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ファーウェイと ボーダフォン・スペイン

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ファーウェイと ボーダフォン・スペイン
AO OF 01
BUSINESS
ファーウェイと
ボーダフォン・スペイン
イノベーションに満ちたパートナーシップ
協力関係が
イノベーションを生み出す
WinWin:ボーダフォンとファーウェイは、長
年にわたって緊密に協力してきました。これ
までの協力関 係についてどうお考えです
か。またボーダフォン・スペインにとって、
ど
のようなメリットがありますか。
バスティロ氏:ファーウェイとの協力関係の
始まりはかなり前に遡ります。ボーダフォン・
スペインは、
ファーウェイとともに2つのボー
ダフォン・グループ共同イノベーション・セン
ターを立ち上げました。1つは、2005年に
開設したM I C( M o b i l e I n n o v a t i o n
Center)
で、
ここでは無線技術を中心に研
究・開発を行っています。
もう1つは、2007
年に開設したAIC(Application Innovation Center)
で、
こちらはアプリケーションと
ソフトウェアを中心に研究・開発を行って
います。
この2つのイノベーション・センターで開
発され、商用化されたプロジェクトの数は
ベンダーと通信事業者の創造的な協力関係は、通信業界の発展に不可欠だ。ボーダ
フォン・スペインでCTO
(Chief Technology Officer:最高技術責任者)
を務めるジェイ
ムス・バスティロ氏に、最近の業界動向およびボーダフォン・スペインとファーウェイの協
力関係がもたらすイノベーションについて話を聞いた。
『WinWin』編集部(ファーウェイ刊)Pearl Zhu
25本以上に上ります。たとえば、現在すべ
てのネットワークに 展 開しているR R H
( Remote Radio Head:リモート無 線 ヘッ
ド)
とSingleRAN製品の適用開始や、
そ
の 後 のさまざまな無 線 製 品 機 能 の 改 良
も、MICで行われました。
ファーウェイは、ボーダフォン・スペインに
James Bustillo, CTO of Vodafone Spain
/ APR.2012 19
AO OF 01
BUSINESS
とって申し分のないパートナーです。ファー
応じて3台以上の無線ヘッドを装備すること
ら、今後はビジネス・モデルのあり方につい
ウェイは、お客 様 志 向と誠 実さをコア・バ
も可能です。確かにキャパシティや周波数
て検討を深めていく必要があります。
リューとして捉えているため、当社のお客様
帯域幅も必要な要素ですが、柔軟性こそが
のためのイノベーション実現に向けて、極め
SingleRANの最大の特長だと思います。
得に向けて、
サービスとネットワークの両面
て協力的に働いてくれます。ネットワーク構
築分野では、実際にその成果を最善の形
WinWin:SingleRANの今後に期待するこ
での変革を考えています。これらの分野に
でお客様にお届けできています。
また、
アプ
と は 何 でしょうか 。ボ ー ダ フ ォン の
おけるベテランとして、通信事業者が取り
リケーション分野における連携も始まってお
SingleRAN展開におけるさらなる価値創出
得る選択肢についてお聞かせ願えますか。
り、今後もあらゆる分野で引き続き連携を
のために、
ファーウェイが改善できる点につ
またボーダフォン・スペインの計画とあわせ
図っていく予定です。
また、
アプリケーション
いてお聞かせください。
て教えてください。
やソフトウェアの分野でも新しいことにチャ
バスティロ氏:SingleRANは、無線ヘッドや
バスティロ氏:スペイン市場の状況は、他の
レンジする必要があります。大きな課題とし
アンテナの統合化をさらに進めることが可能
ヨーロッパ諸国の市場と非常によく似てい
ては「クラウド・コンピューティング」
が挙げら
だと思います。実際、
アンテナの統合化に取
ます。また、テレフォニカ、オレンジ、ボーダ
れます。これは、両社が非常に関心を寄せ
り組んでいるところです。
また、
サポートする
フォンといった通信事業者への集中化が
ている分野です。われわれは、双方にとって
周波数帯域幅の拡大や、
ビーム・ステアリン
進んだいま、市場はますます似通ってきて
イノベーションをもたらす新たな分野に集中
グ
(基地局の電波を特定の方向に集中して
います。ただ、
ソーシャル・ネットワーキングや
して取り組んでいく必要があります。
送る)
も有益でしょう。
しかし、全体的に見て、
ソーシャル・リレーションシップに対するアプ
コンセプトはすでにあるわけなので、後は細
ローチの仕方には違いがあると思います。
部の最適化を図ればよいと思います。
コンピテンシーの分野では、現在と同様
WinWin:SingleRANが、
ファーウェイと
ボーダフォン・スペインのMICで初めて公開
されたことは、
まさに重要な出来事でした。
低コスト、
キャパシティ、
スペクトル効率、帯
インターネットをユビキタスに
一歩先を行く通信環境を
に今後も顧客が求めているものを提供する
必要があります。顧客が求めるものは時間
とともに変化するため、
それに応じてアプ
ローチも変える必要があります。
域幅の観点から見て、SingleRAN独特の
20
WinWin:通信事業者は、市場優位性の獲
価値はどこにあると思いますか。
WinWin:現在、MBB
(モバイル・ブロードバン
重要なことは、お客様がどこからでも、必
バスティロ氏:SingleRANは当社にとって
ド)
が急速に普及してますが、
トラフィックの増
要に応じてあらゆるコンテンツにアクセスで
非常に重要なイノベーションの1つです。
加に見合うARPUが得られていない通信事
きるようにインターネット接続を提供すること
最大のメリットは、柔軟性に優れているこ
業者もあります。モバイル通信事業者が世
だと思います。たとえば、
クラウドに保管され
とだと思います。つまり、サイトが存在する
界およびスペインのMBB市場において現在
たコンテンツにアクセスしたいと思えばアク
場 所に1 台だけ設 置しておけばよいこと
直面している課題は何ですか。
セスできる。
ときには外出先からテレビ映画
や、周波数、規格、およびサイトに関するあ
バスティロ氏:スペインにおけるブロードバン
を観たい、
あるいは自国/故郷で開催される
らゆることを後で変更できる点です。この柔
ドの課題は、
「モバイル・ブロードバンドの収
スポーツイベントを旅行先の国から観たいと
軟性は、OPEX(Operating Expense:
益化」の一言に尽きると思います。これは、
思えば観ることができる。
これが今後数年間
運用コスト)の削減にもつながります。
当社に限らず、
どの通信事業者にも当ては
の大きな流れになると思います。
従来、設置作業の大半は、担当者が基
まることです。収益化を実現するためには、
コンテンツ配信の改善のために新しい
地局に直接出向いて行わなければなりま
顧客と通信事業者の双方にとって有益な
アップロード用ツールも必要ですが、
それら
せんでした。
また、消費電力の大きさも悩み
ビジネス・モデルを構築する必要がありま
はツールにしかすぎません。それよりも、
イン
の種でしたが、SingleRANによって1台の
す。今後数年間はその課題に取り組むこと
ターネットを誰もがいつでも、
どこにいても楽
機器で対応できるようになりました。
しかも
になるでしょう。技術に関しては、顧客の要
しめるユビキタスなものにすることこそが大き
非常に小型です。また、
アプリケーションに
求レベルはすでにクリアしています。ですか
な課題です。
/ APR.2012
バスティロ氏:期待しているのは柔軟性で
WinWin:インターネッ
トをユビキタスなものにす
す。周波数帯域とキャパシティを使用する
るために必要なツールに関して伺います。
必要がある時期は、
まだ正確には予測でき
RCS
(Rich Communication Service)
や
ません。だからこそ、柔軟性が必要なので
CDN
(Contents Delivery Network)
といった
す。ファーウェイのテクノロジーが、現在市
分野に対するボーダフォンの取り組み状況を
場で求めうる最高のものであるのは言うま
お聞かせください。
でもないと思います。
バスティロ氏:当社はお客様に最高のイン
周波数を確保した後、LTEの展開を開
ターネット体験を提供すべく取り組んでお
始する予定であり、すでに試験運用は始
り、CDNなどのテクノロジーも今後の展開
まっています。こうした進化は、LTEのキャ
に向けて視 野に入っていることは確かで
パシティの推進力となるスマートフォン市場
す。ボーダフォンは、
これまで非常に革新的
にかかっています。
な企業として歩んできましたし、
これからもそ
うあり続けるつもりです。
WinWin:業界はクラウド・コンピューティン
RCSに関しては、バルセロナで開催され
グの話題で持ちきりですが、
クラウドが通信
たMobile World Congress 2011で業
において果たす役割について、
どのように
界標準が発表されました。この技術開発に
見ていますか。
は、ボーダフォン・グループが牽引する役割
バスティロ氏:クラウドに関しては、主要イン
に関わっており、特にボーダフォン・スペイン
ターネット・プレイヤーはもちろん、
すべての
の技術者が積極的な役割を担っているこ
人、企業、通信事業者が関心を寄せていま
とを指摘しておきたいと思います。
す。
クラウドにはさまざまな側面があり、
その
て、ボーダフォンはどのような計画をお持ち
多くに対処する必要があります。
ですか。これまでの進捗状況についてお聞
WinWin:LTEの商用展開を目指している
その1つはプライベート・クラウドです。ま
かせ願えますか。
通信事業者が今後直面する最大の課題
た、従来以上の収益性を確保できるような
バスティロ氏:ボーダフォン・スペインは、通
は何でしょうか。
形でバック・オフィスをクラウド化する必要も
信事業者の中ではクラウドのコンセプト開
バスティロ氏:現在、
スペインをはじめ、多く
あります。
発における草 分け的 存 在です。当 社が
の国で課題となっているのは周波数です。
ボイスメールやアプリケーション・ストアと
どの国も2.6GHz帯と800MHz帯に周波
いったサービスの側面もあります。コンテン
以上前になります。この画期的な製品は、
数を割り当てており、周波数の確保がLTE
ツのフォルダーをクラウド内に設けることが
あらゆる企業通信サービスをクラウド化し、
における当面の重要課題です。
できるため、
コンテンツをメモリ・スティックに
お客様のインフラを極限までスリム化する
また、周波数を確保する一方で、エコシ
入れて持ち歩かなくても、常にコンテンツを
ものです。現在、
クラウド・ストレージなど、IT
ステムを構築し、LTEの展開に向けたベン
利用することが可能になります。
さらに求め
インフラの範 囲を広げた新しいクラウド・
ダーと通信事業者の双方の態勢を整える
られているのは、
インターネット上に広がっ
サービスが生まれつつあります。ボーダフォ
必要もあります。LTEの展開において重要
ていないあらゆるものをクラウド化すること
ン・スペインは、事業の一環としてこの分野
なポイントは、端末と周波数の2つです。
です。今後はこうした側面の重要性が増し
の開発に取り組んでおり、当社のイノベー
ていくはずです。そして、
あらゆるものがイン
ション部門がマーケティング・チームと協力
WinWin:LTE分野でファーウェイに期待する
タラクティブになり、
クラウド化されることに
しながら、お客様への提案の策定と展開を
ことは何でしょうか。LTEネットワークの展開に
なるでしょう。
進めています。
ふさわしい時期はいつ頃だとお考えですか。
WinWin:クラウド・コンピューティングに関し
『Vodafone Office 』
を開始したのは5年
TAO OF BUSINESS
/ APR.2012 21
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