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弦理論と行列モデル

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弦理論と行列モデル
弦理論と行列モデル
立教大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程前期課程 2 年
04LA011S 三宅 悠介
指導教員 矢彦沢 茂明
1
目的
弦理論の非摂動効果が e−C/gs の形になるものとして D インスタントンを考えることができる。このこと
は非臨界弦の理論から詳しく解析することができる。特に行列モデルを用いた方法で非摂動効果を求める。
今回の中間報告では行列モデルの基本的なことを説明する。
2
正三角形分割 (ランダム面)
正三角形分割とは 2 次元面を同じ大きさの正三角形で敷き詰めていくものです。そのとき、1つの頂点 i
にくっついている正三角形の数 Ni によって次のように面の曲率が変わる。
Ni > 6 · · · 曲率 < 0(−, 凹)
Ni = 6 · · · 曲率 = 0(平坦)
Ni < 6 · · · 曲率 > 0(+, 凸)
(1)
このときのリッチスカラー Ri は Ni を使い表すことができ、リッチスカラーを全空間で積分すると曲面の
オイラー数が出る。そしてこのオイラー数 χ と面全体の面積 A から分配関数を求めることができる。
3
行列モデル
通常スカラー場を汎関数積分してできるファインマン図ではプロパゲータは 1 本線で書かれるが、行列
モデルではスカラー場を N × N 行列として扱うのでプロパゲータは 2 本線で書く。ここで 3 点相互作用が
n 個集まり、プロパゲータ n 個でつながるとループができ、このときループは n 角形で、このループ (n 角
形) が集まり 2 次元面を構成することができる。
ランダム面と行列モデルの間には次の双対性がある。
頂点 (Ni ) ⇐⇒ ループ (Ni 角形) , 辺 ⇐⇒ プロパゲータ , 面 ⇐⇒ 3 点相互作用
(2)
このようにして行列モデルからランダム面が生成できる。正三角形の面積は全て同じなので 3 点相互作用
の数 n から面積 A が求まる。
またここで行列のサイズ N について、3 点相互作用 (V) から N 、プロパゲータ (E) から N −1 、ループ
(F) から N の寄与を受ける。そのため全体で N V −E+F = N χ となりオイラー数が出てくる。
このように行列モデルからも面積 A とオイラー数 χ が求まるので、定数をうまくとることで行列モデル
からランダム面と形式的に同じ分配関数が求まる。
4
連続極限
分配関数は 1/N で展開することができ、ラ−ジ N 極限 (N → ∞) をとると、ジーナス 0 の面の寄与のみ
が効いてくる。分配関数は結合定数 g で展開することもできる。三角形の数 n が大きいときを考えると、臨
界結合定数に近づいたとき面積の期待値が無限大になる。ここで正三角形の面積を 0 に近づけると、連続
極限をとることができる。このことから分配関数の特性を調べることで相関関数の計算が行列モデルから
できる。
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