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式 辞
式 辞 厳しい冬の寒さも和らぎ、梅の香りもただよいはじめ、日 に日に春の訪れが感じられるようになりました。この佳き日 に、多数のご来賓並びに保護者の皆様方のご臨席を賜り、平 成二十四年度大分県立日田高等学校全日制課程第六十五回、 並びに定時制課程第六十一回卒業式がかくも盛大に挙行でき ますことに対しまして、心から感謝申し上げます。そして何 よりも、本日、晴れてこの日を迎えた卒業生の皆さん、卒業 誠におめでとうございます。また、卒業生の皆さんを支えて こられた保護者の皆様方にも心からお祝いを申し上げます。 卒業生の皆さん、皆さんは最上級生として見事なリーダー シップを発揮してくれました。全日制においては、学校創立 九十周年という記念すべき年の中心の学年として成功裡に導 い て く れ ま し た 。「 剛 健 積 極 明 朗 」 の 校 訓 の も と 、 文 武 両道を実践してくれた皆さんの姿は、しっかりと目に焼き付 いており、後輩にもよき伝統として受け継がれています。定 時制の皆さん、皆さんは「働きながら学ぶ」という状況の中 にあって、強靱な精神力と強い意志で、三年間あるいは四年 間で卒業という栄誉を手にすることができました。全日制、 定時制を問わず、今は達成感や充実感、そして、これから新 しく始まる未来への期待感で心は大きく弾んでいることと思 い ま す 。高 等 学 校 卒 業 と い う 節 目 を 迎 え る こ と が で き た の は 、 皆さん一人一人の努力の結晶には違いありません。しかしな がら、これまで皆さんの成長を願い、見守ってきてくださっ た保護者やご家族の方をはじめ、時には厳しく叱咤激励をし てくれた先生方など、多くの方々に支えられたものであり、 そのことに対する感謝の気持ちを忘れてはなりません。 さて、これからの日本を築いていく皆さんには輝かしい未 来が待っています。日本の歴史を振り返ると、日本は大陸か ら技術や文化を取り入れ、それをそのまま受け容れるのでは なく、日本人が持つ価値観や美意識というフィルターを通し た上で日本独自の産業や文化をつくりあげてきました。日本 人固有の高度な「考える力」と「弛まぬ努力」が日本という 国をつくりあげてきた原動力となったのであり、これからも この二つの力が求められることには違いありません。 そこで皆さんに二つのことを期待します。一つは「志を立 てる」ということです。皆さんには常々「志高く」という話 をしてきました。高等学校卒業という節目に当たって、今一 度「志」を立て、これからの自分の人生をどのように生きて いくのかということを自ら心に問いかけ、進むべき道を決め て欲しいと思います。どんなに時代や技術が変化しても社会 で必要とされる人間になるべく、大きな志を立て、精神的に タフな人間になることを願っています。 二 つ 目 は 、「 確 固 た る 信 念 を 持 つ 」 と い う こ と で す 。 禅 の 言 葉 に 「 巌 谷 栽 松 ( が ん こ く に ま つ を う え る )」 と い う も の があるそうです。岩場に松を植えても中々育つわけではあり ません。岩に松を植えること自体が無駄なことだ、そう思っ て岩場に植えることを諦めてしまえば、それでおしまいにな る。諦めることなく、絶対に育つという信念を持つことがい かに大事なことかを教えてくれる言葉です。未来を信じて、 未来のために今の自分にできる事をする、明日を信じて今で きることをすることが、これからの日本に必要なことだと思 います。志を立て、信念を持ち、諦めないという姿勢をこれ からも貫いて欲しいと思います。 歴史と伝統を誇るここ日田高校で過ごした貴重な時間や経 験が皆さん一人一人の心に「志」と信念を持ち諦めない「気 概」を育んでくれたものと信じています。大きく羽ばたき、 人から必要とされる人材になることを期待します。 結びになりますが、本日ご臨席賜りましたご来賓の方々並 びに保護者の皆様方の本校に対するこれまでのご理解とご支 援に対しまして、改めて敬意を表しますとともにお礼を申し 上げ、重ねて卒業生の皆さんの限りない前途を祝福して式辞 といたします。 平成二十五年三月一日 大分県立日田高等学校 校 長 江 田 雅 紹