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第12号 - 滋賀県

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第12号 - 滋賀県
平成24年 5月12日
【編 集 発 行】
『滋賀の教師塾』事務局
【100年前の5月】
鉄道院、信越本線のアプト式ラックレー
ルの碓氷峠を電化。初の電気機関車はド
イツのAEG社より輸入したアプト式。
第五期【第12号】
学級担任の仕事
ー小学校の場合Ⅱー
【第十三回教師塾開催について】
ー教育実践講座Ⅲー
小学校の学級担任の1日の始まりから、見ていきま
◎日
時:平成24年5月26日(土)
す。彦根市内の校門前に中学校のある小学校の場合を
受付 アドバンスコース
8:20∼ 8:50
参考にしました。
朝の打ち合わせは、8時20分に始まります。時間
スタンダードコース 12:10∼12:40
にゆとりを持って出勤し、途中で出会った卒業生や児
◎場
所: 滋賀県総合教育センター
童、同僚の人たちと元気よく朝の挨拶を交わします。
野洲市北桜:希望ヶ丘公園西ゲート横
職員室に入ったら机の上等を点検、急いで教室に出
◎交通手段
公共交通機関の利用を
向き、窓、ドア、掲示物、ロッカー黒板等を点検しま
JR野洲駅にて下車、近江鉄道バス
す。朝自習に備えて、何か連絡することがあれば板書
「花緑公園」行き乗車、野洲駅08:19発
します。配り係の子は早く登校していることが多いの
センター前08:30着
で、学級日誌や提出ノート、配布物も一緒に持って行
「花緑公園」行き定時12:06を増発予定
くこともあります。
一部児童は、スクールバスを利用しています。近く
総合教育センター前下車 徒歩3分
のバス停で降車し200メートルほど歩いて登校しま
復路はセンター前発定時17:31を増発予定
す。また交通量の多い交差点もありますから、地域の
◎内 容: 演習 「模擬授業及び合評会」
ボランティアの人たちと協力しながら、交通指導当番
総合教育センター研修指導主事等
に出向くこともあります。
8時20分に職員の「朝の打ち合わせ」が、始まり
ます。学校や学年に関連する事項を簡潔に行い、出来るだけ早く教室に出向きます。8時30分からは「朝
の活動(朝自習)」が始まります。朝読書や計算練習、あるいは担任による「読み聞かせ」を行います。計算
練習の場合には、机間指導や答え合わせが必要です。時間をきっちり守って頭も次に切り換えます。
8時40分に「朝の会」を始めます。ここでもう一度、声や立ち居振る舞いを心の中で再点検します。元
気な明るい声が、出せるかどうかと。
第十一回教師塾の感想と評価
▼
今日はグループの仲間と一つの授業を考えていく中で、様々なアイデアが生まれ、充実した活動となり
ました。目標を軸にして、何を教えたいのかをはっきりすることが大切だと教えら
演習・・・4.8
れました。今日一日では、指導案を完成できなかったので、連休中に集まって納得
(5段階評価)
のいく授業を作ろうということになりました。一人で考える授業よりも5倍面白く
て分かりやすい授業ができそうなので、とても楽しみです。期待して準備に取り組
んでいきます。(小S男)
▼ どの教材を扱うかで議論しました。自分たちがやったことのないところをあえて選びました。どのよう
にしたらいいのか色々とアドバイスを頂いて、考えを深めようということになりました。「億」という単
位を初めて知る、理解するという点で、全然話し合いが進まず、とても苦戦しています。しかし一人でな
くグループで色々な工夫や気づきが見つけられて、考えが深まりました。授業者になりましたので、良い
機会だと思い、精一杯取り組みたいと思います。(小S女)
▼ 今日はずっと演習ということで、グループでたくさん話し合い、たくさん交流でき、とても楽しかっ
た。それと同時に、みんなで決めることの楽しさも実感した。私のグループは、やりたいことがバラバラ
で、しかもそれぞれ自分の意見を持っているので、どの意見を採用するのかがまとまらず、平行線のまま
時間を使いすぎてしまった。これは、生徒の話し合いの場でも同じことが起こると思うので、その時の対
処法や声かけを考えておかなければいけないと思った。(中S女)
▼ 6人で1つの授業案ということでしたが、とても難しかったというのが素直な感想です。話を進めてい
く過程で、やはり教師として生徒にどのような力を身につけさせたいのか考えておくことが、本当に大切
であると改めて感じました。また授業の内容が如何に生徒に身近だと感じさせることが、生徒にとって魅
力ある授業につながるのではないかと思いました。教師になってからも、時間は十分にとれないかもしれ
ませんが、今日のように生徒の様子を思い浮かべながら、研究を続けていきたいと思います。(中S男)
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[事務局長の独り言
28]
事務局長
寺村銀一郎
これ常識と思っていることが、実は・・・学校給食と栽培植物(2)
農耕の発祥地と農耕の伝播
人類が、狩猟採集の獲得経済から、特定の植物を食料として栽培cultivationすることや野生の動物を家畜
化domesticationすることにに成功し、農耕牧畜という生産経済に移行したのは何時頃のことでしょうか。あ
る高校生用教科書は、約9千年前とし、その発祥地は西アジアと記しています。2005年に出版され2007年に
翻訳本が出されたピーター・ベルウッド著『農耕起源の人類史』(京都大学学術出版会2008年)には、約1万
1千年前、と記されています。
その農耕(先史農業)の最古の発祥地としては、西南アジア(肥沃な三日月地帯)、次いで中国中央部(長江
・黄河流域)、ニューギニア高地、メソアメリカ(アメリカ大陸中央部)、中央アンデス、ミシシッピー川流
域、サハラ以南のアフリカ(サヘル地帯とサバンナ地帯)が考えられています。
農耕の開始については、断定は避けて、その開始に先行する定住性、豊かさ、人間と植物の共進化と淘汰
環境変化やストレス、人口圧、栽培に適した種の入手可能性を列挙しています。さらにベルウッド氏は、担
い手である農耕民が、如何に周辺に拡散し、栽培化された植物を伴った農耕文化を伝播させたかを、人類学
や考古学、言語学の成果を、さらに1980年代以降に急速な進歩を遂げた分子遺伝学の成果を、利用して追究
しています。
ジャレド・ダイアモンド氏は、1997年出版の『銃・病原菌・鉄』(草思社2000年)において、農耕の開始は
獲物となる野生動物が減少したこと、同時期に栽培化が可能な食用となる野生植物が増えたことによると指
摘、またその伝播は、気候条件が似通った東西の同緯度方向へは速く、南北方向へは比較的遅かったとして
います。以下の各農耕発祥地で栽培化された植物から、学校給食で使われているのは何かを、考えてみてく
ださい。
西南アジアの肥沃な三日月地帯(地中海農耕文化)ー約1万Ⅰ千年前
肥沃な三日月地帯 Fertile Crescentと、アメリカの考古学者ブレステッドが名付けた地域は、シリア、パレ
スチナからアナトリア南部、メソポタミアへと広がっています。この地域で成立した牧畜を伴った農耕は、
ユーラシア大陸やアフリカ大陸北部へと広範囲に拡大していきます。東はトルクメニスタン、アルタイ山脈
パキスタン、そして北西インドへ(紀元前7000年頃)。南はエジプト(紀元前6000年頃)、その後エチオピア
(黒地兀皮亜)、地中海南岸の北アフリカへ。西は南東ヨーロッパへ(紀元前6500年頃)、中央ヨーロッパに
(前5400年頃)、イベリア半島南部に(前5200年頃)さらに大ブリテン島(紀元前3500年)へと。
この地域での最初の栽培植物は、野生の(自生していた)コムギ小麦(エンマーコムギ、ヒトツブコムギ)、
オオムギ大麦の穀類、次いで1万年前がレンズマメ平豆、エンドウマメ豌豆、ヒヨコマメ、オオヤハズエン
ドウのマメ類です。他に繊維植物のアマ亜麻linenもありました。さらにライムギ黒麦、エンバク燕麦、ソラ
マメ空豆、野菜のカブ蕪、ラディッシュ、ビート、リーキ、レタス、ハクサイ白菜、カラシナ芥子菜、ホウ
レンソウ菠薐草、ダイコン大根、タマネギ玉葱、アスパラガスが続き、約6千年前がオリーブ、イチジク無
花果、ナツメヤシ棗椰子、ザクロ石榴、ブドウ葡萄、リンゴ林檎、ナシ西洋梨、スモモ李、サクランボ桜桃
です。さらにこの地域は、土壌の疲弊に対して、マメを飼料として野生動物の羊、山羊、豚、牛を家畜化、
肥料源さらには食料とすることに成功しました(P.ベルウッド、中尾佐助、星川清親、各前掲書)。
植物の栽培化は、この農耕発祥期にとどまってはいません。とは言っても、アーモンド扁桃、クルミ西洋
胡桃、クリ西洋栗、ピスタチオといった木の実類が中心です(星川清親前掲書)。
アフリカ中部のサヘル地帯とサバンナ地帯(サバンナ農耕文化)ー約5千年∼4千年前
サハラ砂漠の南には、サヘル地帯(アラビア語で砂漠の南の緑の「岸辺」:草地)とサバンナ地帯(草地に低
木がまばらに生えている灌木地域)が大西洋岸から紅海沿岸にまたがって帯状に存在しています。塾報第8
号で紹介したサアラ(サハラ)以南のニゲル(黒:ニジェール)河流域の西アフリカもこの地域に含まれます。
完新世前期には、サハラ地域はもっと湿潤であったことが判明したため、サハラ砂漠も農耕文化発祥地に入
るとの見解もあります。サヘル地帯では、現在、砂漠化の進行が深刻な問題になっています。
この地域では、雑穀ミレットが栽培植物化されました。トウジンビエ唐人稗、フォニオ、モロコシ蜀黍・
唐黍(イネ科)、アフリカイネがこれに属します。他にギニアヤム、アブラヤシ、ササゲ、コーラナッツ(後
に抽出液がコーラ飲料に添加される)が栽培されるようになりました。メロン、マクワウリ甜瓜、スイカ西
瓜、オクラ、ゴマ胡麻、ヒョウタン瓢箪(容器用)の栽培もこの地域から始まっています。エチオピア高原に
は西南アジア起源の栽培植物の他に、エンセーテ(バナナに似る)、テフ(イネ科の穀物でパンの材料)、コー
ヒー、シコクビエ四国稗があります(P.ベルウッド前掲書、星川清親前掲書、J.ダイアモンド前掲書、小林貞
作『ゴマの来た道』岩波新書1986年)。ただし、この地域で野生動物が家畜化された例は、ホロホロチョウ
以外にはないとのことです。確かにシマウマは、家畜にはなりませんでした。動物園でも野生のままです。
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