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自然観察会「酒匂川の石の観察会」
おおい自然園 自然観察会「酒匂川の石の観察会」 日 時 平成 24 年 9 月 8 日(土)午前 9 時 00 分~11 時 30 分 場 所 酒匂川河川敷(金手地内) 講 師 中村俊文さん(開成町立文命中学校長) 参加者 8人 これから、酒匂川の石の観察会を行います。 その前に一つ質問です。 Q.「河原の石はどこから運ばれて来るのでしょ うか?」 A.「山から~」 そのとおり、山から運ばれてきます。 そこで、観察会を始める前に、周りの景色や 山を見てみましょう。 西側を見ると、箱根山やおむ すびの形をした矢倉岳という 山などが見えますね。 今日は雲でかくれて見えませ んが、いつもは富士山も見え ます。 1 北側を見ると、松田山や丹沢山地、東側を見ると松田山よりやや低い丘(大磯丘陵)が見えますね。 これから、河原に降りて石を観察しますが、いろいろな山から運ばれてきた石を河原で見ること ができます。 河原で石を観察してみよう それでは、お気に入りの石 を 1 個から 2 個探して持って きてください。 いろいろな石が集まり ましたね。 2 この石はよく見ると、石の中にキラキラ光る 小さな粒が入っていますね。 このキラキラ光る粒は結晶(クリスタル)と いって、石ができる時に、マグマの中でゆっ くりと成長して固まってできたものです。 大きい白い粒は斜長石という結晶です。 この石は真ん中に四角い、黒くギラっと 光る石が見えますね。 かくせんせき これは角閃石という結晶です。 3 次に、同じ仲間どうしで分けてみてください。 ゴマ塩おにぎりのような石や、黒くて穴がたくさんあ いている石などいろいろありますね。 それでは、こんどは、ここになさそうな 石を探してきて下さい。 そして、さっきと同じようにおなじ仲間 に分けてください。 この石は富士山から流れて来た穴ぼこがあいた溶岩 です。 どうして穴があいているのでしょうか? そのヒントは火山の噴火にあります。 火山の噴火はどのような現象か知っていますか? 分かりやすく簡単に例えると、ペットボトルのコーラ をおもいっきりシェイクしてキャップを外すと、すご い勢いで噴き出しますよね。それが噴火です。 噴火したときに溶岩の中にたくさんガスが入ってい て、このガスが抜けてできた穴がこの石の穴です。 この石は富士山の噴火でパラパラ降ってきた石です。 4 この石は手で触ってみるとざらざ らしていて、割れやすく、とてもも ろい石です。 70 万年から 200 万年前にできた松 田山(足柄層群)から流れて来た石 で砂岩や礫岩です。 化石が入っていることもあります。 いろいろな種類の石がありますが、実は、酒匂川の石のほとんどは丹沢山地か ら流れてきたものです。 そして、石から丹沢山地の生い立ちを知ることができます。 5 酒匂川の石が語る 丹沢山地の生い立ち ①今から約 1,500 万年 以上も昔、海底火山の 活動によって海底で 溶岩が固まりました。 ②約 500 万年前に丹沢 山地の地下数キロメ ートルの深いところ で大量のマグマが入 り込み、ゆっくりと冷 え固まりました。 ゆっくりと冷え固ま った溶岩は全部結晶 からできた岩石にな ります。 (花こう岩) ③このマグマによる 熱や圧力でまわりの 岩石は質や形が変わ り、しまのある岩石や 非常に固い岩石にな りました。 この岩石は下から のマグマで変成され ①約 1500 万年以上昔に たので変成岩といい 海底で固まった岩石 ます。 ぎょう灰岩 ③下からのマグマの熱 や圧力で質や形が変わ った岩石 変成岩 ②約 500 万年前にマグマ が入り込みゆっくりと固 まった岩石 深成岩 6 この石は、海底で固まった火山灰 が一度、石(凝灰岩)になり、そ の後、マグマが流れて込んで変成 を受け固まったため、しま模様に なっています。 この石は、白い部分のもとは軽石で、 軽石質凝灰岩といわれています。 マグマの熱で変成を受けて固くなり ました。 7 酒匂川の岩石の歴史図鑑を作ってみよう さて、次にみなさんにはもう一度 石を拾ってきてもらい、用意した台 紙にボンドではってください。 でき上がると、酒匂川の岩石の歴 史が分かります。 河原の石一つひとつが、山の生い立ちや歴史を知るヒントになっているのですね。 8