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1 我が国・本県の人口動向と地方創生の取組
第1章 第3節 1 我が国・本県の人口動向と地方創生の取組 第3節 人が輝き、女性や高齢者、障害のある人など、すべての人が活躍する愛知 1 我が国・本県の人口動向と地方創生の取組 1 我が国の人口動向と地方創生の取組 我が国の人口は、2008 年の1億 2,808 万人をピークとして、既に減少に転じており、2015 年 10 月現在では1億 2,711 万人となっています。 国立社会保障・人口問題研究所の出生中位推計によると、2020 年代初めは毎年 60 万人 程度の減少ですが、2040 年頃には毎年 100 万人程度の減少スピードとなり、人口減少が加 速度的に進むことが見込まれています。そして、2060 年には、総人口は約 8,700 万人、2110 年には約 4,300 万人まで減少するとともに、高齢化率も 40%を超えるものと見込まれてい ます(図表3-1-1) 。 我が国人口が減少していく中にあっても、東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)への人 口流入は続いており、最近の転入転出の状況を見ると、2015 年の東京圏の転入超過数は 127,623 人となっています。その内訳としては、15~24 歳の若い世代が多く、大学進学や 就職をきっかけとして転入している状況が見られます(図表3-1-2) 。 図表3-1-1 我が国の人口の推移(国立社会保障・人口問題研究所) (万人) 14,000 2008 年 12,808 万人 2015 年 12,711 万人 (万人) 300 12,000 250 10,000 200 150 2110 年 4,286 万人 8,000 6,000 100 50 0 4,000 -50 2,000 -100 2110 2105 2100 2095 2090 2085 2080 2075 2070 2065 2060 2055 2050 2045 2040 2035 2030 2025 2020 2015 2010 2005 2000 1995 1990 1985 1980 1975 1970 1965 1960 0 人口増加数 総人口 2060 年 8,674 万人 -150 (年) 出典:総務省「国勢調査」 、 「人口推計」 、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25 年3月推計) 」 (2016 年以降) ※国勢調査(2015 年)の数値は速報値 図表3-1-2 地域別の転入超過数 (万人) 15 2013年 2014年 2015年 10 5 0 -5 -10 -15 東京圏 名古屋圏 大阪圏 出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」 69 他道県合計 第1章 第3節 1 我が国・本県の人口動向と地方創生の取組 国は、人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し政府一体となって 取り組み、各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生できるよう、 2014 年9月に内閣総理大臣をトップとする「まち・ひと・しごと創生本部」を立ち上げま した。そして 2014 年 12 月には、人口の中長期展望を示した「長期ビジョン」と、今後5 か年(2015 年度~2019 年度)の政府の施策の基本的方向を示す「総合戦略」が閣議決定さ れました。 「長期ビジョン」では、東京一極集中を是正し、若い世代の結婚・子育て希望を 実現することにより人口減少を克服するとの姿勢が明示されるとともに、 若い世代の結婚・ 子育ての希望が実現すれば、合計特殊出生率は 1.8 程度の水準まで向上することが見込ま れるとしており、2030~2040 年頃に合計特殊出生率が人口置換水準(2.07)まで回復すれ ば、2060 年に総人口1億人程度を確保できるという展望を示しています(図表3-1-3) 。 図表3-1-3 我が国の人口の推移と長期的な見通し(長期ビジョン) 出典:まち・ひと・しごと創生本部「長期ビジョン」 (2014 年 12 月) 2 本県の人口動向 本県の総人口は、1968 年に 500 万人を超え、更に 1977 年には 600 万人を超えました。 その後、人口増加の伸びは緩やかになったものの、1999 年には 700 万人を超え、2015 年 10 月現在で、748 万4千人となっています(図表3-1-4) 。 我が国の人口が減少していく中にあって、本県は、自然増と社会増の両方を維持してい る数少ない県となっています(自然増・社会増ともにプラスの県(2014 年) :東京都、神 奈川県、愛知県、沖縄県の4都県) (図表3-1-5) 。 70 第1章 第3節 1 我が国・本県の人口動向と地方創生の取組 図表3-1-4 愛知県の総人口の推移 2015 年 748 万人 (万人) 800 将来推計 (社人研) (万人) 16 1977 年 605 万人 700 14 12 1999 年 701 万人 600 10 6 400 4 1968 年 512 万人 300 人口増加数 総人口 8 500 2 0 200 総人口(左目盛) 100 -2 人口増加数(右目盛) -4 -6 0 2040 2030 2020 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 1998 1996 1994 1992 1990 1988 1986 1984 1982 1980 1978 1976 1974 1972 1970 1968 1966 1964 1962 1960 1958 1956 (年) 出典:総務省「国勢調査」、総務省「人口推計」(2015 年まで)、 国立社会保障・人口問題研究所日本の地域別将来推計人口(平成 25 年3月推計)」(2016 年以降) ※国勢調査(2015 年)の数値は速報値 図表3-1-5 都道府県別人口の増減(自然増減・社会増減) (人) 自然増減数 (2013.10→2014.9) 3,890 人 8,587 人 3,890 人 社会増減数 (2013.10→2014.9) 8,587 人 沖縄県 鹿児島県 宮崎県 大分県 熊本県 長崎県 佐賀県 福岡県 高知県 愛媛県 香川県 徳島県 山口県 広島県 岡山県 島根県 鳥取県 和歌山県 奈良県 兵庫県 大阪府 京都府 滋賀県 三重県 愛知県 静岡県 岐阜県 長野県 山梨県 福井県 石川県 富山県 新潟県 神奈川県 東京都 千葉県 埼玉県 群馬県 栃木県 茨城県 福島県 山形県 秋田県 宮城県 岩手県 青森県 北海道 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 -10,000 -20,000 -30,000 出典:総務省「人口推計」(2014 年) 本県の年齢三区分別人口を見ると、年少人口は 1980 年以降減少を続け、2014 年には 104 万人(構成比 14.0%)となっています。また、生産年齢人口も 1995 年に減少に転じ、2014 年に 469 万人(構成比 62.9%)となっています。一方で、老年人口は一貫して増加してお り、2014 年に 173 万人(構成比 23.2%)となっています(図表3-1-6) 。 このように本県の人口構成は高齢化が進んでいますが、全国(年少人口:12.8%、生産 年齢人口:61.3%、老年人口:26.0%)に比べれば、若い人口構造となっています。 71 第1章 第3節 1 我が国・本県の人口動向と地方創生の取組 図表3-1-6 愛知県の年齢三区分別人口の推移 800 (万人) 700 総人口 600 15~64歳 0~14歳 1980 年 420 万人 65歳以上 500 1960 年 284 万人 400 1960 年 115 万人 200 2000 年 108 万人 1980 年 156 万人 300 2010 年 479 万人 2000 年 491 万人 2014 年 469 万人 2014 年 173 万人 2010 年 149 万人 100 2014 年 104 万人 2000 年 102 万人 2014 2010 1980 年 46 万人 1960 年 22 万人 2005 2000 1995 1990 1985 1980 1975 1970 1965 1960 1955 1950 0 (年) 2010 年 106 万人 出典:総務省「国勢調査」、総務省「人口推計」(2014 年) また、本県の特徴として、20 歳から 59 歳までの区分で全国と比較して男性の比率が高 くなっており、 特に20~34 歳の若い世代で男性の比率が高くなっています。 この背景には、 本県の産業構造は製造業のウェイトが高く、製造業における就業人口の男女差が大きいこ とがあるものと推察されます(図表3-1-7) 。 図表3-1-7 年齢別の人口性比(女性人口 100 人に対する男性人口)の全国・愛知県比較 120 111.1 111.7 111.2 107.3 107.4 107.9 110 105.4 104.8 105.1 105.6 100 105.2 104.8 105.1 104.9 105.9 104.6 90 104.5 103.0 97.5 103.0 102.7 102.5 101.2 100.4 94.7 98.7 91.4 96.3 93.1 20~34 歳 87.0 20~59 歳 80 愛知県 70 62.5 ~ 10 ~ 15 ~ 20 ~ 25 ~ 30 ~ 35 ~ 40 ~ 45 ~ 50 ~ 55 ~ 60 ~ 65 ~ 70 9 14 19 24 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74 歳以上 75 ~ 5 ~ 0 歳 4 60 67.2 全国 出典:総務省「人口推計」(2014 年 10 月 1 日現在) 世帯構成を見ると、夫婦のみの世帯(1980 年:10.4%→2010 年:19.0%) 、単独世帯(1980 年:20.3%→2010 年:31.5%)の割合が大きく増加しています。一方、夫婦と子どもの世 帯の割合が大きく減少(1980 年:45.6%→2010 年:30.6%)しています。また、3世代以 上同居世帯の割合は減少傾向にあるものの、2010 年で 5.9%となっており、東京(1.6%) 72 第1章 第3節 1 我が国・本県の人口動向と地方創生の取組 や大阪(2.5%)と比較すると高く、全国平均(5.4%)を上回っています(図表3-1-8) 。 図表3-1-8 愛知県の世帯構成の推移 (%) 1980年 1990年 2000年 2010年 東京都 2010年 (2010 年) 10.4 4.8 45.6 13.5 40.3 18.2 5.8 6.7 34.8 19.0 30.6 17.0 7.8 5.9 0.1 14.7 4.0 0.2 12.7 4.1 0.6 9.2 4.3 0.9 4.2 2.9 1.3 7.5 1.6 23.8 大阪府 2010年 (2010 年) 19.2 28.4 9.5 全国平均 2010年 (2010 年) 19.8 27.9 8.7 20.3 23.4 26.2 31.5 45.8 0.9 2.5 3.3 5.4 4.7 0.9 夫婦のみ 夫婦と子ども 片親と子ども 親族世帯その他 非親族世帯 単独世帯 35.8 32.4 3世代以上同居 出典:総務省「国勢調査」 3 本県における地方創生の取組 本県では、2015 年 10 月に「愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略」を 策定しました。 人口ビジョンでは、若い世代の結婚、出産、子育てに関する希望をかなえ、出生率を 2030 年に 1.8、2040 年に人口置換水準である 2.07 に高めること、加えて人口流入のトレンドを 維持継続させていくこと(過去 20 年の平均移動率で推移)を前提に、本県人口は、2020 年頃の約 750 万人をピークとしつつも、2060 年においても約 700 万人の人口を確保できる という展望を示しています(図表3-1-9 将来推計人口 ケース②) 。 この人口展望を年齢3区分別に見ると、年少人口は、2030 年を底に増加に転じ、2060 年には 105 万人になります。生産年齢人口は減少が続くものの、2060 年には 379 万人とな ります。老年人口は、2045 年まで増加しますが、2050 年からは減少し、2060 年には 217 万人となります。 出生率が現状程度で推移する場合(ケース①)と比較すると、総人口では、2040 年で 35 万人、2060 年で 91 万人多くなります。年齢3区分別人口を見ると、年少人口については、 2040 年で 27 万人、2060 年で 41 万人多くなり、15~64 歳人口については、2040 年で8万 人、2060 年で 50 万人多くなります。この結果、出生率が上昇する場合(ケース②)の高 齢化率(65 歳以上の人口の割合)は、2050 年の 32.2%をピークに減少に転じ、2060 年に 30.9%となります。 このように、出生率の上昇により、人口規模が維持できるだけでなく、生産年齢人口の 維持、高齢化率の低下にもつながっていくことから、本県としては、この出生率上昇を前 提とした人口展望(ケース②)を愛知が活力を維持していく上での人口の目安とし、その 実現に向け、総合戦略では産業振興や雇用対策のほか、情報発信、子育て支援、更には三 河山間地域の振興など、幅広い施策に総合的に取り組んでいくこととしています。 73 第1章 第3節 1 我が国・本県の人口動向と地方創生の取組 図表3-1-9 愛知県の人口の長期的な見通し 出典:愛知県「愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2015 年 10 月) 74