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インスリン抵抗性自然発症マウスの脂肪組織における脂肪分解能の低下
1 1
前田 利男(
静岡県大薬)
◯横山 歩美 1 ,佐藤 聖 1 ,賀川 義之 1 ,
【目的】脂肪組織では肥満により炎症性変化が惹起され、アディポサイトカイン
の産生・分泌異常が生じ、脂肪分解反応の障害がみられる。しかし、この脂肪分
解反応の変動とインスリン抵抗性発症に関連性については明らかではない。そこ
で本研究では,インスリン抵抗性自然発症マウスにおける脂肪分解反応について
検討を行った。 【方法】我々が系統分離したインスリン抵抗性自然発症マウス
(ddY-H 系:H 系)と対照としてインスリン抵抗性を発症しないマウス(ddY-L 系:
L 系)を標準固形飼料で飼育し、一定週齢で、12 時間絶食後、血清の NEFA 濃度
お よ び グ リ セ ロ ー ル 濃 度 を 市 販 キ ッ ト で 測 定 し た 。 ま た 、 1 ∼ 30 mg/kg の
isoproterenol(IPN)を静注後、経時的に採血を行い血清の NEFA 濃度を測定した。
【結果と考察】H 系マウスは、12 週齢以降にインスリン抵抗性を発症する。イン
スリン抵抗性を発症していない 8 週齢の H 系マウスでは、絶食後の血清 NEFA 濃
度およびグリセロール濃度で有意な変動はみられなかったが、12 週齢では、NEFA
濃度およびグリセロール濃度は有意に低く,脂肪分解反応の低下が確認された。マ
ウスに IPN を静注すると血清 NEFA は、6 分後にピークとなる第 1 相とその後 15
∼30 分後に持続して上昇する第 2 相の 2 相性変動がみられた。第 1 相は、低濃度
の IPN により誘導され、持続的な第 2 相は高濃度の IPN により誘導された。H 系
マウスでは、IPN による血清 NEFA 上昇は低下し、
特に第 1 相の低下が大きかった。
低濃度ではβ1 受容体が,高濃度ではβ3 受容体が脂肪分解を調節しているとの報告
があり、 H 系マウスでは、β3 受容体の mRNA 発現が低下していたことから、β
受容体の異常が脂肪分解障害の一因となっている可能性が示唆された.β受容体
サブタイプの発現変動と脂肪分解障害との関連性については現在検討中である。
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