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心で伝えられること(PDF/107KB)
佳作 心で伝えられること 北海学園札幌高等学校 3 年 上野 葉菜 毎日の生活の中で、世界とのつながりを感じられるときはなかなか少ない。友人と話し ている時だって、食事をしている時だって、そんなに世界を感じる機会はない。しかしな がら、よく考えてみると、友人との会話や食事の時間でも世界とのつながりを感じられる きっかけはある。食べ物は日本だけで生産している訳ではないだろうし、会話中もふと海 外のアーティストの話題が浮上したりするはずだ。そう考えると、身の回りは世界とのつ ながりであふれているかもしれない。他国の人々も、私達と同様に世界とのつながりを意 識することはあるのか。 私達が他の国の人々と何らかの形でつながりを持っていると実感する時、逆に相手側は どうだろう。日本とのつながりを感じてくれる時はあるのだろうか。そして、私達が世界 とのつながりを感じるというのは、おそらく他国からの影響を受ける、いわゆる受信の立 場になった時、実感できることだ。そうなると、他の国の人々が日本とのつながりを感じ る時は、日本が他の国に影響を(良い意味でも悪い意味でも)及ぼした時、いわゆる発信 の立場となる時だろう。私たちが普段生きて行く中で、他の国に何か影響を及ぼすことな んて、実際あるのだろうか。もしあるとしたら、どのように伝わっているのだろうか。言 葉が通じない人々に、どのように伝えるべきなのか。それはきっと、私たちの「心」で伝 えるものかもしれない。 私は小学生の頃からずっと吹奏楽を続けているが、音楽こそ「心」がとても重要でかつ 世界とのつながりをよく感じることができる大切な場である。音楽には、当然技術も必要 になるが、第一に奏者の「心」がそのまま音につながるということを忘れてはいけない。 同じ楽器、同じ音楽でも、演奏する人や指揮者によって全然変わった音楽に聴こえる。こ れは、おそらく奏者や指揮者の表現したいことが違うためである。たったそれだけの違い で聴く側にはその「心」が十分に伝わる。音楽とは何て繊細で、感動的なものなのだろう。 しかも、音楽に言語はない。世界中どこへ行っても、英語が話せなくても、音楽は自らの 意志をそのまま伝えることができる。実際に私達は海外のミュージシャンやアーティスト の歌を聴いて何かしらの影響を受けたことがあるだろうし、逆に日本の音楽が世界に広ま ったりもしただろう。そういうことを通して私たちは世界とつながりを持つことができる。 そして、世界に何かを伝える時、私達一人一人の「心」で伝えようとすれば、言葉は違っ ても、必ず意志は伝わる。こうして世界とつながり、私達からも良い影響を及ぼすことが できること、この「心」がこれから先生きて行く中で大切なんだと思う。 毎日の生活の中で、友人と話している時、食事をしている時、意識次第で世界とのつな がりを感じられる機会はいつでもある。また、私達自身が世界に何かを伝える時、音楽を 通じて学ぶことができた表現したい「心」を大切にして、この先世界の様々な人との交流 があった時、少しでも相手にとってプラスになる影響を与えてあげられるように、日頃か らの自分の意志を表現しようとする「心」を養うことは重要だ。そのためには、普段から 人と話をする時、相手にいかに分かってもらえるかを考えながら伝えることを忘れないで ほしい。将来世界に何ができるかは正直分からないけど、何かを伝えなければいけないこ とは絶対だから、伝えられる「心」を自分で創り上げる努力を心がけたい。