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インディアンモトサイクル事件
最 新判 決情報 2015 年 〔3 月 分 〕 〇インディアンモトサイクル事 件 東 京 地 裁 H27.3.25 H25(ワ)13862 商 標 権 侵 害 差 止 等 請 求 事 件 (東 海 林 保 裁 判 長 ) 一 連 のインディアンモトサイクル事 件 に連 なる判 決 である。第 25 類 被 服 類 につ いて登 録 商 標 「Indian」(図 形 )(右 上 )ほかを持 つ原 告 東 洋 エンタープライズが、 同 じく「Indian」(図 形 )( 右 下 )ほかを使 用 する被 告 (株 )インディアンモトサイクル カンパニージャパンに対 して、商 標 権 侵 害 としてその使 用 差 止 と損 害 の賠 償 を求 めた訴 えである。 両 商 標 の類 似 性 は争 えないところ、判 決 では権 利 濫 用 との被 告 の主 張 を認 め、原 告 の請 求 を棄 却 した。 そもそも原 告 商 標 は、ハーレーダビットソンと並 ぶアメリカのオートバイブランドに由 来 するものであり、同 社 が 1953 年 (昭 和 28 年 )に操 業 を停 止 し、1959 年 (昭 和 34 年 )に解 散 した後 、いく つかの経 緯 を経 て、日 本 の商 標 として復 活 したものである。 これまでの判 決 でも述 べられてきたが、米 国 の周 知 商 標 の権 利 が消 滅 した後 、 米 国 インディアン社 と無 関 係 の原 告 、被 告 のいずれがインディアンブランドにまつわる商 標 を取 得 するかは、本 来 自 由 競 争 の範 囲 内 の 行 為 であるとの認 定 は、本 来 誰 の商 標 かを常 に考 えるようにしている筆 者 にとっては、同 様 のモズライト事 件 判 決 に鑑 みても、いつも違 和 感 を覚 えるところである。 しかし、判 決 の立 場 は、原 告 が米 国 の周 知 商 標 に由 来 する商 標 を自 己 の商 標 として採 択 し、日 本 で商 標 登 録 することには問 題 ないことになるので、その権 利 行 使 も正 当 なものとなるが、本 件 においては、 少 なくとも 被 告 に対 する限 り権 利 濫 用 として許 されないとしている。 すなわち、原 告 が原 告 商 標 を出 願 した平 成 6 年 当 時 、すでに被 告 が新 インディアン社 から日 本 における事 業 を譲 り受 けて事 業 展 開 を行 なって居 り、このことがオートバイ愛 好 家 やアメリカンカジュアルファッションに関 心 のある需 要 者 、取 引 者 の間 で相 当 程 度 周 知 されていたのであり、原 告 がこれら被 告 の一 連 の事 業 展 開 を 知 らなかったはずがないことが、権 利 濫 用 の主 な理 由 とされている。 さらに判 決 は、原 告 による本 件 商 標 の出 願 は、新 インディアン社 及 び被 告 の事 業 展 開 や宣 伝 広 告 に便 乗 し、 被 告 による事 業 展 開 を妨 げる目 的 で行 なわれたものであり、原 告 による権 利 行 使 は、少 なくとも被 告 に対 す る関 係 では、公 正 な競 争 秩 序 を乱 すものであって、もはや自 由 競 争 の範 囲 内 にあるということはできないので 権 利 濫 用 であるとまで認 定 している。 そうすると、原 告 商 標 の出 願 動 機 には公 序 良 俗 違 反 などの無 効 理 由 があることになるが、判 決 は少 なくとも 被 告 に対 する限 りといっているので、4-1-7 号 で言 うところの公 序 良 俗 違 反 よりは狭 い認 定 なのかも知 れな い。 なおカタカナ文 字 商 標 「インディアンモーターサイクル」の商 標 権 侵 害 を理 由 として、本 件 原 告 が本 件 被 告 に対 して使 用 差 止 と損 害 賠 償 を求 めたインディアンモーターサイクル事 件 (東 高 判 H8(ワ)4026)については、 「最 新 判 例 からみる商 標 法 の実 務 」(2006 年 青 林 書 院 )P296 において、詳 しく検 討 されているので、ご参 照 さ れたい。 © 2015 FUJIMarks Japan all rights reserved