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移動体(作業車両等)への RTK−GPS適用化技術の開発

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移動体(作業車両等)への RTK−GPS適用化技術の開発
国土交通省高精度測位フォーラム資料
移動体(作業車両等)への
RTK−GPS適用化技術の開発
平成16年4月14日 国土技術政策総合研究所
研究目的
„
準天頂衛星及び GPS等を利用して都市
部、山間部においても作業用車両等の
中低速移動体の連続した高精度測位を
可能とする技術を開発する。
移動体における高精度測位利用上の問題点
„
測位性能
„
測位精度 (Accuracy)が悪い
„
„
継続性 (Continuity)が悪い
„
„
„
精度劣化
都市部、山岳部で測位できない場所が多い
反射波
直接波
受信機の価格・使い勝手
„
„
高精度測位(RTK-GPS)を行うまでに時間がかか
る(数分∼十数分)
建物等による頻繁な中断(サイクルスリップ)によ
り、継続的に安定した測位ができない
測位利用率 (Availability)が悪い
„
„
測位不能
GPS利用で十数mの誤差。さらに、建物・構造物
からの反射波(マルチパス)で精度が劣化する
RTK-GPS受信機は特許や知的所有権などのた
め、新規参入が難しく高価であることが普及を
妨げている。
不安定
中断
補正情報の通信手段
„
„
基準局からの距離に制約がある。(10km以内)
主に携帯電話が使われているが、使い勝手が
悪い。
測位不能
初期化
初期化
初期化
測位精度(Accuracy)向上
現 状
対策後
RTK-GPSの採用
準天頂衛星を利用し
たRTK-GPS測位
単独測位
DGPS測位
数m∼数十mの誤差
数mの誤差
誤差要因
衛星軌道
コード+放送による
補正情報
衛星時計
誤差要因
電離層遅延
電離層遅延(小)
誤差要因
対流圏遅延
マルチパス
マルチパス
マルチパス
受信機雑音
受信機雑音
受信機雑音
マルチパス誤差低減技術
数十cmの誤差
搬送波位相+衛星放送
による補正情報
継続性(Continuity)向上
現 状
電源投入
初期化
位置検出まで
数分以上
サイクルスリップ
発生
初期化
測位中断
位置検出まで
数分以上
初期化時間
高速化技術
対応後
電源投入
初期化
位置検出まで数秒
サイクルスリップ
発生
測位中断
初期化
位置検出まで数秒
測位利用率(Availability)向上
現 状
車両走行中
トンネル等
車両走行中
位置検出中
測位中断
数分後に位置検出
複合補完技術
対策後
車両走行中
トンネル等
位置検出中
測位継続
車両走行中
位置検出中
研究開発課題
„
位置特定に関する複合補完技術の開発
„ 自律航法システム(ジャイロ)や、スードライト
(PL)、DSRC等の地上側設置機器を組み合
わせた測位補完技術を研究開発する。
„
高精度衛星測位技術の開発
„ マルチパス誤差低減化技術
„ RTK-GPS初期化時間高速化手法
対象と目標精度等
„
対象 作業用車両等の中低速車両及び歩行者
„
目標精度 20cm
„
„
„
土木・建設、道路管理、走行支援など、多くの分野で
20cm以下の位置精度が要求されている。
道路台帳1/500に対応
RTK-GPS初期化時間 1秒
„
移動体では、瞬時に初期化する必要がある。
アウトプット(要素技術)
„
複合補完技術を用いた測位技術
„
自律航法補完
„
„
„
地上設置機器補完
„
„
„
INS支援アンビギュイティ決定アルゴリズム
INS支援サイクルスリップ検出復帰アルゴリズム
PL(スードライト)支援アンビギュイティ決定アルゴリズム
路側通信機(DSRC)支援手法
次世代衛星信号を用いた測位技術
„
準天頂衛星及び近代化GPS信号(L1 C/A, L2C, L5)を用いた
„ アンビギュイティ高速決定アルゴリズム
„ マルチパス低減化アルゴリズム
移動体高精度測位の利用イメージ
準天頂衛星
次世代測位衛星
測位信号
補正データ
補正データ
管 理
管 理
除雪作業
GPS電子基準点網
無人化施工
無人化施工
スードライト
歩行者ナビ
歩行者ナビ
広域ネットワーク
研究開発計画
次世代衛星信号を用いた測位技術の研究開発
アンビギュイティ高速決定・マルチパス低減化技術
(準天頂衛星信号、近代化GPS L1L2C L5信号等)
複合補完技術を用いた高精度測位の研究開発
自律航法補完技術
・INS支援アンビギュイティ決定
統合測位技術
高性能統合測位システム
・INS支援サイクルスリップ検出
地上機器補完技術
・ スードライト支援アンビギュ
イティ決定
・最適配置法
・自律航法及び地上設置機補
完組み合わせ技術
・統合受信機の試作
・実証実験
研究年次計画
平成15年度
(2003)
平成16年度
(2004)
平成17年度
(2005)
平成18年度
(2006)
平成19年度
(2007)
中間評価
最終評価
調査検討 計画
技術動向の調査検討
車載RTK-GPS走行実験
基本検討
要素技術開発候補の選
定
全体構成の定義
実現方式の検討
機能性能要件の
定義
要素技術開発
アルゴリズム検討 次世代衛星測位アルゴリズム
開発環境検討
複合補完アルゴリズム
マルチパス低減化アルゴリズム
プロトタイプ開発
RTK-GPS初期化アルゴリズム
プロトタイプ試作及び
評価
各種開発環境構築
・統合受信機
実証実験
性能評価
総合評価
これまでの成果
„
複合補完方式実現方式案の決定
„ 自律航法センサによる補完
„ 地上設置機器による補完
„
課題のとりまとめと手法の選定
„ RTK-GPS初期化の高速化、マルチパス低減、サイ
クルスリップ検出復帰について技術文献、発表論文
等に基づき各種手法、課題を取りまとめ、今後重点
的に開発していく手法候補を選定。
„ 車両搭載RTK-GPS受信機による走行実験
„ 準天頂衛星を利用した際の効果、問題点を明確にすること
を目的に実施
複合補完技術
自 律 航 法
地上設備
自律航法センサ補完の検討
技 術
方 式 概 要
精 度
慣性航法測位 3軸ジャイロと3軸加速度計の出 20cm以下
(INS)
力を東西・南北・鉛直方向の成
の許容時
分に変換し、3軸の加速度、速度、 間は数十
秒
位置を求める。
推測航法とマッ 推測航法とデジタル地図を組み
プマッチング
合わせ、位置を道路上にシフト
する。
現 状 課 題
高価
縮尺1/2500 誤差は地図によっ
地図で1∼ て決まるため、大
2m
縮尺地図の整備
推測航法
(DR :Dead
Reckoning)
初期位置を基準にして、移動距 移動距離
離を積算して現在位置を求める。 の1%
白線検知
車載カメラ白線画像処理
数10cm
誤差の累積
悪天候で不適
補完用地上側設備の検討
技 術
方 式 概 要
精 度
現 状 課 題
スードライト
GPSと合わせ4衛星で測距
数10cm
開発段階
無線LAN
基地局距離の三角測量
数m
精度
UWB
同上
数10cm
研究段階
レーンマーカ 路面敷設マーカ検知
数cm
設置・保守費用大
RFID
ICタグ位置をリーダで検知
数10cm
移動体に不向き
画像処理
路側カメラで車両追跡
数m
精度
DSRC
ビーコン通信ゾーンの狭小化
数m
精度
DOA
電波方向から三角測量
数m
精度
数10cm
研究段階
DSRC+DOA 方向と距離から位置計算
スードライトと慣性航法との比較
スードライト(PL)
慣性航法装置(INS)
概要
GPS衛星と互換性のある信号を送
信し、GPS測位を補強・補完する。
3軸ジャイロと3軸加速度計から成り、3軸
位置・速度・姿勢を計測する。
長所
不十分な衛星配置と可視衛星数を
補い、衛星測位の利用率、精度を改
善する。
衛星測位不感帯において測位可能とす
る。高い出力レート(50Hz以上)をもち、姿
勢情報も得ることができる。
短所
設置数に伴い整備・維持費が増大
する。
時間経過とともにドリフト誤差が急激に
増大する。数十秒以上では補正が必要。
利用者
電波を受信できる場所であれば、イ
ンフラとしてすべての利用者が享受
できる。(すべての車両)
機器を搭載した利用者だけに限定される。
(機器搭載車両のみ)
活用場面
・建設現場など局所的な地域で有効
・要所に設置し、自律航法誤差を補
正する。(都市部ビル街交差点など)
・都市部のビル街
・トンネル内
・長い高架下
備考
一般道路では、PL設置箇所で準天頂衛星、GPS衛星と合わせた高精度測位を
行い、INSドリフト誤差を補正するGPS/PL/INS複合方式が最適である。
準天頂衛星、GPS等の役割
スードライト
GPS
(5機以上の)測位信号
準天頂衛星
INS
補強信号
位置情報
5機未満の測位
信号時
高精度位置情報
複合補完技術による実現方式例
„
RTK-GPS/PL/INS/VMS(車速計)複合システム
„
„
連続高精度測位を実現する要素技術を開発する。
交差点等で5衛星測位を可能としてINSドリフトを補
正する。
準天頂衛星
+GPS+PL(1)
準天頂衛星
+INS+GPS+VMS
5衛星測位可能区間
5衛星測位不能区間
準天頂衛星
+GPS+PL(2)
5衛星測位可能区間
道路維持現場
INSドリフト補正
INSドリフト補正
マルチパス低減手法
„
„
アンテナ改善、相関処理、データ処理があり、相関処理
技術が最も効果的である。
相関処理技術
„
„
コードマルチパス低減技術
„
既存技術により、誤差は数十mから数mまで低減された。
„
アンビギュイティ探索範囲の絞り込み高速化に寄与
搬送波マルチパス低減技術
„
„
課題
„
„
アンビギュイティ決定の信頼性を向上させる。
今後は10m以内の構造物から反射するマルチパス低減が課題
解決策候補
„
„
„
信号圧縮と動特性を利用した高速推定
信号解析によるマルチパス反射波自動除去
3次元地図を利用した反射波推定
アンビギュイティ決定手法
„
最小二乗法に基づく推定論と仮説検定
„
スタティック測位による性能比較
„
„
„
最小二乗法とワイドレーンでの比較(1エポック)
„
„
LAMBDA、TCARではLAMBDAが良好
課題
„
„
„
FARA、LAMBDA、HB-L3
精度、メモリ容量、処理時間は同等
移動体(キネマティック測位)への適用性
周囲環境への適用性
解決策候補
„
„
„
„
多周波(L1,L2,L5)を用いたワイドレーン手法
準天頂衛星を基準衛星とする高速決定手法
フロート解決定法
INS予測値を用いた探索空間の絞込み
サイクルスリップ検出復帰手法
„
搬送波データの統計的推測
„
„
„
時系列の高次元差分 ・・・ 後処理
低次元多項式当てはめ ・・・ 後処理
ドプラ周波数
„
追尾ループ改良
INSデータ支援
„
課題
„
„
„
リアルタイム性の追求
解決策
„
„
„
„
多周波を用いた移動ダイナミクスによる検出率向上
搬送波位相追尾ループ監視による検出と復帰
INSデータを利用した決定変数と検定による手法
Tightly Coupled INS統合による発生を抑制する手法
車両搭載RTK-GPS受信機の走行実験
„
目的
„
„
評価項目
„
„
測位可能率、初期化時間、測位精度
観測条件
„
„
„
RTK-GPS受信機搭載車両にて観測データを収集し、
準天頂衛星を利用した際の効果、問題点を明確にする。
静止、移動:20km/h、40km/h、80km/h
場所:平野部、山間部、住宅地、都市部、テストコース
実験方法
„
„
„
仰角70度以上のGPS衛星を準天頂衛星と想定する。
観測条件毎に約1時間走行し測位可能率等を評価する。
国総研テストコースにおけるRTK-GPS測位精度評価
„
決められた白線上を走行し、白線位置と測位結果を比較する。
実験結果と考察
„
測位可能率
平野部
„
住宅地
都市部
VRS測位
62%以上
7∼22%
4∼14%
3%以下
DGPS測位
96%以上
71∼92%
79%以上
18∼93%
初期化時間
„
„
„
„
„
山間部
平野部、山間部、住宅地では、30秒以内が25%∼84%
都市部では、一旦アンビギュイティが不確定になると復帰は困難。
天頂衛星の有無、速度の違いによる差異は確認されない。
移動体では瞬時のアンビギュイティ決定アルゴリズムの開発が必須。
測位精度等
„
„
„
テストコース走行試験の水平誤差:平均10cm以下、標準偏差:2∼7cm
静止測位では、都市部において準天頂衛星の効果を示す。
移動測位では、平野部を除き、衛星電波を継続受信できないため、準天頂
衛星を利用しても、現状のRTK-GPS受信機では測位が困難である。シミュ
レーションと組み合わせたさらに確度の高い実証実験が必要である。
開発環境と実証実験
要素技術アルゴリズム
マルチパス低減
GPS信号
生データ取得
アンビギュイティ決定
サイクルスリップ検出
複合補完フィルタ
信号生成シミュレータ
電波伝搬モデル
電離層、3次元GIS
衛星モデル
準天頂衛星、GPS衛星
スードライト
次世代衛星
信号(L2,L5)追加
測位シミュレータ
・信号捕捉
・信号追尾
・コード測位
・搬送波位相測位
まとめ
„
高精度測位技術を移動体へ適用するための問題点を抽出し、今後
研究開発すべき技術課題を取り纏めた。
„
10m以内の近接マルチパスを抑制する相関器技術の開発
„
„
アンビギュイティ決定アルゴリズムの開発
„
„
„
準天頂衛星の高仰角性を利用
近代化GPSの多周波信号(L1,L2,L5)を利用
衛星測位の限界を補強する複合補完技術の開発
„
„
„
RTK-GPS初期化時間を短縮しサイクルスリップを確実に検出するためにも必要
地上側設備として、スードライトが有効(準天頂衛星が有効な役割を果たす)
車載側機器として、ジャイロなどを用いた自律航法システム
„
アンビギュイティの探索範囲を狭め、サイクルスリップの検出にも有効
„
マイクロマシニング技術を用いたMEMS慣性センサの利用を想定
開発環境
„
„
ソフトウェアGPS技術
予め信号干渉や性能を解析でき、アルゴリズムの開発・検証が効率
的かつ柔軟にできる。
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