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Ⅰ.H24 コウノトリをめぐるできごとから

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Ⅰ.H24 コウノトリをめぐるできごとから
第 47 号 2012.11.26
コウノトリ野生復帰
コウノトリ野生復帰の
野生復帰の現場から
現場から
第47号 2012年11月26日発行
豊岡市コウノトリ共生部コウノトリ共生課
〒668-8666 兵庫県豊岡市中央町 2-4
(現在、城南町仮庁舎「豊岡市城南町 23-6」)
TEL.0796-21-9017 FAX.0796-24-8101
e-mail: [email protected]
2005 年 9 月、コウノトリを救う運動を始めてから 50 年、人工飼育を始めてから 40 年の歳月を経て、ケージ
の中で飼育されてきたコウノトリが豊岡の空に放たれました。2007 年 7 月には、国内野外で 46 年ぶりとなるヒ
ナの巣立ちも実現しました。
コウノトリという「種」を保存する取り組みは、半世紀をかけて、コウノトリを野生に帰すこと、コウノトリと共
に生きることへと広がりをみせてきました。
「コウノトリと共に生きる」とはどういうことか、豊岡はどんな「挑戦」
を続けていくのか。このニュースレターでは、市の考え方や事業の進行状況を現在進行形で発信し、皆様とネットワ
ークを結んでいきたいと思っています。ご意見をお寄せください。
7月にラムサール条約の湿地登録が実現。その後もいろ
んなできごとが続き、ドタバタと過ごしているうちに本年
度も半分以上が過ぎてしまいました。豊岡からの“コウノ
トリ便り”をお待ちの皆さまには、ニュースレターの発行
が滞り、大変失礼をいたしております。
今号では、前半のできごとを振り返りながら、新年度、
あるいは今後に向けた課題を見つめてみたいと思います。
コウノトリ野生復帰のこれからはどうあるべきか――。
一読の後、皆さまからもご意見をお寄せいただければ幸い
です。共に考えていきましょう。
(文責:コウノトリ共生係長
【今号の目次】
Ⅰ.H24 コウノトリをめぐるできごとから
Ⅱ.ラムサール条約湿地登録
Ⅲ.新たな生息地整備の動き
Ⅳ.生物多様性地域戦略策定へ
Ⅴ.トピックス
坂本成彦)
Ⅰ.H24 コウノトリをめぐるできごとから
H24 年の繁殖は、6箇所の巣塔(豊岡市内と京都府京丹後市の巣塔を含む)から 14 羽の幼鳥が巣立
つというベビーラッシュとなりました。コウノトリの「生きようとする力」が、私たちの「生かそうと
する力(思い・行動)」の先を行っているような状況です。
昨年の夏、郷公園と県教委から本格的野生復帰を目指す「コウノト
リ野生復帰グランドデザイン」が示されました。野生復
野生復帰
野生復帰は壮大な
壮大な社
会実験であり
であり、
科学的かつ
かつ論理的
論理的に
られなければな
なければならないもので
会実験
であり
、科学的
かつ
論理的
に進められ
なければな
らないもので
す。でも、
でも、生身の
生身のコウノトリが
コウノトリが相手ですから
相手ですから、
ですから、現実には
現実には、
には、感情との
感情との狭
との狭
間で揺れ動くことも・・・
くことも・・・。
・・・。今年の繁殖の経過の中でも、野外のコウノ
トリとどう接するべきか、いくつかの具体的な課題に直面しました。
三江小学校にある人工巣塔では・・・
1
第 47 号 2012.11.26
市内でのできごと
●三江(
三江(みえ)
みえ)小学校の
小学校の巣塔で
巣塔で・・・
コウノトリの郷公園に近い豊岡市立三江小学校のグラウンドの片隅に、人工巣塔が立っています(前
ページ写真)。平成 18 年に建てられたこの巣塔は、どちらかと言えば環境教育と啓発を主眼に置いたも
ので、これまで繁殖の実績はありませんでした。しかし、コウノトリの生息数が増える中で、今季初め
てペアの営巣が実現し、抱卵を開始。子どもたちも先生も大喜びで観察を行っていました。
ところが事件が起きます。4月3日午前 11 時頃、突風によって巣材が飛散し、卵も約 13m下の地面
に落下。4卵あったうちの2卵が破卵(中からは生育中のヒナの姿も)、残り2卵は割れておらず、有
精卵である可能性も高いと考えられます。さあ、どのように対応すべきでしょうか?
対応1
対応2
対応3
内 容
そのままにして、次の産卵に期待
(自然下でのできごとであり、手をかけない)
無事な2卵を回収し、人工ふ化へ
(可能性が残る2卵をふ化器に入れ、無事にふ
化すれば人工飼育に)
巣材と無事な2卵を巣塔に戻す
(元の状態に近づけ、親鳥の再抱卵を促す)
懸 念
同じ人工巣塔での産卵は難し
いかも?
人が手をかけて救い、いたずら
に飼育個体数を増やすのが良
いのかどうか?
親鳥が「異物」と判断してしま
えば、再抱卵は難しい。やるな
ら早く!
いずれにしても、即座の判断が必要。しかも、市有地内でのできごとであり、市として主体的な判断
が求められました。
緊急の話し合いの結果、私たちは「対応3」を選択しました。「野生動物にはアンタッチャブル」が
ルールであることは理解しています。しかし、共生を目指す取組みの中で、私たちの、そして子どもた
ちの隣人であるコウノトリに訪れた危機を無視することができませんでした。
「教育的な見地」から郷公園にも応援を要請し、その日のうちに高所
作業車で巣材と2卵を巣塔に戻しました。結果は・・・? 実は、それ
以降親鳥が巣に戻ることはなく、ヒナは孵りませんでした。
何が正解だったのかはわかりません。でも、悩みながら答えを出して
いくこともまた、共生の重要なプロセスだと思います。
子どもたちには、その後、今回の経過説明とともに「誕生しなかった
命」について考える授業が行われました。
「もう一度」の期待は叶わず
●城崎町来日(
城崎町来日(くるひ)
くるひ)区内で
区内で・・・
同じく4月3日、来日区の集落近くの水田で、右足を骨折し、しゃがみ込んで動けないコウノトリが
いると住民の方から通報がありました。コウノトリにとって、足のケガは致命傷になります。どのよう
に対応すべきでしょうか?
対応1
対応2
内 容
野外の個体は「野鳥」であり、そのまま見守る
1-① 死後も回収せず、そのままにする
1―② 死後、データ収集のため回収する
保護・収容する
2―① 収容し、経過は様子を見る
2―② 収容し、治療・飼育する
懸
念
住民の目の前での死やこの状
況に「知らぬふり」をする?
人が手をかけて救い、いたず
らに飼育個体数を増やすのが
良いのかどうか?
郷公園の立場としては、基本の対処方法である「対応1」にならざるを得ません。しかし、目に見え
るところでコウノトリが傷ついている様子を見ている地域住民の思いや市としての思いも伝えて議論
し、最終的には「対応2-②」が選択されました。
2
第 47 号 2012.11.26
●豊岡市庄境(
豊岡市庄境(しょうざかい)
しょうざかい)区内で
区内で・・・
続いて4月7日、今度はクチバシの根元付近に深い傷を負ったコウノトリが発見され、住民の方から
通報がありました。直前の来日区の例もあり、この時は無条件で「対応2-②」が選択されました。し
かし、その後体力は回復せず、結果的にこの個体は死に至りました。
●豊岡市祥雲寺(
豊岡市祥雲寺(しょううんじ)
しょううんじ)区内で
区内で・・・
「エヒメ」と呼ばれている大陸由来の野生個体は、
緊急的な措置として設置された郷公園非公開ゾーン
奥の仮設巣塔に営巣し、平成 22 年度からヒナを巣立
たせています。しかし、本来は鳥インフルエンザ防
疫等の観点から飼育ケージから離れた場所で営巣す
る方が望ましく、今季、郷公園によって2度にわた
る巣塔の移設と誘導が行われました。
しかし、ペアはその巣塔を選ばず、郷公園近くの
電柱に巣を作ろうとします。関西電力(株)による巣材の撤去(コウノトリ感電の危険や送電ストップ
の危険回避のため)や、撤去した巣材の巣塔への移動が行われるもの
の、一向に新巣塔で営巣しようとはしません。そのまま、繁殖シーズ
ンも終わりに近づいていきます。作戦は失敗でしょうか。
市民からも声が上がりました。巣材を運んでいる電柱近くにいい場
所があり、山裾のスギの木を活用した樹形改良型巣塔にすれば、下に
はビオトープも確保できる。土地所有者の了解も得られそう。費用も
考えるので、巣の位置を定められないペアに対し、市民も何とかして
やりたいというものです。
近くに巣塔があっても・・・
様々な理由からこの申し出は実現せず、エヒメの今季営巣は成りま
せんでした。
市外でのできごと
●京都府京丹後市で
京都府京丹後市で・・・
お隣り京丹後市にコウノトリが居つき、地元に組織された「コウノトリと共生
する里づくりネットワーク京丹後(コウノトリネット京丹後)」による住民主体の
見守り活動が始まりました。コウノトリの営巣のためにと、自力で(自前で)
、第
1巣塔、第2巣塔と2つの巣塔も建てられました(スゴイ!)。
その後、ペアができ、繁殖の兆しが見
られるようになりました。しかし巣塔を
利用しようとはせず、こちらも電柱に巣
材を運びます。コウノトリネット京丹後
は、電柱での巣づくりをやめさせようと
追い払いながら、その先に新たに3つめ
の巣塔を建てて誘導します。
それでも電柱を渡り歩くペア。負けじと4つめの巣塔を建て、
電柱にあった巣材を巣塔に移し、ついにこの第4巣塔での産
卵・抱卵に成功したのです。
住民がさっさと自力・自前で巣塔を建て、ペアを誘導し、結
果豊岡市外で初、しかも放鳥2世同士のペアの営巣が実現。放
鳥3世の巣立ちに至ったという訳です。
(左)第2巣塔
(右上)第4巣塔
(右下)第4巣塔で育つ放鳥3世たち
3
第 47 号 2012.11.26
●福井県越前市で
福井県越前市で・・・
越前市では、昨年 12 月に郷公園からペアのコウノトリが移送され、拠点となるケージでの飼育が始
まりました。繁殖に成功すれば誕生したヒナをそのまま放鳥する計画ですが、風切り羽根が切られた状
態での飼育ということもあってか、今季は交尾が実らず。期待は来季以降へ持ち越しです。
越前市が重点施策として取組む「里地・里山再生」の大きなシンボルであるコウノトリ。県・市によ
る飼育体制や生息環境の整備、地元「見守り隊」による拠点周辺の見回り、農業者によるコウノトリ呼
び戻す農法の広がり、福井新聞社の全面的バックアップによる啓発などの総合力で、運動は大きなうね
りとなっています。
豊岡市と同じくかつての生息地であった越前市の空を、越前生まれのコウノトリが舞う日はそう遠く
はなさそうです。
驚くほどの“熱気”なのです!
●関東地域で
関東地域で・・・
平成 22 年に発足した「コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム」は、トキやコウノトリの野
生復帰を通して、自然再生と地域振興が両立する持続可能な流域の実現を目指しており、現在関東地域
4県にわたる 29 市町村が加盟されています。代表を務める千葉県野田市では、本年度からコウノトリ
の飼育繁殖施設の建設に着手し、施設完成後、多摩動物公園と連携しながら飼育に取り組む計画が進行
中です。
この動きには、自然再生と地域づくりの両立を進めている現場(地域)の取組みが国をも動かしてき
た「コウノトリ野生復帰」に大きな希望を見出し、首都近辺で同様の動きに取り組むことで、これまで
なかなか先行きしてこなかった環境政策進展への打開策にしたいという思いも感じ取れます。
まずは豊岡の様子を目にしようと昨年度から行政視察が増え始め、今年に入ってからは、8月に野田
市の「野田共生ファーム」の皆さん、10 月には千葉県いすみ市の市長、副市長、議長をはじめ「自然と
共生する里づくり連絡協議会」の皆さん、栃木県小山市の「コウノトリ・トキの舞うふるさとおやまを
めざす会」の皆さん、そして 11 月には埼玉県北本市、鴻巣市からと、続々と関係者の視察団が来豊さ
れています。
視察の際、どうしても地域振興や経済活性化の部分に先に目
が行ってしまうのは、致し方ないことでしょう。しかし、本来
やるべきは、コウノトリのような大型の鳥と一緒に暮らすため
に、悩みながら、考えながら自分たちの暮らしを見つめ続けて
いくこと。そして、コウノトリが舞うような自然や社会のあり
方を次代に継ぎ、そうした風景やコミュニティをずっと存続さ
せていくことだと思っています。
豊岡の取組みの「こころ」をしっかりお伝えしなければ・・・、
そう思うこの頃です。
農家との交流。技術だけじゃなく、「思い」も
4
第 47 号 2012.11.26
いずれのケースも、キーになっているのは住民と社会です。
言わずもがなですが、コウノトリ
コウノトリ野生復帰
コウノトリ野生復帰の
野生復帰の本旨は
本旨は、コウノトリを
、コウノトリを飼育し
飼育し、放し、再び個体群を
個体群を形成
していくという作業
していくという作業はもちろん
作業はもちろん、
はもちろん、彼らと共
らと共に暮らしていけるような
らしていけるような社会
るような社会をいかに
社会をいかに創出
をいかに創出していけるかとい
創出していけるかとい
うところにあります。その中で、住民はコウノトリとどう付き合っていくのか。また、住民に一番近い
うところにあります
総合行政である市は、どういう姿勢で関わっていくのか――。
私たちは、人間の手で一度は絶滅に追いやったコウノトリを、もう一度里に戻そうとしています。し
かし、受けいれる側に共通の思いがなければ、彼らは、降り立った先で以前とは違った形の危機に遭遇
し、再び絶滅への道を歩むことになるかも知れません。
野外のコウノトリの数が増え、行動範囲が広がるにつれ、今後も市内外でさまざまな事案が発生する
ことでしょう。これまでのように、郷公園を頼ってばかりでは解決しきれないこともたくさん出てくる
はずです。
とすれば、郷公園
郷公園の
郷公園のサポートを
サポートを得ながらも
ながらも、「野外の
野外のコウノトリは
コウノトリは飛来地の
飛来地の地域が
地域が面倒を
面倒を見る」とい
うのが現実的でしょうか
現実的でしょうか。であるとすれば
でしょうか であるとすれば、
であるとすれば、その試金石
その試金石としても
試金石としても、
としても、豊岡市内で
豊岡市内で暮らす野外
らす野外の
野外のコウノトリ
に対して市
して市や市民がと
市民がとる
がとる行動が
行動が重要にな
重要になってき
になってきます
ってきます。
ます。地域がコウノトリと正面から向き合う、そんな覚
悟が求められています。
科学と感情の間で悩み続けながらも、今後も積極的な一歩を踏み出していきたいと思っています。
Ⅱ.ラムサール条約湿地登録について
本年7月、豊岡市の「円山川下流域・周辺水田」エリアが、世界の重要な湿地を評価する「ラムサー
ル条約」の湿地として登録されました。
(次ページ図参照)
この登録は、2つの大きな“意味”を持っていました。一つは、コウノトリ野生復帰の取組みの中で
進められてきた自然再生によって登録が実現したこと。もう一つは、河川の本流が主たるエリアに含ま
れたこと(日本初)です。
①コウノトリ野生復帰
コウノトリ野生復帰と
野生復帰と湿地再生について
湿地再生について
豊岡ではコウノトリ野生復帰を通じて様々な取組みが展開されています。
・田んぼ
水田
水田
・・・生きものとお米を同時に育む環境創造型農業を展開
(特に、冬にも水を張る「冬期湛水」は、水鳥の
休耕田→湿地
飛来地としても機能している)
・休耕田 ・・・年中水を張るビオトープや、生物多様性保全のため
の湿地として活用
・人工湿地・・・生息の拠点となる大規模な湿地を整備
水田
・河 川 ・・・高水敷を浅く掘って浅水域(せんすいいき)を創出
するなど、治水と自然再生を融合
人工湿地
・水 系 ・・・川、水路、田んぼのつながりを取り戻す魚道を設置
中州→湿地
戸島ペアの飛来頻度データ
今回ラムサール登録されたエリアは、ハチゴロウの戸島湿
地で営巣する「戸島ペア」の生活域と重なります(左図の赤
色が濃い部分ほど、よく利用している場所です)
。ここでは、
コウノトリ野生復帰を支える上述の取組みが重層的に行われ
ていることがわかります。
「再生と創造」による国際的に重要な湿地。つまり、人
人が
関わることによって豊
わることによって豊かさを増
かさを増した自然
した自然とそこに
自然とそこに至
とそこに至るまでの
地域の
地域の取組みが
取組みが、
みが、絶滅の
絶滅の恐れのある種
れのある種を支え、魚介類の
魚介類の生息
場所としての
場所としての機能
としての機能も
機能も高め、国際的な
国際的な評価を
評価を受けたと言えます。
けた
5
第 47 号 2012.11.26
円山川河口~気比の浜(けいのはま)
田結(たい)休耕田〔湿地化〕
菊屋島(きくやじま)
気比(けい)・畑上(はたがみ)水田
城崎大橋(きのさきおおはし)付近
ハチゴロウの戸島湿地・戸島水田
楽々浦湾(ささうらわん)
ひのそ島〔半島掘削で湿地創出〕
下鶴井(しもつるい)河川敷
一日市(ひといち)付近
※今回、豊岡大橋(国道 178 号線)より北の円山川
(約 12 ㎞)とその周辺エリアが登録されました。
面積:560ha
湿地のタイプ:河川、河口域、河川の中州、水田、人工湿地
保護の制度 :国指定鳥獣保護区・特別保護地区、国立公園特別地域、河川区域
国際登録基準:基準 2(絶滅のおそれのある種や群集を支えている湿地)
基準 8(魚介類の餌場、産卵場、稚魚の生育場として重要な湿地)
6
第 47 号 2012.11.26
②円山川本流の
円山川本流のエリア設定
エリア設定について
設定について
日本でラムサール条約湿地になるためには、国の保護制度によるエリア設
定が一つの条件になります。つまり、
「一定の開発規制を含む法的担保」で保
全が約束されることが必要です。
円山川のエリアは、国際的な希少鳥・コウノトリの生息を支える(保護す
る)エリアであり、その保護制度は「国指定鳥獣保護区」が基本となります。
今回、該当地区や関係者の方々の理解を得、前述の生息エリアを覆うように
保護区を指定しました。
ただ、その中でも開発規制を伴う「特別保護地区」を指定することについ
ては反対も多くありました。特に治水や自然再生工事を進める国土交通省に
とっては、川の全面に環境省による規制がかかるというのは一大事です!
「そこまでしなければならないのか」という議論が当然に沸き起こりました。
長い長い経過を割愛して結論だけを書けば、
①河川上
河川上にも「
にも「国指定鳥獣保護区」
国指定鳥獣保護区」を指定する
指定する。
する。(=環境省
(=環境省)
環境省)
②ただし、
ただし、開発規制は
開発規制は「同特別保護地区」
同特別保護地区」ではなく「
ではなく「河川法」
河川法」により担保
により担保する
担保する。
する。(=国土交通省
(=国土交通省)
国土交通省)
という両省
という両省の
両省の合せ技が歴史上初
歴史上初めて合意
めて合意され
合意され、ラムサール
され、ラムサールへの
、ラムサールへの道
への道が開かれました。
かれました。
もちろんその背景には、
・河川法自身にも「環境配慮」が含まれるよう、法改正がなされていたこと。
・円山川水系の「河川整備基本方針」に、コウノトリを代表とする自然環境の保全が明確に謳われて
おり、現実に自然再生推進委員会等による様々な検討と実践が積み重ねられていること。
・現在策定中の「河川整備計画」で、さらに具体的な自然再生が期待できること。
などの要因があったものと思います。“コウノトリ野生復帰
“コウノトリ野生復帰”
野生復帰”という旗印
という旗印のもと
旗印のもと、
のもと、各セクターが
セクターが一体と
一体と
なって進
なって進めてきた取組
めてきた取組みが
取組みが、
みが、壁を突き破ったということでしょうか。
ったということでしょうか
(加えて、「渡良瀬遊水地(栃木県、群馬県ほか)」のラムサール登録に向けて、長年にわたって河川
法担保の交渉が積み重ねられていたことも重要な要因でした。)
ラムサールセンター事務局長の中村玲子氏は、豊岡での講演で次のように話されました。
環境省は、国交省の管轄、河川法の管轄である川には全くアンタッチャブルです。
(中略)別に絶滅に瀕
した動植物がいなくて、美しい景観でもなくて、狩猟の対象になるようなものもいなくて、普通の生きも
のがたくさんいるようなところは環境省は手が出せません。しかも湿地は全部川が絡んでいます。
国交省の方は、旧河川法は治水と利水を主にやっていて、環境という要素はなかった。それが河川法の
改正の中で、初めて河川法の側からも環境の保全や生物の保全という梯子をかけることができるようにな
りました。
(今回)とても意味があるのは、この円山川で初めて環境省
環境省の
環境省の側の「この地域
この地域の
地域のコウノトリに
コウノトリに象徴され
象徴され
る、コウノトリ
、コウノトリを
えるような生態系
生態系を
りたい」
という思
いと、新
しい河川法
河川法のもとで
のもとで、
「河川
河川の
を支えるような
生態系
を守りたい
」という
思いと
新しい
河川法
のもとで
、「
河川
の周辺
の環境を
環境を保全するために
保全するために河川法
するために河川法で
河川法で守ろう」
ろう」という国交省
という国交省の
国交省の意志がこの
意志がこの現場
がこの現場で
現場で結びついた。
びついた
私は外から見ていて「まあ無理だろうな」とずっと思っていました、実は。私はラムサール条約に登録
されるべきところだとずっと思っています。ここだけじゃなくて、そういうところは(国内に)いっぱい
あります。でも、あそこは国交省の管轄だからまず無理だろうとずっと思っていましたが、それができた
のは、現場の皆さんがいろんなところからいろんな梯子、いろんな紐、あるいはリボンをかけて、ネット
ワークで結んだので、皆さんが環境省と国交省それぞれが持っているツールを結びつけて登録が実現した。
これは本当に重要なことです。このやり
このやり方
このやり方をすれば、
をすれば、まだまだ日本
まだまだ日本で
日本でラムサール条約
ラムサール条約への
条約への登録
への登録、
登録、あるいは
登録さ
れなくても両方
両方が
現場で
んで保全
保全できる
できる可能性
可能性があります
があります。
登録
されなくても
両方
が現場
で手を結んで
保全
できる
可能性
があります
今回の登録は、豊岡だけでなく、豊岡以外の地域にも大きな希望を与えています。この事例が、今後
のラムサール登録における一つの道しるべとなってくれることを期待します。
7
第 47 号 2012.11.26
現在、国内の登録湿地は
46 ヶ所(うち今年登録され
たのは右表の 9 ヶ所)です。
「円山川下流域・周辺水
田」は、兵庫県初の登録と
なりました。
豊岡の
豊岡の登録について
登録について、
について、もう一度考
もう一度考えてみよう
一度考えてみよう・・・
えてみよう・・・!
・・・!
何のために登録?
登録によって、地域の人たちの活動と努力、方向性が間違っていないという国際的な評価が得られ
ることになります。「豊岡はすごいところだ!」という世界中からの声は、私たちに誇りと自信を与
え、さらなる取組みへのエネルギーになります。
人が関わる豊かな自然の中に、さまざまな生きものがいて、コウノトリがいる。この風景は、世界
で豊岡にしかないものです。この風景と、それを支えている営みを将来にわたって受け継いでいくた
めにも、今の私たちがすべきこととしてラムサール条約への湿地登録に取り組みました。
また、条約への登録は「しっかり守る」という世界との約束であり、私たちの覚悟でもあります。
豊岡の湿地の特徴は?
世界の湿地の中でも豊岡が特筆すべきは「自然再生」というキーワードです。整備した大規模湿地、
放棄田を活用した湿地、河川の自然再生、生きものを育む米づくりに取り組む水田――。これらの湿
地環境は、自然再生の活動が進めば進むほど増えていきます。つまり、豊岡の登録湿地は、現状維持
にとどまらず、今後もどんどんエリアを拡大していける可能性を持っているということです。
「残された湿地を開発の危機から守る」という世界の潮流とは一線を画す、プラス志向の登録湿地
であると言えます。
今後の取組みは?
登録決定の際、中貝市長は「この水田、あるいは円山川の自然は、人間が努力を重ねて再生した
ものです。今日を新たなスタートにして、この地の自然再生をさらに進めていきたいと思っていま
す」と話しました。
自然を豊かにする活動に多くの市民が携わることで、半世紀以上にわたって続けられてきたコウ
ノトリ野生復帰の取組みを確実に未来につないでいく。ラムサール登録はその推進力になるもので
あり、そのことを通じて、豊岡の個性はさらに深められていくものと信じます。
今回のラムサール区域をモデルエリアに、さまざまな取組みを重ね、深め、今後区域の拡大を目指す
中でその意識や行動を全市に広げていきたい・・・。それが願いです。
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第 47 号 2012.11.26
Ⅲ.新たな大規模湿地 「加陽(かや)湿地」 の進捗状況は?
【資料】国土交通省豊岡河川国道事務所
ラムサールエリアから円山川をさらに上流へ、出石川との合流点近くの加陽地区で、国土交通省によ
る湿地整備工事が進められています。
約 17ha の堤外地に、出石川(いずしがわ)
・三木川(みつぎがわ)と閉鎖型・開放型の湿地を絡めた
大規模湿地帯を形成しようとするもので、国土交通省
国土交通省が
国土交通省が自然再生を
自然再生を目的に
目的に用地買収を
用地買収を行って進
って進める画期
める画期
的な事業です。現在、閉鎖型の湿地はほぼ完成しており、今後、出石川に接する開放型の湿地造成に入
事業
っていきます。
豊岡盆地のキャンバスに、新たな拠点が描き加えられます。円山川を中心に、北からハチゴロウの戸
島湿地、コウノトリの郷公園、加陽湿地という「核」が配置され、その周辺に休耕田を活用したビオト
ープや、生きものを育む豊かな田んぼが広がる。コウノトリの生息地としてはもちろん、生態系の裾野
までさまざまな生きものが溢れ、そこに関わる人や地域も
ちゃんと機能している、そんなエリアが今後さらに広がっ
てほしいと願っています。
あの風景を・・・今に
この場所は、実は 1960 年の豊岡を切り取ったあの有名な
写真(左)が撮影されたところでもあります。
あの頃
あの頃の人と自然の
自然の関係を
関係を、今に合った形
った形でどう再現
でどう再現す
再現す
るか、
るか、あるいは、
あるいは、新しい風景
しい風景としてどう
風景としてどう形
としてどう形づくっていくの
か。そこに、
そこに、国土交通省はもちろん
国土交通省はもちろん、
はもちろん、地方行政や
地方行政や地域の
地域の人
たち、
たち、地域外の
地域外の人たちがどう絡
たちがどう絡んでいくのか――
んでいくのか――。
――
象徴的な場所での湿地再生を通じて、難しい、しかし面
白い課題がまた一つ浮上しています。
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第 47 号 2012.11.26
Ⅳ.生物多様性地域戦略の策定作業、進む
コウノトリ、ラムサール、生息地整備・・・。これまで述べてきたこうした取組みは、それぞれ単独
のものではなく、すべてがつながり合い、同じ流れの中にあります。その
その源流
その源流、
源流、あるいは底辺
あるいは底辺を
底辺を流れる
考え方を今一度整理し
今一度整理し、豊岡が
豊岡が進むべきまちづくりの一
むべきまちづくりの一つの方向性
つの方向性を
方向性を明確にするべく
明確にするべく、
にするべく、現在「
現在「豊岡市生
物多様性地域戦略」
物多様性地域戦略」の策定作業を
策定作業を進めています。
めています
国家戦略ができ、県の戦略ができたから市の戦略をつくる・・・ということではなく、コウノトリ野
生復帰を中心としたまちづくりの中で見えてきたことをしっかり活かしながら、豊岡でしか発想できな
い、豊岡らしい戦略をつくりたいと頭をひねっています。
この戦略は、基本的には市が策定するものですが、専門家や市民の方々の声をお聞きするため、内容
について意見をいただく「検討委員会」を組織しています。
委員長には豊岡を熟知されている東京大学大学院教授の鷲谷いづみ先生に、副委員長には地元NGO
コウノトリ湿地ネット代表の佐竹節夫さんに、他にも様々な分野の方に参画いただいていますが、特筆
特筆
すべきは、
すべきは、地元高校生6
地元高校生6名に委員に
委員に加わってもらってい
わってもらっているところ。
るところ。委員にも
委員にも多様性
にも多様性が
多様性が必要、
必要、そして、
そして、一
緒に考える次
える次の世代を
世代を育てていくことも大切
てていくことも大切なことです
大切なことです。不安のスタートでしたが、今では丁々発止や
なことです
り合っています(笑)
6名の高校生
委員勢揃い!
それは、そうなん
だけどね・・・。
私たち、
こう思うんです!
地域戦略のキーワードは、まさに「地域」です。
92 年のリオ宣言で生まれた双子の条約、
「生物多様性条約」と「気候変動
枠組条約」
。このうち、地球温暖化対策は文字どおり地球規模で対策を講じ
るものでしょう。大気は地球全体を覆い、豊岡の空気は地球の裏側ともつ
ながっています。一方の生物多様性は、地球規模の対策ももちろん重要で
すが、本来は地域のレベルで考えることではないでしょうか。生
生きものや
人のつながりは、
のつながりは、地域固有の
地域固有の自然や
自然や風土、
風土、社会のあり
社会のあり方
のあり方(=文化
(=文化)
文化)と一体
のものだと思うからです。
のもの
700 平方 km ある豊岡市をその一つの地域と見るか、あるいは、もっと小
さい範囲に目線を落とすか。そして、そこにどのような絵を描くか。
市も、専門家も、大人も、高校生も、一生懸命に考えています。どのよ
うな戦略としてまとまるか? 完成を目指す“春”が楽しみです。
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Ⅴ.トピックス
●国内での動き
○生物多様性自治体ネットワーク
生物多様性自治体ネットワーク副代表
ネットワーク副代表に
副代表に就任
H22 年の名古屋 CBD/COP10 以降、国内での生物多様性の取組みを加速させる一つの母体として「生
物多様性自治体ネットワーク」が立ち上げられました。現在、124 の
自治体(33 都道府県、17 政令指定都市、74 市区町村)が加盟し、情
報共有等の連携が行われています。
本年 11 月3日に開催された第2回定期総会で、豊岡市は同ネット
ワークの副代表に指名されました。これは、次期代表を前提としたも
ので、愛知県(H23)、横浜市(H24)という大都市に続き、小さな
地方都市・豊岡がH25 年に全国ネットワークの代表に就任すること
になります。
責任重大ですが、豊岡の取組みや考え方を示す絶好の機会でもあり
本田コウノトリ共生部長が就任挨拶
ます。心してかかりたいと思います。
●国外での動き
○韓国との
韓国との交流
との交流
コウノトリ放鳥の動きが進められている韓国とは、今年も様々な交流が続いています。
4月→ 中貝市長が「水田の生物多様性増進のため
のシンポジウム(慶尚南道)」に出席。トキ復元セ
ンターやコウノトリ復元センター、韓国でコウノト
リの放鳥場所に決定された忠清南道礼山(イエサ
ン)郡等も訪問しました。
←7
7月 4月の訪問時に現地でお会いした「高
陽(コヤン)環境運動連合」の会員親子 30 名が
豊岡市を視察訪問されました。
11 月→ 高陽市長からの招待で、本田部長が「獐
項(チャンハン)湿地および生態系保全のための日
中韓国際フォーラム」に出席し、ラムサール登録さ
れた豊岡の湿地保全の取組みを発表しました。
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第 47 号 2012.11.26
○中国との
中国との交流
との交流
H22 年度から3ヵ年計画で進めているJICA草の根技術協力事業「コウノトリが結ぶ環境協力」
(提
案自治体:兵庫県・豊岡市、実施機関:NPO法人食と農の研究所、対象:中国浙江省庵東鎮)が最終
年度を迎えています。
環境創造型農業と環境教育の普及を2本柱としており、これまで、農業
関係者や教育関係者の相互交流を進めてきました。現地で始まった有機農
法による米づくりは、H23 年度の 3.6ha から、H24 年度約 100ha へと一
気に広がっています。また、このたび環境教育のためのテキスト「生態読
本~自然との約束~」も完成し、小学校での授業も試行されています。
テキストでは、水
田農業と生きものの
関連が説かれ、豊岡
での取組みを紹介した上で環境創造型農業の重要
性が語られます。外交で日中関係が冷え込む中、
草の根の民間交流と普遍的な思想の共有が少しで
も両国の関係改善に役立つとともに、中国社会に
おいて、生きものや環境を重視した取組みが進め
られることを期待しています。
○台湾との
台湾との交流
との交流
本年5月、台湾から2名のお客様をお迎えしました。ヤマムスメ(台湾固有種の鳥)の保護と地域活
性化(有機お茶栽培)の両立を目指し、国立台湾大学と中華鳥会(Chinese Wild Bird Federation)が
連携して行うプロジェクトで、その先進地として豊岡を視察されたものです。
その後、6月に学生6名を連れた再視察が実現し、うち一人は引き続き1カ月間豊岡に滞在してイン
ターンシップを体験。逆に 10 月には、コウノトリ共生課の職員がワークショップやフォーラムに招か
れ、現地の様子を伺ってきました。そのレポートを紹介します。
Taiwan Bird Forum 及び坪林(ピンリン)ワークショップへの参加レポート(宮垣 均)より抜粋
10月25日の夕方便で関西空港から離日し、夜に
台湾桃園空港に到着。台湾大学の学生の送迎でホ
テルへ。翌26日、朝早くから移動し、台北市から
台北市
南東に約40分のところにある坪林に到着。豊岡を
モデルにヤマムスメの保護と地域再生に取り組む
坪林
活動の中心である「坪林里山環境教育センター」
に案内された。
着くと早速、有機でのお茶栽培に取り組む地元
のお茶生産農家の方々を紹介され、そのまま有機
の茶畑で茶摘み体験。小高い山の中腹にある茶畑からは、坪林の町並みがよく見えた。約40分程だった
が、急な斜面地での作業は想像したより重労働であった。
その後、お茶を飲みながら、地元の人たちやプロジェクトのメンバーから現在の状況について説明を
受けた。
ここ坪林で行われているヤマムスメの保護とその生息地である地
域の再生プロジェクトは、中華鳥会が国からの支援を受けて取組むプ
ロジェクトである。中華鳥会は、このセンターで地元の有機栽培に取
組む農家等8名を雇用し、ヤマムスメの餌場となる茶畑で餌となる虫
を増やすとともに、栽培したお茶を付加価値販売し、有機栽培畑を拡
大し、ヤマムスメの生息地を創出することを狙いとしている。台湾大
学の張聖林台湾大学大学院教授は、地域づくりのカリキュラムとして、
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大学院生をこのプロジェクトに関わらせている。
この坪林で、コウノトリ野生復帰の取組みを報告した。報告の後、このプロジェクトの課題を抽出す
るワークショップに参加。私たちは、坪林の自然と住民の生活を確認するため、村内やヤマムスメの採
餌効果の検証を行っている茶畑などを回った。その後、数日にわたり、課題解決や行動計画についての
ワークショップに参加した。それらの感想等を以下にまとめる。
【坪林の現状】
・約20年前には、台北市からお茶を求めて多くの人が来村していた。
村には、お茶の店が多くあった。
・10年前に東海岸にある宣蘭市への高速道路が開通し、観光客の流
れに変化ができ、坪林への来村者は激減。週末は今でも大型バイク
に乗った若者たちが多く来村しているが、コンビニでの休憩が主な
目的で、お茶を買う人はほとんどいない。
・坪林は、台北市(人口約200万人)や新北市(人口約300万人)の
都市部の水がめであり、農薬の使用などについて都市部の住民から
も関心が高まりつつある。
・人口は減少しており、特に子どもたちの人数が激減している。かつて村内にあった5つの小学校は、
現在2つに。(内1つは児童数が20名足らず)
・川沿いには散策ルートが整備されており、自然を見て回ることはできるが、体験できるところはない。
【プロジェクトの課題】
・有機のお茶が他のお茶と比べて高値を付けている訳ではない。台湾のお茶のほとんどは、TA(Tea
Agriculture)という組織が扱っており、そことの繋がりは現時点でない。また、お茶の販売ルートが
限られており、現在、直販店やインターネットでの販売を計画中。
・有機認証を行っている認証機関もあるが、そのためには、設備の
整った生産場の整備が必要である。
・鳥と生きものとお茶生産の関係について、付加価値販売をするた
めの明確なストーリーとしてまだ成り立っていない。
・生態学者、鳥の研究者等との関わりがない。
・お茶や生態系についての体験プログラム等がまだない。
【希望となるもの】
・現時点で地域再生の取組みとはなっていないが、地元の小学生や台北の高校生、鳥や生態学の専門家
など、多くの主体が関わっていくことが計画されており、今後注目できる。
・11月には、高校生に対し、体験プログラムの実施を予定しており、新たな動きが始まっている。
【感想・まとめ】
台湾のこのプロジェクトは、現段階ではコウノトリ野生復帰の最初の段階と似ている。今後、地域の
人たちや多くの主体を関わらせることが必要で、そのためには行動
行動の
行動のキッカケや
キッカケや動機となる
動機となる理由
となる理由や
理由や目標
を明確に
明確に設定し
設定し、それを多
それを多くの人
くの人たちと共有
たちと共有できるものとして
共有できるものとして発信
できるものとして発信することが
発信することが重要
することが重要であると感じた。
重要
私たちのコウノトリ野生復帰に関しても、生息地の保全を進めるためには、プロジェクトの目的の共
有化と多様な価値をつくっていき、さらに多くの住民と協働していくことが必要である。地域
地域の
地域の人たち
が新たな行動
たな行動をするときには
行動をするときには、
をするときには、それぞれの理由
それぞれの理由があり
理由があり、
があり、その理由
その理由を
理由をしっかりと把握
しっかりと把握しなければ
把握しなければ、
しなければ、目的や
目的や
意識の
意識の共有化はできない
共有化はできない。
はできない。対話と
対話と行動を
行動を繰り返すことが重要
すことが重要である
重要であると再認識した。
である
同じような取組みを行っている他地域の抱える課題や現状を知ることは、自分たちの現状を把握し、
未来に向けた行動や方向性の微調整をすることができる。今
今、豊岡の
豊岡の野生復帰プロジェクト
野生復帰プロジェクトを
プロジェクトを参考にし
参考にし
た取組みが
取組みが国内外
みが国内外に
国内外に広がっている。
がっている。それは、コウノトリ
それは、コウノトリの
、コウノトリの生息地を
生息地を全国に
全国に拡大していくために
拡大していくために非常
していくために非常に
非常に重
要なものであると同時
ものであると同時に
同時に、豊岡で
豊岡で行動を
行動を続けている人
けている人たちにとって自己
たちにとって自己を
自己を見つめ直
つめ直すとともに大
すとともに大きな誇
きな誇
りとモチベーション
りとモチベーションをもたらしてくれる
モチベーションをもたらしてくれる。
をもたらしてくれる。実は、私たちがその経験
たちがその経験を
経験を他地域に
他地域に伝えることは、
えることは、私たちの
地域の
地域の生息地保全
生息地保全を
保全を持続可能なものに
持続可能なものに押
なものに押し上げていくことに他
げていくことに他ならない。
ならない。
協働の輪をドンドン広げていきたい。
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第 47 号 2012.11.26
●子どもたち頑張る!(今年もいろいろやってます)
ENEOSわくわく生き物学校
「河童」体験
いくつかの学校で秋の一斉トンボ調査を実施
ラムエリアの宝探しでシジミ漁を体験
谷津干潟にも行ってきたョ
ラムサール湿地同士の子ども交流会
わっ、ヘビがおった!
外来種駆除活動もやってみた
今年も各学校で生きもの調査授業を続けています
【あとがき】今号で取り上げたような様々な課題に、いかに対応して
いくか――。子どもたちの笑顔に応えていくためにも、知恵を絞らね
ばなりません。次号では、どんな報告ができるか!?(S)
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