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土 壌 と 品 種 と 造 り 手 が 育 む チ リ & ア ル ゼ ン チ ン ワ イ ン
ボリビア パラグアイ ブラジル アルゼンチン 土壌と品種と造り手が育む チリ&アルゼンチンワイン 洋に面したカサブランカ・ヴァレーは冷 涼な気候が特徴で、カリフォルニアの ソノマに似た土地といわれ、ソーヴィニ ョン・ブランやシャルドネ、ピノ・ノワー ルの産地として発展した。 一方、地中海性気候のセントラル・ヴ チャグア・ヴァレーは赤のアイコンワイ 古くからのワイン産地だが、特にコル ァレーは、サンチャゴの南部に広がる カグア・ヴァレー」 「カサンブランカ・ヴ コンカグアのサブ・リージョン「アコン チリとアルゼンチンワインが元気で る。 ンが続々と誕生し、近年注目されてい ある。 リージョン「マイポ・ヴァレー」 「ラペル・ ァレー」とセントラル・ヴァレーのサブ・ 年の 歩 みは、 1980年代が技術革新、 年代に輸 チリワ インの過 去 造り手たちは誇りをもって「チリら ルチャグア・ヴァレー) 」 。 ヴァレー(カチャポアル・ヴァレー) (コ しさ」 「アルゼンチンらしさ、メンドー 品種の関係、そして産地の探求にも現 サらしさ」を語る。その情熱は土壌や 出が飛躍し、2000年代は新しい土 地帯にあるアコンカグア・ヴァレーは、 リーズナブルなチリワインから脱却し、 地の開拓の 年だったという。価格の 4月上旬、収穫真っ盛りのチリを訪 カベルネ・ソーヴィニョンの栽培に適し 首都サンチャゴの北部 キロの山岳 問した。チリには北から南まで5つの れているようだ。 90 質を高めたチリワインの今を紹介する。 10 ウルグアイ ブエノスアイレス サンティアゴ 30 た産地として知られている。また太平 取材協力:BRANDabout 主要産地があるが、今回訪れたのはア グルメジャーナル 67 80 CHILE & ARGENTINA メンドーサ チリ で、 現 当 主 エ 1870年創業 エラスリスは ベッティング氏。フレンチオークの新樽 た」とワインメーカーのフランシスコ・ リらしさを出したブレンドに変えまし ソーヴィニョンでしたが、 年からはチ 「2003年までは100%カベルネ・ ベルネ・フラン6%、シラー6%。 デュアルド・チ ヴィーニャ・ ャドウィック氏 手がけたことで ン、セーニャを レミアムワイ み、スーパープ モンダヴィと組 ン %、カルメネーレ 「 SEÑA 2007 」はカ ベルネ・ソーヴィニョ トンと非常に抑えている。 特徴。なお収量は1 当たり2~2・5 ロマ、きれいな酸、ソフトなタンニンが プ テ ィ・ ヴ ェ ル ド ー カベルネ・フラン6%、 %、メルロー %、 アーノ・エステートはチャドウィック家 ーレは %までだった Colchagua Valley コルチャグア・ヴァレー Itata Valley イタタ・ヴァレー Bio Bio Valley ビオビオ・ヴァレー 「 年はチリでベストなヴィンテージ な味わい。 の新樽で熟成させ、エレガントで女性的 Maipo Valley マイポ・ヴァレー で ケ月間熟成させ、凝縮した複雑なア Casablanca Valley カサブランカ・ヴァレー は、ロバート・ Aconcagua Valley アコンカグア・ヴァレー も知られる。ア のヴィンヤードで、エデュアルドによっ 5%。当初はカルメネ コンカグア・ヴァレーのドン・マキシミリ て斜面が開墾された。169 の畑は7 区画に分けられ、各畑はMaxⅠからⅦ が、今はもう少しカル メネーレの比率を高め までの名前が付けられ、それぞれに適し の1つ。寒くはないが冷涼な年。普通ド ン・マキシミリアーノはもっとパワフル で男性的ですが、 年は冷涼だったため エラスリスに より創業された 「アルボレダ」 。 あ 自社畑は合計 1124 うち200 で り、現在はその ブドウ栽培を行 品種はソーヴィ っている。栽培 シャルドネ、ピ ニョン・ブラン、 ノ・ノワール、シ から吹き、これがブドウをゆっくりと熟成 エレナさん。 「 CHARDONNAY 2010 」は フレンチオークの新樽を %使用。マロラ ウッディでないこと。これが目標です」と 「ここは湿気が多いのとボトリティス菌 させ、そして濃縮した味わいを生むという。 冷涼な風が太平洋岸からとフンボルト海流 テナブルな栽培及び醸造も実践している。 畑のブドウを使ったワイン造り。またサス ェルティエント」と太平洋側「チルエ」の ラー、カベルネ・ソーヴィニョン。ここのコ について語った。 ンセプトはアコンカグアの丘陵地「ラス・ヴ ソフトなタンニンとなり、エレガントな 冷涼な土地で育む フレッシュ&フルーティワイン セーニャとやや共通した味わいがありま アルボレダ す」とベッティング氏はアイコンワイン ACONCAGUA VALLEY ARBOLEDA クティック発酵は %で、フレンチオーク ません」と語るのは2010年に着任した で8ケ月熟成させる。フレッシュな酸が特 「 PINOT NOIR 」で、訪問した 月の中旬 にボトリングを終えたばかりだった。果実 2010年が初ヴィンテージというのが 徴だ。 「キープフレッシュ&クリーン、複雑さ、 積んだ。 業をし、チリ国内のワイナリーでも実績を ーナ・エレナさん。フランスのロワールで修 ばかりの若き女性ワインメーカーのカロリ がつきやすいのでビオディナミは実践でき 10 Choapa Valley チョアパ・ヴァレー 味ときれいな酸のバランスが楽しめる。 68 グルメジャーナル Rapel Valley ラペル・ヴァレー Cachapoal Valley カチャポアル・ヴァレー Curico Valley クリコ・ヴァレー サンティアゴ San Antonio Valley サン・アントニオ・ヴァレー (出典:Wines of Chile) ▲ワインメーカーのカ ロリーナ・エレナさん ◀試飲したワイン 4 た品種が栽培されている。 「 DON MAXIMIANO FOUDER'S て、よりチリの色を出 しているそうだ。 ~ ケ月フレンチオーク ha ha Limari Valley リマリ・ヴァレー 04 Maule Valley マウレ・ヴァレー 07 Elqui Valley エルキ・ヴァレー ha 20 Malleco Valley マジェコ・ヴァレー ▲ワインメーカーのフラ ンシスコ・ベッティング氏 ▶試飲したワイン 20 57 22 07 チリ 15 ha 」はカベルネ・ソーヴィ RESERVE 2007 ニョン %、プティ・ヴェルドー6%、カ 82 60 チリらしい味わいを アイコンワインで表現 アルゼンチン 12 ヴィーニャ・エラスリス さらなる 可能性を追求し 海へ山へ 20 CHILE ACONCAGUA VALLEY VIÑA ERRAZURIZ CASABLANCA VALLEY EMILIANA エミリアーナ 1986年創業のエミリアーナは、 2005年にドイツのデメテールより 南米初のビオディナミの認定を受けた ポ、コルチャグア、カサブランカ、ビ ワイン「 G」êをリリースしたワイナリ ーとして知られている。自社畑はマイ オ・ビオ、カチャポアル、リマリに合計 赤の名産地コルチャグア・ヴァレーで も、とりわけシラーとカルムネールに 適しているロブ・ロブレスのブドウを用 いているのがトップレンジの「 G」êと 」 。 「 COYAM 」とはネイティ 「 COYAM ブの言葉でオークという意味だそうだ。 「 G」êは1 当たりの収量が4トンに 」は4~5トンとい 対して「 COYAM 」はシラー %、 う。 「 COYAM 20009 カルムネール %、メルロー %、カベ ド比率は毎年変えており、 年ヴィン とし7品種をブレンドしている。ブレン ルネ・ソーヴィニョン7%をメイン品種 41 1200 あり、そのうち約半分がオ けており、残りの畑も移行中とのこと ーガニックやビオディナミの認定を受 だ。カサブランカ・ヴァレーのワイナリ ーは200 あり、白はソーヴィニョ ン・ブラン、マルサンヌ、ヴィオニエを、 赤はピノ・ノワール、メルロー、シラー を植えている。なお醸造所はコルチャ ha うだ。アルコール発酵はステンレスタン テージはマルベックを使わず6種類だそ 「 NATURA SAUVIGNON BLANC 月。赤い熟したフルーツのアロマ、スパ ンオーク %を使用し、樽熟成は ケ ブドウはよりミネラル感、シトラス感 現している。ファーストヴィンテージは まさにロス・ロブレスのテロワールを表 より感じられる。 とで、アプリコットのアロマやボディが 10 スタイルに変えているという。 インだったが、近年はよりエレガントな があり、これぞカラブランカ・ヴァレー 13 2001年で、当初はもっと男性的なワ 20 の特徴を表す 本。 「 ECO BALANCE 」はカサブラン CHARDONNAY 2010 カ・ヴァレーのシャルドネ %、マルサ カンオークを %だけ使用し、3ケ月 10 行う。フレンチオーク %、アメリカ ーに1ケ所あり、ここのブドウは収穫 」はカサブランカ・ヴァレーのソー 2010 ヴィニョン・ブランを100%使用。マ らなタンニンとのハーモニーが楽しめ、 イシーさ、バニラの甘さと香り、なめか クで、マロラクティック発酵はオークで 後すぐにコルチャグア・ヴァレーの醸造 使わない。太平洋からの影響を受けた ロラクティック発酵はせず、オークも 」と つ目がオーガニックの「 NOVAS 」 、 つ目がサステナブルの 「 NATURA 」 。 「 NOVAS 」は収 「 ECO BALANCE 量を1 当たり7トンで、より複雑さ、 ンヌ %使用。フレンチオークとアメリ さのあるヨーロピアンスタイルを、「 ECO 間熟成させる。マルサンヌが加わったこ ルを目指している。 」は収量 トンで、より力 BALANCE 強い伝統的なラテン・アメリカンスタイ 」は アロマを追求。一方、 「 NATURA 収量8トンでフレッシュさ、エレガント 85 3 80 テイスティングはコ ーディネーターツー リズモのアレハンド ラ・アルッチさんと ともに。 1 所に送られる。 同社のポートフォリオはトップレンジ ▲コンサルティング・ワインメーカーのアルヴ ァロ・エスピノサ・デュラン氏(右) ▲アグリカルチュアル・マネージャーのホセ・ギ リサスティ・ガナ氏(左) 」 、 がビオディナミの「 G」êと「 COYAM グア・ヴァレーに2ケ所、マイポ・ヴァレ 20 08 ha 29 ha ha 問い合わせはワイン・イン・スタイル株式会社/ tel.03-5212-2271 / www.wineinstyle.co.jp グルメジャーナル 69 15 2 ▲ビオディナミの肥料のプレパレーション ◀ブドウの樹の間にさまざまなハーブが植えられている。 ▶ここの労働者が「ソ ーシャル・リスポンシ ビリティ」の一環と して栽培する有機野 菜。それぞれの野菜 には作っている労働 者の名前が掲げられ ている。これは労働 者がワイン以外に自 身のプロジェクトを もち、それで収入を 得るというもの。 ▼畑の説明をする輸 出担当のニコラス・ポ ールマン氏。 ビオディナミ、オーガニックが生む プレミアムワイン ▲トライアルだそうだが鶏を放し飼いにしており、独自の方法で害虫除け対策をとっている。 (左)/カサブランカ・ヴァレーにあるエミリアーナ(中) 「サンタ・アリシア」は、マイポ・ヴァレ 約700メートルの「ピルケ」 、サンチャ ルーンやチョコレート、マイ ル・ヴァレーに合計724 所有する。ポ ランカの他、マイポ、ラペル、カチャポア は、同地の開拓者的存在。自社畑はカサブ ルピーア」はサンチャゴの南西の沿岸地方 にあり、海抜130メートルで 層の異な ワインのポートフォリオはレセルヴァ、 った土壌から成る。 ブレンド、プレミアム、そしてトップライ ック発酵後、 ケ月間フレン チオークで熟成させ、酸味と タンニンのバランスがよいワイン。 「カルメネーレは力強い土壌がよく、も ートフォリオは、パイオニア精神が詰ま った「 PIONERO 」 、ブドウをセレクトし た「 RESERVA 」 、収量を抑え、白はフレ ンチオークで9ケ月、赤は ケ月熟成さ ルの「 HOUSE OF MORANDÉ 」 。 カサブランカ・ヴァレーのベレン・エステ せ る「 GRAN RESERVA 」 、限 定 生 産 の 「 EDICION LIMITADA 」 、ボルドースタイ 房のブドウの実が少なくなり問題を引き 地。熟すのは遅いもののフルーティさ、き ートは海岸に近く、気温が低い冷涼な土 し花崗岩が多かったり、涼しい気候だと1 」はアルコール発酵とマ Chardonnay 2010 ロラクティック発酵をフレンチオークで行 起こします。また灌漑も非常に大切です」 ト。ここと比較するとカ ャーがチリの中でもベス ンのタンニンとストラクチ 「カベルネ・ソーヴィニョ ンの聖地ともいえるアルト・マイポ。 マイポ・ヴァレーでカベルネ・ソーヴィニョ イルにしている。 発酵を %ほどして、よりオーキィなスタ みにグラン・レセルヴァはマロラクティック れ い な 酸 が 特 徴 だ。 「 CHARDONNAY とチーフワインメーカーのデヴィッド・ ゴンザレス氏。トップレンジの「 Millantú クのアロマ、果実の厚み、フレッシュな酸 とのバランスが楽しめる。 「 Gran Reserva 」はカベルネ・ソーヴィニョンを主体 2007 にカベルネ・フラン、カルメネーレを使用。 ブドウは3つの畑からベストなものを選 」はマロラクティック発酵 RESERVA 2009 はせず、クリーンでクリスピーな味。ちな い、6ケ月間フレンチオークで熟成。オー ン の「 Millantú 」 な ど。 「 Gran Reserva 」 Reserva Carménère 2008 (日本未発売)はマロラクティ ポ・ヴァレーの特徴であるメ ブランカ・ヴァレーに創業されたモランデ 1996年パブロ・モランデによりカサ モランデ ゴの西の太平洋との中間にある海抜200 」はフ レン Sauvignon 2008 チオークで ケ月間熟成。プ MORANDÉ メートルの「マリア・ピント」 、そして「メ 問い合わせは木下インターナショナル株式会社 tel.075-681-0721 www.kinoshita-intl.co.jp ンソールのアロマも。 「 Gran ーに合計110 の3つの畑をもつ。海抜 カサブランカ・ヴァレー のパイオニア ha 16 リフォルニアの方がスイートとジャムの甘み モダンな雰囲気のハウス・オブ・モランデ・レス トラン。 があります」とワインメーカーのリカルド・ ベッティング・イタルゴ氏。 「 CABERNET 」はソフト SAUVIGNON RESERVA 2009 なタンニンでフィネスがあり余韻が長い。一 方「 CABERNET SAUVIGNON GRAND ポらしい味わい。またカベルネ・ソーヴィニ 」は熟した赤い果実、ブラ RESERVA 2009 ック・ペッパーの香りもあり、アルト・マイ ョンを主体にブレンドする「 HOUSE OF 」はカベルネ・ソーヴィニ MORANDÉ 2006 ョン %、カベルネ・フラン %、カリニャ ン8%。複雑で、 凝縮した味わいが楽しめる。 年のカリニャンがあり、この樹からチリ ちなみにモランデはマウレ・ヴァレーに樹齢 またユニークなのがカサブランカ・ヴァレ では珍しいカリニャンもリリースしている。 ーのソーヴィニョン・ブランを使用した甘口 ワイン。ボトリティス菌がついたのは、これ まで2000年と 年のみという。 「チリで唯一トカイスタイルを目指してい て、これは4プットニョス(残糖 g/ℓ) 。 カサブランカの霧、そして 月の湿気がボ ポイントです」 。いかにも トリティス菌がつくキー カサブランカ・ヴァレーの パイオニアらしい試みだ。 70 グルメジャーナル 問い合わせは株式会社日食 tel.06-6313-1341 http://www.nisshoku-foods.co.jp/ ▼▶試飲したワイン ▶モランデ リゼルバ シャルドネ2009 CASABLANCA VALLEY 20 」はフレンチオークで ケ月熟 Merlot 2008 成。きれいな酸、ソフトなタンニンとボリ び、フレンチオークで ~ ケ月熟成させ る。タンニン、酸味、ストラクチャーのバ ランスのとれたパワフルな味わいだ。 「マイポ・ヴァレーはアルコール度数が ール度数を少し下げるよう試みています」 とさらなる質の向上に向けてゴンザレス氏 90 16 19 2 ▲カベルネ・ソーヴィニョンの畑(上)1954年創 業のサンタ・アリシア。 (下) 14 度以上と高くなりがちなので、今、アルコ 14 07 サンタ・アリシア ューム感がある。 「 Gran Reserva Cabernet チーフワインメーカーのデヴ ィッド・ゴンザレス氏。 73 マイポ・ヴァレーの テロワールを表現 2 12 60 10 10 は熱く語った。 ◀ワインメーカーのリカルド・ベッティング・イタルゴ氏。兄はエラスリスのワインメーカーだ。 MAIPO VALLEY SANTA ALICIA ha 1883年ドン・メルチョー氏によって 創業され、現在は北から南まで の自社畑 をもち、合計9300 を誇る世界第 位 の規模のワイナリー。 「 CASILLERO DEL 」レンジは同社のキーアイテムで DIABLO 種類以上のバラエティがあり、2007 年にはリマリ・ヴァレー産のブドウを使った スパークリング「ブリュット・レセルヴァ」 も リ リ ー ス し て い る。 「 MARQUES DE 」レンジはブドウ品種の CASA CONCHA キャラクターを引き出したもので、その「カ ベルネ・ソーヴィニョン」は、マイポ・ヴァ レーのプエンテ・アルトのカベルネ・ソーヴ ィニョンを使用。同じくプエンテ・アルトのカベルネ・ソーヴィニョ ンを使用しているのがアイコンワインの「 DON MELCHOR 」 。 年 ヴィンテージはカベルネ・ソーヴィニョン %、カベルネ・フラン2% ~3トンに抑えており凝縮した味わい。 年はまだ若い印象だ。 「タ 1870年創業のバルディビエソは、 チリ及びラテンアメリカで最初にスパ ークリングワインを生産したワイナリ ーとして知られている。クリコ・ヴァレ ーではスティルワインを、スパークリ ングワインは首都サンチャゴにある醸 造所で行っている。 「 BRUT NATURE SPARKLING 」はクリコ・ヴァレーの山側のシ WINE ャルドネ %とピノ・ノワール %を使 用し、瓶内熟成は ケ月。ソフトでク リーミィ、ミネラル感がありパワフル な印象。ちなみに「 BRUT ROSE 」は 昨年からリリースしたものでドゥミ・セックスタイル。国内市場で人 気が高いという。2005年からリリースしている「 CABERNET 」はコルチャグア・ヴァレーのカベル FRANC SINGLE VINEYARD ネ・フラン100%の非常にレアな 本。スパイシーでペッパー、黒 い果実の風味がある。もう1つ珍しいのがカリニャンを主体にムー ルヴェードルとシラーを使った「 Eclat 」 。熟した果実味、リッチで スパイシー、しっかりしたストラクチャーのワイン。近年チリでは キロのマイ スパークリングはマイポ、 スティルワインは クリコ・ヴァレー カリニャンを使ったワインが増えつつあるという。 首都サンチャゴから南に 40 ha バコやレザーのアロマがあり、リッチでソフトなタンニン。これこ 60 1 10 のブレンドでフレンチオークで ケ月熟成。収量を1 当たり ・ 2 バルディビエソ ポ・ヴァレー、アルト・ハウエルに1880 り5~6トンと抑えており、フレンチオー クの新樽と 年物、 年物を3分の1ずつ使用し ケ月熟成させる。 ワインの「 CASA REAL 」は、マイポ・ヴァレーにある樹齢 年の シングル・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニョンを100%使用。 1 当たり収量はわずか4トンで凝縮した風味。今回、 年と 年 60 05 ヴィンテージを試飲したが、 年はレンガ色だが酸味はフレッシュ 97 ha MAIPO VALLEY VALDIVIESO 年に創業したサンタ・リタ。自社畑は北か らリマリ、カサブランカ、レイダ、ラペル、 以上ある。年間生産量は130万ケース アパルタ、クリコ・ヴァレーに合計3000 「 MEDALLA REAL 」で、このカベルネ・ ソーヴィニョンはアルト・マイポの樹齢 年 ~ 年のものを %使用。収量は1 当た 20 ha ハーブ、ペッパーのアロマとなめらかなタンニンが特徴。アイコン 12 世界第3位の規模を誇る 老舗ワイナリー そがプエンテ・アルトの特徴です」とテイスティング担当のマシモ・ ▲試飲したワイン 古い畑のセレクトしたブドウを使うのが イナリーの1つとなっている。 70 あった。 年はまだ紫色でタンニンがソフトでチェリーやフランボ で生き生きしていたのが印象的だ。ハーブやタバコ、ミネラル感が 97 コンチャ・イ・トロ レオノリ氏。 40 で世界 ケ国に輸出し、チリ最大規模のワ ha 25 ワーズの風味。マイポ・ヴァレーを物語る 本だ。 グルメジャーナル 71 マイポ・ヴァレーを物語る カベルネ・ソーヴィニョン 2 49 ▲テイスティング担当のマシ モ・レオノリ氏。 ◀試飲したワイン。 ▼ワインメーカー&マーケ ティングPR担当のマリア・ セシリア・ピノさん。 80 1 ▶アジア担当のクリス チャン・ソトマイヤー氏 サンタ・リタ 1 05 3 07 5 98 07 15 24 試飲したワイン MAIPO VALLEY VIÑA SANTA RITA ha MAIPO VALLEY CONCHA Y TORO マイポ・ヴァレーをはじめ、アパルタやカ サブランカ・ヴァレーなどに合計1600 の自社畑をもつヴィーニャ・ベンティスケロ。 100 の新しい畑をもち、昨年ピノ・ノワー レイダでは海岸からわずか7キロの場所に、 ばかりという。 ルやソーヴィニョン・ブランを %ほど植えた ここでユニークなのがオーストラリアのペ ンフォールドのワインメーカーだったジョン・ デュヴァル氏をコンサルタントに迎えてリリ ースした「 VERTICE 」 。チリらしさを出す ためにカルメネーレとシラーのブレンドにし、 アパルタの中でも標高の高い、つまり冷涼な サンタ・クルスから南西に自動車で 分ほ どのロロイという町にあるヴィーニャ・サン 人の若き女性醸造家カロリーナ・ブランコさ タ・クルス。ここは2009年からスペイン んが指揮をとる。着任して最初にブランコさ とし、完熟したブドウを使うことだ。自社畑 んが手がけたことは、ブドウの分析をきちん は161 あり、カベルネ・ソーヴィニョンを 植えていたところに、コルチャグア・ヴァレー ネーレに植え替えているという。ワインのポ の特色を打ち出すために、現在一部をカルメ ートフォリオは「 CHARMAN RESERV 」 A 「 CHARMAN GRAN RESERV」 、そして A 数品種をブレンドする「 TUPU EDICION LIMITADA 」 。 「 TUPU のだ。 「ここは海岸にも近いため、アルゼンチンのマルベックよりも複雑さ かテンプラニーリョにも挑戦したいそうだ。 や収斂性がなくエレガントな味わいになります」とブランコさん。いつ 72 グルメジャーナル 15 26 オークの新樽で ケ月熟成。フレッシュさとフルーティさを追求したも 26 気候のブドウを使いエレガントで凝縮した味わいに仕上げた。 年ヴィ ヴィーニャ・サンタ・クルス 」はシラー ・ %、カルメネーレ %、 EDICION LIMITADA 2008 カベルネ・ソーヴィニョン %、マルベック ・ %を使用し、フレンチ 5 5 27 20 ンテージはカルメネーレ %、シラー %のブレンドで、ソフトなタン ニンと酸味のバランスがとれている。 もう1つデュヴァル氏とのジョイントで生まれたのが「 PANGEA 」 。 これは標高300メートルのアパルタのシラーを 00%使用し、アパ M わずか140 だけで、すべて赤品種を植え 当たり 若き女性醸造家が目指す フレッシュ&フルーティな赤 16 80 ha ルタらしいシラーの味を追求したものだ。一方、チーフワインメーカー アウレリオ・モンテスとダグラス・ムライに よって1988年に創業されたモンテスは、 チリのプレミアムワインの先駆者であり、ア イコンワイン「 MONTES ALPHA 」は、 その代名詞ともいえる。コルチャグア・ヴァレ ーにあるラ フ・ィンカ・デ・アパルタ・エステート は600 のうち、植栽が終わっているのは ている。 「 わが 社 は 高 密 植 が 特 徴で1 4年前にムールヴェードル、グルナッシュ、 シラーを高密植で植えましたが、まだリリー M けたもの。カベルネ・ソーヴィニョン %、カベルネ・フラン %、メル 部長のカルロス・セラーノ氏。 「 MONTES ALPHA 2007 」は創業者 アウレリオの息子のアウレリオ がチーフワインメーカーとなって手が ありパワフルな仕上がり。アパルタを育ててきた造り手たちの熱い思い が伝わる。 COLCHAGUA VALLEY VIÑA SANTA CRUZ ▼試飲したワイン 品種とテロワールでチリ らしさを追求 のフェリペ・トソ氏が手がけるカサブランカ・ヴァレーのピノ・ノワールを アイコンワインの先駆者 ロとプティ・ヴェルドーを5%ずつブレンドし、 ケ月間フレンチオー 10 ヴィーニャ・ベンティスケロ 使った「 Herú 」も秀逸。より冷涼な花崗岩土壌で育つブドウを用いて おり、ソフトなタンニンでエレガントな味わいとなっている。 モンテス スしていません。どんなスタイルのワインを造るか思案中です」と輸出 COLCHAGUA VALLEY MONTES クの新樽で熟成させている。ソフトなタンニン、きれいな酸と果実味が 18 ha 試飲したワイン ▲アウレリオJr ▶試飲したワイン 1万4000本。これは普通の2倍以上です。 ha ha 1 51 ha ▲醸造家のカロリー ナ・ブランコさん (右) とコマーシャル担当の エミリオ・カルドン氏。 ▶ヴィンヤードはカフ ェやレストランも併設 している。 「サンタ・ク ルス」はホテルや観光 業などを手がける「ア ルマクルス」グループ の1部門で、 「ホテル・ サンタ・クルス」は同 系列グループである。 ha 80 49 ▼チーフワインメーカーのフェ リペ・トソ氏はプレミアム・レン ジと新プロジェクトを担当。 ▲風水を取り入れたワイナリーの建物 ▶カルロス・セラーノ氏 Jr. 07 MAIPO VALLEY VIÑA VENTISQUERO COLCHAGUA VALLEY CALITERRA カリテラ カリテラは1996年、ロバート・モ ストラクチャーがある。 ァレーの樹齢 年のソーヴィニョン・ ョン・ブラン 2010」はクリコ・ヴ 白品種はカサブランカ、マイポ及びク ワインのポートフォリオ「カリテラ・ 「カリテラ・レセルヴァ・ソーヴィニ レセルヴァ」は自社畑のセレクトしたブ リコ・ヴァレーで栽培している。 代目当主エデュアルド・チャドウィック ンダヴィとヴィーニャ・エラスリスの5 によってコルチャグア・ヴァレーに誕生 ー。2004年にヴィーニャ・エラスリ したジョイントベンチャーのワイナリ トさを追求したもの。またプレミアムレ ンオークで熟成させ、複雑さとエレガン ドウを使い、フレンチオークとアメリカ フレッシュさが楽しめる。 シトラスのキャラクター、ミネラル感、 ック発酵はせず、オークも使わない。 ブランを100%使用。マロラクティ 「クリコ・ヴァレーは山と海側ではや ンジの「カリテラ・トリビュート」はシン や違いがあり、ここの畑は山側に近く、 き継ぎ、新たな一歩を踏み出した。そ チオークとアメリカンオークで ケ月熟 グル・ヴィンヤードがコンセプト。フレン スがモンダヴィ家から残りの株式を引 ステナブルな(持続可能な)ワイン造 の取り組みの1つが環境に配慮したサ のガブリエル・カンシーノ氏。ちなみ アロマがあります」とワインメーカー パッションフルーツのような凝縮した カサブランカ・ヴァレーのシャルド にレイダのソーヴィニョン・ブランは、 成させる。 ネを比較してみる。 「カリテラ・レセル 「丘がいわば自然の要塞となり、自 社畑が他社の畑と隔離されているので、 よりクリスピーで、シャープな味わい りである。 オーガニックが実践しやすいのです」 母を %使いトーストのような香り。 は手付かずの自然のままだ。 がオ ーガニックの畑で、カベルネ・ソーヴィ ティック発酵させている。前者と比べ シャルドネを使用。 ~ %マロラク ネ 2009」は「マイテナル区画」の 方、 「カリテラ・トリビュート・シャルド フレッシュできれいな酸が特徴だ。一 ネ・ソーヴィニョン %にシラー、カ ィンヤード「クイレイ区画」のカベル コルチャグア・ヴァレーのシングルヴ ベルネ・ソーヴィニョン 2009」は という。 「カリテラ・トリビュート・カ ヴァ・シャルドネ 2010」は野生酵 %ほどマロラクティック発酵させて れている。2010年にオーガニックの 氏。現在1086 の自社畑のうち栽 と語る栽培担当者のマルセロ・ウガルテ 14 ルメネーレ、プティ・ヴェルドーをブ ルという。アメリカンオーク %、フ ルネ・ソーヴィニョンが育つテロワー レンド。この畑は最も素晴らしいカベ 新しい肥料。隣には1年熟成させた黒々とした 自家製肥料があり、3年ごとに1回、20haず つ順番に肥料を与えてゆくという。ちなみにこ の肥料は圧搾した後のブドウの種や果皮、果梗、 馬の糞などで、5月から10月までの間に畑にま くそうだ。 るとより熟した果実味、ミネラル感と 25 培しているのは275 だけで、残り 25 ニョン、カルメネーレ、シラーが栽培さ 10 認定を受け、今年はこれら100%オ 89 レンチオーク %で熟成させ、複雑な 60 ーガニックのブドウを使用したワイン 現在栽培しているのはカルメネーレ、 が初リリースされるという。 カベルネ・ソーヴィニョンを中心にメル 画でカベルネ・フラン、そしてアイコン ロ、マルベック、シラー、わずかな区 唯一の白品種ヴィオニエ。こうした栽培 ワイン用で高品質のプティ・ヴェルドー、 はまずは航空写真を撮り土壌を分析す る。また収穫も航空写真を撮り、区画 アロマ、凝縮した味わいが楽しめる。 コルチャグア・ヴァレーに見られる ようにチリでは近年、各社が競ってプ レミアムワインをリリースするほどの 名醸産地となっているが、カリテラも、 その名の通り(スペイン語の品質「カ リ」と大地「ティエラ」を組み合わせ カリテラ・レセルヴァ・シャルドネ カリテラ・トリビュート・カベルネ・ソーヴィニョン カリテラ・レセルヴァ・ソーヴィニョン・ブラン 丘から畑を望む。小山 の左に55haのオーガ ニック畑がある。 15 40 た)高品質なワインを追求している。 グルメジャーナル 73 20 55 ha ha ha ごとに日程を決めているそうだ。一方、 問い合わせはアサヒビール株式会社/ tel.0120-011-121 / http://www.asahiwine.com 環境を重視したプレミアムワイン造り ▲ワインメーカーのガブリエル・カンシーノ氏。(左)/ブドウ栽培担当のマルセロ・ウガルテ氏。 COLCHAGUA VALLEY CONO SUR コノスル セラー ▲サンタエリサの畑 ◀ピジャージュのマシン。 だいたいピジャージュは 5日間くらいするそうだ。 (左・中) コルチャグア・ヴァレーのチンバロン オンは、カルメネーレの場合は 時間 ンスのとれた風味が特徴だ。マセラシ から 時間もかけるという。 ゴ( 〝霧の多い谷〟という意味)にヴィ 霧がブドウ畑を包み込む。この冷涼さ、 スル。視界もままならないほど濃い朝 でマセラシオンはしません」(リオス氏) 間くらい。メルロはダイレクト・プレス ですが、一方シラーはソフトなので 時 「カルメネーレは皮がかたく難しいの ンヤード「サンタエリサ」をもつコノ 寒暖の差が質の高いブドウを生む。訪 12 問した 月上旬はちょうど収穫期で、 16 アントニオからトラックで4、 5時間か 」用のピノ・ノワ アイコンワイン「 OCIO ールがカサブンランカ・ヴァレー、サン・ 」やプレミアムワイ コンワイン「 OCIO て、またピノ・ノワールでチリ初のアイ ノ・ノワールの畑をもつワイナリーとし さて、コノスルはチリで最も古いピ けて朝運ばれたばかりだった。ブドウは 性的でよりエレガントです」と2つの 00%フレンチオークの新樽で ~ ノワール、リースリングを使用。シャル ー、 %がサン・アントニオを使用。1 「 バレルスの方がより熟しており男 3~4℃にキープされており、 人体 半分がオーガニックで残り半分がオー 「肥料も自家製で牛糞、牛乳、砂糖 ケ月間熟成させる。一方、 「 20 Barrels ドネの3分の1はフレンチオークで発 」はビオ・ビ 「 Sparkling Wine Brut オヴァレーのシャルドネを主体にピノ・ をブレンドし発酵させた〝スーパー・マ 」は Limited Edition Pinot Noir 2008 カサブランカ・ヴァレー産のブドウを使 発酵させてからブレンドする。このビ 14 14 15 ▲チーフワインメーカーのアドルフ ォ・ウルタード・セルダ氏。 月末に収穫予定です」とリオス氏は ビオ・ビオヴァレーの内陸だけ。今年は 「ボトリティス菌が付くのは唯一この そうだ。 ングのレイト・ハーベストを試みている 丘の下の区画では、昨年からリースリ は丘の上と区画を分けている。そして パークリング用は丘の下、レゼルヴ用 オ・ビオヴァレーのリースリングは、ス 酵させるが、他はタンクで別々に二次 グロ〟を与えています。これは通常の 用。こちらも100%フレンチオーク はビオ・ビオヴァレーまで合わせると合 計1200 となる。また、昨年アコ ンカグア・ヴァレーの標高1000mの 場所に150 の土地を購入し、今年 1月に赤品種を植えたそうだ。 コルチャグア・ヴァレーは赤の産地と して名高いが、ここのカルメネーレを 主体にシラー、メルロをブレンドしたロ 新たな試みを語ってくれた。 6 ha ha ゼも赤のように力強く、酸味とのバラ 12 肥料の 倍もの効果があります」と語 るワインメーカーのマティアス・リオス の新樽で、 ~ ケ月間熟成させる。 ガニックに転換中の畑だ。 85 15 サンタエリサは300 の畑のうち、 ha 氏。なお自社畑は、北はリマリから南 15 制で選果される。 性的。オシオはソフトなタンニンで女 ▲試飲したワイン ▶アイコンワインのオシオ 」をリリースしたピノ・ ン「 20 Barrels ノワールにこだわりをもつワイナリー 20 比較をするリオス氏。 4 」 としても知られている。 「 OCIO 2009 のブドウは %がカサブランカ・ヴァレ 4 10 74 グルメジャーナル 問い合わせは株式会社スマイル/ tel.03-5998-2400 / http://www.smilecorp.co.jp/ 新しい試みで 常に挑戦し続ける ◀自 家 製 肥 料 ス ー パ ー マグロを見せるマティ アス・リオス氏。(右) CACHAPOAL CAMINO REAL VALLEY カミノ・レアル ▶カベルネ・ソーヴィニョンの畑 ▼社長のホセ・ラバルカ氏(左)と栽培責任者のウリセ ス・ギルヴェット氏。 カチャポアル・ヴァレーの北、首都サ ンチャゴから約 キロの場所にあるカミ 100 あり、うち がクオリティ ワイン用で「ラス・カサス」という区画だ。 ノ・レアルは創業 年になる。自社畑は 70 40 」ブランドとなる。 TIERRA 「 CAMINO DE TIERRA CHARDONNAY 」は洋梨、リンゴ、グレープフル 2010 ーツのアロマで厚みのある味わい。クリ 「 CAMINO DE TIERRA CABERNET ーンでフレッシュな酸味が特徴。 質を含んだミネラル豊富な層という3 ドウに多様性を与えて、さまざまなス を求めて地中深く張る。これこそがブ あり、今がまさに飲み頃の 本。 カシス、チェリーの赤い果実のアロマが きれいな酸のバランスのとれたワイン。 18 タイルを生むのだという。また、ここは 層の構成で、ブドウの根がミネラル分 土壌は上から粘土質、岩石、岩石や砂 40 ha 」はステンレスタン SAUVIGNON 2010 クで ケ月熟成。ソフトなタンニンと ha 海抜550メートルで冷涼だが霧は発 「決してグリーンでなく、よく熟して 者にも分かりやすいこと。これこそが して酸とのバランス。複雑でなく消費 目指している新しいスタイルです」と いるが、それが甘い印象にならず、そ を見たが、フランス人のワインコンサル 語るデュブリュ氏。こうした新しいス 生しないという非常にユニークな土地だ タントのフィリップ・デュブリュ氏によ タイルの追求は他のレンジでも行う予 」の カ 定 だ。 た と え ば「 RESERVE ルメネーレはこれまでフレンチオーク とだった。なお栽培責任者のウリセス・ 質の高いブドウを作る努力を惜しまず、 ギルヴェット氏は 年間この畑で働き、 100%だったが、今後はアメリカンオ カミノ・ディ・ティエラ・カベルネソーヴィニョン カミノ・ディ・ティエラ・シャルドネ ドリゲス・ヒル氏とともに同社社長のホ ュ氏は、もう一人のワインメーカー、ロ 任した。なお、ラバルカ社長によると セ・ラバルカ氏から品質向上を託され着 うで、さらなる国際市場開拓に意欲を 近いうちにワイナリーを新しくするそ なチリアンスタイルを目指してゆく。 「オークを使っていても、決してオー スタイルにしばられず、もっとリッチ のレンジに通じる哲学を語るデュブリ を短めにするなど、伝統的なフレンチ % 以 上 を 輸 出 して お クが前面にでるのでなく、凝縮した味 燃やしている。 国、フィンランド、韓国だ。なおチリ わいとフルーティさ、そしてきれいな 」として販売されて で「 VARIETAL いるものが、日本では「 CAMINO DE り、最も大きな市場が日本、続いて中 る。生産 量の 」 予定という。 「 GRAND RESERVE にしてもフレンチオークでの熟成期間 とアイコンワインを含めて、すべて 酸をキープすることが重要です」 試飲したワイン たプライベートラベルも 手 がけてい ーク、またハンガリアンオークも使う デュブリュ氏の信頼も厚い。 ると、5月の初旬まで収穫を待つとのこ そうだ。カベルネ・ソーヴィニョンの畑 1 」 、 「 」 、 「 RESERVE GRAND RESERVE 」 、ま アイコンワインの「 ANDRAKA 」 、 ポートフォリオは「 VARIETAL 32 80 問い合わせは株式会社リョーショクリカー/ tel.03-3767-4850 / http://www.rsliquor.co.jp/ グルメジャーナル 75 チリワイン・ルネッサンス! 日本とともに歩む伝統的 チリワイン生産者の新スタイル ▲フィリップ・デュブリュ氏(右) とロドリゲス・ヒル氏 サン・アントニオ・ヴァレーのレイダは新 しい産地で、冷涼な気候と砂質粘土ローム の土壌が質の高い凝縮した味わいを生む。 ヴィーニャ・ガルセス・シルヴァの自社畑は 海岸からわずか キロの場所に エーカー あり、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラ ン、ピノ・ノワール、シラーなどを栽培して いる。 「 AMAYNA SAUVIGNON BLANC 」は熟したトロピ BARREL FERMENTED カルフルーツのアロマ、ミネラル感、フレ ンチオークのエレガントなバニラ香が楽し める。 ▶コーンと挽肉料理 ▶チキンのスープ。牛肉バージョンも有名。 ◀大きなエンパナーダ。 ティナさんは生地も 手作りだ。 「ドーニャ・ティナ」のオーナーで料理人のティナさんとサー ビス担当のお孫さん。ティナさんはチリの著名な料理人。サ ンチャゴにチリの伝統料理レストランを開いている。後ろに 見えるのが伝統的な窯。 2006年ノルウェーの実業家アレキサン 成させる。ブラックベリーやブルーベリーの アロマ、スムースなタンニンとフレッシュさ、 ストラクチャーのあるワイン。 2010年のバレルサンプルを試飲させて 違いが比較できる。カルメネーレは北部で栽培されているものはハーブ クなのか、そして土壌違いによる酸味やタンニンの強さ、ミネラル感の やスパイスの香りがあるが、南の方がより冷涼になるためタンニンがソ フトでミネラル感がある。このように区画ごとに違う樽で熟成させて、 によってマイポ・ヴァレーのチョルキ・ヴァ レーに設立。2年がかりで探し出した土地 はマイポ川から9キロ、太平洋から キロ と完熟するのを助け、特にメルロとカルメ ネーレに最適な土壌という。 「 CHOLQUI 」は凝縮して、ハーブの香 MERLOT 2008 りもあり、きれいな酸が特徴。フレンチオ ークで熟成させるが、オークがフルーツの アロマを隠さないようエレガントな仕上が りにしている。 76 グルメジャーナル ダー・ヴィックにより、カチャポアル・ヴァレ ーに創業された若いワイナリー。自社畑は ケ所に合計4300 所有する。 トーストのフレンチオークの新樽で ケ月熟 メルロ、シラーをわずかにブレンド。ミドル ーヴィニョン %を中心にカベルネ・フラン、 2009」はカルメネーレ %、カベルネ・ソ フ ァ ー ス ト ヴ ィ ン テ ー ジ の「 V I K 12 もらう。同じ品種であっても、どのクローンなのか、どのルーツストッ 新進ワイナリーが表現する カチャポアル・ヴァレーの味 それらをブレンドし、再び同じ樽に戻す。なお同社は来年、新しいモ 37 1996年、パトリシオ・パラシオス氏 試飲したワイン ヴィーニャ・ヴィック ダンなワイナリーを建設するそうだ。 12 の場所にあり、夏の風がブドウがゆっくり 30 16 ▶チーフワインメーカ ーのクリスチャン・ヴ ァヘージョ氏(右) 冷涼なレイダが育む ミネラル感 エレガントな メルロとカルメネーレ 35 63 ▶ヴィック2009 (左) ヴィーニャ・ガルセス・シルヴァ サンチャゴのブラン ドアバウトのオフィ スで試飲をした。左 がヴィーニャ・ガルセ ス・シルヴァのジェネ ラルマネージャーの マウリシオ・フィガリ 氏。右がヴィーニャ・ トレ・パラシオスの 代表取締役パトリシ オ・パラシオス氏。 ヴィーニャ・トレ・パラシオス ha ▲ヴィックの畑 SAN ANTONIO VALLEY VIÑA GARCES SILVA MAIPO VALLEY VIÑA TRES PALACIOS CACHAPOAL VALLEY VIÑA VIK %を生産するワイン産業の中枢とも ドーサ州は、アルゼンチンワインの 産地がある。その中でも中央部のメン 中央部、南部に分けられ、7つの主要 アルゼンチンワインの産地は北部、 では標高1000メートル以上の冷涼 ワインをリリースしている。また昨今 ニンを引き出したマルベックを使った クで、各ワイナリーではソフトなタン メンドーサ州の主要品種はマルベッ アルゼンチンワインの中枢 メンドーサ ARGENTINA MENDOZA ージョのさらに南西でアンデスの麓に のルハン・デ・クージョ、ルハン・デ・ク ーサ市から南東に広がるマイプ、南西 いえる土地だ。メンドーサ州はメンド で、モスカテルやライチなどのエキゾ 代表する品種で白といえばトロンテス 目されている。なおアルゼンチンを ーヴィニョン・ブランなどの栽培が注 なウコ・ヴァレーでピノ・ノワールやソ サルタ州が有名だ。 チックなアロマが特徴で、これは北部 近いバジェ・デ・ウコ(ウコ・ヴァレー) 、 さらに南にあるサン・ラファエルの4 つの地区に分けられる。 グルメジャーナル 77 80 MENDOZA TRIVENTO トリベント ▶左はワインエデュケーター のフランシスコ・ブラニョーリ 氏とアジア・オフィスコーディ ネーターのガストン・カルタビ アーノ氏。 ▼チーフワインメーカーのフ ェデリコ・ガルデアーノ氏 マイプのロス・ヴィントス・ヴィンヤードに建つ トリベント社。年間生産量は75万リットル チリの名門コンチャイ・トロ・グルー 1300 所有しており、それぞれの ョ、ウコ・ヴァレー、東部地区などに約 テロワール、ミクロクリマを 重視したワイン造り プが1996年にメンドーサのマイプ 年 ロン ド ンで 開 催 さ れ た I W S C に創業した「トリベント」 。2009 同じ品種であっても、東部地区産と冷 適な品種を選んで栽培している。また 地域の標高やミクロクリマによって最 ー産では熟し方、酸味やアロマが異な を区画ごとに管理し、収穫時には航空 ってくる。このようなテロワールの特徴 涼で昼夜の寒暖の差があるウコ・ヴァレ ( I nt er na t i ona l Wine & S pir it )で、最も名誉ある「 Best Competition 」を受 Argentinean Wine Producer 賞し、名実ともに数あるアルゼンチン 写真を用い、トップキュヴェの畑では衛 たとえば、先ほどのパーカーの本でベ で世界100ケ国に輸出し、今やアル て収穫している。1回目はミネラル感 ルドネを100%使用し、3度に分け 」の2009年 Reserve Chardonnay ヴィンテージは、ウコ・ヴァレーのシャ ここはメンドーサ川からのフラット式 新樽で熟成させており、複雑な赤い果 ムの技術と経験を注いで、世界有数のマ ジョのテロワールを表現している。 78 グルメジャーナル 問い合わせは東亜商事株式会社 酒類事業部/ tel.03-3294-4075 / http://wine.toashoji.com ワインメーカーの頂点にたつメーカー だ。また、ロバート・パーカーの『ワイ 分析するという。 房刊)のなかでも、トリベント社のワ ストバリューにも選ばれている「 Golden 星写真まで用いて最適なタイミングを ンの帝王ロバート・パーカーが薦める 世界のベスト・バリューワイン』 (早川書 インが選ばれているように、創業 年 ゼンチンワインの顔ともいえるワイナ で国際的に高い評価を得ている。そこ リーに成長した同社の躍進の理由を探 マ、スパイシーさ、そしてタンニンのバ 実のアロマ、スパイシーさ、ダークチョ ha 試飲したワイン 灌漑を施している。 「 Golden Reserve 」はフレンチオークの新 Malbec 2008 樽 %で ケ月間熟成。プラムのアロ 回目はフルーティさとフレッシュ感を得 ランスのとれた味わいとなっている。一 と酸度を高めるために2月中旬に、2 まず その理 由の1つは自 社 畑にあ るために3月初旬に、3回目はその2 るべく訪問した。 る。同社はマイプ、ルハン・デ・クージ アイコンワインはそのワイン造りの技 フェデリコ・ガルデアーノ氏率いるチー 術と情熱、そしてテロワールが結実し 」のマルベックは、どちらもル Reserve ハン・デ・クージョの標高910mの場所 ルベックに適した土地、ルハン・デ・クー 20 ha 」用だ。なお、 りすぐりの4 が「 Eolo 91 凝縮感がある。チーフワインメーカーの にある の畑のブドウを使用。樹齢 は 歳という古木で、実はこの畑の選 コレトのアロマ、そして前者よりもより 18 」と「 Golden たものといえる。 「 Eolo だわりようだ。 」はマルベック 方、 「 Eolo Malbec 2007 100%で、 ケ月間フレンチオークの 20 ha 週間後に完熟したものを摘むというこ 50 15 4000樽の70%はフレンチオーク、残り はアメリカンオーク。アメリカンオーク はシラーのみに使用。 イギリス人エンジニアのサー・エドムンド・ ◀試飲したワイン(右) ◀試飲をアテンドしたマーケッティ ング担当のセシリア・フローレス さん(左) ボデガ・イ・カバ・ド・ワイナートは1890 年オテロ家によって創業。自社畑はルハン・ デ・クージョに 所有し、ブドウの %は 同エリアの栽培農家より購入している。ワイ リオはブレンドの「 CARRASCAL 」 、品種 の特徴を生かした「 WEINERT 」など。メ ルロやカベルネ・ソーヴィニョンは樹齢 年 のヒューバート・ウエーバー氏。ポートフォ ンメーカーはスイス人ワインコンサルタント 20 ha ノートンによって1895年、メンドーサの 南ルハン・デ・クージョで創業。1989年に オーストリア人実業家でクリスタルのスワロ ーが買収した。 つの畑で合計1200 所 フスキー家のゲルノ・ランゲス・スワロフスキ 有しているが、ワインを生産しているのは、 そのうち730 で、現在は500 分のブ ドウを契約農家から購入している。 ス パ ー ク リ ン グ ワ イ ン「 PERDRIEL ショナルで造られる。ピノ・ノワール由来の赤 いフルーツのアロマ、エレガントさがある。 「 PRIVADA MALBEC 」 はマルベック100%。ルンルンタの畑には樹齢 歳の古木があり、そ のブドウからベルベットのようなタンニン、アグレロの畑のマルベック からはフルーティさ、ペルドリエルの畑からはストラクチャーを得てい る。熟したイチジクのアロマ、スミレの香りが楽しめる。またアイコン 1890年にイタリア・ピエモンテ出身のパ で第2位のスパークリングワイン生産者とな スカル・トソによって創業。現在アルゼンチン 「 EXTRA TOSO CHARDONNAY 」はトラディショナル・メソッドで 造られるブラン・ド・ブラン。ボトルで2年間熟成させ、複雑なアロマと 80 くらいだが、マルベックは 年から 年の古 15 5 ha 」はピノ・ノワール %、シ EXTRA BRUT ャルドネ %のブレンドでメソッド・トラディ ha 50 80 MENDOZA BODEGA y CAVAS de WEINERT S.A.. ボデガ・イ・カバ・ド・ワイナート 古木マルベックの味わい ▶試飲したワイン(右) ▶ワインコンサルタントのヒュー バート・ウエーバー氏(左) たアロマ、ソフトなタンニンが特徴。 6000ℓのカスクを使用している。 「 WEINERT MARBEC 2005 」 は、 年間カスクで熟成。メンドーサの気候、土壌ならではの凝縮し ここではバリックは使わず、2000ℓから ず、フラット式灌漑を行っている。ちなみに 木がある。これらマルベックは接木しておら 90 ha ◀ワインメーカーの ギレルモ・ガルシア・ザモラ氏 3 50 ワイン「 GERNOT LANGES 2005 」はルンルンタのマルベック %、 ラ・ コローニャのカベルネ・フラン %、ペルドリエルのカベルネ・ソーヴィ 10 のある複雑な凝縮した味わい。限定7000本の限定商品だ。 りカリフォルニアの著名なワインコンサルタ ント、ポール・ホッブス氏を迎えている。 「バ な土壌」とホッブス氏がいったそうで、昼夜 ランカスはカベルネ・ソーヴィニョンにベスト の寒暖差があり、雨が少なく、ソフトなタン ニンが生まれる。実際「 PASCUAL TOSO アムワインの「 MAGDALENA TOSO 」はバランカスのベストなマル ベックとカベルネ・ソーヴィニョンをセレクションしており、 年のブ 06 複雑さとストラクチャーがありバランカスのテロワールを物語る1本。 18 テロワールの違いが生む マルベックの魅力 ニョン %のブレンド。ブラックベリーやダークチョコレートのアロマ ンヤードは350 あり、他に栽培を始めた っている。マイプ地区バランカスにあるヴィ ha 230 の畑を所有する。なお2001年よ ha レンド比率は %と %。フレンチオークの新樽で ケ月熟成させる。 30 ボデガ・ノートン 10 60 ▲アルゼンチンでは牛肉がポピュラー。 1人前でもかなりのポーションだ。 ▶メンドーサのレストランにて。自分で 好きなワインをセラーで選べる。ソムリ エールが相談にのってくれる。 パスカル・トソ 」レンジのカベルネ・ソーヴィニョ ESTATE ンは同社の赤ワインの中で売り上げ第2位となっているという。プレミ MENDOZA PASCUAL TOSO きれいな酸が特徴。 グルメジャーナル 79 カベルネ・ソーヴィニョンに ベストな土壌バランカス 70 96 MENDOZA BODEGA NORTON 試飲したワイン