Comments
Description
Transcript
短い時間 大和市立引地台中学校 3年 池原 愛音 中学生といえば、思春
短い時間 大和市立引地台中学校 3年 池原 愛音 中学生といえば、思春期の真っ只中で訳もわからずイライラしたりと難しい時期ですか ら、両親や兄弟姉妹への反抗も増え、家族との仲はあまり良くない、というのが私のイメ ージです。では私はどうかというと、そもそも会う機会があまりない、というのが正直な ところです。 我が家の現在の家族構成は私と母、そして兄が1人の3人家族です。兄は次男で、もう 1人の長男の兄は最近までアメリカを中心に外国を飛び回っては帰国するのをくり返して いましたが、宮城県に仕事を見つけ、4月に家を出ました。父は昨年母と離婚して以来1 人で暮らしています。母は仕事を2つかけもちしていて、毎日とても忙しそうです。次男 の兄は大学生でアルバイトもしているのでいつも夜遅くに帰って来ます。そのため、私が 学校から帰って来ると兄はたいてい家におらず、母と2人きりです。しかし母も次の日に 備えて早く寝てしまうので、夜に起きているのは私だけです。 そんな生活をくり返していると、小さい頃がとてもなつかしく思えてきます。昔はよく 夏に家族5人で海へ行ったり、プールへ行ったりしていました。小学生のときも帰って来 ると母も兄もたいてい帰って来ていて、母に学校であったことを話したり兄妹でふざけた りけんかをしたりしていました。今は家族と話す機会が大幅に減ったので兄妹でけんかを する暇もありません。 しかし、それでも私は家族全員が好きです。母は来年高校生になる私のためにたくさん 働いてくれているし、次男の兄はよく私や母とコントをするのでおもしろいです。長男の 兄はLINEの家族グループで自作のおもしろい動画を送って来てくれます。父にもよく会い に行くし、行くと読み終わった漫画の最新刊をくれます。皆大切な家族です。もちろん反 抗期ですから反抗もします。母に怒られて納得いかないときはきちんと反論するし、頼ま れ事をやりたくなかったら嫌と言って断ります。母は怒るととても怖く、私はよくそれに 反発して更に怒りを買い、家を追い出されたりしていましたが、最後は家に入れてくれ、 私の改善点を教えてくれます。そんな母も好きです。 私も兄も、大きくなるほどに忙しさが倍増していきます。それに伴って必要なお金も増 えるので、その分を稼ぐために母も忙しくなります。私は受験生なので勉強すると共に、 最後のコンクールということで部活動も夏休み中ずっとあります。母と兄は仕事やアルバ イトに忙しいので、今年の夏休みは家にいる3人ですら予定が合わず、家族でどこかへ行 く予定がひとつもありません。家族で出かけられないのは残念ですが、高校生になったら 行動範囲も広がると思うので、来年を楽しみに受験勉強を頑張ろうと思います。 家族というのは、どんなに大きくなっても、どんなに離れていても関係の切れることの ない特別な存在です。しかし、切れることはなくとも、離れていれば疎遠になるし、話す 機会が減れば相手のことがわからなくなっていくでしょう。私は末っ子で兄2人と年の差 もあるので、兄は2人共もうほとんどひとり立ちしかけています。私が大学を受ける頃に は、もう家には母と私しかいないでしょう。そう考えると、家族皆が1つの家で生活する 時間は、ほんのわずかなのです。大きくなったら子どもは家を出て新しい自分の家庭をつ くります。みなさんの家ではどうでしょうか。ひとり立ちした兄姉はいませんか。幸せな 家庭に囲まれていますか。今の時代、母子・父子家庭は珍しくありません。父と母は血が つながっていませんから、2人の関係はいつ切れてもおかしくないのです。 家族が全員そろっていることは、当たり前ではないのです。その時間はあまりにも短く、 そしてありがたいものです。ですから、その感謝を忘れず、家族とけんかばかりの人も、 無関心で全く話さない人も、たまには学校や友達との出来事や趣味などについて、家族で ゆっくりお話をしてみてはいかがでしょう。