に有 益 で あ つ た 。 会 員 一 同 に代 つ て お 礼 申 し
器 ・尿 路 の感 染 の 発症 機 転,さ
上 げ る。
使 用 禁 止 に よつ て終 憶 した事 実 に つ い て,疑 問 点 を 考 察
らび に.そ れ に よ り集 団 発 生 した 呼 吸
らに これ らが 抗 生 物 質 の
した。
特
別
講
演2
こ の よ うな事 態 発 生 を 防 止 す る よ う,臨 床 医 が 留 意 す
る と共 に,抗 生 物 質 が細 菌 の増 殖,毒 力 に 及 ぼ す 作用 お
化 学 療 法 の 問題 点
河
盛
勇
よび 個 体 の 防 衛 機 構 に与 え る影 響 に つ い て,基 礎学 者 の
造
解 明 を要 望 した 。
国立泉北病院
1.
山 本 俊 平(座
呼 吸 器 感 染症 の 起 炎 菌 決 定
昭 和38年
熊 本 大 学 第 一 内 科 に お け る肺 化 膿 症 の 喀疾
中 細 菌 の培 養 成 績 か ら,肺 炎 球 菌 に つ い て は そ の 集 落 数
の 多 少 に か か わ らず,呼
吸 器 感 染 症 の起 炎 菌 と して の 意
義 を 考 え るべ き こ とを 強 調 し た が,そ の 後CROFTON,
BARRETT-CONNOR,SPENCERら
の 論 文 に 述 べ られ て い
る よ うに,化 学 療 法 剤 が与 え られ た 後 の 喀 疾 で は,肺 炎
球菌
長)
わ か り易 く,医 師 が注 意 す べ き点 を ま とめ て,御 指 導
下 され,感 謝 に た え な い 。 講 演 全 体 が 化 学 療 法 剤 を と り
扱 う医 師 に必 要 な こ とは 勿 論 で あ るが,化 学 療 法 の使 用
方 法 お よび 量 の問 題,院
内 感 染 の 成 因 に っ い て の示 唆,
入 院 患 者 か ら採 取 した 菌 を も つ て 耐 性 を 云 々す るに つ い
て は 慎 重 を 要 す る等 教 え られ る と ころ が 大 で あ つ た 。 会
員 の 名 に よつ て 御 礼 を 申 し上 げ る。
イ ソ フル エ ソザ 桿 菌 の 培 養 証 明 が 甚 だ 困 難 とな る
会
長
講
演
の で,呼 吸 器 感 染 症 の起 炎 菌 決 定 に 際 して は,喀 疾 採 取
を 化 学 療 法 開 始 前 に行 な うこ とが 最 大 の 必 要 事 項 と考 え
小 児 化膿 性 髄 膜 炎 の 治 療
ね ば な らな い 。
ま た この よ うに,わ ず か1回
小
の 抗 生 物 質 投 与 に よつ て
も培 養 さ れ 難 くな る肺 炎 球 菌 が,何 故 に 現 在 で も呼 吸 器
感 染 症 に 主 要 な 役 割 を果 す か に つ い て,Microbial
sistenseの 関 与 が 考 え られ,こ
per-
の現 象 の 機 作 解 明 が 今 後
化学 療 法 剤 の 投 与 方 法 に つ い て
KRUGER-THIEMERの
投 与 量 お よび 投 与 間 隔 と,
最 低 血 清 中濃 度 の 関 係 を 計 算 し た 。 そ の結 果,体
kgの
患 者 に最 低 血 清 中 濃 度0.1μ9/mlを
に 必 要 なRFP1回
投 与 量 は,24時
で あ る の に対 し,12時
で は33mgで
1951年
以 降 の京 大 小 児 科 総 入 院 患 児 数 に 対 す る 化 膿
次 別 に は1966年
治 率 は 約70%に
以降
す ぎず,
経 年 的 に 好 転 の 兆 は み られ な か つ た 。
経 口投 与 に よ る維 持量 決 定 の 薬
動 力学 方程 式 を 用 い,RFPの
裕
性 髄 膜 炎 の頻 度 は0.64%で,年
減 少 の 傾 向 が み られ るが,全
重 要 な 課題 とな る こ とが 考 え られ る。
2.
林
天 理 よ うつ 相 談 所 病 院 小 児 科
重50
維 持 させ る
間 間 隔 の 場 合 約1g
間 間 隔 で は約0.19,8時
間間 隔
足 りる こ とに な り,ま た450mg1日1
回 投 与 で 得 ら れ る最 低 血 中 濃 度 は0.045μ9/mlで
本症 の 治 療 と して は,対 症 療 法 も もち ろん 必 要 で は あ
る が,そ の 根 幹 を な す の は 化 学 療 法 で あ る。 本 症 は 自然
治 癒 の 少 な い 重 篤 な 疾 患 で あ つ て,入 院 後24時
間以 内
の死 亡 が 多 い ぼ か りで な く,治 療 開 始 の 遅 れ は 後 遺 症 の
発 生 率 を高 め るか ら,化 学 療 法 の 適 否 と開 始 時 期 が 患 児
の 一 生 を左 右 す る とい つ て も過 言 で は な い 。 今 回 は わ れ
わ れ の さ さや か な 経験 を も とに,内 外 諸 文 献 を 比 較 考 按
ある
が,1回150mg1日2回
投 与 で は0.18μ9/ml,1日
3回 投 与 で は0.5μ9/m1が
保 た れ 得 る結 果 を 得 た 。 こ
L,以
1)
下 の諸 点 につ い て述 べ た。
本 症 の起 炎 菌 は,新 生 児期 で は腸 内 細菌 が 主 力 を
占 め,そ れ に 緑 膿 菌,レ
ンサ球 菌,ブ
ドウ球 菌 が 加 わ る
の 計 算値 は2例 の 肺 結 核 患 者 に つ い て実 測 した 値 と,よ
の に 対 して,そ れ 以 後 で は イ ンフ ル エ ン ザ 菌,肺 炎 球
く一 致 して い た 。
菌,髄 膜 炎 菌 が 多 い 。 た だ し,わ が 国 の諸 報 告 で は米 国
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
267
よ リイ ンフル エ ソザ 菌 が低 率 で ブ菌 な ど もみ られ る こ と
膜 炎 は 大 変 減 少 し て い る 。 ま こ とに 結 構 な こ とで は あ る
は注意 を 要 す る が,新 生 児で は,抗 菌 剤 の選 択 に 関 し
が,日 常 接 し な い とす る と,そ れ だ け 不 案 内 に な り,も
て,菌 の耐 性 獲 得 現 況 に 対 す る考 慮 が よ り必 要 な こ とを
し もぶ つ か つ た とき は,診 療 に もず い ぶ ん ま ごっ く こ と
示す もの であ る。 な お,文 献 上 菌 検 出不 成 功 例 の比 率 は
に な る。 会 長 は 長 年 髄 膜 炎 の 研 究 を して こ られ た の で,
9.5∼26.3%で
そ の 経 験 を 聞 きた い とい う要 望 が 多 か っ た よ うに 聞 い て
2)
あつた。
本 症 の 治 療 に お い て,抗 菌 剤 の髄 液 中濃 度 の もつ
意義 は まだ 充 分 に は 明 らか で な い が,血
中濃 度 と と もに
い る。 そ の 要 望 に こた え て,貴 重 な 経 験 を と りま と め ら
れ た。 こ とに,最 新 の 治 療 に つ い て は,配 布 され た 別 刷
髄液 中 濃 度 が 高 い ほ うが す ぐれ てい る こ とは ほ ぼ 認 め ら
で も み られ る よ うに,内 外 多 数 の文 献 の 上 に 立 つ て,詳
れ てい る とい え よ う。 した が つ て髄 液 中へ の移 行 の 良否
細 に検 討 した い くっ か の知 見 を た だ い ま 承 わ つ た 。 とい
は抗 菌 剤 選 択 の 際 の1資 料 とな る。 血 中濃 度 と対 比 して
うわ け で,こ の 講 演 は わ れ わ れ を 稗益 す る と ころ が た い
の移 行 率 か ら諸 文 献 を 整 理 し,わ れ わ れ のCEZの
へ ん多 か つ た と思 う。 参 加 者 に代 つ て厚 くお 礼 を 申 し上
成績
と比 較 す る と,本 症 の 治 療 に 有 力 と され る抗 菌 剤 の うち
で は,CPが
げ る。
とび ぬ け て よ く,以 下ABPC>CER>CEZ
>DMPPC>PCG>CET>KM,GM>PL,CLの
シ
順 とな
り,一 般 に 静 注 時 の ほ うが 高 い。 また ピ ー クは ほ ぼ2時
ン ポ
ジ
ウ ム1
感 染 防禦 能 と化 学 療 法
間 に あ り,血 中濃 度 よ り遙 か に持 続 が 長 い と 考 え ら れ
司 会
る。 しか し,移 行 の よい ば あ いで も制 約 は あ り,起 炎 菌
が 腸 内 細菌 の よ うに 抗菌 剤 のMICが
柴 田 清 人
名市大第1外 科
高 い と き に は,と
くに移 行 の減 少す る 回 復期 に お い て,そ
のMICを
藤
越え
りう る。
3)
安
は じ め に(司
本 症 は 診 断 と同 時 に 化 学 療 法 を 開 始 し起 炎 菌 種 と
耐 性 お よび 臨 床 経 過 に よつ て,必 要 に 応 じ て修 正 せ ね ば
本
男
関西 医大第1内 科
る こ とは な か な か 困難 で,髄 腔 内 注 入 を 要 す る こ と も あ
会 者)
感 染 症 の 治療 に お け る抗 生 物 質 の 効 果 は,い
ま さ ら多
な らな い が,そ の 最 初 の 出発 点 に お い て選 択 され る抗菌
言 を要 しな い。 しか し常 に 忘 れ て は な ら ない こ とは,生
剤 は,殺 菌 的 で,抗 菌 域 中 に 起 炎 菌 とな る 可 能 性 の 多 い
体 の もつ て い る 特異 的 あ るい は 非 特 異 的 な感 染 防御 能 の
菌 種 を な るべ く広 く含 み,耐 性 菌 株 が少 な く,髄 液 中 移
重 要 さ で あ る。
行 がす ぐれ,し か も大 量 長 期 投 与 に耐 え る もの で な け れ
今 回 この 感 染 防 御 能 と化 学 療 法 に つ い て,基 礎,臨 床
の 各 方 面 か ら,主 と して 化 学 療 法 に よ る感 染 防御 能 の 変
ば な らな い 。
われ わ れ のCEZの
成 績 か ら,大 量 投 与 に よれ ば セ フ
ァ ロス ポ リン もま たABPCに
ほ ぼ 劣 らな い と思 わ れ る
化の有無
あ るい は 感 染 防 御 能 異 常 時 と化学 療 法 に つ い
て 発 表 して い た だ くが,問 題 が 広 汎 多 岐 にわ た るの で,
の で,以 上 の 諸 点 を 考 慮 す る と,現 時 点 で は,最 初 新 生
限 られ た 時 間 内に 各 演 者 の方 に充 分意 を 尽 して い た だ く
児 期 で はCEZ,そ
こ とが 出 来 な い の で は な いか とお それ て い る 。
れ 以 後 で はABPCで
出発 す る の が適
しか しこ の テ ー マ は極 め て重 要 な 問題 で あ り,今 後 も
当 で,大 量 静 注 が 望 ま しい と考 え られ る。
〔追 加 〕
岸 本 圭 司(松 戸 市 立 病 院 小 児科)
わ れ わ れ の経 験 した 過 去2年
間 の化 膿 性 髄 膜 炎 は15
例 であ り,イ ソフ ル エ ソザ 菌5例,肺
炎 双 球 菌5例
であ
る。 日本 に お い ては イ ソフ ル ニ ソザ菌 性 髄 膜 炎 が 少 な い
充 分 解 明す る必 要 が あ る が,今 回 の シ ンポ ジ ウ ムで す べ
て が 解 明 され る こ とが 困難 な こ とは 当初 か ら予 想 され る
所 で あ り,将 来 この方 面 の 研 究 の い と ぐち と なれ ば と考
えて い る。
とい う こ とはい え ない と思 わ れ る。
a.
概
説(1)
永 井 秀 夫(座 長)
臼
あ る疾 患 の 発生 頻 度 とい うた め に は,そ の 地 域(日 本)
の全 体調 査 に よる こ とが 望 ま しい の は い うま で も な い
が,そ れ が な さ れ な い とす る と,結 局,手 許 で集 積 され
井
朋
包
広島大小児科
Bruton型
やSwiss型
無 ガ ソ マグ ロ ブ リソ血 症 を は じ
た 症 例 中 で の 頻 度 で もの を い うこ とに な る。 とす る と,
め 最 近20年
症 例 の 集 ま り方 に よつ て,追 加 の よ うな 向 で も あ ろ う
の発 見 は,生 体 の 感 染 防 御 能 の主 体 が液 性 お よび 細 胞 性
間 に な され た 多 くの先 天 性 免疫 不 全 症 候 群
し,ま た 会 長 の 報 告 の よ うで もあ ろ う。 他 に意 見 が な け
免 疫 か ら成 る特 異 性 免 疫 に あ る こ とを再 認 識 させ る と同
れ ば,会 長 に 一 言 お 礼 を 申 した い と思 う。 近 年 化膿 性 髄
時 に,こ れ ら症 候 群 に発 症す る感 染 症 対 策 に 化 学 療 法 が
CHEMOTHERAPY
268
MAY1974
ほ とん ど無 力 に 近 い こ とを 明 らか に した 。 い つ ぼ う,あ
b.
る 種 の 細 菌 を 正 常 に貧 食 す る が,細 胞 内 で 殺 菌 し得 な い
遺 伝 性 易 感 染 性 疾 患 で あ る慢 性 肉芽 腫 症 の 登 場 は,生 体
橋
が 生 れ な が ら保 有 して い る貧 食 細 胞 の 殺 菌 過 程 が 如 何 に
複 雑 多 岐 に わ た るか を示 す と共 に,貧 食 細 胞 の 殺 菌 過 程
に つ な が るChemotaxisやOpsonins欠
陥に よる 反 復
難 治 性 感 染 症 の 発 見 を誘 発 し,い わ ゆ る先 天 性 免 疫 不 全
症 候 群 に 新 しい 展 開 が も た らされ つ つ あ る現 状 で あ る。
今 回 は,い わ ゆ る非 特 異 性 感 染 防御 能 を 中 心 に そ の 欠
陥 に よ る疾 患,お
よび 諸 種 薬 剤 の これ ら非 特 異 性 防 御 因
子 に お よぼ す 影 響 な どに つ い て概 説 し,感 染 症 治 療 に 際
し種 々の 新 しい 配 慮 を 要 す る こ とを提 示 した 。
基
礎(1)
本
一
男
慶応大学微生物
皮 膚,粘 膜 面 の い わ ゆ る正 常 細 菌 叢 の存 在 意 義 の1つ
に,感 染 との 戦 の 最 前 線 に お け る感 染 防 御 とい う役 割 が
考 え られ る 。 わ れ わ れ の 教 室 は,古
くか ら,腸 内細 菌 叢
が腸 管 感 染 の 防 御 に お い て 果 す 役 割 の 具 現 化 と,そ の 機
序 の解 明 に 取 組 ん で きた 。 い つ ぼ う,化 学 療 法 が,そ の
目的 と しな い 細 菌 叢 の 撹 乱 を も引 き起 し,そ れ を 通 じて
感 染 防御 に 相 反 す る条 件 を 作 り出 す 可 能 性 が 当然 考 え ら
れ る。 そ こで,腸 内 細 菌 叢 と,い わ ゆ る病 原 菌 と のin
a.
概
vivoに お け る拮 抗 現 象 と,そ
岸
説(2)
本
進
大 阪 大 学 第3内
科
の 機 序 を 追 究 す る た め に,
抗 生 物 質 を投 与 した 通 常 の マ ウス,お
よび 細 菌 叢 の 全 く
な い 無菌 マ ウス に 持 定 の 菌 を 定 着 させ た 人 工 菌 叢 を 持 つ
た マ ウ ス とい う よ うな 単 純 化 した 系 を 用 い て 行 な つ た 感
宿 主 の 感 染 に 対 す る防 御 能 は非 特 異 的 防 御 能 と特 異 的
染 実 験 の成 績 を 紹 介 す る 。 先 ず,通 常 の マ ウス に 抗 生 物
防 御 能 す な わ ち 免 疫 に2大 別 され る。 前 者 は 貧 菌 現 象 を
質 を あ らか じめ 与 え て,腸 内 細 菌 叢 を 撹 乱 して お くと,
中 心 と した 防 御 能 で 下 等 動 物 に もみ とめ られ る防 御 能 で
腸 炎 菌 の経 口投 与 に よ る実 験 チ フス 症 の 死 亡 率 が 増 加 す
あ るが 人 で も基 本 的 防 御 能 で あ る。 免 疫 は脊 椎 動 物 以 上
に み とめ られ る防 御 能 で あ りStemcellsが
さ れ,そ
胸腺 に播種
こで さ らに 分 化 が す す み 末 梢 リンパ 組 織 に 分 布
す る 。 この 細 胞 はTcellsと
呼ぼれ細胞性免疫 に関与す
る 。 た ほ う,胸 腺 の 影 響 を うけ ず に発 達 す る リンパ 球 は
Bcellsと
呼 ば れ 体 液 性 抗 体 を産 生 す る 。 こ の よ うな 免
る。 この抗 生 物 質 の作 用 は,ひ き 続 い た 腸 球 菌 また は 大
腸 菌 の投 与 に よつ て打 ち 消 さ れ る。 無 菌 動 物 で は腸 炎菌
の経 口投 与 に よ る死 亡 率 は 高 い が,人 工 的 に1種 類 また
は 複 数 の菌 種(い ず れ も正常 細 菌 叢 の 構 成 員)を あ らか
じめ 定 着 させ てお く と,死 亡 率 が 減 少 す る。 これ ら の成
績 は常 在 菌 が 腸 炎 菌 経 口感 染 に 防御 的 に 働 い た こ とを 示
疫 臓 器 は 胎 生 期 か ら生 後 間 もな い時 期 に完 成 す るが,そ
す 。 赤 痢 菌 やCamdidaの
の 分 化 過 程 が 障 害 さ れ る と 先 天性 免疫 不 全 症 候 群 とな
象 が 見 られ る。 別 の実 験 で は,赤 痢 菌 や コ レ ラ菌 を 単 独
る 。Bcells系
に 無 菌 動 物 に 定 着 させ(発 病 は し な い),そ
不全 では真菌
の 不 全 で は 化 膿 菌 感 染 症 が,Tcells系
経 口感 染 に お い て も同 様 な 現
の後他の常
ウ イル ス,結 核 な どの細 胞 内増 殖 を お こ
在 菌 を与 え て,こ れ らの排 除 の 様 相 を 観 察 し,腸 球 菌 と
す 感 染 症 に 対 して 極 め て抵 抗 性 が 減 弱す る 。 しか し 日常
大 腸 菌 の組 合 せ が 赤 痢 菌 を,腸 球 菌,大 腸 菌 と さ ら に
の 臨 床 で 遭 遇 す る反 復 感 染 症 やoppotunistic
Clostridiumま
infection
な どで は続 発 性 免 疫 不 全 の場 合 が 多 い。 そ の 要 因 と して
加 令 を あ げ る こ とが で き る。C57BLマ
ウ ス を用 い た 動
物 実 験 の 成 績 で は 加 令 に よ つ てT,お
よ びB
cellsの
た はBacteroidesの
組 合 せ が コ レ ラ菌 を
徐 々に 排 除 す る成 績 を 得 た。 この 排 除 の 機 序 と し て,
Berberinの
実 験 か ら胆 汁 酸 の関 与 を,ま たCyclophos-
phamideの
実 験 か ら,被 排 除 菌 に 対 す る局 所IgA抗
体
機 能 は 著 明 に 減 弱 す る こ とを 明 らか に した。 と くに 注 意
の 関 与 を 示 唆 す る成 績 を得 て,細 菌 叢 と これ らの 「病 原
を 要 す る の は 医 原 性 免 疫 不 全 で あ り免 疫 抑 制 剤,抗
菌 」 との 関係 が,単 な る菌 対 菌 の拮 抗 で は な く,菌 が
剤,ス
ガソ
テ ロイ ドな どは 免 疫 不全 をお こす こ とは よ く知 ら
れ て い る が,感 染 症 の 治 療 に 用 い る抗 菌 性 抗 生 剤,と
にTC,CP,Aminoglycoside系
く
高濃 度 で は 体 液 性,細 胞 性 免 疫 を
抑 制 す る こ とを み とめ て い る。 従 が つ て感 染 症 の 治療 に
際 して 抗菌 性 抗生 剤 とい え ど も長 期 に わ た つ て使 用 す る
場 合 に は,宿 主 の 免 疫 機 能 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て慎 重 で
な け れ ば な らな い。
た 生 体 側 のfactorが
複 雑 に 関与 す る 現 象 で
あ る こ と を考 察 した 。
で は 抗 体 産 を抑 制 し,
免 疫 の成 立 を 障 害 し感 染 を 遷 延,再 発 す る場 合 が あ る。
我 々はRifampicinも
modifyし
b.
基
中
礎(2)
沢
昭
三
京都薬大微 生物
モ ル モッ トの腹 腔 内 マ クロ フ ァー ジ(以 下Mφ
と略)
に よ る ブ ドウ球 菌,大 腸 菌,緑 膿 菌 の食 菌 現 象 を位 相 差
顕 微 鏡 下 で 観 察 す る と,ブ
ドウ球 菌 の場 合Mφ
は容 易
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
269
に ブ ドウ球 菌 を 包 む よ うに して食 胞 内 に取 り込 む 。 ブ ド
T cell系 を(SRFCで
ウ球 菌 は 食 胞 内で な か な か 溶 菌 され ず,核
T cell系,B
の 周辺 に 集 め
み る と)障 害 して い る。Predは
cell系 へ の障 害 は300mg/kgの
投与では
られ た ブ ドウ球 菌 は こ こで だ ん だ ん に 溶 菌 され,細 胞 壁
見 られ な い が,全 脾 細 胞 数 の 減 少 を 示 す 。 またCY投
だ け の 残 骸 が 増 え て くる。 大 腸 菌 で は,大 腸菌 を 包 んだ
与 の 脾 細 胞 はPHAに
食 胞 が 核 に 向 つ て 移 動 す る間 に 菌 体 密 度 が 薄 くな り,核
特 異 的 免 疫 能 は これ らの薬 剤 で何 らか の 障 害 を 受 け て い
の 周 辺 に 到 着 す るや す ぐに 溶 菌 す る。 緑 膿 菌 の場 合,
る こ とを 示 し てい る。 い つ ぼ う,非 特 異 的 感 染 防 御 能 へ
Mφ の 運 動 性 が 培 養 時 間 の 経 過 と と も に鈍 くな りMφ は
の 影 響 を 好 中 球 のmyeloperoxidase(MPO)活
緑 膿 菌 を な か な か 捕 捉 す る こ とが で きず,し
討 す る と,腫 瘍 性 疾 患 で のMPO活
る と多 くのMφ
か も捕 捉 す
反 応 す る細 胞 数 の 減 少 が 見 られ,
性 で検
性は多核白血球あた
りで 軽 度 の 低 下 が 見 られ る が,抗 癌 剤 や ス テ ロ イ ドの影
が 崩 壊 して い く。
次 に 細 胞 壁 に 第1作 用 点 を有 す るペ ニ シ リソ,セ フ ァ
響 が 強 い。 ま たRatにCY,CP(chloramphenicol),
ロス ポ リソ系 抗 生 物 質 の抗 菌 作 用 に よ り増 殖 さ れ た これ
Predを
らの細 菌 が どん な様 子 でMφ
梢 血 血 球 数 は減 少 して お り宿 主 全 体 と して血 液 量 に も と
に食 菌 さ れ て 行 くの か とい
投 与 す る とMPO活
ドウ球 菌 で は 食 胞 内に
つ くMPO活
取 込 まれ る とす ぐ食 胞 内 で ひ じ よ うに速 や か に 溶 菌 され
また2次
う点 につ い て観 察 した と こ ろ,ブ
性 は 著 明 に低 下 して い る こ とに な る。
的免 疫 不 全 で は 肺 感 染 症 が 多 く経 験 さ れ る
る。 い つ ぼ う,大 腸 菌 や 緑 膿 菌 で は著 し く伸 長 化 した こ
が,Ratの
れ らの細 菌 が容 易 に捕 捉 さ れMφ 内 で 溶菌 して い く。 な
能,殺 菌 能 と もにCY投
お伸 長 化 した緑 膿 菌 に よるMφ の崩 壊 は 正 常 菌 の 場 合 と
しか しCamdida
く らべ て著 し く少 な か つ た。 以 上 の 観 察 を さ らに ギ ムザ
染 色 に よ るMφ
内 の 菌 数 を 測 定 す る と と もに ト リパ ソ
anceは
性 の低 下 が見 られ るが,末
肺 胞 マ ク ロ フ ァ ー ジ の機 能 を 見 る と,貧 食
与 に よ る影 響 は 見 ら れ な い 。
albicansに
対 す るPulmonary
clear-
著 明 に抑 制 され て お り,こ れ は 肺 全 体 の マ ク ロ
フ ァー ジ 数 の 減 少 に も とつ くこ とが 明 らか とな つ た 。 こ
の 生 死 を 定量 化 した 。 好 中 球 に
の よ うな 結 果 を 総 合 す る と,質 的 な もの よ り も量 的 な 一
つ い て も行 な つ た 。近 年 ペ ニ シ リソ,セ フ ァ ロス ポ リソ
白 血 球,肺 胞 マ ク ロ フ ァ ー ジ の一 減 少 が2次 的 免 疫 不 全
ブル ー 染 色 に よ りMφ
系 抗 生 物 質 の 大量 投 与 に よ る化 学 療 法 が 行 な わ れ てい る
が,Mφ
の食菌現象に及ぼす大量投与の影響 を 検 討 し
た 。SB-PCでMφ
を1時 間 前 処 理 した と き,ブ
度 でMφ
の食 菌 能 は充 進 さ れ た 。CPで
c.
ドウ球
菌,大 腸 菌,緑 膿 菌 と も に,0.2,2,20mcg/m1の
m1の
で の 感 染 症 の 誘 発 の主 要 な 因子 と考 え られ る 。
濃
志
は,0.2mcg/
低 濃 度 で す で に食 菌 能 は 低 下 し た 。 ブ ドウ球 菌 に
関 して,薬 剤 を同 時 投 与 した と き,SB-PC,CP共
に,
内 科 領 域(2)
摩
清
熊 本 大学 第1内
科
一 般 に 化学 療 法 を行 な うに 際 して,Host-parasiterelationshipを 考 慮 す る必 要 が あ る こ とは,従 来 か ら言 わ
Mφ を前 処 理 した と き と 同 じ よ うな結 果 を 得 た 。
れ て い る 。事 実,抗 癌 剤 な どは 薬 剤 自体 が,宿 主 に大 き
c.
内 科 領 域(1)
な障 害 を与 え て い る こ とは 日常 経 験 してい る と ころ で あ
り,我 々 も動 物 実 験 に お い て 各 種 抗 癌 剤 が,細 胞,液 性
免 疫抑 制 因 子 の 感 染 防 禦 能 に 及 ぼ す 影 響
免疫 系 の 両 面 を 甚 し く低 下 させ る作 用 の あ る こ とを 認 め
河
野
通
昭
て い る。 この こ とは,細 菌 化 学 療 法 剤 に つ い て もま た と
徳 島 大 学 第3内 科
うぜ ん 存 在 す る もの と考 え,ま ず,ハ
抗 癌 剤 あ るい は 免 疫抑 制 剤 投 与 時 の 感 染 症 は宿 主 の惑
染 防 御 能 の 低 下 に 基 づ くとい わ れ てお り,い わ ゆ るopportunistic infectionが 臨 床 上 経 験 され る。 この よ うな
2次 的 免 疫 不 全 とい わ れ る状 態 で の 感 染 症 の誘 発 に は,疾
病 に よ る要 因 と治 療 に よ る要 因 の2つ が 挙 げ られ る が,
ッ トを 用 い,BCG接
ー トレ ー系 モ ル モ
種 お よ び卵 白 ア ル ブ ミン処 置 に よ
り免 疫 系 へ の 影 響 を 見 た と ころ,蛋 白合 成 阻 止 作 用 を 有
す るCP,MNCに
そ の 作 用 が 強 く存 在 して い る こ と を
知つた。
次 に,実 際 細 菌 感 染 に お い て,そ の 占め る影 響 の程 度
後 者 の要 因が 強 く感 染 防 御 能 の 低下 に 関 係 して い る と考
は 少 な い に して も,細 菌 化学 療 法 剤 が 個 体 に 与 え る影 響
え られ る。 この感 染 の機 序 の解 析 の た め に,特 異 的 免
が 如 何 な る もの か に つ い て,検 討 を 試 み た 。 す なわ ち
疫 能,非 特異 的 免疫 能 に お よ ぼ すCyclophosphamide
d-d系
(CY),Azathioprine(Az),Prednisolone(Pred)等
の
マ ウス を 用 い,10日
7日 のwashout期
間 抗 生 物 質 を 作 用 させ た後,
間 を 置 き,St.aureus
影 響 を マ ウ ス を用 い て検 討 した と こ ろ,CYはPFCで
脈 か ら2×105/0.2mlをchallengeし,7日
みたB
る,腎 組 織 中 のSt.aureus
cell系 を 障 害 す る 程 度 が 強 く,Azは
主 と して
B-14のrecoveryを
B-14を
尾静
後 にお け
見たと
CHEMOTHERAPY
270
こ ろ,CP,KM,MNCで
そ のrecoveryが
多 く,CER,
MAY
1974
して,感 染 防御 能 の 低 下 を 招 くもの と推 測 され た 。
PC-Gに
お い て も若 干 そ の傾 向が 認 め られ た 。CP,KM,
MNCは
共 に 蛋 白合 成 阻 止 作 用 を 有 し,免 疫 系 に対 し,
また,CB-PC,AB-PCの
投 与 実 験 を 行 なつ た が,こ
の 結 果,上 記 の 諸 機 能 を 障 害 を もた らす よ うな抗 生 剤 は
抑 制 作 用 を示 し,こ の こ とは 前 述 の実 験 か ら も認 め て お
有 効 で な く,こ れ らの 機 能 を 賦 活 し,supportす
り,お そ ら く この 影 響 の た め に,個 体 の免 疫 能 低 下 に よ
を 併 用 す べ きで あ る と結 論 した 。
り,感 染 防御 低 下 を 来 した こ と もそ の原 因 の1つ
と考 え
次 に 閉 塞 性 黄 疸 時 の胆 汁 内細 菌 の検 索 か ら,胆 汁 中 の
られ る 。 さ らに 検 討 中 で あ る。 次 に これ ら薬 剤 が 細 菌 に
lysozymeの
対 す るeffectorce11と
の 増 殖 は,2次
して のPMN,Macrophage(MN)
のlysosomalenzymeに
与 え る 影響 に つ い て検 討 を 行
る方 法
増 量 は,細 菌 感 染 の 結 果 と考 え られ,GNB
胆 汁 酸Deoxycholi
cacidの
減 少 に基 づ
くと推 測 され た。 そ こで腸 管 内細 菌 叢 の 撹 乱 を来 たす よ
な つ た 。 マ ウ ス に 薬 剤 を7日 間 投 与 し,腹 腔MNの
うな化 学 療 法 は,こ の よ うな 現 象 を い つ そ う助 長 す る の
1ysosomal
で,避 け な けれ ば な らな い こ とを 強 調 した 。
enzymeで
あ る β-galactosidase活
と ころ,対 照 に 比 し,CP,MNCで
性を見た
は活 性 の 高 い もの が
d. 外 科 領 域(2)
少 ない傾向を認めた。
以 上 こ うい う細 菌 化 学 療 法 剤 もま た 免 疫 抑 制 作 用 を 有
藤
す る も の も あ り,effector cellの 酵 素 活 性 低 下 の 作 用 も
ら
に 検 討 を 加 え て行 き た い と考 え て い る。
修
照
名 古 屋 市 大 第1外 科
認 め られ る傾 向 に あ り,我 々 は そ の 使 用 に 際 し こ の点 も
考 慮 に 入 れ 慎 重 を期 す べ き 問題 で は な い か と考 え,さ
井
外 科 手 術 の進 歩 は 術 後 感 染 の 減 少 に よ る と ころ 大 で あ
る。 し か し侵 襲 の 大 きな 手 術 後,肺 炎,腹 膜 炎,敗 血 症,
胆 道 感 染 な ど極 め て 難 治 性 の 感 染 症 が み られ,こ れ らは
d. 外 科 領 域(1)
小 児,高 令者 に 多 い が,対 策 が 急 が れ る問 題 で あ る。 感
染 症 に対 す る 化学 療 法 の 失 敗 が,こ の 難 治 性 お よび 予 後
閉 塞性 黄 疸 に 合 併 した グ ラ ム陰 性 桿 菌 感 染
不 良 と関 連す る こ と も否 定 で き な い。 す なわ ち,手 術 侵
症 に対 す る化 学 療 法 に つ いて
襲 あ るい は 化 学 療 法 す ら感 染 の機 会 を作 る と同時 に,個
石
井
哲
也
広 島 大 学 第1外
外科 臨 床 上,GNBと
染症は増
緑 膿 菌 感 染 家 兎 に お け る各 種 の実 験 に よ り,感 染 初 期
の発 症 に は宿 主 の 感 染 防 御 能 の低
に 網 内系 機 能 の低 下 が あ らゆ る場 合 に認 め られ,こ れ は
きな 因 子 と な る こ とが推 測 さ れ て い る。 我 々は
教 室 に お け る,Pseudomonas感
弱 小 児,老 人,お
染 症 例 の 検 討 か ら,幼
よび 悪 性 腫 瘍,閉
塞 性 黄 疸 患 者 に発 症
す る こ とが 多 い こ と,さ らに,A/G比
低 下,と
を 低 下 させ る こ とに な る。
く にPseudomonas感
加 の 傾 向 に あ るが,そ
下 が,大
体 の 状 態 また は 治 療 方 法 に よつ て は 感 染 に対 す る 防御 能
科
の 低 下,肝 機 能
くに 高 ビ血 症 を 基 盤 に もつ も の,Steroid剤
を
放 射 線 照 射,手 術 侵 襲 に おけ る と類 似 す る 。
臨 床 で の重 症 緑 膿菌 感 染 症 例 の 検 討 に よ り緑 膿 菌 と肺
炎 桿 菌 との混 合 感 染 例 は 極 め て 予 後 が 悪 い が,肺 炎 桿 菌
棊 膜 多糖 質(CPS)と
各種 の 弱 毒 グ ラ ム陰 性 桿 菌 とを 動
物 に接 種 す る と,単 独 で は 認 め られ な い 強 い 毒 性 が 出現
投 与 され た も の に重 篤 とな る こ とが 多 い こ とを 明 らか に
し,緑 膿菌 の 場 合 が 最 も強 い 。 このCPS量
した 。
り最 も高 い 免疫 が 成 立 し,強 毒 緑 膿 菌 の攻 撃 に 耐 過 す
抗 生 剤 の長 期 投 与 は 直 接 重 症 へ の 進 展 に 関 与 しな い と
い う結 果 が得 られ た が,症 例 の 細 菌 学 的 検 討 か ら,選 択
淘 汰 に基 づ く,supra-infectionの
要 因 とな り得 る こ と
が 示 唆 され てお る 。
よ り早 期 の 防 御 能 低 下 の時 点 が あ る
と推 定 さ れ る。
す な わ ち,感 染,手 術,放 射 線 療 法 な どが 契 機 と な
り,宿 主 の 防 御 機 能 は 短 い 不 応 期 を 経 て6∼12時
そ こで,外 科 臨 床 上,し ば しば 遭 遇 す る閉 塞 性 黄 疸 時
の感 染 防御 能 の 低 下 は,ど の よ うな機 構 に起 因す る か,
そ の時 の 化学 療 法 は 如 何 に 行 な うべ き か を検 討 す る 目的
で 動 物 実験 を行 な つ た 。
そ の 結 果,閉 塞 性 黄 疸 家 兎 は,Pmdommas108個/
ml菌
る 。 つ ま りCPSに
の感 作 に よ
間後下
降 期 に 至 り,以 後 回 復,充 進 とい う4期 の 経 過 が 考 え ら
れ る。
化 学 療 法 剤 の中 で も蛋 白合 成 阻 害 を 作 用 機 作 とす る薬
剤 の こ の下 降 期 で の使 用 は 慎 重 で あ るべ きで あ り,感 染
初 期 に は む しろ細 胞 壁 障 害 系 の抗 生 剤 の選 択 が合 理 的 で
液 注 入 に よ り,対 象 に くらべ,有 意 差 を もつ て 早
あ る。 また 化 学 療 法 に お け る γ-globulinの 併 用 は 細 胞
期 に敗 血 症 死す る こ と,な らび に 肝 機 能 障 害 を 始 め と し
代 謝 に 関 係 な く,防 御 能 を 低 下 させ ない 点 極 め て合 理 的
て,白 血 球NBT還
で あ る。
元 能,細 胞 内皮 系 機 能 の障 害 を 来 た
VOL.
22
CHEMOTHERAPY
NO.3
全 般 的 に 食 菌,殺 菌 に 関 す るphagocytic
d. 外 科 領 域(3)
河
田
幸
271
zyme
道
markerに
cellのen-
は何 か よい もの は な い か 。
臼 井 朋 包(広 島 大 小 児 科)
岐阜大学泌尿器科
Lysosomal
生 体 の感 染 防 御 機 構 の 中 で,比 較 的 容 易 に そ の機 能 を
enzymeは
近 年 ます ます 多 くな りつ つ あ る
が,こ れ ら と食 菌 との 関 係 につ い て の 詳 細 は,結 論 的 に
測 定 し得 る もの と して,液 体 性 因子 で あ る ヒ ト血 清殺 菌
は,充 分 わ か つ て い る と は い え な い 。 それ で,こ れ1つ
能 と,細 胞 性 因 子 で あ る 白血 球 消 化 機 能(NBT
を と りあ げ れば よい とい うも の は な い の で は な い か。 ま
testに
よ る)と を と りあ げ,こ れ らに お よぼ す 化学 療 法 の影 響
まず,ヒ
の 系 が 抑 制 され る
と他 の系 が 充 進 し,全 体 とし て バ ラ ンス を と る関 係 に あ
を検 討 した 。
ト血 清 殺 菌 能 は,化 学 療 法 剤 の普 通 量 投 与 で
は,DOTCま
た一 般 的 に 生 体 の 感 染 防 禦 能 は,1つ
た はABPC投
が 認 め られ,さ
与 例 に お い て低 下 す る傾 向
らにCBPC,SBPC,CETな
どの大 量 投
る と考 え る。
臼 井 朋 包
生 体 防 禦 能,こ
とに 血 清 殺 菌 能 に つ い て,私 は 以 前 研
与 や 制 癌 剤,抗 結 核 剤 の 投 与 に よつ て も低 下 す る 症 例 が
究 し て い た が,プロ
見 られ た 。
沼 に お ち い つ た こ とを 経 験 し て い る。 河 田 氏 の 血 清 殺 菌
こ の うち,DOTCに
よ る血 清 殺 菌 能 の 低 下 は 試 験 管
内で も証 明 され,ま
た が,DOTC以
たMgCl3の
添 加 に よ り正 常 に 復 し
外 の薬 剤 で はMgCl2添
加 による回復は
パ ジ ンな どを と りあ げ 結 局 は 当 時 泥
能 は,た い へ ん 興 味 深 く思 うが,そ
され て い るか 。
河 田 幸 道(岐 阜 大 泌 尿 器 科)
これ に つ い て は,今
認 め られ な か つ た 。
こ の よ うな血 清 殺 菌 能 の低 下 が 具 体 的 に 生 体 に とつ て
の 本 体 は 何 だ と想 像
の と ころ は全 く不 明 とい うよ り仕
方 が な い と思 う。
ど の よ うな 不 利 益 を もた らす か に つ い て は,今 後 検 討 の
柴 田 清 人(名 市 大 第1外
必 要 が あ るが,す
抵 抗 力 低 下 状 態 の患 者 に感 染 が 起 こ りや す い こ とは 日
くな くと も化 学 療 法 剤 の選 択,使 用 に
科,司 会 者)
あ たつ て は生 体 の感 染 防 御 能 を低 下 させ な い な うな 配 慮
常 よ く経 験 す る。 藤 井 の発 表 の とお り,Pseudomonasと
を も なす べ き で あ る と考 え られ る。
Klebsiellaの
次 にNBTtestに
つ い ては,い
まだ 症 例 も少 な く は
混 合 感 染 症 例 は と くに予 後 が 悪 い 。 こ の よ
うな 状 況 で は,石 井 氏 発表 の よ うに,RES系
機 能 低 下,
つ き りと した 結 論 は 出 し得 な い が,化 学 療 法 剤 の 投 与 に
食 菌 能 の低 下 が あ るが,こ れ に 対 して 具 体 的 な対 策 は ど
よ り白血 球 の機 能 低 下 を来 た した症 例 は 今 の と ころ 認 め
う考 え られ るか 。
られ て い な い。 本 法 は,感 染 存在 の1指 標 とな り得 る こ
石 井 哲 也(広
とか ら,化 学 療 法 剤 の効 果 ま た は 治癒 の 判 定 に 応 用 す る
γ-Globulinの 併 用投 与 以 外 に 特 別 な 手 段 を も た な い 。
こ とは可 能 と考 え られ る。
島大 第1外
科)
γ-Globulinの 併 用 で著 効 を み た 例 を 経 験 し て い る。
藤 井 修 照(名 市 大 第1外 科)
討
藤 本 安 男(関
感 染防 禦能 が低 下 して い る と考 え られ る小 児 外科 や 老
論
西 医 大 第1内
科,司
会 者)
人 の外 科 診 療 で,γ-globulinの
感 染 防 禦 能 に 関 す る 系 は 多 く,1つ
の 系 で 云 々す る こ
し て い る が,そ の機 序 の 詳 細 に つ い て は充 分 に は わ か ら
と は 妥 当 で は な い か も し れ な い が,ス
ピ ー カ ー の方 々 が
ない。
も つ と も 多 く と り あ げ ら れ た 食 菌 能 に つ い て,ま
ず討論
螺 良 英 郎(徳
島 大 第3内
β-Galactosidaseを
清(熊
科)
お 願 い した い 。
マ ク ロ フ ァ ー ジ の 活 性 のindicator
と さ れ て い る が,食
摩
柴 田 清 人
γ-Globulinの 併 用 等 の 問 題 に つ い て は今 後 も 検 討 を
願いたい。
志
併 用 で よ い 結 果 を経 験
菌,残
菌 と の 関 係 は ど うか 。
本 大 第1内
β-Galactosidaseは
た結
核 の 場 合 他 の 酵 素 と平 行 し て 活 性 が 動 く こ と か ら 本 酵 素
河 野 通 昭(徳
島 大 第3内 科)
私 の 実 験(Cyclophosphamide投
与)に 限 る と,量 的
を と りあ げ た。 し たが っ て本 酵 素 は マ ク μ フ ァ ー ジの 結
な影 響 が 強 く出 て い る。 臨 床 的 に は抗 癌 剤,副
核 菌 殺 菌 のindicatorに
テロ イ ド剤 の 投 与 でMPO(Myeloperoxidase)活
は な る と 考 え られ る が,他
般 細 菌 に つ い て は確 答 で き ない 。
螺 良 英 郎
質
の 御 意 見 は。
科)
安 定 し た 酵 素 で あ る こ と,ま
白血 球 と感 染 防 禦 に つ い て,白 血 球 の量(数)も
(機能)も 大 切 と思 わ れ る が,こ の 問 題 に つ い て河 野 氏
の一
下 し て い る 例 が あ る。
中 沢 昭 三(京
都 薬 大 微 生 物)
腎皮質ス
性 の低
CHEMOTHERAPY
272
私 ど も の発 表 の と お り,Sulbenicillinな
ど のPeni-
MAY 1974
癌 剤 に 対 す る評 価 は まち まち で,こ
とに そ の 投 与 法 に 関
cillin系 薬 剤 そ の もの が 白 血 球 や マ ク ロ フ ァ ー ジの 食 菌
し て は な お統 一 した 見 解 が み られ な い 。 この シ ソポ ジ ウ
能 を 著 明 に充 進 す る事 実 は どの よ うに考 えれ ば よい か 。
ム で は,個
臼 井 朋 包
々の 症 例 に 制 癌 剤 を 選 ぶ 場 合 の 目安 とな る制
癌 剤 感 受 性検 査 の 現 状,さ
小 さ なPeptideと
接 触 す る だ け で 食菌 能 充進 の 報 告
らに 進 行 癌,白.血 病 に 対 す る
制 癌 剤 投 与 法 の 選 択,ま た 手 術 に 併 用 され る補 助 的 制 癌
も あ り,そ の 機 序 は 簡単 で な い よ う で あ る が,Peni-
化 学 療 法 の 評 価 とい うテ ー マを と りあげ たが,こ れ ら の
cillin系 の薬 剤 が 細 菌 のcell
主 題 は い ず れ も今 日,癌 化 学 療 法 を行 な うな かで,な お
membraneやcell
に 影 響 す る の とanalogousな
wall
影響を白血球 やマ ク ロ フ
ァ ー ジの ほ うに も及 ぼ す た め で は な い か と想 像 され る。
柴 田 清 人(司 会 者 ま とめ)
宿 主,悪 性 腫 瘍,薬 剤 とい う3つ の場 の なか で,制 癌
剤 の 効 果 を 充 分 発 揮 させ るた め に は どの よ うな制 癌 剤 を
以 上,基 礎,臨 床 の両 面 か ら,9人
話 を うけ た まわ つ たが,前
異 論 の 多 い 問題 の1つ で あ る。
のス ピーカーのお
に も申 した よ うに,感 染 症 治
療 に お け る個 体 の防 禦能 強 化 の 重 要 性 が ます ます 痛 感 さ
え らび,ど
の よ うに 投 与 す るが よ い か,ま たadjuvant
chemotherapyは
果 し て有 効 な の か,ま た そ の方 法 は,
な ど今 日行 きづ ま りを み せ て い る癌 の 化学 療 法 のむ ずか
れ た 。 しか し この問 題 は 幅 も広 さ も深 さ もた い へ ん 大 き
し さを 提 示 し,原 点 に か え つ て討 論 した い と 考 え て い
い もの であ つ て,今 後 の研 究 発 展 に まつ と こ ろ多 大 な も
る 。 この シ ソ ポ ジ ウ ム は 結 論 な しの 問題 提 起 で 終 る か も
の が あ る と考 え る。 さ し当 り今 日具 体 的 に ど うし た ら よ
しれ な い が,各 演 者 は そ れ ぞ れ の エ キ ス パ ー トで あ り活
い か とい う問 題 に つ い て は,ま だ 臨 床 的 には な か な か手
発 な 討 論 の あ る こ とを 期 待 して い る。
が か りが 掴 め な い の が 現 状 で あ る と思 う。 しか し本 日の
話 に も あつ た よ うに,グ
a. 適 応 制 癌 剤 の 検 索 法 ― 主 と し てINAS
ラ ム陰 性 桿 菌 莢 膜 多 糖 体 を 用 い
て の免 疫 療 法 の話,γ-globuli捻
法について
の 検 討,そ の 他 わ れ わ
れ が 併 用 す る抗 生 物 質 の 種 類,量,投
与 時 期,期
間の問
東
多 あ つ た と確 信 す る。 わ れ わ れ も 感 染 症 の 治 療 に 当 つ
て,抗
生 物 質 一 辺 倒 とい う殻 を 破 つ て,こ の 防 禦 能 強 化
弘
大 阪 大 学 第2外 科
題 等 に つ い て,研 究 の い と ぐ ちに な る よ うな テ ー マ が 多
癌 化 学 療 法 の 成 績 を 向 上 させ る た め に は,腫 瘍 に とつ
て感 受 性 が 高 く,宿 主 に は副 作 用 の 少 な い 制 癌 剤 を 選 択
を 一 面 の 楯 と して これ を 打 ち立 て て,今 後 問 題 で あ る難
して投 与 す る こ とが 必 要 で あ る。 わ た く し ど もは,現 在
治 性 感 染症 治 療 の壁 に ぶ つ か つ て行 か な けれ ば な らな い
使 用 され て い る制 癌 剤 の 多 くが,そ の1次 的 作 用 点 を 核
と考 え る 次 第 で あ る。 本 日は 諸 先 生 に は 短 時 間 に い ろ い
ろ 示 唆 に 富 ん だ 問 題 を 要 領 よ くま とめ て 頂 い て 司 会 者 と
し て 心 か らお 礼 を 申 し上 げ る。
酸 の合 成 系 と してい る こ とか ら考 え て,核 酸 の 生 合 成 に
対 す る抑 制 効果 を指 標 とす る制 癌 剤 感 受 性 試 験,す な わ
ち,INAS(Inhibition
of Nucleic
Acid
fate,ActinomycinD,Bleomycinな
sulどの 薬 剤 に つ い
悪 性 腫 瘍 の 化学 療 法 の 問題 点
て,動 物 踵瘍 を用 い て 基 礎 的 検 討 を 重 ね た うえ,臨 床 応
司
用 を 進 め て き た。
会
芝
茂
阪 大微 研外科
酒
井
克
治
大阪市大第2外 科
方 法 の 概 略 は下 記 の と お り で あ る。 手 術 材 料 か ら
Stadie-Riggsの
司会 者 の こ とば
感 染 症 を 薬 剤 で 治 療 す る の と同 じ よ うに,悪 性 腫 瘍 細
胞 を 化 学 療 法 剤 に よつ て特 異 的 に破 壊 し よ うと して,こ
年 来,多
くの 研 究 者 が 制 癌 化 学 療 法剤 の 開 発,
ス ライ サ ーで 厚 さ約500μ
切 片 を 作 製 し,こ
incubateし,つ
こ30数
Synthesis)法
を 開 発 し,Nitromin,MMC,5-FU,Vinblastine
シ ンポジウム2
れ を 各 種 制 癌 剤 と とも に4時 間preいで,1abeledprecursorを
らに1時 間incubateす
20%非
後,取
添 加 して さ
る。 この際mediumと
働 化 牛 血 清 添 加TC199を
bationの
の腫瘍組織
り出 した 腫 瘍 切 片 か らDNA分
出 し,そ の 比 放 射 活 性 を 測 定 し,DNA合
画を抽
成 の抑 制 の 程
改 良 に つ とめ 数 多 くの 制 癌 剤 が 発 表 され て来 た。 そ の い
度 を%of
ず れ を とつ て も,実 験 動 物 の 移 植 癌 に 対 しては これ を根
結 果,腫 瘍 が あ る薬 剤 に感 受 性 と判 定 す る に は,対 照 の
治 させ るほ ど強 力 で あ る が,ヒ
70%以
トの悪 性腫 瘍 に もち い て
み る と,毒 作 用 だ け が あ らわ れ,こ れ が 宿 主 の 生 命 を お
び や か す こ と もす くな くな い。 した が つ て 臨 床 医 家 の 制
coatrolと
して は
用 い た 。 上 記incu-
下 のDNA合
して表 わ して い る 。種 々の検 討 の
成 抑 制 が 必 要 で あ る とい う成 績 を
得 て い る。
い ま まで に 感 受 性 試 験 の 成 績 と臨 床 効 果 とを 対 比 で き
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
た もの は延 べ72例
で,感 受 性 と判 定 され た 薬 剤 が投 与
され て臨 床 的 に も有 効 で あつ た もの は55例
273
確 実 に判 定 で き る か を 知 るた め に は 多 くの施 設 の協 力 に
よ り多 数 症 例 に つ き統 計 的 に 検 討 す る必 要 が あ ろ う。
中48例,
非感 受 性 と判 定 され た 薬 剤 が 投 与 され 臨 床 的 に も無 効 で
あ つた も のは17例
中14例
と臨床 効 果 の程 度 とが 一 致 し た も の は72例
86。1%で
b. 制 癌 剤 投 与 法 の 検 討(1)
で あ り,感 受 性 試 験 の成 績
中62例
I. 手 術
不 能
癌
あつ た 。 こ れ ら の 成 績 か ら本 法 は適 応 制 癌 剤
田
の 選択 に極 め て有 力 な方 法 と考 え て い る 。 な お,こ の 感
受 性試 験 の成 績 を疾 患 別 に み る と,悪 性 リンパ 腫 で は
NitrominとBleomycinに,胃
た,乳 癌 で はNitm斑
癌 で は5-FUに,ま
現在,我
魚 に 感 受 性 の 頻 度 が 高 く認 め られ
た。
口
鉄
男
阪大微研外科
々が 入 手 可 能 な 制 癌 剤 を も ち い て,治 療 成績
を 向上 さ せ る こ とは,も つ と も緊 急 か つ重 要 な 課題 で あ
る。
制 癌 剤 の 効 果 増 強 を は か る方 法 と して は 以 下 の よ うな
a. 適 応 制 癌 剤 の 検 索 法 ― ― 追 加 発 言
ア ブ ロ ーチ が 考 え られ て い る。 す な わ ち,制 癌 剤 の側 か
らは,適 正 な薬 剤 を選 択 す る こ と,投 与 方 法 を 工 夫 す る
近
藤
達
平
こ と,他 剤 と併 用 す る こ と,多 剤 併 用 を 考 え る こ と,制
名 古 屋 大 学 第2外 科
癌 剤 の作 用 が増 強 す る よ うな 場 を つ くる こ とな どが試 み
適 応 制 癌 剤 とは 腫 瘍 に 有 効 で 副 作 用 の な い薬 剤 と考 え
られ て い る 。 い つ ぼ う,宿 主 の 側 か らは,宿 主 の癌 に対
られ るが,制 癌 剤 が 有 効 な場 合 に副 作 用 が強 い か 弱 い か
す る 抵 抗 性,免 疫 学 的 処 置 を と る こ と,患 者 の 栄養 管 理
と い う こと は異 論 の多 い 問 題 で あ る。 従 が つ て適 応 あ る
を 考 え る こ と,副 作 用 防 止 対 策 を 考 え る こ と,感 染 予 防
薬 剤 を選 択 す る に 当つ て は腫 瘍 に有 効 で 且つ 宿主 に 影 響
の 対 策 を と る こ とな どが 試 み られ て い る。
の 少 な い薬 剤 を選 択 す る こ とが必 要 で,こ の 意 味 で 腫 瘍
我 々 は外 科 領 域 に お け る 手術 不 能 消 化 器 癌 に 対 して,
に 対 す る効 果 を 予 知 し宿 主 に対 す る影 響 を 予 じめ 知 るた
強 力 に 制 癌 効 果 を高 め,速 や か に寛 解 導 入 す るた め に 動
め の 感 受 性 試 験 が 治 療 成 績 を あ げ るた め に 重 要 とな る。
脈 内挿 管 投 与 法 を 中心 に行 な つ て き た 。 本 法 に よつ て
また,こ れ を 制癌 剤 のtumor-host-relationshipに
60%前
及ぼ
す 影 響 の面 か ら考 え れ ば 薬 剤 効 果 は 腫 瘍 に対 す る効 果 と
後 の寛 解 導 入率 が え られ て い る。 動 注 療 法 に お
い て も制 癌 剤 の薬 理学 的 特 性 を 考 え,と
くに 時 間 依 存 性
宿 主 に 対 す る影 響 との 差 で あ らわ し うる と思 わ れ感 受 性
な の か濃 度依 存 性 な の か を 考 慮 して,上 手 に 組 合 せ る の
試 験 の見 地 か ら これ を 知 る こ とも で き る。 す なわ ち腫 瘍
が 抗 癌 性 を 高 め る方 法 で あ る。
の 感受 性 と とも に宿 主 に対 す る影 響 を知 り副 作 用 を 予 知
しか しな が ら,動 注 に よ る効 果 は 比 較 的 寛 解 期 間 が短
す る こ とは総 合 的 に腫 瘍 効 果 を知 る上 か ら も,ま た 副 作
か い の で,さ
用 な しに 大量 に薬 剤 を 用 い る意 味 か ら も無 視す る こ とは
に 多 剤 併 用 療 法 あ るい は 制 癌 剤 の経 口投 与 な どが 必要 で
で きな い 。
あ る。 また 宿 主 の 抵 抗 性 を 増 強 させ る た め に,栄 養 状 態
現 在 各 種 の 制 癌 剤 感 受 性試 験 法 が 考 案 さ れ て い るが,
らに 寛 解 を 強 化 し,あ る いは 維 持 す る た め
を よ くす る と と もに,い わ ゆ る"hos
tmediate"の
この ば あ い 問 題 に な る こ とは 第1に 試 験 管 に お け るin-
を 併 用 す る こ とに して い る。 さ らに,感
cubation
早 期 治 療 を 心 が け て い る。
timeと
薬 剤 濃 度,第2に
睡 瘍 間 薬 剤 濃 度,第
3に 薬 剤 の体 内 に お け る代 謝 で あ る。 制 癌 剤 の あ る もの
消 化 器 癌 を中 心 に考 え る とき;MMC,5-FU,Adria-
は 体 内で 代 謝 を うけ て の ち 始 め て作 用 す る も の が あ り,
mycin,Carbazylquinoneが
体 内で 破 壊 され あ るい は 活 性 化 され て の ち 効果 を発 揮 す
り,多 剤 併 用 と して は 太 田 らの 開 発 したMFC療
る。 す なわ ち,こ の よ うな も の の唯 一 の正 確 な 判 定 は 患
力 で あ る 。 経 口制 癌 剤 と して は,FT-207,5-FUド
者 自身 でみ る以 外 には あ りえ な い の で あ り,こ の 点 か ら
シロ ップ がhandyで
便 宜上 動 物 を 用 い てin vivoの
判 定 を試 み る か,あ
るい
は 薬 剤 の 活 性型 を と り出 して これ に よ りin vitroで
判
以 上 述 べ た よ うな諸 問題 が あ る が,適 応 判 定 は 特 定患
者 の 特 定 の腫 瘍 の 特 定 の時 点 に お け る感 受 性 を示 す もの
で あ り,こ れ を 正 確 に 知 るに は 各 薬 剤 のkineticsと
metabolismを
知 る必 要 が あ る。 また,こ
PS-K(多
れ が どの 程 度
動 注 用薬 剤 と して 有 用 で あ
あ る。Host
mediateと
法が強
ライ
して は
糖 体蛋 白)が 経 口投 与 で 宿 主 の 細 胞 性 免 疫 能
低 下 を 改 善 させ る作 用 が あ る ので 併 用 治療 と して 有 用 で
あ る。
定 す る 必要 が あ る。
薬剤
染 防 御 な い しは
CHEMOTHERAPY
274
MAY
た め 最 も肝 要 と され,そ
b. 制 癌 剤 投 与 法 の検 討(2)
性 の 多 様 性 に 鑑 み,さ
I. 手 術 不 能 癌―
追加発 言
Leukemic
1974
の た め に 白血 病 細 胞 の薬 剤 感 受
らにSKIPPERの"Total
Kill of
Cells"の 治 療 理 念 に 基 づ い て 幾 つ か の強 力 な
多 剤 併 用 療 法 が 推 奨 さ れ て い る。 私 達 は 本 邦 にお い て 開
太
田
和
雄
発 さ れ た 制 癌 性 抗 生 物 質Neocarzinostatin(NCS)を
愛知県が んセ ンター
初 め て ヒ ト急 性 白血 病 の寛 解 導 入 剤 と して使 用 し単 独 投
癌 の 化 学 療 法 に お い て は,癌 細 胞 に 選 択 的 に作 用 す る
与 に て14例
中7例(50%)が
完全寛解に達す る とい う
す ぐれ た 制 癌 剤 の 開 発 が 本 質 的 に 重 要 で あ る こ とは 論 を
好 成 績 を 得 た の でNCSを
待 た な い 。 しか し臨 床 家 に あつ て は,既 存 の制 癌 剤 を 用
い て,最 大 の 効果 を 発 揮 す るた め に は,如 何 な る 用 い 方
よ る 至適 投 与 法 に つ い て検 討 した 。 現 在 まで の と こ ろ
"NVMP"療
法 す な わ ちNCS:2mg×4日
,Vincristin:
を した ら良 い か,そ の 投 与 法 の検 討 が 緊 急 を要 す る 重 要
2mg×1日,6MP-Riboside:300mg×4日,Predoni-
な 研 究 課 題 で あ る。 こ こに お い て 我 々は 長 年 に亘 つ て,
solone:60∼80mg×4日
多 種 の制 癌 剤 を組 み 合 わ せ て用 い る多 剤 併 用 療 法 の 研 究
達 しな い 場 合 は3∼4日
を 行 なつ て来 た 。
漱 的 に繰 返 す 方 法 に よ り最 も良 好 な 成 績 を 得 て い る。
そ の研 究 方 法 と して,吉
田 肉腫 お よびL1210マ
ウス
2)
中 心 と した 多 剤 併 用 療 法 に
を1コ
ー ス と し,完 全 寛 解 に
休 養 の 後 第2,第3コ
ー ス を間
慢 性 白血 病:急 性 白血 病 の 治 療 法 が 戦 後 急 速 に進
白 血 病 を用 い て,併 用 組 み 合 わ せ の 研 究 を 行 な い,単 独
展 し平 均 生 存 期 間 の著 しい延 長 が み られ る のに 比 し慢 性
投 与 に く らべ,併
骨 髄 性 白 血 病 の場 合 に は 画期 的 な 進 歩 が 認 め られ て い な
用 す る こ と に よつ て 効 果 の増 強 す る
組 み 合 わ せ を探 究 した 。 これ ら実 験 的 研 究 に お い て,
い。 そ の 主 因 は 抗 白血 病 剤 投 与 後 の 早 期 急 性 転 化 例 に あ
mitomycin
よ
る とさ れ て い る。 こ の早 期 急 転 例 を な るぺ く減 少 させ る
法 は 吉 田 肉腫 に お い て著 明 な 相 乗
た め の抗 白血 病 剤 の 投 与 法 と して,一 般 に 微 量 療 法 に よ
C,endoxan,tespamin,toyomycinに
る4者 併 用METT療
効 果 を示 した 。 またL1210マ
ウス 白 血 病 に お い て,
りご く緩 徐 に 白 血 球 数 を 減 少 さ せ る よ うな 投 与 法 が 推 奨
mitomycin
arabinosideに
され る。 薬 剤 の 種 類 と して は 従 来 か らMyleran,Mito-
併 用MFC療
C,5-FU,cytosine
法 は 単 独 薬 剤 のoptimal
よ る3者
dosis使
効 果 に比 し,著 明 な 相 乗 効 果 を 示 した 。Cytosine
用時 の
binosideは
ara-
従 来 抗 白血 病 剤 と して は す ぐ れ た 効 果 を 発
mycin C,Vercyteな
どが 用 い られ て 来 た 。 私 達 は近 年
"Dibrommannitol"を1日150mgと
い う少 量 用 い て
寛 解 導 入 を は か り,以 後 白血 球 数 が1∼2万
に保 た れ る
揮 し て来 た が,固 型 癌 に対 して は 単 独 投 与 で は そ の 効 果
よ うに維 持療 法 を 行 なつ た 来 た が,早 期 急 転 例(1年
は 限 ら れ て い た 。 我 々 は,L1210マ
内)をMyleran微
ウス 白 血 病 で 得
以
量 療 法 よ り さ らに 減 少 させ 得 る よ う
られ た この併 用 組 み 合 わ せ に よ る相 乗 効 果 か ら,こ の
で あ る。 い つ ぼ う"急 転"を
MFCの
診 断 し直 ち に 急 性 白血 病 と して の 早 期 治 療 に 転 換 す る た
組 み 合 わ せ を 人 の 固 型 癌 に 応 用 し,多 数 症 の 検
討 の結 果,MFC療
法 は 腺 癌 系 の癌,と
く に 胃腸 の 癌 に
対 し著 しい 効 果 を 発 揮 す る こ とが 確 認 され た 。
な るべ く早 期 に か つ 的 確 に
め の 臨 床 的 な らび に血 液 学 的 指 標 を 設 定 し,こ れ に基 づ
い て 抗 白 血 病 剤 の選 択,投
与時 期 を 決 定 して い る。
しか し この実 験 踵 瘍 を 用 い て さ らに す ぐれ た併 用 療 法
を 探 究 し よ うと して,数 多 くの期 待 の 持 て る併 用 組 み 合
b. 制 癌 剤 投 与 法 の 検 討(4)
わ せ が検 討 さ れ さ らに これ らを 臨 床 に 応 用 して い るが,
い ま だMFC療
法 に 勝 る併 用 療 法 は 出 現 し てい な い 。 次
次 と新制 癌 剤 が 登 場 して来 る の で,こ れ ら を併 用 組 み 合
II. 白 血 病
追加発 言
白血病細胞 減少曲線の解析について
正
わ せ の 中 に 組 み 入 れ て研 究 を進 め て い る。
岡
徹
大 阪 府立 成 人 病 セ ン タ ー
b. 制 癌 剤 投 与 法 の 検 討(3)
急 性 白血 病 治療 中 の 白 血 病 細 胞 減 少 曲線 に式109Z=
II. 白
血
病
k1t2+k2t+k3が
あ て は ま る こ と を 見 出 し た 。 この 式 か
ら,白 血 病 細 胞 の 減 少 速 度,減 少 に対 す る 負 の 加 速 度,
木 村 郁 郎 ・喜 多 島 康 一
岡山大平木 内科
1)
急 性 白血 病:そ
お よび 減 少 停 止 時 期 と,そ の時 の血 中 白 血 病 細 胞 数 を,
血 中 で 白血 病 細 胞 が 認 め られ な くな つ た 時 期 に も推 定 で
の治療計画 は一般に寛解導入→強
き る。 減 少 停 止 時 期 は 薬 剤 変 更 の時 期 で もあ る。 また こ
化 → 維 持 → 再 導 入 療 法 の様 式 に した が つ て 立 て られ る 。
れ らの数 値 は 薬 剤 に よ り異 な り,薬 剤 の 効 果 の 一 面 を表
この うち まず 寛 解 導 入 に 成 功 す る こ とが 長 期 生 存 を 得 る
現 し て い る と考 え られ る。 例 え ば838で
治療 した5症 例
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
の初 期 白血 病 細 胞 減 少 速 度 は平 均-0.20369,減
す る 負 の加 速 度0.012784,減
DAMP療
少 停 止 時 期37.9日
少に対
で あ り,
法 の そ れ は,そ れ ぞ れ,-0.4956,0.07338,
275
和36年
以 降 の 症 例 に はMitomycin
与 した。 ま た,昭 和44年
16.6日 で あ り,838に
よ る 白血 病 細 胞 減 少 は 当初 緩 慢 だ
が 長 く持 続 し,DAMP療
法 の そ れ は,当 初 急 激 で あ る
房 切 断 中Endoxan
kgを
り同 じ制 癌 剤 を 同量 投 与,さ
Endoxan1日
に も役 立 つ こ とが 多 い 。
中12例
らに 術 後1カ
量100mgを40日
12mg/
の2日 間 に わ た
月 目か らは
間 内服,2カ
月休 薬 す
る とい う内服 療 法 を く りか え し行 な つ てい る。
上 述 の数 式 は 好 中 球 の減 少 曲 線 に も応 用 で き る。 急 性
白血 病13例
る い は5-FU
点 滴 静 注,以 後 術 後 第1,第2日
こ とが 可 能 で あ る。 これ は 次 の薬 剤 の選 択,お
血,感 染 予 防 のtiming等
週2回,
下 に な るま で 投
以 降 の乳 癌 例 に対 して は,乳
10mg/kgあ
が 早 期 に 停 止 す る とい う両 薬 剤 の性 質 を数 的 に把 握 す る
よび 出
C 6mgを
間 歇的 に 静脈 内 へ,白 血 球 数が3,000以
に お い て好 中 球 の減 少 停 止 時 期 は 白
これ らの補 助 的 制 癌 化 学 療 法 が 行 なわ れ た 乳 癌 根 治 術
後 の5年 生 存 率 は,StageI90.2%,StageII83.9%,
血 病 細 胞 の 減 少 停 止 時 期 とほ ぼ 等 しい 値 が 得 られ た 。 白
StageIII52%と
血 病 の 治 療 で は 白血 病 細 胞 を で き るだ け減 少 さ せ,正 常
よ うな補 助 的 制癌 化学 療 法 が 行 な わ れ なか つ た 症 例 は き
な つ た 。 な お,わ れ わ れ の教 室 で こ の
細 胞 を で き るだ け 障 害 しな い こ とが 理 想 で は あ る が,減
わ め てす くな く,し た が つ て,こ れ らの数 値 を他 の施 設
少 期 に お い て,両 細 胞 の差 を 拡 大 す る こ とは,減 少停 止
の成 績 と対 比 して報 告 した 。
時 期 が ほ ぼ 等 しい こ とか ら,か な り限 界 が あ り,両 者 が
b. 制 癌 剤 投 与 法 の 検 討(6)
増 加 して 来 る時 期 の 増 殖 速 度 の差 を 利 用 す る こ と も必 要
と考 え る。 そ こで 寛 解 導 入 療 法 と して強 力 治 療 を行 な つ
III. 再 発 防 止 の た め の 補 助 的 化 学 療 法―
た 後,い つ た ん 治 療 を 中 止 し,正 常 細 胞 の 回復 を待 つ て
追加発 言
強 力 治 療 を く り返 す の が 合 理 的 な 方 法 と考 え る。 この よ
うな 強 力 治 療 を2∼3カ
性 白血 病15例
の平 均 生 存 期 間 は15.5カ
月で,完 全 寛
解 到 達 後 通 常 の 維 持 療 法 を 行 なつ た10例
の平 均 生 存期
間8.2カ
中
月 毎 に く り返 す 治療 法 に よ る 急
月 に 比 して か な り生 存 期 間 の延 長 を認 め て い
る。
里
博
昭
愛知県がん センター
Adjuvant
防 止,す
chemotherapyの
目標 は 治 癒 切 除 後 の再 発
な わ ち,患 者 の延 命 効 果 を達 成 す る こ と で あ
る。 この 問題 に つ い て は 今 日 まで に 多 数 の研 究 者 に よつ
て検 討 さ れ て 来 た が,未 だ 一 定 の成 績 が 得 ら れ て い な
b. 制 癌 剤 投 与 法 の 検 討(5)
い。 これ は(1)効果 的 な 薬 剤 の な い こ と,(2)手 術 予 後 に 関
与 す る 因子 が 複雑 多 岐 に わ た る こ と,(3)症 例 数 も少 な く
III. 再 発 防 止 のた め の補 助 的 化 学 療 法
推 計 学 的 検 討 が 不 充 分 で あ つ た こ と な どが 原 因 と思 わ れ
前
田
貞
邦
る。 そ こで私 共 は一 定 の プ ロ トコ ール に 従 が つ て,一 定
大阪市大第2内 科
悪 性 腫 瘍 に 対 す る最 良 の 治 療 は,い
期 間 内 に 多数 の 症 例 を 集 積 す る こ とに よ り厳 密 な推 計 学
うま で もな く根 治
的 処 理 を行 な い,予 後 に 関 与 す る背 景 因 子 の詳 細 な 分析
的 な切 除 療 法 で あ り,近 年 切 除 手 術 の領 域 が拡 大 され,
を 試 み て化 学 療 法 の 効果 の 検 討 を 行 なつ た 。 す なわ ち 胃
徹 底 した 根 治 手 術 が 行 な わ れ る よ うに な つ た。 しか し,
癌 の治 癒 手 術 症 例 を対 象 と し,制 癌 剤 と して は 日本 で 開
悪 性 腫 瘍 の性 格 か らみ て,こ れ まで の手 術 療 法 に 真 の 意
発 され たMitomycin
味 の根 治 を 期 待 す る こ とは で きな い 。 い つ ぼ う制 癌 剤 の
種 な方 法 を行 な つ た が,ま ず 第1次 方 式 と して,芝
研 究 は い ち じ る し く進 展 し,数 多 くの制 癌 剤 が 臨 床 上 に
口両 博 士 がMMC研
応 用 され るに 至 つ た が,し か も薬 剤 単 独 で癌 を 治癒 させ
週2回
るほ ど強 力 な も のは な く,ま た 根 治 手 術 に併 用 さ れ る制
間 激 投 与 法 を追 試 の 意 味 で 行 な い,次 い で 短 期 静 脈 内大
癌 剤 の効 果 に 疑 問 を もつ 人 が す くな くな い。
量 投 与 法,お
わ れ わ れ の教 室 で は,悪 性 腫 瘍 を全 身 性 疾 患 の1つ
C (MMC)を
用 い,投 与 方 法 は種
・田
究 会 にお い て 検 討 さ れ たMMCの
分割 投 与 法(総 量40mg),い
わ ゆ る中 等 量 静 脈 内
よび 局 所 動脈 内 投 与 法 な どを 試 み た 。 本 研
と
究 は 昭 和40年
以 降 厚 生 省 の 班 研 究 と して今 永 班 長 の も
み な し,そ の手 術 に さい し ては,つ ね に補 助 的 制癌 化 学
とに 全 国18施
設 の 協 力 に よ り,8年
療 法 を 併 用 し て来 た 。
お よぶ 胃癌 症 例 が 集 積 され て い る。 これ まで の成 績 な ら
今 回 は,補 助 的 制 癌 化 学 療 法 を 併 用 され た 乳癌 根 治 術
後 の再 発 お よび 生 存 率 を 算 出 してみ た 。 す な わ ち,昭 和
32年 以 降,初 期 の 症 例 に はMitomycin
はEndoxan
100mgを
C 2mgま
た
術 直 後 か ら連 日静 脈 内 に ま た 昭
間 で 約3,000に
び に 今 後 の 問題 点 を要 約 す る と,
(1)MMC0.08mg/kgを
回(総 量40mg/50kg)を
次 方 式 で は,StageIIに
手 術 日か ら週2回,合
計10
静脈 内 に 投 与 した 厚 生 省 第I
お い て6年 相 対 生 存 率 で26.9
CHEMOTHERAPY
276
%(P<0.01)の
有 意 差 が 得 られ,こ れ は 芝 ・田 口博 士 が
MAY
1974
簡 単 に の べ て い た だ きた い 。
先 に 検討 さ れ た 成 績 とほ ぼ 同 一 結 果 で あ る。 そ れ に対 し
東
て,術 中 ・術 直 後 の短 期 間 内 に 大 量 のMMCを
骨 髄 細 胞 が 制 癌 剤 に 感 受 性 が あ る か ど うか を し ら べ
投与 し
た 第 皿次 あ るい は 第 皿次 方 式 で は 現 在 の と ころ期 待 し う
て,薬
弘
剤 の 副 作 用 の 指 標 と して い る 。 今 日 まで に マ イ ト
る 効果 は 得 られ てい な い。 な か で も術 中大 量 のMMCを
マ イ シ ン の 結 果 が え ら れ て い る が ,in vitroで
肝 ・脾 動脈 に 投 与 され た 第 皿次 方 式 で は,動 脈 内 注 入 と
マ イ トマ イ シ ン の 骨 髄 細 胞 に 対 す るDNA合
手 術 侵 襲 との 合 併 に よ る副 作 用 と考 え られ る肝 障 害 が 認
マ イ トマ イ シ ン を 臨 床 例 に 応 用 し て 出 て く る 白 血 球 減 少
め られ た 。
とは相 関 関 係 が あ る こ とが わ か つ た 。 他 剤 に つ い て は 検
(2) 第IV次 方 式 と して 厚1の 追 試 と,新
vantchemotherapyに
ら し くAdju-
薬 剤 併 用 を導 入 したMFC療
法
とを計 画 し 目下 症 例 集 積 中 で あ る。
(3) 生 存 曲 線 か ら み たAdjuvant
索 中 で あ る。
酒 井 克 治
近 藤 先 生 は エ ン ド キ サ ソ の よ う なtransport
chemotherapyの
制 癌 剤 の 感 受 性 試 験 はin vivo検
効 果 判定 に は,一 定 期 間 内 に,一 定 の規 約 に従 が つ た 多
わ れ た が,東
数 の 症 例 集積 と,背 景 因 子 の 選 択 お よび 群 間 に お け る相
ン を 対 象 と し た 場 合,他
違 な どを考 慮 した厳 密 な 統 計 処 理 が 必 要 で あ る。
が。
(4)
こ うい う方 法 に よ る効 果 判 定 の精 度 を よ り期 待 す
るた め に は,予 後 に 関 与 す る諸 要 因 と して,さ
らに術 後
長 期 に わ た る経 過 要 因 を 考 慮 した 正 準 判 別 分 析 法 の 導 入
が 必 要 と考 え られ る 。
討
先 生 は こ の よ う な 場 合,こ
東
会 者)
とに エ ン ドキサ
の アル キ ル 化 剤 で 代 用 して い る
弘
ナ イ ト ロ ミソ が 基 礎 実 験 と し て 検 索 さ れ て い る が,エ
ソ ド キ サ ン の 感 受 性 判 定 の 場 合 に は,そ
の作用基が ナイ
ト ロ ミ ソ の も の と 同 一 で あ り,ま
種動物腫瘍の間
て い る こ と か ら,ナ
東 先 生,先 ほ どの 講 演 の 中 で,言 い残 され た と ころ を
簡 単 に ご追 加 下 さい 。
た,各
イ トロ ミ ソの 成 績 を 流 用 して 差 支 え
な い と 思 わ れ る 。 講 演 で も 話 し た よ うに,臨
床 効 果 と ナ イ ト ロ ミ ン のin vitroの
治 療 中 ま た は 休 薬 期 間 を 経 て の ち,再 増 殖 して きた 腫
瘍 の制 癌剤 に 対 す る感 受 性 は,primaryの
て い る 場 合 が あ り,in vitroのtestで
も の と異 な つ
もや は りこ の よ
うな事 実 が裏 書 きさ れ て い た とい う こ とが1つ 。 も う1
る 。 な お,近
エ ン ドキ サ ン のin vitroの
感 受 性 を み る の に い い の で は な い か と い う こ と で,私
近 藤 達 平
制 癌 剤 の 感 受 性 をin vivoで
が あ り,正
判 定 す るに は 難 しい 問 題
確 に は そ の 患 者 の 体 で み る 他 は な い と 思 う。
activityそ の も の は 減 少 す るが,制 癌 剤 に対 す る感 受 性
そ れ を 種 々 の 方 法 で 代 用 し よ う と し て,例
に は全 く変 化 が な か つ た とい うこ とで あ る。
ー ,卵
な どへ の 移 植 が 試 み ら れ て い る が,こ
な か テ ク ニ ッ クが い る の で,薬
大 第2外 科)
腫 瘍 に対 す る 感 受 性 だ け で な く,Hostに
対 する影響
れ れ ば,そ
も 重 視 す る 必 要 が あ る と思 う。 芝 先 生 の お話 に もあ つ
に 依 頼 し て487(487は
に 有 望 と い う の で,さ
の で あ る か ら,制 癌 剤 はHostに
か,497,こ
で,そ の意 味 で 先 ほ ど腫 瘍 に対 す る影 響 と,Hostに
対
す る影 響 との差 で これ を 表 わ した い と考 え,試 み と して
い う言 葉 を も ち い た 。 これ は さ ら に
け ば,我
えばハ ムスタ
れにはなか
剤の活性型が容易に得 ら
れ を も ち いれ ば や りや す い と思 う。 シオ ノギ
た が,腫 瘍 は寄 生 体 で は な く,宿 主 か ら発 生 して 来 た も
与 え る影 響 も 強 い の
第1次
の 活性 化 物質 で ひ じ よ う
ら に 今 後 の 検 討 を 頼 ん で い る)と
うい うも の で検 討 し て本 当 に パ ラ レ ル に い
々 に とつ て 有 難 い と考 え て い る 。
酒 井 克 治
癌 研 の 桜 井 先 生 の お 話 に よれ ば,同
じ アル キ ル 化 剤 で
検 討 せ ね ば な らぬ が,ぜ ひ 宿 主 の ほ うに 対 す る影 響 も忘
も 薬 に よつ て 作 用 の 違 う も の が あ る と 聞 い た が,ア
れ ず に 考 え て ほ し い と希 望 す る 。
ル 化 剤 だ か ら と い つ て1つ
酒 井 克 治
東 先 生 は 骨 髄 細 胞 を も ち い て 制 癌 剤 の 宿 主 に 対 す る影
響 を 測 定 して い る よ うに文 献 で拝 見 した が,そ の 成 績 を
共
の 方 法 で も検 索 中 で あ る。
す こし 時 間 が た つ て か ら作 ら なけ れ ば な らぬ 場 合 もあ
り,こ の よ うな 時 間 を 経 た 材 料 につ い て も検 索 した が,
の臨
成 績 とが 平 行 す
藤 先 生 が 紹 介 さ れ た エ ン ドキ サ ン のactive
な 誘 導 体40487,40497が
つ は,新 鮮 材料 か ら組 織 の ス ラ イ ス を作 る が,実 際 に は
effective valueと
床 では 局 所
療 法 を 除 い て エ ソ ド キ サ ン を 使 う こ と が 多 い が,そ
弘(阪 大 第2外 科)
近 藤 達 平(名
formの
索 法 の ほ うが よ い と い
で もエ ン ドキサ ン とナ イ トロ ミソ とに 交 叉 耐 性 が み られ
論
酒 井 克 治(大 阪 市 大 第2外 科,司
東
み られ る
成 阻 害 と,
ルキ
の薬 で感 受性 が あ る と判 定 し
て よ い だ ろ うか 。
東
弘
先 ほ ど お 話 し し た と お り,エ
ン ドキ サ ン の 感 受 性 判 定
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
には ナ イ トロ ミンの成 績 が 流用 で きる と考 え る が,他
の
種 々の アル キ ル 化 剤 に全 部 通 用 す る とは 考 え て い ない 。
277
わ す 以 外 に現 在 効 果 を あ げ るい い 方 法 は な い の で は な い
か と考 え て い る 。 感 染 防 止 に は 患 者 をisolateす
るのが
もつ と も好 ま しい が,経 済 的 な問 題 も あ り,固 形 癌 で は
酒 井 克 治
抗 菌 剤 で は 薬 剤 耐 性 化 が 大 きな 問 題 の1つ
と なつ て い
るが,抗 腫 瘍 剤 を臨 床 上 に 応 用 して い るな か で,感 受 性
テ ス トを 繰 返 し,腫 瘍細 胞 が そ の 抗 腫 瘍 剤 に 耐 性 を獲 得
した と思 われ る よ うな成 績 を え た 経 験 が あ るか 。
そ こま で や らな くて も よい の で は な い か と考 え て い る 。
芝
茂(阪
大 微 研 外 科,司 会 者)
免 疫 療 法 の 問 題 だ が,制 癌 剤 の投 与 法 の1つ
と して,
免 疫 療 法 的 に 作 用 す る薬 剤 を 入 れ て は と い う こ とで あ る
近 藤 達 平
が,ふ
古 い デ ー タだ が,癌 性 腹 膜 炎 の 腹 水 細 胞 で時 聞 を追 つ
は 自己 の もつ 防 衛 力(免
つ う感 染 症 で は 起 炎 菌 を100%倒
疫 能)で
さ な くて もあ と
治 す こ とが 考 え られ
て し らべ た と ころ,薬 剤 投 与 に よ り抵 抗 性 が 出 て き た
る が,癌 で は そ れ 自体 が 寄 生 体 で あ る か ど うか に 問 題 が
が,投 薬 を や め る とす ぐ も と へ 戻 つ た と い う経 験 が あ
あ り,な お か っ 制 癌 剤 が 免 疫 抑 制 的 に は た らい て い るの
る。
で,も
東
し制 癌 剤投 与 の さい,低 下 して い る 免 疫 能 を 高 め
る 方 法 が あ れ ば 効 果 が あ が る と考 え やす い と思 う。 最 近
弘
投 薬 中 あ るい は 休 薬 後 に増 殖 し た細 胞 に耐 性 の 成 績 の
これ に 関 係 あ る も の と し てPSKと
い うHost
mediate
出 て くる こ とが あ る。 そ れ に 平 行 し て他 剤 に も耐 性 に な
の もの が 検 討 され て い るが,こ れ に つ い て 近 藤,田
つ てい る こ と もあ り,ま た別 の感 受 性 の あ る薬 剤 が み つ
先 生 か ら なに か一 言 。
近 藤 達 平
か る こ とも あ る。
PSKの
酒 井 克 治
つ ぎ に制 癌 剤 投与 法 の検 討に 入 る。
太 田 和 雄(愛
口両
臨 床 効 果 は そ れ ほ どで は ない と考 え る が,数
例 で は 例 え ば 乳 癌 な どで か な り有 効 な例 も あ り有 望 と も
思 う。 しか しそ れ よ りもH◎stの
知 県 が ん セ ン タ ー)
多 剤 併 用 で は 副 作 用 も また 増 強 され ない か と い う問 題
抵 抗 の面 か ら考 え て 化
療 の 障 害 を い か に して 防 ぐか とい うほ うに 重 点 を お くべ
が あ る。 これ は 造 血 障 害 を 来 たす 薬 剤 を併 用 す れ ば,と
きで は なか ろ うか。 そ の 意 味 で 化 療 の 時 にHostの
うぜ ん副 作 用 も ま た増 強 され る。 理 想 的 な 多 剤 併 用 は 副
をPSKで
作 用 の種 類 の異 な る薬 剤 を併 用 し,副 作 用 を 最 小 限 度 に
か と思 う。
障害
防 止 す る方 向 に もつ て行 け ば 有 意 義 で は ない
抑 え て効 果 を増 強 させ る よ うに す る こ と で あ る。MFC
田 口鉄 男
療 法 は確 か に造 血 器 障 害 も強 い。 これ に 対 し正 常 細 胞 と
私 ども の研 究 で は,担 癌 生 体 の免 疫 監 視 機 構 な どが ひ
癌 細 胞 の細 胞 回転 の差 を利 用 して 間 歇 投 与 を 行 な つ て 血
じ よ うに 落 ち て い る とい うこ と も あ り,と くに 細 胞 性 免
液 学 的 副 作 用 を 防 い で い る。
疫 が低 下 して い る。 この こ とは 動 物 実 験 で も きれ い に 証
正 岡
明 され る。 また 各 種 抗 癌 剤 に は 免 疫 抑 制 的 な 作 用 が あ
徹(大 阪 府 立 成 人 病 セ ン タ ー)
強 力 な化 学 療 法 に は ま た強 力 な補 助 療 法 が 必 要 で あ
り,す
くな く とも動 物 実 験 で はPSKを
前,同
る。 白血 球 減 少 以 前 の腸 内殺 菌,無 菌 室 お よび 白 血 球 輸
投 与 し,細 胞 性 免 疫 能 を 遅 延 型 皮 膚 反 応,MIFな
血 は,と
し らべ る と,PSK処
くに有 効 と考 え る。
時,後
に
どで
理 に よ り も とに 帰 つ て い る。 た だ
田 口 鉄 男(阪 大微 研 外科)
し正 常 動 物 に経 口投 与 して も免 疫 は 増 強 され な い とい う
や は り化 療 は 薬 剤 と腫 瘍 とHostの3つ
を 考 え てせ ね
確 証 を え て い る 。 さ らに 抗 癌 剤 に よる細 胞 性 免 疫 能 の 低
ば な らぬ とい うこ とに つ きる と思 う。 薬 剤 は そ の薬 理 学
下 が 抑 制 さ れ て 正 常 に 近 い とこ ろ ま で持 つ て い け る とい
的 特 性 を よ く考 え て 使 わ な い と角 を た め て牛 を殺 す こ と
う よ うな こ とか ら考 え てHostに
に な る と思 うし,Hostの
を 与 え る とい う確 証 を え て い るの で,現 在 臨 床 的 に も遅
ほ うで は ます ま す き め の細 か
い 補 助 療 法 が 必 要 に.なろ う。 ま た積 極 的 に は近 い 将 来 お
延 型 皮 膚 反 応,リ
そ ら く免疫 学 的 な な ん らか の 処 置 が 可 能 に な る と 思 う
で あ る。
し,ま た そ うし な けれ ば,現 在 の 化 学療 法 を 強 力 にや っ
て 行 く こ とは 困 難 と思 う。 さ らに わ れ わ れ が と くに動 注
を す るの は 外 科 の 立 場 だ か ら とい うこ と も あ るが,消
化
器 で は 血 管 の 分 布 か らみ て,動 注 な ど を し な い と全 身 投
与 だ け で は局 所 へ あ る程 度 の濃 度 の薬 剤 を うま く もっ て
ひ じ よ うに 有 利 な影 響
ン パ球 遊 走 阻 止 能 な どの 面 か ら検 討 中
酒 井 克 治
昨 日の 浜 島 先 生 の お 話 の な か で,喉 頭 の 扁 平 上 皮 癌 患
者 が,ブ
レオ マ イ シ ソ治 療 後 死 亡,剖
検 に よれ ば 病 巣 部
に 癌 細 胞 は 全 くみ つ か らな か つ た とい うこ とで,癌
は治
っ た が,結 局 患 者 は死 ん だ とい うお 話 が あ つ た。 こ うい
行 くの が難 しい こ と も あ つ て,や は り症 例 に よっ て 薬
う場 合,宿 主 を守 る 側 の 治 療 と して か ず かず の工 夫 が な
剤,腫 瘍,Hostの3っ
され て い る。 正 岡 先 生 の お 話 の よ うに 感 染 を 予 防 す る に
を 考 え て,あ の 手 この 手 を 組 合
CHEMOTHERAPY
278
MAY
1974
は ど うす れ ば よい か な ど今 後 に の こ され た 大 きな 問 題 の
る 。 我 々は この 到 達 性 を補 助 す る意 味 でproteaseを
1っ と考 え る が,た だ 今 の 免 疫 療 法 な どが 今 後 大 き く ク
用 して い るが,癌 が 進 行 す る と薬 剤 の組 織 内到 達 が 激 減
ロ ー ズ ア ッ プさ れ て くる もの と思 わ れ る。 こ の ス ラ イ ド
す るの で,そ れ を 助 け る た め にreduction
はCancerに
励 行 した い 。
掲 載 され て い たFISHMANの
し た もの で あ る が,Pseudomonas
論文 を引用
bacteremiaが
最近 急
増 し て お り,治 療 法 別 あ るい は治 療 薬 剤 別 に そ の 発 生 頻
surgeryを
大 慶 泰 亮(岡 山 大 平 木 内 科)
多 剤 併 用 化 学 療 法 の組 合 せ に つ い て,動 物 実 験 で の効
度 を し らべ て み る と,癌 化 学 療 法 を うけ た もの に 高 い 頻
果 と臨 床 に お け る効 果 がMFCの
度 で緑 膿 菌 菌血 症 が 発 生 して い る。 し か し,抗 菌 性 抗 生
が,多
剤 を投 与 され て い た も の の な か に,さ
解 離 が 多 い 。 多 剤 併 用 療 法 を企 て る 場 合,動
Pseudomonas
bacteremiaが
らに高 い 頻 度 で
発 生 し て い る。 抗 菌 性 抗 生
剤 を感 染 予 防 に っ か うこ とに よっ て逆 に 菌 交 代 症,あ
る
で のscreeningを
物実験
へ て 臨 床 応 用 を 行 な う べ き か,あ る
い は概 念 的 に そ の作 用 機 作 か ら直 接 臨 床 応 用 を 行 な つ て
か まわ な い か ど うか,太
や め る こ と もあ り うる と思 わ れ る。 以 上 の こ と もふ くめ
い。
う。
場 合 よ く一 致 し て い る
くの 制 癌 剤 の 場 合,動 物 と 臨 床 にお け る効 果 に
い は耐 性 菌 の 発 生 を うなが し,か え つ て 緑 膿 菌 感 染 をは
て,今 後 補 助 療 法 に っ い て考 え て い か ね ば な ら ぬ と 思
使
田先 生 の ご意 見 を う か が い た
太 田 和 雄
癌 の 化 学 療 法 剤 の ス ク リー ニ ン グの 根 本 問 題 に ふれ る
最 後 に 前 田先 生 の報 告 で は,乳 癌 に 関 して は 補 助 的 化
こ とで,現 在 の動 物 を も ち い た ス ク リー ニ ン グの 方 法 が
学 療 法 が 有 効 で あ ろ う と述 べ られ た が,外 国 論 文 に も 同
良 い 方 法 か ど うか とい う こ と と結 び つ く問 題 だ と思 う。
様 の 報 告 が み られ る。 し か しそ の 他 の 悪 性 腫 瘍 につ い て
しか し私 ど もは た だ 頭 の 中 で考 え る だ け とい うだ け で な
は,手 術 に併 用 され る補 助 的 化 学 療 法 の 有 用 性 につ い て
い 何 か 根 拠 を 得 た い とい う立 場 でや つ て い る。 そ して そ
な お 結 論 が 出 て い な い 。 そ の 理 由 の1っ に,関 連 す る 要
の 中 か ら真 に 臨 床 にお い てす ぐれ た併 用 療 法 を 探 して 行
因 が 多 岐 にわ た る こ とが あ げ られ る と思 うが,中
く立 場 を とつ て い る。
里先生
ご意 見 を。
大 璽 泰 亮
中 里 博 昭(愛 知 県 が ん セ ン タ ー)
こ の ス ラ イ ドは 厚 生 省1次 方 式(い わ ゆ る 間 歇 的 投 与
法)と2次
亜 型(肝 動 脈 内 に マ イ トマ イ シ ンC20mg
をoneshotで
3,4年
注 入)の 生 存 率 曲線 で あ る が,前 者 で は
の と ころ で 投 与 群 が す こ し よ い が,後 者 で は 逆
に投 与 群 が 悪 い 。 しか しす ぐに そ うい う結 論 を 出 して よ
Time
dependentなagentとconceateation
demtなagentが
depen-
あ る が,in vitroのscreeningの
場
合,画 一 的 な方 法 で 臨 床 効 果 との解 離 は み られ なか つ た
か,東 先 生 に うか が い た い 。
東
弘
Timedependentの
も ので も よ り直 接 的 な侵 襲 点 は 核
い の か 。 補 助 的 化 学 療 法 の効 果 は術 後 の 生 存 曲 線 で 判 定
酸 合 成 阻害 に あ る か ら,薬 剤 の作 用 をcell
numberの
す る 以 外 方 法 が な い が,こ
変 化 で み た場 合,そ れ がtimedependentで
あ つ た とし
Factorに
の場 合 生 存 曲 線 に 影 響 す る
っ い て 検 討 して み る と,前 者 で は 背 景 因 子 は
て も,直 接 的 な核 酸 合成 阻害 作 用 は,時 間 が 限 られ て い
投 与群 と対 照 群 の間 で 均 質 で あ る の で,差 は す くな くて
る が 私 ど もの 方 法 で把 握 し う るの で は な いか と考 え て い
も この 差 は 化 学 療 法 の効 果 と考 え られ るの に 対 し て,後
る。 核 酸 合 成 阻 害 で み た 結 果 が,timedependentの
者 で は 背 景 因 子 の分 布 が2群 間 で 全 く異 なつ て お り,す
剤 で あ るた め に,臨 床 の 成 績 と の間 に解 離 が 出 て くる と
な わ ち 手 術 の時 点 で投 与 群 の ほ うが 進 行 度 の高 い ほ うに
い う こ とは 今 まで の と ころ 認 め て い な い。
薬
か た よっ て い る。 それ で 当 然 投 与 群 の ほ うが 悪 い とい う
芝
結 果 が 出 た と考 え られ る。 した が つ て 背 景 因 子 の充 分 な
で は 最 後 に 白 羽 先 生 か ら一 言 。
解 析 が 必 要 で あ り,こ うい う分 析 法 の 導 入 も1つ の試 み
白 羽 弥 右 衛 門(大 阪 市 大 第2外 科)
で は な い か と思 う。
西 日本 支 部 会 員 の なか の 専 門 研 究 者 が つ ぎつ ぎ に現 在
酒 井 克 治
茂
に お け る制 が ん 化 学 療 法 の 問 題 点 を 原 点 に か えつ て指 摘
フ ロ アか らの質 問 を い た だ く。
さ れ,そ の 現 況 が よ く 示 さ れ た 。 個 人 的 な感 想 とし て
江 崎 柳 節(名
は,1)制
市 大 第1外 科)
薬 剤 の組 織 内濃 度 の 問 題 に つ い て 申上 げ た い。 感 受 性
が ん 剤 の感 受 性 検 査 に つ い て は,腫 蕩 細 胞 の
特 定 の 機 能 検 査 に よつ て 選 択 薬 剤 を決 定 す る こ とに は慎
薬 剤 が 決 定 し て も,そ の薬 剤 が 実 際 に 癌 組 織 に到 達 しな
重 で な け れ ば な らな い こ と,2)生
い こ とが あ る。 感 性 薬 剤 で も低 濃 度 が 到 達 す る と きは 逆
み て も,感 受 性 の多 様 な腫 瘍 細 胞 に 対 し てcytostatic
作 用(stimulating
effectを 期 待 す るに は,多 剤 作 用 の必 要 が あ るだ け で な
effect)を 発 揮 す る こ と も認 め ら れ
腫 瘍 細 胞 の機 作 別 に
VOL.
22
CHEMOTHERAPY
NO.3
279
く,免 疫 を ひ ろ く考慮 に 入 れ た 総 括 的 治 療 が 必 要 で あ る
3)
こと,3)今
臓 器集中性の重要性
日ま で の 有 効 制 が ん 剤 の 開 発 とそ の使 用 法
薬 剤側因子
研 究 の 成 果 は,将 来 の が ん 化 学療 法 の ゆ た か な展 望 を約
全 身 投 与 と局 所 投 与 の功 罪
束 して い る こ と,な どを強 く感 銘 させ られ た 。
適 正 投 与量
芝
茂(司 会 者,ま
とめ)
これ ら個 々の 問題 と と もに,感 染 症 の治 療 に 際 して,
以上,本
日は 悪 性 腫 瘍 の化 学 療 法 の 問 題 点 と して,適
応 制 癌 剤 の検 索 法,制 癌 剤 の投 与 法,再
補 助 的 化 学 療 法 の3点 を と りあ げ,シ
発防止のため の
ソポ ジ ウ ムを 行 な
つ た とこ ろ,演 者 各 位 の永 年 に渉 る ご研 究 の 成 果 を あ ま
す と ころ な くお 話 しい た だ き,活 澄 な討 論 が 行 な わ れ
化 学 療 法 と と もに 如何 な る処 置 が 必 要 と な る か,あ
も,感 染 臓 器 に よつ て,そ れ ぞ れ 別 個 に考 慮 を払 う必 要
が あ ろ う。
これ ら,病 原 体,宿
つ い ては,す
た。
そ の 結 果 は,こ の 会 に 出席 され た 皆 様 が,い
ま こ こ
で,お 聞 きい た だ い た とお りで あ る。
最 初 に も申 した よ うに,こ
の 出 る もの で は な い が,本
るい
は また,治 癒 判 定 あ るい は 化 学 療 法 中止 時 期 の 決定 な ど
主,薬 剤 に 関 した 個 々 の テ ー マ に
で に 多 くの 検 討 が な され て い る が,本 シ ソ
ポ ジ ウ ム を機 会 と して,各 演 者 に,そ れ ぞ れ 担 当臓 器 の
感 染 症 に つ い て,現 在 ま で の 知 見 を 整 理 して いた だ ぎ,
の よ うな問 題 は 簡 単 に 結 論
日は そ う と う掘 り下 げ た と こ
各 臓 器 別 の感 染 症 治療 の 正 しい 姿,今 後 なお 検 討 す べ き
諸 問題 を呈 示 して い た だ い た 。
ろ まで お 話 し合 い して い た だ け た も の と思 う。
a.
呼吸器感染症
皆 様 のお 蔭 を もつ て,司 会 を お お せ つ か つ た 私 ど も2
人,い
く らか 会 長 に 対 し顔 が たつ よ うな 気 が す る。
東
そ の上,白 羽 教 授 か ら,こ の シ ソポ ジ ウ ムに つ い て示
唆 に富 んだ ご感 想 を お話 しい た だ き,厚 くお 礼 申 し上 げ
る。
朋
嗣
大 阪 市 大 第1内
科
呼 吸 器 感 染 症 の 最 も重 要 な問 題 は起 炎 菌 決 定 に あ る と
考 え,喀 出 喀 疾 か らの起 炎 菌 決 定 を 喀疾 洗 源 法 に よ り検
皆 様 の今 後 の ご精 進 を お願 い して,お 礼 の 言 葉 に か え
たい。
討 した 。 扁 平 上 皮 細 胞 を 上 気 道 汚 染 の指 標 と して み た 洗
源 効 果 は,膿 性 疾(P),膿
粘 性 疾(PM),粘
で 著 明 で あ り,粘 液 漿 液 性疾(MS)は
シ ン ポ ジ ウ ム3
液 性 疾(M)
上気道分泌物だけ
の 可 能 性 も あ り,洗 瀞 効 果 も不 充 分 で あ る。 検 出 菌 種
臓 器 別 に み た 感 染 症 の 特 殊 性 と化 学 療
法 の 問 題 点
司
数,各 種 細 菌 検 出率,培 地 上 の 菌量 に 対 す る洗 源 効 果 を
検 討 した 結 果,瀕
会
塩 田 憲 三 ・三 木 文 雄
76%と
大 阪 市 立 大 学 第1内 科
條に よ りあ ま り減 少 しな い細 菌 を推 定
原 因 菌 と した 。 原 因菌 推 定 可 能 率 はP,PMで
高 い が,M,MSで
は85%,
は29.3%,8.3%と
低 い。
化 学 療 法 後 臨床 症 状 改 善 と と もに 消 失,剖 検 時 病 巣 内 に
司 会 の こ と ば
証 明,あ る い は症 状 の持 続 と と もに 常 に 検 出 した推 定 原
感 染 症 に 対 す る化 学 療 法 は 現 在 まで に大 き な進 歩 を 遂
げ た とは い え,今 な お 難 治 の感 染 症 も少 な くな い 。
宿 主 体 内 の各 臓 器 は,そ れ ぞ れ 形 態 的 あ る い は 機 能 的
に 特 殊 性 を もつ ので,そ
こに 発 生 す る 感染 症 の 病 態 は 当
然 それ ぞ れ 多少 とも特 異 性 を も ち,化
学療 法に際 して
因 菌 を真 の原 因 菌 と確 認 し た 。 確 認 率 はP:82.4%,
PM:87.7%,M:61.4%で
あ っ た 。 疾 患 別 原 因菌 確
認 率 は慢 性気 管 支炎87.2%,気
し,肺 炎,肺
管 支 拡 張 症91.9%に
化膿 症 は33.3%,37.5%と
PM洗
示 す こ とは 当然 で あ る。
る。 疾 患 別 で は 慢 性 気 管 支 炎,気
点 と して,次 の よ うな諸 因子 が 考 え られ る。
1)
病 原体 側 因子
低 率 で あ つ
た 。 確 認 原 因菌 は全 て 病 原 性 菌 で あ つ た 。 以 上 か らP,
も,効 果 あ るい は 副 作 用 の両 面 で,感 染 臓 器 に よ り差 を
各 臓 器 の感 染 症 の診 断 お よび 治療 に 際 して 問 題 とな る
対
PMが
源 後 に 検 出 され る病 原 性 菌 は原 因菌 で あ る とい え
管 支 拡 張 症 で はP,
多 く原 因 菌 決 定 は 比 較 的 容 易 で あ るが,肺 炎 ・肺
化 膿 症 で は 発 病 初 期 にお い て はM,MSだ
け溶 出す るこ
とが 多 く原 因 菌 決 定 は 困難 な こ とが 多 い 。 気 管 支 喘 息 の
起 炎菌 決 定 法 に か んす る 問題
PMに
起 炎菌 の種 類 とそ の 薬 剤 耐 性
は 喀疾 性 状 を 確 認 した 上 で,そ の 培 養 成 績 を 判 断 す べ き
2)
で あ る。
宿主 側 因子
各 臓 器 に お け る 感 染 症 発 症 誘 因 な ら び に 治 癒遷 延 因
子
は 感 染 の結 果 で な い 場 合 もあ る。 以 上 か ら臨 床 医
実 験 的 家 兎 肺 化 膿 症 でPCG吸
mcg/mlと
筋 注 時 の4∼6倍
入 時 の肺 内濃 度 は15.3
に達 す る が,膿 瘍 内へ の移
CHEMOTHERAPY
280
MAY
行 は ほ とん ど認 め られ な い 。
c.
1974
胆 道 感 染 症
化 学 療 法時 の 菌 交 代 現 象 を 喀 疾 洗 瀧 法 の成 績 か ら検討
し,呼 吸 器 感 染 症 の 菌 交 代 は まず 咽 頭 細 菌 叢 に起 こ り,
志
漸 次 深 部 気 道 に及 ぶ の で は な い か と推 測 した 。 また 適 切
福岡大学第1外 科
な時 期 に 化学 療 法 を 中 止 す る こ とに よ り,多 くの場 合 は
菌 交 代 症へ の発 展 を避 け られ る ので な い か と考 え る。
b.
尿
器 感
秀
彦
胆 道 感 染 で 問題 とな る の は,そ の解 剖 学 的,生 理学 的
関 係 か ら,腸 内細 菌 に よる上 行 感 染 で あ る。 す な わ ち,
染 症
胆 汁 欝 滞 や胆 道 内 圧 の 低 下 が起 こ る と胆 道 系 へ の 腸 内 細
菌 の侵 入 は 容 易 とな る。 胆 管炎 の 発 症 は 細 菌 ば か りで な
三 田 俊 彦 。片 岡 頚 雄
く,種 々の起 炎 因 子 の 関 与 が 不 可 欠 で あ る。 起 炎 因 子 と
神戸大学泌尿器科
して は結 石 に よ る機 械 的 刺 激
尿 路 感 染症 の 問題 点 と して(1)病原 体 側 因 子,(2)宿 主 側
因 子,(3)薬 剤 側 因子 に つ い て 検 討 した 。
1)
村
化 学 的 作 用,ア
胆 汁 酸,膵 酵 素 等 に よ る
レル ギ ー性 反 応 な どが あ る。
と くに 結 石 が 存 在 す る場 合 は 機 械 的 作 用 ば か り で な
病 原 体 側 因子
く,胆 汁 欝 滞 や胆 管 末 端 部 に お け る膵 管 との 共 通 管 形成
最 近 当教 室 で増 加 して い るSerratiaに
た 。 そ の臨 床 的 背 影 は1967年
つ い て検 討 し
か ら1972年 の6年 間 に本
に よ る膵 酵 素 の胆 道 内 逆 流 が 胆 管 炎 発 生 の 原 因 とな る。
胆 管 炎 が 起 こ る と炎 症 は 容 易 に肝 内 胆 管 系 に も及 び,胆
学 中 検 で 尿 中 か ら分離 した菌 の 変 遷 を 検 討 した 結 果,同
管 性 肝 炎 に 発 展 し,胆 汁 性 肝硬 変 や 肝 内 結 石 症 に まで 進
定 技 術 の 向上 もあ り,1970年
展 す る こ と も あ る。 胆 汁 内細 菌 は 胆 道 炎 患 者 の 全 例 に 検
頃 か らSerratiaに
路 感 染 症 の増 加 を 認 め た 。 またSerratiaに
よ る尿
よ る 尿路 感
染 症 に は上 部,下 部 尿 路 の差 を 認 め ず,GM,CL等
に
るが,有 石 例 で は70%以
次 に 本 菌 の病 原 性 に つ い て マ ウス を 用 い,イ 腹 腔 内 注
静脈 内 注 入,ハ 膀 胱 内注 入 に よ る上 行 性 感 染 の3
内結 石 例 で は100%の
有 菌 率 で あ る 。 胆 汁 内 細 菌 と して
は 大 腸 菌 と肺 炎 桿 菌 が圧 倒 的 に 多 く50%以
つ の基 礎 的 実 験 を行 な つ た 。 腹 腔 内注 入 に て,ム チ ンを
示 し,腸 球 菌,変 形 菌,緑 膿 菌,ウ
使 用 した 場 合 も,使 用 しな い 場 合 も 死 亡 率 はProteus
に 次 い で い る。
magmii
Kono,
Klebsieella pneumoniae
var.commumis等
下であ
上 の 有菌 率 を示 す 。 これ に 対
し胆 管 炎 で は か な り高 率 で あ り,と くに 遺 残 結 石 例 や 肝
感 受 性 を 認 め る程 度 で 多 剤 耐 性 で あ つ た 。
入,ロ
出 され るわ けで は な く,無 石 胆嚢 炎 で は50%以
No.13,
E. coli
と同程 度 な い しや や 強 く感 じ られ た 。
上 の頻 度 を
エ ル シ菌 な どが これ
細 菌 の種 類 も ビル リビ ン系 石 と コ レス テ リソ系 石 また
は 採 取 部 位,例
え ば胆 嚢 胆汁,胆
管 胆 汁 お よび 痩 孔 胆 汁
また 静脈 内 注入 で も同 じ結 果 を 得 た 。 上 行 性 感 染 で は 腎
で は著 しい 差 異 が あ り,と くに痩 孔 胆 汁 で は 混 合 感 染 が
孟 上 皮 細 胞 に大 量 の コロニ ーを 認 め,粘 膜 下 に細 胞 浸 潤
多 あ く,緑 膿 菌 や 変 形 菌 な どの 耐 性 菌 が 高 い の が 特 有 で
著 明 に て 腎孟 炎 の成 立 を 認 め 病 原 性 を 推 測 し得 た 。
る。 また 細 菌 は胆 汁 中 ば か りで な く,結 石 や 胆 道 壁 あ る
2)
宿主側 因子
最 近6年
い は肝 小 葉 内 に も高 率 に 検 出 され てお り,化 学 療 法 剤 の
間 の 本 学 泌 尿 器 科 入 院 患 者 に対 す る60才
上 の老 年 患 者 の 占 め る割 合 は30∼40%と
以
選 択 上 注 意 を要 す る 。 す な わ ち,胆 道 感 染 症 に 対 す る治
高 い。 そ の 大
療 は病 巣 お よび起 炎 菌 へ の 対 策 ば か りで な く,感 染 の原
部 分 にお い て尿 路 感 染 症 が 認 め られ た 。 原 因 は尿 流 の 停
因 を も考 慮 すべ き で あ り,場 合 に よつ ては 胆 道 減 圧 術 や
滞 を来 たす 前立 腺 肥 大 症,前 立 腺 癌
結 石 除 去 術 や 胆嚢 摘 出 術 な ど の外 科 的 処 置 が必 要 とな る
膀胱腫瘍等 の下部
尿 路 疾 患 で,そ れ らの 化 学 療 法 は ひ じ よ うに 困難 で,化
こ と もあ る 。
学 療 法 に よ り一 時 的 に 急 性 症 状 を 寛 解 し得 て も早 晩 残 存
胆 道 感 染 症 に 対 す る化 学 療 法 で 問 題 と な る のは 起 炎 菌
菌 に よる感 染 の 再 発 は 免 れ 得 な い よ うで あ る。 従 が つ て
に 対 す る感 受 性 の 他 に 肝 親 和 性 の 高 い も の を選 ぶ べ き で
強 力 な化 学 療 法 も必 要 で あ るが,基 礎 疾 患 の 原 因 除 去 が
あ る。 我 々は,こ の 両 者 の 関 連 か らセ フ ァ ロ ス ポ リソ系
先 決 と考 え る。
抗 生 剤,ア ミノベ ソ ジル ペ ニ シ リン,ク ロ ラ ム フ ェ ニコ
ー ル な どを 第1選 択 と して 使 用 して い るが ,高 熱 を伴 な
3)
薬剤側 因子
種 々薬 剤 投 与 の 結果,残
て 残 つ た56rra≠faお
存 菌 あ る い は菌 交 代 現 象 と し
よ びPseudommas検
薬 剤 を検 討 した 結 果,セ
出前の投与
フ ァ ロ ス ポ リ ン,ア ン ピ シ リン
等 の使 用 量 の 増 加 と これ ら弱 毒 菌 の増 加 との 間 に 関 連 が
あ る よ うに 思わ れ た 。
う もの や 肝 内 胆 管 炎 な どで は 血 中 に 遊 離 した 細 菌 や 細 菌
毒 素 を 速 や か に 消 退 させ る 目的 で,起 炎 菌 に 対 し高 い 感
受 性 を示 す,ア
ミノ配 糖 体(ゲ
ン タ ミシ ン,カ ネ ソ ドマ
イ シ ンな ど)を 併 用 し て有 効 な こ と を経 験 して い る。 ま
た緑 膿 菌 感 染 例 や エ ン ド トキ シ ン ・シ ョ ヅクを 起 こ した
例,肝
腎 症 を 伴 な うよ うな 重 症 例 には,カ ル ベ ニ シ リン
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
281
や ス ル ベ ニ シ リンな どの 大量 点滴 療 法 を 行 な つ て 著 効 を
染 で あ り,そ の 臨 床 症 状 は,赤 痢,ビ
ブ リオ性 腸 炎 に 比
得 て い る。
較 して激 症 例 が 多 く,粘 血 便 が70%に
認 め られ る。 ま
た 乳 幼 児 と青 年 層 に 発 生 ピ ー クを み る の も特 徴 的 で あ
d.
皮 膚
感 染
症
る。
腸 管 感 染 症 治療 上 の 問 題 点 は,細 菌 性 赤 痢 に お い て感
荒
田
次
性 菌 で あ りな が ら10%前
郎
後 に 無 効 例 が 存 在 し,サ ル モ
ネ ラ症 で は化 学 療 法 に よ り除 菌 効 果 を 期 待 で き な い こ
岡 山大 学 皮 膚 科
とが 大 き な 問題 点 で あ る。 腸 チ フ スで は 永 続 排 菌 者 が 問
(1) 皮 膚 感 染 症 の原 因菌 の 問題:Acneを
病 巣133か
ら好 気 培 養(ハ
除 く,感 染
ー トイ ン フ ユー ジ ョン)の 結
果 を見 る と,主 な も の は,Staph.aureus93,
epidermidis
24,GNB15で
た病 巣 は,多
Stapk.
あ つ た 。GNBの
く開 放 病 巣 で,か つ,轡,外
分 離 され
陰 部,膀,下
る と,瘤 お よび 類 症 で は66/67がStaph.aureus,Im-
か ら菌 の推 定 が容 易 で あ る。 感 染 粉 瘤21例
菌(-)3例(た
中,Staph.
13, Diphtheroids
で
類 似 して
るが,そ れ に もか か わ らず,抗 生 物 質 の単 独 外 用 の適 用
は 意 外 とせ まい こ とを,膿 痂 疹,緑 膿 菌 性 趾 間 感 染,火
傷 を 例 に あ げ て 述 べ た。
(3) Acneの
Pityrosporum
管
の周 辺 の炎 症
生 を ほ とん どみ な い こ と を 挙 げ て い
る。
す る 目的 で,家 兎 にKMとABPCを
そ れ ぞ れ筋 注 な ら
び に 経 口投 与 し,腸 壁 お よ び 糞便 内濃 度 を 測 定 し た 結
注 で は 血 中 高 濃 度 時 も腸 壁 お よび 糞便 内 濃 度
は きわ め て低 く,ABPC筋
注 で は血 中濃 度 の 上 昇 に 伴 な
い 腸 壁 内濃 度 は 高 値 を示 す が,上 行結 腸 と直 腸 内 の糞 便
内 濃 度 は 低 く,い つ ぼ う経 口投 与 で は,例 外 を 除 い て,
KM,ABPCと
も腸 壁 内濃 度 が き わ め て 低 い 成 績 を 得
た 。 以 上 いず れ の投 与 法 で も腸 壁 お よび 糞便 内濃 度 を共
最近 の 考 え 方 を 紹 介 し,同 時 に,Acne
期 に お け るSteroidの
効 果 お よび
folliculitisの 症 例 を 示 した 。
(4) 皮 膚 は 自然 の修 復 機 転 の盛 ん な組 織 で あ るか ら,
皮 膚 感 染症 にMIC以
リン パ腺 に お い て 菌 の定 着 が 認 め られ,菌
果,KM筋
生物 質 の 外 用 は,炎 症 皮 膚 で
は,浅 在 性 膿 皮 症 を 治療 す るに 充 分 な 深 さ,濃 度 に 達 す
conglobataの1時
サ ル モ ネ ラ 症 の 除 菌 不 能 の 原 因 と して,杉 山 氏 は サ ル の
経 口投 与 の優 劣 を 薬 剤 の 腸 管 壁 病 巣 へ の移 行 性 か ら推 定
間接 的 で は な い か と考 え られ た 。
(2) 局所 療 法 の 問題:抗
効 例 は 年 少 者 お よび 激症 例 で あ る こ とが 特 徴 的 で あ る。
腸 管 感 染 症 に対 す る化 学 療 法 に お い て,経 口 投 与 と非
4例,
だ し嫌 気 培 養 を 行 なわ ず),GNB3例
あ り,こ の 疾 患 に お け る菌 の 関 与 は,Acneに
お よび 大 量 療 法 で お お む ね 治 癒 す る。 赤 痢 の無
像 が 弱 く,IgM産
あ り,こ れ らで は,臨 床 像
aureus 0, Staph. epdermidis
Lyon法
実 験 で保 菌 状 態 に お い て も直 腸 と 回 腸 の 固 有 層,腸
腿,趾 間,腋 窩,膀 窩 な どの部 位 に あ つ た 。疾 患 別 に 見
petigo 7/7 Staph. aureusで
題 と な るが ほ とん ど胆 石 を 有 し て お り,胆 嚢 摘 出術,
上 の 濃 度 の抗 生 物 質 が な くて も,
に 高 め る こと は不 可 能 で あ り,こ れ が 細 菌 性 赤 痢 の無 効
例 あ る い は サ ル モ ネ ラ症 で の 除 菌 効 果 の悪 さ の原 因 と も
考 え られ,こ れ ら疾 患 の 化 学 療 法 に お い て は,経
口剤 と
と もに 腸 壁 粘 膜 内 抗 生 剤 濃 度 を 高 め るた め に筋 注 な どを
併 用 す る こ とを試 み る必 要 が あ る と考 え られ る。
低 濃 度 の抗 生 物 質 か 治癒 機 転 を 促 進 す る可 能 性 の あ る こ
とをMouse皮
下 に ブ ド ウ球 菌 接 種(106コ)後,CER
投 与(200mcg/mouse)を
以 内 にCERを
行 な つ て 検 討 し た 。24時
投与 した場 合 は,MIC25mcg/mlの
菌 接 種 に も若 干 の 効果 が 見 ら れ た(CERの
ピー クは3mcg/ml前
mouseのCERを
後)。48時
f.
眼
感
染
症
間
ブ
三
皮膚濃度 の
間 目か らだ と,2mg/
投 与 して も効果 が な か つ た 。
島
恵 一
郎
長崎大眼科
眼 科 領 域 に お い て,内 眼 部 化 膿 症 や 化 膿 性 角 膜 潰 瘍 の
治療 は い まだ に 難 治 の疾 患 で あ り,古 くか ら多 くの研 究
e.
消 化 器 感 染 症
が な され てい る が,そ の 大部 分 は 薬 剤 の 効 果,起 炎 菌 の
問 題 で あ り,宿 主 側 の検 討 は 比較 的 少 な い 。 そ こで,眼
赤
尾
満
球 組 織 の特 殊 性 を考 慮 した検 査 の あ り方,治 療 な どにつ
大 阪 市 立 桃 山 病 院 感 染 症 セ ン ター
腸 管 感 染 症 で は,急 性 下 痢 症 の約65%が
い て 検 討 し てみ た 。
起炎 菌不明
で あ り,こ れ らの起 炎 菌 決 定 が 今 後 の課 題 で あ る。 サ ル
モ ネ ラ症 では,現 在S.typhimuriumが
し,つ い で,S.infantis,
流 行 の主 流 を な
S. enteritidis, S. thompson感
1.
臨 床 例 の検 討
過 去5年
間 に 化膿 性 眼 内 炎 は18眼(0.1%)で
穿 孔 性 外 傷8眼,緑
原 因は
内 障 術 後 濾 過 搬 痕 か らの感 染2眼,
角 膜 潰 瘍 の感 染 に よ る もの8眼 で,角 膜 潰 瘍 例 の 多 くは
CHEMOTHEARPY
282
MAY
1974
も と も と角 膜 の 抵 抗 力 が 低 下 して い た と思 わ れ た 症 例 で
が,わ れ われ の 経 験 で は 多 種 の菌 が 出 て困 る とい うこ と
あ つ た。 検 出 菌 はPsmdomomas
は な く,1種
1, α-Streptococcus
2.
3,
1,B.subtilis
Proteus vulgaris
1で あ つ た 。
細菌検 出法の検討
また は せ い ぜ い2種 で あ る。 た だ そ れ が 起
炎 菌 か ど うか に つ い て は 問 題 が あ る。 教 室 の藤 本 が 胆 嚢
壁 組 織 と胆 嚢 内胆 汁 とか ら培 養 した 菌 を 比 較 した と ころ
角 膜 潰 瘍,結 膜 嚢 か らの細 菌 検 出に は綿 棒 に て 採 取
で は 一 致 す る こ とが 多 く,時 に は 不 一 致 が あ る。 こ の こ
し,採 取 量 が少 な い 時 は 血 液 加 ブ イ ョ ンに接 種 す る方 法
とか らわ れ わ れ は,十 二 指 腸 液 か ら証 明 され た 菌 を い ち
が よ い と思 わ れ た 。
お う起 炎 菌 とし て適 合 化 学療 法 を 行 な い,そ れ が 効 果 不
3.
実 験 的 角 膜 潰 瘍 に お い て,角 膜 擦 過 し菌 を接 種 し
た もの で は,菌 は2∼3日
で 陰 性 と な るが,10%trypsin
を 追 加 す る と,角 膜 は穿 孔 し,菌 は 永 く認 め られ た 。
4.
実 験 的 眼 内炎 に つ い て
a.
前 房 内 に 注 入 され た 黄 色 ブ菌 は24時
が,緑
膿 菌 は5日 間 認 め られ,硝 子 体 内 に も細 菌 を 認 め
今 まで 大 過 は な い よ うで あ る。
Primaryの
皮 膚 感 染 で は 問 題 は な い。 基 盤 に皮 膚 疾
患 が あ り,そ れ に 感 染 した 場 合,混 合 感 染が 多 く,個 々
の菌 の感 染 へ の 関 与 の 程 度 の判 定 は困 難 で あ り,ま た感
化 膿 性 炎 症 が 前 房 内に 限局 して い る時 は,微 量 の
細 菌 感 染 で あ れ ば,抗 生 物 質 は 有 効 で あ つ た が,多 量 の
場 合 は無 効 で あ つ た 。
c.
の で は ない か と考 え 直 す こ とに して い る が,こ の 方 針 で
荒 田 次 郎(岡 山 大 皮 膚 科)
間 で 消 した
られ る よ うに な つ た 。
b.
充 分 な と き に は あ る い は真 の起 炎菌 を捉 え て い な か つ た
染 性 粉 瘤 に 対 す る細 菌 の 病 原 性 に つ い て も今 後 の検 討 を
要 す る。
三 木 文 雄
化 膿 性 炎 症 が 硝 子 体 内 に あ る時 は 前 房 内 の細 菌 は
陰 性 で,微 量 の感 染 で は 抗 生 物 質 の結 膜 下 注 射 が 有 効 で
あ つ た が,多 量 の場 合 は 硝 子 体 内 注 射 が 有 効 で あ つ た 。
討
化 学 療 法 実 施 中 の菌 検 索 に 際 して の 治 療 中 断 の 必 要 性
は如何。
東
朋 嗣(大 阪 市 大 第1内 科)
症 状 が許 せ ば3日 間 治 療 を 中 断 す る。
論
三 木 文 雄(大 阪 市 大 第1内 科,司 会 者)
三 田 俊 彦
呼 吸 器,視 器 以 外 の領 域 で の 起 炎 菌 決 定 に か ん して の
症 状 が許 せ ば3∼7日
問 題点について。
赤 尾
とが 多 い 。
荒 田 次 郎
難 治 の場 合 は 投 与 抗 生 剤 に 耐 性 の 菌 を 目標 とし て検 討
す る。
三 木 文 雄
三 田 俊 彦(神 戸 大 泌 尿 器 科)
い ち お う尿 中 細 菌 数106/ml以
下 で も 自覚 症 状,尿
上 が 目安 とな る が,106
中 白血 球 か ら原 因 菌 とみ なす
必 要 の あ る こ と もあ る。
入 院 尿 路 感 染 で 高 度 耐 性 のSerratiaの
S6rratia検
術 前 十 二 指 腸 ゾ ンデ で 得 た 胆 汁 中細 菌 と術 中 直 接 採 取
PC系
出 直 前 の 化 療 は セ フ ァ ロス ポ リン系,AB-
が多い。
した 胆汁 培 養 成 績 とは必 らず し も一 致 し な い。 ま た混 合
那 須
感 染 も考 え られ る の でSpectrumの
長 崎 大 に お い て も1970年
広 い 薬 剤 を 第1選
択 に して 使 つ た ほ うが よい 。
厚(長 崎 大 第2内
科)
上 を 起 炎 菌 と し,E.coli,
aerogenesが
多 く,1種
か らSerratiaの
分 離が 急
染 が 示 唆 され る。 同 室 の 患 者 に 多 発 す る傾 向 は な いか 。
Klebsiella,Ent.
類 の菌 の 関与 が 多 い 。
志 村 秀 彦
定 量 培 養 の必 要 性 は 認 め るが,直 接 病 巣 穿 刺 に よ り得
三 田 俊 彦
主 治 医 別,部 長 別,時 期 別 に検 討 した が 同 室 とは 限 ら
ない。
金 尾 昌 明(京 府 大 産 婦 人 科)
尿 路 感 染 症 の起 炎 菌 は106/ml以
た 場 合 は問 題 は な い。 しか し痩 孔 胆 汁 の場 合 は 得 た細 菌
/ml以
は 必 らず し も起 炎 菌 とい え な い か も知 れ な い。
104/ml以
大久保
勝(長 崎 大 第2内 科)
増 した,尿,次 い で喀 疾 に 多 い 。 月 別 変 動 も あ り,院 内感
十 二 指 腸 液 を 尿 と同様 に定 量培 養 して は 如 何 。 私 達 は
105/ml以
分離例が多い
が,抗 生 剤 投 与 と関 係 が み られ るか 。
三 田 俊 彦
志 村 秀 彦(福 岡 大 第1外 科)
斉 藤
に よれ ば ス テ ロイ ド
で 誘 発 す る。
満(大 阪 市 立 桃 山 病 院 感 染 症 セ ン タ ー)
検 査 前 の 抗 生 剤 投 与 が 起 炎 菌 決 定 を 困 難 に し てい る こ
/ml以
間 中 止,時
滉(関 西 医 大 第1内 科)
胆 道 感 染 症 の場 合,十 二 指 腸 液 か ら菌 検 出 を 行 な う
上 とい わ れ た が,105
上 とす る のが 一 般 的 で は な い か。 文 献 に よつ て は
上 とす る もの もあ るが 。
三 木 文 雄
抗 生 物 質 の投 与 に 際 して,局 所 投 与 が 無 意 味 で あ り,
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
あ るい は 感 染 臓 器 の薬 剤 濃 度 の上 昇 が 無意 味 で あ る場 合
が あ るか 。
大久保
283
か を 話 し合 つ た 。
1)
菌 交 代 現 象,菌
交 代 症 の概 要 に つ い て
滉
胆 道 感 染 症 の場 合,場 合 に よつ て は,こ
し い炎 症 の とき に は,Aminoglucosideの
とに 急 性 の 激
螺
よ うな 胆 汁 内
徳 島 大 学 第3内
良
英
郎
科
排 泄 の悪 い抗 生 物 質 で も著 効 を奏 す る こ とが あ る。 これ
感 染 と発 症 と の間 に は厳 密 な一 線 を 画 しえ な い こ とが
は理 論 的 に も 当然 と考 え られ る。 す な わ ち,炎 症 は と う
多 い 。 と くに 生 体 の 皮膚 粘 膜 に は ご く一 部 の病 原 微 生 物
ぜ ん管 腔 内 で な く管 壁 組 織 内 に起 つ て い るか らで あ る。
を 含 め て 多 種 類 に及 ぶ 非 病 原性 の 微 生 物 が 正 常 時 に 共
生,拮 抗 しつ つ 微 生 物 叢 を形 成 して い る。 この よ うな微
三 木 文 雄
最 近 抗 生 物 質 の大 量 投 与 が 問 題 に な つ て い るが,血
中
生 物 叢 は,宿 主 条 件 と,微 生 物 叢 に 加 え ら れ る 薬 剤,
濃 度 の ピ ー クを ひ じ よ うに高 め る こ との 必 要 な疾 患 が あ
栄 養 等 の因 子 に よつ て変 動 を生'じて く る。 こ の よ う な
れ ば示 し て ほ し い。
normal floraの
東
朋 嗣
変 動 に い ち ば ん影 響 を 与 え る の が 抗 菌
剤 で あ ろ う。 抗 菌 剤 の使 用 に よつ て 感 受 性 を もつ 微 生 物
普 通 の慢 性 気 管 支 炎 で は む や み に 上 げ る必 要 は な い
が 抑 制 を うけ 一 部 の 微生 物 が 異常 に 増 殖 す るが,宿 主 へ
の侵 襲 を きた す ま で に い た らな い 状 況 を 菌 交 代 現 象 と よ
が,汎 細 気管 支 炎 で は 血 中 濃 度 を 高 め る必 要 が あ る。
んで い る。
三 田 俊 彦
尿 流 停 滞 が あれ ば,い
く らpeakを
上 げ て も再 感 染 す
る。 敗 血 症 や 逆 行 性 腎 孟 造 影 後 のbacterialshockな
ど
の 重 篤 例 で は 大 量 投 与 が 必 要 で あ る。
この よ うな菌 交代 現 象 を も と と し て,さ
せ る に い た る。 これ が 菌 交 代 症 で あ るが,菌 交 代 症 の進
志 村 秀 彦
展 に よつ て 肺 炎 や 菌(敗)血
敗 血 症 につ なが る よ うな急 性 炎 症 に は 必 要 で あ る。
で,菌 交 代 症 の臨 床 的 意 義 が 大 で あ る。
症 に 陥 り死 亡 に つ な が る点
こ の さ い抗 菌 剤 が直 接 関与 す る もの をKANTORら
荒 田 次 郎
広 範 囲 の火 傷 や 防 禦 機構 に 欠 陥 の あ る時 の潰 瘍 な どの
superinfection,抗
菌 の面 か ら,1次
満
うい う区 別 と と もに交 代
の感 染 菌 が 残 存 して新 らた な 感染 菌 に
腸 チ フ ス保 菌 者 で 胆 石 術 後 排 菌 継 続 の場 合 は 必要 。
よ る場 合 をsuprainfection,1次
三 島 恵 郎
て 新 らた な 感 染 菌 に よ る場 合 をsuperinfectionと
眼 内 抗 生 剤 濃 度 を 上 げ るた め に は局 所 投 与 の ほ うが よ
場 合 もあ ろ う。
い ず れ に し て も,こ
い。
シ ン ポ ジ ウ ム4(公
募)
は
菌 剤 の 関 係 の な い も の をsuprain-
fectionと 区 別 して い る が,そ
緑 膿 菌感 染 に は 必 要 。
赤 尾
らに宿 主 の条
件 や,微 生 物 側 の 因 子 が 加 わ れ ば,宿 主 に 反 応 を生 じさ
感 染 の原 因菌 が 消 失 し
いう
うい う現 象 に は,宿 主 な らび に 微
生 物 の多 数 の諸 因 子 が 関 与 して い て,そ の解 析 は 困 難 で
あ る。
抗 菌 剤 に よる菌 交 代症
2)
司
会
螺
良
英
神
徳 島 大 第3内 科
青
河
寛
細 菌 検 査 か らみ た 菌 交 代 現 象
郎
次
社保神戸中央病院産婦人科
司 会 者 の こ とば
抗 菌 剤 使 用 に 伴 な う菌 交 代 症 例 は 化 学 療 法 の 発 達 普 及
の副 現 象 と し て化 学 療 法 の初 期 か ら注 目さ れ て い た が,
木
照
雄
国立大阪病院研究検査部
化 学 療 法 の広 義 の 副 現 象 の1つ
代 現 象 は,決
と考 え られ て い る菌 交
して 単 な る正 常 細 菌 叢 の変 動 だ け に 由来 す
る もの で は な く,宿 主,微 生 物,使 用 薬 剤 な どの複 雑 な
要 因 が そ こに 働 い て い る も の と思 わ れ る。 しか しす で に
そ の原 因 の究 明,実 際 的 な対 策 に つ い て は 未 だ 具 体 的 な
多 くの 報 告 に み られ る よ うに最 も大 き な要 因 の1つ に 抗
進 歩 が み られ てい ない 。 今 回公 募 シ ソポ ジ ウ ムの 形 で こ
生 物 質 の 投 与 が あ げ られ て よ い。 これ らの 実 例 は,わ れ
の 問 題 を取 り挙 げ,菌 交 代 現 象 か ら菌 交 代 症 へ の 細 菌 検
わ れ の 検 査 室 に お け る材 料 別 細 菌 検 出順 位 とそ の 薬 剤 感
査 の面 か ら,ま た 臨 床 各科 で の症 例 を 中 心 に 報 告 して い
受 性 パ タ ー ンに も明 らか で あ る。
た だ き,菌 交 代 症 の現 状 に つ い て討 議 す る と共 に,今 後
この よ うな副 現 象 を治 療,防
止す る に は ど うす れ ば よい
例 え ば 膿 か らの菌 検 出順 位 は外 来 患 者 の 場 合,第1位
がStaph.aureus,第2位
以 下Proteus,Pseudomonas,
CHEMOTHERAPY
284
StaPh. epidermidis,
い る が,こ
β-Strept, E.coli… … の 順 と なつ て
れ に 反 し 入 院 患 者 の 場 合 は 第1位 にKleb-
siella, 2位 以 下E.coli,
Staph.aureus,
Pseudomonas,
StTept. faecalis,
し,入 院 患 者 の場 合 はStaph.
のStaph.
aureusは
aureusに
濃 度40∼50mcg/ml),一
しか し使 用5日
Proteus… … とな つ て,こ の両 者 を比 較
す れ ば,外 来 患 者 の 場 合 の第1位
MAY
対
実 に 第5位 に 下
時 喀 疾 中緑 膿菌 は 消失 した。
目か ら喀 疾 中 にKlebsiellaを
よ うに な り,8日
目高 熱,呼 吸 困雜,右
CET
検 出す る
上肺 野 に 新 た な
浸 潤 影 出 現 し,膿 性 疾 増 加(Klebsiella純
にshock状
1974
培 養),さ
ら
態 とな る。 気 管 切 開 と と も にCP2.09/T,
3.09/Tに
変 更 し救 命 し得 た 。 経 過 と とも にKleb-
isellaは 消失 した が 再 び 緑 膿 菌 を 検 出 す る よ うに なつ た
が っ て い る。
また 入 院 患 者 でKlebsiellaが
検 出順 位 で 第1位
を 占
(緑 膿 菌OEP抗
め て い る こ とは,喀 疾 や そ の 他 の 材 料 か らの入 院 患 者 の
2)
場 合 とほ ぼ 同 様 の結 果 を示 して い る こ と とあ わ せ て注 目
状況
体40∼160倍)。
ABPCま
た はCBPC使
用 に よ るKlebsiella出
イ)入 院 患 者;1日1,500mg,7日
に 価 い す る。
現
以 上 使 用 した 群
で は 喀 疾 中Klebsiella出
現 率 は30例
患 者 の それ とで は 明 らか に 薬 剤 耐 性 に 差 が あ り,後 者 に
で あ り,非 使 用 群27例
中7例(26%)に
多 い もの で は3∼5倍
高 頻 度 で あつ た 。 な お,院 内健 康 成 人 の 本'菌喀疾 内保 有
さ て 同種 の検 出菌 の 間 で も外 来 患 者 由来 の も の と入 院
の 耐 性 菌 出 現 率 が 認 め られ る。 い
つ ぼ う,抗 生 物 質 長 期 間 投 与 例 で は,腸
内 細菌 叢 に か な
りの 変 動 が み られ,白 血 病 の例 や 終 末 感 染 の例 で は糞 便
中 のCandida属
?seudomonas
検 出 率 は 高 くな る場 合 が あ り,さ
aeruginosaやProteus,
らに
の
中1入
そ の対 象 と して 実 施 され て き
比 し明 らか に
で あつ た 。
剖 検 肺 か らの検 索:重 症 疾 患 に 続 発 した 末 期 肺 感
染 症 が 疑 わ れ た症 例 か らの 菌検 索 で は 死 亡 前 ペ ニ シ リ
ソ系 抗 生 剤 使 用 群15例
Klebsiellaな
どの 検 出率 も高 くな つ て い る。 従 来 の 検 便 が 主 と し て
ShigellaやSalmonegllaを
は87人
中21例(68%)
中7例(47%)に
Klebsiellaを 検 出 し,非 使 用 群13例
剖検 肺 か ら
か らは2例(15%)
に 本菌 を検 出 した。 これ らの 死 亡1週 間 以 内 の 喀 疾 か ら
允 のに 対 し,菌 交 代 現 象 が交 代菌 症 を 発 症 させ る危 険 性
は 前者15例
を あ らか じめ 予 知 す る た め に は,と
で あ り,こ れ は イ)の 成 績 を そ の頻 度 と と もに支 持 す る
やCanaidaの
くにPseudomonas
定量 的 培 養 を 目的 と し た 検 査 法 を 日常 業
務 化 す る こ とを 考 慮 せ ね ば な らぬ よ うに なつ た 。 癌 に前
中11例(73%),後
者13例
中4例(31%)
結果であつた。
4)
小 児 科 領 域 で の菌 交 代症 例
癌 状 態 が あ る よ うに 菌 交 代 症 と して の真 菌 症 に も前 真 菌
小 谷
症 状 態 が あ るの で は な い か と考 え られ る。
3)
菌 交 代 症,と
く にKlebsiellaと
泰 ・西 村 忠 史
大 阪 医大 小 児 科
ペ ニ シ
化 学 療 法 の 普及 に よつ て 生 じた菌 交 代 とい う現 象 は,
リン系 抗 生 物 質
病 理 学 的,医 原 的 な 生 体 の 条 件 を 背 景 と し て交 代 症 に 発
原
耕 平 ・斉 藤
厚 ・那 須
勝
症 しや す い こ とは 否 定 で きな い 。
長 崎 大 学 第2内 科
と くに 小 児 は 感 染 防 御 能 を含 め生 理 的 機 能 な らび に諸
続 発 性 肺 化 膿 症 の 治 療 中St.aureusか
へ,慢
らBacteroides
性 気 道 感 染 症 に お い て緑 膿 菌 か ら変 形 菌 へ,ま
緑 膿 菌 か らKlebsillaへ
た
の 菌 交 代 症 例 に つ い て 述 べ,
器 官 の 解 剖 学 的 発 達 段 階 に あ るだ け に,こ れ らの生 理 的
条 件 も本 症 を 考 え る場 合 に重 要 とな る。
演 者 は菌 交 代 の 現 状 把 握 の た め に,入 院 時,な
と く に そ の な か で 緑 膿 菌 気 道 感 染 症 にCarbenicillin
抗 生 物 質 療 法 開 始 後3日
(CBPC)大
お よび糞 便 の細 菌 検 査 を試 み,抗
量 を使 用 してKlebsiella肺
tlc症例 と これ に 関 連 した2,3の
炎 を引ぎ お こ し
事項 につい て 報 告 し
た。
1)
ま で と14日
らび に
な い し7日 間 隔 で,咽 頭 ・喀疾
生 物質 使 用 期 間14日
以上 にわ た る2群 に 分 け て,菌 交 代 現 象 を
検 討 した 。
症例
,57才,♀,気
才 頃 か ら咳,疾
を訴 え て い た が 昭 和44年
緑 膿 菌 感 染が 持 続 して い る(昭 和44年
管 支 拡 張 症 。50
咽 頭 ・喀疾 で は,抗 生 物 質療 法 が 長 期 に な るに した が
以 来5力 年 間
つ て 菌 交 代 率 は 上 昇 し,グ ラ ム陽 性 菌 で は ブ菌 が,陰 性
当 時 は 非 ム コイ
菌 で は 緑 膿 菌 が 検 出 され た 。 そ して こ の傾 向は い ず れ も
ド型 緑 膿菌,CBPCのMIC1.56mcg/ml,昭
和47年
頃
か らム コイ ド型 緑 膿 菌,CBPCのMIC50mcg/ml)。
昭 和47年
当 初 か らCBPC1日59,109点
く喀 疾 内濃 度1.8∼2.0mcg/ml),GMの
併 用 して も除 菌 さ れ ず,CBPC309/Tに
新 生 児,乳 児 らの年 少 児 例 で 多 い 。
糞 便 に つ い て も,咽 頭 ・喀 疾 に お け る と同様 治 療 期 間
滴 静注
吸入 や 筋 注 を
増 量(喀
疾中
の 長 い ほ ど,ま た 年 少 児 ほ ど菌 交 代 が 多 くみ られ た 。 次
に 我 々が 経 驗 した 菌 交 代 症 例 につ い て報 告 した 。
症 例1 4才11ヵ
月,男 児 。細菌 性 赤 痢 で 入 院。Senne
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
菌 を 検 出 した が,第6病
日か ら発 熱(40℃)と
黒緑色 の
粘 液 泥 状 便 とな り,糞 便 培 養 に てStaPh.aureUSを
検出
し,ブ 菌性 腸 炎 と診断 した。
症 例23ヵ
漱,喘
症 例34ヵ
床 経 過 か ら菌 交 代 症 と 判 断 した が,
こ と に 嫌 気 性 菌 に よ る 菌 交 代 症 発 症 の 誘 因 と し て は,こ
や,宿
鳴 著 明 と な り,咽 頭
喀 疾 か ら緑 膿菌 を検 出 し,ラ 音 聴 取,胸 部 レ線 像 で斑 状
陰 影 が み られ,緑
た 共 通 点 を も ち,臨
の よ う な 薬 剤 の 投 与 の ほ か,病
月,男 児。 ブ菌 性 膿 胸 で 入 院 加 療 中,44
病 日か ら再 び 高 熱(40℃),咳
285
主 の 生 理 的(幼
巣局所の解剖学的要 因
若 あ る い は 老 齢),抗
外 の 医 原 的 要 因(ス
菌剤投与以
テ 戸 イ ド剤 の 併 用 な ど)も
重視せね
ぽ な らな い こ とを 強 調 し た。
膿菌 肺 炎 と診 断 した 。
5)
月,男 児 。 ブ菌 肺 炎 で 約1ヵ 月 間 入 院 加
療 を 行 な つ た が,37病
日か ら高 熱(40℃),腹
追
加
発
言
慢 性 中耳 炎 に お け る抗菌 剤 に よ る菌 交 代 症 例
部 膨 満,
ラ音 を聴 取 し,喀 疾培 養 で 緑 膿 菌 を 検 出 し,緑 膿 菌 肺 炎
に つ い て
と診 断 した。
症 例410ヵ
吉
月 男 児 。 ブ 菌 に よる 眼 部 蜂 窩 織 炎,敗
沢
一
太
関 東 中央 病 院 臨 床 検 査 科
血 症 を 治療 中 に,各 部位 か ら緑 膿 菌 を 検 出 し,緑 膿 菌 に
斉
よる 上顎 洞 炎 を お こ した症 例 で あ る。
藤
重
二
斉藤耳鼻咽喉科医院
5)
耳 鼻 咽 喉 科 領 域 に お け る 菌 交 代 症 と して
わ れ わ れ は,慢
の嫌気性菌感染症
性 中 耳 炎 患 者 の化 学 療 法 中に 菌 交 代 現
象 の み ら れ た7例
馬
場
駿
吉
症 例1 名市大耳鼻咽喉科
に つ い て 報 告 した 。
42才,♀,
初 診46.10,15
嫌 気 性 菌 は 一 般 に ア ミ ノ配 糖 体 系 抗 生 物 質 あ るい は ポ
リペ プ チ ッ ド系 抗 生 物 質 に 耐 性 を示 す もの が 多 い こ とは
シ ン)20万
CL+NM(コ
が,47.1.7菌
検 査 の 結 果Staphylococcusを
周 知 の とお りで あ り,こ の 点化 学 療 法 上,一 考 を 要 す る
使 用 薬 剤 をCP(ク
わ け で あ る 。従 が つ て,一 般 の 感 染症 の 治 療 に この よ う
療 に 切 り か え た と こ ろ,1.18再
な 薬 剤 が用 い られ る 場 合,菌 交 代 症 と して 嫌 気 性 菌 感 染
症 が 成 立 す る 可 能性 の あ る こ と も念 頭 に お か ね ば な らな
い で あ ろ う。 この よ うな 観 点 か ら当 教 室 に お け る嫌 気 性
菌 感 染 症 症 例 を 検 討 した と こ ろ,菌 交 代 症 と考 え て よい
4症 例 を 見 出 した ので 報 告 し,そ の 誘 因 と治 療 対 策 に つ
き考 察 を 加 え た 。 す な わ ち,症 例1は10カ
月女 児 で,
xellaを
例 と 同 様 な 症 例 が 他 に2例
症 例2 23才,6,
初 診47.8.15CL+NM20万
す よ うに な つ て来 院 した 咽 後 膿 瘍 症 例 で あ り,貯 溜 膿 汁
か らPeptostreptococcusだ
を 分 離 した 。
症 例4 併 した.E.coliに
初 診41.8.24プ
Zococcusaureusに
注 入治 療 中,Peptococcusに
moniaeに
よびKlebsiellaPneu-
よ る慢 性 化膿 性 中耳 炎 急 性 増 悪 症 でNeo-
mycin+Prednisoloneの
まず.Pseudomonas
耳 治 療 法 を行 な つ た と こ ろ,
aeruginosaに
26才,♀,
レ ド ニ ソ 十NM(プ
mg)に
菌 交 代 が 生 じ,GMに
よる耳 浴 を行 なつ た と こ ろ,今 度 は さ らにBacteroideS
に変 つ た症 例 で あ る 。 これ ら4症 例 は,い ず れ も ア ミ ノ
配 糖体 系 抗 生物 質 を全 身 的 あ るい は 局 所 的 に 使 用 し て い
に 切 り か え12.9菌
レ ドニ ソ ロ ン
よ り局 所 治 療 中12.2菌
結 果Corynebacteriumを
内
菌 交82症 を 生 じた も の。 症
例4はStaPhylococcusaureusお
検 査 の 結 果Staphylococcusを
1mg+NM3.5
よ る急 性 上 顎 洞 炎 に 対 し,KM洞
分 離 した 。
よ り 局 所 治 療 中10.27A.anitratus
才 女 子 で,左 先 天 性軽 度 小耳 症 お よび 外 耳 道 狭 窄 症 に 合
女 子,StaPhy-
剤 をCP25mg
43才,♀,
分 離,CP25mgに
与 中,BacteroideS
分 離,薬
に 切 りか え た と こ ろ,3.12NieSSeriaを
初 診47.10.20菌
へ と菌 交 代 が 生 じた もの 。 症 例3は65才
あつ た 。
単 位 使 用 中,11.21
菌 検 査 の 結 果StaPhylococcusを
症 例3 膿 瘍 へ と発 展 した もの で,BB-K8投
所治
度 菌 検 査 の 結 果Mora-
分 離 した 。
の 投 与 を受 け,い つ た ん軽 快 した が,そ の 後喘 鳴 を 来 た
よ る急 性 外 耳 道 炎 か ら さ らに 耳 介 周 囲
分 離,
ロ ラ ム フ ェ ニ コ ー ル)25mg局
な お,本
当 科受 診 前 急 性 咽 頭 炎 の診 断 の下 に 某 医 に て5日 間KM
け を検 出 し た 。症 例2は13
リス チ ン 十 ネ オ マ イ
単 位 の 鼓 室 注 入 に よ る治 療 を行 な つ て 来 た
分 離,使
検査 の
用 薬 剤 をCP25mg
検 査 を 行 な つ た と こ ろMoraxella
を 分 離 した 。
症 例5 35才,6,
初 診43.9.11菌
分 離,TC(テ
タ チ ン)100万
Moraxellaを
以 上,わ
検 査 の 結 果,StaPhylococcusを
トラ サ イ ク リ ソ)1,000mg+NYS(ナ
単 位 内 服,CP
25mg局
イ ス
所 治 療 中10.15
分 離 し た。
れ わ れ はStaphylococcus分
い て,Moraxellaに3,Neisseriaに1,A.anitratus
離 例 にCPを
用
CHEMOTHERAPY
286
に1,CP,TCを
MAY
用 い てM∂raxellaに1例,Coryne-
baoterium分
離 例 にCPを
用 い てMbraxellaに1例
菌 交 代 を 認 め た 。 な お,MbraxellaはCPを
7)
の
6)
青
河
寛
次
社 保 神 戸 中央 病 院 産婦 人 科
子 宮 癌 根 治手 術 後 の 感 染 症 に お け る菌 交 代
菌 交 代 症 の治 療 と予 防,な
らび に 本症 を め ぐる 今後 の
問 題 点 に つ き,若 干 の私 見 を述 べ る。
症例
a)
金
尾
昌
明
治
療
重 篤 症 状 を伴 な うさ い,菌 交 代症 の 治療 と して は,と
京 都府医大産婦人科
うぜ,ん1)使
子 宮 癌 根 治 手 術 後 の感 染症 の う ち,尿
路,と
菌 交 代症 の対 策 と今 後 の 問 題点
は じめ 多 く
の 薬 剤 に 耐 性 で あつ た 。
1974
路感染症 は尿
くに 膀 胱 に対 す る 高 度 の 侵 襲 が 避 け 難 い この手 術
の 性 質 上,依 然 と して重 要 な 問 題 で あ る。 術 後 尿 閉 が 必
ず 起 こ り,自 尿 開始 ま で の 留置 カ テ ーテ ル 挿 入 中や 残 尿
用 抗 菌 物 質 の 中 止 また は 変 更,2)生
体防
御 能 の減 弱 を来 たす 副 腎 ス テ ロイ ド ・免 疫抑 制 剤 ・抗 癌
物 質 ・放 射 線 療 法 な どの 中 止 な い し最 小 限維 持,3)交
代 菌 に 有 効 な抗 菌 物 質 の選 択,が 必 要 で あ る。
b)
予
防
が 減 少 す る ま で の時 間 導 尿 を 行 な う間 に 細 菌 の混 入 に よ
化 学 療 法 の実 施 に よ り生 体 へ の 副 現 象 と して の菌 交 代
り尿 路 感 染 症 が発 生 す る 症 例 が 少 な くな い。 わ れわ れ の
現 象 の発 生 は 不 可 避 で あ り,我 々 は い たず らに菌 交 代現
教 室 の昭 和36年
象 を 怖 れ る こ と な く適 切 な 化学 療 法 を 勇 敢 に行 な うべ ぎ
以 来 の症 例 を 振 り返 つ てみ て も,年 度
に よ り多 少 の相 異 は あ る が70%以
上の症例に退院 まで
の 約3カ 月 間 に 尿 路 感 染 症 の 発 生 を み て い る。 こ の よ う
な 尿 路 機 能 の障 害 を伴 な う複雑 尿 路 感 染 症 の 予 防 お よ び
治 療 のた め に,化 学 療 法 は 長 期 大 量 投 与 に 陥 り易 く,菌
交 代 症 を み る症 例 も少 な くな い 。 昭 和41年
以 来 の症 例
に お い て真 菌 に よ る もの は1例 だ け で,他
てGNBに
E.coliで
よ る もの で あ る 。起 炎 菌 と して最 も多 い の は
全 体 の 半 分 以 上 を 占 め て い るが,昭
年 頃 の 症 例 で はCMやTCの
Pseudomonasへ
monasへ
はほ とん ど全
和41∼43
使 用 に よ りProteusや
の 交 代 例 が 多 い 。E.coliか
らPseudo-
交 代 した1例 は,術 後 糖 尿 病 が 発 病 し た こ と
で あ る。
しか し,そ の半 面,菌 交 代 症 へ の進 展 を阻 止 す る こと
も重 要 で あ り,本 症 予 防 に は,
1)
抗 菌 物 質 の長 期 連 用 を避 け る 。連 用 の必 要 な さ い
に は,目 的 菌 に 対 す る感 性 剤 選 択 へ の 意識
2)
抗 菌 物 質 使 用 中は,非 感 性 菌 種 の増 殖 を速 や か に
知 る こ と一
3)
微 生 物 学 的 検 索 を一 定 期 間 毎 に行 な う。
老 幼 者 ・手 術 ・分 娩 ・重 症 患 者 で は,副 腎 ス テ ロ
イ ド ・抗腫 瘍 物 質 ・放 射 線 治 療 時 な どに,と
4)
強 を 考 慮 して お く。
幸 な 転 帰 を とつ て い る。 昭 和44年
こ と も重 要 で あ る。
代 例 が 目立 つ が,こ の 頃 か ら合 成PCや
sporinCの
の交
合 成Cephalo-
使 用 が 一 般 化 し,ほ と ん ど全 例 に 使 用 さ れ
る よ うに な つた 。 こ の た め か,昭 和46年
以 降Kleb-
siellaへ の交 代 例 が 目立 つ て 増 加 し,現 在 に 至 つ て い
る。 もち ろ ん,こ れ らの 薬 剤 は 選 択 毒 性 の面 か らす ぐれ
た 薬 剤 で は あ る が,最 近 乱 用 気 味 で あ る点 も否 定 で き な
c)
くに注 意 。
免 疫 学 的 措 置 の可 能 な さい に は,生 体 の 防 衛 力増
もあ つ て腎 孟 腎 炎 に移 行 し,そ の 間 水 腎 症 も進 行 し,不
に は.Proteusへ
な い し,狭
域 抗 生 物 質,抗 真 菌 物 質 併 用 な どに留 意 す る。
今 後 の問 題 点
菌 交 代 症 を め ぐる今 後 の 問題 点 と して は,
1)
確 実 な 症 例 の蒐 集 とそ の解 析 に よ り,発 症 の〓 溝
の 現 実 を 明 らか に す るた め の努 力 が先 ず 要 請 され る。
2)
本 症 発 生 に は,感 染 防 御 能 の減 弱 が条 件 で
が,逆 に そ れ を 増 強 させ る には ど うす れ ば よい か。
い 。 子 宮 癌 根 治 手 術 後 の尿 路 感 染 症 の 予 防 は,子 宮 癌 の
とい つ た テ ー マが あ る。 これ らを 明 らか にす るに は,感
予 後 を 左 右 す るほ ど重 要 で,尿 路 機 能 の 温 存 また は そ の
染 症 とそ の 化 学 療 法 を め ぐ る 日常 臨 床 の過 程 を 通 じて今
早 期 回復 が何 よ り も大 切 で あ る。 い つ ぼ う化 学 療 法 の立
後 解 決 せ ね ば な らぬ 問題 で あ る。
場 か らはGNBを
目標 に した 対 策 が立 て られ な け れ ば な
菌 交 代 症 は,見 方 を 変 え れ ば 院 内 感 染 の問 題 と して 受
らな い 。 感 受 性 薬 剤 を 選 択 す る とい う点 か らは 毒 性 を 考
け とる こ とが で き,そ の た め に は,主 要 菌 の 耐 性 分 布 情
慮 しな が ら,適 宜 ア ミノ配 糖 体 抗 生 物 質 等,他 の 薬 剤 も
報 を 常 に 把 握 し,必 要 な ら ばAntibiotic
使 用 さ れ ね ば な らな い と思 わ れ る。
施 す る の もそ の対 策 の1つ
討
controlを 実
と思 わ れ る。
論
青 河 寛 次(社 保 神 戸 中央 病 院 産 婦 人科)曲
臨 床 検 査 室 とBedsideの
連 絡 を緊 密 にす る 〓が,菌
交 代 症 の 診 断 に 必 要 と思 わ れ るが,こ
の点,神 木 先 生 の
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
御 意 見 を うかが い た い。
287
る も ので あ る。 感 染 防 禦 能 に1大 欠 陥 を もつ 免 疫 不 全 症
神 木 照 雄(国 立 大 阪 病 院 研 究 検 査 部)
で は,容 易 な予 防 的 化 学 療 法 は もち ろん,感 染 症 発症 時
同感 で あ る。 菌 検 出 の場 合,抗
生剤が材料中に入つて
に お け る化 学 療 法 に お い て も,き め 細 か い 観 察 が 必 要
い る のが もつ ともつ らい。 耐 性 菌 だ つ た らそ れ で も 出 る
で,菌 交 代 症 にみ られ る菌 種 を 考 え て も,そ の発 症 を先
とい う考 え もあ るが,そ
ず 防 止 す る努 力 が 優 先 で あ ろ う。
うで は な い。 した が つ て 菌 交 代
症 の場 合 も症 状 が 許 せ ば,あ
る程 度 抗 生 剤 を 打 切 つ て 材
青 河 寛 次
料 を採 取 し てほ し い。 ま た症 状 と材 料 採 取 時 期 を に らみ
最 後 に 河 盛 先 生 に御 発 言 を頂 き た い 。
合 わ せ る必 要 が あ る。 例 え ば,血 液 培 養 で,1日
河 盛 勇 造(国 立 泉 北 病 院)
の うち
に時 間 を ず らせ て3回 培 養 し て検 出 で きた 場 合 も あ つ
た 。 検 査 室 と臨 床 家 と のCommunicationが
大 切 だ と思
う。
化 学療 法 実 施 後 の検 出菌 の意 義 判断 が た い へ ん 困 難iで
あ る こ と,交 代 菌 が 内因 性 か外 因性 か の 判 断,こ
の両 者
は,こ の 問 題 に つ い て常 に考 え る 必 要 が あ る と思 う。
原
耕 平(長 崎 大 第2内 科)
司会者の まとめ
検 査 室 で 重 要 な菌 が 出 て い て も,臨 床 家 の 方 は 気 が つ
菌 交 代 症 に つ い て演 者 らの 間 で ア ン ケー トに よつ て 全
か ない 時 が あ る。 そ うい う時 は 検 査 室 の方 か ら出 か け て
般 的 な 意 見 を 聴 取 した 。 必 ず し も一 定 の 傾 向 に は な い
行 つ て,患 者 か ら適 当 な検 体 を とる とい う こ とで な い と
が,お お よそ の 結 論 は 以 下 の とお りで あ る。
困 る こ とが あ る と感 じて い る。 臨 床 家 の方 が 気 が つ か な
1.
い こ と もあ るの で,検 査 室 の方 か らど ん どん指 摘 して 頂
抗菌 剤 の 使 用 な い し時 に は 生 体 条 件 に よつ て,感 染症
菌 交 代症 の 定 義 に つ い て:
の経 過 中 に,新
きた い 。
螺 良 英 郎(徳 島 大 第3内 科)
菌 交 代 症 の 感 染 菌 と してSerratia,Klebsiellaが
これ
らた な 起 炎 菌 に よ る感 染 が生 じた 場 合 。
2.
菌 交 代 症 を お こす 原 因 と な る:
a.
抗 生 剤 の 種 類:限 定 され た もの で な くあ らゆ る抗
か らの 問 題 と思 うの で,ど の よ うな 由来 か,何 故 これ が
生 物 質 が 原 因 とな り うるが,と
残 るの か,意 見 は な い か 。
ムの 抗 生 剤 の 長 期 使 用 が 原 因 とな り易 い 傾 向 に あ ろ
原
耕 平
この2∼3年
くに広 域 ス ペ ク トラ
う。
私 の と ころ で はKlebsiellaの
に して い る 。PC系
同定 を厳 密
b.
宿 主 側 の 条 件 と して:(1)生 理 的 条 件:年 令,(2)医
を 使 つ た た め ふ え た とい うの は 確 実
原 性(免 疫 抑 制 剤,抗 生 剤 等),(3)疾 患 に も とつ く要
だ が,そ の 他 に 今 まで 同 定 不 能 の グ ラ ム陰 性 桿 菌 とされ
因,(4)病 巣 の 残 存,(5)要 す る に宿 主 の 感 染 に 対 す る
て い た もの がKlebsiellaと
同 定 され る こ とに よ つ て 少
防 衛 力 の 低 下,が 問 題 と な る。
しふ え た とい う面 もあ る と思 う。 そ の点,神 木 先 生 に,
3.
ス ライ ドに 出 され た2年 前 と今 度 の症 例 で,検 査 法 が違
細菌:GNB,ブ
て い る とい う こ とは な い か うか が い た い 。
菌 交 代 症 で 原 因 と な る微 生 物 は:
菌,嫌 気 性 菌
真 菌:Cmdida,Aspergillus
ウ イ ル ス:CMV
木 照 雄
〓ebsiellaは腸 内 細 菌 でGenusま
で の 同定 は そ う む
す か し くな い か ら,そ こ まで で は あ ま り関 係 は な い と思
う.し か し,こ うい う菌 に 対 す る関 心 が ひ じ よ うに 高 ま
原 虫:Pneumocystis carinii
4.
菌 交 代 症 と し て の症 状 の特 異 的 な もの は:特 異 的
な もの は な い 。 原 疾 患 お よび 新 らた な感 染 症 に も と づ
ぎた た め に,一 般 に 菌 培 養 は 目的 に よつ て検 査 材 料
く。
も培 地 も変 つ て く るか ら,そ の 点 で 検 出率 が よ くな つ た
5.
菌 交 代症 発症 時 の 対 策:
とい5こ
a.
中 止 す べ き薬 剤:当 該 抗 生 剤 の 中 止,免 疫 抑 制 剤
とは 考 え られ る。
な どの 中 止 な い し最 少 限 に 減 量
青 河 寛 次
た とえ ば 緑 膿 菌 に よ る菌 交 代 発 症 時 に お け る免 疫 不 全
b.
に つ い て,西 村 先 生,何 か 御 見 解 は あ りませ ん か。
c.
西 村 忠 史(大 阪 医 大 小 児 科)
先 天 性 免 疫 不 全 は もち ろ ん,2次
る患 者 で は,1次
的免疫不全状態 にあ
的 感 染 症 発 症 自体 が,そ
の重 症 化 と致
急 の 診 断 検 査 処 置 は す べ て 中止
投 与 す ぺ き薬 剤 と処 置:
(1) 基 礎 疾 患 の 治療 に 当 る
(2) 交 代 菌 の 確 定 を まつ て,は
じめ てそ の適 合 抗 生 剤
を投与
命 に 連 な る危 険 性 を もつ て い る。 御 指 摘 のあ つ た緑 膿 菌
につい
中 止す べ き処 置:菌 交 代 症 を 招 いた 処 置 を は じ
め,不
も,そ の 全 身 性 感 染 症 が,新 生 児,未 熟 児 ま た
6.
予
年 長 児 で は 白 血 病 ら腫 瘍 性 疾 患 に 多 い 事 実 も これ を 物語
a.
診 断 法:症 状 の 分 析 と,着 実 な 菌 検 索 に よ る
防
CHEMOTHERAPY
288
b.
注
MAY
意
1)
1974
心 臓 手 術 後 の感 染 予 防
(1) 化 療 中,菌 交 代 現 象 は 必 発 す る の で,菌 検 索 を 反
中
復 し,早 期 に 診 断
村
和
夫
鳥取大第2外 科
(2) 不 要 な 抗 生 剤 中 止
(3) 宿 主 の 感 染 防 御 能 充 進
約10年
(4) 基 礎 疾 患 の治 療 を優 先
前,ご
く単 純 な心 室 中隔 欠損 症 に対 して根 治
術 を 施 行 した と ころ,術 後2週 間 を経 過 して も発 熱 が持
パ ネル デ ィス カ ッシ ョ ン
続 す る の で,細 菌 性 心 内膜 炎 を疑 が つ て,当 時 使 用 され
て いた ほ とん ど す べ て の 抗生 物 質 を 使 用 した が 効果 な
感 染 防止 に お け る化 学 療 法 の 役 割
司
会
石
神
喪
く,病 状 は次 第 に悪 化 し,結 局3カ 月 後 に 心 不 全 で 死 亡
した 。 経 過 中,動 脈 血 培 養 は陰 性 で あ つ た が,剖 検 に よ
次
り心 室 中 隔 の 欠 損孔 閉 鎖 部 に 無 数 の 細 菌 集 落 を 認 め,か
神 戸大泌尿器科
つ,閉 鎖 部 が 再 開 して 大 動 脈 パ ル サ ル バ 洞 へ 穿 破 した こ
司 会 の こ とば
とが 判 明 した 。 また 菌 はCorymbaoteriumで
疾 患 の経 過 中,な ん らか の 感 染 の 併 発 が 予 想 され る ば
あ い,予
じめ,化 学 療 法 剤 を 投 与 して,そ れ を 未 然 に 防
過 を とる か を 痛 感 し,こ れ を 予 防 す るた め 種 々の 角 度 か
止 す る試 み は,化 学 療 法 の 発 達 と と もに ひ ろ く一 般 に応
ら検 討 した 結果,現
用 され つ つ あ る 。 そ の 大 部 分 は 複 雑 な 手 術 後 の2次 感 染
1%以
に 対 す る 処置 で あ るが,そ
い る 抗生 物 質 の 予 防 的 使 用 法 を 紹 介 し,2,3の
の他,内 科 的 疾 患,人
工透 析
な ど宿 主 側 に 感 染 を 助 長 す る因 子 の存 在 が考 え られ る ば
あ い に も応 用 さ れ よ う。 この よ うな化 学 療 法 の応 用 が,
在では細菌性心内膜炎の発生頻度を
内 に押 さえ る こ とが で ぎた 。 わ れ わ れ が 行 な つ て
術 中 の 抗生 物 質 は 人 工 心 肺 回 路 内にCePhalothin2g
を 加 え る。 術 後 はPCGを
は 明 らか な事 実 で あ る。
位/kgに,グ
ち ろ ん起 炎 菌 の 同 定 は,不 可
問題 点
に ふ れ てみ た い 。
術 後 感 染 を 防 止 し,重 篤 な副 作 用 を軽 減 さ せ て い る こ と
しか し,こ の ぼ あ い,も
あ つ た。
本 例 の経 験 か ら,開 心 術 後 の 細 菌 感 染 が 如 何 に 悲 惨 な 経
基 盤 と し,こ れ を40万
40mg/kgを,最
近 で はABPCま
た はCephalothin
能 で あ り,薬 剤 の 選 択,投 与 量,投 与 法 に つ い て は,あ
を,ま た 耐 性 ブ 菌 に 対 す る 薬剤 と し てMCIPCを,そ
くま で 従 来 の 経 験 か ら推 定 して決 め られ て い るの が 現 状
れ ぞ れ100mg/kgを1日
で あ る。 これ に は,そ れ ぞ れ の臓 器,手 術 侵 襲 の 程 度,
しSMだ
昭 和41年
す れ ば,理 論 的 に み て完 全 に 無 菌 下 の手 術 に お い て 何 故
心 術 症 例790例
にChemoprophylaxisが
が7例,縦
要 求 され るか とい つ た 問 題 の
以 降7年
間 の神 戸 大 学 第2外 科 に お け る 開
中,術 後 細 菌 性 心 内膜 炎 を併 発 した もの
隔 心 嚢 炎3例
で,細 菌 性 心 内膜 炎 の7例 中5
例,縦 隔 心 嚢 炎 の3例 中2例 が 死 亡 した 。 起 炎 菌 を 同定
今 回 は,こ れ らの点 に つ い て,ま ず 心 臓 外 科,産 婦 人
科,泌
量 と して,術 後2週 間(た だ
け は5日 間)投 与 す る も ので あ る。
方 法,基 礎 疾 患 の性 格 な ど広 い配 慮 が 必要 とな る。 極 論
提 起 も可 能 で あ る。
し得 た7例 に つ い て み る と,Cam4ida1,・4spergillus
尿 器 科 の立 場 か ら,1.感
染 防 御 の 目的 で 化 学 療
1,Pseudomoms2,Flavobacterium1,Corynebacte-
法 を 施 行 し て い る か 否 か,2.そ
の実 際 の 方 法 お よび 適
rium1,グ
応,な
どに つ い て の発 言 を 求 め,以 下 の そ れ ぞ れ の抄 録
に し る され た よ うな報 告 を う け,さ
らに,こ れ らの適
ラ ム陰 性 球 菌1で,か
に 制 御 で きた と考 え られ る が,グ
Pseudomomsお
せ て小 林 博 士 の発 言 を 得 た 。 さ らに,以 下 の べ る2,3
問 題 で あ る こ とが 判 明 した 。
の 問 題 点 に つ い て討 論 を 行 な つ た 。
つ て 問題 と さ れ た 耐
性 ブ菌 を含 め た グ ラ ム陽 性 菌 に よ る感 染 は 現 在 ほ ぼ 完 全
応,方 法 に 対 し,基 礎 的 立 場 か らそ の 理 論 づ け をか み 合
なお,従 来Chemoprophylaxisと
単
ラ ム陰 性桿 菌 を 目 標 と し て,以 前 はSM
ラ ム陰 性 桿 菌,と
術 後抗 生 物 質 の予 防 的 使 用 法,発
い う言 葉 は,癌
の
くに
よび 真 菌 感 染 が 今 後 に残 され た 重 要 な
熱 が 持続 す る場 合 の
対 策 等 に つ い て 具体 的 に提 示 した。
再 発 防 止 に制 癌 剤 を 使用 す る こ とか ら用 い られ 始 め た も
の で あ るが,今
論 を 行 なつ た。
回 は 主題 を しぼ り,細 菌 感 染 に 限 つ て討
2)
産 婦 人 科 の立 場 か ら
青
河
寛
次
社 保 神 戸 中央 病 院 産 婦 人 科
産 婦 人 科 の 立 場 か ら,感 染 防 止 に お け る化 学療 法 の 役
割 を,以 下 の4点 に つ き考 察 した の で 報 告す る。
VOL.
22
a)
NO.
CHEMOTHERAPY
3
289
化 学 療 法 の必 要 性
3)
泌 尿 器 科 の立 場 か ら
非 感 染 病 巣 の手 術 侵 襲 に対 す るChemoprophilaxiaの
熊
必 要 性 は,手 術野 お よび 手 術侵 襲 を 受 け た 個 体 の感 染 準
備 状 況 如 何 に よ り決 め られ るべ き で あ る。 す な わ ち,1)
局 所 性 な い し全 身 性 に 菌 侵 入 の 可 能 性.こ
染,2)手
無,な
術 侵 襲 の幅 の 程 度,3)感
浄
一
とに 院 内 感
感 染 防 止 の た め に 化 学 療 法 を 施 行 す る こ とに つ い て は
染 防 御 能 の減 弱 の 有
多 くの 問題 が あ り泌 尿 器 科 領 域 で も充 分 検 討 す る必 要 が
どに よ る こ とが 多 い 。
あ る。
例 え ば,経 膣 分 娩 時 の創 傷 に 対 す るChemoprophylaxiaは,あ
沢
九大 泌尿器 科
る 条 件下 で は化 療 実 施 の 有 無 に か か わ らず,
創 部 膨 開,創 部 感 染 に 有 意 差 を み とめ な か つ た 。
膀 胱 鏡 検 査 を 代 表 とす る泌 尿 器 科 的 器 具 を用 い る検 査
や 処 置 後 の 感 染 防 止 のた め に 化 学 療 法 を行 な う こ とが 一
般 化 して い るが,化 学 療 法 未 施 行 で も余 り感 染 症 を惹 起
い つ ぼ う猿 に お け る子 宮 癌 根 治 手 術 直 後 の 尿 中 細 菌 出
しな い との 報 告 もあ る。 しか し化 学 療 法 を施 行 す れ ば 直
現 で は,化 療 の有 無 こか か わ らず 菌 出現 を防 止 で ぎず,
後 の発 熱 は 防 止 で き る との 報 告 も あ り,い ち が い に 無 意
こ の点,化 療 の意 味 が 一 見 無 い も の の よ うに 見 受 け られ
味 とは 断 定 で き な い 。 使 用 薬 剤 は 一 般 にPenicillin系
る。 しか し,化 療 に よ り菌 出現 日は 明 らか に遅 延 し,こ
(Ampicillin,合
れ は 膀 胱 機 能 の 回復 に極 め て 有 用 で あ り,Chemopro-
い るが,Sulfomamideで
philaxiaへ
の期 待 を 抱 か せ る成 績 で あ る。
もち ろ ん 器 具 の消 毒,手 術 の習 熟,患 者 の状 態(尿 道,
応
膀胱 疾 患 の 有 無)が 関 係 す る こ とは 言 う まで もな い 。
b)
適
産 婦 人 科 領 域 で感 染 防 止 の適 応 とな る の は,主 に,癌
成Cephalosporin)が
よ く用 い られ て
目的 は 充 分 達 し うる と考 え る。
泌 尿 器 科 的 手 術 時 に,尿
が無 菌 で あ り,か つ,な
んら
根 治 手 術,子 宮 ・付 属 器 腫 瘍 を主 とす る 開腹 術,骨 盤 内
か の 化 学 療 法 剤 を 含 ん で い る と術 後 感 染 は あ る程 度 防 げ
膿 瘍,帝 切 分 娩,羊 水 感 染 を伴 な う産 科 手 術 で あ り,感
る と思 わ れ る。 術 後 経 過 が あ ま り差 の な い 経 尿 道 的 手 術
染 防止 を必 ず し も必 要 と せ ぬ(?)対
症 例(TUR)を
象 は,膣 会 陰 裂
傷,頸 管 裂 傷,子 宮 内 容 除 去 術,卵 管 不 妊 術 で あ る。
次 に,薬 剤 の 選択 に は,1)病
可 能性,2)手
4)耐
術 野 の 汚 染 状況,3)手
性 獲 得 の 難 易,5)薬
間,6)個
巣 に 関 連 した 菌 検 索 の
剤 投 与 の 種 類 ・量 。経 路 ・期
体 の 受 容性,が
と くに,(i)感
術 予 後 の 重 篤 度,
Chemoprophylaxiaの
功罪
よ り,1.手
べ き で あ る。 さ らに 手 術 手 技 の 改 善 を 企 て る と と も に
剤 の濫 用 ・毒 性,5.耐
宮癌 の半
炎 菌 の変 遷,無 熱 化
性 獲 得,菌 交 代症,な
尿 路 感 染 症 再 発,再 燃 防 止 に は サ ル フ ァ剤,ニ
トロ フ
ラ ソ トイ ン,マ ンデ ラ ミ ン等 の 単 独,少 量 併 用 が か な り
有 効 で あ るが,ニ
トロ ブ ラ ン トイ ンに よ るPolyneuritis
に は注 意 す べ き で あ る 。
今 後 の あ り 方 は,1)手
術方法
4)
染 を 惹 起 す る菌 の今 日的 意 味 を把 握,3)
導 型 抗 生 剤 の開 発,な
よる 留 置 カ テ ーテ ル の管 理
け に頼 りす ぎ て は い け な い こ とを 強 調 した い。
今 後 のあ り方
効 果 判 定 の方 法 論4)生
systemに
感 染 予 防 に化 学 療 法 は 確 か に 有 用 で は あ るが,そ れ だ
どを 招 く有 力 な 原 因 と もな つ て い る。
Chemoprophylaxiaの
drainage
等 に も留 意 す べ き で あ る 。
術 適 応 の拡 大(例,
好 な 手 術 予 後 を 期 待(例,子
染 ・病 相 の 変 貌(例,起
の 検 討,2)感
のため に よ る
尿 培 養 と分離 菌 の感 受 性 検 査 を行 な い適 正 薬 剤 に 変 更 す
Closed
帝 切 分 娩),2,良
が 多 い が,そ
が 予 測 され ぬ 場 合,と を 区 別 し て,
Chemoprophylaxiaに
d)
が 術 後 感 染 発 症 率 は未 施 行 群 よ り低 か つ た 。 使 用 化 学 療
菌 交 代 現 象 を 忘 れ て は な らな い 。 比 較 的 短 期 間 の うち に
き で あ る。
膿),4.薬
染 を 有 して い た もの で は 明 らか に 化 学 療 法 施 行 群 のほ う
法 剤 は先 述 のPenicillin系
そ の 選 択 因 子 とな る。
前 者 の さ い に は で き るだ け 感 性 の 狭 域 抗 生 剤 を 用 い るべ
面),3.感
な か つ た も の で は差 は認 め られ な か つ た が,術 前 尿 路 感
染 を 惹 起 す る菌 が 明 らか に 予 測 さ れ
る場 合,と(ii)菌
c)
術 前 化 学 療 法 施 行 群 と未 施 行 群 に2別
し,術 後 感 染 症 発 症 率 を検 索 した 。 術 前 尿 路 感 染 を 有 し
体 防 衛 力 の増 強,5)耐
性非誘
基 礎 的立 場 か ら
小
どの問 題 点 を解 決 す る必 要 が あ り,
林
稔
大 阪 市 立 桃 山 病 院 感 染 症 セ ン ター
そ れ に よ り,必 要 に して充 分 な感 染 防 止 と,薬 剤 濫 用 へ
の い ま しめ が可 能 とな ろ う。
感 染 防 止 に 対 す る化 学 療 法 の必 要 性,適 応,使 用 薬 剤
お よび 投 与 方 法 な どに つ い て検 討 す る 目的 で 以下 の 点 に
つ い て2,3の
(1)
基 礎 的 検 討 を 行 なつ た 。
化 学 療 法 を行 な う に あ た つ て そ の適 正 な 投 与
CHEMOTHERAPY
290
法,投
与量 を 求 め るた め の実 験 と し てEAGLEお
SHAHの
よび
説 を も とに 抗 生 剤 環 境 下 で の菌 の 増殖 の 態 度 を
今 回 は ブ菌,大 腸 菌 な ど分 離 株 に つ い て,そ れ ぞ れ 低,
中,高
を さ らに障 害 す る こに な るの で は な い か と考 え てい る。
青 河 寛 次(社 保 神 戸 中 央 病 院 産 婦 人 科)
感 染 防 止 に お い て は 積 極 的 な 意 味 が ない と考 え る。 局
所 療 法 に は そ れ な りの 意 味 は あ るが,そ れ と混 同 し ては
ン フ ラ ンSに つ い て,そ れ ぞ れ 薬 剤 濃 度 を
い け な い 。 消 毒 剤 と間 違 つ て は い け ない と考 え てい る。
1/2,1,2,4,8お
よび16MIC量
と し,菌 量 お よび 薬
剤 濃 度 に よ る生 菌 数 の変 動 をみ る と と も に 接 種 菌 量 と
MICの
1974
よ
感 受 性 株 に 大 別 し,ABPC,SBPC,CERお
びSDM,パ
MAY
関 係 に つ い て も観 察 した 。 そ の結 果,MICの
測
石 神 裏 次
局 所 に 使 わ れ て い る報 告 もあ る し,最 近 腹 腔 内 に ア ミ
ノ配 糖 体 を 使 つ て 重 篤 な副 作 用 の起 つ た報 告 も あ る。 一
定 に は と くに 菌 量 が重 要 な 因子 とな る こ と,1/2MIC量
般 的傾 向 と して は,こ
で3時 間 の攻 撃 で有 意 の殺 菌 効果 の み られ る も の の あ る
望 ま し くな い とい う結 論 だ つ た と思 う。
の問 題 の適 応 とし て は局 所 投 与 は
こ と,お よび パ ソフ ラ ソSが と くに 特 異 な 抗 菌 性 を有 す
小 林 博 士 の話 の 中 に蛋 白分 解 酵 素,ス
テ ロイ ドを感 染
る こ とを 確 認 した 。 い つ ぼ う,無 用 の 抗 生 剤 の使 用 を さ
防 止 の 意 味 合 い か ら使 う と い う,そ の結 果 の話 が 出 た
け るた め,5名
よ る 膀 胱 の 自然 防 衛 作
が,細 菌 が 感 染 を 起 し てい る 時 とそ うで な い 時 とで 状態
用 の あ る事 実 お よ び抗 生剤 の 作 用 濃 度 に よつ て人 白血 球
が 少 し違 う。 対 数 期 の細 菌 とそ うで な い細 菌 に 対 す る抗
の食 菌 率 に 著 しい影 響 の あ る こ とを 観 察 した 。 感 染 防 止
生 剤 の た た き方 の差 が 投 与 法 に も差 異 と して 出 て く るか
のVolunteerに
上Chemoprophylaxisと
す る場 合hostの
して化 学療 法 が 必 要 で あ る と
広 い意 味 で のvitalforceが
必 要 で,
中 村 和 夫
こ の点 を考 慮 す る必 要 を み とめ た 。
(2)
と思 うが,そ れ に対 す る補 助 的 な 意 味 で こ うい う もの の
使 用 が 問 題 に な る と思 うが 如 何 。
局 所 投 与 か 全 身 投 与 か に 関 し ては ラ ッ トを用 い
ス テ ロイ ドに は 下 熱 効 果 が あ る の で,そ れ を ね らつ て
て経 皮 的 お よ び筋 注 に よ る抗 生 剤 の 投 与 を お こな い,そ
使 う こ とは あ るが,抗 生 剤 の補 助 剤 と して は 使 つ て い な
の血 液 お よび2,3の
い 。 小 林 博 士 の 話 で 興 味 が あつ た の は,ス テ ロイ ドを使
臓 器 の 薬 剤 濃 度 を観 察 した と ころ,
抗 生 剤 の種 類 に よ り若 干 の 差 異 は あ るが 経 皮 的投 与 法 で
う と膿 瘍 内 の 抗 生 剤 濃 度 が 低 下 す る とい う こ とで,こ れ
は著 し く低 値 で あ る こ とが わ か つ た 。CERの
は ス テ ロイ ドが 滲 出 機 転 を 抑 制 す る た め か と思 つ て 聞 い
長期投与
が 緑 膿 菌 の 出 現 を 著 明 に 促 が す 事 実 か らも局 所 投 与 法 は、
限 られ た使 用 法 で あ る と言 え る。 また 投 与 法 に 関連 して
抗 生 剤 の 併 用 に よ る効 果,蛋
るMICの
白分 解 酵 素 剤 との併 用 に よ
た。
青 河 寛 次
感 染 防 止 の 系 統 的 な 理 論 が 確 立 され て い な い 現 在,使
低 値 化 お よ び 副 腎 皮 質 ホル モ ン剤 との 併用 が
用薬 剤 は で き るだ け 少 ない ほ うが よい 。 そ れ は 抗 生 剤 同
血 中,臓 器 内 の 抗 生 剤 の 濃 度 を上 昇 しな が ら も腎 ク レア
士 で も,抗 生 剤 と他 剤 との併 用 に つ い て もい え る と 思
ラ ソス値 の 低 下 を 来 し,か つ 却 つ て膿 瘍 中 へ の 抗 生 剤 の
う。 小 林 博 士 の話 は 興 味深 い し,感 染 症 が 起 つ て い る場
移 行 を よ くせ い す る こ とな ど ウサ ギ に よ る 感染 実 験 に よ
合 の 使 用 と し ては 考 慮 の 必 要 が あ ろ う。
つ て観 察 した 。 す なわ ち,抗 生 剤 の 投 与 に 当 つ て は 化 学
療 法 の 役 割 に は 一 定 の 限界 の あ る こ とを 知 り,化 学 療 法
の 効果 を あ げ るた め の 配 慮 が 必 要 で あ る。
討
ス テ ロイ ドは 本 当 に 感 染 が 起 つ て 来 た 場 合,例 え ば 熱
が 出 ない た め に 見過 さ れ る とい つ た 恐 れ が あ るの で,感
染 防 止 には 使 わ な い ほ うが よい 。
論
石 神 裏 次(神 戸 大 泌尿 器 科,司
熊 沢 浄 一
会 者)
局 所 使 用 に つ い て3人 に お 尋 ね した い 。
小 林
稔(大 阪 市立 桃 山 病 院 感 染 症 セ ン タ ー)
自分 の 実験 の大 部 分 は,感 染 防 止 か らは 少 しは ず れ て
熊 沢 浄 一(九 大 泌 尿器 科)
い る の で,座 長 の ご指 摘 は もつ と もで あ る。 た だ 感 染 防
使わない。
止 に対 す る化 学 療 法 の使 い 方 で の1つ の 指 標 と して 考 え
中 村 和 夫(鳥 取 大 第2外 科)
た い とい う よ うな意 味 で お 見 せ した 。 した が つ て,明 ら
使 わ な い 。 理 由 は,質 一 ガ ンの 報 告 に よれ ば2重 盲 検
か に感 染 が あ る とい う時 に行 な つ た 実 験 で な い か ら,そ
法 で5%ABPC液
い が,ABPC使
を局 所 使 用 した 結 果,有 意 差 で は な
用 群 の ほ うが む し ろや や 悪 か つ た と い
う こ とに な つ てい るか らで あ る。 創 傷 治 癒 の 立 場 か ら考
の 点 は 自分 とし て充 分 考 慮 し た い と思 っ て い る。
石 神 嚢 次
今 ま でい い 面 につ い て話 して 貰 つ た が,物 事 に は や は
え る と,局 所 の 細 胞 に 対 す る損 傷 を 避 け るべ ぎで あ り,
り功 罪 が あ ろ う とわ 思 れ る。 罪 の ほ うを 論 ず るの もパ ネ
ロー ガ ンの 方 法 で は,分 子 量 か ら考 え て 滲透 圧 が ほ ぼ2
ル の 目的 の1つ だ か ら,そ れ らの 点 に つ い て 経 験 が あれ
倍 に な る溶 液 を 使 つ て い る の で,損 傷 を うけ て い る細 胞
ば 罪 の ほ うを 。
VOL.
22
NO.
CHEMOTHERAPY
3
291
中 村 和 夫
た か つ た 。 した が つ て,菌 の い る こ とが 予 想 され る場 所
使 うべ きで あ る とい つ た が,こ れ は 抗 生 剤 の使 用 で有
で は 治 療 と して の化 学 療 法 で あ ろ う し,い な い 場 所 と な
害 な面 が な い とい う こ とを 前提 と し てお り,し た が つ て
る と,菌 の 侵 入 を 防 ぐこ とが 第1,も
PC系
す れ ば ブ菌 が 主 で あ ろ う。 そ の も とに な るの は,患 者 自
を 中心 とす る 配 合 を 行 な つ て い る。 た だ ど ん な こ
し可 能 性 が あ る と
とが あ っ て も2週 間 以上 は使 わ な い 方 針 で あ る。 とい う
身 か まわ りの もの が もつ てい るか,と
の は,初 期 の4∼5日
込 む も の と考 え て い る。 い ず れ に し て も,感 染 の 予 防 は
で ほ とん どの 例 は 下 熱 す るが,下
もか く外 か ら持 ち
熱 せ ず に2週 間 続 い た場 合 で も,あ るい は そ の 時 点 で感
感 染 の初 期 の 治 療 とい うこ と に な る。 私 は 相 変 らず 化 学
染 の,例 え ば 白血 球 増 多,CRP(〓),赤
療 法 が必 要 と考 え て い る。 そ れ か ら純 粋 な 治 療 とな る と,
沈 の 尤 進 とい つ
た所 見 が あつ て も,必 ず抗 生 剤 を い つ た ん 打 切 り,1日
おい て そ の後3日 間 血 液 を連 続 培 養 して 起 炎 菌 を 調 べ る
局 所 投 与 も必 要 とな る と考 え て い る。
外 科 手 術 に 関 連 して,感 染 予 防 の た め に 使 う化 学 療 法
方 針 を とっ てい る。 と ころ が これ か らお 見 せ す る症 例 は
剤 の功 罪 を 論 じ ら れ た が,純 無 菌,準
ど う解 釈 し て よい か 分 らな い の だ が,そ
で,感 染 を 惹 起 す る起 因 菌 の種 類,頻 度,由 来 が 全 く異
つ てい る と,2週
うい う方 針 でや
間 たつ て も な お 発熱 が あ る場 合 に,10
人 中9人 まで 抗 生 剤 を切 っ た途 端 に 下熱 す る とい う経 験
無 菌,有 菌 手 術
な る筈 で あ る。 準 無 菌,有 菌 手 術 に対 して は,感 染 の 初
期 治 療 と して の 局 所 性 な らび に全 身 性 に化 学 療 法 剤 を 用
を し て きた 。 感 染 所 見 が な い場 合 は 大量 の 抗 生 剤 に対 す
い る の が よ く,純 無 菌 手 術 に さ い し て はendogeneous
る反 応 熱 か と考 え た こ とも あつ た が,こ の よ うな 症 例 で
sourceの
は2週 間 の時 点 で感 染 は あつ た と思 う。 した が つ て,こ
間 内 用 い るの が よい の で は な いか と考 え て い る。
細 菌 を 目標 と し て 全 身 性 に化 学 療 法剤 を 短 期
の感 染 に対 し て は抗 生剤 を切 つ た ほ うが 有 利 で あ つ た と
石 神 裏 次(ま
考 え る しか ない と思 うが,ご 意 見 が あ れ ば 教 え て 頂 きた
以上,各 演 者 の 発 言 か ら も明 らか な とお り,疾 患 の 種
とめ)
い 。 ともか く事 実 とし て は,抗 生 剤 を 切 つ た ら下 熱 す る
類,手
症 例 が あ る こ とは経 験 して い る。
を施 行 す る必 要 性 の 存 在 す る こ とは言 を また な い 。 しか
術 術 式 な どに よつ ては 感 染 防 止 に対 し,化 学 療 法
白羽 弥 右 衛 門(大 阪 市 大 第2外 科)
し,現 実 に は,そ れ 以 前 に 当 然 行 な うべ き対 策(手 術 室
手 術 に 関連 し て起 る感 染 を化 学 療 法 に よつ て どれ だ け
の 無菌 管 理,手 指 の 消 毒 の完 全 化 な ど)を 軽規 して,そ
予 防 で き るか が念 頭 を離 れ な い 。 中 村 博 士 は 無 菌 手 術 を
れ を化 学 療 法 に よつ て補 な う よ うな傾 向 の あ る こ と も遺
対 象 とし,青 河,熊 沢 両 博 士 は む しろ 準 無 菌 また は無 菌
憾 な が ら否 定 で きな い 。 投 与 薬 剤,投 与 方 法 に つ い て も
で あ ろ う。 そ こで感 染 を起 した 起 炎 菌 の 源 を ど う考 え て
な お 今 後 に 残 され た 問 題 点 が 多 々 あ る が,さ
い られ る か。
発 言 を 基 礎 と し て,い つ そ うの探 究 が必 要 と され よ う。
中 村 和 夫
現在 の 方法 を とつ て か ら8例 に 心 内 膜 炎 を 起 し た。4
例 は グ ラム 陰性 桿 菌,う
Corynebaoterium2例
た が,残
ち2例 は 緑 膿 菌,他
に真 菌2例,
で あ つ た。 最 後 の2例 は す ぐ治 つ
り6例 中5例 は死 亡 した 。
白 羽弥 右 衛 門
ど こか ら入 つ た と考 え られ るか 。
中 村 和 夫
体 外循 環 の 回 路 も露 出 創 面 の1つ
と考 え られ る し,多
くの 医 師,看 護 婦 が 手 術 に 関 係 して い る の で,患 者 自身
の 中 のFocusか
ら とい う よ りは外 か ら入 つ た も の と考
え て い る。
白 羽 弥右 衛 門
準 無 菌 とい つ た の は,手 術 の 対 象 部 位 に発 見 され るか
も 分 らな い とい う こ と と思 う。 純 無 菌 手 術 と準 無 菌 手術
で は菌 の 種 類 が 違 う。 また 頻 度 で は,前 者 は ブ菌 が2%,
後 者 は10%以
上,感 染 巣 の 手 術 で は30%く
らい で あ
る。 した が つ て,化 学 療 法 剤 に よつ て 感 染 防 止 を す る
時,そ れ ぞ れ 頻 度 と菌 種 が 違 うの で,そ
の点 を お尋 ね し
らに 今 回 の
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