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第8回 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」

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第8回 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」
第8回 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」
― 1DCAE によるものづくりの革新的な教育 ―
主 催:公益社団法人日本工学教育協会
平成26年2月22日(土)10:30~17:20
工学院大学 高層棟 11 階 A-1114 教室
第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」
― 1DCAE によるものづくりの革新的な教育 ―
コーディネータ:雑賀 高(工学院大学グローバルエンジニアリング学部 学部長)
別府 俊幸(松江工業高等専門学校 教授)
開催日時:平成 26 年 2 月 22 日(土)10:30~17:20(10:00 受付開始)
開催会場:工学院大学 高層棟 11 階 A-1114 教室(新宿キャンパス)
プログラム
(敬称略)
ワークショップ開催にあたって
雑賀 高(工学院大学グローバルエンジニアリング学部 学部長)
10
10:40~11:50
基調講演 「1DCAE によるものづくりの革新的な教育」
大富 浩一(株式会社東芝 研究開発センター)
70
11:50~13:00
昼 食(各人でお取りください)
70
13:00~13:30
事例紹介Ⅰ「産業界で胎動する 1DCAE への動き」
和久井 伸栄(ニュートンワークス株式会社 代表取締役)
30
13:30~14:00
事例紹介Ⅱ「実験装置を用いたシステム設計課題の開発と教育実践」
池田 裕一(信州大学工学部 助教)
30
14:10~14:40
グループ討議の進め方
30
14:40~16:00
グループ討議「エンジニアリング・デザイン教育にて教示すべきこと」
80
16:00~17:00
グループ討議の発表・討議
60
17:00~17:10
講師陣コメント・まとめ
10
17:10~17:20
教育士(工学・技術)制度のご紹介
10
17:20
終了
10:30~10:40
別府 俊幸(松江工業高等専門学校 教授)
※ 講師の都合により,講義時間が一部変更になることがありますので予め,ご了承ください.
※ グループ討議につきましては,事前にワークシートをお送りしますので,記入の上ご参加ください.また,
パワーポイントを使ってまとめ・発表を予定していますので,パソコンを持参して頂ければ幸甚です.
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 1 −
日工教事 25 第 30 号
平成 25 年 11 月 19 日
各地区工学教育協会
会長殿
日本工学教育協会
役員各位
学校会員
各位
企業会員
各位
賛助会員
各位
エンジニアリング・デザイン教育調査研究委員会
委員長
雑賀 高
公益社団法人 日本工学教育協会
専務理事
剣持 庸一
(印省略)
第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」の開催案内
― 1DCAE によるものづくりの革新的な教育 ―
標記ワークショップを下記により開催いたします.学校会員,企業会員,賛助会員各位におかれましては,
会員並びに関係各位にご案内くださいますようお願い申し上げます.各地区工学教育協会におかれましても,
地区行事等の折にPRいただければ幸いに存じます.なお,本ワークショップは教育士(工学・技術)のため
の「教育力向上セミナー」の一環と位置づけをしており,教育士資格保有者,および今後受審予定の方にも有
効な学習の機会となります.公務ご多端の折,お手数をお掛けしますが,ご高配のほどよろしくお願いいたし
ます.
記
1.開催の趣旨: ものづくりでは,与えられた仕様に基づいて,要素製品を作るだけでは不十分である.
新規設計ではデザイン思考を設計に取り込み,求められる価値や機能を起点にして設計解へと反映するデザイ
ンが必用である.本ワークショップでは,企業を中心に普及が進んでいる価値・機能を起点とした設計の枠組
みである 1DCAE の考え方およびその背景を紹介し,製品に求められる価値や機能を起点とする概念設計や機
能設計を含めたエンジニアリング・デザイン教育を議論する.
2.開 催 日 程:平成 26 年 2 月 22 日(土)10:30~17:20(10:00 受付開始)
3.開 催 場 所:工学院大学 高層棟 11 階 A-1114 教室(新宿キャンパス)
JR(山手線・中央線・埼京線),京王線,小田急線,地下鉄(丸の内線・都営新宿線)
「新宿駅」下車西口より徒歩 5 分,大江戸線 都庁前駅 直結,西武新宿線「西武新宿駅」下車,徒歩 10 分
所在地 〒163-8677 新宿区西新宿 1-24-2
TEL 03-3342-1211(代表)
会場の案内図は添付地図か,以下の URL を参照下さい.
URL:http://www.kogakuin.ac.jp/map/shinjuku/index.html
http://www.kogakuin.ac.jp/campus/shinjuku/shosai.html
4.プログラム:別紙
5.共
催:工学院大学
6.募 集 人 員:60 名(先着順受付)
,日工教会員外も受講可
7.申 込 み: 1)添付の参加申込書にて,Fax 又はメールでお申し込みください.
2)申込み期限 2 月 17 日(月)17 時まで(期限厳守)
8.参 加 費:日工教個人正会員 8,000 円,非会員 9,000 円(資料代)
.
当日受付でお支払い下さい.領収書をお渡しします.
(お釣銭のないようにお願いいたします)
なお,11/24 倫理 WS ならびに 2/11 コミュニケーション WS にお 1 人で複数回参加された
場合は,割引料金を設定していますので,別表を参照ください.
9.継続教育ポイント:全プログラム(終日)参加者は 11 ポイント(6 時間+参加 5 ポイント)
それ以外の方は,1 時間につき1ポイント+参加 5 ポイント
10.お問合わせ先:日本工学教育協会 事務局 川上 理英,担当 林 未来
Tel 03-5442-1021 Fax 03-5442-0241 メール [email protected]
以上
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 2 −
1DCAEによるものづくりの革新的な教育
㈱東芝 研究開発センター 大富 浩一
ものづくりの現状の課題を打破する考え方としての 1DCAE の概念、方法、事例を紹介する。さらに、1DCAE
の概念を効果的に実践するためのひとづくり(設計教育)の背景、方法に関して紹介する。
ものづくりにおいて設計と生産は車の両輪である。設計はものづくりの方向を決める前輪であり、生産はもの
づくりを加速する後輪ともいえる。
ものづくりの規模が小さく、
複雑でなかった時代は設計と生産は一体となり、
いわゆるものづくりが行われていた。このような時代においてはものづくりを行う技術者の能力にものづくりの
良否は大きく影響していた。その後、人の生活を豊かにする人工物が大量生産技術の向上とともに世の中に充足
してくるとともにものづくりの研究、技術も飛躍的に向上した。この時期において、特に日本の生産技術は世界
をリードしていた。また、設計においても日本発のオリジナル製品が創出された。1950 年代から 1980 年代ま
ではこのような人工物が世界の人類の生活を物質的に豊かにした時代と言える。
1990 年代以降は人工物の充足とともに環境問題も加わり、ものづくりは新たな局面を迎える。物質的に充足
した状態で精神的な充足を目的としたものづくりが始まった。これにはインターネットをはじめとする IT 技術
の進化も連動している。
また、
製品の形態も 1980 年代まではメカを中心とした人工物が主体であったが、
1990 年
代以降は最終形態としてはメカであるが実態はメカという衣装をまとったメカエレキソフト融合製品が主体とな
った。これにともないものづくりも大きく変化、これに追従できない企業は衰退、設計研究においても多様化が
進んでいる。このような背景のもと、大量生産技術に機軸を置いた日本のものづくりは相対的に弱体化の兆候を
示すようになった。
一方、CAD/CAE の普及により、ものづくりのやり方は大きく変わり、設計の効率化、開発期間の短縮等の効
果をもたらした。一方で、改良設計では CAD/CAE による構造を起点にしたものづくりが適しているが、新規設
計の場合、価値、機能を起点とし、この結果を構造に反映する仕組みが必要と考える。しかし、価値、機能を起
点とした設計を考える場合、現状の CAD/CAE を適用することができない。そこで価値、機能を起点とした設計
の枠組みを 1DCAE と呼び、推進している。日本のものづくりは一般に与えられた仕様に則って、要素製品を作
ることには長けている。しかしながらこれだけでは今後のものづくりには不十分である。いわゆるデザイン思考
を設計に取り込む枠組みが必要である。そこで日本の特質を活かし、設計上流から下流まで通して適用可能で、
革新的なものづくりを実現する考え方が 1DCAE である。
一方、製品開発の良し悪しを左右するのは上述の考え方とともにこれを具現化するエンジニアの資質である。
1DCAE の考え方を実行するには、この考え方を理解し、実践する能力を有するエンジニアの育成が不可欠であ
る。すなわち、ものづくり(製品開発)とひとづくり(人財育成)の連携によるデザイン教育が重要である。特
に、1DCAE 概念に基づくものづくりの場合には、設計上流で創造的な思考と現象理解能力が求められる。従っ
て、1DCAE がものづくりにおいて最大の効果を発揮するためには、これを支えるひとづくりが重要となる。大
学教育でいうところのデザイン能力である。しかしながら、これを実施しようとした場合、明確な方法論、手法
が存在せず現場任せとなっている。一方、企業の立場でも大学において十分なデザイン能力育成のための教育を
行うことには価値を感じている。このような背景の元、デザイン能力を高めるための方法論として 1DCAE コン
セプトに基づくデザイン教育プログラムを提案、大学、企業での教育プログラムに適用している。また、日本機
械学会においても一連の講習会(1DCAE 概念に基づくものづくり設計教育)を実施している
デザイン能力を高めるための方法論としての 1DCAE 概念に基づくものづくり設計教育においては“現象を理
解して数理的にモデルを導出する能力”に着目している。このためには、現象を本質的に理解することが重要で
あり、従来の教育で欠けている部分である。この方法についても述べる。
参考文献
(1) 大富浩一、
“設計工学の目指すところ:設計からデザインへ”
、日本機械学会論文集 C 編、Vol.75, No.751,516-523(2009)
(2) 大富浩一、羽藤武宏、“1DCAE によるものづくりの革新”、東芝レビュー Vol.67 No.7 (2012)
(3) Michael F. Ashby, Materials Selection in Mechanical Design, Fourth Edition, Butterworth-Heinemann 2010
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 3 −
ものづくりの歴史
欲しいものが明確
顧客ニーズの多様性
ハード中心、メカ中心、大量生産 ハード+ソフト、メカエレキソフト融合
1DCAEによるものづくりの革新的な教育
2014年2月22日
㈱東芝 研究開発センター
大富浩一
空白の時代
ものづくりを取り巻く環境の変化
•1950年代から1980年代までは人工物が人類の生活
を物質的に豊かにした時代
•1990年代以降は物質的な充足にとどまらず、精神的
な充足を目的としたものづくり
•インターネットをはじめとするIT技術の進化も連動
•1980年代まではメカを中心とした人工物が主体、
1990年代以降はメカという衣装をまとったメカエレキソ
フト融合製品が主体
•もの、こと、メカ(機械)、エレキ(電気)、ソフト(制御)と
いった個別で考えるのではこれらを包括的に捉えたもの
づくりが重要に
1DCAE 検討の経緯
•日本機械学会“設計研究会”で2002年から
“日本型製品開発環境”の検討開始
– 日本のものづくり再生のためには日本独自の開
発環境が必要との前提
– 日本の企業における事例紹介
– 欧米の現状調査(現地でのWS開催)、日韓WS
– 上記を通して“1DCAE”提案(2009年)
•企業を中心に1DCAEの考え方が普及
– 1DCAEという考え方の体系化
– 1DCAEを実施するにあたっての教育の重要性
1DCAEの位置づけ
上流設計の重要性
製品ライフサイクルコストの80%が設計段階で確定
上流設計の範囲
ライフサイクルコストの確定度合い
100
Fabrycky, W. J. and
Blanchard, B. S., Life-Cycle
Cost and Economic Analysis,
Prentice Hall International
Series in Industrial and
Systems Engineering
(1991)
80
66
情報
知識
発生コスト(積算)
設計のフロントローディングにより
開発期間短縮、開発コスト削減、価値創造
変更のし易さ
企画構想
概念設計
詳細設計
製造組立
据付/保守/回収
1DCAE
・設計の上流段階に適用できる設計手法(考え方)
⇒アイディアレベル(ポンチ絵レベル)の情報で性能の良し悪し判断可能
⇒機能ベースの物理モデルシミュレーションで
システム全体を表現した評価解析が可能
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 4 −
3Dを起点とした従来の設計
1DCAEの位置付け
設計情報の次元の推移
0D
→
1D
→
2D
→
3D
設計情報の次元の推移
→
4D
概念設計 機能設計 配置設計 構造設計 製造設計
形から入る
→
2D
→
上流設計/全体適正設計
1DCAE
詳細設計/個別設計
3D-CAE
1D
3D
→
4D
概念設計 機能設計 配置設計 構造設計 製造設計
メカ
3D-CAD
→
0D
メカ
設計の流れ
1DCAEと3D-CAEの関係
機能から入る
機能から形へ 詳細設計/個別最適設計
3D-CAE
メカ、エレキ、ソフト
コスト、リスク、・・・
動く(機力)
支える(材力)
冷やす(熱力)
流す(流力)
・・・
・・・
メカ
3D-CAD
メカ
設計の流れ
3D:構造は分かるが機能は見えない
設計の起点
全体適正設計
1DCAE:機能を考える
仕様(機能→形)
結果(機能検証)
3D-CAE:形を考える
個別最適設計
1D:構造は分からないが機能は見える
製品分野の分類(東芝の場合)
1DCAEの言葉による定義
Mass production
(not specified customer)
•シンプルなモデルをベースに、全体を俯瞰した全体設計
を具現化する考え方。上流段階から適用可能な設計支
援の考え方、手法、ツール。
• 1Dは特に一次元であることを意味しているわけではなく、
『物事の本質を的確に捉え、見通しの良い形式でシンプ
ルに表現』することを意味する。
• 1DCAEにより、設計の上流から下流までCAEで評価可
能となる。
•ここで言うCAEはいわゆるシミュレーションだけでなく、
本来のComputer-Aided Engineeringを意味する。
Proven product
Short TTM
Better 設計
Delight 設計
Small scale
Large scale
($)
($$$$)
Must 設計
New product
Small-lot production
(specified customer)
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Long TTM
Three kinds of design
1DCAE for Better Design
Customer satisfied
Emotion
Cost & Performance
“Delight” design
“Better” design
Design Conception
Mass production & Mass consumption
Emotional products from here
Endless cost competition
Requirement
fulfilled
Requirement
not fulfilled
Reliability
“Must” design
Design Assurance
Much troubles from here
~医用機器のコスト最小化~
Customer dissatisfied
1DCAEによる提案手法
3D-CAD/CAEを基本とした従来手法
各区間の板厚
50
45
40
35
30
Thickness
初期値
Initial
25
20
15
10
5
0
最適化(1)
Opt.1
最適化(2)
Opt.2
設計案
Final
0
500
1000
1500
2000
Length
水平位置 [mm] ⇒ ガントリ方向
2500
3000
性能予測
コスト予測
コスト
厚さ[mm]
実機検証
アイディア
創出
・抜け漏れなく
多くのアイディアを創出
・各アイディアの
性能&コスト評価
形状最適化による大幅な重量削減
→ただし、コスト削減は10%以下
アイデア創出の手順
機能
上がる
下がる
構造
30のアイデア
9のアイデア
水平に
移動
メカ・エレキ・ソフト統合解析
当該分野だ
けでなく広く
過去の事例、
ノウハウから
抽出
33のアイデア
設計の基本
製造の基本
設計理論
(Nam Suhの設計公理)
実現可能性も考慮して性能を維持して
大幅なコストダウンが可能なアイデアを抽出
Mech./Elec./Soft. Analysis
物理モデルシミュレーション
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1D⇔3Dのデータの流れ
System simulation
1DCAEによる提案手法
FEM results (displacement, stress)
M,K,C
Equivalent
mechanical
M,K,C
構造の検証
software
electrical
全体適正化
機能の検証
1D
FEM meshing
Rotational speed
Torque
Optimized
M,K,C
3D
Displacement
個別最適化
Performance estimation results
Detailed design by 3D-CAD
1DCAE for Delight Design
全体適正設計(1D)と個別最適設計(3D)の
併用により40%のコスト削減を実現
Product sound quality design
Comfortable Sound Maximization
for Home Appliance
1DCAE for Must Design
システム解析
Risk analysis by System simulation
リスク解析
自動化
Risk Minimization for Social Infrastructure Products
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1DCAEプロセス
1DCAE検証プロセスは
ツールで支援可能
現象を本質的に理解して
いるとより効果的
1DCAE
(全体適正設計)
3D-CAE
System
Modeling Simulation
(個別最適設計)
メカ設計
個別V&V
Better Design
1DCAE for Must Design
Delight Design
システムV&V
Concept
Generation /
Thinking
エレキ設計
ソフト設計
製品
意匠設計
・・・・
SysML
Modelica
CAD/CAE
1DCAE思考プロセスは技術者の資質に左右される
現象を本質的に理解していることが技術者には求められる
狩野モデルと3つの設計
1DCAEは目的により構成が異なる
1DCAEの定義
•狭義の定義:System Simulationをコアに機能をモデ
ル化、解析可能とし、構造設計(3D-CAE)と連携するこ
とにより、設計上流から設計下流まで一気通貫で製品
開発する仕組み。
•広義の定義:製品開発を思考プロセスと検証プロセスに
分け、思考プロセスでは対象とする製品(システム)の開
発目標を設定、これに則ってコンセプト創出、モデル化
(物理モデル以外も含む)を実施、検証プロセスでは広
義のSystem Simulationによる全体適正設計と3DCAEによる個別最適設計を実施、これらによりコンセプ
ト創出、革新的製品開発を実現する仕組み。
1DCAEの課題とその方策
顧客満足
Delight設計
(魅力品質)
琴線に触れるものを創る
Better設計
(性能品質)
安く早く作る
要求不充足
要求充足
Must設計
(あたりまえ品質)
きちんと作る
顧客不満足
1DCAEの鍵は下記の二つの能力を
いかに育成するかにかかっている
•アイデアを考え、現象を理解し、モデル化し、運動方
程式を導出し、実際にシステムシミュレーションで解
析する道筋は容易ではない
•現在のシステムシミュレーションツールは現象の理解
が不十分でも使用することは出来るが、1DCAEとし
ての十分な効果は発揮できない
•ものを見て現象を理解すると言う基本(機械分野で
は4力)が1DCAEの課題を解決する唯一の方策
•物理モデルシミュレーションが1DCAE実現の強力な
ツールとしてさらに進化するにはツール自体の高度
化とその裏に潜む物理現象理解のための工学基礎
教育との連動が必須
実体
実体
モデリング
もの(構造)から機能を
モデリング
考える
[シミュレーション]
実体化
機能から
もの(構造)を考える
[設計]
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実体化
“材料”
“熱”
実体
実体化
モデリング
“動き”
“流れ”
現象の理解
(物理的把握)
数学的記述
と数理解析
解析ツール
(数値解析)
“流れ”
流体力学
CFD
言葉で現象を説明
数式で現象を記述
計算機(実験)で
現象を数値化
“なぜ飛行機は浮くのか”
“流れ”
流体力学
CFD
“磁気”
“電気”
現象の理解
(物理的把握)
数学的記述
と数理解析
解析ツール
(数値解析)
“動き”
機械力学
MBD
言葉で現象を説明
数式で現象を記述
k(=mgR)
Ip1
c
計算機(実験)で
現象を数値化
現象の理解
(物理的把握)
数学的記述
と数理解析
解析ツール
(数値解析)
“材料”
材料力学
FEM
言葉で現象を説明
数式で現象を記述
計算機(実験)で
現象を数値化
Ip2
T
Equation of motion
T
Ip2
T
Ip1,m1
R
cg1
Ip1  Ips  mR 2
 Ip11  mgR sin 1  c 1  2  T

Ip22  c 2  1  T





MSC HPより引用
“なぜ車は走るのか”
“動き”
“材料”
機械力学
材料力学
FEM
MBD
現象の理解
(物理的把握)
数学的記述
と数理解析
解析ツール
(数値解析)
現象の理解
(物理的把握)
数学的記述
と数理解析
解析ツール
(数値解析)
“流れ”
流体力学
CFD
“流れ”
流体力学
CFD
“材料”
材料力学
FEM
“材料”
材料力学
FEM
“熱”
熱力学
CFD
FEM
“熱”
熱力学
CFD
FEM
“動き”
機械力学
FEM
MBD
“動き”
機械力学
FEM
MBD
真の4力
現状の4力教育
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 9 −
現象の理解
(物理的把握)
数学的記述
と数理解析
解析ツール
(数値解析)
“流れ”
流体力学
CFD
“材料”
“熱”
“動き”
材料力学
熱力学
機械力学
1DCAE概念に基づく
ものづくり設計教育プログラム
CFD
FEM
FEM
MBD
1DCAE概念に基づく
ものづくり設計教育プログラム
導入
1DCAEの考え方
本プログラムの目指すところ
基礎
実際のモノづくりの視点から
原理原則の捉え方
4力(機力、熱力、流力、材力)+非力学
事例
従来の考え方と1DCAEの考え方を比較
上流設計、複合領域設計、等々
実習
テーマを設定してデザイン
デザイン環境は提示(CAD/CAE/他)
実習を通して種々の手法を教える
1DCAE概念に基づく
ものづくり設計教育プログラム
基礎
1DCAEの考え方
本プログラムの目指すところ
基礎
実際のモノづくりの視点から
原理原則の捉え方
4力(機力、熱力、流力、材力)+非力学
事例
従来の考え方と1DCAEの考え方を比較
上流設計、複合領域設計、等々
実習
テーマを設定してデザイン
デザイン環境は提示(CAD/CAE/他)
実習を通して種々の手法を教える
FEM
1DCAE概念に基づく
ものづくり設計教育
導入
導入
1DCAEの考え方
本プログラムの目指すところ
実際のモノづくりの視点から
原理原則の捉え方
4力(機力、熱力、流力、材力)+非力学
電気・機械系
事例
従来の考え方と1DCAEの考え方を比較
上流設計、複合領域設計、等々
企業での適用事例
実習
テーマを設定してデザイン
デザイン環境は提示(CAD/CAE/他)
実習を通して種々の手法を教える
第一弾
No.12-00 講習会 「1DCAE概念に基づくものづくり設計教育
(導入・基礎~1DCAE設計のための4つの力学)」
開催日 2013年7月29日(月)~30日(火)
1日目 7月29日(月)
1. 9:00~10:00 「導入:1DCAE概念に基づくものづくり」
株式会社 東芝 大富浩一
2. 10:00~12:00 「事例:クルマで学ぶ物理学」
芝浦工業大学 教授 古川修
3. 13:00~15:00 「基礎:1DCAE設計のための材料力学」
東京大学 准教授 泉聡志
4. 15:00~17:00 「基礎:1DCAE設計のための熱力学」
東京都市大学 教授 横堀誠一
2日目 7月30日(火)
5. 10:00~12:00 「基礎:1DCAE設計のための流体力学」
東京大学 教授 加藤千幸
6. 13:00~15:00 「基礎:1DCAE設計のための機械力学」
東京大学 教授 金子成彦
7. 15:00~16:00 「実践:1DCAE概念に基づくものづくり」
株式会社 東芝 大富浩一
第二弾
1日目 2月6日(木)
1. 10:00~11:00 「導入:1DCAE 概念に基づくものづくり総論」(株)東芝 大富浩一
2. 11:00~12:00 「基礎:1DCAE と機械製品における材料設計」
(株) 日立製作所 山崎美稀
3. 13:00~15:00 「基礎:1DCAE のための電気・機械系の力学とモデル化」
東京工業大学 名誉教授 長松昭男
4. 15:00~17:00 「応用:例題に基づく1DCAE 設計演習」
(株)東芝 大富浩一
2日目 2月7日(金)
5. 9:00~12:30 「事例:企業における1DCAE 設計への取組み」
5.1「開発組織間連携を促す1DCAE」 トヨタ自動車
(株)沢田龍作
5.2「気付きを起こし解決に導く1DCAE」
(株)IHI 呉宏堯
5.3「原理原則に基づくファン設計のための1DCAE」
(株)日立製作所 杉村和之
5.4「顧客の声を製品設計に反映する1DCAE」
ソニー(株)関研一
6. 13:30~15:30 「実習:1DCAE を実際にやってみよう」(株)日立製作所 山崎美稀
7. 15:30~16:30 「事例:1DCAE の動向(1DCAE とMBD、1DCAE と3D-CAE/CAD)」
(株)東芝 大富浩一
8. 16:30~17:00 質疑応答
17:30- 交流会
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 10 −
1DCAEの適用手順(設計演習)
1DCAE思考プロセス
目標
Concept
Generation
価値
Modeling
System
Simulation
機能
Worth
①価値
Quiet
Long life
Function
③構造
CPU
Memory
Graphics chip
Display
Hard disc drive(HDD)
Battery
CD/DVD
Noise
Rigidity
Power consumption
Long term use
Fun of ownership
Affordable
Reliable
Convenience
Usability
Portability
Expandable
Trustworthy
Color
Good design
Structure
②機能
Computing speed
Imaging speed
Sound
Size
Cooling system
Communication kit
Interface
Keyboard
Pointing device
Loud speaker
Power supply
Chassis
Mother board
Connector
Step2
どう実現
するの?
Step3
ものとして
成立するの?
Operating system (OS)
Application software
Customer service
Brand image
動き(音、振動)
人間工学を
考慮した持ち手
高域を抑え
雑な音がしない
音創り
材料(材質)
見た目に拘る
製品
CAD/CAE
要求仕様の決定
コンセ プト生成/選択
試験計画の作成
製造装置の手配・購入
試作モジュールの設計
試作モジュールの製作
試作モジュールの試験
製品モジュールの設計
製品モジュールの検証
型設計
型の製作
型の手直し・修正
組立用工具の設計
量産開始
Weight
Good image
Eco-friendly
材料(重さ、触感)
構造
Step1
High quality
髪の毛を早く
優しく乾かす
1DCAE検証プロセス
何を創るの?
High performance
熱、流体
(ヒータ、ファン)
Industrial design
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M
N
A B C D E F G H I
A
X B
X X C
X
X D
X
X X
E
X F
X
X X G
X X
X
X H
X
I
X X
X X
X
J K L M N
X
X
X
J
X
X K
X
X X L
X
X
M
X
X
N
“流れ” “材料” “熱” “動き”
X
Step4
ちゃんと
作れるの?
髪の毛に空気を送る
↓
必要な流量(圧損)
↓
ファン形式の決定
(1D)
↓
ファン形状の決定
(3D)
物を収める
↓
必要な機能
↓
筐体方式の決定
(1D)
↓
筐体形状の決定
(3D)
空気を暖める
↓
必要な熱量
↓
ヒータ方式の決定
(1D)
↓
ヒータ形状の決定
(3D)
音振動をデザイン
↓
必要な機能
↓
全体構成の決定
(1D)
↓
全体構造の決定
(3D)
44
髪の毛に空気を送る
↓
必要な流量(圧損)
↓
ファン形式の決定
(1D)
↓
ファン形状の決定
(3D)
物を収める
↓
必要な機能
↓
筐体方式の決定
(1D)
↓
筐体形状の決定
(3D)
“流れ”
高域を抑え
雑な音がしない
音創り
髪の毛を早く
優しく乾かす
空気を暖める
↓
必要な熱量
↓
ヒータ方式の決定
(1D)
↓
ヒータ形状の決定
(3D)
“材料”
見た目に拘る
ファンの仕様は?
(流量、静圧)
ファンの形式
(大きさ)
人間工学を
考慮した持ち手
音振動をデザイン
↓
必要な機能
↓
全体構成の決定
(1D)
↓
全体構造の決定
(3D)
“熱”
強度、形状
熱特性
筐体方式
(材料の選定)
“動き”
人間工学を
考慮した持ち手
髪の毛を早く
優しく乾かす
乾かすのに
必要な熱量
高域を抑え
雑な音がしない
音創り
ヒータ形式
(容量、材料)
音振動の
伝達経路
音振動
熱の有効利用と断熱
周波数
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 11 −
音振動を最適化
する全体構成
熱、流体
髪の毛を早く
優しく乾かす
熱、流体
材料(重さ、触感)
動き(音、振動)
人間工学を
考慮した持ち手
高域を抑え
雑な音がしない
音創り
(ヒータ、ファン)
材料(材質)
見た目に拘る
“流れ” “材料” “熱” “動き”
物を収める
↓
必要な機能
↓
筐体方式の決定
(1D)
↓
筐体形状の決定
(3D)
髪の毛に空気を送る
↓
必要な流量(圧損)
↓
ファン形式の決定
(1D)
↓
ファン形状の決定
(3D)
(ヒータ、ファン)
髪の毛を早く
優しく乾かす
(ヒータ、ファン)
髪の毛を早く
優しく乾かす
熱流体系
エレキ系
高域を抑え
雑な音がしない
音創り
材料(重さ、触感)
動き(音、振動)
人間工学を
考慮した持ち手
高域を抑え
雑な音がしない
音創り
“流れ” “材料” “熱” “動き”
←アンバランス振動伝達
支持系
髪の毛に空気を送る
↓
必要な流量(圧損)
↓
ファン形式の決定
(1D)
↓
ファン形状の決定
(3D)
支持系
音響系
構造共鳴
管共鳴
物を収める
↓
必要な機能
↓
筐体方式の決定
(1D)
↓
筐体形状の決定
(3D)
空気を暖める
↓
必要な熱量
↓
ヒータ方式の決定
(1D)
↓
ヒータ形状の決定
(3D)
51
1DCAEの適用手順(実際)
1DCAE思考プロセス
Concept
Generation
価値
Modeling
1DCAE検証プロセス
System
Simulation
機能
CAD/CAE
①価値
High performance
Quiet
Function
Structure
②機能
③構造
Computing speed
Imaging speed
Sound
CPU
Memory
Graphics chip
Display
Hard disc drive(HDD)
Battery
CD/DVD
High quality
Noise
Rigidity
Power consumption
Long life
Long term use
Fun of ownership
Affordable
Convenience
Usability
Portability
Reliable
Expandable
Cooling system
Communication kit
Interface
Keyboard
Pointing device
Loud speaker
Power supply
Chassis
Mother board
Connector
Trustworthy
Color
Good design
Size
Modelica
Step2
どう実現
するの?
Operating system (OS)
Application software
Weight
Good image
Customer service
Eco-friendly
Brand image
Industrial design
WFS Map
SysML
ダイアグラム
振る舞い図
シーケンス図
アクティビティ図
要求図
ユースケース図
状態マシン図
要求仕様の決定
コンセプト生成/選 択
試験計画の作成
製造装置の手配・ 購入
試作モジュールの 設計
試作モジュールの 製作
試作モジュールの 試験
製品モジュールの 設計
製品モジュールの 検証
型設計
型の製作
型の手直し・修正
組立用工具の設計
量産開始
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M
N
A B C D E F G
A
X B
X X C
X
X D
X X
E
X F
X
X X G
X X
X
X
X
X
X X
H
おわり
J K L M N
X
X
X
X
J
X
X K
X X L
X
M
X
X
N
I
X
X
X
X
I
X
H
DSM
Step3
ものとして
成立するの?
1D Modeling
構造図
ブロック定義図
製品
構造
Step1
何を創るの?
Worth
パッケージ図
内部ブロック図
パラメトリック図
SysML
3D Printer
VR
Step4
ちゃんと
作れるの?
FTA/FMEA
Evaluation Grid Method
材料(材質)
見た目に拘る
DCモータ
回転体
目標
材料(材質)
見た目に拘る
Simulation Model for Components
熱、流体
System Simulation Model
動き(音、振動)
人間工学を
考慮した持ち手
“流れ” “材料” “熱” “動き”
音振動をデザイン
↓
必要な機能
↓
全体構成の決定
(1D)
↓
全体構造の決定
(3D)
空気を暖める
↓
必要な熱量
↓
ヒータ方式の決定
(1D)
↓
ヒータ形状の決定
(3D)
材料(重さ、触感)
QFD
TRIZ
System Simulation Tool
(MBS)
3D-CAD/CAE
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 12 −
音振動をデザイン
↓
必要な機能
↓
全体構成の決定
(1D)
↓
全体構造の決定
(3D)
産業界で胎動する1DCAE への動き
ニュートンワークス(株)
和久井伸栄
発表要旨
グローバルなボーダーレスの市場の中で近年産業界においては市場ニーズに適応し
た革新的な製品開発を目指して製品開発プロセスを従来の設計手法から1DCAE を
用いた製品開発プロセスを採用しようとしている。CAE はすでに産業界では当然の
設計支援ツールとして定着しているが、これらの CAE は3D を前提とした CAE で
あり『形を作る』事から CAE を進めてきた。ユーザが求める製品の価値を分析して
形状以前の『機能を考え』、製品の価値・機能を詳細化し、その実現性を検討する1
DCAE を採用する企業が多くなってきている。
1DCAE の基本的な機能構成にはシステム解析・物理モデリング・マルチドメイン
のキーワードがあり、これと最適化のアプローチが密接に連携し商品開発のスピード
を加速しようとしている。
本事例紹介では産業界で進める 1DCAE の具体的なソフトウエアの機能と特徴を
紹介するとともに、適用する上での考え方(ヒント)を紹介していく予定である。
1DCAE はシステム全体を表現し、機構から制御までをモデル化の対象としている
ので広範囲なモデル化が不可欠となる。その為に使いやすさが不可欠であり、簡便に
結果を出力してくれる。しかし、その結果は3DCAE が形状を前提にする FEM がそ
うであるように、それなりの妥当性のある結果を出力してくれるのと対照的に適切な
パラメーターを入れなければ無意味な結果が出力される。その意味では、従来の3
DCAE 以上にモデル化に対する考え方が重要であり、現象を洞察する力、メカニズ
ムを正しく理解している事が不可欠となる。そのような基本前提の上に1DCAE の
本来の有効性が最大限に発揮される。
具体的な事例としてエアコンのコンンプレッサーのモデル化をサンプルにして、3
DCAE のモデル化との違い、モデル化の対象、モデル化の手法を具体的に紹介した
いと考える。1DCAE を適用しての商品化の流れが将来的な産業への発展にどのよう
な関連性があるのかをイメージできたら幸いである。
当社が扱う 1DCAE のソフトは単なるツールであるが、単なるツールもそれを利用す
るエンジニアのアイデアと能力(知識)そして情熱があれば無限に広がる可能性を内
包していると考える。1DCAE は可能性を最大化する為の考えるツールであり、エン
ジニアを支援するツールである事を紹介する。
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 13 −
内容
1.ニュートンワークス会社説明
2.1DCAEの必要性と制御連携(メカトロ)
3.1DCAE適用分野と全体像
産業界で胎動する1DCAEへの動き
4.物理モデリングとモデリングアプローチ
第8回エンジニアリング・デザインワークショップ
5.1DCAEと3DCAEの比較
6.1CAEのモデリングサンプル
ニュートンワークス(株)
代表 和久井伸栄
7.おわりに
[email protected]
1
会社概要
2
設計空間とフロントローディング
CAD統合型
ハイエンド プリ・ポスト
3次元CAD・CAE
CAE&最適化アプローチ
NX-Nastran (振動解析)
非線形FEM(マルチフジックス)
商品価値
設計自由度
設計品質
物理モデリング・システム解析
非線形FEM
構造/熱/流体 解析
CAD・CAM・CAE以前
設計変更許容範囲
設計変更許容範囲
設計検討
・性能
・操作性
・防振性
物理モデリング
System Simulation
(例:エアコン)
・構造強度 ・品質
・組立性
・成形性
・コスト
コンカレントエンジニアリング
形状がない段階
機能試作
技術試作
TP
概念設計
MP
設計改良プロセス
3
商品化 (洗濯機)のトレンド
4
1DCAEとは
(株)東芝
大富 浩一氏
NWC 第6回システムシンポジューム講演より
開発完成度
100%
開発における機構的割合 (イメージ)
ソフト(マイコン)の割合
機械的な割合
洗濯機 (三種の神器 )
1930年代
1980年代
現在
各社
ホーム
ページ
より
1930年国産初
(東芝)
1950年代噴流式
(Sanyo)
1960年代2層式
(Sanyo)
1970年代全自動
(Sanyo)
2013斜めドラム式
(Sanyo)
現在ドラム式
(日立)
1DCAE≒ 全体適正設計へのアプローチ
5
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 14 −
6
1DCAEの製品設計への適用
1DCAEを活用する産業
(株)東芝
大富 浩一氏
NWC 第6回システムシンポジューム講演より
医療
物流装置・ロボット
精密機器
建設機械
自動車
航空機
発電・エネルギー
油田開発
次世代住環境
産業機器
鉄道
造船
7
1DCAE (SimulationX)事例ー車両全体モデル
拡がる1DCAEの活用事例
自動車
・4輪車のビークルモデル
・コントロールクラッチ作動システム
・ギアボックスモデル
・デュアルクラッチトランスミッション
・自動トランスミッションシステム
・自動トランスミッション用油圧システム
・二輪車ドライブラインシステム
・シートベルトセンサー
・アンチロックブレーキシステムモデル
・トラックブレーキシステム
・エアサスペンションシステム
・ショックアブソーバー(サスペンション)
8
重工業/建機/電気/精密
・風力プラントデザイン
・風力発電システム
・造船駆動装置および艤装装置
・建設機械モデル
・油圧式可動橋[跳開橋]
・エレベーターシステム
・タワークレーン巻上げ装置
・軌陸車モデル
・掘削機システム
・コンクリートポンプ車
・金属スクラップ設備
・油田-SSR/GSRシステム
大型トレーラー(車両全体モデル)
・OA機器
・光学機器
・FA装置・自動化ロボット
・半導体製造装置
・油圧式ステアリングユニット
・プラスチック成型機システム
・エアコンシステム
・冷凍装置
・燃料セルシステム
・地域エネルギーマネージメント
・航空機-エンジン
・航空機-尾翼作動システム
・サーマルシステム・ボイラー・冷却
• 物理モデリング
• システムシミュレーション
• マルチドメイン
9
1DCAE (SimulationX)事例ードライブライン
10
1DCAE事例ー風量発電事例
SimulationX
ブレードモデル
11
SimulationX
ドライブトレイン
モデル
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 15 −
SimulationX
発電機モデル
12
物理モデリングによるモデル化
マルチドメイン
球
外力
物理モデリング
球
バネ
Hydraulics
Thermal
1D/2D Mechanics
Pneumatics
Thermal Fluid
Power
Transmission
Algorithms/
Equations
Magnetics
Multi-body Systems
Controls
Electronics
SimulationX
⇒直観的かつ効率的
⇒双方向接続 (Connection内にて物理量を伝達)
⇒機構、油圧、エア、熱、電子等の物理モデルに適用
信号制御モデリング
⇒信号フローによるモデリング
⇒一方向接続
⇒制御システムに適用
方程式モデリング
⇒数学モデルをプログラミング
⇒抽象化と物理方程式が必要
SimulationX
Simulink etc
Simulation
Matlab etc
13
マルチドメインの豊富なライブラリー
Domain
14
1DCAEのモデル作成手順
直感的なモデル操作でモデルを作成
SimulationX Model Elements (Samples)
Signal Blocks
(制御)
ドラッグ&ドロップで配置
Mechanics
(機構系)
Powertrain
(駆動系)
Ele-Mech
(エレメカ系)
Magnetics
(電磁場系)
クラッチのパラメータ入力画面
Pneumatics
Hydraulics
Thermo
(熱流体系)
 ドラッグ&ドロップやクリックによりパラメータ変更ができるなど設計者が直感的で簡単な操作を実現
微分方程式など制御ソフト内で記述していたものが、各エレメント内部に組み込まれているのでエレ
メントを並べていく事で簡単に物理(プラント)モデル構築が可能
TypeDesiner :Modelicaによる開発環境(カスタマイズ機能)を提供
Modelicaは物理モデリング言語であり、豊富なフリーソフト
15
モデリングの理論的バックグランド
16
SimulationXの解析ソルバー
On line Help ファイルを各エレメントに用意
1) Time functions and phase space plots, momentary displays
物理的、数学的な背景 (エレメントの数式モデルetc)を記載
モデリングやシミュレーションのヒントも掲載
2) Spectra and frequency responses
3) Natural frequencies, energies, and mode shapes
4) Order analysis
5) Stationary (frequency-domain) simulation
Signal
Engine Speed
Engine Speed
Frequency
Frequency
17
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 16 −
18
モデル化(3DFEM VS 1DCAE)
弁の形状寸法
レシプロ型コンプレッサ
吸気側弁仕様
吸気
弁
排気
弁
吸気
弁
排気側弁仕様
排気
弁
シリン
ダ
ピスト
ン
ADINA-FSI
CADモデル
モデル
化
計 算
SimulationX
比
較
19
ADINA-FSI
非線形構造解析プログラムADINAの流体-構造相互作用解析モジュール
モデルの構造と条件
解析モデル概要
コンプレッサー
CADモデル
Piston Stroke
Piston Stroke [mm]
吸気
排気
流体モデル
排気側
ピストン
0
-2
-4
-6
-8
-10
-12
-14
-16
-18
0.0000
0.0083
0.0167
0.0250
Time [sec]
0.0333
0.0417
0.0500
吸気側
構造モデル
レシプロ型コンプレッサ
排気弁
ピストン 運転条件
初期温度及び圧力
ピストンストローク:16[mm]
回転数
: 3600[rpm]
弁材質
: S45C相当
作動流体 : HFC134a
温度・圧力依存を考慮
排気側境界
シリンダー側
吸気弁
吸気側境界
22
FEM−FSI計算結果
吸気側 流線
1Dモデル化(吸排気弁)
排気側 流線
R
w
h
R : 弁の半径
w : 弁の幅
h : 弁の厚さ
L : 荷重点距離
d : 吐出ポート半径
F : 弁に掛かる力
P : 圧力
d
L
F  P  d 2
L
F
 2 L3
最大たわみ : x 
6 EI
(単純支持梁の理論式)
吸気側 弁応力
排気側 弁応力
断面2次モーメント : I 
1
wh 3
12
弁の相当バネ定数 : K 
F
F
3EI

 3
F
x
L
 2 L3
6 EI
w : 10mm
h : 0.2mm(吸気) 、 0.3mm(排気)
L : 7mm
d : 4mm
24
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 17 −
1Dモデル化(吸排気弁)
1Dモデル化(吸排気弁:開孔)
※弁の長さは圧力による力が作用する点までの距離
入力パラメータ
x2
吐出弁
吐出部
内部計算式
圧力と受圧面積による弁に与える力
出力パラメータ
  arcsin
吸気、排気ポートの当たりの設定
x
L
x
F
 2l 3
最大たわみ : x 
(単純支持梁の理論式)
6 EI
最大たわみ角度 :
(単純支持梁の理論式)

F
l2
2 EI
シリンダ室内では、フリーで変位可能
弁の相当バネ定数 :
St  2d tan
Sb  2d  ( L  d ) tan
S  St  Sb
※左記の式より弁の弾性をバネ定数に変換
A
cos 
d
吐出部から吐出弁に対し
て投影した図形の表面積
を、弁の開孔面積と考え
る。
x2
2
F
F
3EI

 3
F
x
l
 2l 3
6 EI
k
(Springエレメントに入
力)
A' 
L
流体流入・流出ポートには、当たりを設定
1 3
bh
断面2次モーメント : I 
12
受圧面積 :
x1  L  d , ( L  d ) tan 
x2  L  d , ( L  d ) tan 
x1
 2dL tan 
St
2d tan
Sb
2 d
26
SimulationX モデル
<吸気側>
圧力:300[kPa]
温度:285[K]
SimulationXとADINA-FSI 結果比較
<筒内>
圧力:820[kPa]
温度:320[K]
シリンダ及びピストン
【計算時間】 ADINA:約25時間、SimulationX:約20秒
<排気側>
圧力:880[kPa]
温度:370[K]
差圧算出
弁特性計算
吸気側弁
シリンダ内 圧力
シリンダ内 温度
吸気弁 変位
排気弁 変位
弁質量
力=差圧×受圧面
積
排気側弁
エアコン全体モデルのサンプル
28
27
SimulationXによるエアコン全体モデル
コンデンサー
CABIN内の温度変化 及び Evapo・Condens出入口温度変化
膨張弁
コンプレッサー
エバポレーター
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 18 −
SimulationX ロータリコンプレッサ 動き
エアコンコンプレッサー
<ロータ回転による吸入・突出過程 概略図>
突出ポート
吸入ポート
0deg
45deg
90deg
135deg
Vaneが1枚(部屋が2個) タイ
プのロータ
180deg
Housi
ng
shaf
t
roto
r
225deg
270deg
315deg
※吸入(青)、突出(赤)
※吸入と突出は同一回転で行なわれる (吸入しながら突出する)
vane
※突出側は圧縮されているため、吸入側よりも圧力が高い。
360deg
※静岡大学工学部 柳沢・福田両先生研究室より
31
SimulationX ロータリコンプレッサ 計算式
SimulationX ロータリコンプレッサ 結果
<概略図の幾何形状より容積変化を算出する計算式 (1回転当たり)>
R
e
θ
S
r
シリンダ内圧力の結果
面積:S
Housing半径:R
容積:V=S×H
Rotor半径:r
Rotor受圧面積:A
Rotor偏心量:e
圧縮圧力:Pcomp
Rotor回転角:θ
シリンダ内圧力の結果
拡 大
Rotor(Housing)高さ:H
A(赤色カーブ)

1
 

S 
・R 2  
・r 2  ・e・sin ・x 
2
2
 2

 e・sin  
  sin 1 

 r 
   
シリンダ容積変化
x  e・cos  r・cos 
A  r・H・
 

2
圧縮圧力によるトルク Tg  e・Pcomp・A・sin
SimulationX ロータリコンプレッサ モデル
SimulationXによるエアコン全体モデル
作動流体:R134a
偏心ロータ
ロータ内部 諸元
CABIN内の温度変化 及び Evapo・Condens出入口温度変化
モータ
計算式を記述
膨張・圧縮を表現
吸気弁
排気弁
Pipe
圧縮圧力による
トルクの算出
※吸入しながら突出するモデルのため、上記のように二つの回路が必要
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 19 −
SimulationX 偏心ロータによる振動モデル(3D)
最適化のワークフロー
<MBS-Mechanicsを使用した、偏心ロータ部のモデリング>
回転軸
トルク
拘束条件
偏心ロータ
アンバランスマス
固定値
ベアリング
SimulationX
ノード
両端点のズレ
モータ部
防振ゴム
<Rotor回転数
と筐体の振動>
拘束条件
相関(波形全体
の誤差)
入力変数
※モータのトルクを回転軸に与え、偏心ロータを回転させる
寄与度解析結果
出力変数
38
内容
TOYOTA Smarthome ページより
39
Smart homeアプリケーション
ご静聴ありがとうござました。
41
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 20 −
40
1DCAEによるシステム設計 (1/2)
第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」
工学院大学,2014年2月22日
効率的/効果的なシステム設計手法の確立を目指して
 対象物の特徴を適切な複雑さで捉え,システム全体を鳥瞰できるスキル
 ツールの活用を前提とした,理論的背景の理解
実験装置を用いたシステム設計課題の
開発と教育実践
1DCAE
製造業におけるシステム設計を効率的・効果的に
進めるための考え方の提案
信州大学 工学部 機械システム工学科
千田有一([email protected])
池田裕一([email protected])
Shinshu University
第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」,工学院大学,2014年2月22日
by 大富浩一氏((株)東芝研究開発センター)
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1DCAEによるシステム設計 (2/2)
システム設計における問題点 (1/2)
システム設計における問題点(1)
1DCAE
多くの機械システムの設計 ⇒ 複雑化
 システム設計の手続きを5つの設計フェーズ(概念・機能・配置・構造・製造)で
はじめから詳細設計はできない(不合理)
 概念設計から構造製造設計までをシームレスなアプローチで効果的な設計を
捉える
【例】 設計初期から3D-CADは使わない(使えない)
目指す
 各設計フ
各設計フェーズで利用するシステムモデルを適切な複雑度で選択し,一貫して
ズで利用するシステム デルを適切な複雑度で選択し, 貫して
システムの目的とその全体像を意識する
各設計フェーズ(概念,機能,配置,etc)ごとに,詳細度が異なる
1DCAEの考え方
目的に応じた複雑さで対象の特徴を捉えることが重要
 製造業の現場では自然に体得
対象物の特徴を適切な複雑さで捉え
システム全体を鳥瞰できるスキルが必要
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 大学の教育現場では,その考え方を教育できる
状況になっていない
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システム設計における問題点 (2/2)
大学におけるシステム設計教育の難しさ (1/2)
システム設計における問題点(2)
大学におけるシステム設計教育の難しさ(1)
機械系のシステム設計の複雑化 ⇒ 様々なツールを利用
(そもそも)必要性の認識が無い
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【例】 動解析ツール(Maple,MapleSim,SimulationX,ADAMS,・・・)
 (企業、大学)大学では基礎を学び、実践は会社で
適切に活用すれば非常に有効
 (大学)卒業研究等での課題だけで十分その役割を果たしている
理論的背景を理解していなければ,良い結果は得られない
現状の大学教育に欠落している?
【例】 計算結果に間違いはないか? ← 前提条件は何か?
【例】
 制御技術者は制御対象が与えられるものだと考えている
ツールの活用を前提として,
理論的背景の理解が必要
 本来の目的は「制御」ではない(「目的」と「手段」の誤認識)
教育によって啓発すべきでは?
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大学におけるシステム設計教育の難しさ (2/2)
開発すべきシステム設計課題 (3/3)
大学におけるシステム設計教育の難しさ(2)
演習課題に組み込む内容
やろうとしても難しい
(1) 概念設計によって与えられた仕様を具現化して機能設計を行う練習
(2) 粗い計算によって機能設計の妥当性を検証する方法の考え方の練習
 問題設定が難しい(実際的なシステム設計の経験)
 横断的な技術課題(他分野の専門知識が必要)
(3) 運動方程式等の簡単な机上モデルの作成の練習
 授業で扱うことの出来るお手軽な課題が見あたらない
(4) 動解析ソフトウェアなどでモデル化する際の考え方と簡略モデルの
考え方の練習
(5) 動解析ソフトウェアなどで得られた応答に基づき,設計モデルの
妥当性検証方法の考え方と練習
大学授業で扱えるシステム設計教育用ツールの必要性
1DCAEの考え方を踏まえ,システム制御設計の実例を通して
(6) モデルのパラメータを推定する方法の練習
その考え方の一端を体得できる教育用ツールの開発を目指す
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(7) 実験システムを対象とした制御系設計と応答評価の練習
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開発すべきシステム設計課題 (1/3)
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3慣性軸ねじり振動系(1/2)
開発すべきシステム設計課題(目標)
弾性体2
(1) システム設計から,モデリング,制御系設計を通して考える
剛体2
?
- システム設計:概念設計から要素設計を体験
剛体1
?
- モデリング:目的に応じたモデル詳細度の考え方を体験
- 制御設計:性能達成手段は制御系設計だけではないことを認識
エンコーダ
剛体3
弾性体1
(2) ソフトウェア活用の考え方の体得
カップリング
- 使用目的と結果の考え方(予測手段)
- ツール活用スキルではない
(3) 実験による検証が可能
サーボモータ
「機械力学」,「材料力学」,
「制御工学」などを総合的
に活用
- 実験結果を見て再び考える
複合領域の課題
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開発すべきシステム設計課題 (2/3)
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3慣性軸ねじり振動系(2/2)
3慣性軸ねじり振動系の仕様
目標とする演習課題
イナーシャ
(1) 概念設計から始まるシステム設計の考え方を踏襲
ねじりばね定数
(2) 実験装置を対象として,実応答が確認できる
ベアリング粘性摩擦
(3) 計算機を用いて性能予測/評価が行える
各イナーシャの角度
制御トルク
物理パラメ タ
物理パラメータ
 容易に扱える実験装置を対象とする
⇒ 軸捻じり振動系の採用
 理論的見地から得られるシステム予測性能
を,計算機プラットフォームによって効率的・
効果的に行う
⇒ 動力学・制御系の同時解析が可能な
MapleSimをベースとする
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2.95×10-2 [kgm2]
0.038 [Nms/rad]
3.36×10-2 [kgm2]
1×10-2 [Nms/rad]
3.36×10-2 [kgm2]
0.0234 [Nms/rad]
ばね定数Kは
設計パラメータ
イナーシャの物理パラメータ
質量[Kg] 半径[mm] 厚さ[mm]
軸捻じり振動系
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材料
2.84
144
20
S45C
2.985
150
20
SS400
2.985
150
20
SS400
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演習課題の概要
課題3:制御系設計
課題として提示した演習課題
課題3:制御系設計
課題1:機能設計
 1 およびその微分信号がセンサにより入手可能
1次振動モード,2次振動モードの固有振動数がそれぞれ5[Hz],9[Hz]となるように弾性体を
 1次振動モードの減衰係数を0.2以上とするフィード
バック制御系を設計せよ
設計せよ.
機械力学と材料力学の総合活用による設計
【手順】 (1) 速度フィードバック制御による減衰の付加
(2) 応答計算結果による性能評価
課題2:モデル化
設計した弾性体を含んだ物理モデルを作成し,応答計算によって仕様を満たしているか確
認せよ.
課題のポイント
対象の本質的理解とモデル化
 フィードバック制御の効果
課題3:制御系設計
1が観測可能であり,さらにその微分信号がセンサにより入手可能とする.1次振動モード
の減衰係数を0.2以上とするフィードバック制御系を設計せよ.
 性能評価の方法
 性能向上の方法(古典的な方法では限界)  発展的課題
実問題に対する制御系設計(制御理論の統合的活用)
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実施講義 : 信州大学大学院 前期講義 「システム制御特論」 (修士課程)
実施期間 : 平成23・24年度:6回,25年度:9回
受講人数 : 平成23年度:30人,24年度:31人,25年度:29人
課題1:弾性体の設計(機械部品の要素設計)
?
?
演習実施の流れ
 固有振動数の許容範囲は±5%とする
講義(現代制御など)
・演習課題全体の説明
・課題1の説明・実施(2回)
【手順】 (1) 運動方程式,振動数方程式を導出
(2) 指定した固有振動数となるように,等価ばね定数Kを定める
(3) 等価ばね定数となるように弾性体を設計
(ただし,弾性体の長さは130、80[mm]:制約条件)
レポート提出&総括
課題3の説明・実施(2回)
 各課題のレポート提出
後,課題に対する考え
方などを説明し,理解
を深められるようにした.
レポート提出&総括
 上位仕様からより詳細な仕様へのブレイクダウン
課題4の説明・実施(1回,H25から)
レポート提出&総括
 高次振動モード,構造強度などの問題(隠れた課題の発見)
演習課題の総括
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開発課題を用いた講義 (2/5)
課題2:計算機モデルの活用
 演習終了後に演習に対するアンケートを実施
課題2:計算機モデルの活用
アンケート内容(抜粋)
 設計した弾性体を含んだ物理モデル
を作成
 応答計算によって仕様を満たして
いるか確認
質問1.今回の「システム設計演習」の授業回数は?
①とても長い ②長い ③適当な回数(時間)である ④短い ⑤とても短い
質問2.今回の「システム設計演習」の課題の量(ボリューム)は?
①とても多い ②多い ③適当な量である ④少ない ⑤とても少ない
【手順】 (1) MapleSimを用いて詳細物理モデルと等価物理モデルを作成
(2) 両モデルを用いた応答計算を行い,合理性を確認
両モデルを用いた応答計算を行い 合理性を確認
質問3.今回の「システム設計演習」の課題の難易度は?
質問3
今回の「システム設計演習」の課題の難易度は?
①とても難しい ②難しい ③適当な難易度である ④簡単 ⑤とても簡単
課題のポイント
質問4.今回のような形式の演習を実施してよかったか.
①とてもよかった
②どちらかといえばよかった
③わからない(どちらでもない) ④どちらかといえばよいとは思わない
⑤よいとは思わない
 弾性体は連続体(分布定数系),等価モデルは近似モデル
 妥当なモデル活用の考え方 ⇒ 本質の抽出
 モデルを用いた性能評価の方法(固有振動数,減衰係数)
アンケート回答率
 詳細モデル(MapleSimの”Flexible Beam”)と等価モデルによる
計算時間の違い  高次振動モードの取り扱い
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レポート提出&総括  各課題に対してレポート
を提出
課題2の説明・実施(1回)
 解は1つではない(形状、材質) ⇒ 何が最適であるか
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 実施形態
実施形態は演習形式
演習形式
動解析ソフトウェア事前講習(1~2回)
課題のポイント
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開発課題を用いた講義 (1/5)
課題1:弾性体の設計
 1次・2次振動モードの固有振動数がそれぞれ
5,9[Hz]となるように弾性体を設計
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第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」,工学院大学,2014年2月22日
回答率
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H23
H24
H25
73%
74%
97%
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日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 24 −
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開発課題を用いた講義 (3/5)
まとめ
アンケート結果のまとめ①
まとめ
H23
H24
H25
授業回数が「短い」(質問1)
44%
41%
14%
課題の量が「多い」(質問2)
50%
70%
54%
 質問1で授業回数を「長い」,「適当」
(①~③)と回答した学生で,質問2で
課題量を「多い」(①~②)と回答した割合
 システム設計の考え方を学べる教育ツール(教育課題)の充実が
期待される.
 質問1で授業回数を「短い」(④~⑤)と
回答した学生で,質問2で課題量を「適当」
(③)と回答した割合
H23
H24
H25
H23
H24
H25
54%
62%
54%
56%
20%
50%
 ただし、課題は発展途上である.
(概念設計が欠落,実験との対比が未完成,等)
 授業回数と課題量には相関関係があると思われるが,課題量については
課題の進捗状況も影響していると考えられる
 具体的な設計課題が数多く提案されることが,1DCAEの啓発に
繋がる.
 授業回数が「短い」との割合がH25で大きく減少(14%)
⇒ H25はH23・24と比べて全講義回数が多い
(H23・24:計6回,H25:計9回)
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 軸ねじり振動系を対象としたシステム設計課題の開発例を示した.
 信州大学大学院修士課程1年生向けの授業では満足度84%
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開発課題を用いた講義 (4/5)
アンケート結果のまとめ②
演習が「難しい」(質問3)
H23
H24
H25
80%
90%
75%
 複数の学問領域を統合し相互活用した経験が無ないため,修得した
知識の活用が分からず課題に取組むのに時間が掛かった
 別の原因として,ソフトウェアの使い方が分からず時間が掛かった
別の原因として ソフトウェアの使い方が分からず時間が掛かった
 使用したソフトウェア(MapleSim)が本質的に難しいわけではない
 理論的背景の乏しい学生
 課題の進め方がわからない(予測ができない)
 結果としてソフトウェアの使用が難しくなる(難しく感じる)
理論の学習・理解が重要
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開発課題を用いた講義 (5/5)
アンケート結果のまとめ③
演習を「実施してよかった」(質問4)
H23
H24
H25
80%
96%
82%
アンケート自由回答
 他分野の知識を織り交ぜた講義はなかったので,実用的な力が身につく点がよかった
 1つの分野ではなく,幅広い分野の基礎知識の大切さが分かった
 実際のシステム設計は,学部生までに修得した知識をツールとして使うのだと改めて
感じた
 設計をするときに、何を計算して何を考慮すべきか、よく考えることができたのがよかっ
た。課題は少し難しかったが、それでもやりがいのある内容だと感じた
 「複数分野の知識を統合的に用いることへの面白さ」を感じている
 「細分化されて教育された内容を総合的に活用する」という目標が
達成できていると考えられる.
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グループ討議の進め方
「エンジニアリング・デザイン教育にて教示すべきこと」
松江高専
別府俊幸
アーサー1)はテクノロジーを
1. 人間の目的を達成する手段
2. 経験(practice)と構成要素(components)の集まり
3. 文明に役立てることのできる装置(devices)と工学的な経験(engineering practices)の集まり
と定義した.アーサーの定義は,テクノロジーを構成する一要素としてのエンジニアリングにも適応可能と考える.
エンジニアリングでは,人間の要求を満たすために新たな設計解が作り出される.電磁波の反射からレーダーが開発さ
れたように自然現象を特定の目的のために利用し,トランジスタから IC が開発されたように既存の技術を組み合わせて新
たな技術を作り出す.そして高速輸送機関や通信網のようにエンジニアリングが作り上げたシステムは,文明そのものを
発展させる.このようにエンジニアリングでは,人間の目的を達成する手段が作り上げられる.この人間の要求を設計解
へと転換するプロセス,すなわち目的から手段を作り上げるプロセスが,エンジニアリング・デザインと考える 2).
ABET の Criteria3) はエンジニアリング・デザインを “Engineering design is the process of devising a system,
component, or process to meet desired needs.” と定義する.筆者はこれを直訳敷衍して「エンジニアリング・デザイン
とは,
(メーカにおいて)クライアントの要求に適合するシステムやコンポーネント,プロセスを開発するプロセス」と考
えている 4).エンジニアリング・デザインは”to meet desired needs”,つまり工学的製品を購入(使用)するクライアント
の必要(needs)をかなえる設計解を作り出すプロセスである.
開発プロセス(デザイン・プロセス)においてエンジニアは,保有する技術と過去の経験を基に設計解を提案する.こ
のため要求に対する設計解は,エンジニアやメーカによって異なったものとなる.もちろん,技術以外の要因によっても
設計解は変化する.保有あるいは他社特許,工場設備や協力工場の状況,パーツ調達コスト,他社や市場の動向など,設
計解に影響を与えるパラメータは少なくない.
このように工学における装置やシステムは,技術的な必然性あるいは最適性からストレートに求められる解ではない.
要求を満たす設計解は,実現可能な選択肢の中から,エンジニアの経験に基づいた選択を繰り返して作り上げられる.エ
ンジニアリング・デザインは意志決定のプロセスであり,エンジニアの経験や能力が,設計解の優劣に大きく影響する.
教育機関は,卒業生が優れた意志決定者となるための基礎力を養成すること,そのためにはエンジニアリング・デザイン
そのものを研究することが必要と考える.
優秀な意志決定者として必要な能力は何か,その能力を養成するためには何を教育しなければならないのか,JABEE
は PBL 教育を審査するとしているが PBL 教育で能力が磨かれるのか,教えるべきことは何か,ふつうの工学科目にエン
ジニアリング・デザインの観点をもっと増やせないのか,そして学生の能力をどう評価するのか.などなど.エンジニア
リング・デザイン教育に係わる問題(困っておられること)を議論して頂きたいと考えます.
参考文献
1)
W・ブライアン・アーサー:テクノロジーとイノベーション,みすず書房,2011
2)
別府俊幸:エンジニアリング・デザイン理解を深めるための知識教育,工学教育,62-1, 4-9, 2014
3)
Criteria for accrediting engineering programs, 2011-2012, ABET
4)
別府俊幸:工学教育におけるエンジニアリング・デザイン教育,工学教育,59-4, pp.72-79, 2011
日本工学教育協会 第8回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」 − 26 −
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