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部分と部分の関係 - SAWADA LAB

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部分と部分の関係 - SAWADA LAB
第八回「部分と全体」
部分と部分の関係
学部4年 大内逸平
修士2年 奥野輝亮
修士1年 中野良則
□ はじめに
のかの考察もあわせて行っていく。(別紙参照)
第八章では建築における多様な「部分と全体」の関係
□ 考察
が考察されている。本文で「部分と全体」を装飾と建築、
・サンドイッチハウス/こぢこぢ/2008 年
要素(柱、梁、床)と建築としているように、その人が
塔状個室群(母屋)と小屋型リビング(納屋)の間に LDK
部分と全体をそれぞれどのように捉えるかによりその関
(「背戸」作業場となる中庭)の配置をすることをルール
係の解釈は多義にわたる。本レジュメでは、部分を「空
としている。これにより、住み手は断面的に配置された
間」、全体を「建築」と定義し、建築における「部分と全
「背戸」を介して、どの空間にいても家族の存在を感じ
体」の関係を考察していく。
ることができる。
・京都の集合住宅 NISHINOYAMA HOUSE/妹島和世設
□部分と部分の関係
計事務所/2012 年 全体(建築)は部分(空間)が集まることにより構成
一つの住居に三枚の屋根がかかっており、そのうちの一
されるが、その関係は大きく 2 種類に分けられると私は
枚が他の住居にかかることをルールとしている。住居と
考える。1 つ目は部分と部分の間に関係性がなく、単に
住居の境界が曖昧となることで、住人同士に一緒に住ん
部分が集積することにより全体が構成されているもの
でいるという連帯意識を抱かせる。そして住民間の交流
(図 1)。2 つ目は、部分と部分の間に関係性があるもの
が誘発されるように仕掛けている。
である(図 2)。設計者がどのようなルールを設定して建
・日本盲導犬総合センター/千葉学建築計画事務所
築を設計するかにより、部分間の関係は多様なものとな
/2006 年 り、それらにより構成される建築全体の様相にも大きな
蛇行する回廊と真直ぐな回廊によって客動線と管理動線
影響を及ぼす。
を分けることをルールとしている。それにより、引退犬
や生まれたての犬にストレスを与えないように管理され
た空間と、来訪者が犬たちと触れ合えるためのオープン
な空間を併存させている。 □おわりに 関係
設計者が部分と部分の間に関係を生むために設けたルー
ルが、活動の多様性を生んでいる。つまり、関係が不在
本レジュメでは設計者が設定したルールに着目し、部分
する部分と部分の間にルールを仕掛けることにより、新
間の関係や部分と全体の関係を考察していく。また、そ
たな全体があらわれるのではないだろうか。
れによりユーザーにどのような影響・効果を与えている
□参考文献
建築が生まれるとき/藤本壮介
建築の可能性、山本理顕的想像力/山本理顕
新建築 2014 年 1 月号
新建築 2007 年 1 月号
サンドイッチハウス
京都の集合住宅 NISHINOYAMA HOUSE
こぢこぢ /2008年
課題
この建築は、20坪という極小敷地に建ち、三方を隣家に挟まれている。そのような敷地
で、
プライバシーを確保しつつも明るく快適な家をつくることが要求された。
ルール
妹島和世設計事務所 /2012 年
千葉学建築計画事務所 /2006 年
既存の集合住宅のように明確に住戸を分けて配置するのではなく、一つの家に住んでいるという意識を
住人に持たせることが課題となっている。
また京都市の規制により屋根形状や色彩、素材への配慮と町
並みとの調和がとれた建築が求められた。
盲導犬の訓練や繁殖、研究のためにプライバシーかつ独立したコテージと
来訪者が盲導犬の訓練の様子を見物することのできるドッグランなどのギャラリー空間をつくること。
こ
の対称的な用途を一つの建築内に成立させることが要求される。
課題
課題
ルール
塔状個室群と小屋型リビングを断面的に配置する。
一住居には三枚の屋根があり、
そのうちの一枚の屋根が他の住居にまたがせている。
効果
極小空間において中庭などがとれないため断面的に空間を配置することで住人にとっ
て背戸のように感じられる空間を創出する。
またそれにより、
プライバシーを確保しながらも開放的な空間を実現した。
背戸:母屋と納屋の間にある作業場となる中庭空間。
日本盲導犬総合センター
効果
異なる住戸が一つの屋根を共有することで、住人同士に一緒に住んでいるという連帯意識を抱かせる
ことを実現した。
ルール
真直ぐな回廊と蛇行した回廊によって客動線と管理動線を分ける。
効果
引退犬や生まれたての犬にストレスを与えないように管理された空間と、来訪者が犬たちと触れ合える
ためのオープンな空間を客動線である真直ぐな回廊と管理動線である蛇行した回廊を用いることで、
う
まく併存させることを可能にした。
プライバシーの高い空間
LDK(背戸空間)
住居5S
浴室
プロムナード
住居5庭
1
住居5DK
住居5L
住居5B
ロフト
4
5 6
7
4
7
路地
共有の
屋根
自動車車庫
6
2
住居1K
12 6
4
9
6
6
住居1D
8
13
住居1庭
8
8
15
22
14
19
20
14
21
17
ができる。
回廊
10
14
寝室
室の気配を感じること
8
オープンな空間
9 6
6
11
16
住居1B
LDK からリビングと個
8
4
住居1庭
トイレ
1 1
2
住居1庭
子供室
1
2
3
リビング
1
住居1L
23
18
住居1庭
14
24
二階平面図
25
26
1. 宿泊室
2. 外回廊
3. 分娩室
4. 作業室
5. 産後室
6. 排便室
7. 親子室
8. フリーラン
9. 子犬室
10. グルーミング室
11. 訓練犬室
12. 引退犬室
13. プロムナード
14. 内回廊
15. 観察犬室
16. 治療室・手術室
17. 経過観察室
18. 変電室・受水槽室
19. 倉庫
20. 多目的トレーニング室
21. ラウンジ
22. 学習資料室
23. ショップ
24. 会議室
25. 応接室
26. 事務室
27. 隔離犬室
他者と共有するエリア
リビング
LDK(背戸空間)
屋根の共有
ロフト
住居1D
住居5L
パブリック空間
住居1庭
住居1K
住居1庭
回廊
プライベート空間
S=1:150
0
2.5m
パブリック空間とプライベート空間が回廊の間に分散している。
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