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たばこ土壌の分析基準値とその解説

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たばこ土壌の分析基準値とその解説
 たばこほ
たばこほ地土壌分析基準値表
たばこほ地土壌分析基準値表
平成21年2月:西日本たばこ耕作組合 加賀
土壌酸度
(PH)
(kcl)
(H2O)
5.0-6.0
5.5-6.5
可給態
塩 素
リン酸
(mg/100g)
(mg/100g)
3mg以下
無機態窒素
(mg/100g)
アンモニ 硝酸態
ア態窒素 窒素
計
3.0以下
交換性塩基類
(mg/100g)
当量比
石灰(Cao) 苦土(Mgo) 加里(K2o) Ca/Mg
10-40
200-300
25-40
可給態
鉄
可給態
銅
可給態
亜鉛
ppm
5~8
ppm
5~8
ppm
5
15-30
Mg/K
4~9 1~2以上
塩基置
塩基飽和度 腐植含量 リン酸吸
換容量
(%)
(%)
収係数
CEC
(me/100g)
20
60~80
5~8
電気伝
導度
(EC)
(1:5)
ms/cm
500程度 0.1~0.3
注1):mg/100g単位を10a換算するには分析数値の単位をそのまま
kgとすればよい(土の仮比重を1として耕土10cmとすれば10aの土
重量は100トン)
1.土壌酸度(PH):溶液中の水素イオン濃度を表すもので、PH7が中性で、これよりも数値が小さい場合は酸性、大きければアルカリ性で0から14までの数値で表します。
分析の方法には分析溶液をkcl(塩化カリ)とH2O(精製水)で行う方法がありますが、一般的には精製水での結果を表示している例が多いようです。
1)PHでkclとH2Oの数値が異なる(一般的にはkclが低い)のは土壌中の塩類の量を想定するためのもので、両者で差がない(同一値)のは塩類が飽和の状態で
あり作物にとって良くない状態を示します。通常は0.5以上程度H2Oのほうが高い数値となります。
2)強酸性土壌での問題は ①硝酸化成菌の弱体化による肥料分解の遅れ⇒初期生育の遅れ ②根群形成の遅延による生育障害 ③鉄、銅等土壌中の重金属
溶解吸収によるⅡ型グレー葉の発生等 葉たばこの生育上大きな悪影響が想定されます。
3)逆にアルカリ土壌での問題点は ①肥料成分が土壌に保持されずタバコが軟弱化
②初期の生育不振、成熟期での息切れ、スタミナ不足になりやすく微量要素の利用が
低下する ③疫病菌等土壌病害菌が活性化しやすい土壌環境となりやすい等が考えられます。
2.塩素:土壌中の塩素含量を示します。たばこ土壌の場合3mg/100g以下を標準としています。
土壌中の塩素が高くなることによる影響として最も大きいのはグレー葉(Ⅰ型等)の発生で品質的に問題となります。塩素が高くなる原因として最も大きいのはクロル
ピクリンの塩素蓄積、未熟厩肥などの大量施用、塩素系肥料の使用等が考えられます。
3.可給態リン酸:たばこが利用できる土壌中のリン酸値を示しています。通常10~40mg/100gがたばこ畑の基準値と言われています。
リン酸は「根作り」の成分ですから、不足はいけません。補給してやる必要があります。
1
4.リン酸吸収係数:土壌は肥料として施されたリン酸をたばこが吸収する前に横取りする性質があります。これをリン酸固定作用と呼んでいます(土壌中の鉄やアルミニウム
とリン酸が結合する現象)。この横取り程度を表したのがリン酸吸収係数です。つまり、リン酸吸収係数1000とは100gの土壌が1000mgのリン酸を固定するという意味です。
このリン酸吸収係数はいわば土壌の性質を表すもので、土質によってほぼ決まっています。砂質土壌では500以下、火山灰のクロボクとかでは2000以上とかの値を示します。
リン酸の施用にあたってはこのリン酸吸収係数の高い土壌では当然のことながらリン酸量が多く必要となりますが、PHが低い(酸性が強い)畑では鉄やアルミが活性化してい ますから土壌に固定されにくいク溶性のリン酸肥料(ようりん等)が有効です。
5.交換性塩基類:土壌粒子(コロイド:マイナス因子)に吸着されて容易に他の陽イオン(プラス因子)に置き換わる(交換する)陽イオンの石灰、苦土、加里等を交換性塩基類と
言います。
1)石灰:3要素(窒素、リン酸、加里)の補助的成分として重要で、土壌改良資材としても必須でPHの矯正で一般的に使われます。
微生物の活性化、有機物の分解促進、土壌団粒化の形成など幅広い効果があります。また、たばこの養分としても加里に次いで多量に必要な成分です。
2)加里:炭水化物(デンプン、糖)や蛋白の変化・合成に係わる養分でたばこの養分として最も多量に必要と言われています。
土壌中の加里含量としての基準値は15~30mg/100gを標準としています。
3)苦土:たばこの葉緑素の構成成分として不可欠の要素で欠乏すると葉が白化していわゆる「苦土欠」症状を起こします。
また、リン酸とも大の仲良し成分でリン酸の吸収量向上に大きい役割を果たします。土壌中の苦土含量としての基準値は25~40mg/100gを標準としています。
6.交換性塩基当量比:塩基類の土壌中での含量比を示すもので、石灰、苦土、加里間のバランス値とも言えます。苦土に対して石灰の含量(Ca/Mg)は4~9倍
が良いとされています。
また、加里に対して苦土は1~2程度以上(苦土の含量は加里よりも1~2倍程度多い)が良いとされています。
7.塩基置換容量(CEC:Cation Exchange Capacity):土壌(土壌コロイド)が陽イオン塩基類(石灰、苦土、加里等)を吸着することが出来る能力(容量)を示すものです。
つまり、CECが高い土壌は「体力的にゆとりのある土壌」ということができます。
なお、CECの単位は土壌100gが吸着できる陽イオンのミリグラム当量(meと略す:1me=mg分子量/荷電数)で表します。
通常の場合、粘土質土壌、腐植が多い土壌などはCECが大きく、砂質土壌、堆肥の少ない畑、ヤセ地などでは低い値を示すのが一般的ですが好適値は20me
以上と言われています。
8.塩基飽和度:CEC(塩基類を蓄えておくことの出来る土壌の能力)に対して交換性塩類(石灰、苦土、加里)が占めている割合を表したのが塩基飽和度(%)と言います。
交換性塩基類(石灰+苦土+加里)me
塩基飽和度(%)= ×100
塩基置換容量(CEC)
2
好適な塩基飽和度は一般的には60~80%と言われており、60%以下の時は塩基量が不足している状態で土壌PHが低くなっていることが多いようです。
また、逆に80%以上の時は微量要素欠乏を起こしたり、肥料養分の吸着保持力が低下してアップアップのダウン状態の土壌と言えますし、塩類濃度障害(肥焼け)
の起こりやすい土壌と言えます。
9.腐植含量:土壌中の腐植(堆肥)含量を%で表示しています。通常の土壌の場合5~8%と言われています。
10.EC(土壌溶液濃度:電気伝導度):これは土壌中の肥料や塩素、塩基成分等の濃度を表す数値で通常の畑条件では雨等で薄められるためそれほど高い値を示すことは
少ないのですが、ハウス等の施設内の土壌では問題になることがあります。
この値が高い場合は、いわゆる「肥焼け」現象を起こす危険性があります。
11.無機態窒素:たばこは土壌中に含まれる無機態のアンモニア、硝酸を吸収して生長していくわけですが、この無機態窒素は収穫を終わって翌年の施肥が行われるまでは
それほど多く含まれていないのが通例です。つまり、たばこに吸収された残りの窒素(アンモニア態窒素)は微生物の働きで硝酸対窒素に変化(硝酸化成作用)し、硝酸
態窒素は土壌に吸着されないので雨水などで流亡します。
したがって、土壌分析時点でこの無機態窒素が高い数値を表すことはそれほど多くないのですが、施肥量が多かった場合とか、厩肥など窒素分の高い有機物を多く
施用したとか、何らかの理由で生育中にたばこが十分窒素を吸収していなかった場合などは高い分析値を示す場合があります。この場合には施肥設計で減肥の必要
があります。 たばこの場合の施肥前の無機態窒素含量は3mg/100g以下を基準値としています。
12.可給態鉄、銅等:これはたばこが吸収する土壌中の重金属類です。土壌PHと大きな相関があり、酸性が強いほど鉄は吸われやすいと言われています。 鉄の吸収→ Ⅱ型グレー葉の発生という現象を起こしやすくなります。通常水田のグライ層(下層の酸欠状態となった土壌)や開墾地などよく見られますが、共通して言え
ることは、土壌PHが低く有機物の量が少ない土壌で鉄などの重金属類が多い傾向にあるということです。
したがって、このような畑の場合には、まず、PHの矯正と有機物の施用、そして反転耕等耕耘回数の増加等によって土壌深土まで十分酸素供給を行うことが重要です。
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