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12.手術後の生活で気をつけることはありますか?
12.手術後の生活で気をつけることはありますか? 1)何でも食べていいのです はじめはとにかく食べられることが大事です。手術後しばらくは、おかゆ や野菜の煮物、煮魚など柔らかく消化のよいお料理が中心になります。入院 中の食事を参考にして調理してみてください。食べる量は手術の前の半分く らいかもしれませんが、焦らないことが大事です。 少し慣れてきたら、栄養のバランスに気をつけましょう 手術後はどうしても食事の量が少ないので、効率よく栄養をとりたいもの です。おかゆや野菜中心の食事では、たんぱく質、カルシウム、鉄分などが 不足しがちです。これらを含む食品をお料理に使ったり、おやつにして、積 極的に取り入れるようにしていきましょう。 工夫をして少しずつ 消化の良くない食品は、生野菜、きのこ類、海草類(わかめ、こんぶ)、 たけのこ、ごぼう、こんにゃく、ピーナツなどです。しかし、食べてはいけ ないわけではありません。小さく切るかやわらかく煮て、よく噛んで食べて ください。手術後に初めての食品を食べるときは、慎重に少しずつ試して、 自分のお腹の調子をみてください。 食べたいと思う気持ちが大事 胃を切除しても基本的には食べられないものはありません。小さくなった 胃に少しずつ送り込むことを心がけましょう。香辛料についても普通の量な らかまいません。わさびやからしは食欲が増しますし、カレーも制限する必 要はありません。コーヒーは、ブラックの濃いものは避けてミルクを入れて カフェオレにするといいでしょう。胃の切除をすると胃酸が減少し食中毒を おこしやすくなるので注意が必要ですが、お刺身も新鮮なものを選べば大丈 夫です。 −25− 食品選びのポイント ● 消化がよくおすすめの食品 おかゆ 軟らかいごはん、パン、卵 大根、かぶ、ゆでたキャベツ、 じゃがいも、かぼちゃ、豆腐、桃、りんご、バナナ ● 鉄分の多い食品 レバー、ほうれん草・小松菜の葉 ● カルシウムの多い食品 牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、小魚 y og r t u ● たんぱく質を多く含む食品 豆腐、卵、肉類、魚類 ● 小さく切って少しずつ試す食品 にら、ごぼう、たけのこ、れんこん(繊維の多い野菜)、 油揚げ、厚揚げ、いか、たこ、わかめ、きのこ類、 こんにゃく・しらたきは特に注意が必要です。 ● つい噛まずに食べてしまいがちな料理 ラーメン、そば、うどんなどの麺類、納豆 −26− 外食もできます 家での食事に慣れてきたら、外食をすることも出来ます。はじめはうど んや和食中心の定食がいいでしょう。全部は食べられないので、残すこと もよしとしましょう。また、店が混んでいるとつい慌てて食べてしまうの で、ゆっくり食事ができそうな店を選びましょう。 手軽な市販食品を利用してもいいでしょう 栄養分を強化した栄養補助食品を上手に利用するのもひとつの方法で す。カルシウムを強化したウエハースやボーロ、鉄分を強化したふりかけ、 栄養バランスを考えて作られたビスケットなどが市販されています。 毎日の調理が面倒なときや、時間のないときには、調理済みのレトルト 食品を利用することもできます。数種類の具材を入れたおじやや、やわら かく調理されたおかずなどが市販されています。ときには手抜きも必要で す。 様々な栄養素をバランスよく配合したドリンクもあります。食事はすす まないときに栄養を補う目的で利用します。病院で処方されることもあり ます。高カロリーなので、少しずつ飲むようにしましょう。 問い合わせ先:(株)ヘ ル シ ー ネ ッ ト ワ ー ク 0120-236-977 キューピー(株)お客様相談室 03-3300-0133 白 十 字(株)お客様相談室 0120-20-8912 食事を楽しくできることは、毎日の生活にとても大切なことです。 おいしいと思えることが、元気のバロメーターではないでしょうか。 −27− 2)水分を忘れずにとりましょう お茶やお水を飲むとおなかがいっぱいになり食事が食べられないので、水 分をあまりとらないという方がいますが、水分はとても大事です。食事と食 事の間に、少しずつ飲むようにしましょう。特に、下痢をしているときは体 の水分が不足します。また、夏は汗をかいて水分が奪われやすいので、心が けて飲むようにしましょう。体調を崩し飲めないときは、かかりつけ医で点 滴をしてもらうことも必要です。 3)腸の調子に注意しましょう 腸の流れが閉ざされて、便やおならが出なくなることを、腸閉塞といいま す。お腹を開ける手術をしたあとには、お腹の中で腸がくっつこうとします。 その結果、腸に狭いところができたり、急に曲がったりして、そこを食物が 通れずに詰まってしまうことがあります。 日頃から便が硬くならないように水分をとり、消化の悪い物を一度にたく さん食べないようにしましょう。吐き気や嘔吐と腹痛がある場合には、必ず 医師の診察を受けてください。多くの場合は、絶食にしていると自然に治り ます。ときにはくっついているところを剥がす手術が必要なこともあります。 4)貧血になることがあります 胃切除後の貧血は大きく分けて2種類あります。一つは鉄欠乏性貧血で、 食事の量が少なく鉄分が不足しがちになること、さらに、鉄分が吸収されに くくなっていることが原因です。もう一つは、ビタミンB12欠乏性貧血です。 ビタミンB12は体に蓄えられているので、術後数年間は大丈夫ですが、胃を 全摘した方は、ビタミンB12を吸収するための物質が分泌されないので、数 年後に必ずビタミンB12欠乏性貧血になります。 鉄欠乏性貧血を予防するために、できでれば鉄分の多いものを食べるよう にしましょう。血液検査で鉄分が不足している場合は、内服薬を処方される こともあります。吸収がわるいので、改善されないときは、点滴で補給する こともあります。 −28− ビタミンB12 欠乏性貧血の場合には、注射で補給します。年に1∼2回の 補給で大丈夫です。 5)骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になりやすい 胃の手術をすると、カルシウムの吸収が悪くなります。そのため骨がもろ くなり、骨折しやすくなります。必要であればカルシウムやビタミンDのお 薬を飲むことがあります。 6)規則正しい生活をしましょう 規則正しい生活を心がけて、十分に睡眠をとるようにしましょう。食事や 間食はできるだけ同じ時間にとるようにして、自分の体の調子を確認してい きましょう。 7)お仕事への復帰について 退院後は、日常生活に戻るリハビリとして、簡単な家事や散歩をして少し ずつ体を動かしていきましょう。はじめは、体力が落ちて疲れやすいことに ショックをうけるかもしれません。無理をせず少しずつ始めていきましょう。 体を使うお仕事や外出が多い場合は、軽作業に変えてもらい、半日勤務から 始めるのもいいでしょう。 お仕事を始めると、食事時間を守れなかったり、間食や休憩がとりにくく、 つい無理をしてしまいがちです。職場の理解を得て、自分の体調と相談しな がら焦らないことが大事です。 −29− 8)退院後の外来受診について 退院後は、手術後の体調の確認と、再発の早期発見のために定期的な検査 を行うことが極めて重要です。3∼6ヶ月に一度通院し、胸部X線検査、C T、超音波検査、腫瘍マーカーなどの検査を行うことが多いです。 定期受診以外でも、お腹が張り便やおならが出ず嘔吐するようなことがあ れば、腸閉塞のおそれがありますので、すぐに受診しましょう。 手術を受けた病院以外にも、体調を崩したときや心配事があるときに相談 にのってもらえるかかり付け医を近所にもっておくこともお勧めします。 9)サポートグループについて 同じ病気を体験された方が集うグループがあります。そのようなグループ に参加し、情報を得たり、体験談を聞いたり、思いを話したりするのも良い でしょう。 胃がんの患者会 アルファクラブ(東京) 03-3569-9531 −30−