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発光性ポリマー球体による マイクロ光共振器の開発

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発光性ポリマー球体による マイクロ光共振器の開発
P-74
物質・材料
発光性ポリマー球体による
マイクロ光共振器の開発
■ はじめに
マイクロ共振器は数マイクロメートルサイズの微小なサ
イズでありながら光を閉じ込め共振させることができるため
非常に注目されており、光トランジスタを初めとする光コン
ピューティング技術に欠かすことにできない材料である。
一般的にこれらは高度なリソグラフィ技術によって作製さ
れるキャビティ(型)の中に色素を添加することによって作
製されてきた。しかし我々は精密に分子設計を施すことに
よって発光性ポリマーの自己組織化によりマイクロ球体の
作製に成功した。発光性ポリマーは低環境負荷、低コスト
であり、さらには電気を流すことによって発光させることも
可能であることから多大な優位性を持つ。
■ 活動内容
1.発光性ポリマーの自己組織化
発光性ポリマーは自己組織化により結晶性のファイバ
ーを形成しやすい性質をもつ。そこで我々は分子骨格に
立体障害を導入することによって主鎖にねじれを導入し、
自己組織化の際に異方的に結晶成長することを抑制した。
その結果、形状が非常に整ったマイクロ球体を作製するこ
とに成功した。
■ 関連情報等(特許関係、施設)
<特許>
・特願 2014-009724号 [球状ポリマー粒子及び光学素
子]
・特願 2015-35656号 「発光素子およびそれを備えた
レーザーデバイス」
・特願 2015-209323号 「光電変換ポリマー球体、光電
変換ポリマー球体を備えた光学素子、光電変換ポリマー
球体の製造方法」
<論文>
・ 「 Whispering Gallery Resonance from Self-Assembled
Microspheres of Highly Fluorescent Isolated Conjugated
Polymers」 Soh Kushida et. al. Macromolecules 2015, 48,
3928–3933.
・ 「 Self-Assembled Conjugated Polymer Spheres as
Fluorescent Microresonators 」 Kenichi Tabata, Daniel
Braam, Soh Kushida et. al., Sci. Rep. 2014, 4, 5902/1–5.
・「Tetramethylbithiophene in π-Conjugated Alternating
Copolymers as Effective Structural Component for the
Formation of Spherical Assemblies 」 Liang Tong, Soh
Kushida et. al., Polym. Chem. 2014, 5, 3583–3587.
2.マイクロ球体の特異な発光特性
マイクロ球体1粒子の発光スペクトルを測定するために
対物レンズで 0.5 µmサイズにスポットを絞ったレーザーを
球体に照射してその発光を観測した。その結果、発光性
ポリマー球体はバルク状態では見られない、周期的なピ
ークをもつ発光スペクトルを示すことを発見した。これはウ
ィスパリングギャラリーモード発光といい、球体の発光が球
体内部に閉じ込められ、自己干渉により共振することで起
こる現象である。
3.球体間の光伝搬・波長変換
様々な発光性ポリマーで作製したマイクロ球体を接触さ
せ、その1つを光励起することにより、発光の球体間伝搬
について調査した。その結果、光は段階的に黄色から赤
色へカスケード(滝)状に変換されることを見出した。これ
らの技術は広範囲からの光捕集や光情報伝達、マイクロ
レーザーなど多岐に渡った応用が期待できる。
Fig.1 球体作製および共鳴発光(上部),光伝搬・波長変換(下部).
代表発表者
所
属
櫛田 創 (くしだ そう)
筑波大学大学院数理物質科学研究科物性・
分子工学専攻博士前期課程
■キーワード: (1)マイクロ共振器
(2)発光性共役高分子
(3)カスケード型エネルギー移動
問合せ先
〒305-8573 茨城県つくば市天王台 1-1-1
TEL:029-853-5479
[email protected]
■共同研究者: 山本洋平 (筑波大学)
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