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第2章 - 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

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第2章 - 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
第2章 繊維製品リサイクルに関連する法律の概況
本章では、繊維製品リサイクルシステム構築を検討する上で参考となる関連法律の概況を
整理した。調査対象とした法律と調査項目の例を以下に示す。
<調査の対象と調査項目の例>
調査対象
調査項目の例 ※
・容器包装リサイクル法
① 法の目的と方策
・家電リサイクル法
② 対象物・製品の範囲(除外品の範囲)
・資源有効利用促進法
③ 関係主体とその役割・責任(義務規定/努力規定)
(パソコン/二次電池)
・省エネ・リサイクル支援法
④ もの・お金・情報の流れ
⑤ 法が目標とするリサイクル率等の定義
⑥ 輸出やリユースの位置づけ
⑦ サーマルリサイクルの位置づけ
⑧ 有害物質管理
⑨ リサイクル製品の販売
⑩ 関連法制度との関連
⑪ スケジュール(施行年月日/改正予定年)
⑫ 法施行前のスキームとの違い・既存システムとの共存状態
⑬ 法施行状況のモニタリング
※ 調査項目は法律により異なる。
第1節 容器包装リサイクル法の概況
2.1.1 概要
(1)法の目的と方策
本法律の目的は、一般廃棄物の2~3割(重量比。容積比では6割)を占める容器包装廃
棄物の分別収集及びこれにより得られた分別基準適合物の再商品化を促進するための措置
を講ずること等により、一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じて、廃棄物の
適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図ることである。
(2)対象物・製品の範囲(除外品の範囲)
下記に示すように、まず、平成9年4月より、ガラスびんとペットボトルの再商品化義務が
大企業を対象に施行されており、平成12年4月からは再商品化義務対象者に中小企業も加
わり、さらに紙パック・段ボール以外の紙製容器包装、ペットボトル以外のプラスチック製容器
包装についても再商品化義務対象となっている。
また、ここで対象となる容器包 装は、商品に付 される容器 包装に限定 されており、クリーニ
ング袋や金 券を入れる袋など、商 品 以外に付 される容 器 包 装は対 象 とならない。また、再商
品化義務の対象は、家庭から排出される容器包装であり、事業所から排出される容器包装は
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対象外である。
表 1 容器包装リサイクル法の対象容器包装・対象事業者
対象容器包装
適用年度
再商品化義務対象
再商品化義務対象外
平成9年度
ガラス製容器
スチール製容器包装
から適用
ペットボトル※1
飲料用紙製容器
平成12年度 紙製容器包装
段ボール製容器
再商品化義務対象者
から適用
プラスチック製容器包装※2
適用年度
会社・個人・組合等
平成9年度
学校法人等
製造業等
小売・サービス
卸売業
(民法第34条)
①300人超かつ
①50人超かつ
①100人超かつ
①300人超
②1億円超
②1千万円超
②3千万円超
平成12年度
適用除外
アルミ製容器包装
上記及び下記以外
①20人以下かつ
①5人以下かつ
①20人以下かつ
③24千万円以下
③7千万円以下
③24千万円以下
①従業員数、②資本金又は出資総額、③売上高総額
※1:食 料品(しょうゆ、乳飲 料(ドリンクタイプのはっ酵 乳 、乳酸 菌 飲料 、乳飲 料)等、その他 調味 料 (しょうゆ
加 工 品、みりん風 調 味 料、食 酢、調 味 酢 、ドレッシングタイプ調味料(ただし食用油脂を含まず、かつ、簡易な
洗浄により臭いが除去できるもの))清涼飲料、酒類
※2:「ペットボトル」に含まれるものを除く
(3)関係主体とその役割・責任(義務規定/努力規定)
①特定事業者
〔義務規定〕
特定事業者は義務として、自らの容器包装排出見込み量に応じて算定される量の容器包
装を再商品化しなければならない。
〔努力規定〕
基本方針(法第三条第 一項に基づく)では、事業者は、量り売り等の推進による発生抑制
のほか、容器包装の規格化や材料、構造面における工夫、リターナブル容器の使用、内容物
の詰め替え方式の採用 等による減 量に努めることが求められている。さらに、容器包装に適
切な材質等の表示、素材別に分離が容易な構造、材料の工夫を行うこと等により、分別排出
がより容易な容器包装の製造、利用について検討することが求められている。
②市町村
〔義務規定〕
市町村は、本法律に参画することは義務づけられていないが、積極的に参画することが求
められている。また、参 画した場 合 、分別 収 集 コストを負 担するとともに、分 別 収 集 物が分 別
基準適合物の品質等の条件を満たすようにしなければならない。また、分別収集された量のう
ち、小規模事業者分に当たる量については、市町村が再商品化をしなければならない。
〔努力規定〕
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基本方針では、市町村は、住民が容器包装廃棄物を適正に分別排出することを促進する
ため、分別排出の基準 の設定及びその周知を行い、住民に対する意識啓発に努めるほか、
住民による適正な分別収集を促進するような一般廃棄物の収集、運搬及び処分に関する手
数料の徴収、適切な分別収集を実施するための回収拠点及び回収頻度の設定についても検
討を行うことが望まれている。
③消費者
〔義務規定〕
消費者は、居住する市町村の分別排出ルールに協力しなければならない。
〔努力規定〕
基本方針によれば、消費者は、商品の購入等に当たっては、自ら買物袋等を持参し、また、
簡易包装化がなされている商品、詰め替え可能な商品及び繰り返し使用が可能な容器( 以
下「リターナブル容器」という) を用いている商品等を選択すること等により、容器包装廃棄物
の排出のできる限りの抑制に取り組むことが求められている。
④再商品化事業者
再商品化事業者は、指定法人もしくは特定事業者からの委託を受け、容器包装の再商品
化を行う。次節で示す指定法人ルートの場合、再商品化事業者とは再生処理事業者と運搬
事業者の両方を指す。指定法人を介した容器包装の入札に参加する際には、再生処理事業
者のみが登録申請を行い、登録された再生処理事業者と運搬事業者がジョイントで入札に参
加することとなる。
⑤再商品化製品利用事業者
再商 品化 製 品利 用 事 業 者は、再商 品化 事 業 者から再 商 品 化製 品を購 入し、利用を行う。
ただし、ペットボトルの場 合、フレークの利用 事 業者は国 内で製品 等 に加 工する製 造事 業 者
(メーカー)に限られる。また、プラスチック製容器包装については、再商品化製品がトレイの減
容顆粒品またはインゴットの場合の引き取り先は、国内でペレットを製造する事業者に限られ
る。紙製容器包装については、製紙原料の利用事業者は製紙メーカーに限られる。
(4)もの・情報・お金の流れ
容器包装リサイクル法の再商品化ルートには、自主回収ルート、指定法人ルート、独自ルー
トの3つがあるが、独自ルートは事例がない(全国に販売された自社製品の容器包装を回収
し、再商品化することは現実的に困難であるため)。
①指定法人ルート
指定 法 人ルートは、 図 1 指定法 人ルートのもの・情報・お金の流れ に示すとおりであり、
消費者から分別排出された容器包装は、市町村が収集、選別保管し、落札した再商品化事
業者が引き取り、再商品化を行う。自治体における収集、選別保管費用及び自治体から指定
法人への再商品化委託料金は、消費者からの税金で賄われている。一方、再商品化事業者
における再商品化費用は、再商品化製品利用事業者からの有価物売却益と、指定法人から
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の再商品化料金で賄われており、後者の再商品化料金は、特定事業者から再商品化委託料
金として徴収される。
なお、再商品化委託料金は、市町村からの引取量に応じて、指定法人から再商品化事業
者に支払われるが、再商品化事業者が引取後、実際にはリサイクルせずに処理処分すること
も考えられる。そこで、再商品化製品利用事業者の引取同意書を、再商品化事業者としての
登録審査要件の一つとしており、また、再商品化委託料金は、利用事業者への販売を証明す
る利用事業者の購入実績報告や受領書などの確認後、支払われることになっている。さらに、
指定法人では、再商品化事業者の報告の真偽を確認するために、単発的な抜き打ち検査も
行っている。
再商品化
委託料金
指定法人:(財)日本容器包装リサイクル協会
特定事業者
お金の流れ
還付
商品購入額
(価格内部化)
商
品
引渡量
再商品化
委託料金
(小 規 模 )
事業者登録
/入札
/利用事業者
受領書等
小売店
商
商品購入額
(価格内部化) 品
消費者
税金
落札事
業者の
再商品化料金
情報の流れ
ものの流れ
引取同意書/受領書等
容器包装
廃棄物
自治体
収 集/選 別 保 管
容器包装
廃棄物
再商品化
事業者
再商品化製品
再商品化製品
利用業者
製品購入額
処分料
再商品化残渣
最終処分
業者
図 1 指定法人ルートのもの・情報・お金の流れ
自主回収ルート
自主回収ルートは、 図 2 自主回 収ルートのもの・情報・お金の流れ に示すとおりである。
容器包装を利用・製造した特定事業者は、自らまたは他の者(販売店や再商品化業者)に委
託(集 団回 収も含む)して回収・再商品 化を行う。特定 事 業者が他の者に再 商品 化を委託し
た場合には、委託料金を再商品化事業者に支払う仕組みとなっている。ただし、自主回収ル
ートは、その回収方法による回収率が概ね90%を達成するために適切なものである旨の認定
を受けることができる。認定を受けた容器包装については、再商品化義務が免除される。
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容器包装廃棄物
商
品
お金の流れ
特定事業者
回収物
自
ら
回
収
情報の流れ
ものの流れ
引取量
(
商品購入額
)
特定事業者
委託
料金
委託
料金
容器包装廃棄物
消費者
製品購入額
再商品化
事業者
再商品化製品
容器包装
廃棄物
容器包装廃棄物
残渣
(委託による回収)
小売店
再商品化製品
利用業者
(特定事業者含む)
最終処分
業者
処分料金
図 2 自主回収ルートのもの・情報・お金の流れ
②独自ルート
独自ルートは 図 3 独自ルートのもの・情報・お金の流れ に示すとおりであり、特定事業者
が自らまたは指定法人以外の者に委託して再商品化を行う。本ルートを採用するためには、
特定事業者が自ら申請し、主務大臣から認定を受ける必要がある。前述したように、独自 ル
ートはまだ事例がない。
商品
購入額
消費者
商品
購入額
小売店
特定事業者
商 品
商
再
ら
自
(
(委 託 に よ る 再 商 品 化 )
委
託
料
金
引取量(委託)
容器包装廃棄物
税 金
容器包装廃棄物
お金の流れ
再商品化製品
品
化
)
商 品
自治体
製品購入額
処
残
渣
情報の流れ
ものの流れ
分
料
金
製品購入額
再商品化
事業者
再商品化製品
処分料金
残渣
図 3 独自ルートのもの・情報・お金の流れ
39
再商品化製品
利用業者
(特定事業者含む)
最終処分
業者
(5)法が目標とするリサイクル率等の定義
容器包装 リサイクル法が、特定事業者に義 務を課している再商品 化とは、自らが原料また
は製品として利用するか、原材料として利用する者に有償又は無償で譲渡し得る状態にする
ことを指している(法第二条)。
容器包装リサイクル法の再商品化義務総量は、環境省がまとめた分別収集可能量と、主務
省が定めた再商品化計 画量のいずれか少ない方に特定事業者責任比 率をかけて設定され
ているが、分 別 収 集 計 画 量、再 商 品 化 可 能 量 ともに、数 値 目 標はない。サーマルリサイクル
は、ガラスびん、ペットボトル、プラスチック製容器包装については、認められていないが、紙製
容器包装では、固形燃料化が再商品化技術として認められている。なお、平成19年以降は、
プラスチック製容器包装においても、緊急避難的・補完的に固形燃料等燃料化が認められて
いる。
(6)輸出やリユースの位置づけ
容器包装リサイクル法上、再商品化物の輸出については明記されていない。しかし、指定法
人ルートで再商品化する場合の輸出条件は、指定法人の再商品化業務規定(再商品化業務
規定自体は、これを定めることが法第24条で規定されている)において規定されている。同業
務規定によると、ガラスびんについては、輸出制限はない。ペットボトルの場合、フレークは輸
出できないが、ペレットは輸出可能である。プラスチック製容器包装の場合は、トレイの減容顆
粒品またはインゴットは、輸出が禁止されている。また、紙製容器包装の場合、製紙原料は、
国内の製紙メーカーに引き取り先が限られている。なお、独自ルートおよび自主回収ルートが
適用されている品目については、輸出に関する規制はない。(※第15条再商品化の認定、施
行規則第13条再商品化実施者の有する施設の基準には、国内でリサイクルすることという規
定はないが、15条の項目は全て国内利用を前提とした記述である。)
一方、リユースについては、促進策として、自主回収認定制度がある。具体的には、排出見
込み量のうち、おおむね90%(実質80%程度)が自ら又は他者委託により回収されており、自
主回収認定を受けた容器包装については、当該容器包装が残り10%程度排出されていても、
それに対応する量の再商品化が免除されている。
(7)サーマルリサイクルの位置づけ
産業構造審議会廃棄物処理・再資源化部会第13回容器包装リサイクル小委員会(平成11
年3月5日開催)で配布された資料「プラスチック製容器包装及び紙製容器包装の分別収集及
び再商品化について(案)」によると、紙製容器包装については、原材料(製紙原料等)として
のリサイクルと、燃料としてのリサイクルの2通りが認められている。ただし、燃料としてのリサ
イクルを行うのは、製紙原料等としての利用が困難である場合に限られている。また、燃料化
を行うにあたっては、物質収支が90%以上であること、ボイラー効率が75%以上であること、エネ
ルギー利用率が70%以上であることが規定されている。
一方、プラスチック製容器包装については、できる限り原材料として利用するリサイクルを優
先的に行うこととされているが、紙製容器包装のように、原材料としてのリサイクル手法と燃料
としてのリサイクル手法を区別して明示していない。ただし、原材料・燃料の両方として利用さ
れるリサイクル手法として、油化、高炉還元、ガス化、コークス炉化学原料化の4つが示されて
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いる。なお、前述のとおり平成19年以降は、プラスチック製容器包装においても、緊急避難的・
補完的に固形燃料等燃料化が認められている。
(8)有害物質管理
容器包装リサイクル法上、有害物質を管理する規定はない。
(9)リサイクル製品の販売
再商品化物の利用義務は、第36条おいて、資源有効利用促進法で定めるところにより、再
商品化製品を利用する義務が課せられるとされているが、現在、再生資源利用促進法におい
て、特定事業者関連業種で再利用率が定められているのは、紙製造業とガラス容器製造業
のみである。紙製造業では、業全体の古紙利用率を平成17年度までに60%とすることが目標
とされており、ガラス容器製造業では、業全体のカレット利用率を平成17年度までに80%とす
ることが目標とされている。なお、この要件に対して取り組みが著しく不十分である場合には、
紙製造業の年間の紙生産量が1万t以上の事業者と、ガラス容器製造業の年間のガラス容器
生産量が2万t以上の事業者に対して、主務大臣は必要な措置をとることを勧告することがで
きる(資源有効利用促進法第17条)。
これら事業者と同列に、プラスチック製造業(PET樹脂含む)が定められれば、マテリアルリ
サイクルの需要は大幅に増加すると考えられる。
(10)関連法制度との関連
特定事 業 者は、法 第 2条において、一定 規 模以 上の事 業者に限 定 しているが、これは、中
小企業基本法に基づく小規模事業者等を除外したものである。
また、資源有効利用促進法とは、上記の再商品化製品の利用義務規定で関連しており、ま
た、ペットボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装の識別表示も、資源有効利用促進
法で規定されている。
(11)スケジュール(施行年月日/改正予定年)
容 器包 装リサイクル法 は、平 成7年6月16日 に公 布され、平成9年4月1日より部 分施 行
(対象品目をガラスびん、PETボトル、対象事業者を大企業に限定)された。その後、平成12
年4月1日より対象品 目(紙製 容 器包装、プラスチック製 容器包 装を追加)、対象事業 者(中
小企業を追加)を拡大し完全施行されている。
表 2に現在の施行状況を示す。
41
表 2 施行状況
平 成 7年 6月
平 成 7年 12月
平 成 8年 6月
平 成 9年 4月
平 成 12年 4月
平 成 16年 7月 ~
平 成 18年 1月
平 成 18年 6月
改 正 容 リ法 施 行 (3段 階 )
平 成 18年 12月
平 成 19年 4月
平 成 20年 4月
成 立 ・公 布
第 1段 階 施 行 (基 本 方 針 、再 商 品 化 計 画 、指 定 法 人 関 係 )
第 2段 階 施 行 (分 別 収 集 計 画 関 係 )
本 格 施 行 (再 商 品 化 事 業 開 始 )
対 象 品 目 :ガラスびん(無 色 、茶 色 、その他 色 )及 びペットボトル
リサイクル義 務 を負 う企 業 :大 企 業
完全施行
対 象 品 目 :上 記 に加 え紙 製 容 器 包 装 及 びプラスチック製 容 器
包装
リサイクル義 務 を負 う企 業 :上 記 に加 え中 小 企 業 (ただし、小 規
模 企 業 は対 象 から除 外 )
審 議 会 等 における見 直 し議 論
改 正 容 リ法 成 立 ・公 布
施行(定義の変更、排出の抑制等)
施行(指定容器包装利用事業者、容器包装多量事業者等)
施行(市町村への資金拠出金、PET区分の変更等)
(12)法施行前のスキームとの違い・既存システムとの共存状態
法施行前は、容器包装の分別収集、リサイクル方法は、各自治体の裁量に委ねられており、
市場価値のある有価物については、リサイクルされていたが、逆有償となるものについては、
焼却又は埋立処分されていた。図 4 法施行前の容器包装のリサイクルスキームに、法施行
前のスキームを示す。
有価物については、市町村が再資源化事業者に引き渡すルートがあり、これについては、現
在も多くのルートが維持されている。
集団回収
有価となるもの
消費者
再商品化事業者
リサイクル
自治体
逆有償となるもの
焼却
埋立
図 4 法施行前の容器包装のリサイクルスキーム
(13)法施行状況のモニタリング
容器包装リサイクル法上では、リサイクルに対する具体的な数値目標は設定されていない。
しかし、指定法人におけるモノ、情報、お金の流れについては、毎年経済産業省の産業構造
審議会、容器包装リサイクルWGにおいて決算報告と事業計画が公表、審議されており、その
都度、法制度の問題等についても議論されている。これは、法第25条において、指定法人は
毎事業年度、事業計画及び収支予算書、事業報告書及び収支決算書を主務大臣に報告す
る義務が規定されており、法第44条に、その報告を認可する際に、必要があると認めるときは、
42
関係事業者その他利害関係者の意見を聴くものとするという条文に対応するものである。
2.1.2 成果
容器包装リサイクル法は施行から10年後に見直しを行うことが法律に規定されていたため、
施行後10年に当たる平成17年(2005年)に合わせて、容器包装リサイクル法の見直しに係る
検討が行われた。同検討の結果、容器包装のリサイクルが着実に進展し、以下の成果が得ら
れた。
・ 循環型社会構築に寄与した
・ 市民のリサイクル意識が向上した
・ 事業者による容器の軽量化やリサイクルしやすい設計・素材選択が進展した
・ 最終処分量が年々減少し、一般廃棄物の最終処分場の残余年数が改善された(平成 7
年度 8.5 年 → 平成 15 年度 13.2 年)
2.1.3 課題
容 リ法 による一 定 の成 果 が得 られたと認 められた一 方 で、次 のような課 題 も指 摘 されてい
る。
(1)容器包装廃棄物の発生抑制・排出抑制等が不十分である
・ 3R のうち、リデュース・リユースの取り組みが不十分
・ 事業者の取り組みがバラついている
・ 市町村の取り組みにもバラツキがあり、消費者の取り組みも不十分
(2)市町村の分別収集コスト、事業者の再商品化コストが増大している
・ 社会的コストの抑制が必要である
・ とりわけプラスチック製容器包装が問題
・ 費用対効果をいかに高めるか
(3)市民の環境意識のより一層の向上に取り組むべきである
・ 環境意識は高まっているが、分別排出の徹底、排出抑制へのりなど市民一人ひとりの
具体的な行動につながっていない
(4)最終処分場制約への対応が引き続き必要である
・ 最終処分場の新規立地が困難な中で、残余容量は横ばいである
43
第2節 家電リサイクル法の概況
2.2.1 概要
(1)法の目的と方策
本 法 律 の目 的は、小 売 業 者、製 造 業 者 等 による家 電 製 品 等の廃 棄 物 の収 集、再 商 品化
等に関し、これを適正かつ円滑に実施するための措置を講じることにより、廃棄物の適正な処
理及び資源の有効な利用の確保を図ることで、生活環境の保全及び国民経済の健全な発展
に寄与することである。
(2)対象物・製品の範囲(除外品の範囲)
本法の対象物・製品である「特定家庭用機器」は、一般消費者が通常生活の用に供する電
気機械器具その他の機械器具であって、次の各号のいずれにも該当するものとして、政令で
定めるものをいう。
1 市町村等における廃棄物の処理に関する設備及び技術に照らし当該機械器具が廃棄
物となった場合におけるその再商品化等が困難であると認められるもの
2 当該機械器具が廃棄物となった場合におけるその再商品化等が資源の有効な利用を
図る上で特に必要なもののうち、当該再商品化等に係る経済性の面における制約が著
しくないと認められるもの
3 当該機械器具の設計又はその部品若しくは原材料の選択が、当該機械器具が廃棄物
となった場合におけるその再商品化等の実施に重要な影響を及ぼすと認められるもの
4 当該機械器具の小売販売(事業者への販売を含み、販売を業として行う者への販売を
除く。以下同じ。)を業として行う者がその小売販売した当該機械器具の相当数を配達
していることにより、当該機械器具が廃棄物となったものについて当該機械器具の小売
販売を業として行う者による円滑な収集を確保できると認められるもの
(法律第2章第4項)
エアコン、テレビ、冷蔵 庫、洗濯機 については、上記の4条件を満たすことから、これら4品
目を当 初の対 象 機 器として指 定し、平 成16年4月1日より冷 凍 庫についても冷 蔵 庫と同じ区
分で特定家庭用機器に加えられた。また、平成21年4月1日より、新たに液晶テレビ・プラズマ
テレビ(テレビと同じ区分)、衣類乾燥機(洗濯機と同じ区分)が対象機器に追加された。
業務 用として製造・販売されたものは本法の対象とはならないが、家庭 用として製造・販売さ
れたものを業務用で使用したものは本法の対象となる。
44
(3)関係主体とその役割・責任(義務規定/努力規定)
①製造業者及び輸入業者(製造業者等)
○引取り義務
製造業者等は、予め指定した引取場所において、自らが製造等した対象機器の廃棄
物の引取りを求められたときは、それを引き取る。
引取場所については、対象機器の廃棄物の再 商品化等が能率的に行 われ、小売業
者・市町村からの円滑な引渡しが確保されるよう適正に配置する。
○再商品化等実施義務
製造業者等は、引き取った対象機器の廃棄物について、少なくとも基準以上の再商品
化等を実施する。
また、製造業者等は、再商品化等の実施の際に、エアコンと冷蔵庫に含まれる冷媒用
フロン・代替フロンを回収して、再利用又は破壊を行う。
②小売業者
○引取り義務
小売業者は、次に掲げる場合において、対象機器の廃棄物を引き取る。
ア.自らが過去に小売販売をした対象機器の廃棄物の引取りを求められたとき
イ.対象機器の小売販売に際し、同種の対象機器の廃棄物の引取りを求められたとき
○引渡し義務
小売業者は、対象機器の廃棄物を引き取ったときは、中古品として再利用する場合を
除き、その対象機器の製造業者等(それが明らかでない時は指定法人)に引き渡す。
③消費者
消 費 者 は、対 象 機 器 の廃 棄 物 の再 商 品 化 等 が確 実 に実 施 されるよう小 売 業 者 等 に
適切に引き渡し、収集・再商品 化等 に関する料金の支払いに応ずる等 本法に定める措
置に協力する。
45
(4)もの・情報・お金の流れ
廃製品情報
家電リサ
イクル券
小売業者
家 電 リ サ イ ク ル 券 ( 引 取・引 渡 )
特定家庭用
機器廃棄物
リサイクル
プラント
特定家庭用
機器廃棄物
特定家庭用
機器廃棄物
ものの流れ
処理委託費
廃製品
指定引取
場所
情報の流れ
フロン類情報
消費者
家 電 リサイクル
券 の発 行
委託費
再商品化等料金
委託費用
廃製品情報
再商品化等料金
製品特性情報
家電リサイクル券センター
再商品化等実績
再商品化等料金
廃製品情報
希望者に対する
再商品化状況
の情報提供
お金の流れ
家電メーカー等
フロン類
フロン類
再生資源売却収入
再生資源
再生資源
利用業者
処理委託費
破砕残渣
(シュレッダーダスト等)
最終処分
業者
図 5 家電リサイクル法のもの・情報・お金の流れ
家電リサイクル法では、管理票(マニフェスト)制度を導入することで、製造業者等までの
対象機器の廃棄物の確実な運搬を確保するための措置を講じている。また、家電リサイク
ル券センターを設置し、費用請求システム管理を実施することで、もの・情報・お金を一元的
に管理している。
○費用請求
・ 製造業者等は、対象機器の廃棄物を引き取るときは、引取りを求めた者に対し、その
対象機器の廃棄物の再商品化等に関する料金を請求することができる。
・ 当該料金の額は、再商品化等を能率的に実施した場合の適正原価を上回るものであ
ってはならない。また、料金の設定に当たっては、排出者の対象機器の廃棄物の適正
な排出を妨げることのないよう配慮しなければならない。
・ 小売業者は、対象機器の廃棄物を引き取るときは、中古品として再利用する場合を除
き、排出者に対しその対象機器の廃棄物の収集及び製造業者等による再商品化等に
関する料金を請求することができる。
・ 事業 者による料金の公 表及び国による適 切な情報 提 供をおこなう。ならびに、不当な
請求をしている事業者に対する是正勧告・命令・罰則の措置を講ずる。
46
(5)家電リサイクル実績データ
平成20年度の家電リサイクル実績と経年実績データを以下に示す(出典は財団法人家電
製品協会『家電4品目のリサイクル実施状況』平成13~20年度) 1 。
1
(1) 冷蔵庫・冷凍庫のH13~15年度は冷蔵庫のみの値。
(2) 四捨五入の関係上、合計が一致しないことがある。
47
出典:財団法人家電製品協会資料
48
○使用済み家電4品目のフロー推計結果(平成17年度)
(6)法が目標とするリサイクル率等の定義
「再商品化等」とは、「再商品化(マテリアルリサイクル)」と「熱回収(サーマルリサイクル)」
の両方を指し、その定義は以下の通りである。
○「再商品化」の定義
・ 機械 器具が廃棄 物となったものから部品及び材料を分離 し、自らこれを製品の部品
又は原材料として利用する行為
・ 機械器具が廃棄物となったものから部品及び材料を分離し、これを製品の部品又は
原材料として利用する者に有償又は無償で譲渡し得る状態にする行為
○「熱回収」の定義
・ 機械 器 具が廃棄 物となったものから分離した部品 及び材 料のうち再 商品 化されたも
の以外のものであって、燃焼の用に供することができるもの又はその可能性のあるも
のを得ることに自ら利用する行為
・ 機械 器 具が廃棄 物となったものから分離した部品 及び材 料のうち再 商品 化されたも
の以外のものであって、燃焼の用に供することができるもの又はその可能性のあるも
のを得ることに利用する者に有償又は無償で譲渡し得る状態にする行為
ただし、政令(特定家電用機器再商品化法施行令:平成10年11月27日政令第378号)で
49
は、「再 商 品 化 (マテリアルリサイクル)」の基 準 値 を 表 3 のように示 し、これを「再 商 品 化
等」の基準値とした。「熱回収(サーマルリサイクル)」については現時点では基準値が存在
しない。
表 3 製造業者及び輸入業者(製造業者等)の再商品化等実施義務
再商品化率(重量比)
再商品化率(重量比)
(現行)
(平成21年4月1日施行)
エアコン
60 %以上
70 %以上
ブラウン管式テレビ
55 %以上
55 %以上
液晶式・プラズマ式テレビ
-
50 %以上
冷蔵庫・冷凍庫
50 %以上
60 %以上
洗濯機
50 %以上
65 %以上
対象品目
再商品化等された部品・材料の総重量
再商品化等の基
準
=
×100
再商品化等をした使用済み家電の総重量
また、実際の再商品化率の算定にあたっては、有償もしくは無償で取引された再資源化物
の重量比を用いている。
(7)再商品化等料金(家電リサイクル料金)
表 4 ある製造業者の再商品化等料金(家電リサイクル料金)(税込)
特定家庭用機器
再商品化料金
エアコン
2,625円
テレビ
ブラウン管式
液晶・プラズマ式
冷蔵庫・冷凍庫
小(15型以下)
1,785円
大(16型以上)
2,835円
小(15型以下)
1,785円
大(16型以上)
2,835円
小(170L以下)
3,780円
大(171L以上)
4,830円
洗濯機・衣類乾燥機
2,520円
※ 平成21年4月現在
50
表 5 製造業者等の再商品化等費用の内訳(平成19年度実績)(上位5社+その他)
出典:産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルワーキンググ
ループ中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会家電リサイクル制度評価検討小委員会合同会
合(第17回)-配付資料
(8)輸出やリユースの位置づけ
本 法においては、家 電 製 品の輸 出 やリユースに関する記 述は見られない。リユース(再 度
使用)の場合は、小売業者は家電リサイクル法に基づく収集運搬料金、製造業者等の再商品
化等料金のいずれも請求することはできない(→関係条文:法第11条、第12条)。
なお、平成20年2月19日、「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討について」中央環
境審議会から環境大臣に意見具申され、この中で小売業者による特定家庭用機器のリユー
ス流通は望ましいことであるものの、リユース流通の適正性や省エネ家電普及等による地球
温暖化対策等の観点を踏まえた、小売業者のリユース・リサイクルの仕分けガイドラインの策
定について検討が必要と記述された。これを踏まえ、「中央環境審議会廃棄物・リサイクル部
会特定家庭用機器のリユースとリサイクルのための適正引取・引渡に関する専門委員会及び
産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルワーキング
グループ家電リサイクル制度に関するリユース等適正排出促進手法検討会合同会合」におい
て審議が行われ、平成20年9月に「小売業者による特定家庭用機器のリユース・リサイクル仕
分け基準作成のためのガイドラインに関する報告書」が取りまとめられた。本報告書に基づき、
各小売業者にて取り組みが進められる見込みである。
(9)サーマルの位置づけ
(6)で述べたように、「再商品化等」に「熱回収(サーマルリサイクル)」を含めているが、「熱
回収(サーマル)」について義務として行う量は定められていない。
51
(10)有害物質管理
法第18条、施行令第3条において、一体的実施事項として、電気冷蔵庫やエアコンに使用
されている冷媒用フロンガス、ハイドロフルオロカーボンを回収し、再利用するか破壊すること
が義務付けられている。本法では、エアコンや冷蔵庫の冷媒として使用されているフロン類の
回収と、回収したフロン類の再利用・破壊を義務づけている。
2002年10月に「フロン回収破壊法」が完全施行されたことを踏まえて、電気冷蔵庫と電気冷
凍庫の断熱材に含まれるフロン類の回収・破壊を義務付けることが追加され、2004年4月より
施行された。
(11)リサイクル製品の販売
家電リサイクル法では、再商品化と認める基準として再資源化物が「有償もしくは無償で譲
渡し得る状態にすること」を義務づけるのみで、実際の売却・譲渡までは義務づけていない。
(12)関連法制度との関連
フロン類の回収・破 壊 の対象 物質 は、オゾン保護 法と地 球温 暖 化防 止法の対象 物質でも
ある。
また、資源有効利用促進法との関連では、特定家庭用機器は「指定再利用製品」及び「指
定省資源化促進製品」に指定されている。
(13)スケジュール(施行年月日/改正予定年)
家電リサイクル法は、平成10年12月1日に部分施行され、本格施行(製造業者等及び小売
業者への義務付け)については準備期間を置き、平成13年4月1日とした。
また、本法律の本格施行後5年経過後、制度全般について再検討することを規定しており、
この規定に基づき、平成18年6月より、産業構造審議会・中央環境審議会の合同会合におい
て見直し検討作業が行われた。その結果、昨年2月に「家電リサイクル制度の施行状況の評
価・検討に関する報告書」が取りまとめられ、家電リサイクルの評価・見直しの方向性等につ
いて提言が行われ、その後同会合の下に設けられた検討会合の報告書(平成20年9月)にお
いて具体的な提言がなされた。これら報告書の提言を踏まえ、以下を内容とする政令等の改
正が検討されることとなり、平成21年4月1日に政令等の改正が行われた。
①対象機器の追加(液晶・プラズマテレビ、衣類乾燥機)
②再商品化等基準(リサイクル基準)の見直し
③洗濯乾燥機からのフロン類の回収・破壊の義務付け
④小売業者・製造業者等に対する報告徴収の実施 等
(14)法施行前のスキームとの違い・既存システムとの共存状態
法施行前の家電製品の取扱いは「家庭系一般廃棄物」であり、市町村が一般廃棄物の処
理に関する計画に基づいて収集・運搬・処理されていた。ただし、販売店等が引き取ったもの
については受入を拒否した市町村もあり、産業廃棄物処理業者へ処理委託されたものも多い
と見られている。
処理に関しては、構成 素材が複雑 多岐にわたる家電製品 についてはそのままあるいは破
52
砕等で減容した後、埋め立てすることが、経済的にメリットがあった。
約20%
約20%
市町村
約24万トン
約40%
直接埋立
消費者
約60万トン
約80%
小売店等
約48万トン
約60%
破砕処理後に廃棄
処理業者
約36万トン
金属分回収
約60%
図 6 従来のシステムの流れ(平成11年当時)
現在でも、法律が定める家電4品目以外の家電製品については一般廃棄物として市町村
が引取・処理の義務を負っているほか、購入先が特定できない家電4品目についても市町村
が引き取ることになっている。
(15)法施行状況のモニタリング
法施行状況の公表については努力項目とされている。再商品化等の実施状況については、
家電リサイクル券センターにおいてモニタリングし、ウェブサイト上で公開している。
2.2.2 成果
家電リサイクル法は施行から5年後に見直しを行うことが法律に規定されていたため、施行
後5年に当たる平成18年(2006年)に合わせて、家電リサイクル法の見直しに係る検討が行
われた。同検討の結果、家電製品のリサイクルが着実に進展し、以下の成果が得られた。
・ 排出家電回収の進展
・ 排出家電のメーカーによる再商品化の進展
・ 一般廃棄物最終処分場の残余年数の長期化
・ 家電の使用期間の長期化と国民の意識の向上
・ 環境配慮設計の進展
・ 家電リサイクル法による社会的便益の発生
53
第3節 資源有効利用促進法の概況
2.3.1 概要
(1)法の目的と方策
資源の有効な利用の促進に関する法律(以下、「資源有効利用促進法」という。)は、平成3
年 に制 定 された再 生 資 源 の利 用 の促 進 に関 する法 律 (以 下 、「再 生 資 源 利 用 促 進 法 」とい
う。)を一部改正した法律である。再生資源利用促進法改正の目的は、①事業者による製品
の回収・リサイクルの実施などリサイクル対策を強化するとともに、②製品の省資源化・長 寿
命化等による廃棄物の発生抑制(リデュース)対策や、③回収した製品からの部品等の再使
用 (リユース)対 策 を新 たに講 じることにより、循 環 型 経 済 システムの構 築 を目 指 すことにあ
る。
(2)対象物・製品の範囲(除外品の範囲)
下表のとおり、10業種・69品目について、省令(判断基準)により事業者に対して3Rの取り
組みを求めている。
表 6 資源有効利用促進法の指定製品・特定業種
対策
名称
指定製品及び業種
リ デ ュ ー ス 配 慮 設 指 定 省 資 源 化 製 品 (資 源 消 費 の削 減 や長 自 動 車 、家 電 、大 型 家 具 、石 油 ・ガス機 器 、パ
計
寿 命 化 などに配 慮 した設 計 ・製 造 を求 める ソコン、パチンコ台等
製品)
リ ユ ー ス 部 品 使 特 定 再 利 用 業 種 (再 生 資 源 ・再 生 部 品 の 紙 製 造 業 、ガラス容 器 製 造 業 、建 設 業 、複 写
用 、 リ サ イ ク ル 材 利用を求める業種)
機製造業等
料使用
リ ユ ー ス 配 慮 設 指定再 利用 促 進製品(リユース・リサイクル パソコン、複写機、自動車、パチンコ台等
計 、 リ サ イ ク ル 配 に配慮した設計・製造を求める製品)
慮設計
事 業 者 の 回 収 リ 指 定 再 資 源 化 製 品 (使 用 済 み製 品 の自 主 パソコン、二次電池
サイクル
回収・再資源化を求める製品)
副 産 物 のリデュー 特 定 省 資 源 業 種 (工 場 での副 産 物 の発 生 鉄 鋼 業 、 紙 ・ パルプ製 造 業 、 化 学 工 業 、 非 鉄
ス・リサイクル
抑制・リサイクルを求める業種)
金属製造業等
副 産 物 リ サ イ ク ル 指定 副産 物(再生 資源としての利用を促 進 電 気 業 :石 炭 灰 、建 設 業 :土 砂 、コンクリート、
促進
する副産物)
アスファルト・コンクリートの塊、木材
分別回収の表示
指 定 表 示 製 品 (分 別 回 収 のための表 示 を ス チ ー ル 缶 、 ア ル ミ 缶 、 P E T ボ ト ル 、 二 次 電
求める製品)
池、紙製容器包装、プラスチック製容器包装
(出所)産業構造審議会平成13年度1月26日資料を基に作成
54
2.3.2 パソコン(指定再資源化製品に関する部分)
(1)法の目的と方策
再生資源の利用促進が必要な製品であって、事業者が自ら回収し、再資源化することが可
能な製品については、事業者の独自の自立的な取り組みを促進することが望ましい。そこで、
資源有効利用促進法では、そのような製品を、指定再資源化製品として指定し、事業者に自
主回収及び再資源化の判断基準を示している。
(2)対象物・製品の範囲(除外品の範囲)
事業系、家庭系いずれのパソコンも対象である。事業系パソコンについては、平成13年4月1
日に指定され、家庭系パソコンは、平成14年5月に追加指定された。パソコンが指定再資源化
製品に指定されたのは、以下の要件に合致しているとの判断からである。
1)技術的・経済的な観点
a)その再資源化を行う技術が存在し、これを利用することが可能なこと
b)事業者により自主回収・再資源化の費用を一定程度賄えることなど自主回収・再
資源化の体制の整備が経済的に可能な製品であること
2)政策的な必要性があること
a)事業 者による自 主 的 な回収・再 資源 化の取 り組みだけでは十分な効果が上がら
ない製品であること
b)高度な再資源化が必要であるため、市町村による再資源化が困難な製品である
こと
(3)関係主体とその役割・責任(義務規定/努力規定)
①事業者(製造事業者、輸入販売業者)
事業者は、回収拠点(=指定回収場所)を設け、事業所あるいは家庭から排出された使
用済みパソコンを引取るとともに、引取った製品について、適切な方法で再資源化を行わな
ければならない。
なお、事業者による自主回収・再資源化の促進が、判断の基準に照らして著しく不十分
であると認められる場合、主務大臣は事業者に対して、勧告、公表、命令を行うことができ
る。
②消費者
法全体における消費者の責務として、製品をなるべく長期間使用し、再生資源及び再生
部品の利用を促進するよう努めるとともに、国、地方公共団体、事業者に協力することが規
定されている(法第5条)。
55
(4)もの・情報・お金の流れ
①事業系パソコン
事 業 系 パソコンの回 収 ・リサイクルシステムの概 略 を 図 7 事 業 系 パソコンリサイクルのも
の・情報・お金の流れに示す。
事業 系ユーザーが自 社 で不要になったパソコンの回収をメーカーに依 頼する場 合 、回収 再
資源化料金の支払いが必要となる(廃棄時徴収)。メーカーでは、回収の要請を受けて、収集
運搬業者(メーカー自主回収システムの構成員)に当該ユーザーからの回収を指示し、指定回
収場所まで輸送させる。なお、事業系ユーザーでは、メーカーが指定する指定回収場所まで持
ち込むことも可能である。
指定回収場所から再資源化施設へ運搬されたパソコンは、手分解され、金属部品(筐体)、
プラスチック部品(筐体、その他)、プリント板、ユニット部品(HDDなど)、ブラウン管、液晶ユニ
ット等に分類 される。この段階でユニット部品等として再利用 ができるものは取り出され、必要
な検査、機能アップを行い、保守部品等として再利用される。その他のものは、解体、破砕、選
別などの処理を受け、鉄・アルミ・銅等の素材、貴金属、再生プラスチック、ガラスカレット、道路
の路盤材等として利用される。
メーカー
回収再資源化料金
回収依頼
廃製品情報
お金の流れ
再資源化実績
回収指示
指定回収場所
収集運搬業者
事業系ユーザー
情報の流れ
モノの流れ
再資源化委託費用
回収委託費用
資源購入額
再生資源
再資源化施設
使用済み
使用済み
パソコン
パソコン
再生資源
利用業者
処分料金
破砕残渣
最終処分
業者
図 7 事業系パソコンリサイクルのもの・情報・お金の流れ
②家庭系パソコン
消費者(一般ユーザー)がメーカーに使用済み製品の回収を依頼すると、PCリサイクルマー
クが貼 付されていない製 品については、郵 便 振 替 又は各 社 指 定の方 法(銀 行 振 込 等)による
回収 再資 源 化料 金の支 払いが指示 され、消費 者による支 払いが確認 された後、エコゆうパッ
ク伝票が消費者に送付される。一方、PCリサイクルマークが貼付されている製品については、
回収再資源化料金が製品購入時に既に支払われているため、回収依頼すると、すぐにエコゆ
うパック伝票が送付されてくる。消費者では、使用済み製品を梱包した後、エコゆうパック伝票
を貼付し、戸口集荷、又は郵便局への持ち込みにより、回収ルートに乗せる。
郵便局では、集荷した製品を保管場所(メーカーの委託を受けた物流業者が運営するストッ
クヤード)まで輸 送 する。保 管 場 所 では、メーカーの委 託 を受 けた物 流 業 者 がメーカー別 に製
56
品を仕 分 けした後、各メーカーが指 定する再 資 源 化 施 設まで輸 送 する。再 資 源 化 施 設では、
手分解によって、金属部品(筐体)、プラスチック部品(筐体、その他)、プリント板、ユニット部品
(HDDなど)、ブラウン管、液晶ユニット等に分類される。この段階でユニット部品等として再利
用ができるものは取り出され、必要な検査、機能アップを行い、保守部品等として再利用される。
その他のものは、解体、破砕、選別などの処理を受け、鉄・アルミ・銅等の素材、貴金属、再生
プラスチック、ガラスカレット、道路の路盤材等として利用される。
なお、メーカー等 義 務 者 不 存 在 パソコンについては、一 般 社 団 法 人 パソコン3R推 進 協 会
(平成 21 年 3 月有限責任中間法人パソコン3R推進センターから名称変更)に回収を依頼する
ことができる。
メーカー
回収再資源化料金※
回収依頼
伝票
排出者
情報
お金の流れ
廃製品情
情報の流れ
モノの流れ
仕分け
委託費用
コールセンター
再資源化
委託費用
廃製品情
資源購入額
回収委託費用
消費者
郵便局
(指定回収
場所)
再生資源
再資源化施設
保管場所
再生資源
利用業者
処分料金
破砕残渣
※PCリサイクルマークが貼付されている製品は不要
最終処分
業者
図 8 家庭系パソコンリサイクルのもの・情報・お金の流れ
<あるメーカーの回収再資源化料金の例>
・ デスクトップパソコン本体
3,150 円
・ ノートブックパソコン
3,150 円
・ 液晶ディスプレイ
3,150 円
・ CRT ディスプレイ
4,200 円
・ 液晶ディスプレイ一体型パソコン
3,150 円
・ CRT ディスプレイ一体型パソコン
4,200 円
(5)法が目標とするリサイクル率等の定義
パソコンリサイクルの目標は、再資源化を行ったパソコンの総重量と、再資源化により得られ
た部品、再生資源(ケミカルリサイクルを除く)の総重量との比率で表される以下の指標が平
成15年度の達成目標として設定されている(パーソナルコンピュータの製造等の事業を行う者
の使用済パーソナルコンピュータの自主回収及び再資源化に関する判断の基準となるべき事
項を定める省令 第二条)。なお、再資源化とは、再生部品及び再生資源として利用すること
57
をいう。
メーカー各社は自社の達成指標をホームページなどで公表しており、ほぼ各社とも目標値を
達成している。
表 7 パソコンリサイクルの目標(平成15年度)
品目
再資源化率
デスクトップパソコン
50%
ノートブックパソコン
20%
ブラウン管式ディスプレイ
55%
液晶式ディスプレイ
55%
(6)輸出やリユースの位置づけ
輸出についての規定はない。メーカーが回収した使用済パソコンをパソコンとして利用でき
る状態にすること(製品リユース)が認められている(パーソナルコンピュータの製造等の事業
を行う者の使用済パーソナルコンピュータの自主回収及び再資源化に関する判断の基準とな
るべき事項を定める省令 第三条2)。
(7)サーマルの位置づけ
以下の3つの条件において努めることが求められている(パーソナルコンピュータの製造等
の事業を行 う者の使 用 済パーソナルコンピュータの自 主 回 収及び再 資 源化に関 する判 断の
基準となるべき事項を定める省令 第三条1)。
①再生部品として利用できる状態にすること
②マテリアルリサイクル
③ケミカルリサイクル
いずれもできないものであって、サーマルをすることができるもの
(8)有害物質管理
事業者が使用済パソコンの回収・再資源化を行う際は、原材料の毒性その他の特性に配
慮 することにより、自 主 回 収 及 び再 資 源 化 に係 る安 全 性 を確 保 することが求 められている。
(パーソナルコンピュータの製造等の事業を行う者の使用済パーソナルコンピュータの自主回
収及び再資源化に関する判断の基準となるべき事項を定める省令 第五条2)。
(9)リサイクル製品の販売
事業者は使用済パソコンの再資源化を委託する場合、受託業者に再資源化の実施状況に
関する報告を求めることが規定されている(パーソナルコンピュータの製造等の事業を行う者
の使用済パーソナルコンピュータの自主回収及び再資源化に関する判断の基準となるべき事
項を定める省令 第三条3)。
58
(10)関連法制度との関連
認定再資源 化事業者による指定再 資源化製品 の自主回収 及び再資源化に当たって、円
滑な実施を図るため、環境大臣が廃棄物処理法の規定の適用において適切な配慮をする旨
を定めている(資源有効利用促進法第31条)。
具体的には、一定の条件を満たす廃棄物の再生利用を行う者について、廃棄物処理業の
許可を不要とする「広域再生利用指定制度」にパソコンが適用されている。一般廃棄物である
パソコンについては、市 町村 長の許 可が、産業 廃棄 物であるパソコンについては、都 道府 県
知事の許可が不要となる。
(11)スケジュール(施行年月日/改正予定年)
平成13年4月1日に再生資源利用促進法が改正され、資源有効利用促進法が施行された。
そのとき、事業系パソコンが指定再資源化製品に指定され、メーカー等に対して回収・再資源
化が義務づけられた。その後、家庭系パソコンが指定再資源化製品に追加され、平成15年10
月にメーカー等に家庭系パソコンの回収・再資源化が義務づけられた。
(12)法施行前のスキームとの違い・既存システムとの共存状態
①事業系パソコン
法律施行前、事業系パソコンは、一部の大手メーカーによって引取が行われていたほか、
リース・レンタル会社、販売店、廃棄物処 理業 者によって引き取られていた。リース・レンタ
ル会社や販売店へ引き渡されたパソコンは、廃棄物処理業者によって処理されるほか、中
古品取扱業者を介して国内外の中古市場へ流れている。
法律施行により排出者にメーカーによる回収・リサイクル制度を利用する義務が発生した
訳ではなく、法律施行後も、既存のルートは存在している。
メーカー系
列 廃 棄 物
処 理 業 者
メーカー
事業系
ユーザー
リース会社
レンタル会
廃棄物
処理業者
中古品
取扱業者
国内販売
小売店
海 外 輸 出
図 9 事業系使用済みパソコンのフロー
59
②家庭系パソコン
法 施 行 前、廃 棄される家 庭 系 パソコンは主 に自 治 体 によって受 入・回 収されていた。自
治体における対応は各自治体の裁量に委ねられており、粗大ごみや不燃ごみとして収集さ
れた後、多くは埋立処分され、一部金属等の素材回収が行われていた。
法施行後の対応は自治体により対応が異なっているが、メーカーによる自主回収・リサイ
クルルートへの排出を促進するために、すべてのパソコンあるいはメーカー等(義務者)不存
在パソコンの収集を取りやめた自治体も多い。また、法律により、メーカーは、自治体からパ
ーソナルコンピュータの引き取りを求められた場合、これを引き取ることを求められている。
さらにメーカーは、自治体からの引き取りに必要な条件を事前に公表する必要があり(手段
は限定しない。)、公表した条件に沿って、パソコンを回収する必要がある。
メーカー等による自主回収、自治体による受入・回収以外の使用済パソコンの排出ルー
トとしては、中古 品販 売 業者による買い取り、新品 販売 業 者による下 取り、不用 品回 収業
者による引 取といったルートがある。これらのルートに乗 ったパソコンは、廃 棄物 処 理業者
によって処理される、あるいは中古品取扱業者によって国内や海外で中古品・中古部品と
して販売される。
メーカー系
列 廃 棄 物
処 理 業 者
メーカー
自治体
新品小売店
消費者
廃棄物
処理業者
中古品
取扱業者
国内販売
中古品小売
店
不 用 品
回 収 業 者
海 外 輸 出
図 10 家庭系使用済みパソコンのフロー
(13)法施行状況のモニタリング
メーカー等は、単独に又は共同して実施した使用済パーソナルコンピュータの再資源化の
実施の状況を公表することが求められており(パーソナルコンピュータの製造等の事業を行う
者の使用済パーソナルコンピュータの自主回収及び再資源化に関する判断の基準となるべき
事項を定める省令 第一条5)、 自主回収及び再資源化の実施状況については、各事業者及び
60
関係団体より、ホームページ等を通じて公表されている。
表 8 家庭から廃棄された使用済みパソコンの回収及び再資源化実績(平成20年度)
回収重量
(t)
デスクトップ型パソコン本体
ノートブック型パソコン
CRTディスプレイ装置
液晶ディスプレイ装置
合計
回収台数
(台)
1,413.6
270.3
1,609.7
486.9
3,780.5
127,176
75,074
93,383
62,512
358,145
再資源化
処理量
(t)
1,268.9
211.8
1,609.5
366.5
3,456.7
資源
再利用量
(t)
919.2
102.9
1,162.4
255.7
2,440.2
資源
再利用率
(%)
72.4
48.6
72.2
69.8
-
表 9 法人から廃棄された使用済みパソコンの回収及び再資源化実績(平成20年度)
回収重量
(t)
回収台数
(台)
デスクトップ型パソコン本体
1,889.7
188,112
ノートブック型パソコン
414.1
133,967
CRTディスプレイ装置
1283.0
83,312
液晶ディスプレイ装置
667.1
108,475
合計
4,253.9
513,866
(出所)一般社団法人パソコン3R推進協会資料
61
再資源化
処理量
(t)
1385.3
267.0
1,215.4
432.3
3,300.0
資源
再利用量
(t)
1,143.3
161.2
939.6
318.9
2,563.0
資源
再利用率
(%)
82.5
60.4
77.3
73.8
-
2.3.3 二次電池(指定再資源化製品に関する部分)
(1)法の目的と方策
再生資源の利用促進が必要な製品であって、事業者が自ら回収し、再資源化することが可
能な製品については、事業者の独自の自立的な取り組みを促進することが望ましい。そこで、
資源有効利用促進法では、そのような製品を、指定再資源化製品として指定し、事業者に自
主回収及び再資源化の判断基準を示している。
(2)対象物・製品の範囲(除外品の範囲)
対象は、密閉形蓄電池(密閉形鉛蓄電池、密閉形アルカリ蓄電池又はリチウム蓄電池)で
ある。密閉形蓄電池が指定されたのは、以下の要件に合致しているとの判断からである。
1) 技術的・経済的な観点
a)その再資源化を行う技術が存在し、これを利用することが可能なこと
b)事業者により自主回収・再資源化の費用を一定程度賄えることなど自主回収・再
資源化の体制の整備が経済的に可能な製品であること
2) 政策的な必要性があること
a)事業 者による自 主 的 な回収・再 資源 化の取 り組みだけでは十分な効果が上がら
ない製品であること
b)高度な再資源化が必要であるため、市町村による再資源化が困難な製品である
こと
一 方 、指 定 再 資 源 化 事 業 者 (回 収 ・リサイクルが義 務 づけられる事 業 者 )の条 件 は、その事 業 年 度 における密 閉 形 蓄 電
池 の生 産 量 又 は自 ら輸 入した密 閉 形 蓄 電 池 の販 売 量 が二 百 万 個 以 上 であることである。
(3)関係主体とその役割・責任(義務規定/努力規定)
①電池製造等事業者
・二次電池に対する識別表示義務
小形二次電池メーカーには、二次電池に対する識別表示が義務付けられた。
・自主回収・リサイクル義務
資源有効利用促進法により平成13年4月から、小形二次電池メーカー(小形二次電池
のメーカーや海外からの輸入、販売業者、以下同じ)と小形二次電池を使用する機器メ
ーカー(小形二次電池使用機器のメーカーや海外からの輸入、販売業者、以下同じ)に、
自主回収及びリサイクル(再資源化)が義務づけられた(機器メーカーに対しては自主回
収のみ義務付け)。
有限責任中間法人JBRCに加盟した企業は、JBRCに会費を納め、その会費でJBR
Cが無償回収、無償処理を行う仕組みが構築されている。
・普及啓発、情報提供義務
小形二次電池メーカーに対して、単独に又は共同して実施した使用済密閉形蓄電池
の自 主 回 収 の実 施 の状 況 を毎 年 度 公 表 することが義 務 付 けられている。また、電 池 製
62
造等事業者が、単独に又は共同して実施した使用済密閉形蓄電池の再資源化の実施
の状況を毎年度公表することが義務付けられている。
表 10 義務者及び義務の内容
義務者
義務の内容
小形二次電池メーカー
二次電池への表示
指定表示製品
機 器の二 次 電 池取り外 し
容易設計など
指定再利用促進
○
普及啓発、情報提供
引取りに係る市町村との連
○
製品
二次電池の回収
二次電池のリサイクル
小形二次電池を使用
する機器メーカー
○
指定再資源化製
品
○
○
○
○
○
携
出所:東京二十三区清掃協議会「電池のリサイクル」平成14年3月
②使用製品製造等事業者
・機器の二次電池取り外し容易設計義務
小形二次電池を使用する機器 メーカーには、二次電池の取り外しが容易な構造を採 用
するように定められた。
・自主回収・リサイクル義務
小形二次電池を使用する機器メーカーには、自主回収を義務付けている。
有限責任中間法人JBRCに加盟した企業は、JBRCに会費を納め、その会費でJBR
Cが無償回収、無償処理を行う仕組みが構築されている。
・普及啓発、情報提供義務
小形二次電池を使用する機器メーカーには、単独に又は共同して実施した使用済密閉
形蓄電池の自主回収の実施の状況を毎年度公表することを義務付けている。
③リサイクル協力店・リサイクル協力事業者
・二次電池の収集協力(努力規定)
販 売店にリサイクル義 務はないが、リサイクル協 力店として、消 費者 からの二次 電 池
の収集に協力することが期待されている。リサイクル協力店は、一般家庭や、販売に伴う
引取りにより二次電池を集め、一定量たまるとJBRCに連絡する役割を担っている。
同様の仕組みとして、リサイクル協力事業者制度がある。JBRCに回収拠点として登
録を行えば、JBRCが無償で回収する仕組みで、二次電池の取替工事や販売事業者、
大量使用者などの登録が期待されている。
63
④消費者
法全体における消費者の責務として、製品をなるべく長期間使用し、再生資源及び再生
部品の利用を促進するよう努めるとともに、国、地方公共団体、事業者に協力することが規
定されている(法第5条)。
(4)もの・情報・お金の流れ
二次電池のメーカー及び使用製品メーカーは、有限責任中間法人JBRCに加盟し、加盟料金
を支払う。この加盟料金を元に、JBRCは、リサイクル協力店、リサイクル協力事業者の回収ボッ
クス、回収拠点から、二次電池を無償で回収する。
実際に回収するのは、JBRCが委託する収集運搬業者で、収集運搬業者は、再資源化業
者に二次電池を持ち込む。再資源化業者は、JBRCから再資源化料金を受けとり、資源回収
及び、破砕残渣の適正排出を行う。
電池製造等事業者・使用製品製造等事業者
実績報告
お金の流れ
情報の流れ
加盟料金
モノの流れ
有限責任中間法人JBRC
消費者
使用済
み二次
電池
回収ボック
ス/回収拠
点( リ サ イ ク
ル協力事業
者含む)
集荷指示
収集運
搬委託
収集運搬業者
使用済
み二次
電池
再商品化
実績報告
集荷依頼
再資源化
委託費用
再資源化業者
使用済
み二次
電池
製品購入額
資源回収
再生資源
利用業者
処分料金
最終処分
業者
図 11 二次電池リサイクルのもの・情報・お金の流れ
64
(5)法が目標とするリサイクル率等の定義
「密閉形蓄電池の製造等の事業を行う者及び密閉形蓄電池使用製品の製造等の事業を
行う者の使 用 済 密閉 形 蓄 電 池の自 主 回 収及び再 資 源化に関する判 断 の基 準となるべき事
項を定める省令」によって、小形二次電池の再資源化率目標が以下のように定められている。
なお、再資源化とは再生資源として利用することをいう。
表 11 二次電池の再資源化率目標
小形シール鉛電池
50%
ニカド電池
60%
ニッケル水素電池
55%
リチウム二次電池
30%
また、産業構造審議会「品目別廃棄物処理・リサイクルガイドライン」により、平成17年度の
回収率目標が以下のように定められている。
表 12 二次電池の回収率目標
ニカド電池の回収率目標
45%
小形シール鉛蓄電池の回収率目標
75%
(6)輸出やリユースの位置づけ
輸出やリユースについての規定はない。
(7)サーマルの位置づけ
小形二次電 池の再資源化とは、鉄や鉛、ニッケル、コバルト、カドミウム、その他の再生資
源として利用できる状態にすることであって、小形二次電池の再資源化には、サーマルを含め
ない。
(8)有害物質管理
使用済密閉形蓄電池の自主回収及び再資源化の際に、原材料の毒性その他の特性に配 慮
することにより、自主回収及び再資源化に係る安全性を確保するものとするとの規定がある(「密
閉 形 蓄 電 池 の製 造 等の事 業 を行う者 及 び密 閉 形 蓄 電 池 使 用 製 品 の製 造 等 の事 業 を行う者 の
使用済密閉形蓄電池の自主回収及び再資源化に関する判断の基準となるべき事項を定める省
令」第六条)。
また、法律上の目的として明記されていないが、小形二次電池を資源有効利用促進法上の対
象とする際に、小形二次電池の回収、リサイクルが、カドミウムや鉛などの有害物質の拡散防止
にも資することが考慮されていた(経済産業省二次電池リサイクルシステム検討会 環境省パソ
コン等リサイクル検討会 合同検討会「小形二次電池の回収・リサイクル推進のための方策につ
いて」)。
65
(9)リサイクル製品の販売
資源有効利用促進法上、小形二次電池に関して、リサイクル製品の販売に関する規定は
ない。
(10)関連法制度との関連
廃棄物処理法において、密閉形蓄電池(密閉形鉛蓄電池、密閉形アルカリ蓄電池又はリチウ
ム蓄電池)の収集運搬・処分については、一般廃棄物収集運搬業・処分業の許可を要しないこと
が規定されている (第 2 条の 3)。
また、使用済み鉛蓄電池は、バーゼル条約上の対象品目として定められており、輸出入に際し
ては、バーゼル法(特 定有害 廃棄 物等の輸出 入等の規制 に関する法律 )に係る事前承 認が必
要になる。
(11)スケジュール(施行年月日/改正予定年)
小形二次電池は、経済産業省二次電池リサイクルシステム検討会及び環境省パソコン等リサ
イクル検討会の合同検討会の検討結果(平成13年1月)を踏まえ、平成 13 年 4 月 1 日に、資源
有効利用促進法に基づく指定再資源化製品に指定された。
66
(12)法施行前のスキームとの違い・既存システムとの共存状態
資源有効利用促進法に位置づけられる前は、機器の下取りや保守・点検、修理の際に機器メ
ーカー(又はその委託を受けた者)を中心に回収 されるルートと、電池メーカーが中心となって電
気店の店頭等で回収されるルートがあった。
出所:経済産業省、環境省「小形二次電池の回収・リサイクル推進のための方策について」2001年1月
図 12 1999年度におけるニカド電池の回収ルートの例
67
図 12 は、ニカド電池の回収ルートを例として示したが、経済 産業省および環境省「小形二次電
池の回収・リサイクル推進のための方策について」によれば、他のニッケル水素電池、リチウムイ
オン二次電池についても、概ねニカド電池と同様の回収状況にあったとのことである。
(社)電池工業会では、ニカド電池など小形二次電池の回収・リサイクルへの対応を図るため、
電池の販売店などと協力して回収・リサイクルの体制を構築していた。電池使用機器の販売店な
どは、使用済みの小形二次電池の回収窓口として回収ボックスを活用した収集を行っていた(消
費者からは無償で回収されている。)。また、防災機器、携帯電話、電動工具など一部の機器に
ついては、機器メーカー等により回収が行われていた。こうして収集された小形二次電池は、宅配
便等によりリサイクラー(非鉄金属業者など)まで送付されていた。
こうした一部 の電池メーカー(電池 工 業会)及び機器メーカーによる従来の回収・リサイクルに
対して、資源有効利用促進法による新たな小形二次電池の回収・リサイクルスキームでは、もの
の流れ自体は従来と同じであるものの、回収の費用までJBRCが負担する点、電池メーカーだけ
でなく、機器メーカーに対しても小形二次電池の回収に係る役割分担を求めている点が異なって
いる。
(13)法施行状況の モニタリング
「密閉形蓄電池の製造等の事業を行う者及び密閉形蓄電池使用製品の製造等の事業を行う
者の使用済密閉形蓄電池の自主回収及び再資源化に関する判断の基準となるべき事項を定め
る省令」により、電池製造等事業者等が、単独に又は共同して実施した使用済密閉形蓄電池の
自主回収の実施の状況を毎年度公表することが義務付けられており、また、電池製造等事業者
が、単独に又は共同して実施した使用済密閉形蓄電池の再資源化の実施の状況を毎年度公表
することが義務付けられている。
図 13 回収量実績
68
表 13 再資源化実績
(出所)一般社団法人JBRCホームページより
2.3.4 成果
資源有効利用促進法(指定再資源化製品関連)の成果としては、平成20年1月に経済産業
省の評価検討のためのWGにて、以下のとおり報告されている。
・ 製品の製造事業者や輸入業者による自主回収・リサイクルの対象となっているパーソ
ナルコンピュータ(パソコン)や小形二次電池については、自主回収量が年々向上する
とともに、回収された使用済製品の再資源化についても、法定目標を大幅に上回る実
績を達成している。
○パソコン(事業系パソコン)
自主回収量:45万台(平成13年度)→68万台(平成18年度)
再資源化率:80.2%(平成18年度)<法定目標:50%>
○小形二次電池(ニカド電池)
自主回収量:628トン(平成13年度)→931トン(平成18年度)
再資源化率:73.3%(平成18年度)<法定目標:60%>
69
第4節 省エネ・リサイクル支援法の概況
2.4.1 概要
(1)法の目的と方策
「エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関す
る臨時措置法(以下、「省エネ・リサイクル支援法」という。)」は、平成5年に施行された。本
法は、資源の大半を輸入に頼る我が国の状況及び環境問題の国際的な高まりに鑑み、地
球温暖化問題、廃棄物問題、オゾン層破壊問題に対応した事業者等の自主的な取り組み
を支援するものである。なお、本法は、平成15年10月1日に改正され、1R(リサイクル)から
3R(リサイクル、リデュース、リユース)への拡充、エネルギー起源の二酸化炭素の排出を抑
制する事業であって海外で行うものの新規追加、政策支援機関を産業基盤整備基金から
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構への変更等の改正が行われている。
法律の体系を図 14に示す。
70
図 14 省エネ・リサイクル支援法のスキーム
71
(2)対象範囲
本法の対象範囲は以下に示すように、1)省エネルギーの推進、海外での二酸化炭素排
出抑制、2)3R(リデュース・リユース・リサイクル)の促進、3)特定フロンの使用の合理化の
推 進、4)包 装 材 料、容 器の使用の合 理 化に資 する技 術の開 発、5)リサイクルの推 進、包
装材料の簡素化等の共同事業活動、に関する事業を支援対象事業としている。
1)省エネルギーの推進、海外での二酸化炭素排出抑制
・工場・事業場における省エネ設備等の導入
・建築物における省エネ設備、建築材料の導入
・海外の工場又は事業場における二酸化炭素排出抑制
・省エネ技術の開発
-分離膜精製技術、溶融還元炉銑鉄製鉄技術、連続鋳造による鋳片製造技術、二酸
化炭素を原材料とするアルコール製造技術等
・省エネ廃熱有効利用設備の導入
-大規模コージェネレーション地域熱供給施 設、カスケード利用型工業団地熱 供給施
設、高効率廃棄物発電等施設(廃棄物エネルギー利用施設)、工場等余熱エネルギ
ー周辺供給施設
2)3R(リデュース・リユース・リサイクル)の促進
・3R設備の導入
-紙製造業(脱墨装置等)、非鉄金属第二次製錬・精製業(選別機等)、プラスチック製
品 製 造 業(減 容 器、粉 砕 機 等)、化 学 繊 維 製 造 業(解 重 合 装 置 等)、複 写 機の製 造
業(分解装置等)等
・再生資源又は再生部品の分別回収
-古紙、カレット、鉄くず、アルミニウムくず、廃プラスチック類等の分別回収、再生製品
の市場拡大
・3R技術の開発
-鉄くず再生資源化技術、石炭灰再生資源化技術、廃プラスチック類油化技術、スラッ
ジ発生抑制技術等
・再生資源としての利用が容易な原材料(パルプモウルド)の製造設備の導入
3)特定フロンの使用の合理化の推進
・特定フロンの使用の合理化に資する技術の開発
-代替フロン利用冷凍空調機製造技術、脱フロン等精密洗浄装置製造技術等
・特定フロンの使用の合理化に資する設備(代替品使用型洗浄装置等)の導入
4)包装材料、容器の使用の合理化に資する技術の開発
・生分解性プラスチック製造技術
5)リサイクルの推進、包装材料の簡素化等の共同事業活動
72
(3)支援措置
本法の支援措置の内容は以下のとおり。
○大企業向け
・低利融資制度(日本政策投資銀行、沖縄振興開発金融公庫)
・債務保証(NEDO)(平成20年3月31日をもって終了)
・利子補給(NEDO)(平成20年3月31日をもって終了)
○中小企業向け
・低利融資制度(中小企業金融公庫、国民生活金融公庫)
・信用保健法の特例(各信用保証協会)
・中小企業投資育成株式会社による新株引受(各中小企業投資育成株式会社)
2.4.2 成果
省 エネ・リサイクル支 援 法 の利 用 実 績 は 表 14 に示 すとおりである。利 用 実 績 は、債 務 保
証・利子補給については平成15年度以降、1件と、利用が進まない状況にある。なお、本法に
よる債務保証制度については、NEDOが金融機関に対して債務保証する形で、省エネ・リサイ
クル支援法 の承認を受けた事業計 画に基づいて事業者が行う特定事 業活動 及び事業者が
行う特定設備の設置又は改善に必要な資金のための助成制度として平成15年より行われて
きたが、政府の決定により新規申込受付は平成20年3月31日をもって終了となっている。
表 14 省エネ・リサイクル支援法の利用実績
債務保証・利子補給
信用保険法特例
課税の特例
平成14年度以前
70件
15件
82件
平成15年度
0件
-
-
平成16年度
0件
-
-
平成17年度
0件
-
-
平成18年度
1件
-
-
※ 「-」はデータなし
信用保険法特例については、省エネ税制、技術開発税制等があったが、試験研究税制
の平成14年度終了をもって廃止されている。
なお、日本 政策投 資銀 行や沖縄振 興開発 金融 公庫による低利融 資制 度は継続して運
用されている。
73
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