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カーボンナノチューブ水性ゲル の蓄電池材料への応用

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カーボンナノチューブ水性ゲル の蓄電池材料への応用
カーボンナノチューブ水性ゲル
の蓄電池材料への応用
【平成24~25年度】
工業技術センター 素材技術部
佐竹康史,中野哲,大津加慎教
背景と現状の問題点
【社会的背景】
災害対応・電力不足の解決 蓄電池の使われ方
再生可能エネルギーの普及
【キーテクノロジー】
蓄電池・蓄電技術
電気を安く大量にためるのは難しい
蓄電技術の問題点
1.
2.
3.
4.
充電時間が長く必要.
充放電時の発熱の不安.
繰り返し使用による劣化.
性能を満たすものは希少で高価.
(図.ルネサスエレクトロニクス社 HPより)
【蓄電池の課題分析】
蓄電池の効率的活用を目指した性能向上
蓄電池として機能する原理
1.電極活物質の酸化還元
2.電解液中の電荷輸送
異なる2つの酸化還元反応を
イオンの移動でつないだリアクター
放電
e-
e-
蓄電池の3層構造
充電
電解液
製品
ペースト式,クラッド式,
プランテ式
正極
負極
イオン
部材
正極,負極,電解液,
セパレーター
正極活物質
負極活物質
セパレーター
材料
鉛,二酸化鉛,希硫酸
ガラスフィルター
欠点
鉛蓄電池のモデル
※ 製法上の参入障壁 (県内製造業)
1.充電時間の長さ
2.低容量で重い
フィルムセパレーターを電池内部に設置の際、
封筒形状化が必要となり、設備導入コストの負担増.
山形県(特願2011-203114)
【解決へ向けてのシーズ技術】
多層カーボンナノチューブ分散配合水性ゲルの活用
電池の欠点を補う目的
【山形県保有シーズ】
電気が通る発泡スチロールの開発(H21~23)
CNT:水に不溶
蓄電池材料へのCNT添加効果
① 導電性向上
(要 分散剤 or 有機物 or 有機溶媒)
超音波処理
② 表面積増大効果
各種電解液でMWCNTを液状化
電極活物質
の脱泡混合
CNT添加電極活物質(合剤)
蓄電池合剤の要件
検証方法
・酸化還元剤との混合容易性
・自転公転攪拌装置による処理
・分散安定性
・交流インピーダンス特性
・電気化学的特性(高い導電性)
・充電受入性の比較
【シーズの活用方法】
蓄電池内部短絡防止機構の検討
・CNTによる導電性向上により、新たに生じる問題点の解決
・CNT添加電池内部の短絡防止 → セパレーターの設置が必要
・製法上の参入障壁の回避方法 → 封筒形状化のいらないセパレーターを探索
筒壁
+
表面塗布
円筒膜
(ソックスレー抽出用)
CNT水性ゲル(右)
CNT円筒膜接合体
蓄電池用セパレーター
導電体被覆処理膜
濾過膜
【蓄電池の構造検討】
鉛蓄電池を構成する材料と部材の検討
【蓄電池の3層構造】
製品
正極 負極
円筒膜 隔壁形 蓄電池
隔壁
部材
正極,負極,電解液,
セパレーター(円筒膜)
電解液
材料
鉛,二酸化鉛,希硫酸
高分子膜,CNT
従来の蓄電池モデル
正極
中空膜
負極
正極合剤
負極合剤
中空膜
一端を樹脂で閉塞
円筒膜形状化
電極活物質と導電助剤の混合剤(合剤)を
一方を閉じた中空膜(県内企業の製品)の
内壁と外壁に設置して蓄電池の隔壁として利用
CNT水性ゲル
添加電解液
考案した蓄電池モデル
【県内製造業の蓄電池分野参入機会の創出】
水処理用中空膜の蓄電池セパレーターへの転用
【潜在的なシーズ】
・孔径
・表面積
・厚み
・内径
・外径
・長さ
山形県内のフィルター製造企業
・蓄電池のモジュール化
・差圧を利用した合剤設置
・同質異径材料による挟み込み
・マルチセル化(組電池へ発展)
・素材
・コスト
・耐久性
・メンテナンス性
中空膜モジュール
中空膜
取組み内容
H24年度
・CNT水性ゲルの電解液への応用
H25年度
・中空膜のセパレーター機能検証
→ 電池材料への均質分散
・電極合剤調製方法の改良と評価
・新規蓄電池の構成検討
・試作蓄電池の評価
→ 円筒膜形鉛蓄電池の試作
→ 県内製品(中空膜)の転用
【CNT添加効果】
電気伝導性
高い比表面積
耐腐蝕性
+
【中空セパレーターの探索】
内壁外壁の導電化
イオン透過機能
調達の容易さ(コスト)
【蓄電池の機能検証】
充放電機能発現
充電受入性,放電効率
繰り返し時の劣化条件
【蓄電池:全体構成の検討】
円筒膜形 CNT応用 鉛蓄電池
【円筒膜形蓄電池のメリット】
1.中空領域に合剤設置が容易
2.隔壁化する工程の省略
3.セパレーターの堅牢性
負極
(外側)
正極
(内側)
【蓄電池となる条件】
1.内壁外壁の導電化
2.セパレーターのイオン透過性
3.化学的耐久性
2mm
【円筒膜形CNT応用鉛蓄電池の構成】
正極
負極
○正極(内壁側):二酸化鉛(粉末)+硫酸+CNT
中空糸膜
○負極(外壁側):鉛(粉末)+硫酸+CNT
CNT添加
電解液
【懸念される劣化現象】
CNTの膜内への進入,剥離,硫酸鉛による被覆
→ バインダー不使用の蓄電池を試作評価して対応検討する.
【材料・部材の検討結果】
蓄電池電極合剤としての機能の検証
正極合剤を自転公転攪拌装置により脱泡処理後、
電極間距離10mm,面積1cm2の炭素電極測定
抵抗値
交流インピーダンス特性
水色:水
黄緑色:10秒
青色:30秒
茶色:60秒
ピンク:180秒
黒色:540秒
赤色:360秒
サイクリックボルタンモグラム
還元
酸化
合剤調製条件の探索
酸化還元反応の可逆性の確認
(攪拌処理時間)
(曲線の再現性,電位,面積)
CNTを添加した正極合剤の調製条件を見出した.
【試作蓄電池の試験結果】
充放電特性
円筒膜形CNT応用鉛蓄電池
休止時間(1分)
休止時間( 分)
放電(1分
秒)
放電( 分30秒)
充電(10分)
充電( 分)
充電容量
1.81 mAh
放電容量
0.36 mAh
【既存蓄電池の試験結果】
充放電特性
硫酸鉛蓄電池
休止時間(1分)
休止時間( 分)
充電(10分)
充電( 分)
充電容量
2.07 mAh
放電(4分
秒)
放電( 分18秒)
放電容量
1.07 mAh
【蓄電池の検討】
蓄電機能の確認
充放電試験グラフ
効率:約20%
効率:約52%
休止時間(1分)
休止時間( 分)
充電(10分)
充電( 分)
休止時間(1分)
休止時間( 分)
放電(1分
秒)
放電( 分30秒)
放電(4分
秒)
放電( 分18秒)
充電(10分)
充電( 分)
充電容量
1.81 mAh
充電容量
2.07 mAh
放電容量
0.36 mAh
硫酸鉛蓄電池
円筒膜形CNT応用蓄電池
試作蓄電池
放電容量
1.07 mAh
電池重量
(g)
電極面積
(mm2)
放電容量
(mAh)
重量エネルギー
密度(mAh/g)
充放電効率
(%)
円筒膜CNT
112
945
0.36
3.2 ×10-3
19.9
硫酸鉛
408
6750
1.07
2.6 ×10-3
52.4
・充電初期の電流増大,・重量エネルギー密度向上,・CNTの剥離による劣化.
研究のまとめ と 今後の展開
項目
内容
新規蓄電原理の
検討
CNT水性ゲルの特性を
活用した蓄電池構成の検討
CNT水性ゲルの 調製した合剤の分散安定性
電池材料への適合性 電気化学的特性の測定
状況
円筒膜型CNT応用蓄電池の考案
(中空膜の内外壁の導電処理)
適正な調製条件の確認
電気化学的評価による確認
構成部材の検討
内部短絡防止手法の確立
電極活物質の脱落防止
円筒膜で形状を保持した
蓄電池部材の試作と観察・評価
蓄電池の試作と
性能評価
充放電効率の測定
県内企業への技術移転
試作電池の充放電機能を確認
充電受入性,軽量化,CNT剥離
【課題と今後の展開】
・蓄電池合剤を「固める」工程の改善
(界面剥離防止策)
1.CNT水性ゲルの部材への結着方法の検討.
2.県内企業との共同研究の実施.
【事業のまとめ】
「カーボンナノチューブ水性ゲルの蓄電池材料への応用」
[成果]
1.カーボンナノチューブ水性ゲルに電極活物質を添加して、
均質に安定分散した電極合剤の製造法を確立した.
2.県内製造業が生産する中空膜を蓄電池のセパレーターに転用し、
蓄電池を試作して特性を確認し、開発の指針を得ることができた.
3.協力いただいた県内企業と特許実施許諾契約を締結し、
技術移転を行い、製品性能の向上に取り組むこととなった.
発明の名称:「多層カーボンナノチューブ分散配合水性ゲル及びその製造方法」
(特願 2011-203114)
[想定される応用製品例]
アイドリングストップ車用バッテリー(充電受入性)
ご清聴ありがとうございました.
これまで賜りましたご支援に感謝申し上げます.
ナノ材料を活用した技術開発,製品開発を通して
山形県の豊かさづくりに繋がるよう励んでまいります.
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