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逐次近似(応用)再構成画像と被曝低減の可能性について
東北大学病院 診療技術部 放射線部門 佐藤 和宏 2 ▪臨床例 (大動脈3D) ▪フィルタ補正逆投影法の再考 ▪逐次近似応用再構成法の画質評価 ▪臨床例 (小児の肺動静脈・大動脈3D) 3 ▪臨床例 (大動脈3D) ▪フィルタ補正逆投影法の再考 ▪逐次近似応用再構成法の画質評価 ▪臨床例 (小児の肺動静脈・大動脈3D) 4 ▪患者情報 – 依頼科 : 移植再建内視鏡外科 (外来) – 年齢/性別 : 81歳/女性 – 身長/体重 : 146cm/46kg • その他 : 軽度腎機能低下 ▪撮影部位 : 胸腹部大動脈 (造影) – 臨床診断 : 腹部大動脈瘤 – 検査目的 : 大動脈瘤径の変化 5 管電圧 : 100kV Quality ref. mAs : 90mAs@120kV 回転時間 : 0.33秒 収集 : 0.6mm×128列 撮影長 : 560mm 撮影時間 : 5.3秒 CTDIvol : 4.11mGy DLP : 240.8mGy・cm 再構成スライス厚 : 1mm 再構成関数 : I30f SAFIRE : Strength 2 造影剤濃度 : 240mgI/mL 注入速度 : 4.6mL/秒 注入量 : 69mL (360mgI/kg) 6 ▪臨床例 (大動脈3D) ▪フィルタ補正逆投影法の再考 ▪逐次近似応用再構成法の画質評価 ▪臨床例 (小児の肺動静脈・大動脈3D) 7 コンボリューション補正逆投影法 フィルタ補正逆投影法 投影データ pθ (t) Pθ ( f ) F t f × 乗算 * コンボリューション フィルタ関数 コンボリューション関数 F t f pˆ t F-1 t 逆投影 = = 補正された投影データ 補正された投影データ Pˆ t f 8 ▪フィルタ補正逆投影法 (Filtered backprojection ; FBP) ▪コンボリューション補正逆投影法 (Convolution backprojection ; CBP) – 両者は数学的に等価。 – フーリエ変換の手間がかかっても、FBPの方が 計算時間は短い。 – 実装されている再構成法は、フィルタ補正逆投影法。 9 ▪逆投影法による再構成画像は線形性が成立1)。 – 線形とは、 重ね合わせの理が成り立つ 入力と出力との間に比例関係が成り立つ などということ。 ▪線形性が成立しないと、アーチファクトとなる。 – パーシャルボリューム – ビームハードニング 1) 森 一生, 山形 仁, 町田好男. CTとMRI-その原理と装置技術-. コロナ社, 東京, 2010 10 ▪ 複数枚の高雑音画像を加算平均し、低雑音画像を得る。 高雑音画像群 加算平均 低雑音画像 11 ▪MTFをk倍に引き延ばすと、NPSはkの1.52~ 22乗で 増大する1)。 – 標準偏差σは、 kの1.5~2乗で増大する。 ×k2.25~ k4 NPS MTF • MTFが1.5倍に引き延ばされたとき、標準偏差が10HUの画像は 標準偏差が18HU~23HUになる。 f1 k f1 空間周波数 f1 1) 森 一生, 山形 仁, 町田好男. CTとMRI-その原理と装置技術-. コロナ社, 東京, 2010 空間周波数 12 ▪信号雑音比の周波数特性は再構成関数に 依存しない。 – 信号雑音比の周波数特性 : SNR( f ) • MTFとNPSを総合した評価指標。 • 以下の式により求められる。 SNR ( f ) 2 MTF ( f ) NPS ( f ) 13 1.4 MTF 1.2 1.0 高域強調型 0.8 標準型 0.6 0.4 0.2 0 0 2 4 6 8 空間周波数 (cycles/cm) 10 12 14 2000 NPS 1500 高域強調型 1000 標準型 500 0 0 2 4 6 8 空間周波数 (cycles/cm) 10 12 15 0.1 高域強調型 0.01 SNR 標準型 0.001 0.0001 0 2 4 6 空間周波数 (cycles/cm) 8 10 16 ▪線形処理により画像が得られる。 – コンボリューション処理 – フーリエ変換 – 逆投影 (加算処理) ▪線形性が崩れるとアーチファクトになる。 17 ▪再構成関数を変えて… – 分解能を向上させようとすると、雑音増加。 – 雑音を低減しようとすると、ぼけを伴う。 再構成関数を変えても、総合的に画質評価すれば損得なし 18 19 ▪臨床例 (大動脈3D) ▪フィルタ補正逆投影法の再考 ▪逐次近似応用再構成法の画質評価 ▪臨床例 (小児の肺動静脈・大動脈3D) 20 ▪The technical details are often a mystery...2) 2) Fessler, J. : Iterative image reconstruction for CT, http://www.aapm. org/meetings/amos2/pdf/59 -17244-92247-397.pdf 21 ▪本質的にはフィルタ補正逆投影法 ▪投影データと画像データに対する画質改善処理 ▪考えられる処理内容 – 投影データ : 主に投影データの品質改善処理 – 画像データ : 主に非線形雑音低減処理 ▪得られる効果 – アーチファクトの抑制と画像雑音の低減 22 ▪ 逐次近似応用再構成(以下、IR)法は、線形性が 成立しない3)。 – IR法による画質改善効果は、被写体構造や再構成条件によって 複雑に変化(以下、非線形挙動)。 ▪ 非線形挙動を示す画質を、線形挙動を前提にした物理 指標で評価しても、普遍性のある評価が不可能。 – 線型挙動を示す物理指標 : MTF, NPS, SD, CNR, SNR, etc. – 以後、上記のような問題を非線形問題という。 3) 森 一生. 近年のX線CT画像の非線形的特性と画質の物理評価について. 東北大学医学部保健学科紀要. 22, 7–24, 2013 23 ▪ 既存の物理指標により評価する場合の前提条件 → 臨床運用(評価目的)に即した条件で評価。 – MTF : 目的にあったコントラスト・雑音レベル・再構成視野の 画像から計測 – NPS : 目的に合った雑音レベル・再構成視野の画像から計測 ▪ 視覚的評価 – 最も臨床を反映した評価。 – 客観性のあるデータをそろえるには、かなりの時間と労力が必要。 24 ▪臨床例 (大動脈3D) ▪フィルタ補正逆投影法の再考 ▪逐次近似応用再構成法の画質評価 ▪臨床例 (小児の肺動静脈・大動脈3D) 25 ▪患者情報 – 依頼科 : 小児外科 (外来) – 年齢/性別 : 0歳10か月/男性 – 体重 : 4.5kg ▪撮影部位 : 胸部 (造影) – 臨床診断 : 肺分画症疑い – 検査目的 : 分画肺の性状、動静脈の走行、気管支の 走行の評価、および血管の3D構築 26 Axial Coronal 27 管電圧 : 80kV Quality ref. mAs : 120mAs@120kV 回転時間 : 0.28秒 収集 : 0.6mm×128列 撮影長 : 200mm 撮影時間 : 0.88秒 CTDIvol : 0.39mGy@32cmΦ DLP : 8mGy・cm 再構成スライス厚 : 1mm 再構成関数 : I30f SAFIRE : Strength 3 造影剤濃度 : 300mgI/mL 注入速度 : 1.0mL/秒 注入量 : 9mL スキャン方式 : Flash spiral 28 ▪見えているものを、より見やすくする処理。 – 見えないものを見えるようにする処理ではない。 – 微細構造を見えにくくすることもあり得る。 ▪挙動を把握すれば、雑音低減が可能。 – 画像雑音、構造物に依存して効果が変化。 – 強すぎる処理は逆効果。 ▪検査目的や患者の年齢を考え、処理強度を選択。 – 一般運用では、処理強度は弱く。 – 幼児・小児には中等度の処理強度。 29 ▪撮影線量の見直し – AECの条件設定の妥当性を確認 • 再構成関数 • 基準線量(基準雑音量) • スライス厚 • 非線形処理の有無 ▪控えめなIR法の処理強度 – 程々の処理強度で、程々の線量低減効果 30 31