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E. 魅力的な沿道景観形成をテーマにしたもの
E. 魅力的な沿道景観形成をテーマにしたもの E-1. 公 - 共 - 私の段階的な構成 適切な領域形成のため、道路等のパブリック(公)空間と住棟・住戸のプライベート(私)空間は、緩やかに、段 階的につなげていくことが必要である。 共空間は、公 - 私をつなぐ中間領域である。近年、特に都市部において遊び場や日常生活のための屋外空間がセキュ リティラインの内側に取り込まれた、 「私空間」としてつくられる例が増えている。こうした場合でも、 「共空間」は、 公道や公園等の「公空間」と「私空間」との間に、歩道状の空地や広場、建物ファサード等として現れてくる。共 空間は、依然として領域感形成に大きな役割を果たす、都市景観形成の主要なテーマの1つである。 私空間 共空間 公空間(道路:車道、歩道等) 共空間 (セキュリティライン内) 私空間 (セキュリティライン内) 【西新井駅西口地区】 (東京都足立区、居住事業、2004 〜/ H16 〜) ・沿道の歩道状の空地街角の広場を共空間として位置付けている。 ・共空間とつながりを持つ建物接地階により、領域感のある景観がつくられた。 ・共空間のしつらえ、建物接地階の用途、建物ファサードなどを中心に、民間事業者と都市機構、自治体が調整を行い、 統一的なまちの景観イメージを実現している。 のある歩行空間の演出 出典:「西新井駅西口地区景観デザインガイドライン」 さくら参道 E-1 E. 魅力的な沿道景観形成をテーマにしたもの E-2. 通りのヒエラルキーと沿道空間形成 通り毎にヒエラルキーやテーマを与えた景観形成を図ることで、均質な街並みとなることを避け、通りのもつ性格・ 機能を強化することができる。また、目指すべきデザインイメージを的確かつ端的に表すことで、方向性を共有し やすい。 周辺地域や開発地域全体との関係を読み込んだ上で「通りのヒエラルキーやテーマ」を決定し、沿道空間のしつらえ、 沿道建物や接地階用途を含め、総体的に沿道空間をプロデュースすべきである。 【西新井駅西口地区】 (東京都足立区、居住事業、2004 〜/ H16) ・西新井駅から西新井大師へ向かう「さくら参道」(参道性・シンボル性)、地区を南北に抜け周辺市街地とつなぐ「け いさつまえ通り」(洒落た街並)、「せきえい通り」(下町らしさの継承)など、通りごとの性格を踏まえたテーマに より景観をまとめている。 さくら参道 けいさつまえ通り せきえい通り 通りのヒエラルキーの例 さくら参道 参道性をテーマに和のテイストを取り入れている E-2 E. 魅力的な沿道景観形成をテーマにしたもの E-3. 沿道のシームレスなしつらえ 沿道の公空間 - 共空間のつなぎ目は、連続的にしつらえることが望ましい。 物理的な連続性・平滑性を担保することで、バリアフリーの歩行者空間とすることができる。 舗装素材や照明・横断防止柵・ストリートファニチャー・植栽など、沿道の構成要素の共通化により、一貫した都 市景観をつくることができる。 共空間同士も連続させることで、都市的なレベルでの価値創出につなげていくべきである。 【西新井駅西口地区】 (東京都足立区、居住事業、H2004 〜/ H16 〜) ・舗装をはじめとする沿道の構成要素の調整により、歩行者が公空間との違いを意識せず、かつ、生活感のにじみ出 しが領域を感じさせる共空間が実現している。 ・地区計画により、歩道状空地や広場が街区を超えて連続的に設けられている。 街区を超えて整備された広場 住棟下のピロティと公園内の街角 民地内の舗装は、公共部分に 広場が連続 あわせる形で調整された 照明やサイン等、沿道の景観要素は、色彩やデザインテイストを統一している E-3 E. 魅力的な沿道景観形成をテーマにしたもの E-4. 通り・沿道に見せ場をつくる 動線の結節点のしつらえを高めることは、場所性を高めて印象的な空間をつくる上で効果的である。通りのしつ らえを変えたり、樹木やアートによるアイストップの設置を行うことで、結節点をドラマチックに見せることがで きる。 【シティーコート上馬】 (東京都世田谷区、38 戸、2002 / H14) ・成熟した市街地のなかの小規模プロジェクト ・鋭角の街かど部分にはショートカット動線となるフットパスが設けられ、周辺居住者の通り道として活用されている。 ・内部空間がクローズされる市街地内開発において、外周部分での積極的な連続性をつくり出している。 (写真左)ウォールにより額縁効果が得られ「ここに通路がある」ことが 視覚的に強調される。 ( 写真上 ) 幅 1m に満たない狭い通路、石畳 + 芝生のテクスチュアの変化 も街路と対比する効果を生みだしている。 【武蔵野緑町パークタウン】 (東京都武蔵野市、1,095 戸、1995 〜 2003 / H7 〜 H15(建替)) ・団地へのエントランス空間として、既存樹 ( クロマツ等 ) を用いたシンボリックな空間づくり ・街路と広場、住棟エントランスを、スロープ・階段、マウンドときめ細かな高低差処理で接続している (写真右)住棟を追い超す程のクロマツがランドマークとなっている ( 写真上 ) 脇道的な小径だが、通り抜けや立ち話によく利用されている E-4 E. 魅力的な沿道景観形成をテーマにしたもの (東京都港区、居住事業、2003 〜/ H15 〜) 【芝浦アイランド地区】 ・街区コーナー部の動線が集中する部分にノード広場を設けた。ノード広場同士は、ビューコリドーにより相互が見 通せるように計画されており、ランドマーク的位置付けがされている。 ・広場はベンチやパーゴラを用いて休息空間としてデザインされており、アートや高木を用いて広場の視認性を高め ている。 【西新井駅西口地区】 (東京都足立区、居住事業、2004 〜/ H16 〜) ・地区中心部に、開発時期の異なる4つの街区の連携により設けられた「カルテット広場」。複数の動線が集中する部 分でもある。 ・街区への入り口や住棟エントランスが広場に面して設けられ、中心性の強化と広場へのアクティビティ誘発を試み ている。 F 1街区 G 街区 F 2街区 (建設中) 公園 F 2街区 (上図)カルテット広場平面図 ( 写真右上 ) 屋外広場やピロティ等により1つの広場を構成す る (写真右下)公園内部ヘ視線を向けると、広場から公園中心の シンボルツリーがランドマークとして出現 E-4 E. 魅力的な沿道景観形成をテーマにしたもの (千葉県船橋市、613 戸、建替第1期、2004 〜 2007 / H16 〜 H19) 【アートヒル高根】 ・1964 年建設の高根台団地の建替団地であり、高根台団地の最も西側にあたる。 ・丘と谷筋を複数またぐ緩やかな斜面地形に特徴がある。地形に合わせた配置構成による高根台団地の原風景を受け 継ぎながら、新たな魅力を付加することが、建替計画の1つの目標だった。 ・高根台団地を東西に貫く基幹空間である S 字通りや、駅前通りがぶつかる交差点などを景観上の重要ポイントとと らえ、建物・屋外空間の工夫により高根台の空間の魅力を高めている。 駅 前 通 り 通り S字 (写真上 )S 字通り沿いの景観。建替前の住棟周りの伸びやかな 芝生空間を継承し、S 字沿いにあった高生垣を取り除くことで、 通り沿いから広がりのある空間が楽しめる (写真右)駅前通りと S 字通りの交差点部分には、駅方向から 見た際にランドマークとなることを意識した住棟を設置。 E-4