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三省堂、どう? - 経済新人会マーケティング研究部

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三省堂、どう? - 経済新人会マーケティング研究部
三省堂、どう?
2011年度 経済新人会
マーケティング研究部 出版班
飯塚 小林まり 宇田晴雄
富廣祐太郎
水澤力 柚木
大木崇史
三省堂、どう? 2011年度 経済新人会 マーケティング研究部 出版班
目次
1.はじめに ................................................................................................................................................ 2
2.市場概要 ................................................................................................................................................ 3
2-1.書店業界 ..................................................................................................................................... 3
2-2.電子書籍業界.............................................................................................................................. 4
3.顧客分析 ................................................................................................................................................ 5
3-1.読書量......................................................................................................................................... 5
3-2.読書の嗜好について ................................................................................................................... 6
3-3.書籍の購入場所、ネット書店利用率 ......................................................................................... 6
3-4.書籍購入の際のポイント ........................................................................................................... 7
3-5.電子書籍に関するデータ ........................................................................................................... 8
4.他社分析 ................................................................................................................................................ 9
4-1.リアル書店 ................................................................................................................................. 9
4-2.ネット書店 ............................................................................................................................... 10
4-3.電子書籍 ................................................................................................................................... 11
5.自社分析 .............................................................................................................................................. 13
5-1.企業概要 ................................................................................................................................... 13
5-2.事業内容 ................................................................................................................................... 13
5-3.店舗 .......................................................................................................................................... 13
5-4.売上高・経常利益 .................................................................................................................... 14
5-5.その他サービスなど ................................................................................................................. 14
6.方向性.................................................................................................................................................. 15
6-1.問題提起 ................................................................................................................................... 15
6-2.目標設定 ................................................................................................................................... 15
6-3.ターゲティング ........................................................................................................................ 16
6-4.SWOT分析............................................................................................................................ 17
7.政策提言 .............................................................................................................................................. 19
7-1.ユーキャン概要 ........................................................................................................................ 19
7-2.三省堂におけるメリット ......................................................................................................... 19
7-3.提携に伴う問題 ........................................................................................................................ 20
7-4.具体的政策案............................................................................................................................ 21
8.未来像.................................................................................................................................................. 22
9.参考文献 .............................................................................................................................................. 23
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三省堂、どう? 2011年度 経済新人会 マーケティング研究部 出版班
1.はじめに
現在、出版業界は危機に瀕している。――人口の減尐、景気悪化による消費の冷え込み、電子書籍の
台頭、ネット通販の普及――様々な要因が出版業界を圧迫している。
この現状を打破するために我々出版班は、ベールに包まれ、顧客にとってはあまり馴染みのない出版
社ではなく、より顧客に近く、その改革が顧客に伝わりやすい書店をマーケティングの対象とした。
書店とひと言に言っても様々ある。地域に密着した小規模個人経営の書店から、全国に大規模な店舗
を展開する大手チェーンなどその形態は多様である。だが、今回の出発点である「現状の打破」という
観点からいうと、小規模な店舗の改革などでは不十分であると思われる。そこで私たちは全国に大規模
店舗を展開し、それでいてフットワークが軽く改革が可能な書店を想定した。
そこで我々が巡り合ったのが三省堂書店である。
三省堂書店の起源は1881年に遡ることができる。当時の日本は近代化への指導の真只中にあり社
会、教育体制とも欧米の知識の吸収を必要としていた。創業者 亀井忠一は、欧米列強との文化交流の大
切さを痛感、書籍流通と出版事業を通して、知的情報文化の発展を担う、今日の三省堂書店の礎を築い
た。
それから約80年、第二次大戦の傷も癒え、東海道新幹線が開通、東京オリンピックが開かれるなど
高度経済成長のもと日本全体が新たな段階へ進んだ1964年、三省堂もチェーン展開の開始という新
たな段階へと進んだ。それ以降順調に店舗を増加させ、現在のように書店業界の一翼を担うようになっ
た。
このように伝統と格式のある三省堂を通し、我々は危機に瀕する出版業界の現状を打破する、新たな
書店のあり方を模索しようと考える。
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2.市場概要
現在、しばしば言われる「出版不況」は実際に起きているのか。電子書籍の普及はどの程度の影響を
生んでいるのか。書店業界、そして電子書籍業界という観点から市場を分析していく。
2-1.書店業界
図 1 書店の店舗数(店舗)
図 2 書店業界坪数(坪)
図 1 と図 2 より、書店業界全般として書店店舗数や総坪数が減尐していることが分かる。このことか
ら現在書店業界は縮小傾向にあると言え、現状が改善されないかぎりさらに縮小すると思われる。
図3
出版物販売金額(億円)
図 4 書店業界新規店舗数(店舗)
図3と図4より、出版物販売金額が5年間で大きく下がっているだけでなく、書店の新規店舗数も減尐
していることが分かる。出版販売金額が下がる中、業界縮小のため新規店舗の展開も望めない状況とな
っており、積極的な改革の必要性が読み取れる。
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図5
2010 年度、主な書店の新規店舗数(店舗)
図6
ヴィレッジヴァンガード外装
ほとんどの書店が新規店舗を出店していない中で、
大幅に出店している企業にブックオフと、ヴィレッジヴァンガードの2社がある(図 5)。
ヴィレッジヴァンガードとは「遊べる本屋」をキーワードに、書籍、SPICE(雑貨類)、ニューメディア
(CD・DVD 類)を複合的に陳列して販売する小売業(HP より)であり、図 6 よりわかるように従来の本
屋とはかけ離れている。また古本販売を行うブックオフも他の書店と比べて異色の存在である。つまり
特殊な販売形態をとっていない通常の書店は経営拡大していないことが分かる。
2-2.電子書籍業界
図7
国内電子書籍市場規模(億円)
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
図 7 より電子書籍業界は急速に発展していき、2014 年度には 2008 年度の 3 倍になることが見込まれ、
将来の伸びも予想されていることが分かる。つまり紙媒体(書籍)は衰退する一方で、電子書籍市場は
活性化している。
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3.顧客分析
3-1.読書量
日本人の活字離れが騒がれている昨今、実際に書籍業界の業績が頭打ちになっている中で、書籍はど
の程度読まれているのだろうか。
図8
図9 年代別読書量
普段の読書量
80
70
60
50
40
30
20
10
0
総合読書率
雑誌読書率
書籍読書率
図8は普段の生活における読書量に関するアンケート結果である。図9はそのアンケートの年代別の
結果である。
図8で、最も多くの人が回答したのが、
「月に 2~3 冊程度」である。これは年間 30 冊程度であり、一
定量の読書量であるといえる。
「月に1冊」以上と回答した人を合計すると全体の半数程度となり、約半
数の人が読書習慣を持っていると言えるだろう。一方、
「全く読まない」、
「1 年に 1 冊」未満と回答した
人の数を合わせると全体の 2 割程度となる。
続いて図9より、読書率は激減しているわけではなく、昔と大きく変化していない。これにより、出
版不況の原因としてあげられる「若者の読書離れ」は実際に存在しておらず、書籍に対する需要はあま
り変化していないことがわかる。
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3-2.読書の嗜好について
続いて読書をする際によく読まれるジャンル、どこで読書をすることが多いのかを見る。
図10 よく読むジャンル
図11
本を読む場所
図10はよく読む本のジャンルのアンケートで 10%以上の人が挙げた、上位 13 ジャンルをまとめたも
のである。図11は本をよく読む場所のアンケートで 10%以上の人が挙げた、上位 6 項目である。
(いず
れも複数回答可)
図10から、最も好まれて読まれる「推理小説」を中心に、
「ノンフィクション」や「エッセイ」を含
んだ様々な小説や軽読書のジャンルが多く読まれていることがわかる。
「趣味」や「暮らし・生活」のジ
ャンルも好んで読まれている他、
「ビジネス」や「学習」といった仕事、キャリアアップにまつわる本も
広く読まれていることがわかる。
図11から、
「居間」、
「寝室」といった自宅内で読書をする人がとても多いことがわかる。また、「交
通機関」での移動中や「勤務先・学校」といった場所で通勤、通学の時間に読書をすることが多いと言
える。
3-3.書籍の購入場所、ネット書店利用率
次に主な書籍の購入場所と近年成長しているインターネット書店の利用状況を見ていく。
図12
本の購入先
図13
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ネット書店利用率
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図12は本の購入先に関するアンケートで挙げられた上位5項目をまとめたものである。図13はイ
ンターネット書店の利用率を年代別に調査したものである。
(図12は複数回答可)
図12より、本の購入先として 8 割以上の人が「書店」をあげている一方で、
「インターネット書店」
の利用、
「古本屋」の利用も一般化していることがわかる。近年、ネット書店としてアマゾン、古本屋と
してブックオフがシェアを拡大しており、そのことの裏付けと言える。
図13より、成長を続けるネット書店の利用に関して、比較的若い年代で利用率が高いと言える。し
かし高齢層においても 3 割以上の利用率があり、ネット書店は若者だけでなく、高齢者へも普及してき
ていることがわかる。図12と図13の比較から、本の購入先として書店が他形態を圧倒しているもの
の、インターネット書店の利用が年代問わず浸透することでその優位性が揺らいでくるのではないだろ
うか。
3-4.書籍購入の際のポイント
では、書籍を購入する際に重視されるポイントは何だろうか。書籍を購入する際に重視されることと、
どのようなキャッチに惹かれるかの 2 点から考察していく。
図14 本を購入する際重視すること
図15 惹かれる本のキャッチコピー
図14は本を購入する際重視することのアンケートで回答した人が 10%を超えた項目を挙げたもので
ある。図15は書籍を購入する際に惹かれる本のキャッチコピーのアンケートで、同様に 10%を超えた
項目を列挙したものである。
図14から内容、作家、価格が主なポイントとなっている。
図15から多くの人が参考にしている POP やコピー(後述の図 9 参照)において、惹かれるキャッチ
コピーに多くの人が挙げているものには、「役立つ」、「考えさせられる」といった教養に関わるものと、
「超話題作」
、
「ドラマ化」
・
「映画化決定」
、
「売れています」といった人気さをアピールしたものがある。
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3-5.子書籍に関するデータ
最後に、注目を集めている電子書籍に関して、どのような状況にあるかを見ていく。
図17
あなたは電子書籍を知っていますか?
図18
あなたは電子書籍を利用したいと思いますか?
図19 電子書籍を利用したいと思わない理由
図17はどの程度電子書籍を知っているか、利用したことがあるかを表している。図18は今後どの
程度電子書籍を利用したいと思うかを表している。図19は電子書籍の利用をしたいと思わない人その
理由に 10%以上の人が挙げたものである。
図17より、電子書籍を利用したことがある人は全体の 13%に留まっているものの、7 割以上の人が
その存在を知っていることがわかる。今年のタブレット、スマートフォンの普及により、その率はさら
に高まっているものと考えられる。
(このデータは 2010 年のもの)
図18より、全体の半数程度の人が電子書籍に興味を持ち、利用を検討しているものの、同様に半数
程度の人が利用の検討に前向きではないことがわかる。このことから紙媒体書籍の利用が急速に減尐す
ることは考えにくい。
図19より、電子書籍を利用しようと思わない主な理由は「目が疲れそう」であった。やはり、長時
間電子端末を見ることに抵抗を感じる人が多いようだ。次に多くの人が挙げたのが、
「電子書籍を利用す
る必要性を感じない」というものだった。紙媒体の書籍自体が携帯に便利であることがその理由だろう。
また、
「大切な本は紙書籍で本棚に保管しておきたい」といった意見もあり、総じて紙媒体に対し根強い
支持があることがわかる。
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4.他社分析
他社分析にあたって、以下の通り書店を大きく3つに分類する。
1.リアル書店
店舗を構えて書籍を販売する、一般的な形態の書店。長所は実際に手に取り試し読みをして、すぐに
購入できる点。短所は店舗の広さに制約があるので取り扱う点数には限界がある点。
2.ネット書店
インターネットに開設された通販サイト。長所は出店コストがかからないことから扱う点数が豊富な
点。短所はすぐに手にできない、本の中身を見ることができないという点。
3.電子書籍
ケータイサイトやスマートフォンのアプリを通じて提供される。長所はデジタルコンテンツであるこ
とから場所を取らない点。短所は書き込みやページ遷移など、紙媒体に务る面も多く発展途上であると
いう点。
4-1.リアル書店
概要
出版不況といわれる近年、店舗数は減尐を続けている。そのため生き残りを図るべく、書店の大規模
化、複合化が加速している。大規模化とは文字通り、店舗のスペースを大きく取って取り扱う点数を増
やす戦略であり、Amazon に代表されるロングテール需要に可能な限り応えている。
一方で複合型書店とは、書店に「本を購入する」以外の付加価値を与えたものである。書籍以外に CD
や DVD を扱うといった形態がひとつの例だが、カフェの併設などの他業種と提携した形も見られる。
また大手書店は資本力を生かしてインターネット等を利用した受注方法の導入や電子書籍などの先進
的な技術の積極的取入れを図り、生き残り戦略を模索している。
企業別分析
1位
紀伊國屋書店(東京)
店舗数 国内64店舗 ブックセンター70店舗 海外 24 店舗
売上高 1130 億円
国内で出版される書籍にとどまらず洋書も手がけるなど、幅広い範囲での書籍販売が特徴。ネット書店
や電子書籍にも力を入れている。
ネット書店の「紀伊國屋書店 Bookstore」では、書籍・電子書籍双方のオンライン販売を行なっており、
単なるハイブリッド書店にとどまらない戦略をとる。
電子書籍はストアアプリ Kinoppy を開設し、iPhone・Android アプリにも対応。店頭では電子書籍の体験
コーナーを置くなど販促に努めている。また、2011年6月には電子書籍端末・ストアの相互接続を
発表。2011年中には、パナソニック、楽天、紀伊國屋書店の電子書籍がそれぞれの対応端末以外で
も読めるようになる予定。
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2位
丸善書店(東京)
店舗数 90
売上高 615 億 2500 万円
2010 年丸善株式会社から店舗事業を分社し、丸善書店株式会社となる 。
丸善CHIホールディングス株式会社として、2011 年より業界 4 位のジュンク堂、雄松堂書店をグルー
プ下におき、国内最大級の90という店舗数となった。
紀伊國屋書店と同じく、リアル書店・ネット書店両方の形態を運営するハイブリッド方式を取っており、
書籍はbk1、電子書籍は honto という別々のサイトにてオンライン販売をおこなっている。
また日本橋と丸の内店のみではあるがブックアドバイザーも配置しており、各分野の本にいおけるエキ
スパート、書籍相談員としてレファンスサービスを提供。それ以外にも自費出版を手がけている。
3位
有隣堂(神奈川)
店舗数 35
売上高 541 億円
横浜を中心として 神奈川、東京、千葉のみに出店しており、書籍販売から楽器販売等まで様々な営業
種目がある。 2011 年 9 月 1 日より「本やタウン」から新しく Honya Club.com へオンライン販売が移
行した。 電子書籍は扱っていないが、医学書センターや医学書オンラインを運営している。
4-2.ネット書店
概要
近年台頭している新たな書店の形態。インターネット上に HP を開設し、書籍の通販を行う。台頭の理
由としては以下の三点が挙げられる。
一つ目は品揃えが豊富である点。店舗を構える必要がないため、倉庫が確保できるかぎり取り扱う点
数を増やすことができる。このメリットによって絶版本や人気の無い本も取り扱い、ロングテールと呼
ばれる細かな需要に応えている。
2つ目は時間や場所を選ばずに購入できるという点。夜中であろうと仕事帰りだろうと、思いついた
ときにすぐ目的の書籍を購入できるのは、営業時間に縛られるリアル書店にはない大きな利点である。
3つ目は口コミなどの付随情報を入手できる点。事前に本の口コミやレビュー読むことができ、本選
びの参考となっている。
以上のようなリアル書店にはない強みを生かし、ネット書店は拡大を続けている。手に入るまでにタ
イムラグがあるなど問題点も抱えているが、送料の無料化や会員限定で発送期間を短縮するなど、ネッ
ト書店の利用のハードルは大きく下がっていると言える。
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企業別分析
1.Amazon
アメリカを本拠地とするインターネット小売最大手であり、2000年11月より日本に進出した。
当初は書籍の販売だけであったが、順次 CD などの販売も開始して業績を伸ばした。またキンドルという
電子ブックリーダーデバイスの販売を行い、アメリカでの電子書籍の普及に大きく貢献した。今年20
11年に日本での電子書籍サービスへの本格参入を決定しており、今後の動向が注目されている。
2.楽天ブックス
日本国内の代表的なネット書店。楽天自体が日本最大規模のネット通販であり、ポイント付与を全面
に押し出したサービスを提供している。書籍以外の買い物で貯めた楽天ポイントが利用できることから、
一定の顧客を抱えている。近年では電子書籍サービスにも進出しており、2011年11月にはカナダ
の電子書籍事業 Kobo を買収。国内では紀伊國屋、ソニーなどと電子書籍の相互接続を発表しており、グ
ローバル展開を進めている。
3.セブンネットショッピング
セブンアンドアイ HD が提供するネット書店。特に雑誌の販売に力を入れており、おすすめ本を紹介す
るなどリアル書店に近いサービスも行なっている。また、セブンイレブンで商品を受け取れるなど、自
社の販売網を生かしている。
4-3.電子書籍
概要
電子書籍元年と言われる2010年以前では、日本の電子書籍は9割がケータイ向けであった。しか
し Amazon による Kindle の発売を発端とし、Apple の iPad など近年相次いで電子書籍向けの端末とシス
テムが登場したことで市場が激変。スマートフォンやタブレット型端末の普及も後押しとなり、複数の
端末でも読めるといった利便性を重視するなどケータイ向けではなく専用端末・スマートフォン向けに
注力するといった変化が見られている。
また、出版不況のあおりも受け、大手出版社が相次いで電子書籍業界に参入。通信事業者・出版社な
どによる提携も多く見受けられる
業界モデルには以下の二種類が存在する。
1.垂直統合型
コンテンツからストアまで全て自社で提供するモデル。規格を統一することで効率化できる、ユーザ
ーの囲い込みが可能である等強みが多い。成功すれば業界のリーダーとなる可能性が高い。
Amazon、Apple の二大勢力がメイン。日本企業はソニー、シャープなどが参入しているがことごとく失敗
している
。
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2.水平分業型
各企業がそれぞれ強みとなる分野を担当し、他社と提携するモデル。日本の電子書籍はほぼ全てがこ
の形式を取る。
例えばコンテンツを作成するパピレスは携帯サイトでストアを展開しているため、デバイスは携帯電
話に依存する。また、出版社が通信事業者などと提携したり、独自にストアを開設するなどのケースも
ある。その場合はストアがアプリとして提供されることが多いため、デバイスというよりも OS に依存す
る。
(ストアアプリ)
それぞれ専用のビューワーが必要だったり、別の端末では閲覧できなかったりと難点が多い。ただ最
近では相互接続の動きも見られ、互換性が上がることが期待される。
企業別分析
◆ストアアプリ
1.パピレス
コンテンツの作成・販売を手がける。電子書籍が携帯向け中心の時代から事業展開しているため、独自
のノウハウを持つ。スマートフォンへの対応はしていない。
2.パブリ、ebookjapan、紀伊國屋書店 Bookwebplus など
コンテンツは出版社からの提供が中心。
「書店」の要素が強い。
◆専用端末・ストア依存型
独自の端末・ストアを展開。コンテンツはこちらも出版社からの提供が中心。
ユーザーが購入したコンテンツは専用の端末でしか読めないのが基本。ただし最近は相互接続の動きも
みられる。
代表例は Reader(ソニー)
、GALAPAGOS(シャープ・CCC)
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5.自社分析
5-1.企業概要
三省堂書店は日本全国に展開する大手の書店チェーンである。1881年創業の伝統ある書店であり、
全国的に知名度は高い。また、辞書の出版などを行っている三省堂とは現在直接的な関係はない。
企業理念として、以下の三点を挙げている。
・お客様から信頼され、愛する書店作りのため、お客様の声を聴きます。
・常に新しいものをお客様に提案するため、時代の声を聴きます。
・誇りと喜びを持って働くことのできる会社づくりのため、社員の声を聴きます。
5-2.事業内容
主に店舗での書籍販売を行っている。他には事務機器、文房具、語学教育機器、DVD、CD-ROM 等の販売、
書店業務のアプリケーション提供事業、図書館管理サポート事業、フランチャイズ事業、不動産事業を
行っている。
書籍のオンライン販売や電子書籍の販売は行っていない。
5-3.店舗
東京
12
岐阜
2
神奈川
3
京都
1
40
埼玉
1
大阪
2
30
千葉
5
岡山
1
20
北海道
5
海外
5
10
愛知
3
合計
40
図20
店舗数
50
0
※2008,2009 年データなし
多くの店舗は東京を中心に主に都市部に立地しており、海外にも5店舗を持つ。国内の店舗は、駅の
近くに立地する大規模店舗と、駅構内にある中・小規模の店舗の2種類に大別することができる。総じ
て駅からのアクセスが良い。また、中小規模の店舗では特に、顧客のニーズに対応した品揃えが行われ
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ており、店舗によって扱う本の種類は異なっている。
店舗数は 2006 年までは伸びていたが、近年は出版不況のあおりを受けたためか減尐している。
5-4.売上高・経常利益
売上高(億円)
図22 経常利益
(百万円)
300
2011
2010
2009
2008
2007
2002
220
2006
240
300
200
100
0
2005
260
2004
280
2003
図21
※2008 年データなし
売上高は比較的順調に伸びている。しかし経常利益は、年による変動はあるものの総じて伸び悩んでい
ることが分かる。
5-5.その他サービスなど
三省堂クラブというポイントカードを導入している。18 歳以下専用のジュニアカードもあり、一般の
書籍に比べ、参考書は付与ポイントが高くなっている。また Z 会と提携しているため、Z 会の参考書であ
ればさらに高いポイントが付与される。ここから、学生(高校生以下)を対象とした参考書の販売に力を
入れていることが推測される。
また、三省堂オンデマンドサービスを神保町本店で行っている。三省堂オンデマンドサービスとは、
品切れした本や洋書を店頭で注文すると、その場で印刷、製本してくれるサービスである。本店でしか
行っていなく、売り上げの増加にあまり結びついていないことが推測される。
他にも会員制のネットサービスや、店舗ごとのフリーペーパーの配布などを行っているが、認知度が
低く、顧客の獲得につながっていないことが課題となっている。
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6.方向性
6-1.問題提起
以上の分析から三省堂の問題を示す。第一に差別化できていないことである。他社分析からみてわか
るように、各社の政策が似通っていて、例えば、オンライン販売や、電子書籍の促進販売やポイントカ
ードなど、またマネしやすいものばかりである。第二にリアル書店の衰退の兆しである。電子書籍の需
要が大幅に伸びこれからも利益拡大していくと考えられ、それとともに、ネット書店市場も拡大してい
る。一方、リアル書店業界の成長は停滞している。今まで競合する業界が尐なく、業界上受け身の姿勢
を取らざるを得なくなってしまっていた。しかし、今、三省堂は受け身の姿勢を反転させ、他社との差
別化を図ると同時に、ネット書店業界とに差別化を図れる革新的な政策が必要であると、私たちは考え
た。
6-2.目標設定
三省堂の最終的な目標は売り上げの増加である。その達成には、以下の3つの手法が考えられる。
(1)来客数の増加
(2)客単価の上昇
(3)商品単価の上昇
書籍には再販売価格維持制度が適応されており、書店には書籍の値段を変更することはできない。し
たがって、
(3)商品単価の上昇は現行の制度では不可能である。
また、一度の来店で今まで以上に多くの書籍を買ってもらうことも難しいと考える。なぜなら本は 1
冊の消費に時間がかかる、かさばる等の性質があるためである。したがって(2)客単価の上昇は困難
である。
以上より、
(1)来客数の増加 が最も現実的であると考えられ、目標として設定する。
その上で、上記の各分析結果に基づいた政策方針を考える必要がある。
そのポイントを以下にまとめる。
①業界規模の縮小、収入減から積極的に改革を行う必要がある
②現在、三省堂はオンラインでの販売を行っていないため、
オンライン販売を展開するにはコスト面の問題が大きすぎる。
電子書籍業界への参入も同様の理由がネックになり、他参入企業の成功例も極めて尐ないため、 電
子・通販への進出は困難であると考える。
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⇒リアル書店かつ紙媒体の形をもって戦略を立てる必要がある
③リアル書店における競合他社はネット販売・複合化に走り、
差別化されておらず、リアル書店の魅力を生かした抜本的な政策をおこない、差別化することで
成功しやすいと考えられる。
※再販売価格維持制度とは
メーカーが小売業者に対し商品の小売価格の値段変更を許さずに定価で販売させることをいう。再販
売価格維持は、流通段階での自由で公正な競争を阻害し、需要と供給の原則に基づく正常な価格形成を
妨げて消費者利益を損なうため、資本主義経済を取る国の多くでは、独占禁止法上原則違法とされてい
るが、例外的に一部商品については一定の要件の元に再販行為を容認している場合があり、それを再販
売価格維持制度と言う。
6-3.ターゲティング
前述した政策の方向性をもとに、私たちが政策のターゲットとするのは、資格に興味がある人。その
中でも特に資格取得の意識はあるが実行できていない人である。以下ターゲティングの根拠を述べる。
図23 独学・自己啓発に関するアンケート(%)
図23
行ってい
ないし今
後の予定
も無い,
37.9
図24 学習方法 (%)
独学・自己啓発に関するアンケート
現在行っ
ている,
20.9
行ってい
ないが具
体的に計
画してい
行ってい る, 3.5
ないが何
かしたい
と思って
いる, 37.7
図 23 から、6割以上の人が資格勉強や語学の勉強に強い関心を持っていることが分かる。また、図 24
から、勉強方法として書籍などを用いた独学を行う人が最も多いことも分かる。さらに、就職難という
社会的背景によりキャリアアップのために資格の取得を目指す人の数は増加傾向にある。したがって、
書籍を用いて資格を取りたいと思っている人はかなりの人数に上り、さらに増加傾向にあると考えられ
る。
この書籍での独学に関心のある人の中でも、目標の来客数の増加へと繋げるため、現在資格勉強をお
こなっていない人をターゲットに設定した。
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6-4.SWOT分析
Strength
Weakness
・知名度
・差別化の不徹底
・学習書、参考書
・通販、電子書籍に未進出
・駅前という好立地
Threat
Opportunity
・電子書籍の盛り上がり
・電子書籍、通販の拡大
・就職難という時勢
・出版業界全体の不況
→資格勉強への意識向上
上の図により、ターゲティングを絞った上での政策の方向性について論じたいと思う。
まず《Weakness》と《Threat》について、あわせて言及する。他社分析で述べたように、書店業界は
複合書店化とネット書店・電子サービス特化に流れつつあり、往々にして差別化しにくい状況になって
いる。その中で通販・電子書籍に進出せず、実際に来店する顧客向けのサービス(ex オンデマンドサー
ビスなど)を行っている三省堂は、「紙」書籍の店舗販売に重きを置いているという点で時勢に逆行して
いるといえよう。実際に《Threat》として近年、電子書籍・通販の拡大傾向がみられるため、今後の電
子化・通販時代に乗り遅れる恐れが十分に考えられる。また、前述の通り、年々出版物販売金額が低下
しているように、出版業界は慢性的な不況に悩まされている。
以上が考えられるマイナス要因・状況である。これらに対して三省堂が今後生き残るためにはどうす
べきか?《Strength》と《Opportunity》の観点から分析した。
三省堂の《Strength》であるが以下3点を説明する。第一に知名度について。三省堂は 130 年の伝統
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を持つとともに、首都圏を中心に大型店舗を展開し売上も業界10位に入っており、主な市場としてい
る首都圏での知名度は低く無い。第二に学習書について。三省堂は元々辞書を出版しており、教材の一
括販売を請け負っていたり、学習参考書の購入時にポイントをつけるサービスを行っていたりすること
から、三省堂自身が学習書・参考書を主たる商品として見なす姿勢や、学習書に強いイメージを推す意
識がみられる。第三に立地について。三省堂は駅前を中心としており通勤通学客など交通機関を頻繁に
利用する顧客を取り込める好立地だといえる。
以上、①十分な知名度 ②学参書に重きを置いている ③駅前の立地 三点を《Strength》として踏まえ
た上で、
《Opportunity》に移りたい。我々が注目したのは、就職難に起因する資格勉強やキャリアアッ
プの為の自学への意識の高まりである。確かに電子書籍市場の拡大も近年みられる動きであるのだが、
業界大手の紀伊國屋や全国規模でサービスを行っている amazon などに対して、業界10位で資本力に务
る三省堂が対抗することは難しいと考えた。
では、《Opportunity》と《Strength》がどのように関わってくるか。就職難を背景に「独学、資格取
得に意識を持つ」顧客層として大学生・社会人が考えられるが、これらは交通機関を頻繁に利用する事
から三省堂の「駅前」という立地条件に適している。また、学習書販売を始めとする学習支援は、もと
もと学参書に意識を持っている三省堂のイメージに合致する。最後に、学参書という商品は、実際に手
に取り自分の目で比較・確認が出来るリアル書店の長所を生かしやすい品目であり、紙書籍の店舗販売
を重視する三省堂にとって適した商品であると言える。
以上の論拠から、資格取得に関心を持つ人に対して、リアル書店の強みをいかした政策を行うという
方向性で進めていく。
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7.政策提言
以上を踏まえ、我々は 株式会社「ユーキャン」との提携
を提案する。
7-1.ユーキャン概要
株式会社ユーキャンは教育・文化・エンタテインメントの分野で、ダイレクトマーケティングという
営業手法により、戦略的なビジネスを展開している会社である。その経営理念は「学ぶよろこびをあな
たに」をキーワードとし、生涯学習への関心が高まっている今日において「資格」「実用」
「趣味」等約
160 にも上る通信講座を提供、幅広いニーズに応えている。
また、
最近では向井理・柴崎コウなど人気タレントをCMに起用し、資格講座としての認知度を高
めると共に、教室講義・公開セミナーや資格選びのサポートにも尽力している。
7-2.三省堂におけるメリット
我々がまず注目したのが、ユーキャン資格講座の知名度である。
図25
企業別CM放送回数
2500
2000
1500
1000
500
0
(株式会社ゼータ・ブリッジのデータより作成)
図25は関東民放における 2011 年 1 月中の企業別 CM 放送回数を表したものであるが、ユーキャンは
大手自動車企業を差し置いてトップを記録している。ここからユーキャンの資格講座が多くの人によっ
て認知されているということが分かる。
したがって三省堂はユーキャンと提携することで、ユーキャンの持つ「資格」としてのイメージを利
用し、極めて短期間で「三省堂=資格」というイメージを確立できるのである。
続いて当書店との関連性である。
ユーキャンの経営理念のキーワードである「学ぶよろこびをあなたに」という考え方から、顧客に対
するアプローチの仕方が尐なからず我々の目指す新たな戦略方針にマッチしていると考えられた。
また、ユーキャンはNPO法人本屋大賞実行委員会設立の趣旨に賛同し、同委員会が出版業界を活性
化するために行っている「本屋大賞」に協賛しており、書店に対して比較的身近な存在であると考えら
れた。
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7-3.提携に伴う問題
提携にあたり、必然的に発生する問題について考える。
まず、ユーキャンと我々が目指す三省堂のターゲットが同一であるため、ユーキャン目当ての顧客に対
して無抵抗になり得るという点があげられる。つまり、多くの「ユーキャンの顧客」が三省堂に来店す
るという点で、三省堂に関してほとんどメリットがないのではないかという意見であるが、
これに関しては、来店する顧客の性質を考えれば、誤りであることがわかる。
図26
括弧内はどちらの顧客
として考えられるかを表す
新たに来店が予想される
顧客①「資格=三省堂」
というイメージに影響を受け
た人(三省堂>ユーキャン)
顧客②ユーキャンを一つの選
択肢として考えている人
顧客
(三省堂<ユーキャン)
顧客③ユーキャンの商品に興
味を持っている人(ユーキャ
ン)
図26は提携によって新たに来店が予想される主な顧客層をまとめたものである。我々がターゲット
にするのは顧客①②である。 すなわち、我々が今回の提携で新たにターゲットとし得る顧客は単に「確
立されたイメージに影響された人」あるいは「ユーキャンの商品を選択肢にいれつつ検討している人」
であり、必ずしも「ユーキャンの商品を買いに来る人」ではないということである。
今回の提携で来店しうる顧客の目的はよりよい学習手段を探すことに他ならない。そこで、三省堂の
資格・教材に関するサービスを充実させるように努めることで、顧客のユーキャンへの傾倒を阻止し、
健全な競争を展開することができると考えた。
「資格イメージ」として、また顧客に対して「資格勉強の一つの選択肢」としてユーキャンをもって
くることで、三省堂の利点に十分なり得るのである。
また、ユーキャン側にメリットがあるかどうかという点も重要な論点になるが、これについてはユー
キャンの現状を踏まえたうえで説明することができる。現会長である品川氏の発言によれば、ユーキャ
ンの主力はかつて中年層向けの趣味系講座であったが、不況の影響でその売り上げが下がりつつある現
在においては、20 代~30 代の若者向けの資格講座にシフトさせつつあるとのことである。
これまでの章から推論しても、現に社会的背景のもとで資格への関心が高まりつつあり、新たな市場
となり得るのは明確である。加えて「資格勉強へのハードルを下げる」サービスを提供することで、タ
ーゲットの増加(興味を持つ人が増える)も視野に入れることができ、それらの点で、三省堂とタイアップ
し、資格応援を大々的にアピールするメリットはあると言える。
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また、三省堂の立地を生かし、直営販売を展開することで、ユーキャンの新たなターゲットに該当す
る年齢層の顧客に直接的にアプローチすることや顧客の生の声を聞くことが可能になり、その経営戦略
においても重要な情報源となるに違いない。
今までユーキャンはネット上のオンラインビジネスしか行っていなかった。しかし、今回の政策によ
りユーキャンは新たに低コストでの直営販売が可能となり、したがって売り上げの向上が望める。
過去を見れば、紀伊國屋等大手書店へ出店して業績を伸ばしたロゼッタストーンなどの例もみられる。
以上より、今回の提携は両社にメリットがあり、可能であると考えられる。
7-4.具体的政策案
ここから、ユーキャンとの提携に関する具体的政策案を述べていく。私たちの政策の狙いは、
「ターゲ
ット層に資格勉強を始めてもらう」ことである。
①ユーキャンブースの設置
店内にユーキャン商品を扱うブースを誘致する。ユーキャンは三省堂とは独立して自社の製品を宣伝、
販売する。また、ユーキャンの申し込みも店舗でできるようにする。
②店内に学習・資格アドバイザーを置く
資格勉強を始めようという人の中には、勉強方法や試験についての知識など資格を取るまでのプロセ
スが不明確である人が尐なくない。また、その専門性故に、資格そのものについての知識に乏しい人も
多い。
こういった資格勉強のハードルを下げるために、ユーキャンブースに学習プロセスをサポートする学
習アドバイザーや資格に精通した資格アドバイザーを配置し、資格の紹介や資格診断テストを実施する
ことで、資格勉強スタートのきっかけづくりを行う。
アドバイザーはユーキャン側の社員を利用する形となる。学習アドバイザーについては会計士や簿記
など受講者が多い主要な資格に精通する人を曜日別に置き、学習プロセスをサポートする。
③ネットにおける資格選択のアドバイス
資格勉強を始める上で、取りたい資格が明確になることも大切である。そこで、インターネットにお
いて顧客の要望に応じた資格を選択するサービスを提供する。
具体的には、顧客のアンケートを受け付け、それに適した資格を提案するというサービスである。
④店内の資格教材を充実させる
「資格=三省堂」というイメージだけ先行し、顧客の満足を得られないことがないように、店内の教
材類を充実させることが不可欠である。
これらの政策を実行することで、
「資格=三省堂」のイメージを確立し、多くの「資格勉強を始めたい」
という顧客層を取り込むとともに、顧客に対してよりよいサービスを提供することができる。
また、資格勉強のハードルを下げることによって、資格勉強における市場そのものの拡大をうながす
ことも考えられ、将来的により多くの顧客を獲得するができる。
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8.未来像
以上の政策によって私たちが目指す三省堂の未来像は
資格・勉強に強いという明確なブランドイメージをもった書店である。
各書店は複合化、電子・ネット販売化する流れにあり、その中で三省堂は自らのアイデンティティを
確立できていない状況にあった。
そこで我々が提案した政策、つまり資格取得や独学に対する支援やーキャンとの提携を行い三省堂は
資格が強いというイメージを顧客に認知してもらうことで「三省堂は資格に強い」と思われるだけでな
く将来的には「勉強できる人は三省堂で書籍を買う」
「三省堂のブックカバーはインテリの象徴」とまで
思われるようにする。三省堂はその強烈なイメージのもとで、差別化がなされていないリアル書店から
の脱却を図り、電子・ネット通販が台頭している業界で異なる魅力をもって多くの顧客を獲得してゆく
のである。
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9.参考文献
三省堂書店
ブックオフ
http://www.books-sanseido.co.jp/
http://www.bookoff.co.jp/
丸善
日本著書販促センター
http://www.maruzen.co.jp/top/
http://www.1book.co.jp/
有隣堂
業界動向
http://www.yurindo.co.jp/corporate/
http://gyokai-search.com/
ジュンク堂
株式会社ゼータ・ブリッジ
http://www.junkudo.co.jp/
http://www.zeta-bridge.com/cmdata/ranking/201
マイボイス
101cm_ranking.pdf
http://www.myvoice.co.jp/voice/
ユーキャン
アマゾン
http://www.u-can.co.jp/index.html
http://www.amazon.co.jp/
矢野経済研究所
http://www.yano.co.jp/
学校教育
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/toukei/
05071201/pdf/001.pdf
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