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本時のねらい
資料2 本時の授業展開 (1)本時のねらい 「五月」と「十二月」の世界を対比させることを通して、「やまなし」に込められた宮沢賢治の 理想を他の作品にも描かれている賢治の理想と関連付けてつかむことができる。 (2)本時の学習展開(本時の位置 7/9時) 過程 つ か む 深 め る ま と め る 学習活動 ○前時までの学習の振り返りを発表する。 ・「五月」は、春の明るく楽しい世界であると同時 に、かわせみが魚を襲う不気味で怖い季節でもあ る。 ・「十二月」は、冬の寒く冷たい季節である。しか し、かにの親子の仲のよい様子や熟したやまなし は穏やかな感じがする。 ○本時の課題をつかむ。 「やまなし」には、賢治のどんな理想が込められ ているだろう ○賢治の理想が感じられるのが「十二月」であるこ とをつかんだあと、 「十二月」の場面を音読する。 ○「十二月」のどこに賢治のどんな理想を感じるか、 自分の考えをノートに書き込みながら一人読みを する。 ・【かにの兄弟があわの大きさを競ってけんかして いる】ところは、かわいらしくて温かい感じがす るから、みんな幸せに暮らしたいという賢治の理 想が感じられる。 ・【イサドに連れて行く】というところから、厳し い冬の生活の中に楽しみを見つけているので、厳 しい農作業に中に、楽しさを見付けた賢治の生き 方と同じだ。 ・【やまなしのいいにおいでいっぱい】のところか ら、豊かで幸せが感じられる。賢治が理想とした 世界だ。 ・【やまなしがドブンと落ちておいしいお酒になる】 ということは、やまなしがかにを喜ばせているの だから、人のために生きるという賢治の理想が感 じられる。 ○仲間読みで一人読みを交流する。 ・寒く冷たい「十二月」にも、かにややまなしのよ うな温かい世界がある。やまなしは、幸せを運び、 かにに希望を与える存在。賢治が理想とした《希 望に満ちた心通い合う》世界がある。 ・「よだかの星」では、みにくいよだかが決してあ きらめず希望を求めて星になった。「やまなし」 もおいしいお酒になるところから、同じように幸 せと希望を感じることができる。 ・かにの兄弟のけんかは、温くて幸せを感じる姿だ と思う。これは、人々の幸せを求めた「グスコー ブドリの伝記」に描かれている賢治の理想と同じ だと思う。 ○理想の「十二月」と現実の「五月」を対比して読 み取る。 ・やまなしには幸せや希望を感じるけれど、 「五月」 に生きる生き物たちは死が待っている。 ・「十二月」は希望のある世界だけど、「五月」は食 うか食われるかの厳しい世界だ。 ・五月のかわせみは、自然の厳しさを表す存在だ。 ・「十二月」は「理想の世界」 「五月」は「現実世界」 だ。 ○「やまなし」に込められた賢治の理想をまとめる。 冬の寒く厳しい中にも、やまなしが熟し、仲良く かにが生きる「十二月」は、希望・幸せ・喜びが 感じられる世界だ。賢治は、自分たちが生きる世 の中も、五月の厳しい世界ではなく、皆が幸せに 希望をもって生きられるようにしたいと願ってい たと思う。今は、戦争などあって皆が幸せではな い。だから、私も賢治の理想のような世の中にな ってほしいと思う。 ○学習のふりかえりをする。 ・自己評価を行う。 評価について ○「五月」と「十 二月」の世界 を対比させな がら読み取り、 「やまなし」 に込められた 宮沢賢治の願 いや理想をつ かむと同時に、 他の作品にも 描かれている 賢治の理想と 関連付けてい る。 〈イ−②ウ−①〉 指導・援助 ○前時までに学習した【五月 世界】【十二月 明と暗の 冷と暖の世界】の対 比を側面の掲示資料で振り返り、場面 の具体的なイメージがもてるようにす る。 ○単元の前半で、作品を通して賢治の理 想や生き方を知り、その作品性を学ん でいるので、「『やまなし』にも賢治の 理想が込められていないだろうか」と 発問することで、理想に迫る読み深め を行う。 ○賢治の理想を表すキーワード「希望」 「喜び」「優しさ」などとそれらが込 められている賢治の作品とを確認し、 カードで掲示する。 ○賢治の理想が描かれているのは「十二 (ノートの記述) 月」の場面であることをとらえた後で、 「十二月」の場面に焦点をあてて音読 し、一人読みを行うようにする。 ○賢治の理想は、叙述のどの部分に表現 されているのか、具体的な言葉や文に ラインを入れ、どんな理想が感じられ るか書き込みをするようにする。 ○事前に学習した「イーハトーブの夢」 や賢治の作品から感じられる賢治の理 想や生き方と関連付け、理想の世界を とらえられる様にする。そのために、 キーワードを参考にすることと賢治の 作品と結び付けて考えるとよいことを 助言し、カードを黒板に位置付ける。 (交流時の発言内容) ○賢治の作品と結び付けて考えるため に、読書カードを活用するとよいこと を助言する。 ○賢治の理想を各自が読んだ作品と関連 付けて考えることができるようにする ために「他のどの作品と似ているか。」 と切り返して問い、「読んだ○○と同 じようにやまなしも∼が感じられる」 といった発言ができるようにする。 ○発言の中に賢治の作品名が出てきた時 に、その本を示し具体的に作品の特徴 がつかめるようにする。 ○第6時までの学習の足跡を残した側面 (学習のまとめの記述) 掲示を活用し、理想の「十二月」に対 して、なぜ五月は理想の世界ではない のか、2つの月を対比して考えるよう 助言する。また、五月と十二月の象徴 である《かわせみ》《やまなし》の特 徴が表れている「コンパスのように黒 くとがって」「ぼかぼか流れて」など の表現を側面掲示を活用して見付け、 言葉からも対比のおもしろさをイメー ジすることができるようにする。 ○「希望」「喜び」「優しさ」などのキー ワードを基にして、「五月」と「十二 月」を対比しながらまとめるよう助言 する。また、賢治の理想を自分はどう とらえるかについても考え、まとめに 付加するとよいことを伝える。