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無趣味は多趣味?∼素敵な息抜き方法まで 自信をも 医師は素
のですが、僕は大学院に行かずに研究生として東京 大学の循環器内科の先生にお願いして研究させて いただきました。本当は心不全の研究を希望してい たのですが、大学側の都合で、動脈硬化の研究をす ることになり基礎的な研究をして学位を取得しまし た。本来の目的の臨床に戻ろうかと思ったんですが、 基礎研究が思いのほか楽しかったので、自分でやり たいことを見つけて続けたいと思うようになりまし た。それこそ一生を通して研究できるものを。あの 頃はインターネットなんて無かったので、図書館に 通って調べ物をしました。そこでふと目にしたテロメ 研修医時代の南野先生 アに関する総説が大変興味深く、 これだ!と思いまし た。 これを循環器分野で研究できる施設を探したところ、その頃のテロメア研究のほとんどは、 がん細胞 で行われており、血管の研究は行われていない状況でした。いろいろ悩みましたが、 自分の実力を試すた めハーバード大学で血管を専門に研究している教室にサブテーマとしてテロメアを研究させてもらえな いかお願いしました。 すぐに快諾していただき、 ボストンのハーバード大学への留学がきまりました。 ̶留学先での研究の様子やエピソードはありますか? 南野 そこのラボは血管の研究をメインにやっているところなのですが、血管老化を研究したり、血管新 生を研究したり。真逆なことですけれど、 3年ほど研究していました。そこでは給料を少しだけもらってい たのですが、安くて3万ドル程度でした。子供も一緒に一家4人で行っていたので、節制した生活を送って いました。 ただ、 アメリカではグリーンカードを持っていない留学生にも生活補助制度がありました。お金 はダイレクトにいただけなかったのですが、食べ物のクーポン券をたくさんいただきました。卵や牛乳、 シ リアルを毎週食べきれない程もらいにいっていましたね。 これらの制度を申請しに行ったときに、書類の なかにアンケートがあったのですが、 「最近以下のもので食べたものがありますか?」 という質問の回答 に、 「紙」 や「砂」などの項目があり、驚いたのを覚えています。研究に明け暮れた生活でしたが、 ボストン はとても素敵なところで、石畳や煉瓦造りの建物、 ガス灯などがあり、 まるでヨーロッパの様な街並みな んです。それだけで絵になる風景がたくさんあります。僕の一番好きな街です。 ̶帰国後の経緯を教えてください。 南野 ボストンでは3年過ごしました。その3年間では研究はうまくいかず、研究に向いていないのでは ないかと悩みました。帰国当初は千葉大学の関連病院に勤務して、臨床の勘を取り戻すために、毎日カ テーテル治療をなどにいそしみ、臨床医として過ごしていました。それからは初心にもどり開業しようか と思い、広い内科知識を学びたいと思いました。そんな矢先になかなか受理されなかった留学中の論文 が通ったんです!それでちょっといい気になって (笑) また研究が続けられると喜び、母校の千葉大学に戻 りました。 こつこつと留学中のテーマの論文を投稿しつづけ、 やっと日の目を見ることが出来ました。大学 では研究のみならず臨床、教育と多様な仕事をしていましたが、いろいろな方々と接していくうちに、い ろんなことが楽しい、面白いと思うようになりました。そして今、新潟にいます。 無趣味は多趣味?∼素敵な息抜き方法まで ̶趣味や息抜き方法を教えてください。 南野 極めて僕は無趣味なのですが (笑)、いろんなことに手を出すのが好きで、学生の頃は複数のサー クルに所属していて、 テニス、 スキー、 スキューバ、 ヨットなどをやっていました。 スポーツに関しては一つ のことにこだわることはないですね。音楽は、それこそなんでも聴きます。 クラシックからジャズ、娘が聴 くようなポップスや、 ソウル、 アメリカやヨーロッパの ポップスまで。本も新書から流行の推理小説まで。