...

6 年 2 組 国語科学習指導案 平成22年11月12日(金)5限 指導者 笠松

by user

on
Category: Documents
24

views

Report

Comments

Transcript

6 年 2 組 国語科学習指導案 平成22年11月12日(金)5限 指導者 笠松
6 年 2 組 国語科学習指導案
平成22年11月12日(金)5限
指導者 笠松 美奈
研究主題
「主体的に考え、伝え合う子をめざして」
―全員参加でよりよい考えをつくる伝え合い活動の充実―
1.単元名
表現を味わい豊かに想像しよう
「やまなし」 <資料>イーハトーヴの夢
2.目 標
・情景や独特の表現に興味をもち、宮沢賢治の作品や生き方を知ろうとする。 (関心・意欲・態度)
・作品の情景を叙述に即して伝え合い、想像を広げながら詠む。
・比喩的な表現を手がかりにして、情景を想像する。
(読むこと)
(言語)
3.単元について
(1)教材について
本単元は、宮沢賢治の物語「やまなし」と、資料として添えられた宮沢賢治の伝記「イーハトーヴの
夢」から成っている。
「やまなし」は、比喩表現や擬声語・擬態語など宮沢賢治の独特な表現が駆使され
た象徴的・幻想的な作品である。対比的に描かれている2枚の幻灯の世界は美しく、児童のイメージを
豊かに膨らませ、作品の世界に浸るにはふさわしい教材である。
「イーハトーヴの夢」は、宮沢賢治の世
界に深くかかわる筆者が、小学生向けに書き下ろしたもので、広い知識と高い理想を持つ賢治を知り、
その生き方・考え方にも触れることができる。
「やまなし」から感じ取ったことと、
「イーハトーヴの夢」
で紹介される作者の思いや考え方とを重ね合わせることで、児童自身の行動や考え方を客観的に見つめ
ることができると考える。
(2)指導について
本学級の児童で、宮沢賢治を知っていた児童は9人、宮沢賢治の作品を読んだことがある児童は5人
であった、そこでまず、作者について知ることが教材への関心につながると考え、
「資料:イーハトーヴ
の夢」を先に読むことにした。作者の生い立ち、理想とする世界、生き方に触れさせることで、作品の
中で伝えたいことにも迫れると考える。
自分の考えをもつために教科書への線引きをして叙述からイメージしたことを自由に出させたい。う
まく言えなくなっても同じ叙述に線引きした児童に助けてもらい意見をつなげていくようにする。人が
違えば言い方やとらえ方が違うことにも気づくことができると期待したい。また、少しでも自信を持っ
て発言できるようペアで線引き箇所を確認しあったり対話したりする場を設定していきたい。本時では、
自分の考えを明らかにするためにネームを使いたい。
本教材では、
「五月」と「十二月」の対比がとても重要である。考えをもつ段階でも話し合いの段階で
も目で見てすぐ比べられるような板書、掲示をしていきたい。
4.学習計画(総時数8時間+課外)
次
目
標
主な学習活動
教師の支援と評価
第一次
学習の見通しをもとう ③
資料を読み作者
<宮沢賢治とはどんな人だろう>
・教材の前に資料「イ
について知り、学
・岩手県に生まれ、5 人兄弟の長男。
ーハトーヴの夢」を読
習への興味と見
・小学生の頃はおとなしくて一人遊びが好きだった。 み、作者の考え方に触
通しをもつ。
(2) ・農作物の被害を減らして人々が安心できるようにな
れさせることで教材
るために一生をささげたいと考えていた。
への関心を持たせる。
・未来に希望を持っていた。みんなで力を合わせるこ
○人柄が分かる叙述、
とが大事と考えていた。
考えが分かる叙述に
・みんなに優しい心を育てて欲しくてたくさんの童話
線を引きペアで確認
を書いた。
しあって意見に自信
・人間が人間らしい生き方ができる社会、人も動植物
がもてるようにする。
も互いに心が通い合うような世界を理想としていた。 ★作者の考え方を自
・自分で耕す中から新しい芸術を生み出そうとしてい
分なりにとらえてい
た。
る。(読むこと)
みんなが力を合わせて互いに心を通じ合わせられ
る世界になるよう夢見て、たくさんの童話を書い
た、優しい心をもった人だったんだね。
・この人が書いた「やまなし」を読もう。
全文を通読しあ
<「やまなし」ってどんな話だろう>
・単元名やリード文な
らすじをつかん
・不思議なお話だ。
どから読みの視点を
で学習の見通し
・2 つの季節のことが書かれている。
考えて見通しをもた
をもつ。
・かにの生活を書いてある。
せる。
・
「かぷかぷ」
「もかもか」とか様子を表す言葉がたく
さん出てくるね。
★物語のあらすじを
・宮沢賢治さんはとても想像力豊かに書いてある。
つかみ学習の見通し
・かにがずっと出てくるのにどうして「やまなし」と
を 持 っ て い る 。( 関
いう題名なのかな。
心・意欲・態度)
・「五月」と「十二月」では様子が違うよ。
2 つの季節を比べているよ。どういうことか分から
ないこともたくさんあるとても不思議なお話だね。
・季節ごとに読んでいこう。
第二次
「やまなし」の情景を読み取ろう ③
「五月」に描かれ
<「五月」はどんな様子かな>
・川の上、底などの位
た情景を読み取
・クラムボンが笑っている。
置や、表された色など
る。
・かぷかぷ笑っていて楽しそう。
「十二月」と対比でき
・「死んだ」
「殺された」って怖い感じがする。
るように板書する。
・「日光の黄金」ってすごくきれい。
○「五月」を象徴する
・「光のあみ」「美しくゆらゆら」「そこらじゅうの黄
ものを問うことで回
金の光」「まぶしそうに」だから明るい世界。
りは明るくても「死」
・かわせみが魚を食べた。
のイメージがあるこ
・「ぎらぎらする鉄砲だま」「ぎらっと」「居すくまっ
とに気づかせる。
て」「ぶるぶる」で恐ろしい感じがする。
・かにの子どもたちが怖がっている。
★叙述から想像を膨
・「死」のイメージがある。
らませながら「五月」
楽しそうで周りもきれいだけど、かわせみが突っ込
の情景を読み取って
んできて魚が死んでいくから怖い感じがするね。
いる。
・次は「十二月」を読もう。どんな世界かな。
(読むこと)
(言語)
「十二月」に描か
<「十二月」はどんな様子かな>
・「五月」と対比でき
れた情景を読み
・季節が変ってかにの子どもたちが大きくなった。
るように板書する。
取る。
・「五月」は昼だったけど「十二月」は夜だ。
・色の描写に目を向け
・きれいな世界。「ラムネのびん」「青白い炎」「月光
させて、夜でも美しく
のにじ」「金剛石の粉」って輝いているみたい。
穏やかであることに
・あわの大きさ比べをしていて平和。
気づかせる。
・幸せそうだよ。「いいにおいでいっぱい」
・「おどるようにして」って楽しそう。
★「五月」と比べなが
・
「あしたイサドへ連れて」
「二日ばかり待つ」とあっ
ら、叙述から想像して
て、未来につながる感じがするね。
「十二月」の情景を読
夜だけど、きれいで平和で楽しそう。気持ちが明る
い感じだね。
・「五月」と「十二月」はどちらも「明るい」イメー
ジがあったね。
み取っている。
(読むこと)
(言語)
「五月」と「十二
<宮沢賢治が理想としているのはどちらの世界かな>
○見た目の明るさだ
月」の違いを読み ・見た目は「五月」は昼で明るいけど,「死」があって
けでなく気持ちにも
取る。
(本時)
暗いし、怖い世界だったから違うと思う。賢治さんは
目が向くようかにの
平和な世の中を願っていたよね。
言葉や様子も比べて
・「十二月」は夜で冷たくさびしいよ。
いく。
・でも、怖いかわせみがいないしおいしいやまなしも
あって平和だから明るい世界だ。
★「五月」と「十二月」
「五月」は様子は明るいが起こったことは暗い。
「十
の違いをつかみ作者
二月」は夜で暗いが未来や夢があり明るい。平和な
の理想の世界を考え
世界は賢治さんが願っていた世界だね。
る。(読むこと)
・賢治さんが「やまなし」という題名にしたわけを考
第三次 作者の願いや思いを考える ②+課外
えよう。
題名に込められ
<なぜ題名が「やまなし」なのかな>
○各月を象徴してい
た作者の思いを
・「十二月」が賢治さんの理想とする世界だから、そ
る「かわせみ」と「や
考える。
こに出てきたやまなしにしたと思う。
まなし」から連想する
・「やまなし」は落ちてしまってもまた酒になって他
イメージをもたせ話
の人の役に立つところが賢治さんの考え方にあって
し合わせる。
いるんじゃないかな。
・
「かわせみ」は「死」を、
「やまなし」は「生」を表
★題名に込められた
していて賢治さんは生きることのすばらしさを伝え
作者の思いについて
たかったから。
自分なりの考えをも
「やまなし」が未来に希望を持って生きる、楽しみ
っている。
(読むこと)
を見つけて生きるという賢治さんの理想を表して
いるんだね。
・宮沢賢治のほかの作品も読んでみたいな。
・違いを意識して 2
枚の幻灯をかく。
他の作品を読み、 <宮沢賢治の作品を読んで紹介しよう>>
感 じ た 作 者 の 思 ・他の作品でも「やまなし」のような思いが感じられ
いを伝え合う。
るかな。
★作品を読み作者の
・色々な作品を知りたい。
思いを感じようとし
・どの作品にも賢治さんの思いが込められているね。 ている。
(関・意・態)
・やっぱり宮沢賢治さんって優しい人だな。
どの作品からも賢治さんの優しさや生きる希望が
感じられるね。
・もっと読んでみたい。
5.本時の学習(第二次中3時)
(1)題 目
(2)ねらい
やまなし
「五月」と「十二月」を対比して読むことで、それぞれの月が描き出している世界を
とらえる。
(読むこと)
(3)学習過程
学習活動
時
児童の活動と思考の流れ
支援と評価
1.つかむ
5
・「十二月」は夜だけど、月光が差してとても美しい世界。
○係の児童が中心に
・「かわせみ」の代わりに題名の「やまなし」が登場したよ。 なり、前時のふり返り
2.考え.
10
話し合う
・「五月」と違って怖くなかったよ。
と課題の確認をする。
○「五月」と「十二月」はどちらが明るい世界なのかな。
・明るい世界と思える
・「五月」は昼間のことだから明るい。
根拠はすべて認める。
・
「五月」は「死」
「殺される」で怖く暗い感じがするけど「十 ・ネームで自分の考え
二月」は泡比べしてのどかで平和な感じがで明るいと思う。 をはっきりさせる。
・かわせみが来た後のかにはとても怖がっているから明るく
○前時までの学習掲
はないと思うよ。
示を使い、色、落ちて
・やまなしを見た後のかにはとてもうれしそうで明るいよ。 きたもの、気持ちを比
3.深める
25
・明るさの意味は違うけど,どちらも明るいんだね。
べながら話せるよう
<宮沢賢治が理想としているのはどちらの世界かな>
にする。
昼
五月
夜
十二月
○自分の考えをもた
せるために根拠の文
死んだ 殺された
大きくなり
ぱっと明るく 光のあみ
水晶 金雲母
日光の黄金 まぶしそう
ラムネのびんの月光
青光りの…ぎらぎら
青白い火 月が明るく
鉄砲玉 黒くとがって
黄金のふち
居すくまって
金剛石
ぶるぶる
に線引きしたり書い
「こわいよ」
月光のにじ
の違いをはっきりさ
界の違いを明らかに
やまなし(生)
いいにおい
・川に落ちてきたもの
せることで二つの世
かわせみ(恐怖・死)
こわい所
たりさせる。
おどるように
「おいしそうだね」
する。
★「五月」と「十二月」
を対比しそれぞれに
描かれた世界をとら
えている。
・見た目じゃなく明るく温かいイメージなのは「十二月」だ。 A:対比的に描かれた
4.まとめ
る
5
・賢治さんは優しい人だから、怖い世界じゃないと思う。だ
「五月」と「十二月」
から十二月。
の世界から賢治の思
・十二月はかにとやまなしが一緒に生きていて、賢治さんの
いを考えている。
理想とする「人も動物も植物も互いに・・・」っていう考え
B:「五月」と「十二
と似てるよ。
月」を比べそれぞれの
・平和な感じの十二月のような世界が理想だと思う。
世界をとらえている。
「五月」は明るくきれいだけど死が身近で怖い。
「十二月」
は夜だけど、平和で楽しく、未来がある世界だ。きっと
作者が考えていた理想の世界だと思う。
C:比べてとらえられ
ない。
C 児への手立て
板書や掲示を参考に
・理想の世界にでてくる「やまなし」を題名にしたわけも分
2つの月の違いに目
かりそうだな。
を向けさせる。
☆深める発問は適切であったか。
Fly UP