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Autodesk Raster Design でのスキャンした 図面のクリーンアップ

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Autodesk Raster Design でのスキャンした 図面のクリーンアップ
Autodesk®
Raster Design
Autodesk Raster Design でのスキャンした
図面のクリーンアップ
Autodesk® Raster Design を使用して、エンジニアリング図面、地図、航空写真、および衛星画像の利
用価値を高めることができます。このようなデータを効果的に使用すると、コスト削減に結びつきます。
Autodesk® Raster Design などのツールを使用する CAD(コンピュータ支援設計)および GIS(地理
情報システム)部門は、これらの豊富な情報源を利用して、既存のラスター資産を最大限活用し、ビジュ
アライゼーション、プレゼンテーション、および地図の視覚的効果を増大できます。
Autodesk® Raster Design の強力なラスター データ作成、変換、編集、および解析機能は、
AutoCAD® ベースの CAD および GIS ソリューションを補完します。
本ホワイトペーパーでは、スキャンした図面を使用する場合に必要な準備事項について解説します。さ
まざまな改訂方法をご紹介して、それぞれの長所と短所を説明します。また、編集と変換機能の詳細情
報をご紹介し、それぞれの比較も行います。
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Autodesk Raster Design でのスキャンした図面のクリーンアップ
目次
印刷物のジレンマ ............................................................................................................................... 3
スキャニングの利点 ............................................................................................................................ 3
スキャンを実施する際の考慮事項 ...................................................................................................... 3
Autodesk Raster Design での図面のクリーンアップ.......................................................................... 6
図面管理に関する要件 ....................................................................................................................... 7
ラスターとベクトル データ ................................................................................................................... 8
図面の変更 ........................................................................................................................................ 9
Autodesk Raster Design を使用した図面へのラスター編集 .............................................................. 9
ハイブリッド編集 ............................................................................................................................... 10
ラスターからベクトルへの変換 .......................................................................................................... 10
変換方法 .......................................................................................................................................... 11
Autodesk Raster Design での対話式変換 ...................................................................................... 12
カラーとグレイスケール ハイブリッド ................................................................................................. 13
まとめ ............................................................................................................................................... 15
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Autodesk Raster Design でのスキャンした図面のクリーンアップ
印刷物のジレンマ
既存の紙図面には、膨大な量のエンジニアリングまたは設計の専門的情報が含まれます。紙図面は、
対象物の過去または現状を記録する唯一の手段であったり、ISO9000 または OSHA に準拠するた
め、紙図面を即座に用意できる状態にしなければならない場合もあります。CAD を広範に利用する組
織でも、標準への準拠のために紙図面を依然と利用するかもしれません。
しかし、長年にわたって蓄積された膨大な量の紙図面を管理することは、業務上、多大な負担となります。
また、以下のような問題も発生しがちです。
 紙図面は紛失または誤って整理しやすい
 紙図面を常に最新版に維持するのは困難であり、無効になった図面を誤って使用する可能性
がある
 紙図面の修正や更新はコストがかかる
 紙図面は時間とともに劣化する
 紙図面の配布はコストがかかる
スキャニングの利点
紙図面のアーカイブをスキャンすると、図面の検索時間を短縮できます。
手作業での非効率的な検索作業の代わりに、電子的な検索作業をすば
やく行えます。スキャンした図面を電子的なアーカイブに安全に格納でき
ます。コピーを作成するために「元本」を用意する必要がないため、紛失
を防止できます。紙版よりも優れたカタログ機能や電子的なアーカイブを
利用できるため、無効になった図面の誤使用の可能性が大幅に減りま
す。また、スキャンを利用する最も大きな利点は、紙図面を扱ったり、ファ
イリングすることによる劣化を防止できることです。電子アーカイブの図
面のコピーや印刷は、常に元のファイルと同じ状態です。
グレイスケール データ
スキャンを実施する際の考慮事項
図面のアーカイブをスキャンする前に、組織は保管されている図面の種
類、およびスキャンされた出力結果の詳細レベルについて検討する必要
があります。
モノクロ データ
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 どのようなデータをスキャンするのか?基本的なデータの種類には、モノ
クロ、グレイスケール、カラーがあります(右図に示すとおり)。それぞれ
のデータは異なるスキャン密度および形式を考慮する必要があります。
 どのようなスキャン密度を使用するのか?モノクロ図面は通常、200~
400 DPI(インチ単位のドット)でスキャンします。最適な解像度は、図
面内の情報量と紙の大きさによって異なります。図面で最も細い線を
幅 2~3 ピクセルのラスターで表す必要があります。一貫性のため、
すべてのモノクロ図面で使用する共通の DPI 値を決めることを検討し
てください。カラーおよびグレイスケール イメージの解像度は、写真の
中の情報を取り込んだり、出力用に DPI を最適するために十分な値
に設定する必要があります。カラーおよびグレイスケール イメージは
通常、75~600 DPI でスキャンできます。
カラー データ
 どの形式を使用するか?モノクロ スキャンの場合、TIFF または
CALS/MIL など広く利用されている形式を使用します。モノクロ イメー
ジは圧縮性が優れているため、圧縮形式の利用もお勧めします。RLC
および CCITT Group 4 圧縮は良好な結果を求められます。Group 4
は圧縮効率が最も高いです。グレイスケール イメージは通常 8 ビット
TIFF 形式にスキャンします。カラー イメージは用途に応じて TIFF
または JPEG 形式にスキャンします。JPEG は圧縮効率が高い形式
ですが、圧縮時にデータを加工します。フルカラー イメージ(24 ビット)
を使用して、元のデータの変更が許容できるときにお勧めします。
各イメージで必要なストレージ容量
モノクロ イメージで必要な容量は、元のサイズおよび使用する圧縮方法によって異なります。raw ビッ
トマップ ファイルは圧縮されませんが、RLC はライン単位で圧縮を行います。Group 4 は 2D 領域を
圧縮します。以下の表は、さまざまな図面サイズおよび圧縮方法を使用した 300DPI スキャンの一般
的なファイル サイズを示します。
*表 1:モノクロ データの圧縮後のサイズ比較
図面サイズ
Raw ビットマップ
RLC
CCITT G4
A(A4)
1 MB
200 K
40 K
B(A3)
2 MB
400 K
75 K
C(A2)
4 MB
820 K
150 K
D(A3)
8 MB
1.6 MB
300 K
E(A0)
16 MB
3.2 MB
580 K
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モノクロのスキャンは明らかに圧縮に適しています。RLC および Group 4 の圧縮結果が Raw と比
較して大きく違うことに注目してください。一般的な図面は空白が多いため、これらのアルゴリズムはモ
ノクロ データで効率よく圧縮を行えます。
圧縮形式へのスキャニングの効率およびストレージ メディアの経済性を考慮すると、デジタル アーカイ
ブの作成は効果的です。以下の表は、1 枚の CD(650 MB)に格納可能な 300 DPI、Group 4 圧縮
図面の概算数および元の図面サイズを示します。
*表 2:CD に収録可能な概算図面数
図面サイズ
A(A4)
B(A3)
(A2)
D(A3)
(A0)
CD 1 枚に収録可能な図面数
16,000
8,000
4,000
2,000
1,000
スキャニングのコスト
アーカイブをスキャンするためのコストには、実際のスキャン作業以外に多くの要因があります。以下に
一部をご紹介します。
図面をスキャンするときに必要な処理またはクリーンアップ作業の量。スキャン時にイメージをインデック
ス化するかどうか。プロセス中にデータベースを作成するかどうか。図面の送付コスト。頻繁に利用する
図面を外部委託でスキャンする場合、組織が被る運用コスト。一般的に、これらの追加コストは基本ス
キャン費用に対してわずかな上乗せとなります。
多くのスキャン業者は 1 ドキュメントあたり数ドルの単価を設定しています。以下の表は、スキャン業者
の一般的な価格を示します。
*表 3:100 枚単位での 200 DPI 図面のスキャン単価(2006 年、米国の単価)
図面サイズ
A(A4)
B(A3)
C(A2)
D(A3)
E(A0)
スキャンした
図面あたりの単価
2 ドル
3 ドル
4 ドル
5 ドル
7 ドル
スキャンするドキュメントの DPI 設定によってコストが大幅に変わる場合があります。300 DPI でス
キャンを行うと、上記の表の単価が倍増することもあります。
スキャン方法
まず、アーカイブの図面数を把握する必要があります。数百から数千の図面が含まれるアーカイブと数
十万枚の図面が含まれるアーカイブでは要件が異なります。
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多くの場合、アーカイブの規模によって、自社でスキャンを実施するか、スキャン業者に外部委託を行う
かどうか決めます。大量のアーカイブのスキャンを行う場合、大判スキャナやスキャナを操作するスタッ
フの投資が必要かもしれません。以下の要件も考慮する必要があります。
 図面の機密性を考えた場合、自社からの持ち出しに問題はないのか
 図面の利用頻度が高いため、変換プロセス中も利用する必要はあるのか
これらの要件により、外部委託が望ましいアーカイブの規模でも、自社でスキャナを購入する必要性が
あるかもしれません。
スキャン作業の実施場所に関係なく、まずはパイロット プロジェクトから始めます。
 パイロットの最初のフェーズでは、5~10 枚の図面のサンプル スキャンを作成します。あらゆ
る品質や大きさの図面を選びます。サンプル フェーズで各種ファイル形式、スキャン解像度、
およびファイル圧縮の方法を検討します。図面を使用するすべてのアプリケーションが検討対
象のファイル形式および圧縮方法と互換性があること、検討対象のスキャン解像度で図面が
判読可能かどうか、およびアーカイブ システムが検討対象のファイル サイズに対応できるか
どうかを確認します。
 第 2 のフェーズでは、アーカイブの総量から 5%以下の図面数を実際にスキャンします。組
織は、図面の送付、従業員の作業時間、生産性、カタログ化、およびアーカイブの入力作業な
どの実務レベルの詳細を確認できます。また、不正なスキャン、スキャンの損失、および状態
が悪くてスキャンが行えない図面の割合など、プロセスで発生可能な例外数も予測できます。
最後に、パイロット プロジェクトで得た知識を利用して、アーカイブ全体のスキャンを開始します。パイ
ロットを慎重に行うことで、アーカイブのスキャン作業を確実に、高品質に実施できます。
Autodesk Raster Design での図面のクリーンアップ
一般的に、スキャン作業が終わった直後の図面はそのままの状態では
利用できません。スキャン業者が使用するハードウェア/ソフトウェアの機
能性によっては、スキャン業者がスキャン済みファイルを納品する前にク
リーンアップを行う場合があります。あるいは、ユーザがクリーンアップを
行わなければならない場合もあります。Autodesk® Raster Design には
強力な図面クリーンアップ ツールが用意されています。
回転角度補正は、図面内の点(通常は境界)を指定した角度に合わせて、
正確に水平または垂直に補正できます。このコマンドを使用して、スキャ
ナに斜めに取り込まれたことによって、傾斜または歪みがある図面を補
正します。
グリッド ラバーシート
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色反転は、図面の前景と背景色を反転します。白い背景に黒い線分を表
示したり、黒い背景に白い線分を要件に応じて表示したりできます。色反
転コマンドとイメージのカラー プロパティを組み合わせて、前景または背
景に白および黒以外の色を使用することもできます。
ラバーシートは、細かく制御された方法で図面を変形またはストレッチし
て、スキャン作業中に発生した歪みを修正します。たとえば、円が楕円に
見えたり、図面要素が直交ではない場合に補正できます。右の図面は、
グリッド ラバーシートの例を示します。グリッド ラバーシートは、制御点
をグリッド状に配置して、図面の形状を修正します。
斑点除去は、汚れたり色あせた図面で、スキャン後に表示される斑点な
どを除去できます。このコマンドは、指定したサイズよりも小さい斑点を図
面からすべて除去します。
タッチアップ ツールは、線分、円弧、または個別のピクセルさえも正確に
修正できます。右の図は、タッチアップ ツール パレットの一部を示しま
す。図面の線分を修正する平行四辺形領域ブラシが表示されています。
タッチアップ ツール
フィルタを使用すると、線分の太さや滑らかさを一括で変更して、かすんでいるモノクロの線画をすばや
くクリーンアップできます。グレイスケール イメージでフィルタを使用して、詳細部の解像度やイメージの
コントラストを恒久的に改善できます。
ラスター図形処理(REM)は、個別のラスター図形(線分、円弧、円)を選択して、線画をスムーズにでき
ます。
消しゴムは、汚れ、裂け目、しわ、およびテープ跡をスキャンした図面から選択的に消去できます。
クロップは、図面から不要な領域を削除するときに役立ちます。たとえば、スキャナで大きなサイズの用
紙を取り込み、図面枠の外もスキャンしてしまった場合に不要な領域を削除します。
図面管理に関する要件
図面をラスター形式にスキャンしたら、紙図面の手作業による保管、検索、および複製作業は不要にな
ります。図面管理システムは、信頼性が高くて使いやすく、データの整合性を維持できるものでなければ
なりません。また、以下のようなあまり知られていない要件も存在します。
 ラスター編集機能、データベースおよび CAD システムとの互換性。図面アーカイブの処理を
必要とする他システムと互換性がない図面管理システムはその目的を達成できません。
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 ネットワーク管理者によるカスタマイズが可能であること。図面管理システムに対するニーズは、
それぞれの会社や会社内の部門によって異なります。さまざまなニーズを満たすべく管理シス
テムをカスタマイズする作業は、統制、効率、およびコストの理由により社内の従業員が行え
ると理想的です。
 ファイル ロック機能。図面管理システムは、図面のチェックアウト時に他者による変更を防止
する必要があります。
 デバイスへの非依存。ネットワーク サーバーと接続済みワークステーションのオペレーティン
グ システムが異なる場合があります。図面管理システムは、さまざまなオペレーティング シス
テムやハードウェアにシームレスに対応できる必要があります。
 ネイティブ形式で表示可能。図面をネイティブ形式で表示できる場合のみ、図面の精度を保証で
きます。図面を他形式に変換するとデータが損失したり、精度のずれが生じる場合があります。
ラスターとベクトル データ
図面を電子的に表現するための 2 つの代表的な方法を説明します。
ラスター形式はスキャン プロセスで生成される成果物です。ベクトル
形式は CAD 図面で作成される形式です。
ラスター イメージは、個別のピクセルを組み合わせて、元のイメージを
表すモザイク状のビットマップを形成します。ピクセルは、モノクロ ス
キャンの場合は白または黒の 2 種類です。グレイスケールまたはカ
ラー スキャンの場合、グレイまたはカラーの階調が可能です。1 イン
チあたりに数百個のピクセルを配置すると、とても細かいモザイクが生
モノクロ データ
成されるため、元の図面を非常に忠実に再現できます。モザイクはグ
リッド上に整列されます。ピクセルはそのグリッド内で配置され、その位
置は微調整できません。
対照的に、ベクトル データはジオメトリを数学的に表現したものです。
たとえば、線分はその 2 つの端点の座標によって表現されます。線
分全体は 1 つの記述から生成されるため、線分上の任意の点から
ジオメトリ全体を把握できます。また、ベクトル図形はグリッドに拘束
されないため、同等のラスター図形よりもスムーズで、細く見えます。
ベクトル データ
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図面の変更
ラスター形式で保存したスキャン済み図面は必ず、変更や更新が必要になります。ラスター図面を変更
するには、以下の 3 つの方法があります。
 ラスター形式のまま、ラスターの手法で図面を変更
 変更しない箇所をラスター形式のまま残し、変更箇所はベクトルの手法で編集。これにより、
ハイブリッド図面が生成されます。
 図面全体をベクトルに変換して、同時に変更内容を適用
それぞれの方法には、効率、精度、およびコストの面で一長一短があります。
コストの面では、図面は低コストでスキャンできます。1 枚の図面をわずか数ドルでスキャンできます。
対照的に、図面を変換したり、再作図したりすると非常にコストが増えます。一般的には数日間の作図
時間または数百ドルのコストがかかります。ハイブリッドまたはラスター画像は、必要個所のみを変更す
るため、比較的短時間で作業できます。他の要因が同一の場合、ハイブリッドまたはラスター手法での
編集作業が最もコスト効率が優れます。
使用すべき改訂方法は、変更内容の量で大まかに判断できます。
 変更内容が図面全体の 5%以内の場合、変更をラスターで実施
 変更内容が図面全体の 5~40%以内の場合、変更をハイブリッドで実施
 変更内容が図面全体の 40%以上の場合、変更をベクトルで実施
Autodesk Raster Design を使用した図面へのラスター編集
Autodesk Raster Design は、AutoCAD® または AutoCAD ベースのソフトウェアでスキャンした図面
のラスター編集を行うためのツールが用意されています。以下の 3 種類の方法を利用できます。
 既存のラスターを編集
 ラスターを新規作成
 ベクトル形式で作図を行い、ジオメトリをラスター イメージに合成
ラスター編集は、タイトル ブロックの置換、図面内の文字の翻訳、図面の切り取り/貼り付け合成、現
況図面の改訂の挿入、および他の Microsoft® Windows® アプリケーションへの切り取り/貼り付け操
作などを行うときに特に便利です。タッチアップ ツールを使用して、更新の準備のために不要なジオメト
リを消去します。また、新しいラスター図形を作図して図面の更新作業で利用することもできます。
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ラスター図形処理(REM)ツールは、ラスター ジオメトリをキャプチャして、移動、コピー、グリップ編集、
削除、または Windows クリップボードに移動するなど、さまざまな方法で操作できます。[ベクトル合
成]コマンドは、ベクトル図形から新しいラスターを作成します。たとえば、AutoCAD で文字を作成して、
ラスター形式にしてから図面に合成できます。
ハイブリッド編集
多くの場合、ハイブリッド編集は図面を更新するための最も効率的な方法です。図面の新規部分をベク
トルで作成して、既存の部分はラスターのまま残します。図面を部分的に編集するため、改訂作業はす
みやかに完了します。この手法の利点は、図面を段階的に更新することで、同時にベクトル化も進むこ
とです。
Autodesk Raster Design の[消しゴム]、[REM]、[ラスター スナップ]、および[マスク]コマンドを使用して、
ベクトルでの更新作業のための準備を行います。編集作業が完了したら、DWG™ ファイルを保存する
とラスターとベクトル部分の配置設定が保存されます。また、Autodesk Raster Design の[書き出し]コ
マンドで外部の配置設定ファイルも出力できます。
ラスターからベクトルへの変換
多くの場合、図面アーカイブをラスターからベクトルに変換することは、膨大な時間とコストが必要な負
荷の高い作業です。組織は、ラスター図面を大量に変換する目的を明確化する必要があります。
一部の図面はその用途の性質上、CAD 形式に変換しなければ利用できないものもあります。たとえば、
NC(数値制御)工作機械、パラメトリック設計、プロセス モデリング、シミュレーション、および 3D モデ
リング用の図面はラスターの状態では利用できません。
または、紙図面の劣化によって利用が困難な場合があります。図面の消去や加筆を繰り返すと、背景
や線画のむらによって、モノクロ形式でのスキャンが困難になります。このような図面はグレイスケール
イメージでスキャンして、モノクロでは消失してしまう細部を取り込みます。次に、グレイスケール スキャ
ンの結果に対してイメージ強化やイメージ処理ツールを必要に応じて使用して、ラスターの細部を引き
出します。
DWG 形式の図面の納品が契約に含まれているなど、契約条件を満たすために図面を変換しなけれ
ばならない場合もあります。ベクトル形式の図面の方が利便性に優れるため、製図規格の大幅な変更
によって新しい CAD 図面の方が望ましい、またはカラーのベクトル データを使用することで追加情報
が伝達しやすい、などもベクトル変換の目的です。
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変換方法
以下の方法で変換を実施できます。初歩的なものから高度なツールを使用する方法もあります。
 手作業での再作図。最も単純な方法です。つまり、ユーザが元の紙図面を参照しながら CAD
ツールを使用して図面を再作図します。この方法は、視点を紙図面とコンピュータ画面の間で
切り替えなければならない煩わしさから最も遅い変換方法かもしれません。
 デジタイザの利用。紙図面をデジタイザに貼り付けると、より効率的にジオメトリを紙図面から
画面に移せるため、完全な手作業よりも効率的です。しかし、この方法でも視点をデジタイザと
画面の間で絶えず切り替える必要があります。
 自動変換。魅力的な方法ですが、欠点もあります。まず、成果は元の図面以上の精度は得ら
れないということです。メカニカル部品では、自動変換の精度では不十分なことがあります。ま
た、ベクトル化ツールで認識できなかった要素を修正する後処理のクリーンアップ作業に時間
を要することがあります。最後に、成果物の図面が、機械設計の用途で必要とされる品質条件
を満たせないことがあります。たとえば、1 本の長い線分で表されるべきところが複数数の線
分に分割されてしまったり、円や円弧がプリミティブの代わりにポリラインで表現されている場
合があります。
 対話式変換。多くの場合、最も効果的な変換方法です。この方法では、コンピュータが自動的
に変換を行いつつ、必要に応じてユーザが指示を与えます。変換が対話式に行われるため、
精度およびジオメトリは最初から制御され、クリーンアップ作業がほとんど不要となります。
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*以下のグラフは、各方法の合計変換時間(デジタル化に要する時間とクリーンアップ時間)を比較した
ものです。
時 間
クリーンアップ
デジタル化
手作業での
再作図
デジタイザ
自動
対話式
各種変換方法で必要な作業時間
Autodesk Raster Design での対話式変換
Autodesk Raster Design は、対話式変換を支援するツールが用意されています。
これらのツールは、ジオメトリの迅速で正確な変換作業を行うのに有効です。
ラスター スナップは、ラスター ジオメトリ上の適切な点に AutoCAD のカーソルを「ジャンプ」させ、点
を正確に選択できます。ラスター スナップを使用すると、より縮小したズーム レベルで作業できます。
その結果、図面の全体像を把握しやすくなり、表示の拡大/縮小を繰り返さなくても正確なピックを行え、
生産性が向上します。
ピックを正確に行えても、ラスターから抽出したジオメトリは元の図面以上の精度は得られません。多く
の場合、元の図面はベクトルに変換されることを前提としていません。ジオメトリではなく、注釈から寸法
情報を把握します。
ジオメトリの検証を行うと、ユーザの解釈に基づいて正確な寸法をベクトル図形の作成時に指定できます。
Autodesk Raster Design のベクトル化ツールは、コマンドの実行時にジオメトリを検証できます。たとえ
ば、ラスター スナップおよび vcircle[ベクトル円]コマンドで変換したラスター円の半径が .48 とします。
検証手順で .5 という新しい値を指定して、図面から抽出した値よりも優先させることができます。
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文字認識は、ラスターの文字や表をベクトル状のものに置換する半自動的な方法です。文字認識ツー
ルを使用して、ベクトル状の文字を抽出します。次に、文字を標準化や編集したり、ワード プロセッサ、
表計算、またはデータベース アプリケーションなどに出力します。
ベクトルへの変換範囲が広まると、古いラスター ジオメトリは不要になります。Raster Design では[ベ
クトル化ツール]コマンドに自動消しゴム機能を搭載して、ラスター処理を容易にしています。ベクトル図
形を作成すると、元となるラスターが自動的に消去されます。
メカニカル部品の図面を変換するには、対話式変換が最も優れた方法であることがわかりました。対話
式変換は、ラスター ジオメトリの精度の限界、および最終的な DWG ファイルで正確なジオメトリを作
成する必要性に対応できます。ラスター スナップおよび自動消しゴム機能は、変換プロセスの効率化
に役立ちます。
カラーとグレイスケール ハイブリッド
イメージは、情報量が豊富で、デジタル化が非効率的なことがありますが CAD 図面の背景として挿入
すると便利な場合があります。メカニカル CAD では、部品やアセンブリのデジタル写真を AutoCAD
の図面と組み合わせて修理、組み立て、または保守手順を図解できます。以下の図は、コントロール
パネルのアセンブリ注釈例を示しています。
アセンブリ図面の背景として利用されているデジタル写真
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航空写真は、地図作成 CAD は、道路、土地区画、およびその他の土木データの視覚的な補助となり
ます。以下の図は、既存の駐車場、建物、および植樹の写真を背景として利用した施設図面の一部を
示します。
施設図面の補助情報を提供する航空写真
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まとめ
紙図面のアーカイブを管理している組織は、スキャニングの活用をご検討ください。スキャンしたアーカ
イブの利点は、それを作成する際のコストをはるかに上回ります。
アーカイブをスキャンすると組織の生産性が向上します。本ホワイトペーパーでご紹介した図面の改訂
方法は、手作業での作図作業よりも非常に効率的です。
ISO9000 に準拠するには、電子的なアーカイブでの図面の迅速な検索と配布が要求される場合もあり
ます。既存のデータへのアクセス性を改善しない限り、標準への準拠が困難なこともあります。
本ホワイトペーパーでご紹介した情報を利用すると、自信を持って紙図面のスキャン アーカイブの構築
を進めることができます。AutoCAD または AutoCAD ベースのソフトウェアおよび Autodesk Raster
Design により、図面の更新、変更、変換、および図解などの要件に対応しつつ、スキャン アーカイブ
に格納済みの図面を効率的に利用できます。
*本ホワイトペーパーで報告されたパフォーマンス結果および統計情報は、平均値を求める実験および
調査から得ました。実際の結果は、使用コンピュータ、手順、およびソース資料によって異なる場合があ
ります。
Autodesk、AutoCAD、DWG は、米国 Autodesk, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標
です。その他のすべてのブランド名、製品名、または商標は、それぞれの所有者に帰属します。オートデスクは、
通知を行うことなくいつでも該当製品の提供および機能を変更する権利を留保し、本書中の誤植または図表の誤
りについて責任を負いません。
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