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2010年No.02 (PDFファイル)

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2010年No.02 (PDFファイル)
http://www.meja.jp
冗句茶論(ジョーク・サロン)
秋にうつ病冬は風邪
ある蕎麦屋さんにこんな貼紙があった。そ
松井寿一
都々逸である。一年中なんかかんかの病気
の機智に感心した。
をしていることになる。もう一章。
そばは一流、お店は二流、値段は三流で
桜が咲いてから寒い日が続いて、夜桜見物
春にめばえて夏には燃えて
すけれど、集まる顧客は超一流
のお客さんがふるえあがっていた。花見ずに
秋に風吹き冬に糸
関西では
「商は笑いなり、商売笑売」という
鼻水を出していた。
恋の一年である。あっけない。冬に糸篇を
言葉がある。笑顔のあるところ、笑いの絶え
散る桜残る桜も散る桜(良寛)。さくらさく
つけると終である。
ないところに人々は集まる。こんな貼紙をし
ら咲くさくら散るさくら(山頭火)。咲いた桜
「春夏秋冬」という姓がある。なんと読む
ている店があった。
「 笑培処」。笑いを培うと
は、後先はあるが皆んな散ってしまう。人の
か。
「 ひととせ」つまり一年である。
「 東西南
ころとは言い得て妙である。
生命もまた同じである。厚生労働省の発 表
北」という姓もある。
「よもひろ」である。漢字
によると、日本人の死亡率は100%である。
にすると
「四方広」か。
「同期の桜」という歌がある。私の知ってい
居酒屋などに
「春夏冬二升五合」
と書いた貼
ると老けますよ、笑うと若返りますよ、といっ
る限り、特攻隊の生き残りの人たちは、カラ
紙がある。四季の中の秋がない。二升はます
た意味である。ニコイキハキが元気の素であ
オケでも絶対にこの歌をうたわなかった。自
ますと読み、
五合は一升の半分だから半升。
し
る。にこにこしていて、いきいきしていて、ハキ
然保護の話でよく「絶滅危惧種」が出てくる
たがって
「商いはますます繁昌」
となる。
ハキしていることである。三つの元気の素で
が、考えてみると我々一人一人がこれにあて
春夏冬の部分を一斗とする場合もある。一
あるから三
(讃)元素である。
はまる。自然を破壊するのは自然反古だ。
斗は十升で五升の倍である。そこで「ご商売
「笑顔に勝る化粧なし」であり、
「笑顔は世
春は花粉で夏には痩せて
ますます繁昌」となる。
界の共通語」なのである。
「笑う門には福来たる」といわれている。
「一怒一老、一笑一若」という言葉もある。怒
Medical Journalists
Association
of Japan
NPO日本医学ジャーナリスト協会会報
June 2010 Vol.22 No.2 (通巻61号)
発行:NPO日本医学ジャーナリスト協会
発行代表人:大野善三
<1月公開シンポジウム>
第二回医学ジャーナリストを問う―
医療界からのメッセージ————————————— 1
<2月例会>
人工臓器はいま?
将来へつなぐために…——————————— 8
<3月例会>
医療プロフェションを自覚させるものは何か?— 10
<4月例会>
Team STEPSS−アメリカ最新のチーム医療
トレーニングプログラムについて— ——— 12
命あっての俳句考————————— 14
<4月見学会>
入間基地を見学し、航空医学を勉強— 15
冗句茶論————————————— 16
新刊紹介————————————— 16
新刊紹介
江川滉二著
『がん治療
体にやさしい医療への潮流』
河出書房新社刊(1,500円+税)
後で聞くと、前から感染による心臓疾患の痕
がん剤と組み合わせてがん細胞に対戦するの
跡があり、それが突然襲ってきて命を奪ったと
である。本書はそれを詳細に述べている。た
いうことであった。その後、元癌研会長の武藤
だ、この治療法は公的健康保険が利かないた
徹一郎氏が会長、後藤重則氏が理事長になっ
めに、自己負担で1クール120万円の治療費が
て研究・臨床を続けている。現在では、大阪、福
掛かる。もっと安く出来ないかと内部で努力し
岡、札幌などにネットワークを広げて、がんの
ているようだが、がん患者から20mml採血し
細胞免疫療法が行われている。
た中の500万個あるリンパ球を1,500倍にする
われわれ医療ジャーナリストには正直のと
培養費に金が掛かるので、これより安くはなら
ころ、先端医学の成果を客観的に評価できる
ないという話しであった。
力はないが、私が約10年前に江川氏の講演を
「瀬田クリニック」を開院して10年を少し過ぎ
聞いた際、
「現在、
細胞免疫療法によって、
がん
たところだが、その間に、細胞免疫治療の材料
の治療が成功したらしいと言えるのは、患者さ
が幾つか揃った。αβT療法、γδT療法、NK
患者さんを苦しめることの
少ない治療法を提供したい
んの18%です」
と、
報告したとき、
「これは、
がん
療法、樹状 細胞ワクチン療法、抗体依存性細
治療のほんまものかな?」
、と感じた。治療の結
胞障害療法のADCC療法などで、免疫細胞治
果を、変化、不変、無効などに分類して、変化と
は、患者さん個人に合わせたオーダーメード医
この本は、体にやさしいとはどんなことか、
考えられるものを成功かもしれないと評価し
療の範疇に入りつつある。本の最後にある、
抗がん剤はどんな進歩をとげたか、
身体にとっ
た、
その態度を科学的態度だと思った。
て免疫はどんな働きがあるか、活性化自己リン
がんの治療には、手術、放射線療法、抗がん
仕組み」
は大変役立つ。
パ球療法をどんな手順で進めるかなどの説明
剤投与の2大療法がある。手術、放射線療法
が判りやすく、読みやすいので、是非一読をお
は原発がんに狙い撃ちする局所療法である。
勧めしたい。
著者の江川滉二氏は、東大医科研で免疫に
「附」として、
「がん細胞に対する
『免疫反応』の
●1月公開シンポジウム
「第二回 医学ジャーナリストを問う―医療界からのメッセージ―」
報告・神保康子
1月23日(土)、アルカディア市ヶ谷に
して新聞社から3名をパネリストに迎え
本の医療を良く
がんは人生共通の敵として、色々な方法で攻
て第二回目となる
「医学ジャーナリストを
た。今回の水巻氏からの問題提起は次
していきたいと
撃しなければならない。
江川氏は先に「がん治
問う」シンポジウムが開催された。昨年5
の3つ。1. 民主党の医療政策について
いう原点であっ
しかし、局所療法でがん細胞塊を摘出できて
療 第四の選択」を出版している。この本は、
月に行われた第一回は、
「衰退する検証
それ以後の進歩を辿っている。その意味で、大
の考え 2.新政権は医療問題に弱いの
た。互いの問題
も、がん細胞は肉眼では見えないまま全身に
よるがん治療の基礎研究をしてきたが、定年
転移しているかもしれない。それを死滅させる
いに意義があると思う。 (大野)
力と発信力」と題し、フリーランスで活躍
ではないか 3.医療界からはジャーナリス
点は問題点とし
退職をした後、限られた患者さんを治す研究
のが抗がん剤による化学療法である。この化
する医療ジャーナリストや新聞社の医
トへの要望、ジャーナリストからは医療
て指摘し合うと
をするより、もっと広く患者さんを救いたいと
学療法の中心である薬剤が近年長足の進歩
学・医療担当者を迎え、医療報道の「質」、
界への要望。
もに、医療費の
思って、1999年に
「滉志会 瀬田クリニック」
を
を遂げた。しかし、抗がん剤だけでは治療効
ジャーナリストの検証力や発信力につい
6名それぞれが、問 題 提 起を踏まえ、
増額、医療従事
開き、がん の 細 胞 免 疫治 療を始めた。医学
果が上がらない。そこで、著書は言う。
「それで
て議論を展開した。
また歴史を振り返り自由に考えを述べ、
者の増加など同じ目標に向かっての発
ジャーナリスト協会の例会に1度お呼びして、
は患者さんの方がお気の毒すぎるという思い
今回はそれに続く第二弾。第一回目に
新政権の医療政 策、これからの日本の
信、協働への確認が行われた。その概要
引き続き、モデレーターは国際医療福祉
課題、そしてジャーナリズムの役割など
を紹介する。
大学大学院教授の水巻中正氏。
「医療界
活 発な意 見交換がなされた。その中か
からのメッセージ」ということで医療界か
ら明確になったのはやはり医療関係者、
ら3名、そして医療ジャーナリストを代表
ジャーナリスト、ともに共通する願いは日
「活性化自己リンパ球療法」
や
「樹状細胞ワクチ
から」免疫細胞治療の臨床・研究を始めた。
「抗
ンの役目」などの解説をして戴きたいと、内心
がん剤が全面的に悪いというわけではけっし
思っていたが、がんの免疫療法は効かないと
てないのだが、なんとかして患者さんを苦しめ
いう評判や、様々な試みが行われているので、
ることの少ない治療法を提供したい、
と思った
躊躇していたところ、去年夏、突然逝去された。
のである」
。だから、細胞免疫療法と手術や抗
Medical Journalist 16
Medical Journalist
Vol.22 No.2(通巻61号)
発 行:NPO日本医学ジャーナリスト協会
発 行 者:大野善三
編 集 責 任:松井宏夫
E-mail:[email protected]
事 務 局:東京都港区麻布台1-8-10 麻布偕成ビル7階
(株)コスモ・ピーアール内
担当 近藤 龍治
TEL 03-5561-2911 FAX 03-5561-2912
ウェブサイト:http://www.meja.jp
▲水巻中正氏
(じんぼ・やすこ=ジャーナリスト、
写真家)
Medical Journalist 1
●医療界から
これからの慢性期
医療と介護の方向性
実は医療どころか 社会保障
亀田総合病院のある安房
ていくべきだ。定年制度の廃
制度、年金、税制から雇用制
地域は高齢化率が非常に高
止など、雇用制度改革も必要
度までがそれにあわない制度
く、65歳以 上の割合 が30%
だ。
になっている。抜本的な改革
を既に超えている。しかし鴨
医療費削減で、官民格差が
期の患者さんをきちんと受け
が必要なことは誰しも分かっ
川市は、全国平均に比べると
顕著に現れている。医療費を
はしないというところも21.3%
入れる病棟、そして介護療養
ていたはずだが、長期政権に
人口あたりの医師数も看護師
削減したからといって公立病
極の夢は街づくりだと思って
あった。
型は重度認知症・身体合併症
よってしがらみが強くなり本
数も多い。全国で住みやすい
院は給与を減らしておらず、他
いる。
今後の医療提供体制は、高
を診る病棟とすれば非常に
来しなければならなかった抜
町トップ10に必ず入っている。
会計繰り入れで補っている。
民主党のマニフェストの医
度の急性期医療を確立し、大
分かりやすいのではないかと
本改革が全くできていなかっ
これだけの高齢化率の中
自治体病院は公務員給なの
療関係の項目を並べて、それ
学病院と地域の一般病院で
思っている。
た。
で我々の職員の平均年齢は
で長く勤めればどんどん給与
が実現に向けて進んでいるか
全日病が提唱しているような
私が民主党政権に望むこと
そのため今回のような大き
39.2歳、家 族も含めると5147
は上がる。看護師よりも准看
を
「○」
、
「△」
、
「×」
をつけてみ
ポ ストア キュート、サ ブ ア
は、急性期病院の赤字や収支
な政権交代がおこったが、こ
人がいる。鴨川市に住んでい
護師の方が高く、さらに事務
平成20年10月、当法人のあ
ると、
三角の中で限りなくバツ
キュートを診て、その後回復
が悪いという数字をきちんと
「平成医新」とは何か。明治
れ は 政 権 交代というより維
る職員だけでも2146人で平均
員給の方がもっと高く、国公
る八王子市の住民(当法人の
に近いのが、医療従事者等確
期リハあるいは亜急性期病棟
把握して、今後どういう医療
維 新は、大 政 奉 還と王 政 復
新、あるいは革命 だと思う。
39.5歳である。鴨川市は人口
立病院の事務職員の平均年
病院、クリニック、老健、訪問
保支援センターの設置と、国
という形が望ましいだろう。し
が必要でどれくらいのマンパ
古だった。今は官僚主導から
現在はその一幕であると考え
約3万6000人という非常に小
収は民間の1.8倍とも報じられ
看護のご 利用者とそのご家
立高度専門医療センター・国
かし亜急性期病棟の診療報
ワーが必要かというところを
政治主導へ。この動きが様々
る。大日本帝国憲法ができた
さな市。その中で雇用の場、
ている。これをきちんと把握
族)を対象に「高齢者の望む
立病院の機能の明確化。これ
酬上のハードルが大変厳しく
もっと勉強していただきたい
な抵抗を生んでいることも確
のは明 治20年。近代 憲 法 が
経済をまわしていく最大セク
した上で議論しないと議論に
安藤高朗氏
(医療法人社団永生会 永生病院理事長)
ションやヘルパーステーション
して転換後の経 営的めどが
うことなどを求めている。
私は
を中心とした在宅総合ケアセ
たたないということもあった。
医療療養型、介護療養型の区
ンター機能という二つの車輪
転換を予定している医療機関
分は分かりづらいのではない
をうまく回してこの地域の医
では、地域で療養病床が必要
かと思う。医療療養型は急性
療の質の向上と患者満足度
とされているのであれば転換
の向上を図っていきたい。究
平成医新
亀田信介氏
(医療法人鉄蕉会 亀田総合病院院長)
はできていないと思う。
やっているところは少ない。こ
ということだ。地域医療に関
かかもしれない。そして今、開
できるまで20年もかかってい
ターという役割を既に担って
ならない。
「必要」と答えた割合が一番
また、
昨年7月に日本慢性期
れもなんとかしていかなけれ
するきちんとしたデータもな
国ということで医療の国際化
る。その間、様々な戦いがあっ
いる。予算を見ても、我々の病
医療費抑制政策によって
多かったのが救 急の病院が
医療協会で民主党の議員に
ばならないと思っている。
いので、まずは地域の医療と
が進みつつある。これまで日
た。今こそ、その歴史に学ぶ必
院がないと鴨川市の経済は成
病院経営は悪化の一途をた
あるという項目だった。
二番目
アンケートをとったところ、介
私が考える今後の療養 病
介護のデータセンターのよう
本の医療は鎖国状態だった。
要があるのではないか。本当
り立たない。
どってきた。すでに診療報酬
がリハビリテーションのでき
護保険の療養型医療施設の
床は、老人病院でもなければ
なものを第三者 機 関として
昨年亀田メディカルセンター
に日本の未来にとって何をす
今後、税制改革と弱者の見
を20%上げようが30%上げよ
る病院・診療所がある。
三番目
廃止には反対と言っていた。
療養 病床でもなく、きちんと
作って、そのデータをもとに議
では日本で初めてJCI( Joint
べきか真剣に考える時期だと
直しも必須だ。強制徴収であ
うが千葉県立病院も都立病
がかかりつけ医がいる。介護
療養病床を含む慢性期医療
急性期の受け皿になるような
論するということが大事なの
Commission International)
思っている。
る社会保険や介護保険、年金
院も黒字にはならず、完全に
施設のニーズも高く、
「救急」
病床の増床には賛成というこ
慢性期医療の機能を持って
ではないか。フェアでリーズナ
の認定を受けたが、日本は医
コストからバリューへのパ
保険は本当に保険なのだろう
破 綻しているといえる。経 営
とであった。
いる必要があると思う。これ
ブルでシンプルな制度を作っ
療の国際化が遅れている。医
ラダイムシフトが必要である。
か。税にして一緒に徴収すれ
改善 努力をすることなく、他
一方、昨年10月の厚生労働
は全日病の言っている地域一
ていただきたい。また、政治家
療サービスの国際化と外国人
産業構造改革は、どんな経済
ばコストの削減になる。社会
会計繰り入れをしてきた結果
街づくりアンケート」
を行った。
「24時 間365日 」とい うの が
キーワードではないかと思っ
ている。
省の転換意向調査では、医療
般病棟とかなり重なる部分が
の方も行政の方も、現場に泊
医療者の受け入れが必要で
学者に聞いても一番の問題
保障税を新設して、
そのうえで
として官民格差が増大してし
永生病院はケアミックスで、
療養病床を持つ医療機関の
ある。地域一般病棟ほどでは
まり込むような気迫で勉強を
ある。
は雇用だと言う。内需を拡大
互助、自助という制度を2階建
まった。これは民業圧迫で大
一般病床、精神病床、回復期
約85%が 現 状 維 持。老 健 施
ないが急性 期からの受け入
していただきたいと思ってい
文明開化というところでい
して雇用を創出する、医療産
て、3階建てで作っていく必
きな法的問題だと思う。診療
リハ、療養 病床、それから老
設へ転換を考えているところ
れ、在宅や介護施設からの受
る。
うと、これは経済産業構造改
業の育成はまさに景 気回復
要があるだろう。寄付税制も
報酬を減らしたために補助金
健施設をやっている。それと
は0.9%と極めて少なかった。
け入れ、緩和ケア、難病のフォ
マスコミの方々へのお願い
革である。コンクリートから人
の特効薬だ。一次、二次産業
一度見直すべきだ。国民性善
が増えただけの話であるの
訪問看護ステーションのよう
介護保険の療養病床を持っ
ローアップ、認知症の合併症
は、
やはりフェアな記事を書い
へ、外需から内需へというこ
に雇用を産めというと国際競
説に基づいた制度を作ってい
で、今度はまずその逆をやる
な在宅ケアやグループホーム
ている医療機関は、半分近く
を診ていく維持期のリハビリ
ていただきたい。現場を見て
とだ。病院というのはいろい
争力がなくなってしまう。しか
くべきだ。
べきだ。補助金を全部なくす
も法人で経営している。昨年4
がどうしようかと悩んでいる。
を強化していく必要があるの
書いていただくのが一番いい
ろな専門家が必要な産業で
し、医療の場合には人が全く
また、高齢者という定義は
わけにはいかないだろうが、
月には東京都の国保の病院
そして44.2%が医療療養病床
ではないか。
と思っている。
ある。セーフティネットとして
足りていない。
ここに雇用をど
本当に必要なのだろうか。高
自治体病院に毎年約7,000億
を民間委譲したいというので
へ、約10%が老健へ転換して
昨年9月に、
日慢協で民主党
の機能は確保しながら医療を
んどん作れば国民は実は幸
齢者だから必ずしも弱者とは
円超の補助金が出ており、全
手を挙 げ てみたところ通っ
もよいと考えている。
に要望書を出した。入院基本
産業としてどう育成していく
せになる。ただ、その財源論と
限らない。たとえば50歳で障
部あわせると2兆円弱にもな
た。病床稼働率は、初め30%
同じく厚労省の「療養病床
料をきちんと評価すべきでは
かというのが大きなテーマに
いうものをもう一度制度設計
害を持った人はサポートが必
る。
ここに財源はある。
であったのがようやく70%を
から転換した老人保 健施設
ないか、また急性期病院の再
なっていくと思う。
する必要はある。今後の社会
要だが、80歳でもぴんぴんし
日本は規制すべきものを
超えてきた。
等実態調査」では、転換の際
編を行って高度急性期病院を
今回の政権交代の根本的
経済をまわしていく最大セク
ていて経済的にも困っていな
規制せずに、規制しなくてい
当病院の中長期ビジョンと
の懸念事項としては病院をや
確立していくことが大事だと
原因は長寿化である。50年
ターの産業として、成長してい
い人もいる。年齢ではなく障
いものを規制している。規制
して、病院を中心とした施設
めることへの抵抗感があった
いうこと。そして介護保険の
間で15年以上も平均寿命 が
くための制度改革が求められ
害というものをきめ細かく、必
強化すべきなのは、高額医療
サ ービス、訪 問 看 護 ステ ー
ということ。
また大きな問題と
療養病床は存続すべきだとい
延びているにもかかわらず、
ていると考える。
要なサポートに応じて区分し
機器導入のためのガイドライ
Medical Journalist 2
Medical Journalist 3
●メディア界から
発点になったのは横 浜市立
なくなっているのは、検察庁
う場面になっていると思う。
フ
大学 病院の患者取り違え事
が 刑事介入に対して慎 重に
リーアクセスの問題も、
考えて
故だった。この報道が医療事
なったからだ。このような背
いかなければならない。軽症
故、医療の安全について考え
景で医療事故調査委員会の
でも昼間に行けないからとい
年3月まで在籍し、PAについ
る大きなきっかけとなった。続
論議が始まり、厚労省からは
う理由で夜間救急を利用す
口10万人あたりの生涯リスク
ての研究を行った。私は実は
いて、都立広尾病院の点滴ミ
08年の第三次試案、再考案
るのはやめようと、もっとしっ
化、危 険 性のある代 替 医 療
を見ると受動喫煙では年間3
難病を煩っており、アメリカへ
スがあり、ここでは医師法第
まで出ている。民主党案とい
かり言っていいと思う。
に対する規制も行うべきであ
万7000人〜 5万人くらいが亡く
いっている間にも手術をした
21条、医師は異常事態を見つ
うものもあるが、これは公の
2年 前に読 売 新 聞では医
る。
なっている。これに対しBSE
経験がある。その時にPAに実
けた時には届け出なければな
場できちんとした説明がまだ
療提言を行った。その中に、
規 制 緩 和に関しては、ド
は、ほぼ死者はゼロであるの
際会って、
調べて論文にまとめ
らないというものが、憲法38
なされていない。
診療科や地域ごとに医師の
ラッグラグ、デバイスラグ、ワク
に、心配だからという感情論
た。
条の自分に不利な供述は強
厚労省案は第三者機関に
定員を決めて医師の偏在を
チンラグの是正のための規制
に押されて検査代だけで毎年
私が会ったのは主に外科系
要されないというものに反す
よる原因究明と再発 防止に
防ごうというものがある。こ
崩壊阻止など夢のまた夢であ
遠藤玲奈さん
る。
現場を知らないトップが決
NHKの健康番組や科学番
めるとどうなるか。甘い情報
組のディレクターをしている。
分析と遅い基本方針の転換
慶応義塾大学の大学院に昨
効率的な配備をするべきであ
となる。たとえば、日本人の人
る。また、専門医制度の厳密
ンだ。日本は世界一たくさん
MRIやCTがあるにもかかわ
らず放射線の読影医は圧倒
的に少ない。高額医療機器の
真実は現場にある
本田宏氏
(埼玉県済生会栗橋病院副院長)
医療の安全と安心
井深太路氏
(読売新聞社会部次長)
緩和、コメディカルの業務範
これからの医療崩壊を阻
130億円使っていた。
のPAである。外科病棟にはだ
2006年 の 読 売 新 聞 の 世
るのではないかということで
重点を置いた仕組みである。
れについては職業選択の自
囲拡大が必要だ。また、保険
止するには、医療費増と医師
メディアの方は、
情報をいか
いたい一人いて、医師とスタッ
論調査で「今の医療に満足し
最高裁まで争われた。最高裁
一方民主党案は、まずは院内
由を侵すのではないかなど批
医療と保険外医療の併用に
増員は必要最低限であるが、
に正しく出していくか。情報操
フ間のやりとりを代表して行っ
ていますか」
という質問に対し
の 判 断は、医 師 法21条は合
事故調査委員会での調査を
判もいただいた。
しかしドイツ
それ以外にも医療秘書、PA
作からの脱却が正しい判断を
ていた。そのおかげで医療者
て、
「非常に満足している」人
憲であるというものだった。
してから、納得がいかない場
やフランスではこのような制
(Physician Assistant)
、
ナース
下すための必要最低条件であ
に余裕ができるので患者とし
が6.6%、
「多少は満足してい
その 後、医師 法21条が 医 療
合に第三者的な調査をすると
度はある。日本も長い目で考
ついても、きちんと議論して
改善していくべきだ。
国民はジャーナリストが発
プラクティショナー(NP)、
たく
る。
ても穏やかな気持ちで自分の
る」
人が42%。
必ずしも満足し
事故に適用されるようになっ
いう構想のようだ。
どちらかと
えなければいけないと思う。
信する情報からしか 判断で
さんの職種が病院にいなけれ
高齢 者の治療というのは
病気に向き合うことができた。
ている人ばかりではないとい
た。
いうと原因究明よりも患者家
財源問題については、選挙
きない。情報を鵜呑みにして
ばならないと考えている。
人手と時間がかかる。持病が
これは日本の病院に入院した
う結果であった。
99年に起きた杏林大学事
族の納得、紛争解決型と受け
のこともあるかもしれないが、
発信するのではなく、日本の
まず、最近あった話題から。
あったり血圧が高かったりす
時とは精神的にかなり違う。
「信頼できる医師がいる」人
件では医師が自宅で起訴さ
止められている。
消費税の議論を逃げずにや
将来をマクロ的視 点で捉え
87歳の女性の緊急手術を行っ
るし、若い方なら15分で納得
今、
日本でもNPやPAについ
は50%。
その理由としては
「症
れたが、一審、二審とも無 罪
それぞれの案に対する医
るしかない。公費をある程度
てほしい。それがこれからの
た。認知症気味で動けない方
していただける話に30分割か
ての議論が始まっているが、
状や治療法をきちんと説明し
判決が出ている。しかしその
療界や患者からの反発もさま
入れないと今の医療提供体
ジャーナリストの役割だと思
だったが、ご家族と相談して
なければならない。また、ご家
なかなか歴史的背景や現実
てくれる」という人が圧倒的
理由は一審、二審で異なって
ざまある中で、まだしっかりと
制は変えられないと考えてい
う。日本の将来を見据えた政
手術することになった。こうい
族への説明にしても、
「息子は
的にどういう困難や軋轢に直
で82%。
「 病気や怪我が治っ
いた。これは検察と地方裁判
両方の案が比較されていない
る。
策論 争の中で高い志を持っ
う方は、合併症もおこりやす
忙しいから日曜日だったら来
面しているのかという、
職種の
た」というのは19%であった。
所、高等裁判所がバラバラの
状況である。
た情報発信をしていただきた
く、また回復の段階で転倒も
現状が分かっていないような
この結果は、医師と患者の関
理由を示したということで、刑
今注目されている取り組み
いと期待している。
おこしやすい。
しかしなんとか
どうなるの」と思うこともある
話合い、メディアでの報道に
係を考える中で非常に重要な
事司法で医療事故を裁くこと
としては、医療ADRや手術の
ある程度元気になったので、
し、
火曜日の
(午後)9時くらい
なっているのが気がかりであ
数値だと思っている。
は難しいのではないかと私も
全例録画などがある。後者に
ご家族にお返ししようとする
なら来られるといわれて11時
る。もっと日本独自のシステム
医薬産業政策研究所の
感じた。その後、東京女子医
ついてはコストがかかるが、実
と、引き取り手がない。受け入
まで待ったこともある。
携帯を
と患者ニーズにあった職種が
2005年の調査で、医師で自
大の医師が心臓手術での過
は見せてほしいという例は年
れてくれる施設もない。そうす
枕元に置かないと安心して眠
できてもよいのではないかと
分が患者に対して十 分に対
失を問われ、逮捕された際に
間数例だそうだ。コスト面か
ると、一度緊急手術をした医
れない55歳の副院長である。
思う。
応していると考えている人は
も同じようなことが起きた。
ら小さな病院では難しいが、
師がお宅に帰るまで主治医と
こういう現場の声をぜひ聞い
最新の動向なども踏まえた
68%。十分に対応してもらっ
記憶に新しい大野病院事件
患者の安心の面から今後も
なる。助けてくれる施設もな
てから報道していただきたい。
上での報道を、
患者の立場とし
ていると思っている患 者は
では、産科医が逮捕された際
注目されていくだろうと思う。
い。こういう状況を知らない
医療事故の報道についても、
て望んでいる。
38%というものがある。イン
に医療界からの反発が非常
また、10年ぶりの診療報
日本の医療を共に育てるとい
フォームドコンセントについ
に大きかった。これは一審で
酬アップというのは当然の結
く。医師は将来余るという。で
う視点で、建設的に解決する
ても同じようなギャップが見
無罪判決が出て、控訴するの
果だといえる。病院の先生方
はあなたがここで働いてみて
ことができるような報道を心
られる。情報伝達というのは
が難しいということで完結し
の現場でのがんばりで持って
と言いたいが、
そういう人は働
からお願いしたい。
非常に難しいということを示
た。
いるという状況を改善してい
きに来ない。
PAについてアメリカでの体
す結果だ。
ここ7年で起訴された医師
かなければならないというの
種々の情報からお金の使い
験をもとに論文にまとめられ
この10年、医療事故を巡っ
数、民事訴訟の数を見ると、
は間違いない。今、大変な病
方を判断しなければ、お金は
た、NHKディレクターの遠藤
て医療事故調査委員会の論
略 式 起 訴を合 わせ2004年
院を支えるために、もっと地
いくらあっても足りない。医療
さんにバトンタッチする。
議は停滞しているが、その出
の1110件がピーク。この後少
域でできることはないかとい
方がお金の使い方を決めてい
Medical Journalist 4
られる」という。
「私の日曜日は
Medical Journalist 5
●4月見学会
の間に双方向の相互作用を及ぼしている。
今、種 田 氏 は、
アメリカでは「Team STEPPS」
の指導
「Team STEPPS」
者養成のために4つのトレーニングセン
の指導者を育成す
ターがある。
今年は5つになる予定だとい
べく研 修・教 育 を
う。
実際に
「Team STEPPS」
導入によって
行って いる。しか
トレーニングを受けたある病院では、患
し、ツール だ けの
者のICU滞在日数が半分になったという
導入では決してうま
報告がある。術後敗血症が少なくなる、
くいかないと指摘
医療事故が半減する、損害賠償も減る、
する。患者の 安 全
看護師の離職率が下がる、などの効果が
を最優先した安全
生まれているそうだ。日本看護協会調査
文化を組 織として
によると、看護師は医療事故に対する不
つくっていく必要性を強調している。全国
安を抱えて病院を離れていくケースも多
の病院がそうした風を起こしていくこと
いという。
ができるかどうか、日本の医療安全の鍵
入間基地を見学し、
航空医学を勉強
▲チームプレーの重要性を知った楽しいプログラムだった
を握っているといえよう。
(しもむら・のりお=医療ジャーナリスト)
報告・松井寿一
● 命あっての俳句考〈自句自解〉
谺ひろひこ
【暑さは熱さで対処】
炎帝や将門塚はビルの間
しょうもんづか
「炎帝」は夏をつかさどる神で、太陽のこと
で も あ る。猛 暑 の 日 中、皇 居 に 近 い 大 手 町 の
将 門 塚 一 角 に は 人 影 は な い。勤 め 人 は み な
冷房中のビルで忙しく働いているのだろう
あい
が、塚はやっとビルの間に避難している格好
だ。平安中期に内乱を起こした平将門はやが
て討たれるが、この地の住民が将門の怨霊に
苦 し め ら れ た た め、首 塚 が 造 ら れ た。こ の 塚
は関東大震災によって倒壊し、跡地に大蔵省
が建てられる。ところが工事関係者や大蔵省
職員の不審死が続いた。そこで昭和2年に将
門鎮魂碑が建立され、盛大な鎮魂祭が執り行
われたという。 =季語は、炎帝(夏)
蝉声に負けじ
吹き吹く雲呑麺
ぜんせい
木 々 は 青 々 と 茂 り、蝉 声 が か し ま し い。こ
の騒音だけでも暑苦しいが、そんなものに負
け て い ら れ る か。夏 の 真 昼、街 な か の 中 華 料
理 店 に 入 り、ワ ン タ ン メ ン を 注 文 し た。暑 い
ときは熱いもののほうが体に良いというか
ら、フ ー フ ー 吹 き な が ら す す る。胡 椒 も し っ
か り 振 り か け て。食 べ 終 え て 額 の 汗 を 拭 う
と、満足感が全身に行き渡った。
=季語は、蝉声(夏)
航空自衛隊入間基地の見学会が4月14
上の各種調査研究および実用試験 ②
注目を集めたのは低圧訓練装置、射出座
日
(水)21名が参加して行われた。天候不
航空身体検査および航空生理訓練 ③
席訓練装置(実演してくれた)
、遠心力発
順が続いていたが、この日は気温も普通
他自衛隊、技術研究本部等への航空医
生装置および管制室、加速度訓練、空間
で穏やかな日和となった。基地の中には
学に関する技術協力、である。総務部の
識訓練などであった。
桜がまだ咲き残っていて、絶好の見学会
ほか1部~4部にわかれている。
低圧訓練とは、操縦者・同乗者に高高
となった。
第1部は、作業能率の向上や安全対策
度飛行が人体に及ぼす影響とその対策
11時30分に西武線の稲荷山駅に集合、
について、心理学的、人間工学的な調査
ならびに酸素マスク、酸素レギュレータ等
マイクロバスで基地内へ。まずは隊員の
研究を実施するとともに研究等にかかわ
の取り扱い方法の訓練である。
人たちの昼食がどんなものなのかの体
る物品の調達業務を実施している。
加速度訓練とは、飛行の安全を確保す
験昼食会。この日は「麺の日」とあって、た
第2部は、各種航空環境下における搭
るため、遠心力発生装置を用いて高G(重
くさんの具が入ったうどんであった。実費
乗員等の生理学的,生化学的および薬化
圧)環境の体験およびその対処法を修得
375円を各自で支払う。部屋を移して、管
学的調査研究を実施している。
するもの。
制群司令官の木村達人さんの挨拶、担当
第3部は、臨床航空医学にかかわる調
空間識訓練とは、模擬視界映像と連動
官による見学上の心得を聞いて、二班に
査研究、40歳以上のパイロットの身体検
した4軸による回転運動により、実際の飛
分かれて行動する。レーダー室と管制塔。
査および航空医学適性の評価を実施して
行感覚に近い環境を搭乗者に提供し、各
前者は1階だが後者にはエレベータはな
いる。
種錯覚を体験できる装置で訓練する。
く、歩いて100余段を上る。C‐I中型輸送
第4部は、航空生理訓練の実施および
(今回、会員からの応募が多数あった
機(国産)の内部も見学、操縦席に交わる
訓練方式に関する調査研究ならびに救
ため、今秋もう一度見学会を催し、参加で
がわる座ってみる。飛行機の前で記念撮
命装備品の実用試験等を実施している。
きなかった人に呼びかける予定になって
影をする
(写真参照)。
身体検査や視機能検査、デジタルX線
います。)
航空医学実験隊は全員で見学する。こ
テレビシステムによる観察は定期的に行
の隊の任務は①航空医学および心理学
われている。施設を見学していて、一行の
(まつい・じゅいち=医療ジャーナリスト)
夏掛けの
大の字の脚隠しかね
川 柳 調 で は あ る が、「 夏 掛 け の 」の 後 ろ に
〈切れ〉が入るので、俳句に違いないと思う。
夏用の薄い掛け布団は軽いから、気がつい
たときは動いていて、大して長くはない脚で
も、はみ出しがちになる。まあ、お腹の上にか
かっていればいいだろう。子ども時代は親に
れ た も の だ が、い つ の 間 に か、そ ん な 心 配 を
「 寝 冷 え し な い よ う に 」と 腹 巻 を 着 け さ せ ら
し な く な っ て し ま っ た。心 身 と も に 図 太 く
なってしまったのに違いない。
=季語は、夏掛け(夏)
拭はれて
網戸が通す子らの声
網戸は虫よけに重宝だが、いつの間にか目
詰まりを起こしている。そこでブラシをかけ
雑巾で拭うと、窓外の景色がすっきり見える
よ う に な っ た。い や、外 で 遊 ん で い る 子 ど も
たちの声も、よく聞こえるような気がして気
持 ち が い い。年 の せ い か、こ の ご ろ 子 ど も た
ちに触れられるのが楽しくなった。それにし
=季語は、網戸(夏)
ても我が周辺に子どもの数が少な過ぎる。
*
谺ひろひこは、当会会員・児玉浩憲の俳号。
ブ ロ グ も よ ろ し く 。グ ー グ ル で の 検 索 は
「 俳 句入門、
児玉」とお願いします。 http://ecohike.exblog.jp/
▲迷彩を施した飛行機の前で参加者一同記念撮影
▲射出座席訓練装置の実演
Medical Journalist 14
Medical Journalist 15
政権交代と
日本の医療
大牟田透氏
(朝日新聞医療エディター兼
科学エディター)
療や周産期、小児医療の充実
療技術や先端医療を担ってき
害もあり、打ち合わせが増加
に取り組んだが、必ずしも成
た部分と、生活部、社会部の3
し、大事件への対応での柔軟
果は十分ではなかった。そこ
つを母体にする20人あまりが
な記者運用が難しくなった。
でOECD並みの医 療 費の 確
グループとなった。そして08
そこでもっと大括りな組織に
保を目指すということになっ
年春からは環境、教育と並ぶ
しなければならないというこ
医療危機に
どう立ち向かうか
腹囲判定は全く合理性を欠く
な表現だったが、
東京は
「19ヵ
われの勝利の第一歩ではな
ということ、制度に問題点が
所たらい回し」という見出しを
いかと考えている。政治は変
〜毎日新聞の
報道はいま
多く自治体から見直しの声が
つけてしまった。全体として遺
えられるということを示した
挙っていることを指摘した。
族の心情に寄りすぎた記事
一つの出来事であるという認
斗ヶ沢秀俊氏
一昨年12月から1年間にわ
になっていた。仲間の記者が
識を持った方がいいのではな
たって
「がんを生きる」
というタ
やった仕事にあれこれ言うの
いかと思う。
(毎日新聞科学環境部長)
た。具体的には、急性期を中
柱として医療を位置づけてい
とで、2010年2月 か ら 医 療、
心とする入院医療に優先的か
る。
労働、教育グループが一つに
イトルで、
がんを抱えながら生
は本来したくないが、大淀病
昨年最大の医療ニュースは
つ重点的に配分するとともに
医療面を週1回、朝刊に展
なって科学医療グループとい
きる人々の姿を紹介する連載
院報道は毎日新聞は適切で
新型インフルエンザだった。
メ
その受け皿となる後方病床、
開するほか、
「患者を生きる」
う形になる。科学医療グルー
を行った。がん手術を3回受け
はなかったと感じている。
ディアとしては惨敗だったと
在宅療養の機能強化、手術等
という連載を、これは医療グ
プとしては、科学、環境系と医
ているテレビキャスターの鳥
しかしながら救 急医療体
思う。新型インフルエンザは、
医療技術の適正評価、
医療の
ループ誕生に先立って06年春
療医学系が大きな柱となり、
越俊太 郎さんの生き様を紹
制の問題を端的に指摘したと
早い段階で弱毒性であること
高度化への対応、勤務環境の
から週6回、生活面に掲載して
基礎から臨床までを生命 科
介した際には、読者から大変
いう意義もあり、この後、奈良
が確認されていた。毎日新聞
改善、医療安全への取り組み
いる。そして、土曜別刷りの中
学分野も含め、医療事故や医
勇気づけられたという反響を
県は救急医療体制を見直す
では担当記者に弱毒性であ
民主党のマニフェストでは、
などがまとめられた。
では「元気のひけつ」
、月曜夕
療制度問題までを担当する。
いただいた。
策をとった。一方で大淀病院
ること、
および季節性インフル
年金と医療というのはひとま
では医療従事者の養成確
刊では「体とこころの通信簿」
科学系、
社会系、
生活系という
2000年から03年にかけて
医学医療 報 道は、科 学 環
は産科医療から手を引き、奈
エンザと同程度の毒性である
とまりになっている。よく見る
保の具体的対策はどうなの
を掲載している。また、
「がん
複眼的思考で医療の問題を
ワシントンで特派員生活をし
境部から社会部、政治部、生
良県南部は産科医がいない
ことを紙面で繰り返し書くよ
と、民主党の医療政策は必ず
か。医師数を増やすと言って
新時代」という特集を原則月1
取り上げていく必要があると
ていたが、当時中学生だった
活報道部という部署が関わっ
空白地域となるという結果を
うに指示していた。アメリカで
しも厚くないことがわかる。ど
も実際には10年かかる。それ
回、08年1月からやってきた。
考えている。
娘が、家庭科の時間にミシン
て行っている。しかし残念な
招いた。これについては毎日
初の死者が確認された際にも
れだけ重点を置いているかも
で間に合うのか。NPや医療
医療グループとして、これま
私は患者家族の経験をし
の針を指に刺してしまったと
がらマンパワーがなく、医療を
新聞に相当厳しい批判があ
トップにはもってこなかった。
はっきりしない中で、
掲げてい
クラークを育てるとしたらい
で存在感は示してこられたと
ている。父親の癌を診ていた
いうことがあった。学校から
独立させることができないと
り、今でも尾をひいている状
しかし他紙は違った。
るのは後期高齢者医療制度
つからどのように手をつける
思っている。医療危機の取材
主治医が抗がん剤の機序を
救急車を呼んでいいかと電話
いう問題点を抱えている。
況である。
TVでも朝から晩までずっ
の廃止と、医療崩壊の食い止
のかというのが課題である。
に関しても、かつて厚生労働
知らなかった。また、母親はア
があり、もちろん呼んでくれと
仕事柄、よく医師や医療関
このようなことを踏まえ、毎
とインフルエンザの番組が放
め、新型インフルエンザへの
朝日新 聞の医 療 報 道は、
行政は社会部や政治部が、医
ルツハイマーであるが、筋固
答え、50分後くらいに病院に
係者にお会いするが、新聞は
日新聞も変わっていった。ま
送されていた。最初に表面化
対応、がん・肝炎対策、そして
1990年頃は病気や医学 研究
療現場は科学部が担当して
縮と姿 勢 保 持障害を起こし
駆けつけた。すると娘が待合
医師や病院を叩いてばかりい
た、医療現場の厳しい状況が
した関西が観光などで大打
被爆者援護である。
については 科 学 部、医 療 事
いたために、厚生労働行政の
た時に、老人施設の提携医は
室で、指に針を突き立てたま
るということをよく言われる。
世の中に分かってきたことで
撃を受け、感染が分かった人
大きな話としては最初の2
故、医療ミス、薬の副作用な
問題点が医療現場にどう落
それが服用している薬による
ま待っていた。アメリカでは支
これは、かつては半ばそうい
医療報道全体が大きく変わっ
たちが不当な攻撃をされると
点に留まっているが、後期高
どは社会部、福祉、介護は学
ちてきているのかが結びつか
ものだと分からなかった。私
払い能力があるか確認するま
う面はあったと思う。その要
てきた。08年に東京で、大淀
いう事例もあった。厚生労働
齢 者医療制度廃止について
芸部と科学部、保険制度や医
ず、逆に医療現場からの声が
が医療界に望むことは、もっ
で治療を始めない。この体験
因は社会部記者が病院の事
病院と似た事例が 起きた際
省の柔軟性を欠く政策と、メ
は廃止後どうするかがあまり
師会については政治部が担
医療制度の話題に結びつか
とプロであってほしいという
でやはり日本はいいなと感じ
故を担当するということが関
には、受け入れを拒否した医
ディアが適切な報道ができな
見えない状態。医療崩壊の食
当していた。これは責任があ
ないということがあった。いく
ことである。メディアも進化し
た。
係していたと思う。自分も社
療機関がどういう理由で断っ
かったためにおきたパニック
い止めについて、医師数を増
いまいになったり視野が狭く
ら医療報道が重要だといって
ようとしている。医療界も進化
毎日新 聞 で は、日々の 医
会部出身だったので分 かる
たのかということを聞き取り、
であるといえる。メディアも国
やすことは各党ともに言って
なったりしがちで、読者ニーズ
も人も増えなければページ数
してほしい。そして連帯をあき
学、医療ニュースのほかに、健
が、どうしても事件にしたいと
救命救急体制をどう改善する
民も賢くならなければならな
いた。注目すべきは中医協人
に応えられるのかという反省
も増えないという時期があっ
らめないでほしいということ
康面と医療面を毎週掲載して
いう気持ちが働くからだ。
かという視点から記事を作っ
い。
事だ。これまで日本医師会が
があった。私は科学畑出身だ
たが、それがようやく変わっ
に尽きる。
いる。これとは別に各種キャ
その習性が現れたのが06
た。メディアは医師や病院を
医 療 費の増額、医 療 従 事
とっていたポストをそうでな
が、どうしても医師の言うこと
て、医療は医療グループへと
ンペーン報道にも取り組んで
年の奈良大淀病院関連報道
叩いてばかり、というのは今と
者の数を増やすというのは極
い人にまわしたというのが、民
を代弁しがちということがあ
いう意識が 社内でも強まっ
おり、ほかに「医療クライシス」
だった。出産中の女性が脳内
なっては誤解であると断言で
めて重要な課題だと思ってい
主党政権が医療関係で行っ
る。社会部は社会部で、医療
た。
という長期連載もある。これ
出血を起こし19 ヵ所の医療
きると思う。
る。これを実現するために、医
た最初の注目すべき決定だっ
事故被害者の取材をすること
新型インフルエンザの報道
は07年から始まり、日本の医
機関に転院を断られた末、転
診療報酬が10年ぶりにアッ
療関係者とメディアが協力し
た。
によって、医師はけしからんと
については医療グループが全
療が置かれている状況を伝
院先で死亡したという出来事
プしたということは、医療現
てやっていきたい。志の高い
また、医療政策の財源がア
いう見方になりがちで、どうも
体のコントロールタワーとなっ
えてきた。また昨年5月には、
だ。これを毎日新聞奈良支局
場から世論喚起にがんばって
報道を目指してがんばりたい
キレス腱である。診療報酬改
噛み合ない部分があった。
た。位置づけや予測などは非
救命 救 急センターの全国調
の記者がスクープした。とこ
いらっしゃる先生方、そしてわ
と思う。
定については、前回の改定で
2006年12月、朝日新 聞は、
常にうまくできたのではない
査を実施した。メタボ健診に
ろが見出しに「6時間放置」と
れわれメディアもそれに応え
も厳しい勤務環 境にある病
医療グループを誕生させた。
かと自負している。
ついては、我々は反メタボ健
あった。大阪の紙面は
「19 ヵ所
て記事を書いてきたことで世
院勤務医の負担軽減、救急医
当時、科学医療部といって医
しかし、グループ化した弊
診キャンペーンを張り、日本の
受け入れ拒否」という穏やか
論が形成されたからで、われ
Medical Journalist 6
(各パネリストの肩書きは、発
言当時のものです。
)
Medical Journalist 7
●2月例会
人工臓器はいま? 将来へつなぐために・・・
巽 英介さん(国立循環器病研究センター研究所 先進医工学センター 人工臓器部 部長)
報告:大野善三
ことでした。人工心臓といえば冷蔵庫の
この後、人工肺開発の話しが続いたの
なく、この道を探求する人材が不足して
ような大きさで、それに繋がれて生活しな
ですが、手術に用いられるのが普通なの
います。
ければならないので、用便もベッドの上で
で、ここでは省きます。
アメリカで、人工乳房の植え込みがが
行われていました。チューブに繋がれて生
(4)医療機器開発の実態
んを発生させることが判ったので、1998
きてゆくのは問題であるという倫理的な
巽先生の締めくくりは、医療技術に優
年、連 邦 政 府 はBAA法(Biomedical
問題も起き、運搬可能な軽量化が開発研
れている日本の技術者が後ろから支えら
Assurance Act 医学 技 術保 障 法)を制
究の大きな課題でしたし、今も続いてい
共に多数使用されており、人工網膜など
れることの、余りに少ない現状への嘆き
定しました。この法律で、部材メーカーは
医療の進歩と共に、人工臓器の開発も
ます。持ち運び可能になったことで、患者
の未来を拓く技術が研究されています。
でした。殊に、当局を叩くことを専らにし
医療機器部材の安全性は守るべきだが、
成果を挙げています。巽先生の話は①人
さんが最も喜んだのは、便所で用便でき
最終的な責任は問われないと規定しまし
工臓器が意外に沢山用いられているこ
②期待される人工心臓
ている医療ジャーナリストに対して、将来
ることでした。仮にアメリカで心臓移植を
た。そのために、部材メーカーは組み立て
と。②巽先生の専門である人工心臓研究
を拓いて行く前向きの姿勢を持って欲し
巽先生専門の人工心臓の話に入りま
受ける場合、これまでは、航空機の座席
企業への供給は減ることなく、部材を納
の成果。③開発の今後についての3点で
いという主張でした。
す。2003年の統計に因りますと、年間の
を30席つぶしてそこに人工心臓と患者さ
めています。ところが日本では、組み立て
した。国立循環器病センターは1977年以
医薬品は化学物質という単品の操作
死亡者総数101万5千人の18%近く18万人
んを乗せなければなりませんでした。輸
で済みますが、医療機器は、金属、プラス
企業が部材メーカーに注文しても、拒否
来、
国の専門医療機関として歩んできまし
が心血管疾患です。その中でも、1位が
送費に約1,000万円掛かったそうです。い
チックス、ガラス、電気器具などなど多数
されます。何かが起こると部材メーカーの
たが、この4月から独立行政法人になり
48時間内に死亡するハート・アタック。医
まは軽量化して2座席を使うだけになっ
の材料の組み合わせで出来ているため、
責任が問われない規定がないからです。
ました。
療費でみると、心疾患の直接経費だけで
ています。すでに5年間、肩にかけて病院
その安全性を図るのは薬とは一桁多い
従って、現在は治療機器の組み立てが出
も、年間3~4兆円を使っています。正常
内を歩いたり、自宅に帰ったりしている人
努力が必要です。もし不具合が出れば、
来ない状態です。
に戻すのがなかなか難しい病気で、仮に
たつみ
①人工臓器は医科学進歩の象徴
▲巽 英介さん
いま国内で、700万から1,000万個の人工
が、ジョージ・ブッシュ旧大統領の副大統
もいます。2000年にアメリカが行った調
薬剤なら止めることで不具合は止まりま
医療技術を更に推進して行くためには、
臓器が使われています。日本人の10~15人
回復しても予後のQOLが必ずしも思わし
すが、人体への埋め込み器具は、止めれ
産官学の協調が必要です。最近は、各国
に1人が人工臓器のお世話になっている
領であったチェイニーも埋め込んでいま
査では、薬剤で生存させた場合と、人工
くありません。心臓の筋肉が異状になる
心臓の場合を比較したところ、1年間で
ば即命に関わるケースが少なくありませ
は競争より共同に力を入れようとしている
勘定です。 す。1個200万円近くするペースメーカは、
拡張型や肥大型心筋症には、現在のとこ
25%対52%、2年間では8%対23%と、人
ん。だから、日本の企業は「診断にかかわ
と先生は言っています。国内でも、国の機
●最もポピュラーな臓器は眼内レンズで
精密機械が得意な日本は総て輸入してい
ろ心臓移植しか治療法がありませんが、
工心臓の方が生存期間が長いという結
る器具」の開発には熱心ですが、
「治療に
関と企業が協力すべきだと思いますが、
す。
白内障の手術で濁った水晶体
(レンズ)
ます。
しかし日本では、臓器移植法が制定され
果が出ています。
かかわる器具」には手を出しません。一昨
協力したくても国立機関の職員は、ベン
を摘出した後に人工の眼内レンズを入れ
●最近は動脈のステントが多く使われて
て11年経ちますが、心臓移植は67例に過
以上みてきたのは、自然の心臓と同じ
年には、医療機器は7,000億円の輸入超
チャーなどの私立機関の兼任を禁じてい
ます。これが開発されたきっかけは、戦争
います。動脈壁に溜まった血栓が増えて
ぎません。諸外国の統計グラフをみても、
血管腔を細くして、ついには詰まってしま
拍動流型の人工心臓であって脈を打つ
過でした。殆どは治療機器です。実際、人
ます。活性化のインセンティブを閉ざして
中のことです。アクリル製の防風ガラスを
要求数の僅か0.01 〜 0,02%です。因みに
う場合、カテーテルの先で膨れる風船が
タイプでしたが、人工心臓にはもう一つ
工弁もペースメーカーも総てが輸入品で
いるのです。メディアも「たらい回し」を叩
付けていたイギリスの戦闘機スピットファ
心臓疾患の多いアメリカでは、心筋梗塞
狭くなっている血管壁を押し広げ、その
のタイプ、連続流型があります。これは1
す。国内産は一つもありません。もし財政
くことには熱心ですが、国家戦略の成果
イアーの乗り組み員が、ドイツのメッサー
などの冠動脈疾患患者は、年間1,300万
後に再び狭くならないように、網構造をし
秒間に数千回転する羽根車によって血液
的に困難になったり、輸入が止まったりし
には無関心です。
ぜひ、
「日本の技術をい
シュミット戦闘機と空中戦を行ったとき、
ア
人。心疾患による死亡者は、年間65万人。
たら、どうするのでしょうか?巽先生は心
のちのために」というNPO法人健康医療
クリルが割れてその破片が眼に入ってい
たステントを留置させておきます。このス
を全身に送るタイプです。もちろん、脈は
心臓移植が年間2,000人です。心臓移植
打ちません。羽根車の回転によって熱を
配しています。
開発機構のモットーに関心を寄せて戴き
ましたが、
眼には大した障害を残すことは
テントの留置は未だ始まったばかりです
が得意なアメリカでも、ドナー不足で必要
帯びたり、血液が固まる副作用が起こり
(5)医療技術の発展のために
たいのです。
ありませんでした。その後、眼科医のハロ
が、すでに全国で28万個も使われていま
数の3~5%です。従って、人工心臓の期
がちなのですが、その副作用を解決した
待はますます高まっています。
人工心臓などの開発研究に携わって
2008年のアメリカの雇用者数が350万人
ルド・リドレイが白内障の手術をしたとき、
す。ステントはさらに血管だけでなく、胆
管や食道などにも使用されています。
ら、何としても小型化できるメリットを生
減少したにもかかわらず、医療産業は35
(3)次世代型の人工心臓開発
いる巽先生が感じているのは
かす方向に、開発研究は進んでいます。
この道では欧米に遅れを取っているとい
万人増加しました。アメリカでは、医療産
か?」
と医学生から質問され、
アクリル製は
●人口皮膚も比較的新しいものですが、
再生医療の技術の進歩ですでに実用化
人 工心 臓はこれまで、主に障害した心
特に、体格の小さい日本人には有利な人
うことです。その原因は、国家戦略がない
業は好・不況に左右されない産業だと認
眼を傷めないことを思い出して入れたの
されています。傷などをすると、自然に繊
臓 が 回 復 するまで の 一 時しのぎの 使
工心臓です。鞄に入れて運ぶのではなく、
ことにあります。国民や政治家に、医療技
識されています。更にアメリカは、国家戦
が始まりで、1949年のことでした。現在、
埋め込みが可能になのです。2001年7
術を売り出して行こうという意識が低い
略として病院を輸出し始めています。日本
国内では年間50万個が入れられています。
維芽細胞が細胞が周りから傷を塞いでく
用、あるいは心 臓 移 植までのブリッジ
月4日の朝日新聞が、
「完全埋め込み型
のです。これほどまでに国民の健康・福祉
でも、
「車が駄目なら、
身体があるさ」
と言
人口が約3億人のアメリカでは、年間150
れますが、その間に人工皮膚を貼り付け
として用いられてきましたが、今は植え
人工心臓 米患者に装着 臨床で世界
の大切さを説きながら、しかも技術の向
われるようになりました。医療を単に国内
万個が使われているとのことです。
ておくと、早く治り、
予後も好いという結果
込むことが治療目的となるDestination
Therapy(DTタイプ)の次世代 型機械の
初」、
「コードレス、動き自由」と報道してい
上を謳いながら、その開発には余り熱心
にばかり眼を向けないで、産業の育成と
●同じく、今までに50万個が埋め込まれ、
が得られています。
研究開発が行われています。国立循環器
ます。まだ患者さんに装着するのは一般
だとは言えません。例えば、医療技術への
してもみていただきたい。
それだけの力を
新たに毎年7万個も設置されているのが
●この他、人工歯根が年間30万個、人工
病センターでは、今までに約1,000人の患
的ではなく、動物実験が重ねられていま
研究費は、
国費で欧米の1/7、
企業関係で
日本は持っていると、巽先生は強調しま
心臓ペースメーカです。ペースメーカは電
腎臓が31万個、人工関節が14万個などの
者さんに使用してきました。その間の研
すが、近い将来、人工心臓を着けたサラ
1/10です。また、どの技術を発展させる
した。
池で心筋を刺激して拍動させる装置です
ほか、人工血管、人工弁が医学の進歩と
究開発の目標はポータブルなものを作る
リーマンが登場することは必至です。
べきかを判断する、
いわゆる
「目利き」
が少
(おおの・よしぞう=医療ジャーナリスト)
「代わりに、眼内レンズを入れないのです
Medical Journalist 8
が
Medical Journalist 9
●3月例会
強化
医療プロフェションを自覚させるものは何か?
~医療の質向上のために~ 上原鳴夫さん(東北大学国際保健学分野 教授)
報告:大野善三
②改革のポイントは、日進月歩で変わる
紹介しましょう。
5.クリニカル・サイエンスの再構築
医療技術に沿ったものでな
イギリスは税金で医療をみるNHS制
6.教育とナレッジマネジメント
ければなりません。それを日本では医療
度を取っています。医師の殆どは、いわば
7.患者・市民の医療参加と患者代理人機
従事者の根性に任せているのです。現在
国家公務員です。そのNHSと独立して、
の医療は個人の努力でなく、
チームで取り
医 師 はGMC(General Medical Council
8.安全のための技術開発
組まれることが多くなりました。例えば、
医師会議)という団体に登録しています。
9.医療における質・安全管理のモデル構築
がん細胞には専門家チームが多方面から
GMCは1858年、医療法に従って作られ
10.パブッリク・ヘルスの学と人材の育成
攻撃を加えているのです。チームを動か
た組織で、医師の倫理規定、説明責任を
―学際複合科学としての
「医療の質・安全
すシステムが不可欠です。個人ではなく、
銘記しています。イギリス医師会とは別の
システムの改革が必要です。
団体で、ここが4つの役割を列挙してい
能の確立
上原先生は、
「いのちをまもるパート
誰でも間違える(To err is human)」
が明
ナーズ」を指針とする「医療安全全国共同
確に述べているように、医療過誤の中に
行動」の事務局長として、医療過誤を出来
は避けられないミスも含んでいますが、
避
これに対して、
上原先生はこんな「日本
③ 日 本 で は 医 療 安 全 を、患 者 の 安
ます。
る限り少なくする全国運動を展開してい
けられるミスを減らそうとアメリカは考え
の事情」
があると、
次の項目を挙げています。
全 を 優 先 するより、訴 訟 など を 回 避
①臨床医の登録簿の維持
ることで有名です。その医療過誤に諸外
ています。ミスを起こすような悪い医療が
●医療安全=“Risk Management”で出
するた め に 管 理 方 法 を 探 るという、
②適正診療規則の設定
国はどう対処しているのかを知りたいと
却って高くつくのです。
毎年290億ドル(約
思って、3月の例会で、
「医療の質保証と
3兆円)も無駄使いをしていると、IOM
プロフェションの役割」と題して講演して
が発表しています。
戴きました。結論として、医療従事者に患
医療過誤の一つが有害事象
(投与した
者の安全を第一とするというプロフェショ
▲上原鳴夫さん
ンの自覚が必要であり、それを支えるシ
等」の構築
発した
●病院の対応が不誠実と思われる例が
少なくなかった
● 日 本 に、Public Health研 究 費 や 医
“Risk Management”と 捉 え たとこ ろ
③医学教育の管理
に間 違 いがあったと思います。
“Safety
④診療適正審査とその対処
Management”という、患者の安 全を第
こうした規定によって、法的な根拠が
一に考える認識こそ大切です。
確立されていて、新しい医療技術革新に
治療法が起こした逆効果)ですが、その
療ジャーナリズムが確立していない。
④患者さんや市民が医療に参加しない
対処しています。
発生率は米国ニューヨーク州で3.8%、英
Patient Advocacyも不在
で、医療従事者の方針に従うのが、日本
スウェーデンのシステムの特徴は、次の
ステムが欠かせないということでした。プ
あったのです。
イリイチは現代社会を鋭く
国は11.7%、日本8.8%です。有害 事 象の
●医療の質・安全に関する海外の状況が
の医療の特徴です。いわゆる「おまかせ
項目に明記されています。
ロフェションとは、知的職業に携わる医療
批判して、
「脱病院化社会」の中に現在を
多くは薬剤の誤投与ですが、日本が意外
適切に紹介されず、多発する医療過誤
医療」です。これでは、医療側のプロフェ
●患者の権利を基礎とした特別法
団が担っている重い役割と、それを果た
予言する言葉が見られます。
「医学の規制
に多いのに驚きます。アメリカが年間3兆
は日本の特殊事情という理解が一般的
ションとしての意識が成長しません。患者
●避け得た怪我は保障される
しているというプライドを維持している精
体制は、健康にとって一つの主要な脅威
円も無駄使いしたのは、薬剤を間違って
● 質保 障における“Profession”のリー
や市民からの刺激がないからです。医療
●医師を攻撃しない
神的条件を言います。それを要求し、支え
となっている」
「過去10年間に医療関係費
投与して、それを元に戻すのに莫大なお
ジャーナリストからの市民への助言もほ
●不満を取り扱う管理システムの確立―
ほど急増した経費はない。そしてアメリカ
金を使ったためです。オーストラリアでの
とんどなく、総ては医療側の考えで進行
裁判を経ない手続き
させています。古い体制の中に新しい技
従って、99.9%は裁判所以外の管理手
ているのが国民の人権意識であって、国
民はもっと医療に参加すべきであり、医
ダーシップが不足
●医療者個々人の献身的努力に依存する
人のグループで、我々の年配者ほど、こう
或る調査では、救急外来から入院した中
療ジャーナリストは国民に多くの情報を
したロケットのように急上昇する費用の
で有害事象の金額が日本円にして3億
「2-6-2の法則」
術を入れるものですから、現在の進歩し
続きで解決しています。つまり、やむを得
与え続け、国民に医療に参加するように
衝撃を感じているものはない」
。すでに30
3,373万円、そのうち防ぎ得たものが1億
これを大きく5つに分けて結論を下せ
た医療について行けないことを認識すべ
ず事故が起こった場合には、国の方針と
応援する大きな役目があるというのが、上
年前に、こうした言葉を残しています。中
5,551万円でした。オーストラリアでの別
ば、次のようになります。
きです。
して患者側を救う事故保障法が確率して
原先生の講演趣旨でした。
でも、
「人の命を救うためにある病院が、
の調査では、有害事象なしの症例の平均
①医療行為は絶対間違わない、間違って
⑤そうした意識変革が国民にないため
います。
(1)現在の医療に眼を向ける
人の命を消し去る場所になっている」とい
コストは51.5万円であったのに対して、有
はならないという非人間的な思い込みが
に、プロフェションとしての医者が 育ち
日本においても、事故を救う保障法が
医療過誤が頻発している世界的な現
うイリイチの言葉に衝撃を受けて、医療
害事象ありの症例では147.2万円という3
あります。
「 無謬性の呪縛」です。アメリカ
ません。安全技術を研究するのはPublic
確立していれば、
インシデント・リポートや
象をみて、前から医療の改革が必要だと
の安全化運動を繰り広げなければなら
倍近い出費をしていました。
では、
「人は誰でも間違える」ことを前提
Healthですが、日本の医学部では患者の
ヒヤリハット事件の申告を隠したり、逸ら
思っていたところ、イヴァン・イリイチが書
ない、と上原先生は言いました。医療過
(2)SafetyとRiskの違い
に、医療過誤を減らそうと呼びかけてい
安 全に関するPublic Healthを教えてい
したりしないでしょう。
いた
『脱病院化社会
(Medical Nemesis)
』
誤は21世紀にOutbreak(発生)する疫病
この医療過誤を減らすためには、新し
ます。日本は、医療過誤を撲滅しようと呼
ません。
今後、
医療の体制も教育も変えて
ドイツには、医師というプロフェション
(1979年刊)を読むことを薦められ、改革
医療体制
だ、
と言った人もいるようです。
い医療システムの構築が必要であるとし
びかけ、間違うのは医者や看護師の個人
行かねばならないと思います。
の組織があります。17州にいる医師が全
の本質を学ぶよう示唆されたと、上原先
アメリカ医学 研 究 所(IOM)が1999年
て、上原先生は変わるべき要素10項目を
的なたるみだと捉えます。
実際に犯してい
2割の医療従事者は熱心に改革に取
員加入しています。完全な医師の自治組
生は最初に言いました。イヴァン・イリイチ
に研究発表した記録によって、医療事故
掲げています。
るのは医師や看護師かもしれませんが、
り組みます。それに6割の人は付いて行
織です。その規定で次のような条項があ
は1926年にクロアチアで生まれ、
カソリッ
を減らすための警告をしました。ニュー
1.「 無謬性神話」の呪縛からの開放と事
犯させるようなシステムを点検改良しよう
くでしょう。後の2割は、どんな刺激を与
ります。
ク神父をしていたのですが、第二次大戦
ヨーク州の病院を調査したところ、1年
と働いたでしょうか。過誤は個人のミスに
えても行動に移しません。世の中でよく言
1.プロフェショナルとしての行動指針
中にアメリカに渡り、そこでヴァチカンの
間全国の病院内で医療過誤による死亡
よるものであって、医療従事者の態度ば
う、2―6-2の法則が、安全への改革で
2.医療の質を保障すること
怒りをかい、神父を辞めてからペンシル
は44,000件でした。交通事故死よりも多
かりのせいにしていませんか。無謬性の
も見られるのが現状です。
3.
教育または訓練
(項目、過程を掲げる)
バニア大学で教鞭をとった後、メキシコに
かったのです。その58%は避けられる事
3.システムによる質と安全の確保
呪縛から開放されて、システムの改革が
(3)諸外国の取り組み
4.医師としての資格
(免許)
の管理
渡り、2002年に亡くなった社会学者でも
故だったと報告しています。報告書「人は
4.質保障におけるプロフェションの役割
必要ではありませんか。
イギリス、スウェーデン、ドイツの例を
5.ロビイング=政治的な議題の要求
Medical Journalist 10
故被害救済制度の確立
2.「医療の質」
の考え方の転換―「エクセ
レンス」
から
「確実さ」
へ
Medical Journalist 11
1.に見られるように、医師がプロフェ らの強制ではなく、医師の自治を底辺に
ションとしての医師の役割の確認、患者・
ションとしての矜持に
行動の指針を決めているのです。
市民の医療への参加、それを薦めるため
沿った行動をとることを規定していま
医学技術が進歩したところで医療
の医療ジャーナリストの努力を強く願い
す。患者の安全と説明責任がここで保障
過誤が多発している現状をみて、諸外国
たい、
と上原先生は強調していました。
されます。2.に見られる教育や訓練で、
が進めている方法を徒手していては、今
進歩した医学技術を学びます。
結局、
国か
後の進歩を止めてしまうので、プロフェッ
(おおの・よしぞう=医療ジャーナリスト)
●4月例会
Team STEPSS-アメリカ最新のチーム医療
トレーニングプログラムについて 種田憲一郎さん(国立保健医療科学院・政策科学部安全科学室長)
▲1回目は自由にチームで協力して輪をつくる
報告・下村徳雄
▲3回目は利き手を使わず言葉も発せずに行う
的では解決につながらない。システムで
なって協働が行われなければならない。
「これは?だった」
考えていかなければならないのだ。
医療の現場では、30以上の職種の人た
5.コミュニケーションでうまくいってい
アメリカでは、毎年、4,000 ~ 9,000人
ちが働いており、その人たちがいかに協
が医療事故で死亡している。医療事故は
働していくのか、それがチーム医療であ
「最終的に分担することでうまくいっ
るところは?
4月の例会が開催された日本プレスセ
果は、回数の答えがいくつかに分かれた。
世界 共通のテーマで、入院 患者の5~
る。さらに、そこには患者・家族も含めな
ンター会場は、いつもと様子が異なって
さらに、
「ビデオの中にゴリラが出てきた
10%が事故に遭っているという。日本で
ければ、本当のチーム医療にならない。
6.コミュニケーションでうまくいってい
いた。テーブルが講義形式に縦に並ぶの
かどうか」という質問が参加者に投げか
は6.0 ~ 6.8%くらいなので、特別に多い
●「TeamSTEPPS」 に触れてみる
ではなく、グループ分けされた配置だっ
けられた。これも答えは分かれた。実際に
というわけではない。薬の取り違え、右と
「Team STEP-
「技術的なところに関してはうまく
た。テーブルの上には、紙とハサミ、のりが
もう一度ビデオを流すと、途中で確かに
左の間違いなど全世界で起こっている。
PS」の一端を体感するためのチーム対抗
置かれており、一体何が始まるのか、参加
ゴリラの着ぐるみが登場していた。これ
最近のアメリカでは、部位の間違いという
ゲームは、紙を短冊状に切って輪をつく
これらは、
「Team STEPPS」の基本原
者は不思議そうな顔をしていた。
には、
みな「あー!!」
という声を上げた。
事故が増えている。しかも同じことが繰
り、いかに多くつなげられるかを競うとい
理に含まれる。チーム体制(チームの規
今回は、種田憲一郎氏を講師に招い
種田氏は、こう説明した。人間は思い込
り返し起きているという。個人として優れ
うものだった。1回目は自由に、2回目は
模、メンバー、リーダー、組織、人選、配置
んだり、意識が一つのことに集中したりし
た医療者がいても、事故は起こる。システ
利き手を使わずに、3回目は利き手を使
といった基盤)
、
リーダーシップ
(チーム活
てしまうと、他のことが見えなくなる。たっ
ムとして改善しないと事故は減らない。そ
わず言葉を発することなしに、
という条件
動 が 理 解され、情 報の 変化を共 有し、
たこれだけでも、回数が異なったり、ゴリ
こでチーム医療ということが強調されて
下で行われた。筆者のチームは、1回目よ
チームメンバーが必要なリソースを有す
て、アメリカで開発されたチームコミュニ
ケーションツールを医療分野に応用した
▲種田憲一郎さん
「Team STEPSS」について。1月の賀詞
ていた」
ないところは?
いっていなかった」
交歓会に先立って行われたシンポジウム
な真剣だった。終了の合図とともに、歓声
ラが見えなかったりするのに、医療の現
きた。しかし、優秀な個人が集まったから
り2回目、そして3回目はさらに多くでき
ることを確実にすることで チームメン
の中で、亀田総合病院院長の亀田信介氏
やホッと安堵の声などが上がった。一番
場で多くの職種が関わっていれば、同じ
といって、チームとして機能することはな
た。優勝したチームは、2回目は初回より
バーの業務を調整する能力)
、状況モニ
が、
亀田グループで「Team STEPSS」
を
多く勝った人はもちろんいたが、
種田氏は
ことが起こって当然である。手術でガー
い。
すなわち、
チームとしてトレーニングす
減 少したものの、最後は圧倒的な多さ
ター(情報を得るために、状況要素に積
導入するということを一言話したことが
「もっと数多く勝つ方法がある。それはお
ゼをお腹の中に置き忘れたという信じら
る必要があることを意味している。
だった。各チームの状況を観察する人が
極的に目を向け評価を行い、
理解をし、
ま
きっか けとなった。種 田 氏 は、
「Team
互いが押さえっこするということです」と
れない事態が起こることがある。術者は
事故対策が最も進んでいる航空業界
指定された観察ポイントを発表した。優
たはチームの働きを支えるという意識を
STEPPS」の指導者養成コースを修了し
話した。競争するということが意識の中
ガーゼが見えていない可能性があると指
では、
「CRM」という考え方が著しく進歩
勝チームについては次の通りである。
維持するプロセス)
、相互支援(他のチー
た、日本で唯一のマスタートレーナーであ
心を占めたため、相手に勝つことだけに
摘する。そんな馬鹿なことがあるはずは
した。元々は「コックピットリソースマネジ
1.誰がリーダーシップをとっているか?
ムのメンバーの責任と作業量に関する正
る。例会の前に、種田氏に亀田総合病院
集中してしまい、多く勝つためにお互いが
ないと思わないでほしい。実際、ゴリラの
メント」としてスタートし、
「クルーリソース
「最初は誰がリーダーかわからなかっ
しい認識を通じて、彼らのニーズを予想
し、支援する能力)
、コミュニケーション
の話をしたところ、関わりはないとのこと
協力することに頭が働かなかったのだと
着ぐるみが見えなかった人がこれだけ多
マネジメント」となり、
「コーポレートリソー
だった。
指摘した。
参加者はみな、
「なるほど」
と頷
くいたということが、それを物語ってい
スマネジメント」
というふうに全社マネジメ
2.各メンバーの役割は明確化?
● 「人は誰でも間違える」体験
かざるをえなかった。
る。事故を防ぐために各場面で連続した
ントとなってきた。医療業界では、軍隊に
「3回目に担当がはっきりとしてきた」
バー間でやりとりされるプロセス)の5つ
まず、参加者が2人組んでゲームを行
さらに、ビデオを見せてのクイズが行わ
防御壁が設けられる。しかしその防御壁
おける25年くらいのチームワーク研究か
3.他のメンバーをお互いに支援・助け
が、その基本原理である。
うことから始まった。種田氏の指示は、
れた。白い服と黒い服の3人ずつがバス
には落とし穴が開いている。その穴をす
ら得られたエビデンスに基づいたトレーニ
「指相撲をしてどれだけ多く勝てるかを
ケットボールのパス回しをしている映像
べてすり抜けてしまうと事故が起こる。
ど
ングプログラムを
「Team STEPPS」として、
「2回目くらいから助け合うように
競ってください」というものだった。
「ス
だった。
課題は、
「白い服のチームは、
何回
こかで塞ぐことができれば事故は起こら
チーム医療を行ううえでのトレーニングプ
タート!」
という合図で、
みな童心に返って
パスができたのか」ということ。参加者は
ない。スイスチーズモデルと呼ばれるもの
ログラムに応用した。
4.誰かチームの全体の状況を把握して
援、コミュニケーション)が中心となり、知
必死に相手の親指を押さえ込む。顔はみ
食い入るようにビデオを眺めた。そして結
だ。
しかし、
この穴を塞ぐことは、
場当たり
「人は誰でも間違える」-これが前提と
識・態度・パフォーマンスというアウトカムと
Medical Journalist 12
たが、次からはリーダーが生まれた」
合っているか?
なってきた」
いるか?
(情報が明確に、かつ正確にチームメン
「Team STEPPS」は、指導することがで
き、習得することができる4つのスキル
(リーダーシップ、状況モニター、相互支
Medical Journalist 13
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